#Lost Jerusalem.後日談・想いは海と炎の絆のように by飛鷹 !wait60 \>Scene0\<\s\> 君の居ない日々 Before Ending... !v5=1 !v27=1 !wait50 !mvシシトの部屋 @100 …………。\s はぁ…………。 @1 雪が降る。\s 音を、\sため息を、\s優しく吸い込みながら……。 雪が積もる。\s 光も、\s悲しみも、\s埋めてしまうかのように……。 窓に映る憂鬱そうな顔越しに、 僕は、その景色をただ眺めていた。 静か過ぎる、白い世界を……。 @0 !bgm夜の静けさ @1 あれから、どれくらい日にちが経ったっけ……。\s スケイルさんが、居なくなってから……。 最近、日付感覚が狂ってきた……。 なんだか、何もかもが、虚しくて……。 @100 …………\sスケイル、さん……。 @1 君が居なくなってから、 何もかもが大きく変わってしまったよ……。 いや……。\s 君に出会う前に戻っただけ、かな……。 …………。 君に出会うまで、 僕は、大切なものを作らなかった。\s 作ろうともしなかった。 むしろ、できてしまうことを拒んでいた…… と言ったほうが、正しいかもしれない……。 ……大切なものができることを、 どこか、恐れていたから……。 君を失って、 僕はまた、その状態に戻っただけ……。 あの時、みたいに……。 @100 …………。\s 本当に……皮肉、だよね……。 @1 昔、生まれて初めて恋をした、大切な人が居た。 でも……\s 出会ってから僅か数ヶ月で、失った……。 喪失は、あまりにも突然だった……。\s あまりにも無慈悲だった……。 そして……。\s その時の出来事は僕に、 こう教えてくれたんだ……。 "僕は、大切なもの一つすらも、 まともにもつことができない"と……。 あの喪失は、僕にはあまりにも、辛すぎた……。 だから、もう…… 大切なものを、つくらないことにしたんだ……。 そうすることで、 これ以上傷つかないように生きてきたんだ……。 …………。 スケイルさん……。\s 君という存在は、本当に不思議だった。 こんな僕の、 大切な存在になってしまったんだから……。 なんでこんなにも、大切になってしまったのか……\s それは、僕にもわからない……。 気付けば僕は、 君を守りたいと、必死になっていたよ。 それは、ただ君を失いたくなかったから……。 …………。 君から幻想の物語が語られた時……\s 僕は、君を失うことを悟った。 それは、どうすることもできない事実だと……。 だから、あの戦いに挑む時……\s 僕は、失いたくないという想いを、 守りたいという気持ちに摩り替えていた……。 君を守ることは、できたけど……\s 物語は、約束どおりに君を奪っていった……。 僕の心に、空虚と棘を残して……。 …………結局、スケイルさんも、 僅かな時間で失ってしまった……。 やっぱり、大切なものって、 こうも失いやすいのかな……。 やっぱり、僕は大切なものを 一つすら持つべきじゃないのかな……。 …………\s雪に、言葉があったら……\s この疑問に答えてくれるだろうか……。 そんなこと、できるはずないけど、ね……。 それに…… 雪は、街も、空も埋めることができたとしても……\s 心の空虚は、埋めれやしないんだ……。 @0 !mv !mvnil !wait40 \s !wait50 !v37=1 !mv警察署コンピュータ室 !wait20 @810 …………。 @1 雪が降る。\s 闇を、\s空を、\s白く染めていく……。 雪が、降る……。\s 竜神の災いを思い出させる、雪が……。 暗い部屋の窓越しに、 私は雪景色を見つめていた……。 白銀と闇の交じり合う、先の見えない世界を……。 @0 @1 シシトさんと別れて……\s リクレール様に諭されて…… そして……\s シシトさんと再会することを決意してから、 暫く時が経ちました。 でも、彼の所に戻るまでは、 まだ時間がかかります……。 今、私は、下半身の手術をしてもらうため、 ワルダさんのところにいるのですから……。 戻るなら、シシトさんに余計な迷惑を かけたくないですし、それに……。 …………。 本当は……早く、会いたいです……。\s シシトさんの下へ、早く帰りたいです……。 "だったら彼となんで連絡を取らないのか"と、 ワルダさんにも聞かれました。 ですが……\s 私はまだ、心の整理がついていないんです……。 リクレール様に諭されたとはいえ、 戸惑いは、まだ消えていませんから……。 これからの私のあり方や、過去の捉え方を、 どうしていくのか、など……。 ……だから、この静かな時の中で、 ゆっくりと、自分の心と向き合うつもりです。 @811 …………。\s 真っ白、ですね……。 @1 もう、窓から見えるのは、雪白な世界だけ……。 シシトさんと出会った時、 私の心もこのように真っ白でした……。 何もかも忘れ、何も知らない……\s そんな、心でした……。 でも……\s それは、過去が隠されていただけ……。 封印がとけてしまえば、 隠していたものが見えてしまう……。 雪がとけてしまえば、 再び地面が見えてくるように……。 …………。 本当に、これで、いいのでしょうか……。\s そして…… シシトさんは……\s "今の私"を、受け入れてくれるのでしょうか……。 @0 !mv !mvnil !wait40 \s !wait30 !mvシシトの部屋 !wait30 @100 …………。 @1 スケイルさん……。\s 本当に、もう、君に会えないんだろうか……。 君と一緒に、この雪景色を見たかった……。\s 君と一緒に、日々を過ごしていきたかった……。 @100 …………。 @102 あー……。くそっ。\s なんか僕、女々しいな……。 @100 …………。 @1 !mv !mvnil !wait30 君を、失いたくなかった……。 例えどんな理由があったとしても、 それは変わらない……。 それは間違いなく、僕の素直な気持ちだから……。 !wait60 !bgm @0 \s !wait40 それから季節は流れ、春が訪れ、 僕らは再会を果たした。 でも、僕は……\s "また"、後ろ向きになっていた……。 "また"、臆病に、なったのかもしれない……。 !wait30 \s !wait60 \> Lost Jerusalem. \<\s\>After Ending Story.\<\s \f[36]\> 想いは海と炎の絆のように \>Scene1\<\s\> 後遺症 !wait30 再会を果たしてから、更に1ヶ月ほど経った !wait30 !v5=0 !bgs(環境)波の音 !wait30 !mv海岸公園 !bgm静かな時 !wait20 @1 太陽と小波の作り出す眩い輝きは、 日々の経過と共に増していった。 それは何気ない変化だけど、 夏が近いことを僕らに教えてくれる。 @0 @1 あれからも、海を見に来ることは、 僕らの習慣となっていた。 今日は快晴。 のんびり過ごすには最適そうだ。 それに……。 @810 …………。\s きれい、ですね……。 @100 …………\sうん。 @1 遥か彼方の水平線と、波が作る光のコントラスト。 そして、その光景をバックに、 潮風に髪をなびかせるスケイルさんの姿が、 とても綺麗だった。 いつまでも、見つめていたい……。\s と、素直にそう思った。 だから…… @100 今日は、いつもより長くここに居ようか。 @1 自然と、そういう科白が出てきた。 @810 はい。\s 私もそうしたいと思っていたところです。 @100 それじゃあ、決まりだね。 @1 二人きりのゆっくりした時間を 長く過ごせると思うと、とても嬉しい。 でも……\s そんな自分にふと気付いた時、 なんだか、急に不安が湧き上がってきた。 また、僕の中でスケイルさんのことが、 もっと大切になったと感じたから……。 それはつまり……\s 失うことが、もっと怖くなったということ……。 だから…… これ以上、スケイルさんが大切になることが……\s 怖いと思った……。 @100 …………。 @1 目線を、遠くへと移す。 もし、またスケイルさんを失う時が訪れたら……\s 今度は、もう、耐えられそうにない……。 直感的に、そう感じている僕がいる。 …………。 こんなことを考えてしまい、不安になるのは……\s 僕の心が、あの水平線のように綺麗じゃないから、 なんだろうか……。 …………\sスケイルさんは、 僕のところへ帰ってきてくれた……。 そして今、僕の傍にいる……。\s それは、確かなこと。 だけど、これからもそうである保証なんて無い。\s あるわけが無い……。 明日の僕らのことだって、 天気予報ぐらいにあやふやなんだ……。 またいつか……\s失うのかもしれない……。 また、いつか……。 …………。\s スケイルさんと再会した時から、 ずっと、そんな考えが渦巻いている。 止めようにも、どうしたらいいのか、 わからなくて……。 それで、ずっと戸惑い続けている……。 @810 …………。 @100 ! @1 なんとなく思考の世界から戻ってきて漸く、 スケイルさんに見つめられていることに気付いた。 その時咄嗟に、戸惑いを抑えこんで、 意味の無い笑顔にすり替えてみたけど…… そのせいでまた、戸惑いが増えた……。 !bgm @0 !mv !wait50 !bgs(環境)心拍 !wait30 !bgs @100 ――!! @1 不意に、手が柔らかい感触に包まれた。 @811 @1 スケイルさんが、 僕の手を握っている……。 !bgs(環境)波の音 胸のうちが、ざわつく……\s波打つ……。 そっか……。 さっきの僕の様子、変だったもんね。 それで、スケイルさんは……。 …………\sその優しさは、とても嬉しい……。 でも……\sだからこそ、尚更に……\s 戸惑いは、\s加速する……。 @100 …………。 @1 そっと、手を握り返す。 ずっと……この手を、離さないでいたい……。\s できることなら、そうしたい……。 できる、ことなら……。 でも、この想いを口にすることはできない……。\s ただ、"重いだけ"のものだから……。 そんなものを押し付けてしまったら、きっと……\s 失う可能性が、強くなってしまうから……。 失いたく、ないから……。\s 失わなければ、それでいいから……。 君が、少しでも長く――願わくば、ずっと―― 傍に居てくれれば、それでいいから……。 だから…… @811 @1 君の目が、僕の胸中を知りたいと訴えていること、 気付いているよ。\s だけど…… 僕は、言わないよ……。 !mvnil !bgs !wait30 …………\s言えないんだよ……。 @0 !mv !wait50 \s !wait30 !bgs(環境)波の音 !wait20 !bgm静かな時 !mv海岸公園 !wait30 @810 …………。\s きれい、ですね……。 @100 …………\sうん。 @1 桜舞う季節の再会を経て、 今、私はシシトさんの傍に居ます。 そして今日は、 いつも以上に綺麗な海を二人で見ています。 ……シシトさんに再び、私を受け入れてもらえて、 こうして一緒に日々を過ごせること……。 そしてまた、以前みたいに生きていけること。\s とても……幸せです。 ですが…… 以前と違うことも、やはり、あります。 まず、私自身が少し、変わったこと……。\s 以前と違い、私は人魚ではなく、 人間の身体に戻りました。 そして……\s 私の過去の記憶、全て持っています。 でも、シシトさんの私への接し方は、 良い意味で、あまり変わりませんでした。 相変わらず、とても優しくて、 とても心地よくて……。 シシトさんに惹かれた理由の一つを、 再確認しました。 でも……シシトさんは何も変わってない わけではありませんでした。 その変化には、最近、気づきました……。 !bgm @100 …………。 @1 水平線を見つめているのか、 遠い目をしているシシトさん……。 その表情には、はっきりと陰りが見えます。 何かを考え、 何かを無理矢理抑え込んでいるようで……。 …………\sこのような様子は、 以前は見たことがありませんでした。 そして、見るようになったのは、 再会を果たしてから……。 ……あなたの中で、一体、 何が変わってしまったのでしょうか……。 あなたの傍に私は居るのに、 それが、わからない……。 @811 …………。 @1 シシトさん……。\s あなたは一体、何を思っているのですか……? @100 ! @1 私の視線に気付いた途端、 シシトさんは微笑みでそれを隠してしまう。 ……伝えてはくれない、ということですね……? なら、せめて……。 @811 @100 ――!! @1 手を、繋がせてください……。\s 何にもならないかもしれませんが……。 あなたの心に陰りを作るそれが、 少しでも無くなるようにと願いをこめて……。 でも……。 !bgs !mvnil !wait20 それの原因は、私なのかもしれない……。 なんとなくですが、 私の勘は、そう主張しています。 本当に、そうだとしたら……\s 私は、どうしたら良いのでしょうか……。 私はあなたに、何ができるでしょうか……。 @0 !mv !wait30 \s \>Scene2\<\s\> 凍りついた表情 !v5=1 !wait30 !bgs(環境)雨 !wait30 一日中雨が降り続いた、梅雨のある日の事。 !wait30 !mvシシトの部屋 !bgm安らぎ !wait20 @811 うう〜……。\s 目が〜回りますぅ〜……。 @1 顔を真っ赤にして、 ベッドでぐったりしているスケイルさん。 完全に酔ってる……。 それに、少し、気分が悪そうだ……。 @102 スケイルさん……。 お酒に弱いのなら、なんで飲んだの? @811 あう〜……。\sすみません……。\s とても美味しそうだったので、つい……。 @102 あはは……。 @1 姉さんがよく飲んでるカクテルって、 確かに凄く美味しそうに見えるからなあ……。 それと、好奇心の誘惑に負けちゃったんだね。 スケイルさん……。 姉さんから勧められたということもあるし……\s 仕方ない……のかな? まあ、僕もスケイルさんがお酒に弱いなんて、 今になって初めて知ったわけだし……。 それに、スケイルさんには申し訳無いけど…… @100 とにかく、ゆっくり休んでなよ。 @811 はぁい……。 @1 今のスケイルさんの様子が、可笑しくも、 可愛くもあって、なんだか和んでしまう。 @811 ぅゅ〜……。\s シシトさん、笑ってる〜……。 @102 あ、ごめん。 @1 ……ちなみに、お酒をちびちびと飲む仕草も 可愛いと思っていたことは、ナイショ。 実際、美味しそうに飲んでたし。 それに、お菓子を食べる時なんかもそうだけど、 とってものんびりとしてるんだよね。\s 見ている方が和んでしまうほど。 それは、再会してから見るようになった、 スケイルさんの新たな一面だった。 そして今、お酒を飲んだらどうなるかを 新たに知って…… ……また少し、僕の中で、 スケイルさんの存在が、大きくなった。 @100 …………。 @1 なんと言うか……。\s スケイルさんが大切になっていくこと、 もう自分でも止められない。 穏やかに過ぎていく日々の中で、そう悟った。 だからもう、 それは素直に受け止めようと思っている。 そうすることでようやく、 僕の心は、穏やかさを保てるようになった。 多分……スケイルさんを失わない限りは、 落ち着いていられると思う。 あくまで、多分……だけどね……。 @0 @100 それにしても、 今日の雨は本当に長く降るね……。 @1 窓を叩き、地面を打ち続ける無数の雨粒。 結構な勢いで朝から降り続けているのに、 未だに止む気配がしないや。 まあ、梅雨だし、仕方ないよね。 でも…………。\s スケイルさんからの返事が無い……。 @100 ……って、\sスケイルさん、寝ちゃったか。 @1 目線をベッドに戻すと、 スケイルさんは小さく寝息を立てていた。 ……\sそういえば、スケイルさんの 寝顔を見るの、初めてだ。 じっくりと見てみるとやっぱり、 とても綺麗で、いつもと違う可愛らしさがある。 また、新しい一面を見つけた。\s そして、また一つ、愛しさを感じた。 こんなことの積み重ねが、幸せの一つ、 なんだろうな……。 いつもと同じことから感じる、いつもの幸せ……。\s いつもと違うことから見つける、新しい幸せ。 どっちも、とても大切なもの。 スケイルさんに感じる、失いたくないもの。 それが、とても脆いものだという事は、 わかっているけど……。 …………。 スケイルさんが寝ている今なら、 僕が想ってる事、呟いてもいいかな……? @100 …………\sずっと…… 僕の傍から離れていかないでね……。\s スケイルさん……。 @1 やっぱり、僕のこの気持ち、 自分の中でも重た過ぎるから……。 だから、こういう形で、 ちょっとだけ軽くさせて……。 @100 さて……。\s そろそろ、お風呂に入らないとな……。 @1 もうちょっとスケイルさんの寝顔を 見て居たいけど…… さっさと出てくれば、まだ見れるかも。 @0 !mv !se(Action)ドア開け !wait40 !mvnil !bgm !bgs !se(Action)ドア閉め \s !wait30 !bgs(環境)雨 !wait30 !bgm安らぎ !mvシシトの部屋 @811 うぅ〜……。 @1 ふらふら……\sゆらゆら……?\sぐらぐら……? よくわからないくらい、 なんだか揺れてます……。 @102 スケイルさん……。 お酒に弱いのなら、なんで飲んだの? @811 あう〜……。\sすみません……。\s とても美味しそうだったので、つい……。 @102 あはは……。 @1 確かに、美味しかったんですけど…… 好奇心で飲んでしまったことが、 失敗でしたね……。 でも…… 私、こんなにお酒に弱かったのでしょうか……? @100 とにかく、ゆっくり休んでなよ。 @811 はぁい……。 @1 嗚呼、なんだか情けない声……。\s って、これ、私の声なんですよね……。 …………\sあ。\s シシトさん、微笑んでる……。 @811 ぅゅ〜……。\s シシトさん、笑ってる〜……。 @102 あ、ごめん。 @1 あう……拗ねたんじゃないんですよ〜。\s シシトさんの笑顔が見れて、嬉しいんです。 最近、シシトさんが笑顔を よく見せてくれるようになりました。 陰りも少なくなってきましたし……\s その微笑を見ると、幸せな気持ちになれます。 今も、そんな気持ちに包まれて……。 そして……\sお酒のせいなのか……\s 急に、眠く……なってきました……。 !bgm @100 …………。 @811 …………? @1 あ、れ…………? !mvnil !wait30 窓の傍で雨を見つめる、シシトさんの姿……\s 闇の雨が、窓を叩く音……。 それが、いつか見た、ワンシーンと重なる……。 @0 \s !wait60 …………。 徐々に、夢と現が曖昧になり、 私の意識は、ある記憶の中へと潜っていく……。 そして、夢という形で、その記憶が見えてくる……。 ……この夢を見てしまったのは、 まだ私の心の整理ができていなかった証拠…… なのでしょうか……。 \s 簡素な造りの、小さな部屋……。\s 一本だけの、ろうそくの灯り……。 そこに居るのは、私ともう一人……。 \c[4]「なあ……スケイル……」 カイト……様……。 これは……あの時の夢……? 私が、初めて雨を浴びた日……。 そして…… シイルの街の存亡を懸けて戦った後の、 宿屋での一時……。 \c[4]「これで……よかったんだよな?」 窓の外を見つめながら、 少し自嘲気味に呟かれた科白……。 「何を仰っているんですか、カイト様。\s 無事にこの街を護れたじゃないですか。」 「皆さんの喜ぶ顔、見ましたよね?」 その時の私は、その言葉に隠されていた カイト様の気持ちを、読み取りきれなかった……。 \c[4]「まあ、そうなんだけどな……。」 \c[4]「…………。\s やっぱ、なんでもない。\s今のは無しだ。」 そう言われてしまうと、 余計に聞きたくなってしまうのが、私の性分でした。 「……何を、思い悩んでいるんですか?」 「私に……聞かせてくれませんか?」 \c[4]「いや……。悩みというか……」 \c[4]「さっき、俺が殺したやつらにもさ……\s 家族とか、恋人とか……\s そういう、愛する者が、きっといたんだよな……って」 \c[4]「そんなこと、考えていた」 嗚呼……。 やはりこれは、あの一時の……。 こうして夢で見るのも、かなり久しぶりですね。 そして……\s夢の中で、カイト様に会うのも……。 あの声、仕草、表情……。\s 何もかもが、懐かしい……。 そして……\s全てが、愛しい……。 でも……。\s この夢を見ていると、罪悪感が湧いてきます……。 シシトさんに対して……。\s そして、カイト様に対しても……。 \s \c[4]「スケイル――……」 私を呼ぶ声が聞こえた時、 意識はまだ、夢から抜け出ていなかった……。 だから、その声は夢の中のものだと……\s そう、思っていました……。 ぼやけた視界に映っているのも、 夢の中のものだと……。 だから……\s その声に答えようと……\s名前を呼ぼうとして―― \c[4]「――――……」 ――再びその声が聞こえた時、漸く、 私は夢から覚めた。 そして…… !mvシシトの部屋 @100 @811 ――――!! @1 目の前に居るのが、 表情を凍りつかせたシシトさんだと、 ようやく、気付いた……。 @0 !mv !mvnil !bgs !wait30 \s !wait60 \>Scene3\<\s\> 乱れる海と紅蓮の焔 !wait40 !bgs(環境)雨 !wait30 !bgm安らぎ !se(Action)ドア開け !mvシシトの部屋 !wait30 !se(Action)ドア閉め @100 スケイルさん、ただいまー。\s ……って、まだ寝てるね。 @1 まあ、起きる前に寝顔を堪能しようと思って、 ちょっと急いできたんだけどね。 @0 @1 改めて、じっくりと見つめてみる。 長い睫に、白磁の肌……。\s 緩やかな波を連想させる、エメラルドの髪……。 …………\sやっぱり、綺麗だな……。 今、この寝顔を見れるのは、僕だけ……\s なんてことを、なんとなく思ってしまった。 そして、その事実が嬉しいと感じてしまうのも、 素直な気持ちだった。 …………\sスケイルさんが起きるまで、 このまま見つめていようかな? まあ、このまま僕も寝る時間になる可能性も 高いんだけどね。 とにかく、ずっと見つめていたいな……。 @0 @1 それから暫くして……。 @811 ………… @1 スケイルさんが、僅かに目を開いた。 @100 スケイルさん。起きた? @1 といっても、その赤い宝石のような瞳は、 焦点が合っていないみたい。 まだ寝惚けているって感じかな。 !bgm それでも……。 @811 …………\sカイト……様……? @0 !mv !bgs(環境)心拍 !wait30 !bgs @100 ――――!!? !bgs(環境)雨 @1 スケイルさんの口から零れ出たその名前に、 僕の心は、激しく揺さぶられた……。 何かが、凍りついた……。 \sカイト、様……? なんで、僕を見て…… 僕じゃない誰かの名前を呼んだんだ……? なんで……なんだよ……。 それは一体、誰だよ…… @100 …………\sカイト様って、誰だ――っ @1 思わず、感情のままに言葉が出てきてしまった。\s それを抑え込むのが、間に合わなかった……。 それでも……今はとにかく、抑えろ……僕……。 @100 ごめん、なんでもない……。\s 気に、しないで……。 @1 気持ちを抑えろ……。\sとにかく、抑えろ……! @811 シシト、さん……? @100 ちょっと……外へ出てくる。 @0 !mv !wait30 !se(Action)ドア開け !wait30 !mvnil !se(Action)ドア閉め !bgs !wait30 \sこんな醜い嫉妬の焔…… 早く、消してしまわなければ……。 !wait30 !bgs(環境)雨 !wait30 !mv住宅地 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se @100 …………。 @1 雨の降り続く夜中の街を、 傘も差さずに彷徨い続ける。 髪が張り付き、服も重く感じるけど、 鬱陶しさは気にならなかった。 ただひたすらに、さっきの事と、 嫉妬を消すことを考えていたから……。 それに……。 雨に打たれれば、 嫉妬の焔は消せると思ったから……。 @0 !mv !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !mvnil !wait30 \s !wait30 !mv中央公園 !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se @100 …………\sまだ、消えないか……。 @1 あれから暫く、歩き続けた……。 それでも、あの時受けた衝撃……\s そして、渦巻く嫉妬は、消えてくれない……。 @0 !bgm別れ @1 スケイルさんが呼んだ、カイト様という名前……\s それは、きっと、"あの人"のことだ……。 スケイルさんが語った、幻想の物語の勇者……。\s スケイルさんの愛した、唯一の\r[男性,ひと]のことだ……。 雨に打たれて、少しは頭が冷えたおかげで、 そのことには気付いた……。 気付いて、理解したけど……\sそれでも……。 …………\sくそ……。\s わかっていたはずじゃないか……。 "あの人"には、敵わないって、 わかっていたはずじゃないか……。 あの物語を知った時に、 理解したはずじゃないか……。 なのに……\sなんで、こんなにも……。 ……そもそも、僕にとって大事なのは、 スケイルさんを失わないことのはずだ……。 失いさえしなければ、 それでいいじゃないか……。 失わなければ、それでいい……\s はず……なのに……。 それ以上は、望まないつもりだったのに……。 望んじゃいけない、はずだったのに……。 @100 くそっ……! @1 雨に打たれても、 心の乱れは収まってくれない……。 むしろ、嵐で乱れていく海みたいだ……。 これならいっそ、この身体ごと、 紅蓮の焔にでも焼かれたいよ……。 @0 @1 っつ…………。 嗚呼、さっきから、胸が痛み続けている……。\s 掻き毟って、抉りたくなるほど、ズキズキと……。 痛い……。\s痛い……。\s 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い……! スケイルさんを失ったというわけじゃないのに、 なんで、こんなにも……。 …………\sああ、そうか……。 僕はいつのまにか、 望んでしまっていたんだ……。 スケイルさんが傍に居る以上のことを……。 スケイルさんにとって、 一番大切な存在になりたいと……。 この身に相応しくない、欲張りな願いを……! そんなもの、抱くべきじゃなかったのに! くそ……。\s 僕の心、早く……早く、静まってくれ……。 もう、余計な事は望まないから……。\s だから、早く静まってくれ!! …………\sこのままじゃ、帰れないな……。 気持ちが暴走して、 スケイルさんを傷つけてしまいそうだから……。 @100 くそ……。\s何が、 "スケイルさんを愛している"だよ……。 @1 いつか吐いた自分の科白に対して、 激しい自己嫌悪が湧きあがってくる。 こんなの……\sただの、我侭じゃないか……。 本当に愛しているなら、 全部受け止めれるはずだろ……。 こんな気持ち、抱かないはずだろ……。 だから……こんな、醜いものなんて……\s 愛なんかじゃ、無い……。 …………\s愛せていない……か……。 @100 ふっ……\s ははははは……。 @1 思わず、湿った笑い声が出てくる。 本当、自分がバカみたいで笑えてくるよ……。 あまりにも、情けなさすぎて……。 嗚呼……\s やっぱり僕は、大切なものを持つべきじゃ、 ないのかもね……。 !mvnil !wait30 それでも…… やっぱり、 スケイルさんは、失いたくないよ……。 !wait60 @0 \s !wait40 !mv住宅地 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se @811 ぅぅ……。\s シシトさん……どこ……? @1 ふらつく足取りで、シシトさんを探し、 雨の中を彷徨い続ける……。 酔いの抜けない身体は、 バランス感覚が狂っている……。 頭もその動きを鈍らせている。 それでも……\s シシトさんの、あの凍りついた表情が、 目に焼きついている……。 感情を押し殺しきれていないあの声が、 頭の中で繰り返し響いている……。 あの時、夢と現実を間違えて、 カイト様の名を呼んでしまったから……。 だから……\s 私がシシトさんを傷つけてしまったという 事実は、理解できている……。 そのせいで、シシトさんは……\s 私の傍から離れていって……。 イヤ……。\s離れていかないで……!\s 私を一人にしないで……! @0 !mv !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait5 !se(Action)学内歩き !wait5 !se @1 早く……\s謝らなければ……。 傷つけてしまったことを、 償わないと……! やはり私は、 カイト様の事を、忘れるべきでした……! !mvnil !wait30 シシトさんの為に……。\s シシトさんの傍に居るために……! @0 !mv !wait30 !bgm !bgs \s !wait60 \>Scene4\<\s\> どうしてもあなたを失いたくない !wait30 !bgs(環境)雨 !wait20 !mv中央公園 !wait30 @100 …………。 @1 髪から滴り落ちる滴を見ながら、 胸のうちで自己問答を繰り返す……。 譲れないことはただ一点で、 他の事は無理矢理にでも抑えこめばいい……。 今はそう考えていて、その方向で自分に問いかけ、 心の整理を続けている。 @0 !bgm別れ @1 スケイルさんにとって、僕はなんなのか……\s それは、はっきりとはわからない……。 "あの人"の、ただの代わり、 なのかもしれないな……とも考えている。 もし、そうだとしたら……\s 凄く、悔しいと思う自分がいる……。\s それでもいいじゃないか、と思う僕もいる……。 "僕は他の誰でもないから"と思ったり、\s "代わりになれるだけでも光栄だ"とも考えたり…… "代わりだろうとなんだろうと、傍に居れれば それでいいじゃないか"とも思ったり…… 結局のところ、心の荒れ模様は、 未だに収まっていない……。 葛藤は、まだ続いている……。 この身を焦がす様な焔とも、 飲み込むような荒波ともいえるような想いが、 相変わらず渦巻き続けている……。 でも……\sその中で一つだけ、 揺るぎないものがある。 "どうしてもスケイルさんを失いたくない" という、僕の気持ちだ……。 例えどんなに葛藤しようと、 これだけは全く揺るがない。 それだけは、はっきりとしている。 そもそも、さ……。\s スケイルさんは、元とはいえ、女神様なんだ……。 そんな人が、傍にいてくれるだけでも、 凄いことなんだ……。 出会えたことが、まず奇跡的なものなんだ……。\s だから……。 @0 @1 …………。 まだ、胸はズキズキと痛み続けているけれど……\s なんとか、抑えることができそうだ……。 @100 …………。\s そろそろ、帰らないとな……。 @1 理由はなんであれ、スケイルさんを置いて いきなり勝手に外に出てきたわけだし……。 それに、あの時のスケイルさんは、 ただ寝惚けていただけ……。 勝手に居なくなって、 余計な心配かけているかも……。 あ……。\s この想像は、自惚れすぎてるか。 とにかく……もう、帰ろう。 @0 !mv !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 !se(Action)学内歩き !wait5 !se !wait30 @100 …………\s! @1 公園の出口へと向かおうとした時、 歩き出そうとしたその足は、直ぐに止まった。 @811 @100 スケイル、さん…… @1 そこには、ふらつきながらこちらへ歩いてくる、 スケイルさんの姿があった……。 @811 シシトさん……。\s よかった……。\s見つかった……。 @100 って、ちょっ…… @1 今にも転びそうなほどフラフラしている スケイルさんを、思わず抱きとめようとして…… そこで、一瞬、戸惑いが走った。 まだ、嫉妬も、葛藤も収めきれてない僕が、 抱きとめていいのか、と…… @0 \c[6]ふらっ…… @811 あっ…… @103 スケイルさん! @1 でも結局、倒れそうになったところを、 咄嗟に抱きとめていた……。 @811 シシトさん……。\s ごめんなさい……。\sごめんなさい……。 @100 え……。\sスケイル、さん……? @1 まだ、酔いが醒めていないのだろうか……。 うわ言を呟くような声で、 いきなり謝りだすスケイルさん。 @811 ごめんなさい……!\sごめんなさい!! @1 謝り続けるその声色は、 懇願のものへと変わっていった。 そして、雨に濡れたその表情は、 涙を流して泣いているように見えた。 いや……実際に、泣いているのかな……。 ……どうしたら、いいんだろう……。 @811 ごめんなさい、シシトさん……。 私のせいで、 あなたを傷つけてしまって……。 @100 ちょっと待って、スケイルさ……。 @811 いくらでも謝りますから……。 私を、独りにしないで下さい……!\s 私の傍から、離れていかないで下さい!! @1 遮ろうとしても、謝罪の言葉は止まらず、 それは本当に懇願に変わってしまった。 なんと言ったらいいかな……。\s その様子に、なんだか僕自身が重なって見えた。 もし、僕が素直に想いを外に出したら、 きっと、今のスケイルさんみたいに……。 もしかしたら、スケイルさんも、 僕と同じ……なのかな……? 僕と同じように、 "失いたくない"という気持ちを……? でも……\sこの考えは、自惚れ…… なのかもしれない……。 まだ、確信が持てない……。 @811 シシトさん……\s 私を置いて行かないで下さい……! "あの人"のことも、忘れますから……! @100 ――!? @1 しかし、その一言が、僕を確信させた。 僕と、同じだと……。 でも、スケイルさん……。\s その為に、そんな大切なものまで、なんて……。 @100 …………\sスケイルさん……。\s それは、ダメだよ……。 @811 ――――!!\s では、私はどうすれば……!! @100 スケイルさんに、 僕の傍に居て欲しい……。 僕の願いは、それだけだから……。 @1 この想いは、変わらない……。 失いたくないという願いは、僕も同じなんだ。 と……言葉に、その想いを託す。 @811 ……シシト、さん……。 @100 でもね、スケイルさん……。\s 大切なものは、手放しちゃダメだよ……。 カイトさんは、スケイルさんにとって、 とても大切な人……\sそうでしょう? @811 そ、それは……。 @100 だったらさ……。\s 捨てちゃ、ダメだ……。 スケイルさんがその人を凄く大切に 想っていること、知っているから……。 @1 嗚呼……。\s 自分で言ってて、やっぱり胸が痛いや……。 でも、これはちゃんと言わないと、ね……。 @811 …………。 @100 確かに、その人は、もう居ないけど……。 記憶……、思い出とか……。\s 大切なものが、たくさんあるでしょ? それを手放すなんて、ダメだよ。 @811 で、でも!\s それじゃあ、私は……! @100 …………。 @1 大切な人を失う辛さは、知っている……。 いっそ忘れてしまった方が楽かもしれないと 思ったこともある……。 でも……\s やっぱり、忘れちゃダメだと思うんだ……。 それは、唯一、 誰にも奪うことのできないものだから。 その人の、生きた証だから……。 それに……。 @100 その人がいたから、 今のスケイルさんが居る……。 そして……\s 僕は、スケイルさんに出会えた……。 @1 嫉妬してしまうのは、本音、だけどね。 でも、そう考えるなら……\s やっぱり、感謝したいと思うんだ。 @811 私……わからないんですよ……。\s 忘れないなら、どうしたらいいのか……。 私……シシトさんの傍に居たいです……。\s でも……あの人のこと、忘れないと……。 @100 スケイルさん……。 僕の傍に居たいと言ってくれて、 嬉しいよ……。 僕も、傍に居て欲しいんだ……。\s ありのままのスケイルさんに、ね……。 @811 ありのままの……私……? @100 そう……。\s ありのままの、スケイルさん。 それに…… スケイルさんにとって大切なものは、 僕にとっても、大切……。 @1 そして、僕にとっては、 何よりもスケイルさんが大切……。 全部……\s スケイルさんの全部含めて、大切なんだ……。 もう、想いが抑え切れそうにないほど、ね……。 だから……。 僕の想い……\s 全て、スケイルさんに伝えよう。 ……言葉には、しない。\s それじゃあ、伝えきれないから。 言葉だと……重過ぎるから……。 その代わり……もっと、直接的に伝えるよ。 @100 …………。 @1 空を仰ぎ、降り注ぐ雨を、顔でうける。 …………。\s ごめんなさい、カイトさん……。 僕は今、あなたから、 スケイルさんを奪います。 そして……\s あなたに返せるものは、何もありません……。 …………振り続けるこの雨は、 僕らが祝福されないという証、かもしれません。 それでも……\s 僕は、スケイルさんに全てを捧げましょう。 @100 スケイルさん……。 @811 え……、\sシシト、さん……? @1 少し強引に、スケイルさんを抱き寄せる。 二つの赤い瞳を、真っ直ぐに見つめる。 そこに映っているのは、 僕の姿と、戸惑いの色……。 !bgm @100 …………。 @811 …………。 @1 お互い……\s無言になる……。 @0 !mv !mvnil !wait30 \s !wait50 !mv中央公園 !wait50 @811 シシトさん……\s 私を、置いて行かないで下さい……! "あの人"のことも、忘れますから……! !bgm別れ @1 やっとたどり着いた、シシトさんの傍……。 もう、離れたくない……。\s もう、失いたくない……! ただそれだけを、必死に願いました。 シシトさんがお部屋から出て行った時…… その様子が、私を置いて、どこかへ 消えてしまうかのように見えました……。 私自身の過ちのせいで、 シシトさんを失うことになる、と……。 シシトさんが、離れていく、と……。 そして……\s どうしても、シシトさんを失いたくないという 気持ちに、改めて気付きました……。 その為なら、なんだってしましょう。 カイト様のことを忘れる覚悟も、できました。\s 今更……かもしれませんが……。 でも…… @100 …………\sスケイルさん……。\s それは、ダメだよ……。 @811 ――――!! @1 シシトさんにそう言われてしまって、 もう、私はどうしたらいいのか、 わからなくなりました……。 カイト様のことを忘れても、 駄目……なのですか……? @811 では、私はどうすれば……!! @1 私はもう、あなたの傍に居ることは できないのですか……? @100 …………\sスケイルさんに、 僕の傍に居て欲しい……。 僕の願いは、それだけだから……。 @811 ……シシト、さん……。 @1 "傍に居て欲しい"と言われて、 凄く、嬉しかったです……。 でも……\s "それだけだから"と言われて、 悲しく感じる私が居ました……。 もっと、あなたに近づきたいから……。 あなたを失いたくないという想いは、 自分でも抑えきれないほど、強いから……。 だから……\s あなたの元へ帰るという選択をしたんです……。 カイト様のことも、 いつか振り切れると思ったから……。 だから……忘れる覚悟を、決めたんです……。 しかし、それを否定されてしまい、 どうしていいのかわからなくて……。 でも…………、\sそんな私にシシトさんは、 "大切なものを捨てちゃ駄目だ"と、 諭してくれた…… そして……。\sありのままの私を、 受け入れてくださる、と……。 @0 @100 スケイルさん……。 @0 \c[6]ぎゅっ…… @811 え……、\sシシト、さん……? @1 突然、少し強引に、 シシトさんに抱き寄せられた。 そして……シシトさんは私を、 真っ直ぐに見つめてくださっています……。 その瞳が、シシトさんの意思を、 何よりも物語っていました。 でも……\s本当に、良いのですか……? このような私を……\s 受け入れてくれるのですか……? あの人のことを忘れられなくて、 吹っ切ることもできずにいた私を……。 @100 …………。 @811 …………。 @1 それでも、シシトさんの瞳は、 揺るぎなく、私を……\s 私自身を、見つめてくれた……。 …………\sシシト、さん……。 受け取って、ください……。 !wait30 !mvnil !wait30 あなたに……捧げます……。 @0 !mv !wait50 \s !wait50 !mv中央公園 !wait30 @100 …………。 @811 …………。 @1 振り続く雨の中、 僕らは見つめあい続けている。 交わす言葉は、無かった。 今の僕らに、言葉は必要なかった。 それだけで、通じるものがあったから……。 @0 @1 やがて……\sスケイルさんの瞳から、 戸惑いの色だけが消えた。 今、そこに映っているのは、僕だけ……。 …………\sスケイルさんが、瞳を閉じる。 それを合図に、僕らは…… !mvnil !wait30 唇を、重ねた……。 !wait30 @0 \s @1 少し……背徳感はあった。 奪ってしまったという気持ちは、 拭いきれなかったから……。 それでも……\s後悔は、無い。 素直な気持ち、伝えれたから……。\s そして……伝わってきたから……。 そして、何より……。 @0 !mv !mv中央公園 !wait40 @811 @1 スケイルさんが、笑ってくれたから……。 @811 シシトさん……。\s ずっと、あなたの傍に居ても良いですか? @100 うん。 @0 \c[6]ぎゅうっ…… @1 返事と共に、君の体を強く抱きしめる。 もう、離さないから……。 離れようとしても、 無理矢理にでも引き止めるからね……。 ……そこまでは、言えないけどさ……。 どうしても、君を、失いたくないから……。 @811 シシトさん……。\s ちょっと、苦しいです……。 @100 あ……ごめ……って、スケイルさんこそ。 @1 いつの間にか、僕もスケイルさんに、 強く抱きしめられていた……。 @811 あの……。 離れたくなくて……つい……。 @100 それは僕もだよ、スケイルさん……。 @811 シシトさん……。 @1 やっぱり、同じ気持ちなんだ。 それを改めて確かめることができて、 とても嬉しかった。 @0 !mv !mvnil !wait30 !bgs !wait30 君を失うことが怖いのは、 やっぱり変わらない……。 君は、何よりも大切な存在だから……。\s そして今、もっと大切になったから……。 だから、失うことの怖さは、 増してしまったと思う……。 失った時の辛さなんか、計り知れない。\s 想像もしたくない……。 でも……。\s お互いの気持ちを知ることができて、 少し、楽になったよ。 これが、正しいのか、それとも間違っているのか……。\s それは、今の僕には何も言えないし、わからない。 だけど、僕は君の手を握り、歩いていくよ。 そして……\s繋いだこの手は、離さない。 ずっと……。 !wait30 !bgm \s !wait60 \>Scene5\<\s\> どこまでも続く海 そして、夏が訪れて……。 !wait60 !bgs(環境)波の音 !v5=0 !wait30 !mv海岸公園 @811 眩しいですね……。 @100 そうだね……。 @1 僕らはその日も、海を見ていた。 @0 !mv !mvnil !wait60 物語は、海からやってきた。 そして、この物語の続きは…… !wait60 \s !wait30 !bgm !bgs