陪審法判例(抄録)
1993.10.13
(判#77)陪審裁判長と刑及刑の量定に関する法規説明の自由 2982号,9頁,通巻8053頁(昭4(れ)150号、昭4,4,1大審院刑事「尊属殺人未遂殺人未遂被告」事件)[陪審法77条には刑又は刑の量定に関し説示を為すべき旨の規定なしといえども陪審員より説明を要求すると否とに拘らず裁判長が陪審員をして事実の答申を誤らしめざる為必要ありと認むる場合には罪責の有無に関し其の意見を表示せざる限り陪審員に対し刑及刑の量定に関する法規の説明を為すことは法の禁止する所に非ずと解するを相当とす]
(判#77)陪審裁判長と証拠要領の説示 2982,9,8053(同前)[裁判長が陪審に対し証拠の要領を説示するに当りて其の証拠の信否に関し自己の意見を表示せざる限りは証人の証言が被告人に有利なりや否やを告ぐることあるも之単に証拠の内容を陪審員に了知せしむるに過ぎざるものにして陪審法第77条の所謂証拠要領の説示として何等の違法あるものにあらず]
(判#75)陪審法75条の「訴訟関係人の異議なき」場合の解 2982,9,8053(同前)[陪審法75条に所謂「訴訟関係人の異議なき」場合には公判に於て訴訟関係人が異議なきことを明示する場合のみならず異議なきことを黙示する場合をも包含すると解するを相当とす]
(判#104)陪審の答申を採択して為したる判決に対する上告 2982,12,8056(昭4(れ)123号、昭4,4,6大審院刑事「放火被告」事件)[陪審の答申を採択して事実の判断を為したる事件の判決に対しては裁判長の説示に関し陪審法第104条第5号乃至第7号の如き事由ある場合には之を以て上告の理由と為し得ること同法条の明規するところなりといえども同法及刑事訴訟法を通覧するも検事若は原審相被告弁護人の意見の陳述を云為し之を上告の理由と為すことを許容したる法規一も存せざるを以てかかる事由に依りては上告を為し得ざるものとす]
(雑)陪審事件 2995,17(長崎地裁初の陪審裁判、放火被告事件)
(雑#77,#82,#106,#107)陪審事件最初の上告破棄判決 3026,4(昭4(れ)26号、昭4,5,3大審院判決「殺人窃盗被告」事件)(陪審上告事件最初の大審院破棄判決。最初だけに裁判長の論告並に説示に就ての上告理由に対しては大審院は極めて精細な説明を与えた。破棄になった理由は想像的併合罪を単なる併合罪なりとした刑法上の理由であるが、前半陪審法に関する説明も見逃すべからざるもの。)
(判#103)陪審事件と上告理由 3031,11,8211(昭4(れ)696号、昭4,9,3大審院刑事「殺人被告」事件)[陪審事件の判決に対しては事実の誤認を理由として上告を為すことを許さざるものとす]
(雑)陪審事件、茨城の放火 3031,17(水戸地裁)
(判#62,#12-14,#104)陪審員選定通知書と職業の記載 3039,10,8250(昭4(れ)487号、昭4,6,13大審院刑事「放火未遂被告」事件)[陪審員選定通知書の職業欄に「其の他の有業者」との記載あるときは大正9年12月24日内閣訓令第1号職業分類に所謂「其の他の有業者」に該当し右職業分類は公務の取扱上一般に慣用せらるるものとなるにより右職業の記載は陪審法第62条所定の職業の記載として瑕疵あるものに非ず]
(判)陪審員の職業の記載不完全と除斥の原因 3039,10,8250(同前)[陪審員の職業の記載不完全にして其陪審員が果して何職業なるや分明ならずとするも職業の如何は陪審員除斥の理由とならざるものとす]
(判#77)陪審裁判長自己意見を表示したりや否やの判断 3042,9,8257(昭4(れ)450号、昭4,6,6大審院刑事「強盗殺人未遂」事件)[陪審裁判長が説示に際し自己の意見を表示したりや否やは其の説示の一部のみを捉えて容易に判断すべきものに非ず必ず説示の全体に亘り虚心公正に之を観察して自己の意見を表示したるものと解すべきや否やを判断すべきものとす]
(判#79)陪審と主問 3056,12,8292(昭4(れ)525号、昭4,6,24大審院刑事「強盗殺人」事件)[陪審法第79条第2項に依れば裁判長が陪審に対し発する主問は公判に付せられたる犯罪構成要素に属する事実の有無を評議せしむる為之を為すべきものなれば犯罪構成要素に属する事実の有無に付主問を発すれば足り爾余の付随的事実の如きは陪審の評議に付する必要なきものとす]
(判#76)陪審検事と証拠に関する陳述 3056,12,8292(同前)[検事が陪審法第76条所定の事実上の問題に付意見を陳述するに当り証拠に関する陳述を為すことは豪も違法に非ざるを以て陪審裁判長が検事の右陳述を阻止せざりしは当然なり]
(判#73)陪審法73条2項の解 3059,9,8297(昭4(れ)643号、昭4,7,20大審院刑事「殺人被告」事件)[陪審法第73条第2号に所謂「被告人公判の訊問に対して為したる陳述の重要なる部分を公判に於て変更したるとき」とは被告人が当該公判以前の公判公判準備手続予審又は強制捜査処分其の他同条所定の訊問手続に於ける供述の重要なる部分を当該公判に於て変更したる場合を指称ししかも其の供述は被告人が叙上何れかの訊問に対して為したる重要なる部分を当該公判前既にこれを変更したる場合いえどもなお公判外の訊問に対して為したる供述の重要なる部分を公判に於て変更したるものと解すべきものとす]
(判#73,#71,#75)同法条同号の供述変更と証拠力 3059,9,8297(同前)[被告人が予審に於て自白し公判準備手続に至り該自白を取消し以て公判に於ても又同じく該自白を取消したるときは之れ陪審法第73条第2号に所謂被告人公判外の訊問に対して為したる供述の主要なる部分を公判に於て変更したるときとあるに該当するを以て該予審訊問調書は同法第条第2号に以り同法第71条の直接審理主義に基く採証原則の例外として証拠と為すことを得るものにして同法第75条の書類に非常ざるを以て新訟関係人より証拠と為すことに付異議ありたる為其の証拠力を失ふものに非ず]
(判#103,#105)陪審裁判と刑訴347条2項 3064,9,8321(昭4(れ)856号、昭4,10,8大審院刑事「強盗傷人被告」事件)[刑事訴訟法第347条第2項に於て裁判長は被告人に対し其の利益となるべき証拠を提出することを得べき旨の告知を為すべしと規定せる所以は被告人をして公判審理中其の利益となるべき証拠を自由に提出することを得せしめ因て以て被告人をして自己の弁護権を完全に行使することを得せしむるの趣旨に外ならざるを以て被告人に対する裁判長の該告知は公判廷に於ける審理手続中重要なる事項に属し之に違背するときは其の審理手続に重大なる違法あるを免れざるものとす然り而して該手続は陪審裁判に於て特に之を遵守するを要せずと為すべき法律上の根拠存せざるを以て陪審法第103条に依り右手続上の違法は陪審裁判に於ても等しく上告の理由と為すことを得るものとす]
(判#77)陪審答申後に於ける犯罪の情状に関する訊問並証拠調 3075,9,8385(昭4(れ)783号、昭4,10,19大審院刑事「強盗殺人未遂被告」事件)[陪審裁判手続に於ける犯罪の構成要素に関する事実上の訊問及証拠調は裁判長が陪審に対し犯罪構成事実の有無を問ひ其の答申を命ずる以前に完了することを要すといえども刑の量定に必要なる犯罪の性状に関する事実上の訊問並に証拠調の如きは必ずしも陪審の答申前に為すことを要せず其の答申後所謂第2次の弁論前に此の点に関する訊問並に証拠調を為すを妨げざるものとす]
(判)陪審裁判長と証拠要領の説示の範囲 3075,9,8385(同前)[陪審裁判長に於て証拠を説示するに当りては公判に於て証拠調を経たる証拠の全体を一団として其の要領を逸せざる限りは縦令検事被告人又は弁護人より其の主張事実を立証すべき証拠として援用若は提出したるものといえども之を説示中に加えざるも違法に非ず]
(判#70,#31,#103)補充陪審員の権限 3085,12,8452(昭4(れ)1039号、昭4,10,29大審院刑事「放火未遂被告」事件)[補充陪審員は他の陪審員と共に宣誓を為し公判に立会ふは勿論裁判長の許可を受け被告人其の他陪審法第70条第2項所定の人々を訊問することを得べし但し裁判長の交付したる問書に対する答申は陪審構成員に限り之を為すことを得るものにして補充陪審員は裁判長の許可を受くるに非ざれば評議室に入ることを得ざるものとす]
(判)陪審答申後の弁論に於ては犯罪成立阻却事実上の主張を為し得ず 3085,12,8452(同前)[法律上犯罪の成立を阻却すべき事実上の主張は陪審の答申後の弁論に於ては之を為すことを得ざるものとす]
(判#47,#43,#77)陪審事件の弁護人に対する公判期日の召喚状送達と猶予期日、公判期日指定の異議に付ては裁判を要せず 3105,11,8549(昭4(れ)1404号、昭5,1,24大審院刑事「殺人未遂被告」事件)[弁護人に対する陪審公判期日の召喚状の送達と公判期日との間には7日の猶予期間を存せざるべからざるものに非ず]
(判)公判期日指定の異議に付ては裁判を要せず 3105,11,8549(同前)[公判期日の指定は公判の準備手続に属し公判中に於ける裁判長の処分にあらざるを以て之に対し刑事訴訟法第348条に依り異議の申立を為し得ざるのみならず之に対する異議申立を許したる規定なきを以て縦令公判廷に於てかかる申立あるも裁判所は之に対し必ずしも裁判を為すの要なし]
(雑)放火陪審事件判決 3125,19(東京地裁昭5,5,28有罪)
(判#77,#58,#62,#15,#76)陪審呼出状に記載すべき事項 3128,9,8699(昭5(れ)37号、昭5,3,10大審院刑事「強盗傷害被告」事件)[陪審員に対する呼出状には出頭すべき日時及呼出に応ぜざるときは過料に処せられるべき旨を記載すべきものなりといえども被告人の氏名及被告事件の記載は之を為すべきものに非ず]
(判#15,#62)陪審員と被害者との関係は単に審査で足り問査を要せず 3139,9,8735(昭5(れ)173号、昭5,4,23大審院刑事「殺人被告」事件)[陪審員と被害者との関係は陪審員と被告人との関係と相並びて陪審法第15条に依りて之が審査を為すことを要するや勿論なれども其の中後者に付きては同法は第62条第2項に於て特に問査の形式に依るべきことを要求するに拘らず前者に付きては之と同一の形式に依るべきことを要求せず従て後者に付ては単に審査するを以て足り問査を要するものに非ざるや論をまたず而して右審査は特に審査を為さざりしことの反証なき限り之を行ひたるものと認むるを相当とし公判調書に問査の記載なき一事を以て審査も行はざりしものと為すを得ず]
(判#76,#77)陪審の検、弁被告が証拠調終了後陳述意見の範囲 3139,9,8735(同前)[陪審手続に於ては証拠調終りたる後検事被告人及弁護人は犯罪の構成要素に関する事実上及法律上の問題のみに付意見を陳述すべきこと陪審法第76条第1項の規定ある所にして右陳述即ち弁論終結後裁判長の説示すべき必要なる法律上の論点問題と為るべき事実並に右事実に関する証拠の要領は叙上犯罪の構成要素のみに付為すべきこと同法第77条の解釈上洵に明らかなりとす]
(判#37)陪審の当事者が主問外補問の必要ありとせば問の変更申立を為し得 3139,9,8735(同前)[陪審手続に於て裁判長の為す補問は公判に付せられたるものと異なりたる犯罪構成事実の有無を評議せしむる必要ありと認むるときに於て補充的に発すべきものにして其の必要の有無は裁判長之を定むべきものなるも訴訟当事者に於て裁判長の発問方法不十分にして主問の外なほ補問の必要ありとせば陪審法第80条に依り問の変更申立を為し得べきものとす蓋し同条に問の変更とは問の増減をも包含すべければなり]
(判)陪審の公判準備には陪審員の立会不要 3139,9,8735(同前)[陪審法第37条第40条の規定を通覧し陪審法制度の趣旨に基き稽ふるに公判準備手続には陪審員の立会を要せざるものとす]
(判#15,#60)陪審構成手続と同法第15条 3169,12,8888(昭5(れ)493、昭5,5,31第審院刑事「放火未遂被告」事件)[陪審法第60条以下の規定を通覧するときは陪審員と被告人の身分関係のみならず同法第15条列記の各関係の調査も又陪審構成の手続に属し従て同法第62条に於て除斥の原由の有無を問ふには当然右第15条の各関係を調査するを要するものと解すべきこと些の疑を容れず而して原審公判調書に裁判長は陪審員に対し被告人の氏名職業及住居を告げ除外の原由ありや否やを問ひたる旨の記載ある以上は裁判長は被告人の氏名等を告知したるのみならず前示第15条の各関係をも調査したるものと解するを相当とす]
(雑#2-4)陪審事件と非陪審事件併合審理連続犯と一部起訴 3186,6(昭5(れ)545号、昭5,7,17大審院刑事「殺人死体遺棄被告」事件)(陪審事件と非陪審事件とは絶対に併合審理すべきものでないか否かにつき、千葉検事正の上告に対し大審院は之に積極的な説明を与えて積極説を取った。尚上告趣意書の第2点は陪審事件たる殺人につき起訴したるに拘らず、死体遺棄に付いても審理したのは違法というのであるが、大審院は適法とし、詳細な説明をなし以て、陪審事件につき判例となる判決を与えた)
(雑#77)陪審説示の内容範囲 3189,5(昭5(れ)618号、昭5,7,5大審院刑事「殺人未遂被告」事件)(裁判長が陪審員に対して説示を為す場合にありては陪審法77条の制限を受くべきは勿論なるも被告人の性行経歴環境等を指摘して陪審の参考となるべき説示を指摘して陪審の参考となるべき説示を為すは適法なりといふ新判例である)
(判#7)陪審法7条但書の共同被告人の意義 3221,12,9256(昭5(れ)1220号、昭5,10,2大審院刑事「放火被告」事件)[陪審法第7条但書の所謂共同被告人に関する規定は所謂必要的共犯関係ある場合のみに限らず一般の共犯関係の場合に適用あるものとす]
(判)陪審事件と被告人の性行 3332,7(昭6年(れ)685号、昭6,7,22大審院刑事「強盗殺人同未遂住居侵入被告」事件)[陪審の評議に付する事件の公判に於て被告人を訊問するに際り其の性行をも取調べ之を明白ならしむるは陪審員をして事件に付適正なる判断を為さしむる所以なり]
(判#62,#15,#77)陪審員に対する除斥事由の告知 3332,7(同前)[陪審法第62条第2項に裁判長は陪審員に被告人の氏名職業及居住地を告げ除斥の原由ありや否やを問ふべしと規定するを以て公判調書には唯其の手続を履践したる旨を明記するを以て足り同法第15条所定の事由を告知したりや否を記載するの要なし]
(判#77,#76,#73)公判準備に於ける被告人の供述と陪審員に対する説示 3348,13,10153(昭6(れ)1049号、昭6,11,2大審院刑事「放火並同未遂被告」事件)[陪審事件の裁判長が第一次弁論の終結後陪審法第77条に準拠し説示を為すに当り該公判準備手続に於て被告人の為したる供述の要領を説示せんとせば其弁論終結前該供述を録取せる公判準備調書を一の書証として公判廷に顕出せしめ之を被告人に読聞け其の意思反証を求めざるべからず]
(判#5-7,#3)陪審請求の時期 3418,4(昭6(れ)1、6820号、昭7,2,26大審院刑事「偽証教唆被告」事件)(被告人から被告事件を陪審の評議に付すべき始期に付ては陪審法に何等の規定がない。本件は右の事案に付ての最初の判例として注目すべきである。尚第2の判旨として、偽証教唆の場合に、教唆の趣旨と証言とが不一致の際にも尚偽証教唆が成立するとする新判例が含まれている。)
(判)陪審に於ける補問の用語と評議の効果 3425,15,10767(昭7(れ)224号、昭7,4,22大審院刑事「強盗殺人被告」事件)[陪審の評議は先ず主問に付之を為し主問を否定したる場合始めて補問につき評議を為すものなれば補問の用語妥当を欠くとするも陪審の評議に影響なし]
(判#77)裁判長の陪審員に対する間接証拠の価値の説示 3430,13,10805(昭7(れ)514号、昭7,6,9大審院刑事「殺人被告」事件)
(判#79-80)陪審に於ける補問の要否 3431,10,10814(昭7(れ)528号、昭7,6,14大審院刑事「殺人未遂幇助被告」事件)
(判#77,#71)陪審事件と被告の経歴犯行動機の判示 3441,12,10888(昭7(れ)648号、昭7,7,1大審院刑事「殺人被告」事件)
(判#77)陪審員に対する証拠の信否と事実判断に関する説示 3443,11,10899(昭7(れ)545号、昭7,6,24大審院刑事「放火殺人被告」事件)
(判#40,#7,#45)陪審法第40条第2項と公判準備手続に出頭したる弁護人の氏名 3489,15,11231(昭7(れ)1322号、昭7,11,14大審院刑事「放火被告」事件)
(判#71-77,#104,#79,#88,#60-68)陪審と自白の価値に関する裁判長の説明・陪審構成手続の不公開 3495,11,11291(昭7(れ)961号、昭7,10,6大審院刑事「放火未遂被告」事件)
(判#46,#62-63,#77)陪審公判準備調書と読聞け及閲覧 3513,14,11404(昭7(れ)579号、昭7,7,9大審院刑事「放火被告」事件)[陪審公判準備調書は一般調書に於けるが如く裁判所書記をして之が供述者に読聞かしめ又は供述者をして之を閲覧せしめ其の記載の相違なきや否を問ひ且供述者をして調書に署名捺印せしむるが如きことは之を行はんと欲するも能はざるの場合之ありと謂ふべく随て此くの如き手続は之を履践するを必要とせず]
(判#2-3,#48)法定陪審事件と請求陪審事件の併合罪と其取扱、陪審法第48条の法意 3606,15,12099(昭8(れ)664号、昭8,6,23大審院刑事「強盗殺人被告」事件)[陪審法は其の第2条に於て法定陪審に該当する事件を規定し第3条に於て請求陪審に該当する事件に付規定するを以て縦令両者併合罪の関係に於て公判に繋属する場合といえども右第3条規定の事件は被告の請求あるに非ざれば之を陪審の評議に付すべきものに非ず][陪審法第48条の規定は単に訓示的規定に過ぎず]
(判#97)陪審法第97条と刑事訴訟法第360条 3610,7,12127(昭8(れ)523号、昭8,6,21大審院刑事「通貨偽造被告」事件)
(判#77,#79)陪審に対する補問の要否 3636,6,12328(昭8(れ)1358号、昭8,11,16大審院刑事「傷害致死被告」事件)[陪審に対する裁判長の問は主問は常に之を為すべきも補問は裁判長が各案件に付被告人の弁解其の他諸般の状況をあんじ必要ありと認めたる場合に於て之を為すべきものにして理論上想像し得べき総ての場合を蓋して之に処するの補問を為すを要するものに非ず]
(判)強盗殺人放火行為と陪審 3684,11,12713(昭8(れ)1648号、昭9,2,2大審院刑事「放火死体損壊被告」事件)[強盗殺人放火行為中強盗殺人の事実を陪審に付し人の住居に使用せざる家屋に対する放火及之と牽連一罪を構成する死体損壊の事実を通常の訴訟手続に従ひ審判せるは正当なり]
(判#77,#76,#104)陪審公判準備手続に於ける検証の結果と証拠調 3712,12,12884(昭8(れ)1947号、昭9,3,10大審院刑事「放火被告」事件)[陪審員の列席せざる公判準備手続に於て為したる検証の結果の如きは公判廷に於て適法に其の証拠調の手続を為さざる限り裁判長の説示中に包含せしむるを得ず]
(判#77)陪審に於る裁判長の事実並に証拠に関する説示 3754,12,13146(昭9(れ)483号、昭9,6,14大審院刑事「放火被告」事件)[裁判長が説示を為すに当たりては個々の事実及証拠に付ては勿論又総括的にも証拠の信否及罪責の有無に付意見を明示又は暗示すべきに非ざるも客観的の事実及証拠が有りの侭に説示せられたる結果として陪審員が容易に有罪無罪の判断を為し得るに至ることあるも之が為に説示そのものに意見の表示ありと認むべきものにあらず]
(判#7)陪審法第7条但書の適用 3772,15,13297(昭9(れ)849号、昭9,9,29大審院刑事「放火教唆詐欺被告」事件,弁護人清瀬一郎他)[陪審法第7条が其の第1項に於て被告人公判又は公判準備手続に於ける取調に於て公訴事項を認めたるときは事件を陪審の評議に付することを得ずと規定し其の但書に於て共同被告人中公訴事実を認めざる者あるときは此の限りに在ずと規定せる所以のものは蓋し審理を統一して事実認定上にソゴなからしめむことを期するの趣旨に出たるものにして但書の趣旨たるや公訴事実を認めざる者に於て陪審を辞せざる場合に限り適用あるものとす]
(判#79,#92,#88,#95,#77)陪審と補問の要否 4008,14,15120(昭11(れ)27号、昭11,4,18大審院刑事「尊属監禁致死被告」事件)[陪審手続に於て陪審員に対する裁判長の問は主問は常に必ず之を為すべきも補問は必す之を為さざるべからざるものに非ず]
(判#73,#72,#77,#95-96)説示と証拠説明 4061,10,15500(昭11(れ)1061号、昭11,7,16大審院刑事「嬰児殺被告」事件)[裁判長は陪審員に対し証拠の要領を説示すれば足り必ずしも各個の証拠に付一々具体的に説明することを要せず]
(判#84,#51)陪審と所謂訓辞的規程 4096,17,15891(昭11(れ)2632号、昭11,12,15大審院刑事「放火及詐欺被告」事件)[陪審法第84条に所謂陪審の答申前陪審員をして裁判所を退出せしむる場合に於ては裁判長は陪審員に対し他人との交通に関し遵守すべき事項を指示すべき旨の規定は所謂訓辞的規定にして右指示を欠くも違法に非ず]
(判#77)陪審と説示の程度 4156,7,16259(昭12(れ)21号、昭12,4,28大審院刑事「殺人被告」事件)[陪審法77条所定の説示は既に公判に於て陪審員の前に展開せられたる当事者の主張事実をことごとく復唱し或は証拠の全部に付き証拠調の際に為したると同一の手続を繰返すを要せず]
(判#104-105)陪審と裁判長の証拠説示の違法 4252,6(昭12(れ)2065号、昭13,1,24大審院刑事「殺人被告」事件)(昭和11年7月27日午前6時頃、所は滋賀県蒲生郡八幡町、被告方の離れに於て、当時72歳の老婆が絞死していた。事件は陪審になって、その結果被告人が絞殺したるものなりと断じたのである。弁護人はこれに対し、本件は他殺にあらずして、自殺なりとの見解の下に、陪審員の犯罪事実認定に誤認があるが、これを上告理由とすることが出来ないのを遺憾とする、として、裁判長の証拠説示の違法を上告理由とした。即ち本件事実を、自殺と断定すべき証拠があるに拘らず、裁判長は被告人に不利な証拠のみを採りて、陪審員に説示してある。が故に、陪審法の精神に違反するものと、主張したのである。大審院は上告理由を容れて、事件を破棄移送した。裁判長の説示に関する、解釈上の点に止まらず、陪審法の根本問題にも触れる重要な判例である。)
陪審法
第一章 総則
第一条(陪審の任務)
第二条(法定陪審)
第三条(請求陪審)
第四条(陪審不適)
第五条(請求陪審の請求期間)
第六条(陪審の抛棄)
第七条(公訴事実の承認による陪審の抛棄)
第八条(管轄移転の請求)
第九条(管轄移転の請求の手続)
第十条(管轄移転の請求と陪審の抛棄)
第二章 陪審員及陪審ノ構成
第十一条(上訴審と陪審)
第十二条(陪審員の資格)
第十三条、第十四条(欠格事由)
第十五条(除斥)
第十六条(職務の辞退)
第十七条(陪審員資格者名簿の調製)
第十八条(名簿の縦覧)
第十九条(名簿に対する異議申立)
第二十条、第二十一条(異議申立に対する処置)
第二十二条(陪審員予定数の割当)
第二十三条(陪審員候補者名簿の調製)
第二十四条(判事の監督指示権)
第二十五条(陪審員候補者名簿の送付等)
第二十六条(候補者の欠缺)
第二十七条(陪審員の選任)
第二十八条(再選の制限)
第二十九条(陪審の構成)
第三十条(陪審の恒定)
第三十一条、第三十二条(補充陪審員)
第三十三条(他の事件)
第三十四条(旅費等の給与)
第三章 陪審手続
第一節 公判準備
第三十五条(公判準備期日の指定)
第三十六条(弁護人)
第三十七条(召喚・通知)
第三十八条(猶予期間)
第三十九条(公判期日と公判準備期日)
第四十条(公判準備期日の取調)
第四十一条、第四十二条(法定陪審の辞退可能の告知)
第四十三条(証拠調の準備)
第四十四条、第四十五条(公判準備調書の記載要件)
第四十六条(公判準備調書の整理等)
第四十七条(期日前の証拠調請求)
第四十八条(期日外の証拠決定の通知)
第四十九条(期日外の証人訊問等と被告人の立会)
第五十条(期日外の証人訊問等の通知)
第五十一条(通常の手続による審判)
第五十二条(管轄違の申立)
第五十三条(公訴棄却・管轄違の決定)
第五十四条(免訴の決定)
第五十五条(決定の手続・即時抗告)
第五十六条(公判準備における手続の効力)
第五十七条(陪審員の呼出)
第五十八条(呼出状)
第五十九条(職務の辞退)
第二節 公判手続及公判ノ裁判
第六十条(陪審構成の手続)
第六十一条(陪審員の定足数)
第六十二条(除斥に関する手続)
第六十三条(欠格に関する手続)
第六十四条(忌避)
第六十五条(忌避の手続)
第六十六条(抽籤終了の宣言)
第六十七条(陪審員と補充陪審員の決定)
第六十八条(陪審員の着席順序)
第六十九条(陪審員の宣誓)
第七十条(陪審判事・陪審員の審理)
第七十一条(証拠の制限)
第七十二条(証拠能力ある書類)
第七十三条(訊問調書の証拠能力)
第七十四条(供述録取書等の証拠能力)
第七十五条(異議のない書類の証拠能力)
第七十六条(答申前の弁論)
第七十七条(裁判長の説示)
第七十八条(説示に対する異議の禁止)
第七十九条(裁判長の問)
第八十条(問の変更の申立)
第八十一条(問書)
第八十二条(評議)
第八十三条(評議室の交通遮断)
第八十四条(退出時の遵守事項)
第八十五条(違反者の職務執行禁止)
第八十六条(陪審長)
第八十七条(再説示の請求)
第八十八条(答申)
第八十九条(評議)
第九十条(意見の説示)
第九十一条(評決の方法)
第九十二条(答申書・答申書訂正命令)
第九十三条(問及答申の朗読)
第九十四条(陪審員の退廷)
第九十五条(陪審の更新)
第九十六条(答申後の弁論)
第九十七条(答申に基く判決の言渡)
第九十八条(公判手続の更新)
第九十九条(形式的裁判)
第百条(公判調書)
第三節 上訴
第百一条(控訴の禁止)
第百二条(上告)
第百三条(上告理由)
第百四条(絶対的上告理由)
第百五条(破棄自判・差戻移送)
第四章 陪審費用
第百六条(陪審費用)
第百七条(費用の負担)
第五章 罰則
第百八条(過料に処する場合)
第百九条(漏泄)
第百十条(交通禁止違反)
第百十一条(請託・私談)
第百十二条(過料の裁判に関する手続)
第六章 補則
第百十三条(市町村に関する特例)
第百十四条(直接国税の種類)