昨年、布川巨匠のCD「ヒエログリフ」発売記念ライブに行ったときこの企画が持ち上がり、常磐方面ツアーを行ったりして盛り上がったわけだが、その後リーダーの怠慢により音沙汰無しとなっていた。
で、今年も何故か布川巨匠のValis解散ライブ会場にて、布川さん、西尾さん、私が酔っ払いつつ再会し、またやろうと。今回はいい加減なリーダーではなく、まめな西尾さんがブッキングを行ってくれて今回のライブが実現したわけだ。西尾さんありがとうございます。
さて、前回から比べて、今回はベースが代わった。その名もTommy
Jordi (トミー・ヨルディ)。
リハの時にちらっと喋ったのだが、トミーさん、もとはスイス出身。20歳くらいの時にドイツのベルリンに移ってプロ活動を続けているそうな。十数年前には、フュージョンバンドでデイブリーブマンをゲストに迎えてレコーディングなんぞというのもやっているそうな。現在はドイツ語で「バラの誇り」というポップスバンドのメンバーで、CD制作やツアーなどやっているらしい。
さて、トミーさんはどういうわけか日本に興味を持ち、何年か前から日本文化および日本語を勉強している。で、ツアーの合間を縫って、3ヶ月とか6ヶ月とかの単位で日本に滞在している。今回もその滞在の間を利用してブッキングされた。
さて、トミーさん、エレクトリックベースを弾く。というわけで、去年のジャズ研プロジェクトとまたちょっと違った雰囲気のバンドになったような気がする。あまり意識しなかったつもりなのだが、今年の新曲というのがあって、それはやっぱりエレベが前提だったんだなあと今にして思う。
というわけで、セットリストを。
<1st Set)
Adam's Apple (W. Shorter)
Shades of Jazz (K. Jarrett)
Afro Centric (J. Henderson)
Half Nelson (M. Davis)
Aung San Suu Kyi (W. Shorter)
<2nd Set>
All or nothing at all (Standard)
Straight no Chaser (T. Monk) *
Oleo (S. Rollins) **
Body and Soul (Standard) ***
80/81 (P. Metheny)
注
*:布川さん休みで、お弟子さんのマスダアツシさんが参加
**:続けてマスダさん参加。八木休み。ギター師弟対決
***:布川さん-八木のイイ加減デュオ
新曲中心に解説を。
ショーターのAdam' s Appleは同名のアルバムのタイトル曲。去年のSidewinderに続く怪しげ8ビートシリーズだったのだが、なにやらこのバンドに妙にハマった。只のブルースなんだけど、なんか妙なんだよなあ。
Afro Centricはジョーヘンの60年代終わり頃のアルバムから。マイルス中心にジャズが「電化/ロック化」していった頃の曲で、やはり怪しげ8ビート。原曲では、ハービーハンコックのエレピはもちろん、ロンカーターのエレベ(!)が聞けたりする。トミーさんの怪しげなラインと、西尾さんのデジョネット的アプローチが素晴らしかった。
All or nothing at allは、コルトレーンの「バラード」に入っているスタンダード。但し、今回はギターリストのスティーブカーンがカバーしている8ビートバージョンでやった。この曲、今回の企画が固まって以来、「なんかこんな曲でこんなアレンジがあったけど、今回のメンバーでやってみたら格好良いだろうなあ」と頭の中でもやもやしていたのだが、しばらく何の曲か思い出せなかったモノ。ある日、何となく思いついて普段は滅多に聞かないスティーブカーンのHeadlineというレコードを聴いてみたら「あ、これじゃん」と発見して早速やってしまった。
ありゃ、そういうわけで、新曲は3曲か。まあ、これらの曲と、ShorterのAung
San Suu Kyi
も含めて、「怪しげ8ビート」、が今回のキーワードだったような気がする。トミーさんは、スラップをしないマーカス、というか、アンソニージャクソンというか、とにかく的確かつ刺激的なライン、音をコンスタントに繰り出してくる。派手さはないけど、一緒に演奏していて安心してできるし、同時に刺激的だった。相当経験が豊富で、音楽的な懐が深いんだろう。当然4ビートも素晴らしくて、80/81の布川さんのソロあたりはドキドキモノだったなあ。
西尾さんは、普段は4ビートの人で、8ビートになってもある意味4ビート的に盛り上がる。トニーとかデジョネットとかね。比較的安定したトミーさんのベースと、どちらかというとダイナミズムの大きい西尾さんのコンビは全体の雰囲気作りに貢献していたと思う。
巨匠は・・・相変わらず素晴らしかったですな。基本的には気楽なのだが、ソロになると気合いが入るし、バッキングなんかもいろいろ怪しげだった。なかなかこういうセッティングも無いと思うのだが、楽しんでもらえたのだろうか。またデュオやらせてもらいました。
と、そんな中で私は例によっていい加減に吹かせてもらったわけだ。ありがたやありがたや。
お客さんもT工大OB関係を中心に沢山来て貰ってこれもありがたいことです。評判はどうなのか気になるところではあります。
さて、この「ジャズ研」プロジェクト、期せずして、前回とちょっと違う展開になってきた。こんな選曲+演奏のバンドは世の中に有るようで無いだろうから、もう少しここら辺を極めてみたいと思う今日この頃です。どこかでまた演奏させてくれないかなあ。まあ、自分でプロモーションすればいいのだが。
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