部分最適:『全部門が下請け』               03/02/23           BACK

 企業というのは色々な部門が集まってできています。メーカーならば、開発・設計・生産・調達・物流・営業が部門です。これらの部門は企業利益のためという目的があるはずですが、現実には単なる他部門の下請けになっているのです。

■ 下請け部門

@物流部門は、生産部門からの生産完了品を入荷受入し、営業部門が決めた納品時間・頻度で顧客へ配送している。在庫量は物流コストの大きな要因であるが、それを決めているのは生産か営業部門である。物流部門は本来、物流コスト低減と顧客サービスを両立する為に、生産計画に口を出し在庫量適正化を行い、営業部門が設定した納品リードタイム・納品時間帯を適正に見直し続けることが必要である。しかし、現実には単に他部門からの下請けに終始している。
A営業はメッセンジャー&ご用聞きに終始している。本来は営業方針を持ち、顧客選別化・提案製品の販売方針・提案力の向上を図るべきである。その上で顧客が求めているものを社内で実現できるように持ち帰る部門である。しかし、現実には開発部門・マーケティング部門が決めた製品メッセージを単に顧客に流すだけ、顧客から言われたことを社内に伝えるだけという営業が多い。
B開発・設計部門は、営業部門が顧客から聞いた内容に基づいて、その仕様で開発する役割を担っている部門である。本来は、自社の標準品と特殊品を意識して、新しい開発案件に対して選別する役割を持つ。しかし現実には、営業マンから言われたことに従い、黙々と作業をこなすだけになっている。その場対応の結果、たくさんの特殊品が出来上がる。
C上記のように、全部門が全て他部門から言われたことを黙々とこなすだけの下請け部門になっている。

■ 下請け部門になる理由

@黙々と下請けに徹する方が心理的には楽である。本来の役割を推進する為には、本来の役割認識やその為の判断基準や他部門への働きかけ等の多くの仕事が必要となる。
A部門の管理者は他部門からの依頼を受け、それを自部門に流す人である。そこには単に仕事量を誰に流すかだけの調整に終始する。これだけに徹した方が楽なのである。これ以上のことをやろうとすると大きな仕事が管理者に降り掛かってくることになる。
B顧客志向とは他部門を顧客として捉え、その要請に対応することである。この誤った顧客主義が下請け業務の言い訳になっている。
C日本企業には負荷のコントロール(調整)はあってもマネージメントをする習慣はない。企業全体の利益のために自部門の役割を設定し、それを実現する為に管理者があるという認識が極めて弱い。
D右肩上がりの時期に、何でも汗を流してやり、頭を使わない習慣ができた。現場では製品のキャッチアップの為に頭は使ったが、管理は育たなかった。その習慣がまだ残っている。

日本の会社にはマネージメントはないのでしょうか。部門の目的を明確に意識し、その方向へ引っ張る管理者は育たないのでしょうか。今までは、現場の力で企業を支えて来ました。しかし、それだけではもはや企業が生き残ることは難しいです。経営のプロと共に管理のプロも必要になっています。


                                                入江 淳一(IDC)