池袋小劇場企画6〜7月火曜シアター


「クレーンオトコ」は

        面白い、か!

         出演者による緊急座談会
池袋小劇場機関紙 NO105号別冊/「クレーンオトコ」特集号
  語る人  坂井 浩
       田崎紀子
       渡辺典子
       あぶみ雅代
       大橋真琴
      ――聞き手・鈴木太郎
 池袋小劇場が火曜シアターとして毎週火曜日に上演する「クレーンオトコ」。六月五日からはじまって、七月十七日まで、追加公演をふくめて八回連続の公演となります。そこで、三回目の上演が終わった時点で、出演者が大いに語りあいました。題して「『クレーンオトコ』は面白い、か!」――。
   「クレーンオトコ」
  6月26日・7月3・10・17 日
     毎週火曜日夜7時開演
追加公演
   7月16日(月)午後2時開演
 
     入場料2,000円

 ◆観客からの手ごたえ

――三回の上演を終えたところですが、お客さんの反応というか、手ごたえを感じていると思います。そのあたりからどうぞ…。
坂井 クレーンオトコは、とても温かくて、かわいい役だといわれたよ。絵本をみているような感じがした。プロローグのハット(帽子)をかぶっって出て行ったときから緊張感が伝わってきて、はじめて見る舞台だったが集中して芝居の世界に入ることができた、といわれました。
田崎 三回ともお客さんの感想は、絵本を見ているみたいだ、というのが多かった。原作が絵本だと知らないで見にきている人なのに、そういう感想だった。ひとつの世界ができあがっているのが見えて面白いといってくれた人もいた。
渡辺 三回目を見ていわれたのは、昔の話かも知れないのに、いまにつながるところがいいということでした。年齢的には同じ年の人なんですけど、いまの時代状況を重なる部分を見たと…。
あぶみ 私ははじめて池袋小劇場の舞台に参加したので、五人の演技に入れるのか不安でしたが、やっていくなかでなじめたのが嬉しかった。ふだん、お芝居を見ない友だちからは、最初はついていけなかったけど、ラストは感動したといってくれた。
大橋 役者、一人ひとりの顔がとてもいきいきしていて輝いていた、といわれました。
田崎 年取った人からは、今回のは難しかった、といわれた。理解するまでに時間がかかるかも知れませんね。
渡辺 私は逆に、わかりやすいといわれた。クレーンと男の一生の話というのがわかって面白かった。多くの登場人物や動物、海賊が出てきたり、戦争になったり、海ができたり、そういうこと全部を疑問に感じないで、いい意味でずっと見てくれたのかなと思う。
 
 ◆演じる側として

――みんな、いくつもの役をこなしながら、物語は展開されていくのだが、演じる側の思いはいかがですか。
田崎 衣装の着替えなど、お客さんから見えているので、それを面白く活かすことができないかなと思う。もう少し工夫することができるのでないか、今後の課題ですね。
大橋 着替えも含めて、壁の絵も舞台装置も楽隊も全体がクレーンであり、その一部である、と表わせたらなと思う。
坂井 壁にラッパの絵を描くシーンはけいこ中に、イメージをふくらませて描いているだけで、自主トレはしていない。台本には「クレーンオトコは、かく」とだけしか書かれていないから。あの場面、いきなりって感じでくるんですよ。
渡辺 ほら、壁に向かって行って、行って、と指示を出している。絵なんて描けないよといいながら描くというのは、ライブ感覚があっていいね。
坂井 壁全体に絵があって、ラッパを描く部分がいいところに残っているので、想像できるいい空間だ。
渡辺 3回目になって、全体がつながって、いっぽん筋が通った感じがする。ただ、出番がきたから出る、というだけでなく、前のシーンを受けて出てきられるようになった。
あぶみ 市会議員のシーンは毎回違うんです。この前でいえば、思わず叫んでしまって、それが叙事的でないかと反省しました。何度やっても難しいというか、驚きがなくなっていく自分がいたりして。驚きがあったほうが、新鮮なお芝居になるんですけど。
大橋 市会議員の2人がのった箱舟が、クレーンにつるされたまま、とまってしまう場面だよね。あの場面では、クレーンにぶら下がったまま、クレーンオトコを憎んでいます。
あぶみ 叫んでしまったというのは必死なんですね。すごく汗かきで落ちそうになるときがあります。クレーンオトコ早くしろよと思ったり。
坂井 あそこはゆっくりやりたいんだけど。
――クレーンの足場や道具もいっぱいあるけど?
坂井 前回、見てもらったときは脚立だったけど、脚立のほうが落ちない自信があった。今回は台場がしっかりしているので一体感になることが難しい。
田崎 それを一体にしないとクレーンオトコになれないよ。
渡辺 台の上であん馬みないな演技をするね。今回、たまにちっちゃい動きをしていると思う。
坂井 動きつらいんだよ。
田崎 クレーンオトコが歳をとることによって動きが不自由にしているのか思った。
渡辺 ビー箱(ビールケースの空き箱)の上を歩くとき、どきどきしたといわれた。道具と一体感が出ていないのかな。
大橋 空中なんです。そう思っていただくといいかも。足元が不安定に写るとそちらに目がいってしまうので、全体の動きをみてもらいことができないことになる。
 ◆これからの挑戦は
――なるほど。そこで、あと5回残っているけど、どのような挑戦になりますか。みどころもふくめて。
田崎 原作になったチムニクの童話は「暗くて可愛い世界」です。初日の芝居はいちばん何かが出てくるので、2回、3回と繰り返して考えていかなければならない。それが火曜日ごとなので、次の火曜日まで考えつづけている。一応、現役の労働者なので、昼は仕事をしているので、そのことはプラスになっていると思います。
渡辺 初日、悲しくておかしい、といわれた。私もそのことばが出なくても、その感じで「そうそう」という気持ちになった。たとえば、誰でもわかるようなこともあるし、現実でもあることの中に、シュールな雰囲気を感じさせてくれる。物語の中にある海に囲まれるっていうことがどういうことか、戦争についても体験したことのない現実があって、現実にないものが多い。労働者といっても、私の知っている労働者と演出家がいう労働者とは違っている。お芝居は虚構なんだけど、いま感じてもらえる夢みたいなものもある。
坂井 虚構の中というけれど、お客さんと一緒にいることが現実で、そこでやってることが本当にあるということ、その場は一緒につくられている。
あぶみ これまで児童演劇をやってきたが、池袋小劇場に参加して、受身でなく、いっしょに考えて芝居をつくっていく貴重な体験ができてうれしい。私の劇団の仲間も何人か見にきてくれて、こういう世界ははじめて見たがやわらかいものを感じたといってくれました。初回を見て、その後も見てくれたのがすごいことだと思って。こういう環境に参加させてもらっていることにしあわせを感じています。
渡辺 私にとってのみどころは「野生の色気」ですね。ワシがいろっぽいといわれました。ワシがひとりぼっちのあとでクレーンオトコと出会うのか、なんでワシと思う。でもそこが「悲しくておかしい」があてはまってしまった。絵本とか昔ばなしでもそういうものが多いなと思います。「可愛いいのにグロテスク」なもの、そういうものが面白い。
田崎 これからのことをいえば、五人演戯ということになっているので、クレーンの一生というのもを、5人の演じるだれもが精いっぱい表現したいなと思いますね。
大橋 クレーンなんです。みどころは。見てくれた人の心の中にクレーンができて、分身ともいえるクレーンオトコがいて、やがてクレーンは取り壊されて、オトコは去っていくか、向かっていくか、です。その余韻を感じてほしいんです。
坂井 ぼくはクレーンオトコ
は、「ルパン3世」みたいに男の人から憧れる存在ですね。男が憧れて、やりたい世界はいろいろある。まわりの世界が変わっても貫いていることに共感できればいいかな。クレーンのようにはじめは新品でもやがては解体されしまう、だが、そこにいつづけられることがとてもいいなと思っていただけたら、ありがたいです。
田崎 5人の俳優に5人の楽隊をふくめて10人の演技だと思うんですね。力をあわせて楽しくやっていきます。お客さんがきてくださると「火曜シアター」はつづけられるかも知れません。1回見にきて、2回きて、また違った見かたができます。見れば見るほど面白い。
大橋 お客さんをまきこんでいきたいね。「あなたもクレーンになりませんか」。これで決まり。
渡辺 三回目になって、全体がつながって、いっぽん筋が通った感じ。ただ、出番がきたから出る、というだけでなく、前のシーンを受けて出てこられるようになった。
あぶみ 市会議員のシーンは毎回違う。この前でいえば、思わず叫んでしまって、それは演出家が意図する叙事的な演技ではなかった、と反省した。何度やっても難しいというか、驚きがなくなっていく自分がいたりして。驚きがあったほうが、新鮮なお芝居になるんだけど。
大橋 市会議員の二人がのった箱舟が、クレーンにつるされたまま、とまってしまう場面だよね。あの場面では、クレーンにぶら下がったまま、本気でクレーンオトコを憎んでいる。
あぶみ 叫んでしまったというのは必死なんですね。すごく汗かきなので落ちそうになるときがあって。クレーンオトコ早くしろよと思ったり…。
坂井 あそこはゆっくりやりたいんだけど。
――クレーンや道具もいっぱいあるけど?
坂井 前回は脚立で不安定な感じだったが落ちない自信はあった。今回は足場がしっかりしていて逆に一体になることが難しかった。
田崎 それを一体にしないとクレーンオトコになれないよ。
渡辺 台の上で体操のあん馬みないな演技をするね。たまに、ちっちゃい動きをしていると思う。
坂井 動きづらいんだよ。
田崎 クレーンオトコが歳をとることによって動きが不自由にしているのか思った。
渡辺 ビー箱(ビールケースの空き箱)の上を歩くとき、どきどきしたといわれた。道具と一体感が出ていないのかな。
大橋 空中なんです。そう思っていただくといいかも。足元が不安定に写るとそちらに目がいってしまうので、全体の動きをみてもらいことができないことになる。
 
 ◆これからの挑戦は

――なるほど。そこで、あと5回残っているけど、どのような挑戦になりますか。みどころもふくめて。
田崎 原作になったチムニクの童話は「暗くて可愛い世界」。初日の芝居は何が出てくるかわからない。二回、三回と繰り返して深めていかなければ。それが火曜日ごとなので、いつも初日の気持ちで次の火曜日まで考えつづけている。一応、私は現役の労働者なので、昼は仕事をしているので、そのことはプラスになっていると思う。
渡辺 初日、悲しくておかしい、といわれた。私もそのことばが出なくても、その感じで「そうそう」という気持ちになった。たとえば、誰でもわかるようなこともあるし、現実でもあることの中に、シュールな雰囲気を感じさせてくれる。物語の中にある海に囲まれるっていうことがどういうことか、戦争についても体験したことのない現実があって、現実にないものが多い。労働者といっても、私の知っている労働者と演出家がいう労働者とは違っている。お芝居は虚構なんだけど、いま感じてもらえる夢みたいなものもある。
坂井 虚構の中というけれど、お客さんと一緒にいることが現実で、そこでやってることが本当にあるということ、その場は一緒につくられている。
あぶみ これまで児童演劇をやってきたが、今回は、受身でなく、いっしょに考えて芝居をつくっていく貴重な体験ができてうれしい。私の俳優仲間も何人か見にきてくれて、こういう世界ははじめて見たがやわらかいものを感じたといってくれた。初回を見て、その後も見てくれたのがすごいことだと思って。こういう環境に参加してしあわせを感じています。
渡辺 私にとってのみどころは「野生の色気」ですね。ワシがいろっぽいといわれました。クレーンオトコがひとりぼっちになって出会うのが、なんでワシなのかと思う。でもそこが「悲しくておかしい」ところだ。絵本とか昔ばなしでもそういうものが多いなと思う。「可愛いいのにグロテスク」なもの、そういうものが面白い。
田崎 これからのことをいえば、五人演戯ということになっているので、クレーンの一生というものを、五人だれもが精いっぱい表現したいね。
大橋 みどころは、クレーンなんです。見てくれた人の心の中にクレーンができて、分身ともいえるクレーンオトコがいて、やがてクレーンは取り壊されて、オトコは去っていくか、向かっていくか、です。その余韻を感じてほしいんです。
坂井 クレーンオトコは、「ルパン3世」みたいに男の人から憧がれの存在。男が憧れて、やりたい世界はいろいろある。まわりの世界が変わっても貫いていることに共感できればいいかな。クレーンのようにはじめは新品でもやがては解体されしまう、だが、そこにいつづけられることがとてもいいなと思っていただけたら、ありがたい。
田崎 五人の俳優に五人の楽隊をふくめて十人の演技だと思うんですね。力をあわせて楽しくやっていきます。お客さんがきてくださると「火曜シアター」はつづけられるかも知れません。一回見にきて、二回きて、また違った見かたができます。見れば見るほど面白い。
大橋 お客さんをまきこんでいきたいね。「あなたもクレーンになりませんか」。これで決まり。
四人声そろえて
「みなさん是非観に来てくださいー!」