SCM構築:『AsIsとToBeの狭間』             03/04/27           BACK

業務プロセスを中核にして企業変革を作り上げることは時代の必然です。企業変革のツールとして情報システムを抜きにしては考えられません。しかし、ITコンサルタントには気になることがあります。彼らの発想は常にAsIs(現状)か、ToBe(あるべき)だけです。「現状」をどのようにして「あるべき」状態にするかという観点が全く不足しているように感じます。

■ ITコンサルタントのAsIsとToBe

@ITコンサルタントの議論は常にAsIsとToBeである。現状はどのようになっていて、どういう状態があるべきかを盛んに議論している。どちらの状態に合わせて情報システムを設計するかだけが、その議論のポイントである。
AAsIsに合わせて設計したら現状と同じになる。(多少の改善はされるでしょうけど)。ToBeを目指して構築すると、業務がToBe水準にまで達しないとうまく稼働しない。企業活動のツールである情報システムを、所詮ツール提供者としての行動しかしていない。どちらの状態に合わせて道具を提供するか、までがITコンサルタントの役割である。
Bソリューションという言葉も氾濫しているが実際にはソリューション商品ということであり、企業を変革できる情報システムというツールを提供できる商品という定義なのでしょう。
CITコンサルタントはAsIsをToBe状態に引き上げるという観点が全く欠如している。実際に企業の中で変革を担当している人は、如何にして理想形を描き、様々な組織・役割・プロセス・ルール・意識に働きかけて、どのようにして理想形に近づけるかで苦労している。如何にして現状をあるべき状態に引き上げるかで七転八倒している。
D企業を変えるという領域で、自らの役割提供が不足していることはITコンサルタントも自覚している。その為に彼らは「チェンジ・マネジメント」というプログラムで迫っている。しかし、なかなかクライアントには通用していないようである。クライアントがそこまでの役割を期待することは希なようである。
Eツールが企業運営を根幹から変える場合には、ITコンサルタントのこのスタンスでもよい。世界中のネットワークインフラとしてのインターネットや、全世界工場拠点の生産計画の一括構築や、企業間取引のマーケットプレイス提供などは、このIT構想が先にあり、企業側(利用者側)がこれに合わせて使って行くやり方でよい。


■ 如何にしてToBe状態を実現するか

@企業変革の実際としては、AsIsからToBeの状態を作り上げることが最も重要だし、困難なことである。
AToBeの状態を構想することは比較的容易である。理想的であればあるほど容易である。例えばメーカーの生産方式はBTO方式を理想とするのは簡単だが、それを実現するまでには現場を変えてBTOでも顧客が待てる程度のスピードを作り出さねばならない。その為には製造部門だけでなく、部品設計や調達のやり方まで変えなければならない。
BToBeの状態を実現するには、人の意識を変え、業務方式を変え、組織を変え、その結果業務プロセスも変えてゆく。そうすれば、情報システムのようなツールが有効に使えるようになってゆく。しかし、理想状態を実現する課程には、多少理想を曲げてでも果たさねばならない便宜的な目標段階もある。
C情報システムにもAsIsをToBeに上げてゆくことに支援できることを求めたい。その為に、レベルアップ課程で使える情報システムが必要になる。業務のレベルアップに従い成長する情報システム、業務が完全にうまく廻っていなくても片肺状態でも何とか動く情報システム、業務レベルアップに貢献できる情報システムが求められる。管理者が狙いが多少不明確な場合でも、業務に対する改善の糸口を見いだすことができる情報システムを望みたい。

AsIsとToBeの観点を明確に認識することは重要です。しかし、そのToBe状態を実現することはさらに重要ですし、困難です。企業内の変革者は常にことで苦しんでいます。その人たちが企業変革に使える情報システム、苦労が分かるITコンサルタント、そしてITを使いこなす企業変革者が求められています。


                                                          入江 淳一(IDC)