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東芝EMI/J.R.モンテローズのCDの中のエッセイ"My Favorite Bluenote"

50年代から60年代にかけての有名なジャズのレコード会社に「Bluenote」というのがあるのですが,そこのレコードはどれもこれもジャズのお宝として扱われており,数年ごとにCDで再発されています。
そのブルーノートレーベル再発シリーズの中で,J.R.モンテローズという人のリーダー作があって,それの中におまけで掲載された文章です。一応ミュージシャンまたは各界の有名人に"My Favorite Bluenote"と題して思い出に残るブルーノートのレコードを揚げて貰う主旨です。よっぽど書く人間が不足していたのでしょうか,何故か私は「テナーサックス奏者」という肩書きで書いています。ちなみに私はこの文章が掲載されたCDは掲載されたサンプルが送られてきて初めて聴きました。そういえばこの原稿料まだ貰っていないような気がするが,どうしたんだろう。
My favorite Bluenote

(1) Live at the lighthouse/Elvin Jones
(2) Live at the Village Vanguard/Sonny Rollins
(3) Adam's apple / Wayne Shorter
(4) Night in Tunisia / Art Blaky and the jazz messengers
(5) Blue Train/John Coltrane

Live at The Lighthouse Vol.1.

 

 

 

 

(1)は個人的な思い入れの非常に大きい作品です。別名「おさかな」(ジャケットの図柄より)。私が大学のジャズ研に入ったとき、先輩から「とにかく絶対に聞くように」と強い命令を受け、ジャズ喫茶で顰蹙を買いつつもよくリクエストしてました。今でこそCDで再発されてますが、当時は結構な希少盤で、先輩たちも都内の中古レコード屋を血眼になって探していたものです。私もそれなりに歩き回ったのですが見つからず、一時は諦めていたのですが、高田馬場の通学路沿いに新しく中古レコード屋が出来ているのをみつけ、なんの気無しに入ってみるとなんと棚の奥の方にこのレコードが。すかさず2枚組で2千円という破格値(カット盤だけど)で購入。当の先輩に「ライトハウス買っちゃいましたよ、へへへ」などと報告した際の、先輩の驚きと羨望の入り交じった複雑な表情はいまだに覚えてます。

内容はまさに「体力ジャズ」。Steve Grossman とDave Liebmanの二人のサックス奏者がコード楽器レスで吹き倒してます。現在の二人は相当異なったスタイルになってますが、当時は殆ど同一人物ではないかと思われるほどクリソツ。曲によってはどこでソロが入れ替わったのが判らないという。二人のソロを聞き分けることは結構難しくて、音色、フレーズの特徴をつかむための血の滲むような訓練が必要です。私も五万回は聞きました(嘘)。

このレコードはこの二人の圧倒的なプレイのおかげで「ポスト・コルトレーン時代のテナー奏者のバイブル」といっても過言ではありますまい。ブレッカーも(サックスの)ビルエバンスも三万回は聴いたに違いない。若いテナー奏者でこれを聞いていない人がいたら、是非一度は聞いてほしいものです。前述したとおり現在では輸入盤しか存在しませんから、日本盤出したら売れますよ→東芝EMIさん。再発にあたっては、輸入盤では残念ながらカットされた内ジャケットも復活してくださいませ(波間にゆれるエルビンがエグい)。

(2)もやはりライブもの。いわゆる大名盤ではありますが、とにかくロリンズの音色、八分音符のグルーブ感、アイディア、そして溢れ出る唄心には圧倒されます。本篇とは別に未発表テイク集がリリースされましたが、それもグッド。というか、実はそちらの方が好きです。大スタンダードを素材に崩壊寸前までイッてしまおうという「危なさ」が素晴らしい。

ところでこのレコードのジャケットに写っているベースのウィルバー・ウェア。どう見てもベースと身体のバランスがおかしい。異常にデカいベースなのか、身体が小さいのか・・

(3)はショーターのワン・ホーンカルテット。異常に暗く、力の入らなさ具合が絶妙な音楽で、秋の夜長専用のレコードです。

(4)、(5)は歴史的名盤なのでコメントは省略。

「その道一筋」的なリスナーではないので、ブルーノートというレーベル自体に特別な思い入れは無いのですが、どれをとっても「夜」をイメージさせる一貫したなにかを感じさせてくれます。それは録音のせいなのか、ジャケットのせいなのか、あるいはジャズに没頭しつつ夜の高田馬場界隈で飲んだくれていたあのころの個人的な体験のせいなのか判然としませんが。

八木敬之/サックス奏者

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Author: Hiroyuki Yagi  Email: hiroyuki.yagi@nifty.com
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