SCM構築:『SCMの求める姿』              03/03/01          BACK

 サプライチェーンマネジメント(SCM)は言葉としてはすっかりと定着したようです。しかし、SCMが求める経営手法や目指す姿が浸透したようには見えません。そこでメーカーを例にしてSCMが求める姿を考えてみましょう。

■ SCMは現在にマッチした経営手法

@現在の市場環境は史上初めての変化に富んでいる。何が売れるか予測付かないし、売れる商品を適時・適量で供給することでしか利益には結びつかない。
A市場変化に在庫を厚くして応じると、すぐに在庫リスクが経営を圧迫するようになる。現在は、廃棄在庫・運転在庫水準により収益が決まる時代なのである。
Bこのような環境対応法では、自社だけでできることは限られてくる。販売先と連携して最終市場対応力を向上し、調達先と連携して製品供給対応力を付ける。これこそが唯一の成功法則なのである。調達先〜自社〜販売先から最終需要者までを俊敏な連携を保つことで勝ち残りを果たすことである。
C大ヒット商品を生み出す企画力・開発力も凄い。しかし、ホームラン狙いに依存した運営をやると企業は滅びる。やはり日常において市場対応力を上げる業務プロセス力を付けることが必要になる。

■ 在庫リスクへの対応

@SCMを実現する為には、情報共有は最低限必要なことである。情報共有ができない会社が連携に入ると企業連携そのものが崩壊する。
A販売チャネル上のどこに、どの程度の在庫リスクを置くべきかを意図的に設定することが成功法則である。チャネル上の全企業に商品在庫は不要である。複数の企業が共同で在庫を持つことも始められている。
B自社が市場変化に対し俊敏に製品を供給する為には、製品在庫を置かず、受注確定時に部品から確定組立をして出荷すべきである。在庫保有箇所は、市場から遠い上流側である程変化に対応できる。しかし、その反面迅速に対応するためにはスピードが必須となる。
C全ての部品在庫を自社内に持つよりは、調達先と連携し、受注が来たときに調達先から迅速に入手し、製品として組立て、出荷した方が在庫リスクを抱えなくて良い。こうして在庫の企業間上流シフトが進み、その分だけ調達先との連携が必要となる。
D全ての販売先・調達先と、上記のような連携を取れることが理想である。しかし、多くの取引先と一様に緊密な連携を取ることは容易ではない。こちらが連携を望んでも、相手企業との方針が合わない場合もある。その為、取引先を絞り、重点的な取引先と密接で俊敏な連携を作り上げることになる。

■ SCMが求める成功法則とは

@企業間で協力関係を築き、相互扶助で企業を大きくしてきたことは、日本の自動車業界でやられていた。その為に、SCMもそのイメージで捉え、新しい成功法則を見出せないでいる。何が違うかを理解できていない人が多い。
A企業の協力関係がSCMの成功法則ではない。従来の協力関係はコスト低減を目的としていた。しかし、今は急激に変化する市場に対して、サービス(欠品、供給スピード)と在庫を両立することを目的としている。
Bサービスと在庫を両立する為に、スピード対応・同期化が必要となり、それを実現する業務プロセスの連携が必要となる。その為には取引先を絞り、重点先とだけ密接な関係を作ることになる。SCMの連携に残る為には、最低限この関係の中に入り込まねばならない。そうしないと生き残れないのである。
CSCMの前提である企業間での情報連携の為には、自社内の情報は最低限管理できていて、かつ情報精度が高いことが前提となる。良い製品を持っていても、品質が良くても、それだけでは企業連携参加の十分条件を満たさないのである。

SCMは従来からの企業間協力関係とは目的が異なります。しかしながら、それが強烈に認識されていません。自社のSCMはどのような姿になるべきかを明確に持ち、その姿を他社に先駆け迅速に無駄なく作ることが、勝ち残り法則なのです。

 
                                                         入江 淳一(IDC)