SCM概要:『量の競争のインパクト』 03/07/20 BACK
サプライチェーンマネジメント(SCM)は最近雑誌等ではあまり取り上げられなくなってきたようですが、色々な動きが至る所で進んでいます。もはや1社だけでやり方を作り上げる時代じゃなくなってきています。そして、SCMは量による競争という側面が大きいですが、その結果企業にどういう影響をもたらすかが明確になってきました。
■ SCMは量による競争
@SCMは量に依存した競争である。大量を捌ける相手だからこそ、提携・連携を取る意味がある。大量を扱える相手だからこそ、やり方次第でコストが下がり、市場変化を少しでも正確に早く捉えられる。また、新しい試みをやるコスト対効果も大きい。
ASCMでの量とは1アイテムあたりの量ではなく、取引合計の量である。1アイテム毎では少量でも、取引全アイテムでは多量になる。この少量を市場の変化に従い、如何に多量に集めて行くかで企業間の連携度合いが決まる。このどう集めるかは各社の方針が必要になる。
Bメーカーは大量を売り捌くことができる小売業しか相手にしない。小規模小売を相手に情報共有化や物流整流化や小売業がより売るための支援(商品情報提供、リテールサポート等)をやってもメーカー側にメリットはない。
C小売業から見ると、そのカテゴリーでシェアを持っているメーカーと連携すると良い連携が進めやすい。一部優れた商品を持っていても、カテゴリーでのシェアが少なければ、連携を取る相手としては認められない。
■ SCMが企業競争にもたらすインパクト
@小規模小売業は、大量のバイイングパワーを持っている大規模店とはコストで競争できない。大量に仕入れることができるチェーンストアと、どこで買っても同じという商品の価格で勝負することは意味がない。歯磨きを大規模小売業よりも安く売ることは不可能だ。荒利を削って安く売ることに何の価値もない。小規模小売業は小規模の独自性に進むしかない。
A卸業が不要とは決して思わない。しかし、メーカーは小売業の実需情報(POS情報)を真に欲しがり、入手しようとしている。そして、POS情報をダイレクトに関係各社(卸、メーカー)にリアルタイム的送信することは技術的な障害は既にない。物流もメーカーからダイレクトに納入した方がコスト面・鮮度面でよければ、そちらに進む。量が大きいほど、この動きは加速する。その中で卸は自分の機能・価値を設定できなければ存在する意味はない。
B大規模小売業がまず卸・メーカーに望むのは、物流を整流化してコスト・鮮度・小売店頭の負荷軽減である。量を多く扱っている卸・メーカーだからこそ、コスト低減・情報投資ができ、そういう企業とだけ連携が進むことになる。よほどのことがない限り、大規模であることを企業間連携の観点から評価し、それに従い取引相手が決められるようになってゆく。
Cメーカーは、総花的な総合メーカーでは小売業に対するインパクトは弱い。特定の商品カテゴリーに強くなければ小売と密接なカテゴリーマネジメント的な協力関係は実現できない。その商品カテゴリーで弱ければ、小売の棚管理を提案することはできず、単品商品での取引にしかならない。自らの対象とする商品カテゴリーをどう決めますか、という決断を求められる。
D部品メーカーは常にNOと言えなければならない。製品メーカーは頻繁にコスト低減を狙う。どこでも作れる製品、他社と同程度の製造リードタイム・ロットサイズであればNOと言えず、価格で負ければ常に他社に取って代わられる危険性がある。SCMでは従来の系列のように一緒に手を取って「育とう」という発想はない。少しでも良い相手が出れば、そちらを「選別」する。
E右肩上がりの高度成長時代が終焉して久しい。しかし、その名残が残りすぎている。商慣習もしかり、企業数もしかりである。企業数が多すぎるのである。もっと経営方針が明確で、管理がしっかりしていて、顧客から見て価値がある企業だけが残るべきである。そうなると規模が大きくなり、企業間連携に拍車がかかる。SCMはこの動きを加速させるものである。
SCMの効果は量を背景にして生きてきます。SCMは量による連携・効率化を求めています。その連携(チェーン)の中に入りますか?それとも連携には入っても量には依存せず、その中での独自性を目指しますか?そもそも量に依存した経営はやりませんか?或いは連携を放棄して独自の販売チャネルを目指しますか?この決断を迫られているのです。
入江 淳一(IDC)