SCMの背景:『部分最適の要因』 04/10/31 BACK
企業とは環境変化に適合して生き残れる存在です。未来永劫安泰な企業はありません。その崩壊の兆しが部分最適です。
■ 部分最適の現象(例)
@隣の部門との壁が大きい。協力して改善すれば、かなりの部分よくなると思うのだが、一向にそうならない。部門長同士の協力関係がない。互いの問題・悩み・要望のコミュニケーションができていない。
A改善案や新しいやり方が否定される。部分を見て、今よりも悪くなる(コストが高くなる、サービスレベルが悪くなる)と反対意見が出て、潰される。こちらはトータルコスト、会社のトータルな視点で改善案を作ったつもりなのだが、それが伝わらない。
■ 部分最適の発生要因
それでは、何故企業は部分最適に陥るのでしょうか。
@入社以来一貫してその部門育ちの人が多く、他部門の事情・言い分が理解できない。言葉もなかなか通じない。いたずらに他部門を批判するだけで、他部門と協力して改善するという発想にならない。その部門の諸先輩からの伝統を守るのが自分の役割と頑張っている。
A一般社員だけでなく、部門長も日常業務に明け暮れている。毎日の業務、トラブル対応、報告用資料の作成、会議出席、等々。こういう状況で、先々のことを考える余裕はない。そういう会社から指示されていないことはやらない。
Bいつリストラの嵐がまた始まるか分からない。できるだけ目立つことはやめよう。会社にいる間は、できるだけ音便に。あと数年。この雰囲気に会社中が陥っている。
C他部門との連携を属人的にやっていたベテランが退職等でいなくなった。その為、他部門との調整ができる人がいなくなり、部門間がギスギスしてきている。
D組織や役割は、会社の目的を達成する為の手段に過ぎない。しかし、その手段も長年の歴史の為、一人歩きする。手段である組織がいたずらに役割を増やす。他部門と重複する仕事を抱える。部門人員を増やしたい。部門の維持・発展が部門長の目的になる。
E部門長は部下の行動を監視・評価するという立場に留まり、部門として最適な仕事のやり方をやっているか、という視点で業務を再確認していない。部門長が部下の悩みを知らない。部門内でもコミュニケーションがない。
Fスピードを重視して業務を行い、他部門と連携を密にして仕事しなければならないし、トップもそういう檄を飛ばしている。しかし、部門評価は部門毎コスト低減という旧来の指標になっている。評価を考えたら、スピードや他部門連携には行動をできな。
G問題を感じたら、プロジェクトを乱立し、きれいな報告書だけを作ってお茶を濁してきた。問題は解決されていないが、その部分は隠しておきたいため、触れてはならぬ聖域になっていく。こういう伝統が長く続くと、お化け屋敷が出来上がる。
H市場は変化しているが、自社には変革を求めないトップ。変われとは言うものの、どう変われ、と具体的に示さないトップ。従来のやり方で上に上がってきたために、変わることに抵抗があるトップ。やり方は従来のままでも、各部門の生産性を上げれば業績が良くなると考えているトップ。
I問題は従来と同じでも、企業環境が変わったために、問題による混乱が大きくなる。市場からスピードを求められ、従来と同じやり方ではトラブルの度合いが大きくなっている。企業というものは、やはり定期的にゼロベースでやり方を作って行かねばならないのである。
環境変化が激しくなり、生き残り競争に突入しています。もはや部分最適を容認し、放置することはできないでしょう。案外、企業を強くする糸口は、部分最適の解放が握っているのではないでしょうか。
入江 淳一(IDC)