SCM構築:『改善と戦略』             03/10/11           BACK

部品種類(数)はメーカーの運営に大きな影響を与えます。以前は改善として現場主体でやられていたことが、今では戦略のレベルにまで上がってきたようです。


■ ソニーの部品削減(日経新聞2003年10月6日)

@ソニーは二〇〇五年末までに、自社製品に使う部品の種類を現在の八十四万点から九割近く減らし十万点にする。うち二万点は標準品と認定し、全社共通で利用する。電機各社は集中購買などで部品調達コストの削減を進めているが、ソニーは大幅な部品削減にも踏み込むことで開発業務を効率化する。

A部品削減は生産拠点の統廃合などと並ぶ収益改善策の柱となる。半導体など電子部品や薄鋼板、ねじなど部品全般が対象。

Bこれまでの新製品開発ではエンジニアが製品用に新しい部品を設計できるため、似たような部品が重複するといった弊害が出ていた。部品削減で無駄を防ぎ、開発期間短縮やコスト低減につなげる。製品を特徴づける重要部品に経営資源を集中させる。

C十万点のうち二万点は品質やコストに優れる標準品としてデータベース化する。エンジニアは必要な部品をここから選んで使う仕組みとする。使用量が多いトランジスタなど六品目は十月から先行して標準品データベースの運用を始めた。

Dソニーは四千七百ある調達先を千程度に減らす方針だが、さらに部品種類そのものを圧縮することで、競争力のある取引先を優先し量産効果を出す。


■ 改善事項が戦略になる

@部品種類を減らす改善は従来から行われてきた。管理の容易さ、部品の量の集約によるコスト低減が改善の狙いである。しかし、部品種類はあくまで管理者レベルの事項であり、それが経営上での大方針になることはなかった。あくまで現場管理レベルでの改善項目だったのである。

A今は部品種類(バラエティ)は戦略要素になった。部品種類は、単に管理コストや部品の購入コストだけでなく、リスクとして経営数値に影響を与えるほど大きなインパクトを持った。バラエティが大きくなると、設計スピード、設計品質に影響する。顧客から急に注文が入っても、使用量が少ない雑多部品は調達先から緊急調達するコトが難しい。しかし、自社内に在庫を持てば死蔵品リスクになりやすい。しかしながら、売上を稼ぐためには注文に応じなければならない。

B変化する市場に迅速に相対する為には調達チャネルとチェーンを張ることが必要になる。部品種類を集約し、調達先を集約することが最も市場対応ができる。在庫リスクが小さくなり、市場対応が図りやすい。

C部品種類を現場の管理指標だけにせず、戦略要素にしてトップダウンで進めることは、経営モデルそのものである。最初から、如何に競争するか、如何に勝つかを考え、部品種類を制約し、それによってオペレーション(仕事のやり方)の理想像を現実のものにして行くのである。自然発生的な改善に期待することではなく、企業の価値・文化・方針そのものを部品種類を核にして作り出すのである。

Dこの大方針に添って製品開発する経営と、部品集約を改善として捉える企業の強さをそのまま比較はできない。部品種類に制約はかけずに、より強い製品作りを目指す企業もある。しかし、コスト・市場対応の柔軟性・リスクは明らかに部品集約経営モデル型の方が優位に立てる。


従来の日本企業は、現場が進める改善によって競争力を持ってきました。しかし、その改善項目を経営モデルとして始める企業が出てくるのです。自社の勝つポイントをどこに置くかを考えた企業のビジネスモデルなのです。


                                                    入江 淳一(IDC)