#夢見る大地 永遠の翼 Scene13〜15 by飛鷹 !wait60 交じり合う、夢と\r[現,うつつ]。\s 絡み合う、過去と今。\s 重なり合う、幻と真実。 !wait30 ――交錯する、三つの物語―― !wait30 \>  Silhouette Note.\<\s\> After Ending story.\<\s \f[36]\>  夢見る大地 永遠の翼 \>Scene13:\<\s\> 一つ目の物語 !v5=1 !v38=1 !wait20 !bgm../BGS/(環境)雨 !wait20 !mv中央公園 !wait10 @830 これは……。 @130 …………。 @440 …………。 @0 !se(Action)雷光 !mv @1 雷鳴が響き、冷たい雨が降りそそぐ中、 私達の前に現われた、淡き幻。 それは瞬く間に、鮮明なものへと形を変え、 過去の光景を映し出していきました。 !se(Action)雷光 数多の、武装した爬虫類人間達。\s それに対峙する、リクレールさんの姿。 そして……\s リクレールさんの前に立つ、三人の男女を。 その中に一人、見覚えのある姿がありました。 リクレールさんの絵画に描かれていた、 あの男性が……。 つまり、あの三人が、 リクレールさんと共に戦ったという、 "知られざる英雄達"なのでしょう。 そんな彼らの姿を、このような形で目にするとは 思いもしませんでした。 しかし…… これによって私達は、 リクレールさんと彼らが紡いだ、物語の一部…… 私達とも繋がる、 一つ目の物語を知ることになったのです……。 @0 !wait30 !mvnil !se(Action)雷光 !mv中央公園 @1 雷鳴が轟き、雨が打ちつける中、 リクレールらと竜人達は、睨み合い続けていた。 @0 !mv @1 \c[5]「ニンゲン共め……  さっさと殲滅されればいいものを!」 @0 !mv @1 いきり立つ、竜人達。 @736 あなた達にこれ以上、 人間を殺させはしません! @1 毅然と対峙する、リクレール。 @0 !mv @1 \c[2]「殺された仲間達の仇、取らせてもらうぞ……」 \c[3]「私達の生きる場所を、全て取り戻す為にも!」 \c[4]「それと……。  俺達の女神、リクレールには、  指一本、髪の一筋さえ触れさせねーからな」 @0 !mv @1 決意を胸に闘志を燃やす、三人。 女神の加護を受けた人間達と、竜人達の戦い。\s それが、今、目の前で始まろうとしている。 その様子は、正に一触即発だった。 @0 !mv @1 \c[6]「何を……!\s  貴様らこそ、同胞達を何人も殺しやがって!」 @736 っ……!! @1 \c[5]「ニンゲンどもが存在しなければ、  我々は平和に暮らせたんだ!!」 @0 !mv @1 竜人達もまた、更なる闘志を燃やし始める。 @0 !mv @1 \c[4]「お前らこそ……  俺達の平和を、生きる場所を、仲間を奪った!」 \c[3]「私は、それを決して許せやしない!」 \c[2]「闘うことで……例え僅かであっても、  漸く、俺達の居場所を取り戻せたのだ……。\s  再び奪わせはせんぞ!!」 \c[4]「故に……」 @0 !mv @1 三人がそれぞれ、剣を構え―― @0 !mv @1 \c[5]「ならば……」 @0 !mv @1 竜人の軍勢も、武器を構え―― @0 !mv @1 \>\f[28] \<「「「我らは――」」」 @0 !mv @1 互いの正義を賭け、今―― @0 !mv !bgs(環境)雨 !bgm(タクミ)ボス戦 @1 \> \f[32] \<「「「闘うのみ!!」」」 @0 !se(Action)跳ね !mv @1 \c[4]「行くぞ、フェザー!!」 その叫びと共に、翼が―― @0 !se(Action)跳ね !mv @1 \c[3]「私達も行くよ、スケイル!!」 ガーネットを額に持つ竜が―― @0 !se(Action)跳ね !mv @1 \c[2]「力を貸せ、クロウ!!」 鋭き牙を持つ狼が、 彼らの背後に姿を現した。 @0 !mv @1 \c[5]「我らの敵を殲滅するのだ!!」 @0 !mv @1 大群での突撃を仕掛ける竜人達。 それに対し―― @0 !mv !se(Action)跳ね !se(Action)ミス @1 \c[4]「てぇやああああ!!!」 @0 !mv !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ズシャアアー !wait10 !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ズシャアアー !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ズシャアアー @1 フェザーを宿し者、\r[隼,はやぶさ]の如く斬り込み \c[2]「うぉおおりゃあああ!!」 @0 !mv !se(Shooting)撃破C !wait30 !se(Shooting)撃破C !wait10 !se(Shooting)撃破C !wait10 !se(Shooting)撃破C @1 クロウを宿し者、 巨大な剣で、相手を薙ぎ倒してゆき \c[3]「炎と雷を受けろ!!」 @0 !mv !se(Action)爆発音 !wait10 !se(Action)雷光 !wait3 !se(Action)雷光 !wait10 !se(Action)爆発音 !wait5 !se(Action)爆発音 !wait3 !se(Action)雷光 !wait5 !se(Action)爆発音 @1 スケイルを宿し者、操る\r[理,ことわり]の力で、圧倒。 @736 彼らに、大いなる加護を! @1 後ろに控えるリクレール @0 !mv !se(Action)シュイーン !wait10 !se(Action)シュイーン !wait10 !se(Action)シュイーン @1 後光の奔流を巻き起こし、戦う三人を、優しく包む。 @0 !mv @1 \c[4]「サンキュー、リクレール!」 受け止める三人。勢いを増す猛攻。 @0 !mv !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ズシャアアー !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ズシャアアー @1 \r[疾,はや]く華麗なる斬撃は、翼を持つ剣が如く―― @0 !mv !se(Action)爆発音 !wait10 !se(Action)雷光 !wait3 !se(Action)雷光 !wait10 !se(Action)爆発音 @1 荒れ狂う炎と雷は、嵐の如く―― @0 !mv !se(Shooting)撃破C !wait10 !se(Shooting)撃破C !wait10 !se(Shooting)撃破C @1 振り回される大太刀は、大地を砕かんが如く―― \c[5]「「「うわあぁゃあああ!?!!」」」 ――向かってくる竜人達を、瞬く間に蹴散らした。 @0 !mvnil !wait10 !bgm../BGS/(環境)雨 !bgs../BGM/(タクミ)ボス戦 !wait20 !mv中央公園 @130 …………。 @1 リクレールさんの過去…… 胸の内にしまってある、数々の記憶、思い出…… それらはあくまで、 そっとしておくべきだと、僕は考えていた……。 ……でも、こうして目の前に現れた以上、 見ないでいるわけにもいかないな……。 @130 …………。 @1 目の前に再現された、絵画の構図。 そして、繰り広げられる、三人の戦い……。 それは確かに、彼らが英雄と呼ばれる理由を 物語っていたと思う。 だけど…… 何故彼らが"知られざる"英雄なのか…… 僕は、それらが気になって仕方なかった。 あの絵画を見つけた時や、今日垣間見た、 リクレールさんの悲しげな表情と、 繋がっている気がして……。 ……場合によっては、リクレールさんから直接、 過去を聞き出さなければいけないんだろうか。 @0 @440 …………。 @1 生きる居場所、種族の生存を賭けた、戦い……。\s そして、絶滅の危機を跳ね返していく、英雄達。 この光景は、確かに、 三人の英雄譚として相応しいものなのでしょう。 ですが……\s 見ていて、やるせなさを感じます……。 ここには、勧善懲悪の構図は、存在しない……。\s あるのは、互いの正義を賭けた、正面衝突。 先程交わされていた両者のやりとりの中で、 そう、気付いたんです……。 どちらもが、平和を望んでいて、 どちらもが、互いの存在に恐怖している……。 また、過去の殺し合いが憎しみ合いに繋がり、 わかりあえない状況を作り上げている、と……。 @736 @1 リクレールさんは、それを理解している。 理解した上で、こうして 愛する人間達の為に戦ったのでしょう。 例え、屍の山を築くことになっても…… 守る為には、戦うしかなかったのでしょう……。 リクレールさんが居なければ、 人間達は滅ぶしかなかったでしょうから……。 …………。 戦いと悲哀――\s それらは、断ち切ることができないほど、 密接な関係にある。 それが、この光景の示す、一つの事実でした。 それでも―― @440 …………。 @1 ――彼らは、必死に戦った……。 人間達の運命を背負い、 互いを信じ合い、助け合いながら……。 @0 !mv !mvnil !bgs !mv中央公園 !wait30 @1 ――戦いは、三人の人間達が 圧倒的な優位で進行していった。 あれだけの大群を成していた竜人達も、 多くの者が敗れ、或いは逃げ出していった。 竜人達の戦力は、残り僅か。\s そのまま、人間達の勝利かと思われた。 だが…… @0 !mv @1 「我が同胞達よ、皆引け!!」 突如、地鳴りのような声が聞こえ、 その場にいる誰もが、動きを止めた。 \c[2]「っ…………」 @736 今の、声は…… @1 重々しい足音を周囲に響かせながら、 竜人達の軍勢を掻き分け、 声の主が近づいてくる。 \c[5]「りゅ、竜王様!?」 @950 皆の者。もう下がっていろ。 @1 姿を現したのは、この戦いにおける総大将―― 竜人達を束ねる、王たる存在だった。 @736 あなたが…… 多くの人々を死に追いやった、魔王……! @1 \c[4]「……真打、登場か……」 @950 …………。 @1 魔王――竜人達は竜王と呼ぶ存在――は、 ゆっくりと周囲に目を配る。 そして、一通り見回した後 @950 大分やられてしまったようだな……。 @1 再び、重圧感のある…… しかし、どこか物悲しさが隠れた声を発した。 @950 生き残っている者達は、もう引くがよい。 この者らとは、私が直接闘おう。 @1 \c[5]「竜王様……」 竜人の一人が、少し心配げな声をかける。 しかし…… @950 これ以上、犠牲を出すわけにもいくまい。 王たる者が戦う時…… それが、今なのだ。 @1 \c[5]「……わかりました」 魔王の言葉一つで、竜人族の者全員が、 有無を言わずに退却していった。 @950 さて…… @1 魔王がゆっくりと振り向き、 リクレールらと対峙する。 @736 …………。 @1 \c[2]\>「…………」 \c[3]「…………」 \c[4]「…………」 互いに交わす言葉は、無い。 双方の背負うものが、 互いの言葉を通じなくしているのだ。 通じぬ言葉に、意味など無い。 故に、彼らは闘うしかないと理解している。 \c[4]「…………」 フェザーを宿した彼は、 クロウを宿した者の方を向き \c[4]「ソウガ……」 一声と共に、視線を交わす。 \c[2]「ああ」 ソウガ――クロウを宿した者――は、 一言、それに力強く返す。 \c[4]「ケイ……」 \c[3]「うん」 ケイ――スケイルを宿した女性――とも、 同様に視線と言葉を交わし―― @731 …………。 @1 \c[4]「心配すんな。リクレール」 雨に濡れた金髪を軽く揺らし、 リクレールに微笑みかける。 そして―― \c[4]「…………」 再び魔王と向き合い、 \r[翡翠,ひすい]色の瞳で睨み付け―― !se(Action)跳ね \c[4]「行くぞ!!」 !mvnil @0 ――決戦が、始まった。 !wait30 !bgs(環境)雨 !bgm最後の聖戦 !mv中央公園 !wait30 @1 戦いは、熾烈を極めた。 @950 戦いの中で喪った、 我が同胞達の怒りを受けよ!! @0 !se(Action)跳ね !se(Action)ミス !mv @1 魔王の攻撃は、全てが速く、力強い。 \c[4]「そう言われてもな!」 !se(Action)跳ね しかし、彼もフェザーを宿す者。\s 速さにおいては引けをとらず―― @950 そらそらそらあ!! @1 絶え間無き連続攻撃も―― @0 !mv !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)ミス !wait10 !se(Action)跳ね !wait3 !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)跳ね !wait5 !se(Action)ミス @1 全て、紙一重で避けて魅せる。 \c[4]「貴様こそ、その手にかけてきた人間達の――」 しかし―― @0 !se(Action)跳ね !mv @1 \c[4]「――痛みを味わえ!!」 隙を突いた反撃は―― !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)バリア音 @0 @1 魔王に届かない。 @950 弱い!! @1 \c[4]「ちっ、結界か!\sだがなあ!!」 それでも、注意を引き付けるには成功し―― @0 !mv @1 \c[2]「でやぁあああ!!」 !se(Action)跳ね 背後から、クロウが宿りしソウガの一太刀。 !se(Action)跳ね !se(Action)ミス 大木さえも薙ぎ倒す斬撃が―― !se(Shooting)撃破C 結界を貫く。\sだが―― @950 ぐぬぅ……。 その程度では、私は倒れん! @1 魔王の身は、それ以上に硬い。 故に、反動で隙が生じ、 ソウガは迎撃の対象となり―― \c[3]「させないよ!火炎!!」 @0 !se(Action)爆発音 !mv !se(Action)爆発音 !wait5 !se(Action)爆発音 @1 スケイルを宿したケイが、 理の力でフォローするも―― @950 小賢しいわっ!! @1 魔王の動きを封じるには至らず―― @950 死ねえ!! !se(Shooting)撃破C @1 \c[2]「ぐぉあああ!!」 \c[4]\>「ソウガっ!?」 \c[3]「ソウガ!!」 強烈な反撃が叩き込まれた。 しかし―― @736 ケイさん!! 私と一緒に治癒を!! @1 \c[3]「了解です、リクレール様!!」 \c[3]「大丈夫?ソウガ……。  \s治癒!!」 !se(Event)アイテム入手A リクレールとケイは、傷を癒す術を持つ。 \c[2]「ありがとう、ケイ」 そのお陰で彼らは、何度も立ち上がり、 魔王と対等に戦い続けることができた。 \c[3]「必ず……皆で、生きて帰るよ」 \c[2]「無論だ」 !se(Action)跳ね \c[4]「だから、負けるわけにはいかねえ!!」 !se(Action)ミス !wait3 !se(Action)ズシャアアー @950 ぐっ……! だが、民の痛みに比べれば!! @0 !mv !se(Action)跳ね !se(Action)ミス !wait5 !se(Shooting)撃破C @1 \c[4]「がはっ!!」 岩をも砕く一撃を受け @0 !mv !se(Shooting)撃破B !se(Action)ドゴン @1 派手に叩きつけられても \c[4]「くっ……。くっそお……」 @736 癒しの力を!! !se(Action)シュイーン @1 \c[3]「あんまり無茶し過ぎないでよ!?」 !se(Event)アイテム入手A \c[4]「サンキュ、リクレール!ケイ!」 \c[4]「よし……  まだ……まだやれる!!」 !se(Action)跳ね 何度でも立ち上がり、再び立ち向かってゆく。 何度でも、何度でも、何度でも……\s どこまでも、魔王に食い下がり続けた。 彼らを結ぶ固い絆が、その力となった。 そのお陰で、長き戦いの果てに―― @950 はぁ……はぁ…… !se(Action)ドゴン ぐぅううっ…… @1 ついに、魔王に膝をつかせた。 彼らは、勝利に手が届く一歩手前まで たどり着いたのだ。 \c[4]「あと一息だ……!\s  あと一息で、故郷を取り戻せる……!」 \c[2]「……行くぞ、相棒!!」 !se(Action)跳ね \c[4]「ああ!!」 !se(Action)跳ね 前衛の男二人組みが、 魔王にトドメを刺すべく突っこんでいく。 しかし…… !bgm../BGS/(環境)雨 !wait30 @950 …………\s私は、王……。\s 竜の民を束ね……\s導く者だ!! @1 魔王は立ち上がる。 その時見せた、修羅の如き形相。\s それは、死力を尽くさんとしている証だった。 !se(Action)跳ね @950 \f[30]ぬうおおおお!!! @1 \c[2]\>「むっ!?」 \c[4]「くるぞっ!!」 @950 貴様らなんぞに―― @1 突っ込んでいく魔王。\s 瀕死とは思えぬその速さ。そして―― !se(Action)跳ね !se(Action)ミス @950 \r[殺,や]られるわけにはいかぬ!! !se(Shooting)撃破C !wait10 !se(Shooting)撃破C @1 \f[32]\c[4]「ぐぁあああああっ!!」 \c[2]「うぁあああああっ!!」 二人をまとめて薙ぎ倒す、力。 更に、魔王は止まらず―― !se(Action)跳ね @950 貴様だけでも―― @731 っ!! @950 \f[32]死ねえええ!!! !se(Action)跳ね !se(Action)ミス @1 リクレールの命を奪わんと―― !se(Action)跳ね \c[3]「リクレール様!!」 @0 !se(Shooting)撃破C @1 庇いに入ったケイ諸共……\s その腕で、貫いた。 @0 !mv !wait30 @1 \c[4]「ぐっ……ああ……。  \sリクレール……?ケイ……?」 ケイが持つ、草原の如きエメラルドの髪が……\s リクレールの白き姿が、赤く染まりゆく…… \c[2]「ケイ……?  \s\f[40]ケイ――――!!!!」 魂さえ震わさんばかりの叫びが、 虚しく木霊し、雨に吸い込まれていった……。 \c[4]「リク、レール……!\s  ケイ……!!」 いくら名前を呼べど、彼女らは応えない。 手を伸ばしても、届かない……。 二人は目の前にありながら、 彼の腕が届くには、遠すぎた。 \c[4]「くっそおおお……!!」 もがいても、もがいても、もがいても……\s 赤く染まった二人には、手が届かない……。 @0 @950 ぐうぅ、ぬぅう……。 @1 一方の魔王は、重々しい足取りで、 その場から立ち去ろうとしていた。 限界に近い身体を引きずりながら、 己を待つ民の下へ帰るために。 \c[2]「待て……」 @950 むぅ……? @1 \c[4]「……ソウガ?」 \c[2]「ケイの命を奪っておいて……  \s\f[36]生かして帰すか!!!」 虫の息でありながら、 怒りによって立ち上がるソウガ。 !se(Action)跳ね \c[2]\f[40]「ダアアアあアアああ!!」 その、最後の力を絞り出した一撃は―― !se(Shooting)撃破C ――\s魔王には、届かなかった……。 @950 私は……まだ死ぬわけにはいかぬ……。 @1 逆に、ソウガは…… \c[2]「…………\sがはあっ…………」 !se(Action)ドゴン 身体を貫かれ、血を吐き、 地面に崩れ落ちた……。 \c[4]「ソウガ……?  \sおい、ソウガ……!?」 \c[4]「…………。\s魔、王……!」 大切な仲間達が、目の前でやられていき、 彼は、怒りに打ち震える。 そして、限界に達したはずの身体を、 無理矢理に起こそう足掻き始めた。 しかし…… @950 …………。 @1 魔王は彼らに背を向け、 その巨体を引きずるように 闇と雨の中へと消えていった……。 \c[4]「逃げ、るな……!\s  待ちやがれ、畜生……!」 絞り出した声は、雨にかき消され、 魔王に届くことはなかった……。 \c[4]「…………っ」 彼は、堅く歯を食いしばりながら、 それを見ていることしかできなかった……。 @0 @1 雨音だけが響き続けている。 それは、ある意味では静かで、 また、気が狂いそうなほど五月蝿い。 そんな中…… \c[2]「相……棒……」 かき消されてしまいそうなほど、 小さく弱々しい声が聞こえた。 \c[4]「!?……ソウガっ!?」 ソウガにまだ息があることに気付き、 彼に僅かな安堵が表れる。 \c[2]「ふっ……。お前は、なんとか……  大丈夫、みたい、だな……」 ソウガも、本当に微かな笑みを浮かべる。 しかし―― @0 !mv @1 \c[2]「こんな、時に、だが……」 \c[2]「久しぶりに、お前や、ケイと一緒に、  暴れることが、できて……」 \c[2]「悪く、な、かった……ぜ……。」 それは、間もなく最期の時を迎えると悟った、 消え逝くものの表情だった。 \c[2]「最期に……。\s  お前に、頼みが……\s……」 @0 @1 \c[4]「おい……冗談、だろ……?\s  まだ、早すぎるだろ……」 \c[4]「ソウガ……お前は、ケイと……」 !mvnil \c[2]「…………」 \c[4]「ソウガ……?  \sおいっ!ソウガ!?」 \c[4]「……\s……」 \c[4]\f[40]「―――――――!!!!」 !wait30 @0 声にならない悲痛な叫びが、 大地を震わした――。 !wait20 !bgs !bgm !wait40 \>Scene14:\<\s\> \r[罪の刻印,こころのきず] !wait50 !mvシシトの部屋 @731 …………。 @1 初代魔王の一撃を受け、瀕死に陥ったものの、 私は、辛うじて一命を取りとめた。 でも、生き長らえる事ができたのは、 ケイさんが庇ってくださったお陰……。 私の身代わりに、ケイさんは……。\s そして、ソウガさんも……。 …………。 私は、出来る限り、犠牲を出したくなかった……。 人間達の犠牲は勿論、竜人達の犠牲も……。 彼らは、そんな私の気持ちを 理解してくださった……。 "竜人を殲滅する為"に戦うのでは無い。\s "人間の生きる場所を取り戻す為"に戦うという 考えも、受け入れてくださった……。 なのに、そんな彼らが…… 最も犠牲にしたくなかった人達が、 喪われてしまった……。 三人のうち、"彼"だけは、 辛うじて生き残りましたが……。 私は"彼"にも、心に深き傷を負わせてしまった。 そして、"彼"は―― …………。 私は、彼らを誰一人として救えなかった……。\s それは、この身に刻まれた、永劫に消えぬ罪……。 やむを得ずとはいえ、何人もの竜人達の命を 奪ってしまったこともまた……。 @731 ふぅ……。 シシトさんが居る時は、 なんとか隠し通せましたが…… 一度思い出してしまうと、 抜け出すことができませんね……。 @1 引きずっているのでしょうね……。 もしあの時、私が、身体を貫かれた痛みに耐え、 意識を繋ぎとめていたら…… 治癒によって、ケイさんも、ソウガさんも 助けることができたかもしれない。 そんな後悔があるのですから……。 @0 !mvnil !mv !wait10 救えるものを救えずに、何が女神でしょうか……。 !wait40 !bgs(環境)雨 !mv中央公園 !wait10 @830 …………。 @440 …………。 @1 先程の幻は、雨が止む様に……\s いえ、夢の雨と共に、消えてゆきました。 ですが…… @134 やりきれないな……。 @440 リクレールさんの過去に、 こんなことがあったなんて……。 @1 なんとも、言い表し難い気持ちです……。 善と悪を割り切ることができない、 正義同士の戦いと、その犠牲。\s 守るべきものと、喪ったもの。 そして、リクレールさんの哀しみ……。 色んなものが、 私達の心に流れ込んできました……。 痛くて、哀しくて、苦しくて…… 本当に、やるせないです……。 ……そういえば、いつだったでしょうか。\s ずっと前にも、こんな気持ちになったことが あるような……。 @0 @830 ……とりあえず、これで一つわかったな。 @130 ……何?クロウ。 @830 ここは、女神様が元々いらしていた世界の 過去が映し出されているのだ。 女神様から聞いた話では、その世界は シルフェイドというらしいのだがな。 @440 シルフェイド……。 @130 リクレールさんがもといた世界か……。 @830 ちなみに、我の先祖……初代クロウも、 元々はシルフェイドに存在した\r[精霊,トーテム]なのだ。 @833 まさか、このような形で、そのお姿を お目にかかれるとは思わなかったが……。 @130 じゃあ、ソウガさんの"クロウ"って…… @830 正しく、我の先祖……初代様だ。 @130 そっか……。 この大地のこと…… 意外な形で、僕らと繋がってきたね。 @440 そうですね……。 @1 なんだか、とても不思議な感じです。 でも、私達の世界とこの世界の繋がりは、 それだけではない……。\s そんな気がしてならないのは、何故でしょう。 今は、考えても解らないでしょうけど……。 @440 ところで、シシト先輩。\s この出来事、リクレールさんには…… @134 言わないし、聞かないさ……。 @440 そうですね……。 それが良いと私も思います。 @1 古傷を抉るわけにはいかないですし……。 @134 ただ…… @130 この世界は、リクレールさんの記憶、 夢が基となっているかもしれない……。 @134 そういう可能性があることは、 頭に置いておく必要があると思うんだ……。 @440 魔物曰く、何者かが見た夢を基に、 この大地、幻は作られている…… これを踏まえて考えると、 確かに、その可能性はあるでしょうね。 私達の知る範囲では、 このような夢を見ることができるのは、 リクレールさんだけですし……。 @1 確かに、可能性としては納得できるのですが……\s なんだか、腑に落ちませんでした。 私の中で、直感に近い何かが、 その可能性を否定しているんです。 理由はわからないですが…… @833 し、シシトも、セトも、 め、女神様が黒幕だとでも言うのか……? @131 違うよ。 @134 仮に、この可能性が正解だったとしても…… リクレールさんは、気付かないうちに 利用されているだけなんだと思う……。 @440 今の私達みたいに、ですね? @134 うん……。 @130 僕らの前に度々現われる、あの魔物……。 @134 アイツの狙いそのものは、 未だに見えてこないけど…… @130 アイツは、これらの元凶を利用している。\s いや……しようとしている、かな? そんな感じだと思う。 @830 なるほど。 @1 あの魔物が内に秘めている底知れなさは、 先程対峙した時にも肌で感じた。 アイツにとっては、私達も、元凶も、 きっと手駒――策略の内なのでしょう。 だからこそ…… @440 つまり、私達がやるべきことは二つですね。 一つ目は、 幻やこの大地を生み出した大元を突き止め、 アイツの言う"災厄"を防ぐこと。 もう一つが、アイツの狙い、目的を看破し、 阻止すること……。 @130 そして、一番大切なのが…… @440 "この二つを同時に達成しなくてはいけない" という条件があること、ですね? @130 そうだね。 @131 アイツは、僕らを利用しての 目的達成を企んでいやがる。 しかも悔しいことに、アイツによって 僕らは状況に流されっぱなし。 気付けば、既にアイツの策略通りに 踊らされるしか無いとこまで来ている。 きっと、僕らが大元を突き止めた時に、 アイツも同時に目的を達成しかねないよ。 @830 それを防ぐには、やはり、 阻止も同時にしなければならない、か……。 @440 狙いをいつ見破れるかが重要ですね。 @131 うん……。だから、 何手も先を読まなきゃいけないね……。\s まるで、将棋かチェスみたいにさ。 そういうの、 あまり得意じゃないんだよな……。 @1 目を細め、空を仰ぐ先輩……。 "本当に困った"と言いたげなその表情は、 今まであまり見せたことが無いもの……。 だから、表にこそ出しませんでしたが、 私は、少々驚いてしまいました。 @130 セトはどう? 結構得意そうだと思うんだけど。 @440 そういったゲームは、プレイしたことが そもそもあまりないですね……。 ミステリー小説も、 ほとんど読んだことがありませんし……。 それに、策に関してだったら、私は一度も シシト先輩の裏をかけたことが無いですよ? @1 それは、先輩とじゃれたりもした、昔のこと。 私は、何かとシシト先輩に ちょっかいを出していた時期があったんです。 その……無性に、構って欲しくて……。 それで、あれやこれやと知恵を絞って、 毎回色んな形で仕掛けたんですが…… シシト先輩は、全部お見通しといった感じで それに付き合って下さったんですよね……。 @440 だからてっきり、先輩は策略や先読みも 得意そうだと思ってたんですが……。 @134 ああ、それはね……。 @130 僕が、セトの事を良く知っているからさ。 @440 あ……。 @1 そうだ……。 先輩は、私の事をよく見ていてくれた。\s 理解してくれた……。 いつも、私と…… 私自身の心と、向き合ってくれた……。 @130 ま、とにかく、なんとかしないとね。 リクレールさんが心に背負った十字架、 おろしてあげないと。 @440 そう、ですね……。 @1 だから、私は、怖いんだ……。 そんなシシト先輩との、 三度目の別れが訪れることが……。 それに…… 私もまた、シシト先輩のこと、同じように、 ずっと見てきたんです。 だから…… @130 …………大丈夫。なんとかなるよ。 @1 その言葉が、私の心を察した上で投げかけた、 気休めのものであることも、わかるんです……。 本当になんとかなる見込みがあるのなら、 先輩は、"なんとか\r[する,・・]"と言い切りますから。 今は、それしか言えないと考えられていることも、 わかっています……。 …………。\s でも今は、無理矢理にであっても、 気持ちを強く持たなきゃいけませんね。 沈んでいられる状況じゃないんですから。 @0 !wait30 !bgs !wait30 @830 雨が止んだな……。 あの魔物が言った通りなら、そろそろ 例の女性と出会うことになるはずだが……。 @130 さっきの光景から500年後の人で、 僕らの先導役となる幻、か……。 @131 なんか、異世界で時間旅行してるみたいだ。 @440 でも……ここからは、 本当に旅をすることになりますね。 あの人がこの地で辿っていった旅路を、 私達はなぞっていくわけですから。 @830 その中で、様々なものや出来事を 見ることになるのだろうな……。 @134 その行く先に、核心がある……か。 @130 でも、それまでは結構な時間を 費やすことになるんだろうな……。 折を見て、アクアフロートに戻れると いいんだけど……。 @830 この分だと、あまり女神様を 一人にしておくわけにもいかぬからな。 @440 アイツが、リクレールさんに何か 仕掛けてくるかもしれませんしね……。 @134 ………… @130 ……クロウ。 今から戻って、リクレールさんの傍に ついていてくれないかな? @833 む?……む、むう。 誰かが付く必要は確かにあるだろうが、 しかし、我にはサポートという役割が……。 @130 それはわかってるよ。 でも、クロウは僕らよりもずっと リクレールさんとの付き合いが長いでしょ? だからこの場合、一番適任だと思うんだ。 @833 むう……。し、しかし……。 @440 …………。 @1 なかなか首を縦に振らないクロウさんは、 やっぱりシシト先輩の傍に居たいんですね……。 もし、その役に私が指名されたら、 同じように承諾を躊躇ったでしょうし……。 そう思うと、なんだかクロウさんに 同情してしまいます。 でも……譲る気にはなれませんでした。 ズルい、かもしれませんが……。 @830 ……仕方あるまい。\s その役割、引き受けよう。 @1 だから、クロウさんの方が、 私よりいくらか大人なのかもしれませんね……。 @130 ありがとう。 もしリクレールさんが何か言ってたら、 僕らが戻ったときに伝えてちょうだい。 @830 了解した。 だが、その代わり……。 !se(Action)跳ね @832 帰ってきたら私をいっぱい撫でて〜!\s しこたまもふもふして〜!! @1 …………ある意味\r[強,したた]かなのかもしれませんね。 先輩にもふもふされるなんて……\s う、羨ましいです……。 @131 わかったからいきなり飛びつかないの。 @832 約束だよ!?\s 約束は絶対なんだからね!? @131 はいはい。 @130 とにかく、頼んだよ。クロウ。 @830 うむ。 二人とも、必ず無事に帰ってくるのだぞ。 @0 !se(Action)跳ね !mv !wait10 @1 そして、クロウさんは駆けて行った。 @130 …………。 @440 …………。 @1 暗闇を切り裂き、やがてその中に溶け込んでいく 白い姿を、私達は静かに見送り…… 私とシシト先輩は、二人きりになった。 そして…… !mvnil !v5=0 !wait10 !mv中央公園 !wait20 @131 う……。 @440 眩しい……。 @1 周囲は急激に明るくなり、 大きな変化が起こり始めました。 !mvnil !wait20 これが、二つ目の物語と再び交錯する\r[刻,とき]を告げる、 \r[合図,シグナル]でした。 @0 !mv !wait50 \>Scene15:\<\s\> 二つ目の物語 !wait40 !mv中央公園 !bgm公園 !wait10 @1 やがて気付けば、 周りは草木の緑が映える大地が。 見上げれば、澄み渡る青空が、 私達を見下ろしていました。 @440 ここは……さっきと同じ場所、ですよね? @130 多分……。 @1 そのあまりにも急な光景の変化は、 まるで全く違う土地へ飛んだかのようでした。 実際、ここがどこか違う場所に変化したとしても 不思議ではないのですから。 @440 …………。 @1 もう一度、ゆっくりと周囲を見回してみる。 地形が同じのようですから、 やはり先程と同一の場所なのでしょう。 そして、更に見ていくと…… @440 あ…… @1 遠くに、見覚えのある人の姿を見つけました。 昨日、薬草探しをしている最中に見かけた、 あの人…… どこかシシト先輩に似ているあの女性が、 ポニーテールを\r[靡,なび]かせながら走ってくる姿を。 @130 あの人が、\r[件,くだん]の? @1 そして、その人は―― @440 そうで…… @1 私が"そうです"と簡潔に答えている間に―― @0 !mv !se(Action)ミス !se(Action)跳ね !se(Action)ジュゴー !wait2 !se(Action)ミス !se(Action)跳ね !wait2 !se(Action)ミス !se(Action)跳ね !wait2 !se(Action)ミス !se(Action)跳ね !wait2 !se(Action)ミス !se(Action)跳ね @442 すっ!? @1 一瞬で、目の前を通り過ぎてしまいました。 @132 速っ!? @1 俊足を誇るシシト先輩も吃驚の速さで。 更に―― @0 !mv !se(Action)ミス !se(Action)跳ね !wait2 !se(Action)ミス !se(Action)跳ね @252 ま、待て!!待ってくれ!! @131 …………。\s今、 アルバート君が通ったように見えたのは、 僕の気のせい? @440 私にも、そう見えましたんですが……。 @1 呆気に取られつつも彼らを目で追うと、 あの女性は遠方で仁王立ちして \c[3]\f[18]「遅いぞー!アルバートー!!」 と叫んでいました。 @252 \f[22]お前が速すぎるだけだっ!! @131 …………。\s あの人、"アルバート"って名前らしいね。 @440 みたいですね……。 @1 アナちゃんのお兄さんと瓜二つで、 名前も同じだなんて…… この、出来すぎとも思える一致は、 一体、何なのでしょうか? @130 とにかく、彼らを追おうか。 @131 あの人は、 物凄い俊足の持ち主みたいだけど…… @130 この様子なら、なんとかなりそうだ。 "アルバートさんのお陰"で、助かったね。 @440 そうですね。 @1 ちょっとだけ、アルバートさんに感謝しますか。 なんだか、皮肉っぽくなっちゃうのが 少々申し訳ないですが……。 それにしても…… !bgm !mvnil !wait20 これもまた、私達の周囲と、 \r[異世界,シルフェイド]の過去を繋ぐ糸なのでしょうか……。 そして…… 今、本当に私達を導いているのは、 何なのでしょうか……。 @0 !mv !wait20 一方、その頃のクロウとリクレール―― !wait40 !v5=1 !se(Action)ドア開け !mvシシトの部屋 @830 女神様。ただ今戻りました。 @730 おかえりなさい、クロウ。 @1 いつものように シシト達の帰りを待っていたリクレールは、 いつものようにクロウを迎えた。 だが…… @731 …………?\s シシトさん達は、一緒じゃないのですか? @1 いつもと違うことに気付き、 心配で表情を曇らせる。 @830 シシト達は、例の調査を続行中です。 @1 それを察しながらもクロウは、 リクレールに淡々と報告を行う。 いつも通りと特に変わらないと、 余計な心配をさせない為に。 @830 それで、今回の件なのですが……。 例の魔物が、女神様に対して何か 仕掛けてくる可能性が浮上したのです。 まあ、その可能性そのものは 低い見込みではあるのですが……。 しかし、我はもしもの時に備えて、 女神様に付き沿うことになったのです。 @730 そうなのですか……。 @1 リクレールの表情から、心配の色は薄らぎ、 いつもの様子に戻る。 しかし…… @830 ところで、 つかぬことをお聞きしますが…… 女神様は最近、 シルフェイドにいらした頃の出来事を、 夢で見られますか? @1 クロウの、その問いが―― @731 っ!?\s どうして、それを……。 @1 リクレールを、酷く動揺させた……。 @830 あ、いえ……。 少し気になったので、 ふと聞いてみたまでです。 @731 そう、ですか……。 @830 …………。 @1 少しの間、沈黙。 魔物が語った、幻を作り出す基――神の夢。 それがリクレールのものである可能性が 一段と強まったと、クロウは考えた。 また、シシトらが考えたように、 リクレールの古傷を抉るわけにもいかない…… 故に、これ以上の追求は、しないことにした。 しかし…… @730 …………\sクロウ。 @830 なんでしょうか、女神様。 @731 今回の件……。\s シルフェイドが、関係しているのですか? @1 この件に更に踏み込んできたのは、 リクレールの方だった。 @830 …………。 @1 そのことにクロウは驚き、戸惑うも、 質問には答えなかった。 @736 どうなのですか? @1 リクレールは引かず、更に強く聞き\r[質,ただ]す。 @830 …………。 @1 それでもクロウは、沈黙を保つ。 リクレールの心にある傷には触れまいと、 気を遣って……。 @736 関係、しているのですね? @1 沈黙は、肯定を意味する場合が多い。 それは、実直な性格であるクロウなら尚更で、 結局リクレールに見抜かれてしまった。 @830 それは……。 @1 そして、クロウは―― @0 !mvnil !mv !wait40 再び、セト達―― !v5=0 !wait50 !mv中央公園 @250 そうか……。 それでお前は、あんなに急いで この村……シイルへときたわけか。 @1 \c[3]「そうよ。  ウリユちゃんはとても良い子だし、  元気付けてあげたかったしね」 \c[3]「でも、まさか、こんなことになるなんて  思いもしなかったんだけどね……」 @250 来てみれば、今晩に村が壊滅するという 予言だからな……。 @130 …………セト。どう思う? @440 なんと言いますか…… 予言者の女の子が言っていた、 『運命』とはまた違うものを…… 不思議な因果を 感じずにはいられませんよ…… @1 あの女性とアルバートさんを追いかけた末、 私達は、シイルという村までやってきました。 そして、彼らが、村人や、 未来予知の力を持つウリユという女の子と会い、 言葉を交わす様子を見守り…… 今も、村の入り口にある坂道でお話をしている 二人を、こうして眺めています。 その一連の出来事においても、私達は、 様々な事実や、不思議な"繋がり"を 知ることになりました。 そして、今交わされている、 二人の会話からも、また……。 @250 まさか、こんな形で『救世主』の肩書きが 役に立つとはな……。 @1 \c[3]「運命、未来を変える可能性を秘めた、  救世主、アルバート=ウェスタリス……。\s  カッコイイじゃないの!」 @250 そ、そうか……? これは、ただ『救世主』という名の 偶像を演じただけだと思うのだが……。 @1 \c[3]「今は、それで良いのよ……。  あの子に、"希望"を見せれたんだから」 \c[3]「アルバートが、シイルに来ること……  あの子は、予知できなかったのよ?」 \c[3]「既に、運命、未来が変わろうとしている……  \sそう、教えることができたんだし」 \c[3]「後は、アルバートが本当に  英雄になってくれることを期待してるよ」 @250 期待してくれるのは構わない。 だが、本当に未来を変えているのは、 お前じゃないのか? 本来、予言者の娘が予知した未来は、 絶対不変なのだろ? @1 \c[3]「まあ確かに、アタシに関しては、  未来も何も見えないらしいからね」 \c[3]「お陰で、"ナナシ"が偽名だってことも  ばれずに済んだわけだけどさ」 @130 この人が、僕と同じように"ナナシ"を…… それも、偽名として使ってるなんてね……。 @440 しかも、その名を授けたのは、 先輩と同じく、リクレールさん……。 @1 そう……ここでもまた、繋がりが現れたのです。 やはり、この世界と私達やその周りは、 幾重にも繋がっているのでしょうか。 @130 しかも、 アルバートさんが『救世主』か……。 @440 これは、 どういった因果なんでしょうね……。 @0 !mv !wait20 @250 一つ、聞いて良いか? @1 \c[3]「なんだい?」 @250 何故、わざわざ偽名を使っている? @1 \c[3]「そうねえ……。\s  偽名に関しては、  さっきアンタにしてもらったことと同じよ」 \c[3]「"ナナシ"という偶像を作り上げる為の、  アタシが最初に用意した布石さ」 @250 腑に落ちないな……。 お前は、英雄になれるだけの力がある。\s なのに何故、偶像を作ろうなんて考えた? @1 \c[3]「アタシはリクレールに頼まれて、  この世界を救う役を担ったって話したよね?」 @250 そうだな。 女神からのご指名だからこそ、 尚更疑問に感じるのだが……。 @1 \c[3]「そうね……。\s  普通ならそんなことする必要なんて、  ないんだろうけど……」 \c[3]「そもそも、"英雄自身"が  本当に必要とされるのは、ほんの一時だけ……」 \c[3]「全部終わった後、人々に必要とされるのは、  "英雄"という形をした"希望"なのよ」 \c[3]「でも生憎、その役割を担うには、  アタシ自身じゃあ不適切なわけね」 \c[3]「なんせ、この世界を救ったら、  アタシは消えなきゃいけないし……」 そこで一瞬、"ナナシさん"は、 寂しそうな微笑を見せた。 本当に、本当に少しだけ……。 そして…… @0 !mv @1 \c[3]「それに……」 \c[3]「何より、アタシはアルバートと違って、  \r[死人,しびと]だからさ」 @130 ……!? @440 し、\r[死人,しびと]……? @1 どういう、ことでしょうか……。 この\r[女性,ひと]は、既に亡くなって……? その意味するところが、よくわからない……。 ですが、凄く重たい事実であることだけは、 直感的にはわかりました。 @250 …………。 @1 \c[3]「ほらほら、アルバートぉ。\s  そんなに暗い顔しないのっ」 \c[3]「今のアタシが死んだってわけじゃないんだし、  アルバートが悲しむ必要なんて無いわよー?」 @250 む……。スマン。 @440 …………。 @1 でも……。\s 今はもう、こんなに明るく笑っている……。 それは、何の屈託も無くて、まるで…… 親が、子供に向けるような笑顔で……。 不思議です……。 外見的には、この人の方が年下なのに、 ずっと大人びていますし……。 それに、前に出会った時、 この\r[女性,ひと]に、衝動の如く惹かれた何か…… それが、この時になって 一段と強くなっているようにも感じます。 @250 じゃあ…… お前は何故、俺には本当の名を教えた? @1 \c[3]「その質問をするなら、まず先に  お前って呼び方をやめなさい?」 \c[3]「アタシは、アンタより年上よ?」 @252 え!? @132 マジっすか!? @440 あの、先輩先輩。\s 私達も、あの二人と似たようなものだと 思うのですが…… @1 外見と実際の年齢に開きがあるのは、 時々ありますし、ね。 @131 あ、確かに…… @0 !mv @250 そ、それはすまなかった…… @1 \c[3]「そういえば、今はアタシって  10代に見えるんだっけ?」 \c[3]「でもね……」 \c[3]「これでもアタシは、  子供を二人産んで、育てたのよ?」 @252 何ですと!? @132 …………!? @440 …………。 @1 先輩、今度は絶句しましたか。\s こればっかりは、私もですが。 でも、驚く一方で、 "ああ、やっぱり"と思う私がいました。 @250 そうだったのか……。 道理で…… @1 \c[3]「あ、オバさん臭かったと思った?  \sこれでもアタシ、29よ」 @250 いや、そういうことではない。 ただ、母親らしいと思っただけだ。 その…… 説教をされたのも、久しぶりだしな。 @1 \c[3]「あらあら。  \sボウヤのこと可愛がってあげようか?」 @252 い、いらんわ!! @250 そ、それはそうと…… その、なんだ…… @1 \c[3]「ああ、質問の答えね」 \c[3]「やっぱりさ、気に入ってるのよ。  アタシの本当の名前……」 \c[3]「でも、偽名を使うからには、  誰もこの名を呼んではくれないし……  \s当然、覚えてもらえるわけも無い」 \c[3]「それはそれで、寂しくてねっ」 \c[3]「だから、いずれは異世界に帰ることになる  アルバートには教えようと思ったのよ」 \c[3]「とある渡り鳥から貰った、この名前……」 \c[3]「"ツバメ"という名前をさ」 @130 ツバメ……? @440 ツバメ…… @0 !mvnil !mv !wait20 @0 あの渡り鳥を意味する名前……\s それが、この\r[女性,ひと]の名前……。 …………。 二つ目の物語……\s それは、ツバメさん達が紡いだ物語。 その中で、私達は何を見るのでしょうか……。 !wait30 !bgm !bgs