SCM構築:『後工程はお客様?』 03/11/23 BACK
「後工程はお客様」という言葉があります。これは今でもそう言えるのでしょうか。
■ 「後工程はお客様」
@「後工程はお客様」という意味は、後工程をお客様だと考え、その「お客様」を満足させるような仕事をしなさい、ということである。具体的には、予定通り品質の良いモノを・時間通りに届けるということである。
A何故、「後工程はお客様」という言葉が出てきたかというと、前工程の好き勝手なやり方で後工程が大きく混乱することが続いてきたからである。設計不良により、後工程(製造段階)で手直しが発生し、新しい部品も必要、組立もやり直しという大きな手戻りが発生している。前工程作業の時間超過により、時間通りに後工程に届かないために、後工程では手待ちが発生する。これらは全て無駄コストであり、納期遅れの原因になる。
B「後工程はお客様」には後工程のやりやすいように、前工程で後工程のことを考えた作業のやり方をしようということである。製品を運びやすい梱包形態に変えることで、顧客に届ける物流の安全率(作業品質)が高まり、同時にコストも下がった、という事例は多い。
Cこの「後工程はお客様」という言葉は、前工程が後工程のコトを考えず、前工程の混乱を吸収するために後工程があるという会社・時期には必須である。全ての企業でこの段階があった。
■ 「顧客との面接点」
しかし、次の段階になると「後工程はお客様」という言葉は適切なのだろうか?
@「後工程はお客様」とは、物流を通して後工程とつながっているという前提である。今でも後工程にモノを渡し、企業がバトンリレーして最終需要者(最終顧客)に製品を渡している。この意味から見ると、やはり「後工程をお客様だと考えろ」は正しい。
Aしかし、後工程が最終顧客と同じかというとそうではない。後工程は所定品質と予定期日を満足すればよいが、最終顧客はそうではない。製品に対する満足や、対応への満足や、さらに最終顧客側の目的から見た達成度がある。それらのことはお客様しか判断ができにくい。今までの「後工程はお客様」は所詮スペック内品質を後工程に渡すという意味である。
B後工程や直接の顧客だけでなく、最終顧客と直接つながることはITを使うと容易に可能になる。その最終顧客の生の声(不平・不満)を関連する各社・業務機能に届けることができる。そして、自社・各業務は最終顧客のために何をやるべきかを業務の狙いにすることができる。
C「後工程はお客様」という言葉は今でも否定するものではない。しかし、今では最終顧客と直接つながることができる。本来は「最終顧客こそが唯一のお客様」であり、その実現手段として「後工程を顧客と見なす」のである。
最終需要者に対して関連する企業群で物流のチェーンを作るだけでなく、交流するしくみを作ることがSCM(サプライチェーンマネジメント)です。その手段は、IT・情報です。情報がつながり、各企業の各業務機能がお客様と相互コミュニケーションを取るSCMが始まるでしょう。
入江 淳一(IDC)