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2002/5/19

私はソロの時ナニを考えているのか?(8)


<私はソロの時何を考えていたのか(2)>

【1コーラス目(1:01-2:00)】

さて、1コーラス目である。以前私が書いたテキストでは、序盤は「吹くべき音やフレーズを探している」状況で、そのために「試しに何か吹いてみる」とある。改めて自分の演奏を聴いてみると、我田引水のような気もするが、まあその通りだなと。特にこの1コーラス目は「出来るだけ吹かない」ことを意識しているような気がする。

多少細かくみてみよう。まず、初めの一小節半くらいは「待っている」ようである(1:01-1:04あたり)。で、ちょっともたり気味で一発目のフレーズ(というかモチーフ)を吹いている(1:04-1:06)。これは極めて簡単なモチーフであるが、実はテーマの最初の音と同じ音(実音A)から始まっているがポイントだろうか。試しにテーマで使っている音から適当に吹いてみました、ということだと思う。前回書いたように、ここはあまりちゃんとしたフレーズを吹くと言うよりも、テーマで用いた「ブレッカー風」という雰囲気をそれなりに大事にしている感じではある。

さて、それから先は、ちょっとづつ吹いては休み、吹いては休みを繰り返している。例えば、1:08-1:11、1:16-1:20、1:25-1:29あたりは「意識的に」休んでいるはずだ。

アドリブをそこそこにやったことのある人は分かると思うが、このくらいのテンポの曲で2小節(3−4秒)にわたってナニも吹かないと言うのは結構勇気のいることだ。状況によっては客に「こいつどこ吹いてるかわかんなくなってるんじゃねえか」などと思われても仕方が無い。まあ、それを避けるために、休みの時はわざとマウスピースから口をはずしてみたり、妙に深刻な顔をしてみたり、あわてずゆったりと右手をキーから離して眼鏡を上げてみたりして、「意識的にナニも吹いてないんだよ」とアピールしたりするわけだ(最後の「眼鏡を上げる」というのはハービーハンコックがたまにやりますね)。

フレーズに関してだが、1:29あたり、すなわち1コーラスの丁度半分あたりまで、いわゆる手癖のようなものは使っていない。まさに「いきあたりばったり」で慎重に音を選びながら吹いている状況といえる。

ひとつ注目したいのは、1:16あたりのフレーズの終わりの音。実音Ebであるが、ここのコードはBbmaj7(に丁度なったところ)で、まあ一般的にはあまりよろしくない音であり、はっきり言ってバックのサウンドと合っていない。で、これは何か狙いがあったのかというと、そんなことはなくて、あまりコードを気にしないで適当に終わってみた結果、そうなってしまったというだけで、きっと自分でも「着地失敗じゃん!」と思っているに違いないのだ(笑)。但し、ここでは取り敢えず知らんぷりをして次は偉そうに休んだりしている。

さて、1:29あたりからちょっとフレーズらしきものを吹き始める。こんなやつ(これはBb表記)。

ここのコードは前の小節のEm7からEb13(ともにBb表記)に変わったところであり、きっと「今までファのシャープを吹いていたけど、ファのナチュラルを入れてフレーズを吹こう」位なことを考えていたのだろう。今見ても、「このコードにはこのフレーズ」という必然性は私の頭の中に浮かんでこないのできっと適当に始めてみたというのが間違いのないところだ。このフレーズの最後から二番目のA#(実音Ab)は私の普通の手癖ならB(シ)を吹くはずなのを急遽「あ、これフラットにしないと不味そうじゃん」とか言う感じで変えた(すなわち「取り繕った」)ものと思われる。ちょっとそこでフレーズがヨタッてますね。

その続き(1:31あたり)、は格好付けて吹いているものの、実はDm7(実音Cm7)のスケール(多分ドリアンスケールってやつ)をそのまま上って降りてるだけだ。レ〜ミファソラシドレ ミ〜レドシ〜ラソミ〜レドシ〜ソ。頭悪いなあ(笑)。とすると、上に書いた譜面の部分ではD(レ)の音に着地することを意識していたのかもしれない。

さて、その後も手探り状態のソロは続く。

1:29-1:41に掛けてのコード進行はF#m7-B7(実音Em7-A7)であるが、ここでは明らかに私の知っている得意なフレーズを吹いている。こんなヤツだ(Bb表記)。

このフレーズはよほど気に入ったらしく、この後のコーラスでもう二回ほど出てくる(笑)。これも1コーラス目の発見である。

それに続くパート(1:43あたり)はこんな感じ(これもBb表記)。

ここのコード進行は、先ほど例示したところと同じで、Em7(実音Dm7)から2小節目の3泊目(「ここ」と書いてあるところ)でEb7になって次の小節でDm7(実音Cm7)になる。というわけで、そのEb7のところでフラット系の音を使ってみたというのが上記「ここ」の部分である。よく考えるとBb(譜面ではA#)って音は格好良くないなあ。それにしても、ここの半音下がりの部分はぼんやりしたコード進行のこの曲にあって結構キーになるところで、ここを格好良く吹けるといかにもコード進行に沿ったアドリブをしている振りが出来るというものである。この曲の「キーポイント」であり、逆に言えば「ここさえ抑えておけば後は適当に吹ける」といえるかもしれない。おそらく実際にソロをやっているときにも、薄ボンヤリとそんなことを考えていたに違いないし、明らかにそれを意識している感じのフレーズが後のコーラスで出てくる。この「キーポイント」に気づいたというのが1コーラス目の手探り状態の成果だったといえるかもしれない。

1コーラス目はその後適当に吹いたり吹かなかったりして過ぎていくが、上に書いたところ以外にもちょっとづつ発見があり、後のコーラスで同じアイディアを吹いたりしているケースがあるのだ。試行錯誤アプローチというのがそこそこ成り立っているというのが(ちょっと後付の屁理屈っぽいが)理解頂けると思う。

さて、次は2コーラス目以降だ。(9)に続くと嬉しい。

以前の文書はこちらから。


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