ロールプレイで考える「しかえし」

授業実施学年 3年
紀州教育サークル 稲田徹也

指示1 ノートを開けなさい。

全員がノートを開けたことを確認して次の指示を出す。

指示2 今日の題をノートに書きます。「しかえしを考える」
指示3 となりどうしちゃんと書けているか、ノートを見せ合いなさい。
発問1 あなたは、何かいやなことをされてしかえしをしたことがありますか。あれば○、なければ×をノートに書きなさい。
指示2 ○の人は手をあげなさい。

(○33人 ×2人であった。)

発問2 どうして、しかえししたのですか。みんなの前で発表できる人は立ってください。

 6名が起立。「むかつくから。」「めちゃくちゃはらが立ったから。」などの答が続いた。

発問3 では、しかえしをされたことがありますか。ある人は手を挙げなさい。(35名全員が手をあげた)
指示4 しかえしをされた時のことを話してくれる人は立ってください。

 同じく6名が起立。「口で言っただけなのにたたかれた。」「おのごっこしていて、体が当たっただけなのにけっとばされた。」「軽くたたいただけなのに、きつくたたきかえされた。」などの発言があった。

発問4 自分がしたこと以上にしかえしされている、という人が多いようですね。ここでちょっと考えてみましょう。しかえしをすることは自分にとって得なことでしょうか。損なことでしょうか。(「しかえしは、損か得か」と板書)得か、損かをノートに書きなさい。)
指示5 得と書いた人は手を挙げなさい。(28名) 損と書いた人は手を挙げなさい。(7名)


指示6 体を五味君の方に向けて下さい。意見交換をします。
指示7 仕返しは得だと思う理由、仕返しは損だと思う理由を発表して下さい。起立した人から発表します。

 「仕返しは得だ。」派の意見が5人続いた。「仕返しをしないと腹が立ってしょうがない。」「むかつくのをがまんするのは損だ。」「仕返しすると胸がすっとする。」などの意見が出された。「でも、けんかになるよ。」という意見が出され、発表が途切れてしまった。

指示8 それでは、しかえしをすることは得だ、と思っている人どうしがぶつかったらどうなるか1度やってみましょう。だれか、前でやってくれる人はいませんか。

 1人の男の子が「やる。」と手をあげた。すれちがおうとして体が少しぶつかる、という設定でロールプレイを開始した。教室の両端から私と子どもが向かい合って歩きはじめ、肩が軽くぶつかったところで教師が「なんだよ。」ともう1度体をぶつけかえす。今度は子どもが「何をするんだよ。」と突き返す。だんだんとはでなけんかになっていく。教室中大笑いである。「先生、ぼくもやりたい。」と言って前に出てきた。

 今度は悪口である。(こちらが子どもを傷つけることを言ってはならないので気を使う。途中からこちらから手を出す演技をする。)やはり、けんかになる。教室中笑いのうずである。

発問5 こうならないようにするにはどうしたらいいでしょう。

 私の学級では、この発問に対する答はでなかった。「『道は開ける』という本の中に〈しかえしは損)という項目が、その中の1部を読んでみます。」と告げ、次の資料を読んだ。

 「おこれない人はばか、おこらない人はりこう」という古いことわざがある。
 かつてニューヨーク市長をつとめたウィリアム・J・ゲイナーは新聞によってはげしい非難(悪口)をあびた後、1人の狂人(気が狂った人)にうたれ瀕死の(死ぬような)けがを負った。彼は、病院のベッドでけんめいに死とたたかいながら、「私はあらゆるものを、あらゆる人を許す。」と語った。
 1900年もの昔、エピクトスは、「われわれがよい行いをすれば、よい報い(こと)があり、悪い行いに対しては災いで報いる。(悪いことがある。)結局のところ、人間はだれも自分のあやまちに対してつぐないをさせられる。このことをよく知る人間は、誰にも腹を立てず、誰もうらむこことがなく、誰もにくまないことだろう。」と語っている。(「道は開ける」D・カーネギー著 創元社 P)

 これを読んだ後、「つまり、少しぐらいのことがあってもがまんしなさい。」ということなのです、とつけ加え授業を終えた。