SCM構築:『ベストプラクティス』              03/04/20            BACK

ここ数年、企業の目指す方向が急激に集約して来たような感じを受けます。特に、業務オペレーションの領域では成功する方式ややり方が習熟して、モデルの達成度合いによる競争や、モデルの違いによる競争が起き始めているように感じます。

■ オペレーションモデルのベストプラクティス

@オペレーションの基本構想(モデル)に関して、成功するやり方(ベストプラクティス)が急速に収束しているように感じる。そのベストプラクティスを使ってモデルを作ることで、企業の目指す姿の設定が以前よりもかなり容易になってきた。
Aオペレーションにおけるベストプラクティスとは、SCMにおいては情報共有化・企業間情報連携・バラエティ低減・企業間業務相乗り・在庫リスクというものである。成功の為の要素である。また、BTO(受注生産)化や、集中購買・物流拠点集約化というポイントを追いかければある程度理想の姿になる。見込み生産でしか対応できない企業と、受注生産できる企業のキャッシュフロー的優劣はもはや疑いがないであろう。こういう成功の為の欠かせない要素が各業務分野で明確になってきている。
Bもちろん、オペレーションモデルが各社で全て共通することはない。同じ業界企業でも、受注生産で堅実に対応する企業もあるし、製品在庫を基にして即時納品を謳い文句にマーケティング要素から拡大志向を取る企業もある。しかし、それはまず成功するオペレーション要素を踏まえてから、各社の特色をモデルにデザインしているのである。経営モデルにより、オペレーションモデルの目指す方向は変わる。
C以前は企業ごとに求める姿はマチマチであり、目指す姿が不明確でもよかった。現状の改善に終始してきた。それで対応できたし、企業成長に寄与できた。しかし、今後はそうは行かない。成功するオペレーションモデルを明確に意識し、ベストプラクティス要因を明確に意識することが前提条件となる。
Dベストプラクティスという言葉は、ERPが運んできた言葉だった。世界中の良いやり方をERPというツールに基づき提供するというのが謳い文句だった。しかし、現実的な業務プロセスの細かい水準でベストプラクティスを提供できるとは思わない。しかし、考え方ということでは、習熟してきて良いものを提供できていると思う。

■ 何故方式が習熟してきたか

@競争のレベルが上がり、競争に負ける企業は脱落していく。そして、成功した結果のオペレーション要素に共通点があると見えてきた。右肩上がり市場環境では、ほとんどの会社がその実力に関わらず生き残る。その為、モデルによる勝負は表面に出てこない。
AERPが登場以来、業務プロセスの標準化が意識されている。業務プロセスを標準化する為には、上位概念としてモデルが背景にあるべきである。その為に、ベストプラクティスが集められ、集約されてきた。
B企業間EDI(電子データ取引)は企業間での業務効率化やスピード運用に大きな貢献を果たす。しかし、標準的EDIを実現する為には、交信企業の業務プロセスを調べ標準化しないと対応できない。標準化の為には業務プロセスの明確化や、その背景のモデルの集約化が研究されてきた。
C業務プロセスを如何に作るかが戦略構築の重要要素になってきた。中抜き・市場情報の獲得・最終顧客とのダイレクト・省力化・迅速化等々自社の戦略に基づき、ベストプラクティスをどう組み合わせて自社のオペレーションモデルを作るかが企業競争の重要な要素になってきた。その為に、モデルに対する意識が急速に高まっている。
Dベストプラクティスに基づきオペレーションモデルを実施すれば、他社とのベンチマークが可能になる。モデルそのものの優劣もあるが、モデル毎に定量的に自社のレベルを把握することで、自社をよりレベルアップすることが可能となる。これはベストプラクティスの効果である。

■ ベストプラクティスをどう活用するか

@業務プロセスが競争力の重要な要因になる。それならば、優位性を持つオペレーションを如何に構築するかが勝負を分ける。その成功するオペレーションモデルに関する知識・先人の情報は知っておくべきである。
A既に実績があるベストプラクティスを知り、その上で自分の考えを適用する方が遙かに早いし、成功確率が高い。ベストプラクティスを意識する人と、そうでない人との差が明確に出てくるようになっている。
B他社とのベンチマークができれば、自社のレベルアップに重要な課題をもたらすことができる。競争している企業同士でも、共同してベストプラクティス強化研究を行うことも可能である。
C同じオペレーションモデルを目指すならば、競争力の源泉は規模・商品力・ブランドと共にオペレーション力達成水準により決まる。その勝負の結果を類推して、無駄な努力をすることが必要なくなる。

ベストプラクティスは確かに存在します。そして、「ベストプラクティスに基づく経営」の世界が急速に実現していると感じます。みなさんも自社の現状のオペレーションモデルは、世間ベストプラクティスは、自社が本来目指すべきオペレーションモデルは、という問いかけをしてみては如何ですか。

                                                        入江 淳一(IDC)