#Lost Jerusalem.Scene13〜14(Ending) by飛鷹 !wait60 私は、一人の\r[男性,ひと]を愛していた。\s 神としてではなく、女として。 その\r[男性,ひと]は、私に愛を教えてくれた。\s 私を女として、愛してくれた。 女としての私には、 その\r[男性,ひと]が、唯一の存在だった……。 その\r[男性,ひと]への愛を貫くと、心に決めていた……。 なのに…… !wait60 \> Another Story of Silhouette Note.\<\s \f[36] Lost Jerusalem This is The Ending Story. !wait30 !v5=1 !v37=0 \>Scene13\<\s\> 二人の女神 !wait30 !bgs(環境)波の音 !wait30 !mv海岸公園 @810 …………。 @1 喪失感……\s後悔……\sそして、葛藤……。\s 今の私を占めているのは、その三つ……。 別れ際……\s初めてシシトさんの涙を見た。 交わした言葉は少なくても、 その涙と表情は、私に多くを語っていた。 シシトさんの、気持ち……感情を……。 別れたくない……。\s失いたくない……。\s それは、私と同じ想いなんだと……。 でも、私は……去っていくシシトさんを ただ見ていることしか、できなかった……。 今も、シシトさんの姿を探し求め、 私の視線は闇の中を彷徨っている。 ずっと……一緒に居たかった。\s 愛したかった……。 それが、私の素直な気持ち……なのでしょう。 でも……\s カイト様の事は、裏切れない……。 それに、私は戻らなければならない……。\s 天空大陸に、封印結界を施さなければ……。 それなのに…… 心が抜け殻になったみたいに、動けない……。 …………\s動きたくないのかもしれない……。 寂しい……。\s独りは、嫌……。\s あの温かな場所へ、帰りたい……。 シシトさんの、所へ……。 今なら、まだ、帰ることができる……。 何もかも投げ出してしまえば、まだ……。 しかし……それは、許されないこと。\s 私は、天空大陸の女神だから……。 そして……。\s カイト様への愛を貫くと、 心に決めているから……。 私が私である限り、カイト様を愛し続けると……。 @811 …………。\s 生まれ変わりたかった、ですね……。 @1 カイト様を失い……。\s天空大陸は沈み……。\s この世界で、私は独り……。 本当なら、もう、 どこへも行けなかったのに……。 天空大陸と共に、 私の物語は終わるはずだったのに……。 生まれ変わって、 新しい物語を紡ぎたかったのに……。 でも、その願いは、叶わなかった……。\s 記憶を失うという形でしか……。 シシトさんと出会い、過ごした日々も、 \r[邯鄲,かんたん]の夢、と―― そう思って、諦めるしか無いのでしょうか……。 @0 \s !bgs !mvマジカルパレス !mv海岸公園 !wait30 @810 ? @1 一瞬、周囲が光に包まれた。 今のは、一体……? 「スケイル……」 @810 え……? @1 聞き覚えのある声。\sそれは……。 !bgm神秘 @710 やっと見つけましたよ。スケイル。 @1 私を生み出した、女神様が……。 @811 リクレール……様……? @710 やはり、あなただったのですね。 @811 どうして、ここに、リクレール様が……? @710 あなたの理力を感じたので、 大急ぎで飛んできました。 もっとも……場所を特定するのに、 大分時間がかかってしまいましたが……。 @810 そう、ですか……。 @710 本当に、久しぶりですね……。 またスケイルに会えるとは 思いませんでした。 あなたが天空大陸と運命を共にした時、 私は、もう……。 @1 優しく微笑むリクレール様。 この再会を、心から喜んでいること……。\s すぐに、感じ取ることができました。 私も、リクレール様と会えた事は、 とても嬉しい……。 リクレール様は、トーテムだった時の私から、 女神になった後の私まで知っている、 唯一の存在だから……。 でも…… @810 あの、リクレール様……。 @710 わかっています……。 災厄を封じていたあなたの結界が、 解けてしまったのですね? そして、その影響で蘇った魔王を相手に、 誰かと共に戦った……。 @811 はい……。 @1 理力の気配で察していたのでしょう。 そこまでわかっているのなら、 この後どうするべきかも理解しているはず。 @811 では、私は、災厄を封じるために…… @710 待ってください、スケイル……。\s 詳しく、話してくれませんか? あなたが長き眠りから覚めたときから、 今まで、何があったのか……。 @810 何があったのか……ですか。 @710 はい。 是非、聞かせてください。 あ……。\sでも、隠し事は無しですよ? あなたは、一人で重荷を背負い込もうと する癖がありますから。 @811 流石、リクレール様ですね……。 @1 私のこと、よく理解してくれている。 きっと、私が抱えるものにも、気づいている……。 @810 わかりました……。 全て、お話します。 @0 !mv !mvnil !wait40 @1 目が覚めたとき、記憶を失っていたこと。\s 人魚の身体になってしまったこと。 ……\sシシトさんと、出会ったこと……。\s 穏やかで温かな日々を、過ごしたこと。 そして、記憶を取り戻し、魔王と戦い……\s シシトさんと、別れたこと……。 私は、全てをリクレール様にお話しました。 !wait40 !mv海岸公園 !wait20 @710 そうですか……。\s 色々と、あったのですね……。 @810 そうですね……。 @1 本当に色々、ありました……。 @710 スケイル……。 一つ、聞かせてください。 あなたはこれから、どうしたいですか? @810 え……? それは、災厄を封じて…… @710 違うでしょう?スケイル。 それはあなたが、 "しなくてはいけない"と考えていること。 私が聞きたいのは、 純粋に"あなたがどうしたいのか"ですよ。 @811 それは……。 @1 でも、それを言ってしまったら……。 @710 …………。\s 確かに、天空大陸の災厄は、 封じなければなりません。 草原が……\s森林が……\s大地が枯れ……\s 今度は、海の\r[生命,いのち]が枯れてしまう……。 そして、\r[生命,いのち]の力を吸った魔物が、 次々と現れるでしょう……。 でも……スケイルも気づいているのでは? その核たる存在が、魔王だということに。 そして、その魔王が倒れた今、 あなたほどの力が無くても、 災厄は封じることができることに。 それなのに、何故、あなたは……。 @811 …………。 !bgm @1 リクレール様は、私の本音に気づいている。 その上で、何故私がそれを口に出さないのか、 疑問に思っているのでしょう。 !bgm別れ @811 嘘に……したく、無いんです……。\s カイト様を、愛していたことを……。 @710 カイトさんのこと、ですか……。 @811 リクレール様は、 わかっているはずです……。 私が、カイト様を愛していること……。 私が私である限り、 カイト様を愛し続けると……。 一人の女としての愛を貫くと、 心に決めていたことを……。 @710 でも、スケイル……。あなたは……。 @811 自覚、していますよ……。 狂おしいくらい、 シシトさんに惹かれていること……。 でも……愛せないんです……! カイト様への愛を、嘘にしたくないから! @710 …………。\s 嘘になんて……なりませんよ。 @810 え……?\s どういう、ことですか……? @1 私がシシトさんを愛したら、 それは、カイト様を裏切ることに……。 @710 スケイル……。 あなたがカイトさんの事を ずっと想い続けていたことを、 私は知っています。 あなたのこと、 私はずっと、見ていましたから……。 あなたを生み出した者として……。\s 家族として……。 @811 家族……? @710 スケイル……。 何故、私が、あなた達を生み出したのか、 わかりますか? @811 それは……。 @1 今まで、聞いたこと、なかったですね……。 @710 寂しかったんですよ……。 神として生きていくことは、 孤独ですから……。 だから、家族が欲しかったんです。\s 一緒に生きてくれる存在が……。 @811 …………。 @710 スケイルが女神になったあとも、 あなたは私にとって、家族でした。 今も、そう思っています。 @811 そう……ですか……。 @1 知らなかった……。 でも、私も同じように感じていたのかも しれません。 ただ、気づいていなかっただけで……。 @710 それとですね。スケイル……。 あなたは、私と同じなんです。 @811 どういう、意味でしょう……? @1 私と、リクレール様が、同じ……? @710 私にも、昔、愛する人がいました。 神としてではなく、 一人の女として、愛する人が……。 私を一人の女として、 愛してくれた人が……。 そして……\sその人を、失っています……。 @811 !! @1 リクレール様は、 私と同じ悲しみを知っている……。 神としての孤独も、知っている……。 確かに、私と同じ……。 @710 では…… 同じものとして、聞かせてください。 スケイル……。\s シシトさんと別れたことに、 後悔を感じているでしょう? @811 …………\sはい。 @710 過去は、変えることができません……。 どんなに後悔しても、どんなに辛くても、 事実は、変わりません。 真実が、虚実になることもありません。 @811 …………。 @710 そして……\sだからこそ……。 あなたがカイトさんを愛していたことも、 嘘になることは、無いのですよ。 @811 !! @710 その腕輪は、あなたとカイトさんが、 互いに贈りあったものですよね? @811 そう、です……。 お互いの、想いの証として……。 @710 なら、その腕輪は、消えるでしょうか? @811 消え、ません……。 @710 そういうことですよ……スケイル。 @1 嘘に……ならない? 決して消えない真実として、 変わらないまま……? @710 カイトさんは、あなたを過去に縛ることを 望んでいません。 あなたが辛い想いをすることも、 望んでなんか、いませんよ。 @811 …………。 @1 揺れる……。 ぐらぐらと揺れていく……。\s 固く凍り付いていたものが、溶けていく……。 @710 それにね……。正直に言えば、 私はスケイルが羨ましいですよ。 また、愛してくれる人に出会えたことが。 @1 寂しそうな微笑を浮かべるリクレール様。 リクレール様も、 出会いたいと願っているのでしょうか……。 自分を、一人の人として愛してくれる人を……。 一人の女として、愛せる人を……。 確かに、私は出会えたんだと思います……。\s そんな人に……。 人として……。\s 女と男として、愛し合える人に……。 でも……。 @811 でも……。\sシシトさんを愛せない\r[理由,わけ]は、 それだけじゃないんです……。 このままでは、シシトさんを カイト様の代わりにしてしまいそうで……。 @1 カイト様とシシトさんは、全く違う人……。 少し似ているけど、違う人……。 それは、今まで一緒に居たことで、 よくわかっています……。 戦い方も、能力も違う……。 二人の『神眼』を使うという共通点は、 最初、偶然の一致とは思えませんでした。 そもそも、『神眼』の使い手は、極少数……。 しかも、二人とも、独自の術として使っていた。 この数奇な一致は、二人の姿が重なるには、 十分すぎるものでした……。 でも実は、その性質も違った……。 カイト様の『神眼』は、 純粋に結界を斬り、攻撃力を高めるもの。 カイト様が、天空大陸の人々に伝えた秘術。 もっとも……使い手だったのは、 唯一、カイト様だけでした。 それに、そのカイト様自身も、 他の理力も使いこなしていました。 母なる海の杖を使っていたのも、 カイト様でした……。 シシトさんの『神眼』は、 理力を破り、消滅させる力。 結界だけでなく、 様々な理力を破ることができる。 神の力すらも、斬ることができた……。 しかし、その性質上、 恐らく他の理力を使うことはできない……。 その力の高まりと共に、瞳の色が変わるのも、 シシトさんだけの特徴……。 似ているようでいて、 これだけ、違いがはっきりしている……。 それに、シシトさんとカイト様は、 性格も、行動も、基本的に違う……。 なのに、私には……\s 時々、その姿が、重なって見えてしまった……。 時々、仕草が似ている……。\s 時々、言葉が似ている……。\s 時々、その表情が、似ている……。 きっと、偶々なのに……。 そのせいで、悲しいほど、 二人の姿を重ねてしまった……。 もし、シシトさんがカイト様の転生した人 だとしたら……。 そうだとしたら、私は……。 …………。\s 確かめましょう……。 @810 リクレール、様……。 カイト様はあの後……\s どう、なったのですか……? @1 転生、したのでしょうか……? !bgm @710 カイトさんは……\s転生、していません。 彼は……\s\r[涅槃,ねはん]へと辿り着きました。 @810 そう……ですか……。 @1 転生をせず、涅槃へ……。 @710 ……スケイル? @1 それなら……私は……。 @0 !mv !mvnil !wait40 \s !v5=0 !v27=2 !v37=1 !wait60 時は止まることなく流れ続ける。\s 幸せな時も、\s悲しい時も、\s寂しいときも……。 時の流れは、何もかも、過去に変えてしまう。\s 過去の記憶に……。\s過去の、想い出に……。 それでも、人は、今を生きなきゃいけない。\s 未来へと進まなきゃいけない。 でも、僕は……\s 過去を振り返らずには、いられなかった……。 !wait60 \>Scene14\<\s\> 海と桜と…… !wait60 !mvシシトの部屋 !bgm安らぎ !wait30 !se(Action)ドア開け !wait30 @100 ただいま。 @700 おう。おかえり、シシト。 @1 あれから季節は巡り、春が訪れた。 僕は高校3年になったけど、 特に何かが変わったわけではない。 ……スケイルさんが 居なくなったことを、除けば。 リス君はここに居続けている。 つまり、僕は、魔物退治の仕事をやめていない。 マジカルパレスの方から、 継続するよう頼み込まれてしまったんだ。 僕のような能力が必要なんだ……と。 実際、魔力を斬るこの術は、 護りにおいて、とても重宝した。 魔法を跳ね返すでもなく、受け止めるでもなく、 消滅させるから、周囲へ被害が出ない。 最近では、マジカルパレスの方で "黒き瞳のマジックキラー"と呼ばれているらしい。 キラーってのがなんだか嫌だけど……。 ちなみに、能力を行使している時、 瞳が黒くなるのは、リス君から聞いた。 まあ……そんな称号とかは、 僕にとっては、どうでもよかった。 あの術は、スケイルさんを護る為に 閃いたものだから……。 僕にとって大事なのは、それだけのこと。 !v27=1 @700 シシト。今日も行くのか? @1 着替え終わったところで、 リス君がそう話しかけてきた。 @100 うん。 @700 オレ暇だし、ついていこうか? @100 ごめん……。\s 今日は、一人になりたい気分だ。 @700 そうか……。 @705 んじゃ、代わりにお土産よろしく!! @102 はいはい。 余裕があったらね。 @100 それじゃあ、行ってくるね。 @700 いってら。 @0 !mv !se(Action)ドア開け !wait30 !mvnil !se(Action)ドア閉め !bgm \s !wait30 !bgs(環境)波の音 !wait30 !bgm静かな時 !mv海岸公園 !se(Action)学内歩き !wait30 @100 …………。 @1 海は太陽と共にその輝きを増し、 波がどこからか桜の花びらを運んでくる。 ……ここに通うことは、あれからも、 ずっと、僕の習慣になっていた。 この場所は…… スケイルさんと出会った場所だから……。 そして……。\s 会いたいと、願っているから……。 @100 …………。\s また、一枚流れてきたね……。 @1 波間に浮かぶ桜の花びらを、 そっと拾い上げる。 一体、どこから流れてきたのだろう……。 拾わなかったら、 どこへ流れていくのだろう……。 ……なんだか、スケイルさんに似ている、と…… そう思った。 海に沈んだという\r[天空大陸,エルサレム]――\s それがどこにあるのか、誰にもわからない。 知っているのは、スケイルさんただ一人。 そして、スケイルさんは……\s そこへ、帰っていった……。 災厄を封じる、結界を施すために。 @100 …………。 @1 この海のどこかで、 スケイルさんは、眠っているんだろうか……。 本当に…… もう、会うことは、できないのだろうか……。 @0 @1 幻想のような物語は、海からやってきた。 この場所で\r[人魚姫,スケイルさん]と出会って……\s それから、一緒に暮らし、共に魔王と戦った……。 そして……海へと、消えていった……。 でも……\s 本当に、物語は、これで終わりなのだろうか……。 終わってほしくない……。\s 続いてほしい……。 そう願わずにはいられなかった。 とっくに、終わってしまったのに……。 !bgm @100 …………。 !bgs @0 フュウ…… @1 風が、吹いた―― @100 あ…… @1 桜の花びらが、その風にのって宙を舞い―― それを僕の視線は追いかける。 そして、振り向いた先に―― @100 ――!! @1 君が、いた。 !seエンディングテーマ2 @0 !mv !wait30 @811 お久しぶりです……シシトさん! @1 降り注ぐ日を浴びて、 穢れなく微笑む、スケイルさんが――! @100 スケイルさん……! @1 これは、夢じゃないよね……?\s 桜の花びらが見せた、幻覚じゃないよね……? それを確かめたくて、 僕はスケイルさんへと駆け寄った。 @811 シシトさん……。\s また会えて、よかった……! @1 幻でも、なんでもない……! 確かに、スケイルさんはここにいる! @100 スケイルさん……。 @1 ああ、ダメだ……言葉が、出てこない。 伝えたかった色んな言葉が溢れてきて……\s 何を言ったらいいのか、わからないよ……! それでも……今の気持ちを、 素直に伝えよう。 @100 会いたかった……!! @811 私もです。シシトさん……!! @0 !mv !mvnil !wait60 幻想のような物語は、海からやってきた。 そして……\s 物語の続きは、ここから始まる―― スケイルさんと共に紡ぐ、新しい物語が。 繋いだこの手は……もう、離さない。 !wait60 \s\s 災厄は封じました。 私の身体にあった宝珠と、母なる海の杖の力で。 過去に捕われた物語は、これで、終わり……。 そして私は、ここへ戻ってきた……。 これから始まるのは、私とシシトさんの物語……。 !wait60 \s\s !wait60 \>Another Story of Silhouette Note.\<\s \>Lost Jerusalem.\<\s THE END !se