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スイングジャーナル誌ゴールドディスク大賞受賞記念(笑)

私の選ぶMichael Breckerの5枚

以前米笑さんの掲示板で誰かに、「みなさんの好きなブレッカーのアルバムは?」みたいな質問をされて、考えてみるなどと答えたような覚えがあるわけですが、それ以来すっかり無視してるなあと。

などといっている間に時は流れ、昨日CD屋でスイングジャーナル誌を見たら、マイケルブレッカーの最新作がゴールドディスク大賞受賞だそうで、ずいぶん時代も変わったなあと。私が若い頃のスイングジャーナルではブレッカーをジャズであると認識している人は一人も居ないで、たまに記事が出ると「こんなもんジャズじゃない」「魂が入ってない」「機械のようだ」みたいな文句ばかり。なんというか、日本の評論の貧困をかいま見る思いではあります。

で、あまり関連性はないですが、折角自主運用を開始したことだし、勢いで5枚選んでみます。真剣に考え始めるといくら時間があっても足りないので、直感的に思いついたモノから適当にということで。


Cityscape / Claus Ogerman 

(1982)

Claus Ogerman (arrange)
Michael Brecker (tenor sax)
Warren Bernhardt (keyboards)
Steve Gadd (drums)
Eddie Gomez (bass)
Marcus Miller (bass)

なんかいきなり暗いですが、やっぱりこれが私のフェイバリットでしょう。Clous Ogermanという人は作曲家/アレンジャーで、特にストリングスを怪しく鳴らすのが得意な人です。で、その人がアレンジした異常に暗いストリングスアンサンブルの上で、思い詰めたようなブレッカーが吹きまくる。メロディはもちろん、ソロもブレッカーがほとんどひとりでやっていて、実質的にはリーダー作に近いといえます。演奏はとにかく暗い、落ち込んでいるときに聞くと自殺したくなってしまう。

この頃ブレッカーはのどを痛めているという噂が流れており、リリースされるCDも少なく、引退説まで流れていました。そんななかでぽろっと現れたこのCDの暗さとブレッカーの異常な集中力に「ブレッカー版のExpression(コルトレーンの遺作のタイトル)か」などという人もいて、なにやらぞくっとしたのを覚えています。

ちなみに、のどを痛めていたのは事実のようで、同時に、この時期ドラッグとも戦っていたようです。その困難を乗り越えてブレッカーが我々の前に姿を現したのは1985年の斑尾。たばこもやめてすっかり健康になっていたブレッカーは体の幅も3倍くらいになっていました(笑)。


The Birthday Concert/Jaco Pastorius

(1981)


 

 

 

 

 

Michael Brecker - Sax (Tenor)
Peter Erskine - Drums, Liner Notes
Bob Mintzer - Clarinet (Bass), Sax (Soprano), Sax (Tenor)
Jaco Pastorius - Bass
Don Alias - Conga 他

ジャコのビッグバンドの旗揚げ公演のライブ。結構最近になってテープが発掘されCDになりました。ここでのブレッカーはまさに鬼気迫る勢い、最近の表現で言えば「キレた」感じで吹きまくっています。私ボブミンツァーに結構入れ込んでいるわけですが、少なくともこのCDでは可哀想なくらい負けてます。ブレッカーのInvitation、Domingoなどのソロは生涯ベストとかに入れてもいいかも。

で、このライブなのですが、「ジャコパストリアスの肖像」という本によると、ブレッカー当人は「(ドラッグの)ひどい中毒症状と闘っていたから、あのギグのことはあまり記憶にないんだ」だそうで、「だから」、なのか「それで」なのかよく分かりませんがこういう演奏を残していると。なんかあまり考え込まずにとにかく吹くだけ吹く、というスタンスは体調(精神状態)から来ているのかもしれません。

この次の年にこのビッグバンドは日本に来るわけですが、マイケルは参加せず、代わりに兄貴のランディが来ていました。あ、それで引退説が流れたのかな。


Now You See It...(Now You Don't)/Michael Brecker

(1990)


 

 

 

 

 

Victor Bailey - Bass
Jim Beard - Synthesizer
Michael Brecker - Keyboards, Sax (Tenor), EWI, Drum Programming
Joey Calderazzo - Piano
Don Grolnick - Producer
Omar Hakim - Drums
Jay Anderson - Bass, Bass (Acoustic)
Milton Cardona - Percussion
Don Alias - Percussion
Michael Becker - Synthesizer, Keyboards, Sax (Tenor), Drum Programming

今回選んだ唯一のリーダー作。だんだんフュージョン界に一時の勢いが無くなった時期に出たアルバムで、とにかくいろんなアイディアてんこ盛り。他のページのエッセイにありますが、評論家の加藤総夫氏は「フレーズ死すともアイディア死なず」などと評していたような気がします。

特にジャケットのだまし絵的なコンセプトの「だましリズム」には関連者一同感化され、それが時を越えてKozoさんのMystic Islandでパクられていたりします(サックスソロの出だしのところ。オリジナルアレンジはマスダ米笑氏です(笑))。

さすがブレッカー、よくぞここまでえげつないCDを作ったものだ、この路線でどんどん突き進め!などと思っていたのですが、全然そうはなりませんでした。きっと売れなかったんでしょう(笑)。


Smokin' in the Pit/Steps

(1980)

 

 

 

 

 

 

Michael Brecker - Saxophone, Sax (Tenor)
Eddie Gomez - Bass
Don Grolnick - Piano
Kazumi Watanabe - Guitar
Steve Gadd - Drums
Mike Mainieri - Percussion, Keyboards, Producer, Vibraphone, Liner Notes

これがリリースされたのは多分高校生の頃。ブレッカーという名前を知り、Heavy Metal Bebopかなにかを聞いてノックアウトされてすぐの頃だと思います。購入後、とにかく死ぬほど聞きました。フォービートのジャズってこんなに格好良いんだと認識(実はずいぶん歪んでたわけですが)、特にNot Ethiopiaは何百回聞いたことか。この演奏を聴いて「コルトレーンみたいだ」と思ったのがその後ジャズにはまるきっかけだったような気がしますな。


The Nightfly/Donald Fagen

(1982)

 

 

 

 

 

 

Donald Fagen - Organ, Synthesizer, Harmonica, Arranger, Horn, Keyboards, Piano (Electric), Vocals, Vocals (bckgr), Horn Arrangements, Synthesizer Harp
Michael Brecker - Horn, Saxophone, Sax (Tenor)
Larry Carlton - Guitar
Ronnie Cuber - Horn, Saxophone, Sax (Baritone)
Steve Khan - Guitar (Acoustic), Guitar
Rob Mounsey - Synthesizer, Horn, Keyboards, Horn Arrangements
Chuck Rainey - Bass 他

ソロを取っているのは一曲(Maxine)だけ、しかも多分16小節か何かであんまり難しいことをやっているわけでもない。でも完璧なんだなこれが。都会のドライブのお供に、口説くのにも別れるのにも使えます(笑)。


My One And Only Love / 笠井 紀美子

(1985)

笠井 紀美子 (vocal)
Michael Brecker (Tenor Sax)
Cedar Walton (piano)
Ron Carter (bass)
Al Foster (drums)

あ、いつのまにか6枚になっちゃった(笑)。

これはちょっと反則かも。笠井紀美子のスタンダード集で唄バンです。マイワンとか、スワンダフル、とかラバカン(Lover come back to me)とかの大スタンダードで短くてわかりやすくて格好良いソロをとっていて、なんというか、ついコピーしたくなるですよ。バックもいいし。

ブレッカーと一緒にはやってませんが、Miks Sternのスタンダード演奏が聴けるという意味でも良いアルバムです。


マイケルブレッカーといえば、私をジャズに導いた人といっても過言ではありません。もともとブラスバンドでサックスを吹いていた私は高校生の頃この人を聞いてジャズに目覚めたわけです。

というわけで、こうやってみると、80年前後に集中してますな。音楽の勢いがあったのか、私の感受性が高かったのか。まあきっとその両方なんでしょう。

上から4枚に関する評価は動かない、つまり、改めて考え直してもきっと出てくるアルバムですな。下2枚はそのときの気分で変わるんでしょう。とはいえ、何回考えてもゴールドディスク大賞受賞作は出てきそうにないですが(笑)。いや、嫌いじゃないんですけどね。


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