東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会 

はじめに

 2004年度は東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会の活動にとって大きな節目となる年度でした。
 まず、1999年から5ヵ年にわたって定点観測を続けてきた介護保険制度の基礎調査活動が最終年度を迎えたことです。介護保険法の制定を翌年に控えたスタート時には758人だった調査対象の方々は、最終回の今年10月には様々な事情によって264人となりました。高齢者にとっての5年の歳月がどんなに大切なものかを改めて考えさせられました。2000年から施行された介護保険法は5年目の見直しの時期を迎え、私たちはこの5ヵ年の調査結果と分析をもとに非常に具体性のある見直し提案を提出でき、東京都による制度改定案に私たちの提案が多くの部分で反映されたことは何よりの成果でした。生活クラブ運動グループの地域密着性、継続性、機動力が存分に生かされたといえるのではないでしょうか。
 
  次に、生活クラブ生協の第4次長期計画において新たな地域福祉政策が策定されたことを契機に、運動グループの連携のしくみのあり方が改めて議論されたことです。生活クラブは、これまでの政策である「地域福祉のまちづくり」「運動グループとの連携」を継続しつつ、新たに生活クラブ生協としての政策と事業化を方針化しました。これを受けて、運動グループの連携による地域福祉ビジョンの策定と共有・協議の機能強化が課題となりました。地域福祉のまちづくりを目的とする運動グループの連携は、また一歩次の段階に歩をすすめることになります。
 
  少子高齢化、国家財政の破綻、日本型雇用制度の崩壊など、社会の構造変化は速度を増していますが、反面で働き方や生き方の多様化、自己決定権の浮上、地域社会の必要性など、市民を主役とする社会をつくるチャンスでもあります。今回の総会で任意団体としての東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会は終了することとなりましたが、今後、運動グループの協議体としての福祉協議会は、よりその連携機能・政策協議機能を高めていくことが求められています。
 
 さて、2004年度の福祉ツアーはイタリアの社会協同組合の視察を行ないました。障がい者など社会的に不利な立場に立つ人々と共に働く数々の協同組合は、働く場をつくることの大切さ、行政との連携のあり方など、私たちに多くのヒントを与えてくれました。さらに、このツアー参加者を中心に4月に行なった滋賀県・京都府の障がい者と共に働く場の視察では、より具体的な刺激を得ることができました。例えば、私たちが考えなくてはいけないことは、「障がい者が働ける場づくり」ではなく「障がい者と共に働く場づくり」であること、「一般的しくみづくり」ではなく「固有のケースに合わせたしくみづくり」であること、「何の仕事ならできるか」ではなく「何の仕事なら稼げるか」から考えることなどです。
 運動グループの経験や情報、企画を寄せ合えば、私たちのまちにも障がい者と共に働く場づくりが具体的にすすめられると感じました。ぜひ実現に向けて活動をすすめていきたいと思います。

 今、ソーシャルインクルージョンという考え方が、福祉の分野から次なる社会の理念へと広がりつつありますが、それはまさにお金の回し方で福祉を組み立てる時代から、〈教育・仕事・住まい〉が保障される福祉への転換を意味しています。地域社会の主体である市民の協同組合の生活クラブ、制度づくりを担う生活者ネットワーク、在宅介護を支えるNPO・ACT、働く場をつくる東京ワーカーズ、地域社会に居場所をつくる社会福祉法人・悠遊を中心とする運動グループの出番です。

2005年6月11日
 東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会
 会長 伊藤由理子

HOME
 
東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会 

  東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会(C)2005 All Rights Reserved.
無断転載・転用を禁じます