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2007年度東京都予算に向けた提案
私たち生活クラブ運動グループ福祉協議会では、子どもも高齢者も、障がいのある人も無い人も、すべての人がその人らしく生活できる社会、ノーマライゼーションを理念として、自治と協働による地域づくりをすすめています。
介護保険制度の改正、障がい者自立支援法の施行、医療制度改革では、「地域」が共通のキーワードとなり、地域福祉は大きく変わろうとしています。「施設から在宅へ」「施設から地域生活へ」「病院から在宅療養へ」という方向性は是とする反面、残念ながら現状の地域の基盤整備には多くの課題が残され、サポート体制や中間的施設が未整備なままです。本来必要な福祉サービスの利用が抑制されたり、働く側の労働条件が悪化したり、施設や病院か自宅かの二者択一を迫られたりする実態は、単に制度移行に伴う過渡的状況とは考えられず、その人の尊厳が守られ、安心した地域での生活に近づいている実感は得られません。社会保障全体の議論が不充分なままに、次世代に負担を先送りしないという保障も曖昧で、財政問題だけを理由に制度改正をしても、不安と不信を生むだけです。東京都は、国に先駆けて福祉改革と医療改革を行い、利用者本位の福祉、患者中心の医療を目指してきた、としています。地域福祉の充実に向けた提案と実践を行ない、国の方向性に対しても、必要な見直しを提言することを、東京都の役割として期待したいと思います。
一方、東京都は、自らの役割を「多様な提供主体から構成される地域のサービス提供システム全体を調整していくこと」としています。福祉分野でいち早く導入された包括補助金の制度は、補助金制度の再構築としてさらに促進される傾向にあるようですが、地域の独自性を促すためには、制度の活用方法に工夫が必要です。同時に、多様なサービス提供主体の中で、改めて都や区市町村の果たすべき役割が問われるところです。
私たち生活クラブ運動グループ福祉協議会では、これまで私たちが行なってきた地域福祉の実践から見えてきた提案をここにまとめました。東京都の2007年度予算の討議に反映していただきますよう、要望いたします。
東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会
生活クラブ生活協同組合
東京ワーカーズコレクティブ協同組合
社会福祉法人悠遊
特定非営利活動法人アビリティクラブたすけあい
東京・生活者ネットワーク
連絡先:世田谷区千歳台4−2−1
TEL 03−5490−8325
2007年度東京都予算に向けた提案
【介護保険制度と地域福祉分野】
高齢者が、住み慣れた地域で自分らしく暮らすためには、地域生活を支えるサービス基盤の拡充が必要です。今回の改正で予防と在宅が重視された介護保険制度はもちろんのこと、地域における介護保険以外の福祉サービス、それを担う人材の育成、さらに居住環境の整備や医療との連携も、これまで以上に求められます。
1. 地域福祉の充実
(1)介護保険制度の充実
・ 制度改正による影響調査と対策
2006年4月からの新たなサービス体系による影響については、東京都社会福祉協議会の調査でも、回答者の8割以上が何らかの不都合があるとしています。さらに詳細な調査を実施し、必要な配慮・対策を講じて下さい。例えば、特定事業所加算は、基準そのものに課題があり、必ずしも良質な事業者の育成に寄与するとは限らず、なおかつ利用者への負担増につながっています。また、生活援助の上限設定(1.5時間)は、個々の事情に合わせた介護サービスの提供に支障をきたしています。こうした実態に合わない制度について、早急に見直しをするよう、国に働きかけてください。
・ 地域密着型サービス
区市町村が実施する地域密着型サービスは、地域の実状に合わせた施策の展開には至っていません。財政難による自治体間格差に対しては、支援を行ない、基盤整備を促進させてください。
・ 利用者の負担軽減対策 低所得者に対する通所介護、通所リハビリテーションでの食費負担軽減を行ってください。施設利用者への軽減措置と同じように、ショートステイ利用者への居住費・食費の軽減についても検討してください。
・ 介護情報の効果的活用
介護サービス情報の公表制度に基づく調査・公表手数料は、法律により義務付けられたものであり、全額公費で負担すべきです。手数料徴収は早急に見直してください。また、蓄積されたデータは、インターネットだけではなく、高齢者が利用しやすいような情報形態にしてください。
・ NPO法人等の介護保険事業に対する非課税措置
介護保険サービスは、法人格の如何を問わず提供するサービス内容・介護報酬が同じ条件です。社会福祉法人はNPO法人にはない特典が付与されている上に、税制でも非課税扱いになっていますが、同じように非営利・公益を旨とした事業を行なっているNPO等が営利企業と同じ扱いであるのは不合理です。現状「介護報酬」が低額に抑えられている家事援助サービスや、公的援助がほとんどない介護保険の枠外サービスを担っているNPO法人等の市民参加型事業の実態に理解を深め、税制上の優遇措置などによって社会的支援を行なうことを国に働きかけてください。
(2)介護予防の拡充
・ 自治体の地域支援事業(介護予防事業)への支援
介護予防ケアマネジメント事業は、特定高齢者の対象者選定など、順調に進んでいるとはいえません。基本チェックリストによる選別等に経費や人手を費やすよりも、むしろ一般高齢者むけにきめ細かい事業を展開するほうが有効です。自治体の介護予防事業として一般高齢者向けの施策を充実させてください。
・ 地域包括支援センターの機能充実
地域包括支援センターは、新予防給付ケアマネジメント等の業務に追われ、地域における総合的マネジメントを担う中核的な機関としての機能を果たしていません。本来の役割を確認し、資質の高い人材確保のための長期的かつ安定的な財政措置や、研修を継続的に実施して下さい。
・ 身体活動を習慣化させる具体的な仕組みづくり
健康づくりに関しては、特定高齢者に対する機械トレーニングだけでなく、身体活動(運動)への理解を深め、日常化するためのサポートを進めることが必要です。既に地域では、大きな予算を伴わず、成果をあげている市民の取り組みがあります。指導者の育成、場所の提供、多様な事例の共有化など、市民の継続的な活動・事業に対し、協働の視点での支援を行なって下さい。
・ 高齢者虐待への対応
区市町村の行なう高齢者虐待対策への支援として、マニュアル作成にとどまらず、積極的な後押しをして下さい。
(3)介護保険適用外福祉サービスの充実
・ 認知症について学ぶ機会の拡充
東京都は「認知症の人が安心して暮らせるまち・東京」でサポーター養成を行なっていますが、地域にも多様な視点で人材育成に取り組んでいるNPOがあります(例えば、私たちのグループは、認知症介護の人材養成に、SPSD(認知症模擬演技者)をとりいれた研修や、講師派遣を行っています)。こうした市民の取り組みの視点を東京都の研修に取り入れて下さい。また、身近な場所で認知症について学ぶ機会をつくるため、区市町村や企業が行なう自主的な事業に対し、受講者への助成を行なって下さい。
・ 移動サービスに関する研修
福祉有償運送の登録制を盛り込んだ改正道路運送法が成立し、移動困難者の移動を保障する仕組みの実質的な拡充が求められます。運行管理者研修、運転者研修は、NPO等の移動サービスを担う団体の問題であるだけでなく、利用者(移動困難者)の安全性の問題でもあります。東京都として、NPOとの協働で研修や相談事業を行ない、受講費を補助することで、研修への参加を促進させて下さい。
・ 福祉改革推進事業、地域福祉推進事業補助
福祉分野は特に分権が進み、包括的補助金も含め、地域の独自性を生かした事業を行う仕組みが整いつつありますが、一方で制度を活用できているかどうかで自治体間に差が生じています。地域福祉に関する市民ニーズ(サービスを受ける側のニーズ、市民参加型事業を担う側のニーズ)は多様です。市民や行政が制度を積極的に活用し、地域の工夫が生きるよう、制度の仕組みや事業の成果の情報をもっと市民も共有化できるようにして下さい。
・ 配食サービス
介護保険制度の予防介護に栄養改善事業が位置づけられ、「食」の重要性が再確認されたことは評価できますが、指導だけではなかなか高齢者の食事状況は改善しません。自治体の配食事業などの充実が、長期的な視点での介護予防につながります。福祉改革推進事業の拡充など、「食」を大切にする施策を実態として進めてください。
・ 駐車取締り除外
道路交通法の改正により短時間駐車の取り締まりが強化され、福祉サービス従事者は、混乱と不安を抱えています。夜間対応型訪問介護や、介護保険制度外の事業(配食サービスなど)など、今後ますます車を必要とするサービスが増えることが予想されます。関係者の意見を聞き、実態に即した取り締まり除外規定にしてください。
(4)市民参加の議論の場の保障
介護保険制度は、本来「介護の社会化」を目指していたはずですが、財政難を背景に、給付費の適正化(抑制)に重点が置かれる傾向にあります。「介護保険を育む会」などのような、制度に関する市民の本質的な議論が必要です。東京都として、市民参加で制度を検証する場を継続してください。
(5)地域医療の充実
・ 在宅医療の充実 「施設から地域生活へ」という流れの中で、一人ひとりの「在宅生活」を地域で保障するためには、これまで以上に、福祉・保健と医療と連携が不可欠になります。画一的な健診・予防・健康指導でなく、区市町村が、地域の実状を踏まえた健康推進プランや保健医療計画を策定し、在宅医療の充実に向けた施策を行なうことの出来るよう、後押ししてください。
・ 医療機関の適正配置
国の医療制度改革は、医療費抑制に重点が置かれていますが、東京都の地域医療システムの構築においては、在宅医療の充実を最重要課題とし、そのための地域医療支援病院や在宅療養支援診療所の確保など、在宅医療を支援する医療のネットワーク化を進めてください。
2. 地域での福祉人材養成の支援
(1)研修内容の質の向上と検証
福祉サービスに携わる人々の養成はもちろん必要ですが、専門的な資格取得を追求するあまり、誰のための人材育成か目的を見誤る危険はないでしょうか。都が認定している研修について、利用者本位のケアが保障されているかどうかの視点で検証し、特にキーパーソンとなるケアマネジャー、サービス提供責任者への研修内容の質を向上させてください。
(2)働く人への社会的保障など労働条件の実態調査と改善
介護保険制度導入後、介護サービスに関わる職員の定着率が低くなる傾向が伝えられていますが、サービス利用者の立場から言っても、ケアワークに関わる人の継続性、安定性は必要です。働く人への社会的保障や労働条件について、従来の雇用形態でない働き方も含め、実態調査を行ってください。その上で、福利厚生事業の共同化など、ケアワーカーへの社会保障の充実に向けた改善策を、国への働きかけも含め、検討してください。
(3)多様な人材養成への支援
介護保険制度では、ますます専門性が求められる傾向にあり、それは是とするとしても「利用者本位」の地域福祉の充実のためには、介護保険を含む地域福祉を担う多様で経験豊かな人材育成が必要です。就学資金の貸与などの支援や、市民が自発的に進めている多角的な人材養成の動きに対して行政からの支援を行なってください。
3. 居住環境の向上
(1)住生活基本計画
住生活基本計画の策定にあたっては、住み慣れた場所に住み続ける為の住宅施策の充実を目標に位置づけて下さい。これまで同様、シルバーピアのような高齢者対応住宅や、障がい者対応の住宅の供給を進めると共に、今後は、多機能型、ソーシャルミックス(多様な世帯の混在)を意識した施策を進めてください。
(2)公営住宅をはじめとする居住空間の質の向上
バリアフリー仕様の良質な住宅づくりを進め、高齢になっても障がいがあっても、住み続けられる公営住宅を拡充するとともに、持ち家に対しても、在宅生活の継続に必要な住宅改修アドバイザーの養成を進め、改修費の補助を充実してください。
(3)サポート体制
都営住宅におけるライフサポートアドバイザーの人材育成、さらにケアハウス、グループホームなど多機能なすまいも含め、従事する管理者・職員の研修の場の拡充をはかってください。また、賃貸契約が難しい人への対応など、在宅生活のサポート体制を充実させてください。
【障がい者福祉分野】
障がい者自立支援法により、地域の障がい者福祉施策は少なからず混乱しています。これだけ大きな改変に対し、当事者の理解は勿論、地域社会の基盤整備など、準備不足のままの施行は、目指すべき方向性は評価すべきとしても、法律の抜本的な見直しが必要といわざるを得ません。東京都障がい者施策推進協議会は今年8月に最終提言を発表し、その中で「国の障害保健福祉施策の改革の方向性を踏まえつつも、「自己選択・自己決定の尊重」、「利用者本位」の考え方を基本とし、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、本人が希望する地域で安心して暮らせるよう、本協議会の提言に基づいて、率先して先進的な施策の推進に取り組むことを強く要望する」と述べています。今年度中に策定される東京都障害福祉計画も含め、早急に制度の課題の検証と対策が求められます。
1. 共に地域でくらし、働く
(1)利用者主体の制度と施策
・ 障がい者自立支援法の影響調査
4月からの原則1割の利用料負担や、10月からのサービス新体系への移行などに伴う影響はすでに現れており、早急に実態を把握する必要があります。また、今後、三障がいの一元化に向けた施策の推進にあたっても、障がい別の課題を曖昧にすることなく、当事者の視点に立ったものにすべきです。障がい者自立支援法について、東京都として当事者参加で充分検証し、実態に基づき、見直しや凍結も含め、国に提言を行なって下さい。また、東京都の地域生活支援・就労促進3ヵ年プランについても推進すると同時に、課題の検証を行ない、対策を講じてください。
・ 財政状況による自治体間格差への対応
区市町村地域生活支援事業など、地域の特性に応じた工夫を保障するには、あまりに予算が限られています。財政状況を理由とする自治体間格差には東京都として支援をしてください。また、東京都の補助事業も包括的なものになっていく傾向がありますが、全体予算や要件など、常に検証を行ない、障がい当事者の状況に合わせて地域が充分に活用できるようにして下さい。
・ 障がい者扶養年金制度への対応
障がい者の生活を支える都独自の心身障がい者扶養年金制度は、財政的理由から廃止する方針が公表されましたが、全国制度への移行も含め、加入者の理解と安心が得られるような方法をとって下さい。
(2)就労支援・環境整備
・ 多様な働く場
障がい者が地域で働くことが出来る環境整備を進めてください。まず、公的機関(都・区市町村、及び教育委員会)が法定雇用率を達成することが必要です。さらに、区市町村障がい者就労支援事業や小規模作業所等の法内化促進だけでなく、市民レベルで広がりつつある実践に対しても支援を行ない、多様な働く場の創出を進めてください。
・ 所得保障
一般就労の機会を拡大すると共に、「就労」の視点で小規模作業所等の経営基盤の強化に向けた支援を行い、障がい者の所得を改善してください。また、障がい者の就労の継続・維持を支援する機能を持ち、訓練ではなく労働保険や最低賃金制度を適用する「事業所」への補助制度を創設し、障がい者も非障がい者も共に働くことが出来る場所づくりを促進してください。
・ サポート体制
障がい者の就労には社会の理解も含め、課題が多く山積しています。就労に向けての支援と共に、就労後のサポートも欠かせません。身近な区市町村の相談体制を充実させ、市民レベルの活動も後押ししてください。また、やり直しのできる(リカレント)体制の仕組みをつくり、安心して地域で暮らせる環境を整備して下さい。
・ 農業体験
農地は、食糧の供給や都会の環境維持だけでなく、教育的効果を持ち、特に、障がい者の農業体験は、就労支援の場としても、カウンセリングの場としても実績をあげています。地域の人も共に参加し、地場産業の活性化にもつながるような福祉農園の仕組みを作ってください。
2. 差別や虐待などの人権侵害をなくす
(1)未然防止 差別や虐待などの人権侵害をなくすためには、社会の認識が大きく変わらなければいけません。障がいのある人も無い人も、地域で共に暮らすことが当然だという、ノーマライゼーション、ソーシャルインクルージョンの考え方を、公共、民間を問わず、多様に学ぶ機会を、まず関係者の研修として提供することが必要です。そして何より求められるのは、学校教育が変わることです。特別支援教育が真のソーシャルインクルージョンの実現を目指すよう、福祉施策の立場から連携をとって下さい。
(2)相談体制の確立 地域福祉権利擁護事業の周知を図り、事業を担う社会福祉協議会、専門員、生活支援員の人材育成・研修を進めてください。また、地域生活支援事業の相談支援が充分に機能するよう支援し、具体的な問題解決まで視野に入れた相談体制を確立させてください。
【子どもと子育て家庭、若者分野】
東京都次世代育成支援行動計画の策定(05年)など、子育てを社会全体でバックアップするための枠組みづくりは、一歩進んだともいえますが、まだまだ子どもを産み、育てる環境として、具体的な改善を実感できる状況にはありません。少子化対策だけにとどめず、働き方の見直しも含め、次世代を担う子どもたちのための社会はどうあるべきなのか、地域の関係機関が、子どもを中心に連携することの重要性については言うまでもなく、そのためにも、今まで以上に行政が果たす役割と機能が問われるところです。子どもの育つ力を総合的に応援する視点で、所管を越えた全庁的な取り組みと、地域の力が発揮できるような支援を行うことが東京都の役割だと考えます。
また、心身障がい教育の位置付けで進められている特別支援教育は、ノーマライゼーション、ソーシャルインクルージョンの教育の実現の視点での見直しが必要です。
1. 子育て関連機関の機能の拡充
(1)児童相談所の増設と機能強化 子どもに関係する機関の連携の必要性に対する認識は一定程度進みましたが、残念ながら子どもへの虐待はあとを絶ちません。本質的な問題解決と緊急避難的な対応、どちらも早急な拡充が必要です。まず、身近な児童相談所を増設し、これまで以上の人員配置と職員の専門性の向上、シェルター機能の整備を行い、虐待の未然防止、適格で迅速な対応、家庭復帰等に向けた丁寧な対策を行なってください。
(2)認証保育所における保育内容の検証 東京都の掲げた「都市型保育サービスへの転換」を受け、認証保育所の設置数は確実に増加しています。東京都として、利用者の立場、特に子どもが生活し、育つ環境としての評価を行い、保育サービスの内容を検証してください。また、東京都は入所要件の見直しなど「保育所制度改革」を国に提案していますが、認証保育所に対しても、保育料の上限設定だけでなく所得が反映するよう、都独自の制度として充実させてください。
(3)多様な保育サービス 保育サービスに対するニーズは、地域事情も様々です。実施主体である区市町村が地域の実情にあわせて取り組みを展開できるよう、保育室、家庭福祉員制度の助成の継続など、補助金や交付金制度を充実させてください。また、新たにスタートする認定こども園に対しても、準備不足による混乱が利用者へのしわ寄せとならないよう対策を講じてください。
(4)すべての子育て家庭への支援 子育ての当事者には、周囲の想像以上の負担感があります。あくまで「仕事と家庭の両立支援」を進めることと並行し、親支援の視点で、すべての子育て家庭を対象とした支援が拡充するよう、実施主体の区市町村を後押ししてください。ショートステイ、一時保育・特定保育、トワイライトステイ、訪問型一時保育、育児支援ヘルパーなどの在宅サービスについて、早急に全自治体での実施を実現させ、利用者負担や利用要件に自治体間格差がある事業に対しては、東京都全体のレベルアップを図るような補助を行なって下さい。
2. 実践するNPO等への支援
地域では、子育て支援や若者支援に関わる多様なNPO等の活動が展開されています。行政には出来ない柔軟な発想で、制度の狭間のニーズに応え、親になる準備教育、異世代交流の仕組みづくり、多様な保育サービス、子どもの居場所づくり(プレイパーク、フリースクール)、食育、若者支援などを実践しています。こうしたNPO等への支援を地域が行なうことを促進するためにも、東京都としてNPOとの協働でのモデル事業を実施してください。また、既存の子育て支援基盤整備包括補助制度をさらに充実させ、市民や行政の積極的活用を促進するために、制度の仕組みや事業の成果の情報をもっと市民も共有化できるようにして下さい。
3. 子どもの育ちを応援する
(1)子どもの権利条例制定の検討 身近な大人からの虐待、いじめの問題、子どもを巻き込む犯罪や事故、子どもへの権利侵害は減少していません。緊急避難的に子どもを救済するシステムを確立すると同時に、単なる責任追及に終わらせない、本質的な問題解決に向けた取り組みへの着手が、おとな社会の責任です。東京都が総合的な子どもの権利擁護システムについての検討を始めてから、既に充分すぎる時間が経過しました。子どもの権利条約を批准した原点に戻り、東京都の条例制定に向けた検討を、子ども参加で進めてください。
(2)学校教育へCAP等のプラグラム導入 管理・監視体制の強化だけでは、子どもを犯罪被害から守ることは出来ません。学校教育の中に、CAPなど暴力から身を守る行動を子ども自身が学ぶプログラムを取り入れてください。
(3)市民団体、NPO等を講師に活用したセーフティ教室 地域住民の連携で子どもたちの安全を確保するために、警察だけではなく、むしろ市民団体、NPO等を講師に活用したセーフティ教室を実施してください。
(4)子どもの権利救済 子どもの権利が侵害される不幸な事件を振り返れば、総合的な権利救済・権利擁護の仕組みが必要なことは明白です。子どもの権利擁護専門相談事業をベースに、電話相談の充実を図り、独立した相談機関、権利救済・権利回復のための第三者機関(オンブズパーソン)の仕組みを創設してください。
(5)食の総合学習 食の安全性や食の大切さを学ぶことは、年齢を問わず必要ですが、特に子どもや若者世代にとっては重要です。個人の選択に踏み込んだり、生活パターンの押しつけにならないよう留意し、環境を整備することが東京都の役割だと考えます。一律の食育推進活動ではなく、食をテーマにした総合学習や、東京の食・農・環境を考える生き物環境調査など、地域の多様な活動を保障する施策を進めてください。
4. 共に学び、共に育つ
(1)特別支援教育の課題への対応
・ 基盤整備への予算 特別支援教育体制整備に向けたモデル事業等の総括を踏まえ、必要な教職員、地域の専門家への協力を求める際の人件費などを予算化してください。また、施設の基盤整備の財源を保障してください。
・ 介助員の制度化 障がいのある子どもも、共に学び、共に育つことを基本に、区市町村独自の工夫で行なわれている介助員を制度化してください。
・ 教員や学校関係者への研修 特別支援教育コーディネーターと校内委員会の設置を進め、学校全体で特別支援教育への理解を進めてください。特別支援教育コーディネーターの養成には充分な予算対応をして下さい。
・ ソーシャルインクルージョンの実践 盲・ろう・養護学校の再編ではなく、副籍モデル事業の成果と課題を踏まえ、ソーシャルインクルージョンの実践につながるような施策に転換してください。
(2)実践するNPOへの支援 ソーシャルインクルージョンは、もちろん学校だけでは完結しません。子どもたちが共に育つ地域づくりのために実践しているNPO等と連携し、その活動を支援してください。
【防災対策】
東京都は、大規模災害時には多くの帰宅困難者が生じることが想定されます。今後、帰宅困難者向けに一時避難所としての防災公園の指定が進められるようですが、多様な帰宅困難者が集まる避難所だからこそ、きめ細かい配慮が必要です。乳幼児、女性、障がい者、高齢者、外国人等、各々個別に配慮すべき問題を点検し、区市町村と連携で対策を講じることが、広域的な役割を担う東京都の役割だと思います。
(1)災害弱者対策 災害弱者に対する情報提供の工夫や、ストレスを和らげる対策を具体的に進めてください。乳幼児、女性、障がい者、高齢者、外国人等、各々個別に配慮すべき視点を重視して下さい。
(2)防災備蓄品 防災備蓄の食材に対しても安全性への配慮を行ってください。多様な人への対応を考慮し、特にアレルギー除去食の準備など、基礎自治体では対応が難しい分野についても、東京都として対策を講じてください。また、こうした取り組みこそ、市民の多様なアイディアを活用し、市民との協働事業で進めてください。
(3)災害時の安否確認システム 災害時に頼りにできる地域コミュニテイづくりへの支援を日常的に進めるよう、区市町村を後押ししてください。
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