ホラーハウス

   ホラーハウス


 新連載! ホラーハウスがはじまりました。町内にある古びた廃屋。こどもたちの間で噂になっていたその家には、本物のホラーハウスだった……
 終わらない鬼ごっこ、捕まった子供たち、この家はなんなんだ……?
   祥輔の命をかけた冒険が始まる――





 序


 その小さな家は、昔からわたしの住む町に建っていた。
 大人たちは誰もその家を気にしなかった。目にとまることさえなかったように思うのだが、敏感なこどもたちはみんなその家をこわがっていた。とくに神社に神聖なものを感じたり、朝靄や夕暮れにきらめきを感じるようなこどもたちは。そうしたこどもたちは犬や猫の気持ちがなんとなくわかる。なにかの拍子には、目に見えない物が見えるようにもなる。なにか……きっかけさえあれば
 わたしがその家の外観を最後に目にしてから、二十年ばかりがたった。そのあいだ、あの家が――あそこにいた人たちが頭をはなれたことは一度もない。だから、子供たちには教えた方がいいと思うのだ。力のある場所はどこにでもあるし、噂になるには、理由があると。
 そんな場所には、近づかないほうがけんめいだ。


ホラーハウス




     1


 姫楠市の高蔵町には、いわくつきの物件がある。学校の通学路にあり、小学生たちは息をとめたり駆けぬけたりして対処していた。ホラーハウスとよんだり、お化け屋敷とよんだりしていた。その家に面した道まで、幽霊道路といわれる始末だ。
 おもしろ半分ふざけ半分でそんな噂をしあっていたのだが、こどもたちのうちでも勘のいい子たちは本気でこわがっていたし、そういう子たちのうちでも、特に鋭い子たちはほんとうにつかまったりすることがあった。

 金山祥輔もそんなうちの一人だった。




     2


 その家の外観はつぎのようなものだった。家は南むき、道路は西がわ。道路と家の境には古ぼけた金網がある。学校によくある緑の金網とおんなじで、祥輔はところどころやぶけてサビのついた金網のこともなんだかこわかった。家をまもるため、というよりは、なにかを出さないためのように見えたから。道路と金網のすきまには何十年も放置された自転車がなぜか三台。すべてこども用の自転車で、つかまった子たちの自転車だとのうわさがあった。
 これも祥輔たちがこわがる理由のひとつだが、屋敷の門は金網のむこうにあったのだ。ということは、この金網はずっと後からだれかが立てたことになる。
 門からは踏み石が五つおかれて、ふるぼけたタイルの玄関につづく。玄関は砂まみれだけど、カサたてには赤と黄色のカサがきちんとさしてあった。
 南には庭があり、松や柊といった、ちょっとした日本の庭園によくある樹木が一面に植えられている。なんとなくうっそうとして見えた。それらは手いれをされていないから、年中ほんのすこしだけ枯れていた。クモの巣もいっぱいたかっていた。
 そして、表札――というよりも看板だ――には、岡崎医院、とあったのだ。




     3


 祥輔が、あの日、ホラーハウスを通りがかったのはほんの偶然だった。けれど、後になってみると、その日にいたるずっと以前から目をつけられていたんだとわかる。
 ゲームに夢中になるうちに日は暮れて、友達の家から急いで飛び出したときには、街は真っ赤になっていた。その日の夕焼けはものすごかった。空は赤いサングラスを通したみたいに赤く、街はその赤と影の黒とのコントラストだった。なんだか別の街に来たみたいだ。
 祥輔は家までの道を一生けんめいはしる。夏のやけた空気がのどをカラカラにした。
 祥輔はもう幽霊道路をとおることはあきらめていた。ひどく遠まわりになるけれど、二車線道路にめんした鋪道まででて、ぐるっとまわりこむつもりでいた。だから、幽霊道路がみえた瞬間に足をとめたのは、不思議というほかない。
 通りはもう、血をこぼしたみたいに真っ赤だった。祥輔はこんな夕焼けを見たことがない。
 祥輔はあらい息をつきながら、胸をおおきく波打たせ、幽霊通りにちかづいていく。汗だくで、シャツもびっしょり。なのに、ドライヤーをつかったみたいにノドがヒカヒカで、ならすとペタリとはりつくほどだ。祥輔はノドの上をちょっとこする。それからあの道をめざして歩き始めた。
 へんだな、と祥輔はおもった。なんだかおかしい。カメラみたいに、家にだけピントが合っている。岡崎医院のほかはぼやけてみえた。耳栓をしたみたいに、自分の息がおおきく聞こえる。心臓の音も。違和感をたしかめるためにホラーハウスにちかづき、それでようやく何がへんなのかわかった。
 金網がないのだ。
 時間が止まったみたいだ。びっくりしすぎてこわがるのも忘れた。地面には金網のあとすらない。表面についた砂埃も、細かくはった蜘蛛の巣もすっかりおちて、新品みたいに輝いている。
 祥輔が顔をあげたのは、こどもの声がきこえたからだ。庭先で三人のこどもたちがボールをつかって遊んでいる。
 目の端になにかがひっかかる。自転車だ。乗りすてられていたはずの自転車がピカピカになっている。夕陽をうけてにぶく光った。けれど、そのほうを見なかった。こどもたちから目をはなせない。
 なにしてるの――
 声が出なかった。こどもたちは手をとめて祥輔をみた。そのとき――
 祥ちゃん……
 かすかな声がする。家の中からだった。夢みるような心地がますます強くなり、
 祥ちゃん……
「誰?」
 足をふみだした。気づいていなかったのだ。変化があったのはその家だけじゃない、あき地が三つばかりできていたし、積水ハウスはなくなって、古ぼけた日本家屋がふえていた。
 たすけて……という声が聞こえたときはもうおそかった。つまさきが敷地をこえた瞬間に、電流がはしった。祥輔はあっと声を上げた。のぶとい腕が、祥輔の腕をつかんでいた。



     4



 ぽーん、ぽーん、ぽーん
 ピンクのボールが庭先をひとりではねている。こどもたちは消えていた。祥輔の前には太ったおばさんが立っていた。うしろに下がろうとする。おばさんは指にますます力をこめて許さない。
 そのおばさんはちょっと異様だ。ふとっているにしても、大きすぎる。まちがいなく横綱クラスだ。なのにふとっている人のやわらかさがなく、うごく岩みたいな感じがする。まるで邪悪さがかたまって、それでふくらんだかのようだ。
 看護婦長、ということばが頭にうかんだ。この女性にはにつかわしくない言葉だ。ナースのかっこうとはちがうし、どちらかというと、大昔の(戦時中の)看護婦みたいなかっこうだった。
「いらっしゃい、祥輔」
 と看護婦長はいった。ニコリともしなかった。重くてざらざらして、女らしさのない声だ。とはいえ、がさつではなく、威厳にみちた声だった。その声をきくと、祥輔のしびれはますます強くなる。脳みそにこだまする声が、こう連呼していた。危険! 危険! 危険! 看護婦長のすがたは、遠近感がくるったみたいに伸びちぢみする。
「いらっしゃい。いらっしゃい。いらっしゃい」
 口端がどんどんあがる。味気のない笑みになった。その顔は、こどもが大好きなのよ、でも、ほんとに好きなのは悲鳴なの、といっているみたいだ。祥輔は、手をはなして、はなせ! といった。看護婦長の腕から手をとりもどそうとひっぱった。そのとき、巨大なもみじみたいな手がかっとんできて、かれのほうを激しく打った。
 祥輔は門のたもとに倒れた。すごい打撃だ。くちびるのはしっこから血が糸をひいた。祥輔は立ちあがって逃げるんだ、と自分にいったけど、からだが震えてたてない。
 まごまごするうちに、首根っこをつかまれた。
「返事はどうしたんだい」
 看護婦長は、束ねた本を放り投げるみたいに、祥輔を庭園まで投げとばした。庭の石でふとももを打った、その勢いで一回転しながら手をついた。だけど、寝ころんでもいられない。背後の松や楓が、みたこともない植物にかわっていたからだ。巨大な口には、ギザギザの歯がはえている。その口をおおきく開けたり閉じたりしながら、祥輔に向かってしなやかな首をのばしてくる。ゴロゴロところがって、牙をかわす。手をついて顔をあげると、
「よくないね、よくない子だ」
 看護婦長がこちらにやってくるところだった。祥輔の目に涙がいっぱい浮かんだ。ちうさんとかあさんのことを考えた。
「ぼく、帰る! 帰らないと――!」
「帰さないよ」
「なんで? うちで母さんが心配してるもん! それに看護婦長は町内の人じゃないじゃないか! ぼくをさらったりできない……」
「もうやったよ」
「ぼくは帰るんだ……!」
 祥輔は走った。でも、門のほうこうは看護婦長がふさいでいたし、背後では人食い植物が牙をむく。祥輔は玄関にとびこむしかなかった。玄関のランプがぱっとついた。看護婦長の巨大な腕が、かれにむかって伸びてくる。
 祥輔はドアのとっ手を力まかせに引きあけた。ゴールをめざすランナーみたいに、ホラーハウスにとびこんだ。目をとじたまま、ドアに体当たりをしたけれど、赤ちゃんの頭ほどもある指が四本、扉のはしを、がっとつかんだ。
「来たね」
 と看護婦長はいった。
 看護婦長が扉をあけると、祥輔の小柄なからだはま後ろにふっとんだ。かまちに背をぶつけて、咳きこみながら見あげる。
 尻の下で、クツがざらざらしている。祥輔は、そのクツをひざで蹴ちらしながら玄関をよじのぼった。
 バタン!
 おおきな音と風が祥輔の後頭部をおそった。看護婦長か扉を閉めたのだ。祥輔は受付の真下でふるえながらうずくまった。
 玄関は左にクツおき、ふるぼけたスリッパがはいっている。右てには、古ぼけたポスターがある。まんなかには看護婦長がいて、いよいよ痛めつけにかかるところだった。
 もうだめだ、と仁王像みたいな女をみあげる。仁王像は夕陽をあびてまっくろだ。ぼくはホラーハウスにはいっちゃった、もう絶体絶命だ。
 そのとき、廊下のさきで扉がひらき、こどもたちの声があがった。



     5


 受付の赤電話がりんりん鳴っている。十円玉をいれて使うやつ、台の上でけたたましく吠えている。その音をひきさいて、こどもたちが叫んでいる。
「祥ちゃん!」
「祥ちゃん、はやく! こっちよ!」
 祥輔はいそいでふりむいた。こどもたちが固まってかれのことを呼んでいた。祥輔に迷っているひまはない。電話台をつかむと、痛みをこらえてダッシュする。看護婦長ののぶとい指は間一髪のところでかれの襟首をつかみそこねた。
 その廊下のまんなかには岡崎医院を中央でくぎる廊下がのびていた。そのさきで手術室、と書かれた扉がひらき、手術着をきた男が飛び出してきた。看護婦長と変わらないぐらいの巨体だ。ぼさぼさの髪、ふつりあいなほどちいさな眼鏡。全身に返り血をあびている。
 祥輔をみると、一目散に駆けてきた。
 祥輔は悲鳴をあげて走った。看護婦長の重みで床板がぐわんぐわんとたわむ。指が後頭部をかすめる。いまにも転びそうで、目の端からは涙がこぼれている。
 祥輔はこどもたちにむかってダイブした。看護婦長はかれの真後ろにせまっていた。
 こどもたちが祥輔を受けとめるのと、扉をとめるのは同時だった。男の子たちが扉をおさえ、祥輔もくわわる。女の子のひとりが、長い髪をなびかせてカギ穴にとりつく。その子はちょっともたついた。看護婦長が扉をどんどん叩くものだから、ふるえてうまく刺さらないのだ。
 先端が金属板をむなしくうつ。三度めでようやくほんらいの位置におさまる。衝撃と汗で女の子の指はカギからはなれた。だれかが恐怖の悲鳴をあげた。看護婦長の体当たりで、こどもたちの体は扉のうえでジャンプしていた。
 女の子は容姿からは想像もできない罵声をあげて、大仰な飾りを力任せにつかむと、おおきくまわした。ぐるぐるぐる。看護婦長の打撃と怒声はカギがまわるごとに小さくなり、三度目にしてようやく聞こえなくなった。
 男の子たちは祥輔をみた。祥輔も男の子たちをみた。
 やがて、看護婦長がついにいなくなったのを知ると、彼らは大きく吐息をつきながら、その場にくずおれてしまったのだった。



     6


 七人だ……
 七人そろった……
 その子たちは口々にささやきあう。なぜか信じられないといった顔をしている。
 祥輔は怒鳴り声がやんだとたんに力がぬけて、その場にひざを落としてしまった。痛みが体中にもどってくる。まわりの声が遠くに聞こえた。血の気がひいて、横むきに倒れる。祥輔は舌をたらして痙攣している。
 こどもたちが心配そうにのぞきこむ。みんな亡霊みたいだ。
「しっかりしろよ」
 少年の腕が首のうしろろにまわりこむ。祥輔はガタガタと震えながらもどうにか気をうしなわずにすんだ。
 部屋にいたのは女の子が二人、男の子が四人だった。祥輔はちょっと衝撃をうけた。ホラーハウスのなかにこんなに人がいたこと自体が驚き。その子たちがフルマラソンをやったあとみたいに(連続10回だ)くたびれはて、やつれきっているのにも驚いた。祥輔は信じられなかった。あれほど自分を痛めつけたがっていた看護婦長が簡単にあきらめたりするわけない。
 部屋の奥にあるソファにつれていかれた。部屋をみまわすと、どうやら待合室のようだった。おおきなソファーが二つ、突き当たりと西の窓際にあった。こども向けの本が机のうえにころがっている。
 カギをまわした子は美代子という名前だった。切れながの一重で、さらさらの髪があっちこっちに跳ねていた。かたわらの女の子は日向子。美代子とは真逆の顔立ちで、おおきな瞳を恐怖でいっぱいにひらいている。ロングの髪を三つ編みにしている。勝ち気そうな顔をしている。
 眼鏡をかけた男の子が一郎。鼻がひくいせいで、眼鏡がずりおちている。その眼鏡というのも、右はひびわれ、うす汚れて、かけないほうがよく見える、という代物だ。そばかすのおおいのが武彦、手足がしなやかでかけっこが早そうだ。一番ふとった子が太一。ピチピチのシャツを着ている。淳也という子は、ジャニーズにいそうなととった顔だけど、今はやつれてちょっと病的だった。
 祥輔は力のない目をあげて、
「なんで僕の名前知ってるの?」
 日向子が、血がでてる、といって、ポケットからハンカチを差し出した。口に当てると、傷が歯にあたって痛みがひろがる。ほっぺたが腫れて熱をもっていた。
 武彦が、まっくろなノートをさしだす。学校でつかう名簿のようだった。祥輔が表紙をあけると、先頭のページにみんなの名前があり、一番さいごには、祥ちゃん、と墨書きしてあった。
 ぼくの名前だ……とノドの奥でつぶやいた。
「3日前、名前がうかんできたんだ。だから、新入りがくるってわかった。だれかがくるときは、もとにもどるんだ」
「もとにもどるって、なんだよ!」
 おもわず怒鳴ってしまった。美代子がびくりと肩をふるわし、日向子が祥輔をにらむ。
 口の傷がますます裂けてにがい血の味が舌いっぱいにひろがった。祥輔は痛いのまで悔しくなって、わざと大声を出した。
「君たち、誰なんだ? どこの子だよ! 山西小の子じゃないだろ?」
 みんなはこまったように顔を見合わす。日向子がいった。
「あたしたちみんな山西小よ」
「うそだ。ぼくはみんなのこと見たことない」
 ここにいる七人は祥輔と年かっこうが変わらないのだ。
 美代子がともだちの背にかくれながら訊いた。
「いまは何年?」
 え? と祥輔は思わず聞き返した。
「二〇一九年だよ。それとこの家となんの関係……が」
 祥輔はだまりこむ。美代子がいまにも泣きそうな顔をしたからだ。日向子もちょっと顔をふせている。
「美代ちゃんは十年以上この家にいるんだ」と一郎がいった。「ぼくは三年目だ」
 武彦は五年、淳也は二年半ここにいる。
 祥輔は脳天が干上がるような気味の悪さをおぼえた。この子たちの言ってることはおかしかった。
「でも、年をとってない!」と美代子を指さした。「十年もいたらもう大人じゃないか!」
「年はとらないんだ」
 一郎は目をそらしてる。自分の言葉をみとめたくないみたいだ。
「それだけじゃないのよ」と日向子。彼女らしくない重いちいさな声だった。「外の人たち、わたしたちのこと忘れちゃうみたいなの」
 淳也がうなずいて、「ぼくと武彦は近所なんだ。武彦はぼくのことおぼえてた」
 淳也は武彦をおぼえていなかった。彼の弟や妹は知ってる。でもその子たちに武彦なんて兄ちゃんがいたなんて知らない。
 祥輔はツバをのみながら、必死に考えた。六人、六人も行方不明になったのか?
「ほんとはもっと大勢いたのよ」日向子は美代子をひっぱって、「だってこの子がいちばん古株だもん。もっと前のメンバーにもあってる。カギを持ってたのはその子たちで、ほんとはあたしたちもカギがなんなのか知らないんだ。そんでその子たちはみんなつかまっちゃった」
「いまはぼくらしかいない」
 一郎はおそろしげに眼鏡をおしあげる。
 祥輔はつったったままだった。おなじ町内、でも時代のちがうこどもたち、外の世界から忘れ去られたこどもたちがここにいる。祥輔はみんなのことも怖くなった。
「この家からはでられないんだ。ぼくらはずっとここにいて、院長たちから逃げまわってるから」
 淳也がいうと、祥輔は扉にむかった。
「ぼくは帰る。とうさんとかあさんが待ってるんだ。忘れるはずなんてない!」
「ぼくだってそう思いたいよ」
 太一が甲高い声で泣きはじめる。太一がこの家に来たのは一年前だ。祥輔はその家を知っていた、その家の子たちも。でも、あの兄弟の真ん中に、太一なんて少年がいたこと、彼は知らない。
「なんで帰れないんだよ」と振り向いた。「カギがかかってるってこと? それともあのおばさんが見張ってんのか?」
 武彦は一郎と顔を見合わせる。
「そうじゃないんだ。この家がさっきみたいに岡崎医院にもどるの、めったにないから」
「つまりあんたみたいな新入りが来るときだけってことよ」そういったでしょ? と日向子は薄寒そうに肘をなでる。「この家って、あっちこっちの開かずの間につながってんの。それでこのカギでいろんなとこに行けるんだよね」
 それで看護婦長がいなくなったのか――
 その話を信じたわけじゃない。けれど、看護婦長の攻撃がやんだのはとつぜんだったし、カギを回したぐらいであきめたのはおかしかった。
 一郎がため息をついて、「あの人たちもカギを持ってる。だからぼくらの後を追ってこれるんだ」
 祥輔が青くなると、あわててつけたして、
「だいじょうぶだよ。行き先は自分で決められないんだ。それに外にはカギ穴がないだろ?」
 祥輔は指をにぎったり開いたりした。きちがいじみた話を信じたくない。けれど、かれの直観はぜんぶ本当だとつげている。さっきみたいなめにあった後ならなおさらだ。
 淳也が美代子からカギをうけとって、祥輔の腕をとった。
「来なよ、証拠をみせるから」


      目  次

  序
  1
  2
  3
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  5
  6


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作品集

新連載
 ねじまげ物語の冒険 第二巻
 新人斬り甚右衛門
 スペース・オブ・サムライ
 ホラーハウス

長編
 ねじまげ世界の冒険
 ねじまげ物語の冒険
 浮幽士シバ

中短編
 ファイヤーボーイズ
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 奥州二代目彦六一家

おまけ
 講釈西遊記
 ミッチとネッチ




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