SCMの必要性:『需要を惑わすブルウィップ』        01/06/10    BACK

サプライチェーンマネジメント(SCM)は実需を把握することが重要ですが、そうしなければならない理由の1つにBull-Whip(ブルウィップ)があります。

■ブルウィップとは
 ブルウィップとは牛飼いの鞭の意味です。手元をそれほど動かさなくとも、鞭は大きく振れます。少ない実需が増幅されて、大きな仮の需要が出てくる現象を作り出します。

@商品Aが小売店頭で10個売れた。今後の需要を考え、20個発注します。

A小売からの注文を受取った卸業B社では、20個の確定注文によって、これは売れると判断し、多めに40個発注します。確定注文より多くとも、在庫を持っておいても直に売れると考えます。

B卸業C社では、40個の注文に対し、今度は60個を発注します。

C卸業D社では……、80個をメーカーに発注します。

Dメーカーでは、80個の注文に対し、売れ筋と判断し、まとめ生産・在庫対応を図ります。一度に200個を生産計画に入れます。機会損失を逃さないという意気込みです。

■ブルウィップが発生する理由
ブルウィップが発生する理由には次のことが上げられます。

@顧客からの注文に対して、欠品を恐れます。欠品は責任者が特定できやすい為、担当者は自己防衛の為にも多めに発注することになります。「顧客の為」という言い訳もできます。

A売れなければ在庫として残しておけば良いという気持ちがあります。欠品は責任を追及されるが、在庫過多は責任の所在が不明確な企業が多いです。

B担当者は予算達成の為に頑張ります。売上予算達成の為に返品覚悟で押し込みます。また、仕入担当は販売予算通り仕入れます。市場よりも予算で動いています。

C物の管理には発注ロット・生産ロット・配送ロットというロットが付きまといます。このロットの区切りに切り上げされて行きます。

D大ロットで生産・販売・配送をするというしくみから脱却出来ていない企業が多いです。少ない需要に対しても、多めに作らざるを得なくなっています。多めに作ることが効率的と評価される場合もあります。

流通の段階が多ければ多いほど、上記の要因がそれだけ増幅されます。
これを回避する為には、やはり仮需でなく実需を把握することが必要なのです。

入江淳一