SCM構築:『商品企画の科学的プロセス』           03/11/4           BACK


 商品企画の管理はどうすればよいのでしょうか?私は以前ファッションアパレル企業にいましたが、デザインは個人のクリエイティビティから生まれる、と信じている人が多かったです。


■ ファッションアパレル業界の特徴

@ファッションは消費者のニーズを吸収し、そこから生まれるものではない。パリ・コレクション等から流行が生まれ、それが次第に大衆的なデザインにまで移ってゆく。

Aデザインには流行があり、それを早く取り入れた服(商品ライフサイクルで言うと導入期)や、多くの人が着るようになる時期(成長期)がある。ファッションに敏感な人は、早い時期に流行の服を着ることが多い。企業毎にターゲットとする時期が定まっている。

B商品には季節感・シーズンがある。1年前の服は絶対に売れない。商品傾向はシーズン単位で少しづつ動くが、布地・質感等は比較的変化のサイクルが長い。


■ デザイナー志望者

@ファッション企業にはデザイナー志望の人が多く入社してくる。彼らは、自分の感性で商品を作ろうとする。自分が好きなデザインを商品にしようとする。しかし、このやり方でできる服が会社の目指すコンセプトと合うかは限らない。ブランドのテイストに合うかは分からない。

Aデザイン担当者は自分の感性にあったデザインを商品にしたがる。しかし、これがファッションの流行サイクルに合い、成長期を狙ったマスマーケットに合うかは分からない。会社がターゲットとした人に合うかは分からない。


■ ファッションを企画する

@ファッション企画のプロは、アイデアは自分の独自性から生まれる、とはしていない。まず重要なのは大きな流れを客観的に掴むことである。次には何が流行りそうだということをことに合わせて、自社のアイデアを加えることである。その為に、次に流行が予想されるテイスト・時代背景の中に身を置くことから始める。1930年代のパリでの流行りが次に再来すると思えば、その時の服・雑誌・調度品を部屋一杯に置き、まず自分をその中に没頭させる。そして、そこをベースにして企画を始める。

A以前流行したものと完全に一致したものが流行る訳ではない。どこかは変わらねばならない。1930年代のパリを基調にして、同時代の別地域の雰囲気を取り込むとか、東洋感覚を入れるとか、大きな方向性を決めてから行う。自分の感性という曖昧な趣味は決して持ち込まない。

Bファッション商品は商品ライフサイクルのどこがターゲットであると、明確に絞っている。それならば、自社の少し前の時期をターゲットにしている企業は大いに参考になる。その企業の商品、売れ方を参考にし、そこから何を掴むかで自社の企画にすればよい。


ファッション商品を企画することは、決して個人の感性に依存することではありません。むしろ、ファッション企画を科学として考え、「科学的に成功する為のファッションのしくみ」を、より良く創り上げた企業が勝ちます。この傾向は、全ての分野の商品企画に言えるのではないでしょうか。個人の感性は当然重要ですが、抑える点を明確にした商品企画業務プロセスを明確に作り、その上で個人の感性を発揮させるべきではないでしょうか。

                                                      入江 淳一(IDC)