SCM構築:『SCMから見た部品メーカーのあり方』          03/03/05       BACK

 製品組立メーカーは需要変化に対応する為に、部品メーカーと密接な連携を取ろうとしています。しかし、その想いはなかなか部品メーカーには届かないようです。部品メーカー(特に中小規模)の低い管理レベルの問題は、頻繁に耳に入ってきます。

■ 製品組立メーカーの期待とぼやき

@市場に対してサービス(欠品)と在庫を両立する管理をしたい。その為に部品メーカーと密接な連携を図りたい。必要な部品を迅速に調達したい。その為に、情報共有や在庫基準等のルールも決めて行きたい。部品メーカーとのチェーン構築が今後の生き残りの鍵を握ることになることは目に見えている。
A納期が計算できない部品メーカーが多すぎる。暇な時は早くでき、忙しい時は納期が著しく長くなる。しかもいつ納入できるかの納期回答が明確にはこない。こちらの顔色を見ながら納期回答してくる。偶然の納期では、安心して発注できない。
B納期が長くなるといっても、加工に時間がかかるならまだ納得するが、未着手の期間が長いようだ。放置期間が長くなるならば、最初から受注を断って欲しかった。
Cこちらは週次単位で生産計画を見直してスピード対応をしているが、部品メーカーは相変わらず月次単位で生産計画を作っている。これじゃ調達リードタイムが安定するはずがない。
D部品メーカーに短納期を要請すると、在庫を持って見込み生産で対応しようとする。在庫に対する危機感が製品メーカーとは全く噛み合わない。
E製品の寿命が短くなると、改廃が頻発する。部品の改廃が発生すると、焦げ付いた在庫分は補償を求められる。最低限の安全在庫分だけならいざ知らず、部品を見込みで勝手に作って全部泣きつかれても困る。
F自社の調達金額規模では部品メーカーに対する強制力が弱い。短納期・情報共有・同期化を強く言うと部品メーカーは及び腰になってくる。被害者意識が強すぎると思うのだが。
Gこちらが調達先と築きたいSCMを全く理解していない。部品調達こそSCMの根幹ということを理解していない。考え方が合う部品メーカーを探したい。

■ 部品メーカーのやり方

@注文を多く溜め込み、まとめて作り、まとめて納品する。これが生産性を高めて利益を出す方策と考えている。まとめて作り・運ぶことで生産性が高くなり、利益が向上するという昔の論理を信じ込んでいる。小回りの利かない小規模企業になっている。
A注文を多く溜め込む(注残)ことで、経営者は仕事があるという安心感を持つ。この為にJOBが停滞している。今では社長の安心感と引き替えに製品メーカーの評価を下げる要因になっている。
B受注が来た時はできるだけ明確な納期回答をせず、自分たちのペースでやりたがっている。相手のうるささと力関係に応じて対応を変えている。
C仕事量が不足した時は、見込みで作る。在庫に対する危機感はあまりない。その部品が不要な(組立メーカーの製品がなくなった)場合は、組立メーカーに補償を求める。設備や人を遊ばせると損という従来のやり方をそのまま変えていない。
D製品メーカーが部品メーカーと密接な連携を築きたい理由を切実に感じることができない。直接最終市場に接していない為に、市場が変化しているという危機感がない。その為、納期が厳しくなった、締め付けがきつくなったという被害者意識だけで見ている。

■ SCMで部品メーカーの競争力を向上させる

@仕事を発注してくる製品メーカーの都合を極力受け入れて、それを自社(部品メーカー)の運営方針にする。自分の都合よりも顧客側の都合を優先するのが顧客志向である。
A例え仕事量が減っても、競合他社の仕事を食って自社の仕事量を増やすことができる。顧客側の都合で考え実行すれば、製品メーカーからの使い勝手は格段に良くなる。
B製品メーカーとの短納期協力ができれば、価格以外の競争要因に結びつく可能性も高い。現在は在庫リスク軽減の方が価格低減よりも重要な問題となっている。
C今後は、仕事量の安心感は注残を貯めることで得てはいけない。仕事量の変動はコントロールしずらくなっており、結果で一喜一憂しても無意味である。それよりも、製品メーカーとの連携を図るという前向きな策を進め、生き残り策とした方が確実である。情報共有化や計画同期化等課題はたくさん存在する。

SCMの鍵は部品メーカーとの連携にかかっています。しかし、部品メーカー側ではSCMは自分たちには無関係と言う人も多いです。生産性向上という従来の企業成功法則は捨てて、在庫とスピードという現在の成功法則に重点を置いて、生き残りを図ってみませんか。今ならまだ他社に先駆けることができるでしょう。


                                                             入江 淳一(IDC)