SCMの概要:『SCMとリスクマネジメント』 01/07/30 BACK
SCMはシステムの効率化を目指しますからIT等を駆使してシステムを構成するプロセスを削減することが重要になってきます。不必要なプロセスを削減することにより時間、コストの削減とプロセス間で発生するミスの削減を目指します。伝達ミス、転記ミス、紛失等プロセス間の移動により発生するミスはプロセスが多ければ多いほど増大するのは自明の理であり、プロセス削減によりこれらのミスを減らそうとするのは当然と言えます。
これはトータルとしては正しいアプローチですが、個々のプロセスにはミスに対する修正作用もあり、結果的にミスが大きくなることを防いでいる一面もあります。初期のインプットに対して最終のアウトプットで発生するミスは初期インプットおよびプロセス間で発生するミスとその修正の結果であるわけですが、この発生と修正の過程を把握することはなかなか難しく、通常は最終アウトプットで発生するミスしか見えません。
プロセス削減による効率化を図る場合は途中のミスの発生は防げる代わりに、初期のインプットミスが途中で修正されずに最終アウトプットにダイレクトに出てしまう可能性があります。国際線の手荷物がちょっとしたミスで何千キロも離れた空港に行ってしまうようなものです。
ITの進展によるリスクもあります。人が得意先からの発注を受けていた場合はインプットミスで通常の10倍の発注があれば「おかしいのでは」とチェック機能が働きますが、IT化して発注を直接生産に結び付けたりするとミスがチェックできない可能性があります。B2Cが発展し、ITに慣れない人が誤って注文したりするケース(1クリックでいいところをうっかダブルクリックして2倍注文してしまうなど)が増えると思われますが、全てをチェックすることは困難です。
したがってこのような問題に対するリスクマネジメントが必要になります。リスクは一般的に、発生頻度、深刻度、検出度の乗数で表します。プロセス削減により、発生頻度は下がりますが検出度は下がり、深刻度は初期のミスがダイレクトに結果に出てしまうという点で上がる可能性があります。リスクマネジメントのポイントは「ミスの発生をゼロにすることは事実上不可能である」という観点にたって、どのような問題が発生する可能性があるか、その頻度、深刻度等を検討し、発生した場合の対応策を準備しておくことです。
古田中 孝一