部分最適:『部門に跨る役割』                      01/08/05         BACK

在庫は何故増えるのでしょうか?在庫は悪だ、と全社員が認識はしています。しかし、実際には在庫が増えて困っている企業は多いです。誰かが夜の間に在庫を運び込んだのでしょうか?そこにはよく見られる部分最適の罠があります。

■ 自部門の役割を精一杯に果たす
製品・商品の在庫を考えてみましょう。関連する部門は、販売部門と生産部門です。販売部門が会社から管理・評価される指標は売上金額です。売上を上げる為には、広い品揃えとして在庫が必要です。例え在庫の現物を見せなくとも、カタログ等から注文があった場合、欠品は営業上の命取りになります。また、良さそうな製品・商品を見つけたら即時に自分のものとして確保してしまいます。これは会社から与えられた役割である「売上」を上げるために必要なことなのです。
生産部門は何で評価されるでしょうか?生産性であり、製品原価です。製品をまとめて作ると生産性は上がり、1個当たりの製品原価は下がります。この為には纏め生産による在庫が発生することになりますが、それは欠品をなくし顧客満足を上げるということで営業も賛成してくれています。

■ 在庫は部門間の狭間である
在庫が悪というのはみんなが分かっていることです。しかし、それを総論で言っても意味はありません。部門や社員は、在庫を生み出すことにつながる指標で管理されているのです。こういう指標をそのままにしておいて、在庫低減という精神論だけを言っても現実として何も変わりません。
在庫というのは、一部門だけの管理指標ではなく、複数の部門が関係し部門間の狭間となる指標です。その為、在庫に対して責任を持つ部門・人が不明確になり、在庫への牽制機能が働かない場合が多くなります。
そして、最も重要なことは、各部門の役割についての有効な指標を設定し、それを管理して行けば会社全体の目標(利益)を達成できる、という考えで今まで運営されてきました。これが間違っているのです。このような現象は一部門だけの「部分最適」であり、SCMではまず部分でなく「全体からの最適」という視点で仕事をリデザインすることが求められています。

        入江 淳一