(陪審に▼、参審に▲のマークをそれぞれ付加した。)
回次 院 会議名 号 開会日付
147 参 法務委員会 09 2000/04/18
147 衆 法務委員会 13 2000/04/18
147 参 経済・産業委員会 08 2000/03/30
147 参 法務委員会 07 2000/03/28
147 参 労働・社会政策委員会 03 2000/03/15
147 参 法務委員会 02 2000/03/14
147 衆 法務委員会 03 2000/03/14
147 参 法務委員会 01 2000/03/09
146 衆 法務委員会司法制度改革審議会に関する小委員会
01 1999/12/14
146 衆 法務委員会 14 1999/12/14
146 参 法務委員会 02 1999/11/11
145 参 本会議 45 1999/08/12
145 参 法務委員会公聴会 01 1999/08/04
145 参 行財政改革・税制等に関する特別委員会
08 1999/07/01
145 参 法務委員会 14 1999/05/27
145 参 法務委員会 13 1999/05/25
145 参 法務委員会 12 1999/05/20
145 参 法務委員会 11 1999/05/18
145 参 本会議 19 1999/05/10
145 衆 商工委員会 11 1999/04/27
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147 参 法務委員会 09 2000/04/18
○佐々木知子君 結局、弁護士会がどう対応するかという問題で、法務省プロパーの問題ではないのかとも思いますけれども、私がここで非常に強調しておきたいのは、結局これは弁護士会がどう対応するかという問題にやはりなるところがございます。
弁護士の過疎地域というのがございます。大都市につきましては今東京で八%、大阪で一五%と言われましたけれども、もともと弁護士の数が多いわけですから少なくともそれほど支障はないかもわかりませんが、小さな都市に行けば行くほど弁護士の数は少なくて、実際、器だけあっても使える弁護士がいなければ何にも、扶助だけあっても意味がないということになりかねません。
特にゼロワン地域というものがございまして、これは調べたところによりますと、全国地裁の本庁が五十庁及び支部が二百三庁ございますけれども、そのうち今ゼロワン地域と申し上げました、弁護士がゼロか一人しかいないという地域でございます。これは七十カ所を超えるということでございます。弁護士が四人以下は百二十カ所に上る、こういうことでございます。
では、一人いれば足りるのかといえば、双方代理というのがございますので、一人だけではこれは足りない。もしその一人が大企業かどこかの顧問弁護士でもやっていれば、やはりそれはないのと等しいということにもなりかねないということで、弁護士を奪うということに、扶助はできないということになりかねませんので、これは弁護士過疎地域をどうするかということを抜本的に弁護士会にも考えてもらいたい。弁護士会だけの問題ではないかもしれませんが、第一義的にはやはり考えていただきたいと思うわけです。でなければ、単にこれまた民事法律扶助だけの問題ではなくて、今、当番弁護士制度というのを刑事にも設けておりますけれども、この刑事につきましても過疎地域になれば弁護士がいないというわけで、絵もちになりかねないということでございます。
医療ももちろんそうなわけですけれども、僻地にどれだけのハードがあるか、ソフトも使えるかということがなければ幾ら制度だけつくっても無用になりますので、これはぜひ皆で考えていかなければいけないことだというふうに考えております。
次に行かせていただきますけれども、法律扶助ということを言いますが、私たちはよく知っておりますけれども、実際問題、知らない国民が圧倒的多数である。アンケートの結果では七〇%が知らなかっただけだというので、えっ、そんなに知っていたのかと私はかえって驚いたぐらいなんですけれども、知らなければやはりこれは近づけない、アクセスがないということです。いかにして知ってもらうか。
予算措置を見ますと、三千万円以上が広報ということで計上されておりますけれども、実際にどのような形で広報されていかれるのか、具体案についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(横山匡輝君) 民事法律扶助制度につきましては、ただいま委員から御指摘のありましたように、その対象層の方々の七割近くがこの制度を知らないとの調査結果がありまして、これを解消しますことは司法へのアクセスを容易にする意味で極めて重要な課題と認識しております。
平成十二年度予算におきましては、従来一定額であった広報宣伝委託謝金の大幅な増額、これは前年度比三千万円増、パーセンテージでいいますと八二三・四%増ということになりますが、総額では三千三百万円ということになります。
このような大幅な増額を行い、新聞広告、ポスターの掲出及びリーフレットの作成、配布等により、広く国民等の方々に本制度を知ってもらうための措置を講じることとしております。
なお、現在でも法務局、地方法務局及び人権擁護委員等の人権擁護機関におきまして、資力の乏しい方々が人権相談に訪れた際などに民事法律扶助事業の概要をお伝えしているところであります。本法案のもとにおきましても、国の責務として、これらの利用者としての対象層の方々を中心に民事法律扶助事業の周知に一層努めてまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木知子君 できるだけよろしくお願いしたいと存じます。一般的に法務省は特に広報が下手なようでございますので、これに限らずいろんな形で広報をしていただきたいというふうに考えております。
次に、大臣にお伺いいたしますけれども、現在、民事法律扶助法案ということで上がってきて、これはこれで非常に結構なことだというふうに思いますけれども、周りを見渡しますと被疑者弁護の問題もございます。そして、少年事件の付き添いなどもございます。そういうことも含めたトータルな形での公的な支援制度を設置するべきではないのかということで、その手の議論が真剣に行われていることは法務省側もよく御承知のことと存じます。
しかるに、今この時点で、そのトータルな公的支援ではなく、ひとり民事法律扶助という形がクローズアップされて、成立を急ぐというか成立させるというその本心というのか、意図をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(臼井日出男君) 民事法律扶助制度につきましては、かねてからその立法化の御指摘がございまして、平成六年に設けられました法律扶助制度研究会の研究結果や昨年の司法制度改革審議会設置法案の御審議の際の衆参両院における法務委員会の附帯決議等を受けまして、その基本的枠組みを定める法律が緊急に必要であると、その認識に立ちまして、今国会に本法案を提出させていただいた次第でございます。
他方、刑事事件は、国家刑罰の実現といたしまして、国が本人の意思にかかわらず権限を行使して、被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますから、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べまして、より迅速かつ確実に弁護人の選任等を行う必要がございます。また、既に被告人につきまして国選弁護士制度がございますので、これと統一的、総合的に実施することが望ましいと考えられることなど、民事事件と異なり、必ずしも法律扶助になじむものではないと考えるのでございます。
ただし、起訴前の弁護活動に対しまして公的支援を行うべきである等の御指摘につきましては、法務省といたしましても、公的な被疑者弁護に関する現実的な検討が必要な段階に来ていると考えておりまして、司法制度改革審議会等における御議論も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。 また、少年保護事件につきましては、第百四十五通常国会に提出いたしました少年法等の一部を改正する法律案におきまして、少年審判に検察官が関与する場合で少年に弁護士である付添人がいないときは家庭裁判所が弁護士である付添人を付することとして国選付添人制度の導入を盛り込んでおりまして、御指摘の問題については付添弁護人制度全体の中で検討を行うことが適当であると考えております。
したがいまして、民事法律扶助事業に関しまして、刑事事件と切り離して、先ほど御説明いたしましたような緊急の必要性から所要の法律を制定することは既に十分合理的なものと考えているのでございます。
○佐々木知子君 私は冒頭に司法制度改革というふうに申し上げましたけれども、現在さまざまな面で司法制度改革が問題とされております。各論的に取り上げれば、例えば訴訟迅速化であるとか、法曹の数をふやせという議論もございます。法曹一元なり、▼陪審、▲参審なりの国民の司法参加という面もございます。それから法曹の教育制度というのも、ロースクールを導入するなり何なりしてちょっと考えないといけないとか、いろんな形がございます。
でも、それの根っこにあるところは、結局のところ、司法というどっちかというと立法や行政よりも国民、市民から遠いところにあるものをもっと身近に引き寄せ、もっと使い勝手のいいものにしようではないかというところにあるのではないかというふうに思います。その司法制度改革との関連で、あるべき法律扶助の姿というのはどのようなものであると法務省はお考えか、それについてお伺いしたいと存じます。
(3/29) 次の分割内容へ
○国務大臣(臼井日出男君) 現在進められております司法制度改革は、国民がより利用しやすい司法制度の実現を目指しまして、国民的見地からの検討を行っているものでございますけれども、法律扶助制度は国民が司法を利用することを容易にする上で極めて重要な役割を果たすものでございます。
今回提出をいたしております民事法律扶助法案は、緊急に充実を図る必要のある民事法律扶助事業につきましてその基本的な枠組みを定めるものでございますが、司法制度改革の理念をも踏まえた法律扶助制度のあるべき姿につきましては、今後、司法制度改革審議会等におきましてさらに高い見地から検討をしていただく事柄であろうと考えているのでございます。
法務省といたしましても、そのような検討の結果も踏まえまして、法律扶助制度の充実にさらに努めてまいりたいと考えております。
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○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
まず、両参考人に伺いたいのですが、私も裁判における優先傍聴、これは画期的なことだと思います。
やや私の体験を話させていただきたいのですけれども、これは刑事裁判ではありません、内申書裁判という民事裁判です。これは十六歳のときから三十二歳のときまで、最高裁の最後の最後まで行ったわけですけれども、その際に非常に大きな壁となったのは、最後の判決をやはり当事者は直接その法廷で聞きたい、これは当然あるわけですが、最高裁の従前の扱いでは、大法廷以外の小法廷判決も当事者に告知の必要なし、なぜか新聞社やマスコミはこれを知っているというおかしな扱いだったんですね。
これは私、国会初質問、一回目で質問しまして、前日の最高裁の裁判官会議で最高裁の規則が変更されて、現在は民事裁判の小法廷判決も告知がされるようにもうなっているはずなので、これは喜ばしいことなんですが、しかし、民事の場合に、判決の場合は告知されるのですが、決定はされないということであります。
その際に随分裁判所とやりとりをしたのですが、刑事裁判でも多くの事件が決定として処理されているはずです。この場合、犯罪被害者の方が最終的に最高裁まで争われて、どうなんだというときに、決定は現行の扱いでも告知していないはずなんですね。
こうなると、優先傍聴といっても、被害者は公判があること自体を知らないわけですから、最高裁判所の論理は、毎日来て札を見てくれれば公表している、こういうふざけた議論でありまして、今回の法改正で、裁判長が、公判手続の傍聴の申し出があるときに、傍聴席などその他の事情を勘案しつつ傍聴できるように配慮しなければならないということをきちっと読めば、これは決定であろうが何であろうがちゃんと最高裁も知らせるんだというふうに改革してもらわなければ困るというふうに思うのですが、両参考人の御意見を伺いたいと思います。
○諸澤参考人 今御質問の件でございますけれども、基本的にはそうだと考えております。ただ、最高裁判所のレベルで告知ということがどうなのかというのはにわかに判断できない要素を持っているのかなという気がしているわけでございますけれども、基本的には、冒頭申し上げましたように、裁判の段階での情報開示の問題は、裁判所に出向けば、これは判事である必要はございませんが、書記官でも事務官でもいいわけですけれども、担当者が説明をしてくれるという状態をつくるべきだというふうに言われております。
したがって、その考え方で、最高裁判所の段階でも当然、判決を傍聴するとかいうことは制度上無理だとか、あるいは告知が出されているか出されていないかという問題があるかと存じますけれども、少なくとも、最高裁レベルであっても、出向けばその場で担当者がちゃんと決定についてあるいは判決について説明をしてくれるという状態を保障すべきであろうと考えております。
○児玉参考人 諸澤参考人と同一の意見でございますが、いわゆる最終判断が決定でなされるという場面については、委員御指摘のように、十分被害者の方が知る必要がある事案だろうと思います。
それと同時に、この法律にはございませんが、警察及び検察の通知連絡制度が私の予想よりも進んできている。被害者の方に、警察段階ではこうなっています、検察段階ではこうなっています、裁判所段階ではこうなっていますという通知連絡制度がしっかりすれば、委員御指摘のようなことも相当改善されるのではないかと考えております。
ただ、先ほど諸澤先生が御指摘になりましたように、警察、検察、裁判がばらばらにやっていてはいけないので、やはり牽連性といいますか連続性といいますか、そういうものが非常に大事で、それぞれの役所がばらばら別々にやるのではなくて、警察から検察に移った場合、検察が起訴して裁判になった場合という連続性がスムーズにいくように努めれば、少なくとも最終決定判断である、手続上の決定や命令以外の最終決定になる決定というものについてはぴしっと被害者の方にお知らせができるし、裁判所の広報活動、尋ねに来れば親切にお答えをするという運用上の制度の確立が望まれるところであろうと考えております。
以上でございます。
○保坂委員 ありがとうございました。
私は、民事裁判でどうしても判決の日が知りたい、そこにいたいと思いまして、最高裁の事務当局とその当時随分やり合いまして、答えは週に二回見に来いということだったのですね。九時半に札を出す、それで十時半から法廷を開くのですね。電話連絡網で何人来られるかとやって、三年か四年やったでしょうか。そういう思いがあるものですから、そして、ついに判決の日にコートに入ったわけですけれども、入ったときに、だれも来たことがないのですね。ですから、上告人と被上告人の席を間違えてしまって反対の方に座らされて、裁判長が気づいて、そこは違いますよと言って中断するなんという一幕もあったのですけれども、実に、犯罪被害者は、民事裁判で最終判断で最高裁判決を待つということもその当時もあったでしょうし、そういうことについてはこれからもぜひ熱心な議論をお願いをしたいと思います。
次に、検察審査会法の改正問題なんですが、これは、片山隼君という小学生がトラックにひかれて亡くなった。御両親がさまざまな努力をして、検察審査会の議決を得たわけですけれども、その議決書をいただいたときに私も一緒に見させていただいて、その被害をこうむった者の規定が、これは片山隼くんという亡くなった少年自身なんだ、あなたはその資格者じゃないですよと書いてあるわけですね、だから却下するんだと。それで、審査会では審査を職権によって開始したからいいのですけれども、犯罪被害者あるいは交通事故でお子さんを失ったという痛ましい体験をした方が、議決書の頭書きのところで、要するに申し立て権はなくて、申し立て権は亡くなった子ですよなんというようなことがどうして放置されてきたのかなという思い。
そしてもう一つは、どうせ変えるんであれば、当然、請求権者を拡大したわけですけれども、資料を出すことができるというところに広がったわけですが、書面や資料を説明したり意見陳述したりする部分も加えてはどうなのかな、あるいは不起訴相当などの議決が出て、その議決に対して告知とともに不服申し立てができるような制度を確立するなど、もう少し工夫が必要だったのではないかという思いがありますが、両参考人に御意見を伺いたいと思います。
○諸澤参考人 不服申し立てというのはあるいは一つのいい方法かなと思いますが、私の個人的な考え方としては、むしろ検察審査会の結論に何らかの拘束力を持たせるべきだというふうに考えております。
それからもう一つは、検察審査会の場に被害者等が出向いて聞き取りをしてもらえる、そういう場を保障すべきだろうというふうに考えております。
○児玉参考人 検察審査会法、遺族等申し立て者を広げたのは一歩前進だと思いますけれども、諸澤先生御指摘のように、権限を強化するかどうか、審査会の決定にある程度拘束力を持たせるかどうかというのは大変大問題でございまして、現在はいわゆる公訴権はすべて検察官が握っておる、起訴、不起訴、握っておるということを制約するということになります。
そのためには、個人的意見でございますが、やはり審査会自体の機能が現行ではちょっと弱体ではないかなと。もちろん、国民の広い層がいらっしゃると同時に、事案によってはお医者さんであろうし、法律問題なら弁護士とかカウンセラーの方とか、やはり▲参審のように専門的知識のある方も入り相当内容を充実させませんと、なかなか改正に踏み切れないかなと。日弁連の中では、そういうきちっとした審議をして決定をしたような決定について検察庁が応じないというのはいかぬ、拘束力を持たせようという議論もございますけれども、いろいろ広く実態を調べていきますとまだまだ問題点が多いものですから、なお今後、研究、討議をさせていただきたい、このように考えております。
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147 参 経済・産業委員会 08 2000/03/30
○政務次官(細田博之君) 畑委員御質問のいわゆる総合的法律・経済関係事務所につきましては、規制緩和推進三カ年計画を平成十年から十二年ということで閣議決定いたしておりますが、その中にも記されておりまして、関係省庁で検討いたしました結果、現行法制のもとにおきましても基本的に可能であるとの結論が得られております。すなわち、各種資格者が一定の協力関係のもとで同一の事務所を共有し、顧客のニーズに応じてそれぞれの資格の名においてその専門資格にかかわるサービスを提供することは可能であるわけでございます。
ただ、なお制約条件がございまして、法人格を持たせあるいは統一した法人格を持たせる、そして一つの法人として収入、責任を混在させるというようなことはまだちょっとできない。それから、名称についても各資格者の内容が明確になるようにする必要があるということ。それから、各資格者がその資格業務の範囲を超えたりあるいは他の資格者から不当な影響を受けないというような制約があるわけでございます。
そして、特許業務法人については、社員の中に弁護士、税理士、公認会計士等の参加を認めることも選択肢になり得ると考えておりますが、現時点では、弁護士法あるいは弁理士法、税理士法、公認会計士法のそれぞれの法律上、例えば弁護士は弁理士に雇用されていいのかというと、やはり法律的にはそういったものは禁止されていると解釈せざるを得ないということがございまして、これは畑委員がおっしゃいますように欧米型の大きな組織あるいはそれを有機的に発展させていくためには、さらに今後このようないわゆる総合的事務所を開設していただき、その業務を通じながら今後その可能性を見て、社会的に必要であればそのような法律的道をまた開いていく必要がある、またお願いしなければならないということでございます。
○畑恵君 望ましい方向であるけれども、まだまだ幾つか乗り越えなければいけない問題があるということでございます。ぜひ乗り越える方向で、私どもも努力したいと思いますし、政府の皆様方にも御努力をいただきたいと思っております。
私自身も全くこういう問題というのは不案内でございますので、不案内ないわゆる一般国民が、何か問題が出てきた、そうするとどこに相談に行ったらいいのかがまずわからない。その問題というのが一番国民にとってはやはり最初の難関でございますので、先ほども総括政務次官からお話がありましたけれども、自分が抱えているこの問題を解決してくれるのが弁護士さんなのか弁理士さんなのか、公認会計士さんなのか税理士さんなのか、司法書士さんなのか土地家屋調査士さんなのかというようなことで、どこを訪ねていいかわからないという状況がやっぱり今一番問題の解決をおくらせているネックだと思います。
そういう意味では、一つの事務所の中に総合的法律・経済関係事務所というような形でどなたでもそろっていてくだされば、総合病院のような形で、ワンストップサービスという形で業務が遂行される。
大変国民にとってはありがたいことでありますし、ユーザー側にとってありがたいということは当然それだけ業務量がふえていくということで、お客様がたくさん来るということでありますから、サービスを提供する側の方々にも当然資する話でありますので、ぜひこの部分というのは、基本的に可能という先ほど総括政務次官からもお話がありましたが、改定規制緩和推進三カ年計画でせっかく基本的には可能という結論が出ているわけですので、実際動かしていくときに、機能させていくときにどういう問題点があるのかを早期にピックアップされて、法改正が必要であればその部分だけでもなるべく早く処理をして、そうした事務所ができてきさえすれば、当然それだけ利潤も上がるし国民も喜ぶのかということが幾つか例が出てくれば恐らく追随する方々はたくさんいると思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
おしまいに、若干弁理士法案を離れますけれども、▲参審制の問題について御所見をちょっと伺ってまいりたいと思います。
先ほど、非常に知的財産権をめぐりまして専門的な高い知識を持った法律の専門家が必要だ、ただ、なかなかそう簡単にふやすことができなくて、そこが問題という話を法務省の方々からも伺いました。こうしたさまざまな問題をとりあえず凌駕していくための一つの解決策として、私はこの▲参審制というのは検討する余地があるのではないかと常々思っております。
▼陪審制と違いまして、あくまでも専門的能力のある国民を広く裁判所の審理に登用できると。この方式はドイツなどでも採用されておりますし、大陸法系の実務的合理性を有しているというふうに評価されているそうです。専門家の声を日本というのは素直にそのまま認めるという風土もありますので、日本でも採用されれば有効な制度と思うんですけれども、この点についてはどのような検討が進んでいるんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 委員御指摘のように、特許関係は非常に専門的な知識が必要となります。そういうこともありまして、裁判所においても、技術系の知識を持っている特許関係の調査官を配置したり、あるいは専門家に調停員になっていただく専門調停委員制度をつくるなど、専門的な知識を持った方々を活用する方策というのは非常に努力を重ねているところでございます。
そういうものの一つとして、委員から御指摘のありましたような専門的知識を持った人を▲参審員として参加させる▲参審制度、これは確かにドイツ等欧米諸国で採用されておりますので、そのような専門的知識を持った人を活用する方策としては検討に値するものというぐあいには考えられております。
今、内閣に置かれた司法制度改革審議会でも、この▲参審制も審議項目として取り上げられておりますし、また専門的知識を要する訴訟に対する対応ということも検討項目に入っておりますので、当然委員から御指摘のあったような事情も踏まえて、司法制度改革審議会においてもこの▲参審制度の採否について検討が進められていると承知しております。
私どももできるだけその審議に協力をしてまいりたいと考えております。
○畑恵君 前向きな御答弁をいただいて、大変安心しました。
さまざまな司法制度改革が今検討だけではなくて進んでおると。今回弁理士について、広告制限の見直しが、要するに広告してもいいということで解禁されたわけですけれども、これについて弁護士はどうなっているのかなと思いましたら、弁護士の方はいち早くこの広告制限というのを見直されたということでございますので、非常に今急ピッチで進んでいるということは評価させていただきます。
ただ、それ以上に本当に知的財産をめぐる諸問題というのは変化のスピードも速いですし、また非常にそのスケールということでも本当に地球規模で進んでおります。なかなか予想が立たない部分もありますので、きょう法務省の方もおいでいただきましたけれども、関係省庁きっちり連携をとり合ってぜひスクラムを組んで頑張っていただきたいと思います。
若干時間は早いですけれども、これで終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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147 参 法務委員会 07 2000/03/28
○江田五月君 冒頭にも言いましたが、裁判官諸君、本当に現場で苦労しています。現場で苦労している裁判官と大体最高裁事務総局にいる人と相当の意識の差などがあるとかいうようなこともよく言われますが、現場で苦労している人たちのことを本当に考えてやっていただきたいと思います。
裁判所書記官と家庭裁判所調査官の十六人増員、これももう少し詳しく説明をしてください。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お答えいたします。
裁判所職員十六名の内訳でございますが、これをいま少し詳しく御説明申し上げますと、裁判所書記官につきましては、四十人の純増のほか、裁判所速記官及び裁判所事務官から各百人を書記官に振りかえるという二百人の増員、合わせて二百四十人の増員をお願いしているものでございます。さらに、家裁調査官につきまして五名の増員をお願いし、合計二百四十五人の増員をお願いしているところでございますが、今申し上げましたように、振りかえ分としての裁判所速記官及び裁判所事務官各百名のほか、庁舎管理業務の合理化等により技能労務職員二十九人を減員することにしておりますので、以上の増減を通じますと、裁判官以外の裁判所職員の増員が十六人ということになるわけでございます。
○江田五月君 裁判官の方の増員、充実ももちろん大切ですが、裁判官だけでは裁判できない。補助職員といいますか、書記官その他が充実していないと裁判官だけ頑張っても空回りをするだけなので、この点は十六人増員、これで本当に十分かなという感じはいたします。
それから、速記官の転換ですが、速記官はもう新規の採用をやめておられる。しかし、それでいいのかなという感じもあるんですね。速記という仕事自体は速記官というものでなくてもそれはできるじゃないかということでしょうが、裁判所の速記官の皆さん方は大変苦労して独自のいろんなソフトを開発されている。
「はやとくん」というのを聞いたことがあるんですが、この「はやとくん」というのは、ちょっと突然になるかもしれませんが、どうされるおつもりですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 「はやとくん」をどうするおつもりかというちょっと質問の御趣旨がはっきりはいたしませんけれども、「はやとくん」を現実に法廷で使っている速記官はおります。
○江田五月君 それはおるから聞いておるわけですが、「はやとくん」という、きょうはもうここでいろいろ説明する時間はありませんから省略しますけれども、速記官の皆さんがいわば自主的に、なかなかすぐれもののソフトのような感じでしてね。時間がありませんが、国会の速記と違いまして裁判所の速記は速記タイプという器械でやりまして、全部紙に記号で出てくる。それにいろいろコードをつないで、ソフトをつけて、もう打つとすぐに反訳文が文章になって出てくるんですね。もちろん、誤訳はありますから、そこをいろいろソフトを開発すると。きょうは医療過誤だからというので、そういうソフトを入れると、そういう。きょうは労働事件だからというと、そういう。そういう非常に早く反訳文が出てくるというのを開発されている。裁判所速記官が勝手にやっていることで最高裁はあずかり知らぬところだ、こういう感じがにじみ出た答弁でしたが、さてそれでいいのか、そんなことも感ずるわけです。
ところで、今回の定員法の改正と司法制度改革との関係ですが、最高裁が昨年の十二月八日に司法制度改革審議会に対して意見陳述をされた「二十一世紀の司法制度を考える 司法制度改革に関する裁判所の基本的な考え方」という文書の中に、裁判所の体制の充実、裁判所の機能の強化ということも書いてあるわけですが、今回の定数増とこの考え方、これはどういう関係になりますか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今回の裁判官の七十人の増員は、民事訴訟事件等、近時の事件数の増加を踏まえるとともに、先ほど人事局長の方から御説明申し上げましたとおり、二期分の司法修習終了者から新任判事補を採用することが可能である、そういった特殊事情を踏まえてのものでございまして、法曹一元や陪▲参審制度などの司法制度改革論議とは何ら関連をしないものでございます。
○江田五月君 司法制度改革も、結論が出るまで改革を待っていろと言っているわけじゃない。そうではなくて、できるものは速やかにやれと。しかし、抜本的改革については、今の法曹一元、陪▲参審などを含めてこれから議論をするということで、できることはまずやるという意味で、とりあえず人員の充実、これをやろうと。ですから、司法制度改革と無関係じゃないけれども、別に司法制度改革の行く末を見据えた手を打っているということでもない、そう理解してよろしいですね。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) おっしゃるとおりでございます。
○江田五月君 司法制度改革の中で、言うまでもなく法曹人口の拡大、特に弁護士の数をふやす、これも今大きな課題になっております。もちろん、そのこと自体にも議論がないわけじゃありません。しかし、例えば時代の変化、これまでの規制社会から規制緩和で事後的な救済のそういうシステムにと大きく変わっていく。そうすると、司法の役割というのは今までと比較にならないほど重要になってくるとか、あるいはこれまでも司法に対して、どうも司法サービスは市民から見ると近寄りがたい、もっと市民の司法に変わっていかなきゃいけないんじゃないかとか、いろんなことを言われております。
そういう流れの中で、弁護士の数を大きくふやすということは私はやはり必要なことだと思っておりますが、今一万七千人の弁護士に対して、さてどのくらいかなというので、これは大づかみの数字で、細かな議論を組み立てた上でというわけじゃありませんが、見当としては五万人か六万人ぐらいの弁護士体制、そういう私論も中坊さんあたりから出てきておりまして、私もそう思いますが、仮に弁護士五、六万人体制ということを想定すると、裁判官は一体どのくらい、書記官どのくらい、調査官、事務官、それぞれどのくらいという、何かそういうビジョンというのはお持ちですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今後、社会の法曹に対するニーズというものは多様化することが予想され、弁護士が増加いたしますと、その職域が拡大し、従前の弁護士業務以外の分野に進出していく方も増加するでありましょう。また、弁護士が増加すれば契約書の作成等に関与するなど、紛争の事前予防が進むということも考えられるわけであります。そのようなことを考えますと、弁護士が増加したからといって、必ずしも正比例するような割合で裁判所の事件が増加していくかどうかはこれは一概には言えませんけれども、裁判所へのアクセスが容易になることは明らかでありましょうから、その意味で裁判所の事件数を押し上げる大きな要因になるというふうには考えております。
裁判所としては、そのような事件数の状況も見ながら、弁護士五万、六万ということならば、必要な人員、それに応じた増員というものを図っていかなければならないというふうには考えております。
○江田五月君 弁護士の大幅増員ということはいわば外圧かと思いますが、それだけでなくて、やはり規制社会から自由な社会へと、事後的な司法救済というのが非常に重要になる社会へと転換をしていく。あわせて、これまでの司法サービスというのは市民にとって近寄りがたいものであったという反省、そういうところから、やっぱりこれまでの司法サービスの提供体制ではだめなんだという思いはぜひ持っていただきたいと思います。
次に、家庭裁判所の調査官の皆さん方から私のところにもいろんな要望が寄せられておりまして、その中に、家庭裁判所調査官研修所と書記官研修所を総合して裁判所職員総合研修所、これは仮称でしょうが、を建設するという最高裁の計画に対して、家庭裁判所調査官の専門性を損なうのではないかという強い懸念が示されています。
先日、最高裁の説明では、それは杞憂なんだ、こうはっきり言われた。なぜそれが杞憂であるのか。調査官の皆さん方が納得できるような十分な説明をいただきたいと思います。
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147 参 労働・社会政策委員会 03 2000/03/15
○政府参考人(戸苅利和君) アメリカにおきましては、公的な紛争処理システムとあわせて私的な紛争処理システムが用意されております。
一つは今おっしゃった仲裁人による仲裁ということでありまして、これは、連邦あっせん調整局、そこに所属しております労使関係に関する専門家、この方を仲裁人にお願いしています。具体的には、弁護士の方あるいは企業の人事担当の経験者の方、大学教授、組合役員経験者等々であります。そういった方々に労働問題についての紛争の解決を付託するという制度があるように承知しております。
○八田ひろ子君 アメリカに存在するほとんどの労働協約では、解雇には正当な理由がなければならない。これが正当かどうかというのは仲裁人が判定をするようで、使用者が正当な理由がないというふうになったときにはバックペイを伴った復職裁定、正当な理由があるというのは使用者がきちんと証明をしなくちゃいけないというのを、私、解雇法制の研究とかいろんなのを読ませていただいて、ああそういう社会的ルール、セーフティーネットがあるんだなというふうに思いました。裁判ではないんですけれども、第三者機関があって、使用者に解雇正当の立証責任を負わせている。労働組合のある場合に限るわけですけれども、そういう社会的ルールがあのアメリカにもあるわけですね。
労使がよく話し合ってください、それがだめなら判例法があるから裁判にどうぞというふうにいつもおっしゃるんですが、じゃ、日本では労働関係の裁判というのはどれくらい行われているのか、労働関係の新受件数の推移というのを政府参
考人にお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(澤田陽太郎君) 日本の地方裁判所及び高等裁判所におきまして労働関係民事通常訴訟事件を受理した件数を見ますと、平成十年新規受理件数二千五十七件という形ですし、また労働関係の行政事件についての平成十年新規受理件数三百二十七件という形になっておりまして、民事通常訴訟事件について申しますと、平成四、五年あたりから増加傾向にあるという状況でございます。
○八田ひろ子君 民事通常訴訟というのは、雇用契約の存否を争うということですね。じゃ、アメリカではどうなんでしょう。さっきのようないろんなセーフティーネットがある中で、個別労働関係法上の事件としてはどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(澤田陽太郎君) 最新のデータがなかなか手元にございませんで、一九九一年の数字になりますが、合衆国連邦地方裁判所に提起されました個別労働関係法上の事件数、二万二千九百六十八件というふうに承知しております。
○八田ひろ子君 セーフティーネットのあるアメリカで、日本とアメリカを裁判の数だけで単純に私比較するものではありませんが、しかし二万と二千では相当な違いがあるというふうに思いますけれども、なぜかというふうに考えますと、日本で裁判を起こすというのは本当に大変なんですよね。
その点について、労働省の後援というんですか、東京労働基準局などが主催した東京労働フォーラムでこれは専門家の方がおっしゃっているんですけれども、アメリカの場合、労働者が解雇を不当だと思うとすぐに裁判に訴えることから、経営者は解雇の実施に関しては注意深いと説明をし、それに対して、我が国では判例などで容易に解雇できないよう規制していると。これは労働省の見解ですね。にもかかわらず、裁判に訴えるのが大変だから結局簡単に解雇が行われていると指摘されている。この専門家の方は、不当であっても裁判に訴えずに泣き寝入りをしている、こういうケースが多いのではないか、こういうふうに言われているわけなんです。
ここでこういうふうに書いてありますが、労働省も、日本で訴訟件数が少なくアメリカでは多いというのは、こういう見解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今、八田先生おっしゃったうち、不当であっても泣き寝入りをしておるという文献を引用されましたが、そこのところは私どもよくわかりません。
ただ、一般的に申しますと、アメリカは訴訟社会と言われておりますように、労働関係に限らず訴訟件数それ自体が非常に多いという社会的な事情がございまして、それが労働関係にも二万二千件という形で、同じような事情があるだろうというふうに考えております。
○八田ひろ子君 これは日本労働研究機構主任研究員の専門家の方がおっしゃった中身であります。
社会的な違いがあるというのは当然だというふうに思いますが、日本では、この研究員の方もおっしゃっているように、訴訟が困難になっていて、アメリカが容易だ、その中身というのが、どちらがこの原因をきちんと証明しなければいけないかということだと私は思うんです。
整理解雇四要件といいますけれども、先ほども御説明いただいたんですけれども、解雇は自由だが乱用はいけないという解雇乱用法理、この解雇権乱用法理というのは解雇自由が原則ですよね。それで、乱用は例外だから、解雇された労働者はこの解雇が権利乱用に当たることについてきちんと立証責任を負わなきゃいけない。だから、訴訟も起こしにくいですし、労働者が大変不利になっているという制度上の問題があります。
さっきのアメリカの仲裁人制度というのは、使用者も反証責任ですし、裁判に当たってもこれは労働者が立証責任ということになるんですが、裁判の制度が違いますね、▼陪審員制度、だから結局使用者が立証責任を果たさないと裁判に勝てないというのがあるんです。ですから、こういう問題を解決するためには、法律で、労働者がきちんと証明をしなければこの解雇は不当だというふうに証明をしなければならないというのではなくて、こういう要件は解雇をしてはならないというふうに立法で明示してある、そうすればそれ以外を理由とする解雇はできないわけですから、解雇無効ということになりますから、大変働く人たちにとっては心強いんですね。
ですから、私ども日本共産党だけでなくて、解雇を規制して労働者を保護する法律をつくるべきだ、きのうもそういうお話がありましたが、全労連とか連合という日本のナショナルセンターがこぞって今求めているところですが、加えて私大変興味を持ちましたのは、政府の規制改革委員会、これが先ごろ第二次見解というのを出しましたね。そこで雇用、労働の問題でも提言をしているんですけれども、政府参考人にお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(野寺康幸君) 今、先生お触れになりましたのは平成十一年十二月十四日に公表されました規制改革委員会第二次見解というものであろうかと思います。
そこの中では、「解雇規制の見直し」ということで、簡単に要約しますと二点ばかり御指摘なんだろうと思います。一つは、解雇権乱用法理はもはや判例上確立した感があるが、裁判所は解雇を容易に認めない傾向にあり、企業の採用意欲をそいでいること、それが第一点ですね。もう一点は、解雇規制を判例のみに依存する状況のもとでは裁判に訴える資力に欠ける者は救済を受けることができないといったような点が主であろうと思いますが、そういった観点から、解雇をめぐる実態を把握すべきである、そしてその実態を踏まえて解雇規制のあり方について立法化の可能性を含めた検討を行うべきであるというような御報告であろうと思います。
○八田ひろ子君 私も本当にここの提案どおりで、セーフティーネットの整備という観点もあわせてこの立法化を検討すべきだ、検討を開始するべきだというふうに答申をされているんですけれども、労使協定を規定する社会的ルールというのもありませんし、裁判制度も働く人にとっては使いにくい。ここで労働組合や個人の資力によって差が出るというふうに答申では言っていますけれども、そうしたことが指摘されているのに、それでまたナショナルセンター、労働組合の側もこういうのが必要だというふうにみんな言っているんですよね。かたくなな態度をとっているのは労働省だけだというふうに私は思うんですが、解雇規制法の検討に、ここが言っているように検討を始める、そういう用意がおありでしょうか、ぜひそうしていただきたいのですが。
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147 参 法務委員会 02 2000/03/14
○佐々木知子君 結局、弁護士会がどう対応するかという問題で、法務省プロパーの問題ではないのかとも思いますけれども、私がここで非常に強調しておきたいのは、結局これは弁護士会がどう対応するかという問題にやはりなるところがございます。
弁護士の過疎地域というのがございます。大都市につきましては今東京で八%、大阪で一五%と言われましたけれども、もともと弁護士の数が多いわけですから少なくともそれほど支障はないかもわかりませんが、小さな都市に行けば行くほど弁護士の数は少なくて、実際、器だけあっても使える弁護士がいなければ何にも、扶助だけあっても意味がないということになりかねません。
特にゼロワン地域というものがございまして、これは調べたところによりますと、全国地裁の本庁が五十庁及び支部が二百三庁ございますけれども、そのうち今ゼロワン地域と申し上げました、弁護士がゼロか一人しかいないという地域でございます。これは七十カ所を超えるということでございます。弁護士が四人以下は百二十カ所に上る、こういうことでございます。
では、一人いれば足りるのかといえば、双方代理というのがございますので、一人だけではこれは足りない。もしその一人が大企業かどこかの顧問弁護士でもやっていれば、やはりそれはないのと等しいということにもなりかねないということで、弁護士を奪うということに、扶助はできないということになりかねませんので、これは弁護士過疎地域をどうするかということを抜本的に弁護士会にも考えてもらいたい。弁護士会だけの問題ではないかもしれませんが、第一義的にはやはり考えていただきたいと思うわけです。でなければ、単にこれまた民事法律扶助だけの問題ではなくて、今、当番弁護士制度というのを刑事にも設けておりますけれども、この刑事につきましても過疎地域になれば弁護士がいないというわけで、絵もちになりかねないということでございます。
医療ももちろんそうなわけですけれども、僻地にどれだけのハードがあるか、ソフトも使えるかということがなければ幾ら制度だけつくっても無用になりますので、これはぜひ皆で考えていかなければいけないことだというふうに考えております。
次に行かせていただきますけれども、法律扶助ということを言いますが、私たちはよく知っておりますけれども、実際問題、知らない国民が圧倒的多数である。アンケートの結果では七〇%が知らなかっただけだというので、えっ、そんなに知っていたのかと私はかえって驚いたぐらいなんですけれども、知らなければやはりこれは近づけない、アクセスがないということです。いかにして知ってもらうか。
予算措置を見ますと、三千万円以上が広報ということで計上されておりますけれども、実際にどのような形で広報されていかれるのか、具体案についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(横山匡輝君) 民事法律扶助制度につきましては、ただいま委
員から御指摘のありましたように、その対象層の方々の七割近くがこの制度を知
らないとの調査結果がありまして、これを解消しますことは司法へのアクセスを容
易にする意味で極めて重要な課題と認識しております。
平成十二年度予算におきましては、従来一定額であった広報宣伝委託謝金の大幅な増額、これは前年度比三千万円増、パーセンテージでいいますと八二三・四%増ということになりますが、総額では三千三百万円ということになります。
このような大幅な増額を行い、新聞広告、ポスターの掲出及びリーフレットの作成、配布等により、広く国民等の方々に本制度を知ってもらうための措置を講じることとしております。
なお、現在でも法務局、地方法務局及び人権擁護委員等の人権擁護機関におきまして、資力の乏しい方々が人権相談に訪れた際などに民事法律扶助事業の概要をお伝えしているところであります。本法案のもとにおきましても、国の責務として、これらの利用者としての対象層の方々を中心に民事法律扶助事業の周知に一層努めてまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木知子君 できるだけよろしくお願いしたいと存じます。一般的に法務省は特に広報が下手なようでございますので、これに限らずいろんな形で広報をしていただきたいというふうに考えております。
次に、大臣にお伺いいたしますけれども、現在、民事法律扶助法案ということで上がってきて、これはこれで非常に結構なことだというふうに思いますけれども、周りを見渡しますと被疑者弁護の問題もございます。そして、少年事件の付き添いなどもございます。そういうことも含めたトータルな形での公的な支援制度を設置するべきではないのかということで、その手の議論が真剣に行われていることは法務省側もよく御承知のことと存じます。
しかるに、今この時点で、そのトータルな公的支援ではなく、ひとり民事法律扶助という形がクローズアップされて、成立を急ぐというか成立させるというその本心というのか、意図をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(臼井日出男君) 民事法律扶助制度につきましては、かねてからその立法化の御指摘がございまして、平成六年に設けられました法律扶助制度研究会の研究結果や昨年の司法制度改革審議会設置法案の御審議の際の衆参両院における法務委員会の附帯決議等を受けまして、その基本的枠組みを定める法律が緊急に必要であると、その認識に立ちまして、今国会に本法案を提出させていただいた次第でございます。
他方、刑事事件は、国家刑罰の実現といたしまして、国が本人の意思にかかわらず権限を行使して、被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますから、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べまして、より迅速かつ確実に弁護人の選任等を行う必要がございます。また、既に被告人につきまして国選
弁護士制度がございますので、これと統一的、総合的に実施することが望ましいと考えられることなど、民事事件と異なり、必ずしも法律扶助になじむものではないと考えるのでございます。
ただし、起訴前の弁護活動に対しまして公的支援を行うべきである等の御指摘につきましては、法務省といたしましても、公的な被疑者弁護に関する現実的な検討が必要な段階に来ていると考えておりまして、司法制度改革審議会等における御議論も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。
また、少年保護事件につきましては、第百四十五通常国会に提出いたしました少年法等の一部を改正する法律案におきまして、少年審判に検察官が関与する場合で少年に弁護士である付添人がいないときは家庭裁判所が弁護士である付添人を付することとして国選付添人制度の導入を盛り込んでおりまして、御指摘の問題については付添弁護人制度全体の中で検討を行うことが適当であると考えております。
したがいまして、民事法律扶助事業に関しまして、刑事事件と切り離して、先ほど御説明いたしましたような緊急の必要性から所要の法律を制定することは既に十分合理的なものと考えているのでございます。
○佐々木知子君 私は冒頭に司法制度改革というふうに申し上げましたけれども、現在さまざまな面で司法制度改革が問題とされております。各論的に取り上げれば、例えば訴訟迅速化であるとか、法曹の数をふやせという議論もございます。法曹一元なり、▼陪審、▲参審なりの国民の司法参加という面もございます。それから法曹の教育制度というのも、ロースクールを導入するなり何なりしてちょっと考えないといけないとか、いろんな形がございます。
でも、それの根っこにあるところは、結局のところ、司法というどっちかというと立法や行政よりも国民、市民から遠いところにあるものをもっと身近に引き寄せ、もっと使い勝手のいいものにしようではないかというところにあるのではないかというふうに思います。その司法制度改革との関連で、あるべき法律扶助の姿というのはどのようなものであると法務省はお考えか、それについてお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(臼井日出男君) 現在進められております司法制度改革は、国民がより利用しやすい司法制度の実現を目指しまして、国民的見地からの検討を行っているものでございますけれども、法律扶助制度は国民が司法を利用することを容易にする上で極めて重要な役割を果たすものでございます。
今回提出をいたしております民事法律扶助法案は、緊急に充実を図る必要のある民事法律扶助事業につきましてその基本的な枠組みを定めるものでございますが、司法制度改革の理念をも踏まえた法律扶助制度のあるべき姿につきましては、今後、司法制度改革審議会等におきましてさらに高い見地から検討をしていただく事柄であろうと考えているのでございます。
法務省といたしましても、そのような検討の結果も踏まえまして、法律扶助制度の充実にさらに努めてまいりたいと考えております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。
私の質問は、ちょっと時間前ですけれども、与党ですから、これで結構でござい
ます。
○竹村泰子君 待ちに待ったと申しますか、本当はもっと早くこういった法律を出して、きちんと国がそれに対する対処をしなければいけなかっただろうと思いますけれども、遅駆けながらというか、乗り出すことができた。日本もようやくそこまで来たかという感じがいたしまして、大変結構なことだと思いますが、しかし問題点がないわけではない。そして、もっとこうすればいいのになと、あるいはもっとこう変えなければならないのになと思うようなことが幾つかございますので、お聞きしたいと思います。
この法律は、民事裁判等の手続の準備や実際の裁判を進めるに際して、財力の乏しい人、国民を援助する事業のための法律であるというふうに思います。本当は、後ほど触れますが、国民と言い切りたくないわけです。日本に住んでいる人すべての人々にと言いたいんですけれども、一応そうなっておりますので。
私は、この法律について考えますとき、真っ先に立場上、今非常にストーカーの問題でありますとか、それからドメスティック・バイオレンスの問題でありますとか、女性が暴力の対象となることが非常に多く、しかもそれが社会問題化しているということもありまして、やはりこのことを、性暴力に対することを考えざるを得な
いわけです。近年では、女性への暴力の根絶がきちんと認識されて、政府、自治体による女性政策の柱としてDV対策が位置づけられようとしております。私どもも何とかこのDV法といいますか、女性に対する暴力行為に関する法律をつくりたいというふうに今考えて準備をしているところでありますけれども、昨年施行されました男女共同参画社会基本法の大きな柱の一つとしてこの女性への暴力に関する対策があるのは言うまでもありません。
御承知のように、総務庁が今年度全国規模の調査を行い、現在累計中であると聞いておりますけれども、新年度は網羅的な実態把握からさらに一歩踏み込んで被害者のヒアリングなどを実施し、具体的にケーススタディーを行う予算がつけられております。
例えば、ここで一つのケースを考えてみたいと思いますけれども、夫婦間暴力、夫から妻への暴力、長年にわたってさまざまな形で暴力を加えられている女性が最近各地で声を上げつつあります。駆け込みシェルターというのができております。
しかし、これに対して国の補助は一切まだ出されておりません。民間の乏しい財源の中からカンパや寄附によってみんなが持ち寄って、特に中心となっている女性たちがさまざまな衣類とか食べ物とかいろんなものを持ち寄って、そして民間のシェルターをつくっている。一部自治体がその全体の経費の中から考えればほんのわずか補助をしてくれているところもありますが、国からの補助は一切まだありません。そういうシェルターに駆け込み、性暴力根絶の運動をしているグループの手助けを得ながら提訴する事例もございます。このような事例の場合、よくあるケースとして、被害者の女性は長年の夫の暴力によって心身に大きな傷を負っている場合が非常に多い、特に精神的にもかなり参っている、そういう人が心療内科に通ったりしながらという場合も多々あります。
ここで、民事法律扶助法案の中の援助の審査について、扶助対象の判断基準
として、一、資力に乏しいこと、二、勝訴の見込みのあることの二つを挙げておられます。
さきのようなケースの場合、資力に乏しいというのは当然のことであります。私の知っている限りでも、子供の手を引いて、ほとんどはだしで、着のみ着のままでシェルターに駆け込む方たちもたくさんいらっしゃるわけですから当然のことですけれども、二で言う勝訴の見込みということについて、客観的な事実だけでは裁判の勝訴、敗訴の見込みなんというのは素人にはとてもわからない。弁護士の皆さんだってわからないと思いますけれども、こういった事例が多くあることを
大臣、よくおわかりいただきたいと思います。
例えば、具体的にDVに詳しくない弁護士もいらっしゃるわけです。弁護士さんがすべてわかっていてくださるわけではない。おまけに、暴力を受けたことにより心療内科に通っているということがはっきりしていても、暴力によってその因果関係、診療行為が起きているのかどうかというようなこともなかなか立証できない場合もあります。その結果、子供の親権がもしかしたら、非常に少ない例ですけれども、夫に行ってしまうというような例すらあるわけです。
もっと端的に言えば、セクハラ事件にしろDV事件にしろ、ここ二、三年少しはよくなってきたと私は思いますけれども、それまでには圧倒的に女性被害者の敗訴が多かったという事実も聞いております。そして、もっと考えなければいけないことは、このような性暴力の被害女性が離婚訴訟などを提訴するということは非常に難しい。追い込まれてもうやむにやまれぬ状態になっていて、しかも勝訴しというのはこれは無体な話ではないでしょうか。
大臣、どうお考えになりますか。
○政務次官(山本有二君) 民事法律扶助制度は、資力に乏しい方々が民事裁判等手続におきまして自己の権利を実現しようとすることを後押ししようとする制度でございますから、これを利用するに際し勝訴見込みに関する要件を満たすことが必要であり、本法案におきましても第二条で、民事裁判等手続におきまして自己の権利を実現するという表現を用いて勝訴見込みに関する要件を必要としております。
この要件につきましては、指定法人が本法案の趣旨を敷衍した形でその蓄積するノウハウを生かして具体的に定め、これを業務規程に記載し、法務大臣が当該業務規程の認可を通じてその具体的要件が法の趣旨に適合しているかどうかを判断することとしておりますが、民事法律扶助を必要とされる方々への援助が不当に狭められることのないように適切に指導してまいりたいと考えております。
なお、御参考までに、法律扶助制度研究会の報告書がございまして、ここの中にも先生と同じ問題意識を指摘しているところがございます。それは、本来援助を受けるべき者が援助を受けることをちゅうちょすることがないようにすべきであるとも考えられることから、その要件のあり方として、勝訴の見込みがないとはいえないという方向について考慮されるべきだ、こういう指摘がございます。
以上でございます。
○竹村泰子君 文章では勝訴の見込みとありますけれども、どうやって勝訴の見込みを見きわめるんでしょうか、大臣。
政務次官、お答えありがとうございますけれども、私どもは政府委員の廃止を訴えておりますのは、国会議員同士の議論ができることが本当に国会の討論であるだろう、審議であるだろうということから、こういった問題で私がどうお考えになりますかと聞いているときには、やっぱり御自分の御判断を聞かせていただいて、御決意を聞かせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
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147 衆 法務委員会 03 2000/03/14
○日野委員 試験の問題それから修習の問題等ありまして、これは文部省だけで考えていたってだめなんで、裁判所とか法務省とか弁護士会とか、そういうところともきちんとした打ち合わせをする。もちろん大学、これは国立大学のみならず私立大学も含めて、いろいろ協議をした上できちんとした結論を出していただきたいと思う。そうでありませんと、やはりまずいことになっちゃいますので、これは文部省は今までどおりの教育のことを考えてりゃいいんですというわけになかなかいきませんから、ひとつそこいらは、いろいろな機関との協議の上でそういう検討を進めますということをちょっと約束してもらいたいんです。
○佐々木政府参考人 ロースクール構想は、法曹資格のあり方や司法試験制度あるいは司法修習制度と密接な関係を有しております。そんなわけで、法曹養成制度全体の枠組みの中で検討する必要があるわけでございます。
したがいまして、文部省といたしましても、法務省、最高裁判所等との十分な連携のもとに、現在、司法制度改革審議会の審議もあるわけでございます、そういった動向なども踏まえながら、大学、大学院における法学教育のあり方について積極的な検討を進めてまいりたい、十分連携をとって対応してまいりたいと考えております。
○日野委員 では、また裁判所にいろいろ、今度は少し裁判所との議論になろうかとも思いますけれども、先ほど金築さんでしたか、法曹一元について一応の見解をお述べになった。
私は、日本の司法制度は、これは大陸的なもの、それから、特に第二次大戦以降のいろいろな影響から、これに英米法的な、特にアメリカ的な物の考え方というのが入ってきて、非常に混在しているんだと思うんです。歴史は、かなりヨーロッパ的なものを踏まえて現在のキャリアシステムなんというのはでき上がっているわけですが、しかし一方で、アメリカの物の考え方というのは非常に強く浸透してきております。
実は法務委員会も、去年、フランスの司法制度について勉強をする機会がありまして、行ってまいりました。私もフランスの大審院の法廷を見せていただいた。そうしたら、私はびっくりしたんですが、日本じゃちょっと考えられないんだが、法廷の机の上にもう何件分もの一件書類がずっと並べられて、倉庫がわりになっちゃっている。倉庫がわりだなんと言ったら失礼かもしれませんが、向こうの大審院の方々も、いや実はもう訴訟がたまってたまって、書類の置き場に困ってこうやっているというような説明もしておられたんです。
やはりもっと事件をきちんと処理をする、彼らがきちんと処理しないなんということを言っているわけじゃありませんから、もう今はフランスの話は忘れていただいて、事件を処理をするというときに、事件をもっとダイナミックなものとしてとらえるという考え方というのは、私は必要だと思うんですよ。現に事件というのは、もう死んでしまったのを今いいの悪いのというのではなくて、今ここの局面をどう解決していって、そしてそれをどのように生かしていくかという観点というのは、これからの司法に必要なんだというふうに私は思います。
それから、いろいろな価値観がありますが、特に一般の庶民的な価値観といいますか、人権を擁護するというきちんとした価値観というものが司法制度の中に生き生きと生きていかないと、私は、司法そのものがやがて活力を失い、国民からの信用、国民がそれに頼ろうという気持ちをなくしていくわけですね。現在、日本の経済界が特にこのことは強く意識をしておりますね。もう時間がかかり過ぎるではないか、現在の訴訟の結論が出るときにはもう事態はずっと前の方に進んでいっている、こういう事態が起きるのです。
私は、そういった目から見て、もっといろいろ私の見解を披瀝すればいいところですが、もう時間がほとんどなくなりましたので私の結論だけ言わせていただくが、法曹一元の制度というのは、これが現実に採用されればそういう点でも非常に光ってくると思います。
ただ、そのときに、裁判所がその前に立ちはだかるような態度は、これはとってはいけないんだと思うんです。そして、さっきもおっしゃった法曹一元の基盤となる条件というものの中に、キャリア裁判官の数というものがありますね。キャリア裁判官がこうやってふえていくということ、これは、裁判所が意識するとしないとにかかわらず、そういうキャリア裁判官がふえていけばいくほど、法曹一元というのはやりにくくなるという現状がございます。
ですから、来年はもう卒業生は一つの期だけです。来年はどうするつもりか、私はこれだけ最後に聞いて、終わります。
○中山最高裁判所長官代理者 次年度につきましてどうこうするかということは、今直ちにはお答えできませんけれども、事件の増加傾向がどうなっていくかというようなことを踏まえながら、現状に安住することなく、なお一層適正迅速な裁判を実現するという観点から、今後とも必要な人員の確保に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○日野委員 終わります。
○武部委員長 坂上富男君。
○坂上委員 坂上でございます。
まず、定員法案について質問をさせていただきたいと思います。
日本弁護士連合会が二〇〇〇年の二月十八日に「法曹一元の実現に向けての提言」という文書を発表されております。この中に、私は的確な指摘なんじゃなかろうかと思っておりますが、一つまずお聞きをしたいことがございます。
全体はもちろんお読みいただいておるんだろうとは思っておりますが、二ページに「裁判の質」ということが書いてあります。「官僚裁判官は、」こう書いてありまして、その第一に「法に基づく定型的・形式的な事件処理に重きを置くあまり、事案の把握が表面的になり、具体的な事案の事実関係に迫ってそこから法そのものを吟味して、法にアップ・トゥ・デイトな生命力を与えるとともに具体的に妥当な事案の解決を図ろうという姿勢が乏しくなる」、第二に「行政官庁などに親和的な態度をとりがちになる」、こういう指摘をしておるわけでございまして、私は、これはもう当然な指摘だなと感じておるわけでございます。
それから四ページでございますが、「裁判のあり方」というところの四行目あたりにこう言っておるんですね。「たとえば、「司法は、国民に開かれておらず、遠い存在になっている」」これは司法制度改革審議会の論点整理の中の一つだそうでございます。それから、「「司法は分かりにくく国民に利用しづらい制度となっている」という声がある。これも昨日今日に始まったことではない。今から五十年以上も前に、当時の大審院判事は、「私は現在の裁判所が民衆から遊離していることを今更のやうに嗟歎する…大抵の人は裁判所といへば、怖い顔を以て臨む近づきがたい所としか考へていないのだ。これは封建時代から民衆に植えつけられた考で一朝一夕のことではないが、裁判所構成法が行はれて五十年の今日、なほこの思想の去らないのは、裁判所の方にも反省すべき多くのものが存する」」三宅正太郎先生の「裁判の書」でございます。こういうふうにやはり書かれておるんですね。
そこで、七ページにこういうふうにあります。「これからの裁判制度の概要」というところに、七ページの(三)の最後の四、五行でございますが、「現に官僚たる者が裁量性を介在させて行った裁判には、地域住民の負託あるいは信任を受けてこれを行ったといいうる要素はない。ましてそこに▼陪審制など「司法参加」もないのであれば、そのような裁判によって新たに打ち出されたルールに地域住民が納得しうる実質的な根拠を見出すのは困難である。民主的な正統性を確保するための制度的保障が是非とも必要とされる所以である。」といって、現状の裁判と裁判のあり方についてそれなりの提言をなさっておるわけでございます。
これは簡単で結構でございますから、最高裁はどのようにこういうことを受けとめておられますか。
○金築最高裁判所長官代理者 この日弁連の提言、大変詳しいものでございますので、一々、個々の論点を取り上げますとちょっと時間がございません。簡単に大ざっぱな感想を申し上げますと、この提言は、キャリアシステムについてはいろいろ考える欠点を強調しておられる。他方、法曹一元の方については、理念としての長所を専ら述べておられる。そういったふうに制度のよしあしについて非常に割り切った見方をしておられるように思うわけでございます。
ただ、世界各国でキャリアシステムをとっている国というのは少なくないわけでございまして、この二つの制度にはそれぞれに長所もあれば短所もある、そういうものだというふうに考えます。そういう意味合いから申しますと、この提言は制度を客観的、実証的に分析する姿勢には乏しいように感じております。
○坂上委員 今の御答弁について意見は申し上げません。
それから、今度は八ページにあります「法曹一元の基本構想」、特に「法曹一元の制度構造」についてでございますが、簡単に言いますと、「裁判官の任用資格を弁護士となる資格を有する者で裁判官以外の法律職務に相当期間従事した者とする。」それから「選任方法 裁判官に指名される候補は国民・地域住民に基盤を持つ裁判官推薦委員会の推薦を得た者に限ることとする。」「運営制度 裁判官等の人事をふくむ司法行政を地方分権的に再編成し、かつ、各級裁判所事務局は裁判所の管理運営機能のみを保有することとする」「人事制度 裁判官の昇任制・昇給制など官僚的人事制度を廃止することとする。」そして、その移行期間を「二〇一〇年をもって新規の判事補の採用を中止することとする。」こういうふうに書いてあって、これは確かにアメリカの裁判官制度からもきているんだろうと私は思っておるわけでございまして、やはり私たちにとっては想像できないような新しい提言であることは間違いない。しかし、これはやろうと思えば、意識の問題ですから、できないわけでもないのであります。
この辺、本日の裁判官の増員問題と絡まってこれから大きく影響してくるところでございますが、まず、最高裁はどういうふうなお考えにあるのか、それから、法務省とされましても、こういう観点はどういうふうに御認識をいただいておるのか、これは所管で結構でございますから、御答弁ください。
○金築最高裁判所長官代理者 この「法曹一元の基本構想」で示されておりますところは、ただいま委員が御指摘になりましたけれども、この構想につきましては、抽象的な構想としてはともかくといたしまして、具体的な実現可能性といった点につきましては、どうも検討とかをしたところについて説明が十分ではないんじゃないだろうか、その辺がわかりにくいように思います。
御指摘ありましたように、提言では二〇一〇年をもって判事補の採用を中止するということにしているようでございますけれども、これはいわゆる法曹一元の基盤の問題で、弁護士の地域偏在の是正であるとか、弁護士活動の共同化の推進といったいろいろな諸条件、基盤があるわけでございますけれども、こういった点が言っております年度までにどこまで進むのか、そういった点が必ずしも実証的に検討されてはいないのではないか、そういうふうに考えております。
○臼井国務大臣 法曹一元の問題につきましては、かつて昭和三十九年に臨時司法制度調査会から意見書が出されておりますが、これが円滑に実施されるならば一つの望ましい制度であるとしつつも、これが実現されるための基盤となる諸条件がいまだ整備をされていないとされたところでございます。
しかしながら、委員御指摘をいただきました日本弁護士連合会の提言を初め、司法制度の改革につきましては、各界の提言等にもこの制度について言及するものが少なくございません。昨年末には、公表されました司法制度改革審議会の論点整理の中に法曹一元というものが審議項目として挙げられておるわけでございまして、同審議会におきまして、各方面からの御提言も踏まえまして幅広い観点からの調査審議がなされているものと承知をいたしておりまして、私ども法務省といたしましても、広く国民的見地に立ちまして、充実した審議がなされるように協力してまいりたいと考えております。
○坂上委員 これからいろいろと意見の開陳があり、論争があり、そして、どうあるべきかということの結論が出てくるんだろうと思うのでございますが、やはり私は、こういう提言は極めて重大であり、大変意味のあることだと思っておりますので、ぜひともその提言が実現するように期待をいたしておるのでございます。
次に、私は、新潟県警の女性長期監禁事件について質問をさせていただきたいと思います。
この問題は、私は二月十八日の法務委員会で質問をさせていただきました。自後、ずっと予算委員会、分科会、決算あるいは地行等でも質問を続けてまいっておるわけでございます。しかも、まだ時間が足りませんで、まだまだこの問題について指摘をし提言しなければならぬ問題が相当たくさんあるわけでございまして、以下、私は、この問題について、今度は検察といいますか法務の立場、あるいは裁判の立場でも少しお聞きもしなければならぬと思っておるわけであります。
先般も申しましたが、この事件は、私の町三条で起きた不幸な事件でございまして、被害者になられた女性の方には一日も早い御回復もお祈りをしておりますし、また、御親戚、御家族には本当にお見舞いを申し上げまして、一日も早く心がいやされますことも念じておるわけでございます。
きのうは決算委員会で、国家公安委員長は責任をとりなさいと私は言っているんでございますが、また反面、この女性復帰にかかわりまして、私の町三条市が全国に回復のための募金を、地方自治体が始めました。私は、もうこれは明らかな捜査ミスでもあるんだから、国家賠償の対象でもあるんだ、したがって、新潟県もそれから国も、どうのこうの言わないで、本当にこの被害者の立場に立って、回復のためのあらゆる援助、いわゆる国家賠償法を上回る以上の御支援をされるべきだということをきのうは最後の結びで申し上げました。国家公安委員長は、このことは御指摘のとおり私からも警察庁に申して対応をしたい、こういうふうにもおっしゃっておるわけでございまして、ぜひこれはまた皆様方からも御協力をいただかなければならない問題でもあるわけでございます。
そこで私は、今度はいわゆる法務の立場、いわゆる検察の立場と申しますか、裁判所の立場、それから少し残っておりますところの警察の立場を問題点としてまず指摘をしたいのであります。
この事件は、三月三日に、新潟地方裁判所にいわゆる未成年者略取それから監禁致傷という罪名でもって起訴されました。この事件というのは一体、合議制になるんでございますか、また、方法はどうなるんでございましょうか。
○白木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
お尋ねの事件は、三月三日に略取、逮捕監禁致傷の罪で新潟地裁に公訴が提起されております。本件は、本来は単独裁判官によって審理される事件でございますが、三月六日に合議体で審理、裁判する旨の裁定合議決定がなされたということでございます。したがいまして、この事件は合議体で審理がなされることになります。
○坂上委員 そうですか。それは私知りませんでした。
その次に、いわゆる罪名が二つあります。未成年者略取と監禁致傷でございますが、この犯罪の開始といいますか、着手といいますか、この時期と、犯罪の終了の時期はいつになりますか。
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147 参 法務委員会 01 2000/03/09
○委員長(風間昶君) 以上で報告の聴取は終了いたしました。
大臣初め法務省におかれましては、退席して結構でございます。
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○委員長(風間昶君) 次に、去る一月十二日から十四日まで本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。竹村泰子君。
○竹村泰子君 委員派遣につきまして、御報告申し上げます。
去る一月十二日から十四日までの三日間、司法行政及び法務行政等に関する実情調査のため、島根県及び広島県を訪れました。派遣委員は、風間委員長、塩崎理事、北岡理事、魚住理事、橋本委員、福島委員及び私、竹村の計七名でございます。
まず、島根県では、松江地方裁判所において、現地の法曹三者の代表者に司法書士会の代表者を加えた四者と、司法の実情及び司法制度改革に関し意見交換を行い、松江刑務所においては、概況説明を聴取するとともに、刑務作業の実情等を視察いたしました。
意見交換会では、松江地裁所長から、首都圏と松江のような小規模な町では事情に違いがあるとの意見が述べられた後、管内では本人訴訟が多いこと、県外の弁護士に依頼する場合には期日調整が難しいこと、破産管財人が不足していること、集団密入国事件急増の影響で通訳事件の占める割合が全国平均を大きく上回り、通訳人の確保に苦労していること、西部の支部では国選弁護人の選任に苦労する場合があること等の実情が述べられました。
次に、松江地検検事正から、島根県は東西に長く、交通に時間を要し、職務の連絡に不便であるとの実情が述べられ、このため検事正及び次席検事は、ファクシミリ等により事件の報告を受け、月に一回、決済のためみずから各支部に出向いていること、集団密航事件、大量の覚せい剤密輸事件など外国人犯罪がふえていること等の説明がありました。
次に、島根県弁護士会会長から、弁護士の偏在、地理的状況により弁護士に対するアクセスがかなり困難な状況にあること、所属の二十一名全員が当番弁護士、各種委員等の公益活動を行っていること、日弁連、中国弁護士会、島根県弁護士会で法律相談を行っており、本年四月には県西部の浜田市に公設事務所を発足させる予定であること等の実情が述べられ、五十年間に全国の弁護士数は約三倍になったものの県内の弁護士数はふえておらず、弁護士の増加が直ちに過疎地の弁護士増にはつながらないとの意見が述べられました。
最後に、島根県司法書士会会長からは、弁護士は数が少なく、報酬も高く、少額訴訟をほとんど扱っていないこと、裁判官の後見的訴訟指揮には限界があり、司法書士が書類を作成するだけでは十分な支援ができないこと、島根県でも本年三月に成年後見リーガルサポートセンターを設置する予定であること等の実情が述べられ、弁護士を大幅にふやしても島根県の弁護士人口の増加は考えにくく、司法書士に簡易裁判所の訴訟代理権を認めるなど、司法書士の機能の充実が必要であるとの意見が述べられました。
派遣委員との意見交換では、松江地裁所長から、弁護士会とは新民事訴訟法施行前から勉強会を行ってきていること、松江地検検事正からは、通訳人は言語によっては遠方から来てもらわねばならず、仕事を抱えている人に何日にもわたって泊まり込んで通訳をしてもらうのは困難であること等の実情が示されたほか、弁護士会会長からは、クレジット、サラ金事件で司法書士に簡易裁判所の代理権を認めても経済的にペイせず、抜本的対応が必要である、司法書士会会長からは、過疎県では弁護士会と連携をうまくとり合って総合力で市民にアクセスをしているとの見解が示されました。
松江刑務所は、主に年齢二十七歳以上の犯罪傾向の進んでいる刑期八年未満の受刑者を収容しています。刑務作業は、その大半が作業着等の縫製及び額縁の組み立てで、松江刑務所独自の製品としては、ケヤキの座卓、テーブルがあります。近年、不況の影響で契約の解除等が多く、作業の受注に苦労しているとのことであります。
広島県では、広島法務局、広島地方海難審判庁、第六管区海上保安本部及び広島入国管理局からそれぞれ管内概況について説明を伺い、実情を視察いたしました。
不動産登記事務のコンピューター化は、全国的には平成十六年度末完了を目標にしているものの、手数料収入減少に伴いその遅延が懸念されておりますが、広島法務局管内では二十二庁のうち十三庁、事件数では約八割が既にコンピューター化しており、もう少し早く完了するであろうとのことであります。概況説明の後、実際に登記申請受け付け後の仕事の流れを視察いたしました。
広島地方海難審判庁では、瀬戸内海は海岸線が複雑で、狭い航路に船舶が集中するほか、漁船も多数漁労に従事していること等から、管内では衝突、乗り上げなどの海難事件の発生率が高いこと、他の地域と比べて多種多様で慎重な判断を要する事件が多いこと等の説明の後、審判官三人の合議体により行われる海難審判を実際に傍聴いたしました。
なお、海難審判の場合は、海難原因の究明が特に困難な事件には学識経験者二名を▲参審員として合議体に加えることができることになっており、各地方海難審判庁にはあらかじめ十二名以内の▲参審員が任命されているそうであります。
第六管区海上保安本部では、海上交通安全法に定める全国十一航路のうち七航路が管内にあるため、情報提供と航行管制を行う海上交通センターを二カ所に設置していること、全国で唯一外洋を有していない同管区でも密航船が入り
込み、銃器、麻薬の密輸が行われていること、海上保安官は、海上における司法警察職員としての権限を有し、密輸、不法入国などのすべての海上犯罪に関して、犯人の指名手配、逮捕など刑事訴訟法に基づく捜査を行うことができること等の説明を受けた後、実際に巡視船で瀬戸内海を視察いたしました。
広島入国管理局では、平成九年から船舶を利用した集団密航事案が頻発していること、在留審査関係書類を、秘密厳守の契約を結んだ上で外部委託によりコンピューター入力し、手続の迅速化を図っていること等の概要説明の後、収容施設、収容者の運動場、外国人在留総合インフォメーションセンターを視察いたしました。
なお、本委員会の直接の所管ではありませんが、派遣初日の一月十二日に、米子空港から松江市に向かう途中にある中海干拓事業も視察いたしました。
最後になりましたが、今回の調査に当たり、現地関係機関から御協力をいただきましたこと並びに最高裁判所、法務省当局から便宜をお図りいただきましたことにこの席をおかりして厚く御礼を申し上げます。
以上でございます。
○委員長(風間昶君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午前九時四十八分散会
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146 衆 法務委員会司法制度改革審議会に関する小委員会 01 1999/12/14
○笹川小委員長 以上で報告は終了いたしました。
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○笹川小委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍基雄君。
○安倍(基)小委員 二十一世紀に向けて、日本の司法制度を基本的に考え直すという審議会の役割というのは非常に大事でございます。また、その審議の過程で、やはり我々とよく意見交換をしながらやっていただきたい。でき上がったところで、これでいいのではないかというのではまずいので、そういう意味で、中間報告をこうやってしていただくというのは非常にいいことだと私は考えております。
今、今までの経過を大体話していただいたわけでございますけれども、基本的に、私はまず第一に考えるのは、日本のこれからの司法制度、アメリカ型と欧州型と二つあるのではないか。アメリカ型というのは、もうすべて訴訟に持っていって、そのために法曹人口もべらぼうに多い。ところが、欧州型は必ずしもそうではない。むしろ、行政における調整とかそういうものが大分入っておる。これから我々はどちらの方向を目指すのかなというのが大きな問題としてあると思うのです。
よくグローバル化というので、いろいろな争いはみんな裁判でやる、行政の介入は少しずつ減らすというのが一般の議論ですけれども、アメリカのように、めちゃくちゃに弁護士が多くなって、何でも訴訟でやるという体制が果たしていいものかどうかという問題があるので、この点について、審議会においてどのような議論がされておるのか。また、方向性として大体皆さんの意見はどうであるのか。それをまずお聞きしたいと思います。
○樋渡政府参考人 論点整理に関します会長試案におきまして、今後、諸外国の司法制度についても、その歴史的、文化的背景と現実の機能に留意しながら一定の検討を行い、我が国の司法制度が抱える問題点を多角的に分析した上、我が国にふさわしい二十一世紀のあるべき司法の全体像を描き、実効性のある改革案を示すという旨の記述がなされているところであります。したがいまして、お尋ねの米国型と欧州型のいずれの方向性をとるかという限定した議論ではなく、これらの制度を参考にしつつ、我が国にふさわしい司法制度は何かということについて、今後の審議の中で議論が深められていく問題であるというふうに考えておられるようでございます。
なお、これまでの審議におきましても、学識経験者からのヒアリングの中で、米国におきます訴訟社会に関するヒアリングが行われておりまして、それを踏まえたヒアリング対象者と各委員との間の意見交換におきましても、米国社会の法化の過度の進行と、それに伴う社会的コストの増大に関する問題について議論が行われたところでございます。
以上でございます。
○安倍(基)小委員 我が国に適したというのは当然の話ですけれども、大体の方向性として、ある程度の、アメリカ型か欧州型かという判断が行われてきたのかこないのか。どっちが適しているのだろうかという問題があるわけで、それについての議論は少しはされてきたのですか。
○樋渡政府参考人 現在、まだどのような論点について議論をするかという論点整理の段階でございまして、まだそこまで深まった議論はされておりません。今後この論点に関しましても、外国の司法制度を参考にしながら議論を深めていただけるだろうというふうに思っております。
○安倍(基)小委員 論点項目として、「国民がより利用しやすい」とか「期待に応える」とか、いろいろ書いてございますけれども、私ども、一番問題になっていますのは、非常に裁判が遅いのですね。これがやはり一番大きな問題でして、これは法曹人口が少ないことなのか、あるいは別の理由があるのか、裁判のスピード化というものについて、何か議論がされていますか。
○樋渡政府参考人 御指摘の裁判のスピードにかかわる事項につきましては、論点整理に関します会長試案の別紙論点項目案の中で、民事裁判及び刑事裁判のいずれにつきましても、その迅速化という項目が挙げられておりました。また、民事裁判については、「国民がより利用しやすい司法の実現」という項目に該当するものと承知しておりますので、今後深めた議論をされていくものというふうに承知しております。
○安倍(基)小委員 いずれにせよ、本当に私は、この二十一世紀に、みんな裁判に行きたがらないのはスピードが遅いということなんですよ、実際。これは本当に、利用しやすいとか期待にこたえるとか、その一番の基本はその辺にあるという認識をひとつ持っていただきたいと思います。
それから、司法書士とかあるいは保護司とか、今度また新しい法律でもって調停制度が拡大されて、調停委員。そういう外郭的な司法をめぐるもの、これはさっきちょっと触れられましたけれども、この辺についてどう考えていくのかという一つの方向性は出ておりますか。
○樋渡政府参考人 お尋ねの趣旨に即して答えますと、まだ方向性を出せる段階ではないという状況だというふうに考えております。
ただ、司法書士につきましては、先ほど示しました会長試案の中の論点項目におきましても、「弁護士と隣接法律専門職種等との関係」というものに該当するものと承知しておりますので、深められた議論がされるものと思っております。
また、調停制度につきましても、「国民の司法参加」という項目の中で、現在の日本の制度というところもございますので、そこでまた深められた議論がされるも
のと思います。
御指摘のもう一つの保護司にかかわる事項につきましては、現段階では、お手
元にお配りしました論点整理に関する会長試案の別紙論点項目の中には明確
な形では入っておりません。しかし、審議会において具体的に調査審議が行わ
れるか否かは、現段階では事務局の立場で確定的なことは申し上げることはで
きませんが、保護司にかかわる事項につきましては、犯罪者等の更生に重要な
役割を果たしているという意味で、同試案の別紙論点項目の中の「国民の期待
に応える刑事司法の在り方」という項目や、「裁判所・検察庁の人的体制の充
実」という項目などに関係するものと考えられます上、委員の中にも、この点を議
論すべきであると明確に言及されている方もいらっしゃいますので、本日の御論
議の内容につきましては、当審議会における論点項目に関する審議の参考とさ
れるよう、会長を初め委員の各位に適切にお伝えしてまいりたいというふうに思っ
ております。
○安倍(基)小委員 私は、法務委員会でも保護司問題を取り上げたことがある
のですけれども、非常にボランティア的な要素に頼り過ぎている。本当に保護司
なんというのは、ある意味では非常に身の危険もあるような職業であるし、しかも
非常な労力を要している。こういったことをボランティアという話でやらせていると
いうことそのものが、ちょっと司法体系としてどうなのかなと。これが日本社会に
おいてはどのくらい犯罪防止に役立っているかということは、もう紛れもない事実
でありますので、保護司の問題もやはりその論点の中にはっきり取り上げていた
だきたいと私は考えますが、いかがですか。
○樋渡政府参考人 現段階で、事務局として明確にお答えすることができない
のは申しわけないのでありますが、先ほど申しましたとおり、委員の御指摘は適
切に会長及び委員にお伝えしておきます。
○安倍(基)小委員 それから、▼陪審制の問題をちょっと取り上げていますね。
これについてはまだこれからの議論でしょうけれども、委員の方向としては、前向
きですか、後ろ向きですか、その辺はまだ議論されていませんか。
○樋渡政府参考人 御指摘のように、まだ議論はされておりません。
○安倍(基)小委員 それから、今のスピード化と同時に、法曹人口、これはやは
り非常に大事な話です。ただ、アメリカのように、またべらぼうに大きくなり過ぎる
のも問題だ。つまり、彼らが食べていくために、逆に争いをあおり立てると言って
は言い方が悪いですけれども、そういう点について、私は、さっき欧州型かアメリ
カ型かと言った中にこの辺が含まれているんですが、どういうスタンスを皆様お持
ちでいらっしゃるかな。
(3/8) 次の分割内容へ
○樋渡政府参考人 日本の法曹人口が諸外国に比べて少ないという認識は、いずれの委員の方もお持ちであるというふうにお見受けしております。しかしながら、どのようにふやしていくかというような点に関しましては、論点として、これから審議していただけるものだというふうに思っております。
○安倍(基)小委員 私は、よくイギリスのバリスターとソリシターという話をするんですけれども、日本の場合には弁護士と似たぐらいの数の司法書士がいるんですが、その司法書士をソリシターの地位まで高めるかどうかという問題は、また資格制度とも絡みますけれども、その辺については何か御見解というか、議論はなされる方向であるのか、いやいや、ちょっと違うのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
○樋渡政府参考人 諸外国の法制度の中には、当然、イギリスの法制度も入っておりまして、それらにつきまして、既に諸外国の法制度の要点をまとめましたものも委員はお持ちでございますし、そういった観点から、それらも含めまして、来年以降の審議の中で検討されていくものというふうに承知しております。
○安倍(基)小委員 私、実は四十分から大蔵委員会で質問しなきゃいかぬものですから、この辺でやめておきます。
○笹川小委員長 それでは、安倍基雄君の質疑を終了しまして、福岡宗也君。
○福岡小委員 民主党の福岡宗也でございます。
私は、司法制度改革審議会の議事の公開について、まず御質問を申し上げたいと存じます。
御承知のように、司法制度改革審議会は、その目的とするところは、第二条に規定をしておりますように、まず第一番目は、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにするということ、それから第二番目に、国民がより利用しやすい司法制度の実現、三番目に、国民の司法制度への参画、関与ということを具体的に指摘して、目的に掲げております。
そしてさらに、その設置法の審議の段階におきまして、最終的な附帯決議としまして、衆議院におきましては、やはり法曹一元と国民の司法参加ということ、この二つを大きな柱として、十分に論議をして、その基本的な施策というものを講じろということになっているわけであります。
いわば国民の人権のとりでとしての司法というものを、本当の意味の、国民の利用がしやすい、国民のための、しかも国民の手によるような司法というものを実現しようというのは、この二つではっきり目的としてうたわれているわけであります。
そういうわけでありますので、この審議そのもの自体のあり方も、不断に、その審議の過程から、結論から通じて、国民に明らかにしていく。そして、国民の十分な理解を得ていただいた上で、その国民の意見をその都度反映して、さらに審議を尽くしていくという対応が、従来のいろいろな審議会、行政府における審議会と異なって強く求められているんだというふうに理解をしておるわけであります。そういう意味におきまして、情報公開の流れというのがありますけれども、特にこの司法制度についての改革が、本質的に、公開を他のものよりもより強く求めなきゃならぬものだと思うのであります。
ということは、我々、委員会の審議をしておりますけれども、これはテレビも中継をされておりますし、いろいろなことで公開が徹底しております。すべて原則公開という形をとるということと、それから臨場感も含めた、今回、国会における証人の手続が変わりましたね。従来は静止画像だったのを、そうじゃなくして、本当の、真実が伝わりやすいような形にしていくということでしたけれども、そういう形のものを構築していく必要性があるというふうに思うのであります。
この点につきましては、いち早く、第二回の審議会において、公開問題については議事録全面公開ですし、それから要旨は二、三日中にすぐに作成をするという形になっていますし、ホームページを開設することも認めて、新しい情報のシステムである電子メールによるところの国民の質問、意見等も掲示をできるようになったということは非常に喜ばしいことだというふうに思ってはいるわけであります。
しかしながら、直接的な、いわゆる国民に傍聴させる、さらには報道機関等を通ずる、またはテレビも直接的に放映するということについては、論議は進められたようでありますけれども結論は出ずに、もうこれはたしか九回目になるわけですね、八回まで終了して。なっても、これはまだ結論が出ないということでは困ると思うのでありますけれども、まず、その辺の議論はどうなっているんだということを重ねてお伺いしたいというふうに思います。
○樋渡政府参考人 本審議会の会議の傍聴につきましては、第一回会議以来議論がされておりまして、第一回会議におきまして、傍聴は原則として認めるべきだ、国民との双方向的な意見交換の場を設けることが必要だ、議事録の公開も会議の公開の一つのあり方であり、傍聴を認めるまでの必要はないといったような、委員の間にはさまざまな御意見がございますことから、会議の開催状況を踏まえながら改めて検討するということにされておりまして、年内、次の第九回、十二月二十一日の会議において、最終的に議論をして決着をつけるという段取りに来ているということでございます。
○福岡小委員 そうすると、次の回には決着がつくということですね。私、申し上げましたような、司法制度改革審議会そのもの自体の性質から来る内在的な必要性というものから来ておるんだということで、ぜひとも、会長その他の委員の皆様方に、そういう前向きな対応でお願いをしたいというふうに思うのであります。
特に、従来、こういう情報公開の過程の部分において、審議過程についてちゅうちょしておった一番大きな理由は何かというと、自由な発想で物が言えなくなるのだ、したがって執行自体がうまくいかなくなるおそれがあるのだということでここへ来たのですけれども、議事録を全面公開し、Eメールまでやっているとすれば、その必要はないわけですから、やはりそういう点を含めても、全面公開を次回には必ず決定してもらうように要望しておるということをお伝え願いたいというふうに思います。
それから、Eメールのお話がありましたけれども、Eメールによって国民からの意見が寄せられるということですけれども、具体的に今まで、たしか九月に公開されてEメールの受け付けが始まっておると思いますけれども、もう大分たちますので、どういうような意見が、またどのような数がそれに寄せられているか、ちょっとお教えをいただきたいと思います。
○樋渡政府参考人 本審議会のホームページの閲覧件数は、十一月末現在で延べ八万四千件、十一月だけで三万五千件のアクセスを記録しておりますが、この利用状況の中で、電子メールによります国民からの御意見は、本年九月以降、現在まで六十五件に上っておりまして、その内容としましては、抽象的ではございますが、司法制度一般に関するもの、審議会の公開に関するもの、審議会で取り上げるべき論点項目に関するもの等が見受けられます。送られましたメールにつきましては、すべて委員にお渡ししております。
○福岡小委員 そういう御意見に対して委員会の方からのコメントをさらに発する
というようなことは別に現在はしていないわけですね。
○樋渡政府参考人 その点は、現在はまだ行っておりません。
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146 衆 法務委員会 14 1999/12/14
○木島委員 私は、率直に言って、そんな認識だから弁護士の裁判官への任官が進まないんじゃないかと思わざるを得ないのです。
具体的に言いますと、この臨司意見書が出された以降あたりから、いわゆる裁判官の官僚司法機構、ピラミッド型の、ヒエラルヒー的な強烈な裁判機構が形づくられてきたんじゃないかと指摘せざるを得ないからなんです。最高裁の事務総局を頂点にいたしまして、そして最高裁はすべての裁判官を支配する。人事で、配置転換で、そして給与関係で、そしてまた一九六〇年代後半から七〇年代前半にかけて大問題になりました青年法律家協会に加盟する裁判官への思想差別として、今日も寺西裁判官に対する問題もありますが、そういう人事政策、そしてまた裁判内容に対する干渉もあります。そういう強烈な最高裁事務総局の裁判官全体に対する統制、これをつくり上げてきたんじゃないか。
私はここで裁判官の報酬問題についても質問したことがあるんですが、本来、判事になったら給料はそんなに違っちゃいかぬのですが、給与体系が非常に細かく刻まれているというようなことも、裁判官に対する人事支配の手段として使われてきたんじゃないか。特に配置転換ですね、三年ぐらいで転勤させられる。そういう体制がつくり上げられてくる中で、この委員会でも再三論議されましたが、裁判官が裁判所の中で自由に物が言えない風潮が出てきている。だんだんそれが強化されてきた。
それで、日本の裁判所とドイツの裁判所を比較いたしました日独裁判官物語というのが今映画化されておりますが、ドイツの裁判官は非常に自由です。しかし、日本の裁判官は全く自由がない、自由に物が言えない。こういう状況が日本の司法部の中に、裁判所の中に臨司意見書以来着々と形づくられてきた。あんな息苦しいところに自由な職業である弁護士がとても入り込めない、そういう状況がつくられてきたんじゃないかと私は率直に言って指摘せざるを得ないんですが、そういう自己反省、裁判所はみずからを省みてそう思いませんか。そういう状況を脱却しなければ、幾ら口先だけで、弁護士の任官を進めましょう、いい弁護士には裁判官になってもらいたいと言ったって現実には進まないと思うんですが、最高裁、どうですか、そういう認識はございませんか。
○堀籠最高裁判所長官代理者 裁判所の雰囲気につきまして、弁護士任官した方が公刊物に書かれている感想を見ますと、裁判所は外で見ていたよりも非常に自由濶達で、自由に物が言えるところであるというふうに言われておりますし、私どもも、司法権の行使というのは憲法と良心に従って行うべきものである、そういう配慮をすべきであるというふうに考えているところでございます。
○木島委員 先日、司法制度改革審議会設置法の審議をめぐって私質問をしたら、同じ答弁が裁判所出身の方からここでありました。私も読んだことがありますよ。たまたまそういう一つや二つの意見があるのを金科玉条にして、日本の裁判所の中は非常に自由な雰囲気があるんだなんて言ったら、私は大間違いだと思うんです。
最高裁が司法制度改革審議会に十二月八日に提出した文書を読みますと、十八ページのところに、今言ったように、「弁護士任官者の数は、現実には年間わずか数人にすぎない状況にあり、地域的にも一部の庁に限られている。これには種々の要因があると思われるが、帰するところは、臨司意見書で指摘された法曹一元のための基盤整備が進んでいないためであろう。」こういう文書なんですよ。要するに、あたかも評論家的に、まだ今日なお日本においてはそういう状況だから、臨司意見書で言う法曹一元のための基盤整備が進んでいない、こういう主張なんですね。要するに、今、日本の最高裁は、司法制度改革審議会に対して、法曹一元はまだやるべきでない、そういう認識にあるということをこの文書で突きつけたということですか、これは。
○堀籠最高裁判所長官代理者 法曹一元の問題につきましては、司法制度改革審議会の中で検討していただく事項であるというふうに私どもは考えております。
ただ、その中で、臨時司法制度調査会の意見書に書かれているような前提条件につきましても十分御審議願いたいというのが私どもの基本的な立場でございます。
○木島委員 私は、臨司意見書から今日まで数十年、最高裁が、臨司意見書で指摘されたように、法曹一元の制度が円滑に実施されるような基盤整備をつくろうという立場に本当に立ってこの間努力してきたのなら、もっと圧倒的多数の弁護士が裁判官になっていたという状況をつくり出せたと思うんですよ。しかし、さっき私が言ったように、逆の方向へ一生懸命走っていったから、裁判官になんかなろうとする弁護士がなかなか現実には生まれないという状況を最高裁がみずからつくり出してきたんだと私は思うんですよ。そういうことを棚に上げてしまって、評論家的に、まだ基盤整備が進んでいませんよ、その証明として弁護士任官の数は年間わずか数人にすぎないじゃないかという言い方をするのは余りにも私は不公正だと思わざるを得ないんですよ。どうですか。
○堀籠最高裁判所長官代理者 私どもは、十二月八日の司法制度改革審議会で述べましたとおりの認識に立っているということでございます。木島委員の御理解が得られないのは残念だというふうに考えております。
○木島委員 なかなか裁判所は頑迷固陋だなと思わざるを得ないんです。 時間も迫っておりますから、では、私、もう一つ、この文書の、▼陪審制、▲参審制の検討のあり方という最高裁の認識についてお伺いします。
ここで▼陪審裁判についてこう言っているんですよ。「▼陪審裁判では、真実の発見という要請は後退せざるを得ないことになろう。」というんですね。私は、これは驚くべき認識、国民べっ視、独断と偏見、最高裁の思い上がりではないかと言わざるを得ないんです。何でキャリア裁判官なら真実が発見できて、▼陪審制度になると真実の発見は後退せざるを得ないということになるんでしょうか。その論拠を説明してください。
○堀籠最高裁判所長官代理者 ▼陪審制度につきましては、諸外国の運用、実情等を広く研究いたしまして、外国で行われている▼陪審制度によりますと、実体的真実に向かっての精密司法よりも▼陪審員にわかりやすい、結論だけの裁判という方向に行きがちであるという報告、研究を受けまして、私どもはこういう認識に立っているということを表明したものでございます。
○木島委員 それでは、何か実証的研究というのはあるんですか。日本はほぼ完璧なキャリア裁判官制度です。日本の刑事司法の方が例えば実体的真実の発見に非常に数字の上でもよくて、▼陪審をほぼ完璧にやっているアメリカの司法の方が実体的真実が非常におくれている、数の上でもそういう数字が出てきている、そんな実証的研究というのはあるんでしょうか。そういうものを持って最高裁はこういう文書をつくり、司法制度改革審議会に出したんでしょうか。あったら教えてください。
○堀籠最高裁判所長官代理者 ▼陪審の裁判につきましては、その過程でどの程度の誤判があるかということにつきましては、現在ここに資料はありませんが、外国の学者の調査したものなどがあるようでありまして、その研究の結果を踏まえての意見でございます。
○木島委員 基本的に、日本とアメリカなんて比較できっこないんですよ。日本は検察官が起訴をするかしないかをふるい分ける権限があります。ちょっと事実関係が難しいなと思えば、それは起訴しないのですね。起訴するものは、証拠的にもほぼ一〇〇%完璧なものにえりすぐって起訴している、そういう起訴便宜主義というのが日本は基本にあるわけです。それでも、なおかつ死刑で再審が四件も出ている、そういう状況は日本にもあるんでしょう。そういう日本の国の刑事司法の基本原則と、そうじゃない国との、数字の上で、今数字も言っておりませんけれども、私はそう簡単に比較できるものじゃないと思うんですね。
では、もう一点言います。
この文書によりますと、どうも最高裁は▼陪審制度導入には反対だという趣旨で読み取れるんですが、その理由をいろいろ書いてあるんですよ。▼陪審の評決には理由が付されないから、詳細な事実認定を明示する現在の我が国の裁判とは全く異なる。そういう裁判となって、これはよくないという意味でしょう。それから、▼陪審裁判になると上訴も許されないことになるとか、▼陪審員となる国民の負担の問題、▼陪審員に事件の予断を抱かせないための報道の規制の問題、連日開廷に対応する弁護人の態勢の問題、▼陪審員が直接的に証拠を吟味できるようにするための刑事訴訟手続の抜本的な見直し等についての検討、いろいろ細かいこともあげつらって、これはもう日本では▼陪審はだめなのだということを印象づけるための文書なんですね。
最高裁は、もう絶対に▼陪審はだめだ、そういう立場でこの文書をつくったのです
か。
○堀籠最高裁判所長官代理者 この文書の目的は、▼陪審を我が国に導入する場合には、いろいろな問題点があります、その問題点の主要なものをここに指摘いたしまして、そういう問題点を十分検討した上で、最終的に国民の司法参加がなおかつ必要かどうかという判断は国民がすべきである、そういう前提で司法制度改革審議会でも御審議願いたいというものでございます。
○武部委員長 持ち時間が来ております。
○木島委員 持ち時間を切ったから、終わります。
私は、今の短い時間の論議を聞いても、今の日本の裁判所、最高裁の体質に、国民の意見をもっと取り入れよう、国民の司法参加という点で非常に消極的だということを感じざるを得ません。こういう立場が、今現に行われている司法制度改革審議会に大きな影響を与えたら、大変なことになるという警告を発しておきたいと思います。
実はきょうは、法務省から同じ日付で司法制度改革審議会に出された「司法制度の現状と改革の課題」についても幾つか質問しようと思ったのですが、時間がなくなりましたので、やめます。
以上で終わります。
○武部委員長 保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
きょうは、この委員会で足かけ何年かにわたって何度となく共産党緒方事件の反省と総括を警察当局にもあるいは検察にも法務省にも求めてきたところを踏まえまして、お聞きをしたいと思います。
あの神奈川県警の事件のときに、実行犯までをも特捜部の捜査が特定しながら、警察組織の深い部分にメスを入れることをためらって政治決着を図った、これが今日の神奈川県警の、いわば警察であれば何をやっても大丈夫だ、大目に見てもらえるし、守られる、こういう態度をつくったのじゃないでしょうか。
松尾刑事局長に伺いますが、神奈川県警の事態の責任の大きな根底に検察の責任があるのではないか、こう思いますが、いかがですか。
○松尾政府参考人 今委員は二つの事件に触れられたと思います。
緒方宅の盗聴事件というのがございました。これにつきましても、検察は徹底した捜査を遂げまして、現職警官二名について、先生御指摘のように、盗聴行為というものの事実を認めた上で起訴猶予にしたということでございます。起訴猶予にした理由についてはこれまでも何度も申し上げておりますが、そうした徹底した捜査を通じての事案の内容にかんがみまして、検察として厳正公平、不偏不党という立場を堅持しながら、事案の処理として起訴猶予という選択をしたものと理解しております。
今回の神奈川県警の元本部長を初めとする事件につきましても、相応の捜査態勢を組みまして、相当長期間、徹底した捜査を遂げた上で、先日、事件の処理をしたということは既に先生御案内のとおりでございます。
この二つの事件が、それぞれ、前者の事件が不徹底であったために後者も発生したという一つの要因ではないのかという御指摘でございますが、二つの事件は全く別のことでございまして、また不徹底という御指摘については、今申し上げましたように、検察としては徹底した捜査を遂げて、事案の内容につきまして、厳正公平な判断の上で、そのような処理をしたものと承知しているところでございます。
○保坂委員 それでは、時間も限られていますし、松尾局長とのこういうやりとりもこれが最後になるというと、ちょっと寂しいわけでございますが、緒方事件以後、神奈川県警全体に違法行為に対する反省が組織として定着していったかどうかという局長の認識はいかがですか。
○松尾政府参考人 先生の御指摘のような、神奈川県警自体を組織的に見た場合にこういう違法行為に対する一つの緩みがあったのではないかという御指摘がマスコミ報道を初め各般になされているということについては承知しております。
ただ、これが緒方事件以降ということでございますと、先ほど申し上げましたように、緒方事件につきましては、先ほど申し上げました理由で捜査を遂げ、徹底した処分を行ったということでございますので、それが一つの要因であるかどうかということにつきましては、必ずしも先生の御指摘のような事実はないのではないかなと私自身としては考えております。
○保坂委員 先般委員会で、私ども野党共同で提出を求めました、いわゆる神奈川県警の対応マニュアルと新聞で紹介されているものがございます。これを松尾局長はごらんになって、緒方事件の反省など、どこかうかがえるでしょうか。九一年にこれは出ていますからね、事件後ということで。
○松尾政府参考人 御指摘の文書につきましては、この委員会等でもその内容について個別にお尋ねがあったりいたしまして、その限りで承知をしております。しかし、その全体的なものは私個人としましては読んでおりませんので、その内容についてコメントするのは控えたいと思っています。
○保坂委員 では、臼井法務大臣に伺いますが、私は十一月二十四日の法務委員会で、やはり大臣としてもこのマニュアルを入手して、じっくり見ていただきたい、こういうことで果たしていいのかどうか、きちっと目を通していただきたいとお願いをいたしましたが、ごらんになっていらっしゃいますでしょうか。また、どのような印象を持たれたか、お願いします。
○臼井国務大臣 今委員御指摘をいただきましたように、先般私はその文書の入手に努力をするということを申し上げたわけでございますが、私ども法務省といたしましては、御指摘の文書が法務省の所管行政の遂行のために必要なものであればその入手に努める旨答弁をいたしたわけでございまして、御指摘の文書というものは専ら警察内部の組織管理にかかわるものでございまして、法務大臣または法務省が直接所管する事柄にかかわるものではないということでございますので、結果的に入手する必要はないと考えまして、現在その文書については私は見ておりません。
○保坂委員 法務大臣、何回かのやりとりの中で、これは警察の問題だ、しかし警察の問題であると同時に、法と秩序を預かる法務大臣自身の問題でもある。ですから、入手するように努力をします旨の答弁をされているんですよ。これは撤回されますか。
○臼井国務大臣 今私がお答えをいたしたとおりでございまして、委員御指摘の趣旨に沿いまして検討いたしました結果、今冒頭に私がお答えをいたしましたような判断に至った次第でございます。
○保坂委員 ですから、法務委員会において、入手するように努力いたしますと。我々は、入手して見たいんですが見ることができないので、まずは大臣が見て、どういうものかと判断していただいて、きょう答弁していただこうと思ったんですよ。ですから、入手をするように努力をしますという答弁は、この際なしになさるんですか。撤回するんですか。これをはっきり御答弁ください。
○臼井国務大臣 今御指摘をいただきましたけれども、私が冒頭お答えをいたしましたとおり、御指摘の文書自体は専ら警察内部のものである、こういうことでございまして、私ども法務大臣または法務省が直接所管する事柄には係るものではない。したがいまして、これらのものを国会に提出するか否か、そういった問題につきましては、最終的には所管の省庁において判断すべきものだと考えております。
○保坂委員 大臣、もう簡単に答えてください。それはもうわかったんです、三回おっしゃいましたから。要は、前回の答弁を撤回するんですかと聞いているんです。
○臼井国務大臣 特に撤回をいたすものではありません。
○保坂委員 それでは、これからも努力するんですか。入手をするように努力するんですか。
○臼井国務大臣 したがいまして、判断をした結果、入手をする必要はないと判断をいたしたのでございます。
○保坂委員 委員長、お願いしますけれども、大臣の答弁を今変えられるんだったら変えていただきたいんですね。入手をするように努力しますと前回答えられている。もうこれは入手できないと今おっしゃっているわけです。それなら、それはもう違っているというふうにはっきり言っていただければ次に進めるんですが。
○臼井国務大臣 先ほど来もお答えをいたしておりますが、その文書が、私どもの法務省としての行政の遂行に必要なものであるとするならば、これは入手をする必要がある、こういうことで検討いたしたのでございます。したがいまして、行政的には必要なしと。したがって、もしそのお尋ねが、捜査の過程で収集された証拠に関するものであるというふうな観点でのお答えであるとするならば、それは私どものお答えをすべきものではない、このように思います。
○保坂委員 ちょっと法務大臣、政治家同士の討論ということは今国会の目玉だったんですよ。ですから、確かに答えているんですよ、入手するように努力しますと。大臣として読んでくださいと言っているわけですよ。それに対して、検討したけれども入手しないと決められたんでしょう。そこはわかったんですよ。だから、前回の答弁はこう答えたけれども、やはり今は違う、つまり前回の答弁をここで撤回すると言ってくださいよ。
○臼井国務大臣 御指摘で強いて言うならば、言葉足らずであったということは反省をいたしております。
○保坂委員 松尾刑事局長に最後に、本当に最後の質問になるかと思いますが、私は、今回の神奈川県警に対する検察首脳の判断というのは大変及び腰だったんじゃないか、こう思っています。
警察本部長以下五人起訴、こういう事態に立ち至る以前に、その逮捕、身柄の勾留もしない。証拠隠滅の容疑者が互いに連絡をとり得る、これはまだ通信傍受はしていないと思うんですけれども、つまり、お互いの連絡がとり得る状況でこういうふうに推移をしていくということだと、神奈川県警の中で緒方事件があり、今回のとてつもない不祥事があった。けれども、これは神奈川県警に限らず、警察組織の自己改革というのはまた大きな機会を失ったんじゃないか。そこにやはり検察としても重大な責任を感じてほしい、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
○松尾政府参考人 委員からも何度かにわたりまして、なぜ強制をしないのかという御指摘がございました。
神奈川県警のこの元本部長の関与した犯人隠避事件でございますが、検察といたしましても、この事案が非常に重大なものであるということについては重く受けとめて、通常事件に比してかなり大がかりな捜査態勢を組んでおります。ただ、強制をするかしないかというのは個々の事案ごとに判断すべきものでございまして、例えば、罪種が証拠隠滅だから直ちに強制、あるいはそれが原則と、にわかにはそういうことではないように思います。現実に、統計を持ち出して恐縮でございますが、犯人隠避事件でも強制するのは約五割ぐらいというふうに承知しております。
そんなこともございまして、検察としては、この事件の置かれた状況、全体的なものも含めまして強制をするかしないか慎重に判断した上で、現在の状況の捜査を遂げたものと承知しております。
また、内容につきましても、送致を受けた九人の被疑者の中から五人を公判請求しているということでございますので、検察として、やはり証拠に照らし、またそれぞれの分担した責任に照らし厳正に処理したもの、このように理解しております。
○保坂委員 残り時間を使ってもう一問。
私も松尾局長も、いわゆる被害者という共通点があるんですね。自宅前への嫌がらせを受けられた、そういう意味では松尾局長も被害者。私は、携帯電話で交わした会話が何者かによって傍受をされて、送付をされている、そういう被害に遭っているわけですね。
双方のケース、十分な捜査態勢、この真実、一体これは何だったのかという究明の態勢は十分かどうか、これだけお聞きします。
○松尾政府参考人 先生が告訴されました電気通信法違反事件につきましては、直ちに東京地検特捜部で捜査をしております。現に捜査を継続中というふうに承知しているわけでございます。
捜査の内容、手法につきましては、東京地検といたしましても先生の告訴を重く受けとめまして、十分な力を投入しているというふうに我々は承知しているところでございます。
私の、個人が被害に遭った問題につきましては、私からいろいろコメントするのは適当でないかなと思いますので、控えたいと思っております。
○保坂委員 松尾局長とのやりとりがこれで最後というのは大変残念なんですね。立場がお変わりになっても、前例を変えて法務委員会に来ていただいて、また答弁をしていただきたいとも思うんですが。
さらに、もう質問時間が終わりましたので、法務大臣に対しては、死刑問題で、再三指摘しているように毎回閉会中なんで、閉会中の執行ということについて、なさらないようにという要望を、やはりきちっと国会の議論を避けるべきじゃないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
――――◇―――――
○武部委員長 請願の審査に入ります。
本会期中、当委員会に付託になりました請願は八件であります。その取り扱いにつきましては、先ほどの理事会において慎重に協議いたしましたが、委員会の採否の決定はいずれも保留することになりましたので、御了承願います。
なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり十三件であります。念のため御報告申し上げます。
――――◇―――――
○武部委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
まず
第百四十二回国会、内閣提出、民事訴訟法の一部を改正する法律案
及び
第百四十五回国会、内閣提出、少年法等の一部を改正する法律案
の両法律案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
次に
裁判所の司法行政に関する件
法務行政及び検察行政に関する件
国内治安に関する件
人権擁護に関する件
以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じ
ますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、閉会中審査案件が付託となりました場合の諸件についてお諮りいたします。
まず、今会期中設置いたしました司法制度改革審議会に関する小委員会は、閉会中もなお引き続き存置することとし、小委員及び小委員長の辞任の許可、補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、閉会中、委員会において、参考人の出席を求める必要が生じました場合、また、小委員会において、参考人及び政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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146 参 法務委員会 02 1999/11/11
○国務大臣(臼井日出男君) 自由民主党の中の研究、勉強会、大変精力的に御努力をいただきましてすばらしい成果を上げていただきました。そうした御討議というものを今回の司法制度審議会の審議にも大変参考にさせていただいているところでございます。ありがとうございます。
今お話をいただきましたとおり、今回の司法制度審議会は、本年の七月に立ち上げができまして、二年間ということになっておりまして、本年中には主要論点というものを整理し、来年からは各界各層の皆さん方の御意見を聴取し、二年後にしっかりとお答えを出していただくということにいたしているところでございます。
先ほど私申し上げましたとおり、社会が非常な勢いで動いている、変化をしている。同時に、規制緩和というのもどんどん進んでおりまして、事前規制型から事後チェック型になってきているということでございますので、司法の事後チェック、その仕組みというものはますます大切になってきているわけでございます。
そこで、今回私どもがお願いをいたしておりますものの中には、例えば裁判が先ほど申し上げましたとおり大変長期間かかる、しかもお金もかかるというふうな点についてどういうふうに改革できるのかどうか。
また、あるいは弁護士さんを活用するような場合もなかなか活用しにくいというふうなこともございますし、先ほどお話ございましたとおり、弁護士さんは弁護士さん、あるいは税理士さんは税理士さんと、それぞれの事務所というものを別にお願いしなければならない、そうした不便さというものもどうしたらいいか。
この点につきましては、今委員お話しのとおり、議会の方でもっていろいろ御努力いただきまして、総合事務所等につきましては法律改正等せずに対応し得るというふうに私どもは考えているわけでございますけれども、そうした問題。
また、あるいは国民の皆さん方に司法というものが使いにくい。そうした中にはいろんな状況がございましょうが、一方では弁護士さんの数も少ないんじゃないか、もっと多くあれば対応しやすいんじゃないか、そうした問題も含まれております。
また、量をふやすと同時に質の問題も大変大きな問題になってくるわけでございまして、そうしたときに一体どういうふうに対応していったらいいのか。文部省におきましても大学審議会等で御答申をいただきましたとおり、いわゆる法科大学院、いわゆる日本型ロースクールというものについてどういうふうにしていったらいいのか。そうした問題。
あるいは、ただいまお話ございました弁護士初めその周辺の隣接している業務との兼ね合いをどういうふうにしていったらいいのか。
こうした問題等々につきましていろいろと御論議をいただきまして、二十一世紀に向けた司法というものがどういう方向でもって進むことが国民にとってより信頼性のある、理解していただきやすい、使いやすいものになるのか。幅広い御論議というものを今後お願いいたす、こういうことにいたしている次第でございます。
私どもも所轄の省といたしまして、これらの審議というものがしっかりと御論議いただきまして結論を出していただけますようにさらに努力をいたしてまいりたいと思います。
○塩崎恭久君 聖域なき議論をするということではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
先ほど弁護士の数と司法書士の数を言いましたけれども、弁理士というのも私ども愛媛県にはたしか一人いるかいないかでありまして、やっぱり地方の時代ということであるならばこの辺も少し考えないといけないのかなというふうに思っております。
自民党の中に司法制度調査会があるわけでありますけれども、改めてその中に小委員会というのをこの間つくりました。国民の訴訟解決を支援する小委員会、法律扶助制度を中心にですね、それから法曹一元化、▼陪審・▲参審制度等、国民の司法参加に関する小委員会、知的財産権の委員会、それから養成、教育、資格試験、こういったもの、あるいは裁判の迅速化、裁判のあり方。こういう五つの小委員会をつくりまして、私ども自民党の中でもやっていこうと思っております。
大臣はこういうことはないと思いますが、私ども国会でいろんなものを決めてお役所にやっていただくようにお願いをする。我々政治家の悪いところは、ついつい丸投げをして、後はどうなっているのかフォローしないことが多いわけでありまして、そういうことであってはならないということを込めて、私ども自民党の中の司法制度調査会、各小委員会で、少しこっちがペースメーカーになるぐらいのつもりでやっていこうということでございますので、どうぞひとつ法務省の皆様方もフィードバックをきちっとして、インターネットに議事録を載せておられるようでありますが、どんどんやってもらいたいというふうに思います。
最後に、ちょっと登録免許税の問題についてお話をさせていただきたいと思います。
かねてから私ども自民党の税調の中でもいろいろ議論をしてまいりました。皆さんも御案内のように税率が物すごくたくさんございまして、何を根拠にやっているんだと言いたくなるほどでございまして、主税局流の発想でいけば、取れるところから取ろう、こういうことかなという感じがするわけであります。例えば不動産登記に係る登録免許税は、同じ所有権の移転であっても売買の場合は千分の五十、贈与の場合には千分の二十五、それから相続あるいは法人の合併の場合には千分の六ということになっている。
ですから、売買をしたときには所得が発生するからそこは取れるから取ろう、こういうような発想かなと思うんですが、本来は私は個人的には手数料的なものであって、経済活動の途中段階で課税を余りするというのは、必ず経済活動をゆがめますから余りよろしくないんじゃないかというふうに思っております。それは金額の多寡に関係なく手数料で取ればいいというのが私の考えでありますが、今までずっといろいろやってきて、これをひとつ標準化、平準化しようじゃないかという議論が随分ありましたが、残念なるかな、今日までうまくいっていないということであります。
今、その登録免許税に関係の深い、例えば司法書士の方からも話が出ているのは、相続・合併以外の原因による登記に際しては千分の十で登録免許税を標準化したらどうだ、こういう案が出ているわけでありますが、この点について法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のとおり、不動産の関係につきまして種々の問題が起きているということも承知をいたしておる次第でございますけれども、いわゆる不動産登記に係る登録免許税というものは、登録免許税法によりまして登記を受ける者に課せられる国税である、登記を受けることによって利益を受ける、その点に着目して、その担税力に応じて課税をされるものということになっているわけでございます。
今、委員御指摘のとおり、同じ所有権移転登記の場合であれば登記の原因が異なっても変わりがないわけでございまして、しかしながら現行の登免税におきましては、同じ所有権の移転登記であっても、売買、遺贈・贈与、共有物の分割あるいは相続・法人の合併等によりましてその率が変わっているということでございます。
このことによりまして、近時、不当に税を回避するような目的で実態と異なる低い税率の登記原因、そういう登記申請が行われるといった事例も出てきておりまして、私どもといたしましては、このような事態というものが不動産の登記制度の機能の適正な維持そのものを阻害する、このように考えておりまして、これらのものは防止をする必要があると考えております。
今後、不動産の所有権の移転登記に係る登免税、登録免許税の税率を平準化するということにつきましても、当省の平成十二年度の税制改正要望として大蔵省に対して要望いたしているところでございます。
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145 参 本会議 45 1999/08/12
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案外二法案について反対の討論を行います。
何よりもまず、法務委員会における自民党などによる盗聴法案の恥ずべき強行採決の暴挙、これでまともな法案の採決があったなどと参議院の良心にかけて言えるのでしょうか。この異常な混乱の中でそもそも法案採決などは不存在と言うほかはなく、本法案は直ちに法務委員会に差し戻すことこそ、議会制民主主義の本旨に基づき本院のとるべき当然の措置であることは明らかではありませんか。
ところが、我々野党が共同で法務委員会への本法案の差し戻し付託の動議を提出しましたが、残念ながら自自公三党の反対で討論さえなしに否決されたことは、まことに遺憾と言うほかはありません。
反対の第一の理由は、本法案の通信傍受・盗聴を実際に実行する警察の姿勢と体質の問題であります。
一九九七年六月二十六日、東京高等裁判所は、我が党の元国際部長緒方議員宅の盗聴事件について、これが神奈川県警による組織的犯行であることをはっきりと認めた上、憲法上保障されている重要な人権である通信の秘密を初め、プライバシーの権利、政治的活動の自由などが警察官による電話の盗聴という違法行為によって侵害されたもので、極めて重大であると明確に判断を下しました。
ところが、今日に至るも警察は、この公正な司法の判断に背き、組織的盗聴を行った事実はないなどと、不誠実きわまりない態度をとり続けているのであります。この盗聴事件について、警察がみずから国民の前に事実の全容解明を行い、緒方議員など関係者に誠実に謝罪することは、まさしく本法案審議の根本的前提ではありませんか。
このような警察に対して、盗聴を合法化し、国民の自由と人権を侵害する危険な武器を容認することなど、絶対に国民は納得できないのであります。
反対理由の第二は、本通信傍受・盗聴法案が、憲法二十一条の通信の秘密を侵し、さらに憲法三十五条の刑事手続における人権保障の令状主義に真っ向から違反する違憲立法だからであります。
我が憲法第二十一条は、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と明確に宣言しています。言うまでもなく、法律の範囲内では信書の秘密を侵すことが認められていた旧憲法とはっきり異なって、この憲法規定は不可侵の極めて重いものであります。だからこそ東京高等裁判所判決も、警察による通信傍受は憲法二十一条の通信の秘密を侵害する行為であり、犯罪捜査のためといえども原則としてこれが許されないことは言うまでもないとはっきり判示しているではありませんか。
ところが、本法案による通信傍受は、一たん裁判官の傍受令状が出されると、その後の盗聴実施については司法によるチェックは全くなくて、当事者のいずれの同意も得ないままに、有線電話はもちろん、公衆電話、携帯電話を初め、広範なコンピューター通信に至るまで、犯罪関連通信があると疑うに足りる状況があるとされれば、捜査官憲の任意の判断によって、別件盗聴も含めると何と百八十五種類にも上る広範な犯罪にとどまらず、さらに該当性判断のためと称していわゆる試し聞きができますから、事実上、無限定的に市民の通信が盗聴されるおそれ、可能性が避けがたいのであります。
本法案は、この試し聞きを最小限にとどめるとしています。しかし、この最小化措置なるものも、実際は警察内部のスポットモニタリングマニュアルの運用に任されているのみで、これの乱用防止のためには何ら客観的な法的チェック体制はないのであります。しかも、ファクスや電子メールに対してはこのスポットモニタリングは技術上不可能であるため、この最小化措置なるものも全く機能せず、結局、通信の全部が捜査官に見られてしまうのであります。
その上、立会人には被疑事実は知らされません。しかも、犯罪に関連のない通信を切断するという最も重要な権限は認められておりません。これでは、米司法省のワイヤタッピングレポートでも明らかなとおり、何と八一%を超える犯罪に関連のない一般市民の通話が盗聴されているアメリカの事例を見るまでもなく、捜査権力の乱用による通信の秘密侵害のおそれは極めて重大であり、憲法二十一条違反は明白であります。
さらに、そもそも通信傍受いわゆる盗聴なるものが、当事者には通知もせず、令状も示さずひそかに行われるという点で、本来的に、本質的に憲法の令状主義に反する基本的性格を持っているのであります。それに加えて法案では、裁判官の令状もなしに多数の犯罪について別件盗聴が行われ、その上、捜査官の全くの任意の判断によって傍受した通信に対し、これまた裁判官の令状なしで市民の氏名、住所などが逆探知できるのであります。明らかに令状主義を定めた憲法三十五条に反すると言わねばなりません。
法学者有志四百五十一名の異例の声明が、もともと日本が諸外国と異なりこれまで盗聴法を認めてこなかったのは、戦前における捜査官憲による深刻な基本的人権侵害に対する深い反省に根差すものであり、通信手段が高度に発展し市民生活に広く根差している現在、もしこの盗聴法案が実施されれば深刻な人権侵害が生ずることは必至であると、こう述べているとおりなのであります。
自自公三党の修正によっても、以上に述べた本法案の危険な本質は何ら変わらないのであります。
反対理由の第三は、本法案では、不当に通信の秘密を侵害された国民に対し、適正な権利救済の措置が全くないことであります。
盗聴された事実が知らされるのは、警察官が犯罪関連通信として刑事手続用の傍受記録をつくり、これに記載された人に対してのみであります。ですから、盗聴されても、犯罪に関係がない通信が傍受されれば、多くの国民は、それはみずからのプライバシーを侵害されたにもかかわらず全く知らされないままなのであります。そのため、国民にとっては、その権利侵害に対する不服の申し立てや損害賠償を求める道が永久的に閉ざされています。主権在民、恒久平和とともに、国民の基本的人権尊重を至上の根本原則とする我が憲法のもとで、およそこのような政府権力による人権侵害の野放しが許されないことは明白ではありませんか。
さらに、犯罪に関連のない通信のコピーやメモ等のこうした書面は警察が消去するとされています。これが信用できますか。それが確実になされるかどうかを裁判官も国民も何一つチェックできる客観的保障はこの法律のどこにもありません。
そのため、ひそかに警察がこうした通信傍受をして、それを消去せず、警備公安対策のためなどとしてこれらの市民情報を収集する、こういったことをやるならば、これでは警察による市民監視体制が強まり、まさしく国民の政治的・市民的自由が侵される重大なおそれがあるのであります。
最後に、悪質な組織的犯罪を厳しく取り締まるのは当然であります。しかし、だからといって無法な捜査権の拡大が許されるわけでは絶対ありません。そもそも国家権力による盗聴という最悪の権力犯罪を合法化し、事実上これを野放しにして、どうして自由で安定した市民社会がつくれるのでしょうか。
アメリカの自由人権協会が発行した「プライバシーの権利」という本がありますが、これによれば、一九八〇年代シンシナティーで、地方警察が、千二百件もの多数に上る盗聴を地方議員や政治家や実業家や政治活動家に対して行っていた、現在、これは連邦大▼陪審で審査中であるとはっきり書いています。
盗聴法の導入によって、このような権力による市民の人権侵害や自由に対する脅威をもたらす、このような不正義な社会をもたらすことを断じて許せないではありませんか。
日本共産党は、審議すればするほど違憲性と捜査権力による乱用、その人権侵害のおそれがいよいよ明らかになっているこの盗聴法案の強行成立によって、我が国の民主主義と議会政治の歴史に重大な汚点を残すことを断じて容認することはできません。盗聴法案などは廃案にすることこそが、二十一世紀に向かって憲法と国民の政治的・市民的自由を誠実に守る我が国会と政治の責任であることを強く訴えて、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 福島瑞穂君。
〔福島瑞穂君登壇、拍手〕
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145 参 法務委員会公聴会 01 1999/08/04
○小川敏夫君 当然という御意見をいただきました。本当にありがとうございます。
実際の歯どめの程度なんですが、例えば、捜査官に対してやってはいけない、やれば処罰するというモラルや禁止規定という歯どめの問題もございます。それからもう一つ別な角度から、仮に捜査官が乱用に及ぶようなことをすれば、それが直ちに制止される、あるいは直ちに発覚される、そのことによって防止できるという、いわば制度的な担保といいますか、そういう乱用の防止策もあると思います。
私は、特に後から述べたそういう制度的な担保こそ乱用防止の歯どめとして中心に置くべきではないかと思っているんですが、宮澤公述人は、その点いかがでございましょうか。
○公述人(宮澤浩一君) これは、実を申しますと、歯どめとして特に日本の場合、NTTの職員その他、通信関係者がどうのこうのということが、たしか法務省でこの組織犯罪対策法を議論したときからそういうような歯どめが提案されているんですが、恐らくあれは、我が国特有の立法的な契機と関係があるんじゃないか。すなわち、例の甲府地裁の検証令状を用いて共犯者か何かから麻薬の売人の電話番号を得て、その番号のところにセットしたというようなことがあって、たしかあれはNTTの人が立ち会いたくないと言ったために消防署の職員か何かがあそこで立会人になったと記憶いたします。
こういうふうに立会人をつけて傍受の内容をチェックする立法例というのは、私は、ちょっとそれが心配だったものですから、きのう、おとといといろいろ文献を見たんですけれども、そういう例というのは私の知っているドイツ語圏では見当たらなかったんです。
傍受について見ておりますと、例えばスイスのベルンあるいはチューリヒ州の刑事訴訟法なんかを見ますと、かなり予審判事がいろいろどうなっているかといったようなことを傍受している者に聞くとか、あるいは傍受したことについて非常に細かい、何時何分にセットしてどうしてこうしてというような記録を作成したのを提出させてチェックするというふうに、それはスイスの例でありますけれども、通信業者が立ち会うというようなことは残念ながら見つけることができませんでした。
○小川敏夫君 今、大変貴重なお話を教えていただきました。特にドイツ、今例が出ましたスイス、あるいはフランス等は、日本の刑事訴訟制度とは違って予審判事という制度がございます。予審判事が捜査に関与する。そうしますと、通信傍受制度も裁判官が関与する、あるいは裁判官の抑制のもとに行われているということが言えると思います。
ただ、日本の刑事訴訟法は、裁判官は、令状を発付するというチェックはございますが、それより以降に捜査に関して指揮する、あるいは関与するという構造になっておりません。ですから、法制が違うから、ヨーロッパでは立会人が要らないから日本では要らないという議論は、私はちょっと直ちには賛成できないんです。
ただ、またもとの問題に戻りますが、まず一般論として、こういう通信の傍受を捜査官に認めるとしても、やはり乱用に及ばないような何らかの制度的担保を設ける必要がある。つまり、全く無条件で通信の傍受を捜査官に認めるということではなくて、やはり乱用防止の制度的な担保が必要である。こういう一般論としては御賛成いただけますでしょうか。
○公述人(宮澤浩一君) その点、一つ申し上げたいことがございます。それは、裁判官の数が圧倒的に違うということだと思います。
日本は簡易裁判所の裁判官を入れても三千人ちょっとしかおられません。人口は一億二千万です。ドイツの場合、旧東ドイツの一千二百万、あの国の制度では非常に裁判官が少なかったためになかなか旧西ドイツほどになっておりませんので、我々が比較するときにはどうしても旧西ドイツの数字でしか言えないんですが、六千二百万の人口のときに裁判官がたしか一万五、六千人おられたと思います。そして、公判のときには例の素人裁判官といいますか▲参審裁判官という住民から選ばれた人が立ち会って、これは合議制の場合ですけれども、そういう例を入れますと三万人近い裁判官がおられる。だから、日本でいったら六万人ぐらいの裁判官がおられるということになると思います。
したがって、裁判官がそういう事前手続にかなりの程度関与するというマンパワーがあるんですが、日本ではとてもそれは無理だろうと思います。そういう意味で、単純比較を制度論に持っていくのはちょっと怖いなという、そんなことがありますので、ちょっと留保させてください。
○小川敏夫君 立会人のことに関しては先ほどお伺いしました。私が思いますのは、立会人に切断権とかこれまでの検証令状で認めていたような例が難しいということになりますと、では次に、傍受の時点におけるチェックが難しいのであれば、では事後的に十分なチェック機能が働くようなそういう制度を設けるべきではないかと私は思っておるんですが、その一般論に関してはいかがでございましょうか。
○公述人(宮澤浩一君) 例えば、どういうことをお考えですか。
○小川敏夫君 一つの議論の進め方としまして、まず通信傍受法が憲法違反だから絶対だめだという議論がありますが、今度はそれを次の議論としまして、通信傍受法は認めてもいいという議論があったとして、では今のこの法律でいいのか、こういう議論も当然なされてしかるべきだと思います。
それで、私はこの法案の構成を見ましたところ、立会人に傍受の内容を聞かせることはないし、切断権もない。では、事後的に捜査機関ではなくて裁判官がチェックできる、あるいは傍受された当事者が不服申し立てをできるという制度が保障されているかどうかという観点からこの法案を検討してみました。そうしましたところ、この法案の構成は、後で刑事手続に使用するその傍受記録を作成したという部分に関しては通知がなされ、不服申し立てができるという構成になっておりますが、そうではない部分、ですから乱用があれば、恐らくその乱用部分は後に刑事手続に使用されることはないと思います。あるいは、電話の傍受が全部乱用であれば、当然傍受記録が作成されないわけでございます。
そうすると、いわば乱用があった場合には傍受記録が作成されない、傍受記録が作成されないと通信当事者に通知がされない、したがって不服申し立ての機会もないという構造になっておりまして、どうも乱用にわたった部分があったとした場合のその事後チェックが実質的にないに等しいんではないかというふうに私は考えております。そういう意味で、事後チェックが不十分ではないか。
ですから、もっと具体的に申し上げれば、傍受をしたその原記録が裁判所に保管されますので、それを裁判官なり裁判所書記官がチェックするとか、あるいは通信の当事者、これは傍受記録を作成した人だけでなくすべての通信当事者に通知をして不服申し立ての機会を与えるとか、そういう事後的チェック機能が設けられてしかるべきではないかということでございます。
○公述人(宮澤浩一君) 私の個人的な意見を言わせていただくと、その立ち会いの人はこれはあくまでも法律とは関係のない技術者とかそういう人だろうと思うんです。そういう人が、逆に言うと傍受記録のことを余り知るということは果たしてどんなものかなと。あるいは例えば私がもしそういう職員だとして、法学部出身だったりすればある程度の判断はできるかもしれないけれども、逆に非常にデリケートな捜査の立ち会いをして、これは関係ないからここで打ち切ったらどうでしょうかなどというようなことを果たして自信を持って言えるのかなと。
そういう意味で、立ち会いというのはあくまでも社会常識の許されるような判断の範囲内で考えるべきなんでしょうね、実際にそういうことをやったこともないし、ただ想像で話をするだけにしかすぎませんけれども。逆に、余り立会人にいろいろなことを知らせると、立会人がかえってとても気が重くなってもう途中でいやだというようなことがあったり、あるいはそういううわさを聞いて全然立会人のなり手がなくなって、結局また消防署の職員か何かが立ち会うというようなことに堂々めぐりとしてなってしまうんじゃないでしょうか。どうも僕はその辺のところはよくわからないんですけれども。
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145 参 行財政改革・税制等に関する特別委員会 08 1999/07/01
○参考人(山口二郎君) その点は先生と全く同じ危惧を持っておりまして、やみくもに公務員の数を減らすということによって国民にどういう不便が及ぶかということをきちんと検証する必要があるというふうに思います。
○吉川春子君 八木参考人にお伺いいたします。
今回の行政機関の再編は、戦後期行政制度の全般的な見直しの一環で、その端緒としての意義を持つものだとお述べになっておられまして、これは「法学教室」から引用しておりますけれども、なぜ一府十二省庁なのか。中央省庁の数を減らすことが国民生活をどのように改善していくのか。その点について、もう時間が少なくなりましたけれども、恐縮ですけれども、どういう改革につながるのかということを端的にお述べいただきたいと思います。
○参考人(八木俊道君) 現代組織論の立場で申しますと、合議体機関というものは、十人を超えるとサイレントメンバーがふえてしまう、真のリーダーシップをその合議機関は果たし得ないのではないか、この辺が一つの原点でございます。
昔、▼陪審制度を撮ったアメリカ映画がございましたが、ヘンリー・フォンダという大変立派な役者さんがおやりになった。あの辺が現代組織論の示唆するところかなと。大きな価値の選択を政治サイドで打ち出す場合にはコンパクトな合議機関でなければならないということでございます。国の命運を総合的に判断する合議体のマシンというものはせいぜい十人ちょっとかなということでございます。そ
のことによって政治指導が総合的な目配りのもとで行われる、この辺に着目したのが行革会議報告の趣旨でございます。
○吉川春子君 終わります。
どうもありがとうございました。
○日下部禧代子君 社会民主党・護憲連合の日下部禧代子でございます。
きょうは四人の参考人の皆様、本当に大変示唆に富む御意見をいただきまして、ありがとうございました。
さて、四人の参考人の御意見をいただいている中で一つ私が再確認させていただきましたのは、行政改革というのは、キーワードは行政のスリム化ということが言われておりますけれども、ただ単に省庁あるいは公務員の数を減らすということにとどまってはいけないということ、これを再確認させていただいたわけでございます。
ところで、中央省庁の改革というのは、中央とのパイプ、そういう言葉に象徴されるいわゆる利権と制度の構造、ストラクチャーを変えるというところに大きな目的が一つ存在しているのではないかというふうに私は理解しております。それは当然、国と地方との新たな責任、事務、それから権限、機能、再分配のシステムをいかに構築するか、そのことの展望なしに中央省庁の改革をするのであってはほとんど意味がないのではないかというぐらいに私は思っております。したがいまして、当然、中央省庁の改革ということは、地方分権改革、そしてさらには政治改革ということにつながっていくべきものではないかというふうに思います。
そこで、まず山口参考人にお聞きしたいのでございますが、いわゆる裁量行政あるいは補助金行政、さらに縦割り行政というのを入れてもよろしいかと思いますが、そういう今の行政システムのいわゆる問題点と言われているもの、そしてそれは同時にまた現状の行政システムの根幹でもある。そのことが政官の癒着、そしてまたいわゆる汚職スキャンダルの温床というものにも十分になり得ている。
そこにメスを加えていく、そのための改革にもなるべきだと私は思っております。
そういう観点で、今、行政と政治とのあり方でさまざまな問題点がございます。短い時間ではございますけれども、その問題点を指摘いただきながら、あるべき姿というもののイメージを私たちはしたいと思いますので、御意見を賜りたいと存じます。
○参考人(山口二郎君) 本来、行政改革と地方分権は不可分一体のものだというふうに思います。
私は先ほど政策における需要供給のミスマッチということを申し上げましたが、実は補助金制度というものがその根源にあるわけであります。言うまでもなく、補助金適正化法その他によって補助金の使途やその手続について極めて厳格な縛りがあって、地域の政策に対するニーズというものと、それから予算のサプライの側に非常に大きなずれがある。これはさまざまな例がございます。
したがって、効率的な行政あるいは国民の需要に見合った行政を実現していくためには、補助金の整理統合あるいは一般財源化、地方分権推進委員会五次勧告で検討されかかったような課題を本来さらに強力に推進していくことこそ行政改革に直結する課題であろうと思われます。さらに踏み込んで申しますと、要するに、さまざまな陳情が来る、あるいは国会議員の先生方が農水や建設その他に行って地元のために奔走する、それは現状の仕組みを前提とすればしよう
がない現実ではありますが、本来、国会議員の先生方が国政全体のことを考えて長期的に政策を論じるという意味からいっても、中央と地方の役割分担ということをさらに徹底していかないと、二十一世紀の国政のシステムというものが十分能力を発揮できないというふうに思います。
○日下部禧代子君 今の問題につきまして、政治、行政のあるべき姿というものをもう少し突っ込んで御意見いただきたいのでございますが。
○参考人(山口二郎君) 結局、今回行政改革で言われております政策の評価ですとか、あるいは透明化ということについても、現に都道府県あるいは市町村のレベルに行けば既に実践をしている事例がたくさんあるわけでございまして、要するに首都における巨大な中央省庁の中で参加とか公開といっても、それには当然限度があるということであります。
さらに、国民自身の取捨選択によって能率的に政策を実施していくという面からいっても、なるべく身近な自治体政府において政策を決定することが望ましいことは言うまでもないわけでありまして、いわばそのためのお金の裏づけについて踏み込んだ改革を行うことが、私は行財政改革の中の中心的課題になるというふうに思います。
○日下部禧代子君 今のいわゆる政治と行政のシステムの問題につきまして、八木先生、いかがでございましょうか。
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145 参 法務委員会 14 1999/05/27
○福島瑞穂君 二十一世紀のあるべき司法ということのみが強調され、本来の司法が果たすべき役割が弱くなるのではないかということは小田中参考人を初めさまざまな方が参考人として述べられています。ですから、従来のさまざまな指摘があったこと、行政権のチェックの問題、判検交流等も含めてぜひ審議会で取り上げていただきたい。本来の司法が果たすべき役割ということも審議会の中で十分議論していただきたいと思います。
そして、この審議会でどうしても落ちてしまうのではないかと大変危惧していることに基本的人権の保障、法の支配といったことの論点があります。
国際人権規約B規約の規約人権委員会におきまして、日本は刑事司法、捜査の改革をするようにということを言われております。例えば、代用監獄の制度、自白調書に頼り過ぎではないかという指摘はたびたびされております。捜査あるいは刑事司法に問題があれば、幾ら▼陪審制、▲参審制を導入しても、証拠に問題があればいい結果が出ないというふうに考えております。
この審議会においては、刑事司法改革の問題、とりわけ国際人権規約B規約の委員会から指摘された問題などについてどういうふうに取り上げられる予定でしょうか。
○国務大臣(小渕恵三君) 我が国の刑事司法のあり方につきましてはさまざまな指摘がなされております。その改革につきましても各種の提言がなされていることは承知をいたしております。具体的な審議項目につきましては、これらの提言等を踏まえ、審議会において明確にしていただくことが適当であると考えております。
御指摘のありました規約人権委員会から勧告がなされていることは、委員に御指摘いただいておりまして、承知をいたしております。それらの点も含め、司法制度改革につきましては各界からのさまざまな提言がなされているところでありますが、具体的な審議項目につきましては、これらの提言等を踏まえ、審議会において明確にしていただくことが適当であると考えております。
○福島瑞穂君 国際人権規約B規約の論点などもテーマとするかどうかについて検討すると言っていただいたことは大変心強いと思います。
二十一世紀のあるべき司法、経済的にどうかという論点だけではなく、今まで五十年間さまざま指摘されてきた司法制度の改革、刑事司法の改革などについて積極的にこの審議会が取り上げてくださることを期待しております。
それで、国会の法務委員会などとの関係なのですが、私自身は、内閣にこの審議会を置くこと自身非常に疑念もあるというふうに実は考えております。百歩譲って、国会の方が少なくとも内閣よりも議論するのに適しているのではないかとも考えるのですが、この法務委員会とその審議会との関係についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(小渕恵三君) まず、冒頭の御質問にあったことかと思いますけれども、内閣の権限としてこの審議会を内閣に設けるということについてでありますが、これは憲法第六十五条において「行政権は、内閣に属する。」とされ、立法及び司法に固有の作用を除く国家作用はすべて内閣に帰属することとされておるということをもとにいたしておるわけでございます。
そこで、国会との関係でございますが、言うまでもありませんが、国会は国権の最高機関でございまして、先ほど来申し上げておりますように、この審議会の審議の状況につきましても、国会がこの法律について御審議を願っておることにかんがみまして、十分これは連絡等遺漏なきを期して、御要請をいただければ、当然のことながら事務局からこのことについては説明をし、よりよき司法制度が確立できるように、これは立法府と、そして内閣にこうした審議会はできてはおりますけれども、結論的には国民のためになる司法制度はいかにあるべきかということに帰着するわけでございますので、最大の御協力を当然のことながらいたさなきゃならぬ、こう考えております。
○福島瑞穂君 代用監獄制度も含めたさまざまな刑事司法改革、そして司法改革、特に基本的人権、法の支配に留意して審議会で議論されることを期待して、終わります。
○中村敦夫君 中村敦夫です。よろしくお願いします。
司法改革というのは、二十一世紀の日本の進路、そして社会のありようを決定的に規定するものであり、また現状の矛盾を考えますとこれはぜひやらなきゃいけない。しかし、一党一派あるいは特定の団体や組織に偏向するということでは困りますから、やはり広く国民的な議論を喚起する、そして普遍的な良識というものを反映される、そういう方向で進められなければいけないと思うんです。
それで、結局、こういう大改革をやるときには必ず審議会形式という形になってくるわけですけれども、これまでの審議会というのはやはり密室主義、それから事務局の主導だという批判が非常に強いやり方です。ですから、こうした大問題をやる場合に、もちろんそうした核となる審議会は必要であると思いますけれども、そこにすべての問題を閉じ込めて全面委任すべき性質のものではないと考えるんです。
それで、具体的に言えば、十三人の審議委員と事務局ということだけではやっぱり取りこぼしてしまう大きな分野がたくさんあると思うんです。例えば世界的な人権組織の支部だとか、たくさん日本には民間の団体があるわけです。多分そういうところからは委員が選ばれないだろうというふうに私は予想しているんです。しかし、それは大変まずい。
ですから、こぼれ落ちた、しかもそれはかなりすそ野の広い分野ですから、そうした人々の意見を反映させるというようなこと、あるいは審議会だけで専門的に進んでいるんだということじゃなくて、国民がこの議論に参加するということで、例えば国民的なアンケートをやるとかいろいろな催し物をやるとか、そうした百花繚乱の議論の中で、そして整理していって、審議会で普遍的な骨格ができ上がるということが私は理想的だと思うんです。そういう装置あるいはプログラムというものを総理はどうお考えになっておられますか。
○国務大臣(小渕恵三君) 本審議会は、国民的見地から司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議することを目的として設置されたものであるため、国民各層の意見を十分反映した審議が行われる必要があり、その必要性については審議会の委員におかれましても十分配慮されるものと考えております。
具体的にいかなる方法をとるべきかについて、審議に当たられる本審議会において適切な方法を決めていただけるものと考えておりますが、今、中村委員が前提でお話しされたことにつきまして、私も異論はありません。ただ、あらかじめ人選が必ずしも好ましいものでないという前提でお考えいただくことは、ひとつそうでないように最善を尽くして人選に努めていきたいというふうに考えております。
一般的に司法関係につきましては、これは我々行政、それから国会、立法府に比べまして、やや専門家だけが担当しているという印象が国民に正直言ってあると思うんです。ですから、そういう意味で、余り専門家だけでやっておるということになりますと、今、委員が御指摘のように、どうも司法はよっぽど何か自分の身に起こらなければかかわり合いを持ちたくないというような感じのものが率直に言って国民にあると思うんです。
そういった意味で、やっぱり三権の大きな一つの司法の大切さということを考えると、こういう機会に、審議会においてももっと国民に向けてこういう問題の所在があるということを明らかにするとともに、先ほどアンケートを出したらよろしいとかいろいろなことを考えろという御指摘でございますから、これは審議会で御検討いただくことであろうかと思いますが、我々内閣でこの審議会をつくるということから考えれば、そういった点で国民的世論を、司法に対して目を向けていただけるということにつきましても、こういう機会にもっとやはり広く司法が開かれたものになっていくために必要なことではないかという御指摘は私は賛成でございますので、工夫をいたしていきたいというふうに考えております。
○中村敦夫君 衆参両院の法務委員会で参考人質疑がありまして、たくさんの参考人が非常に積極的ないろいろな意見、問題提起をされました。結局、こういうこと自体ができ上がった後の審議会へどういうふうに反映されるのかということについてお尋ねしたいんです。
○国務大臣(小渕恵三君) 両院の法務委員会で参考人その他の意見を聴取いたした内容についてまだすべて私自身把握しておりませんが、これからそうした貴重な御意見を述べられたことについて注目をさせていただきまして、そういった点が今後の審議につきましてもいろんな形で参考になるための努力はさせていただきたい、こう考えております。
○中村敦夫君 つまり、それ自体が何らかの形で審議会に提出され検討されないと、あれだけのことをやったことが余り意味がなくなりますから、ぜひそれはやっていただきたいという要請です。
それで、総理に最後にお聞きしたいんですけれども、この参考人の御意見の中に、国民が司法にどんどんなじんでいく、つまり日本ではなじみが非常に薄いというのが現状ですから、そういうことのためにも、あるいは判決の正当性を客観化するためにも▼陪審制度の採用ということを積極的に言われる参考人が多かったと思うんです。この件に関して総理自身は個人的にどういうふうにお考えになるか、お答えいただきたいんです。
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘の▼陪審制度の採用については、本委員会における参考人の意見も含め、司法をより国民に身近なものにしていくという観点からも意義があるといった提言をなされていることは承知をいたしております。
この問題については、我が国の司法の基本にかかわる問題であるので、広く国民の意見を踏まえて種々の観点から慎重に議論される必要があると考えております。
私も不勉強でございましたけれども、実は▼陪審制度については既に日本の法制度の中では成立をしており、これを今停止しておるということになっておられるようです。したがって、この問題は常々、明治以来日本の裁判のあり方について恐らく国としても重大な関心を寄せてきておった問題であろうと思います。
そこで、個人的なということを問われましても、まさにこの問題についても審議会で慎重御審議をいろいろいただくことであろうかと思いますので差し控えさせていただきたいと思いますが、例となるのは、身近で知っておるのは、アメリカの▼陪審制度というものが我々の目に触れるわけで、有名なO・J・シンプソンの事件とか、我々もアメリカの映画で「十二人の怒れる男」とか「ザ・バーディクト」、いわゆる「評決」とかという映画を随分見せていただきまして、▼陪審制度についていろんな思いを実はいたしております。おりますが、大変申しわけありませんが、今私がここでその制度について是非を明らかにすることについては差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
○中村敦夫君 ▼陪審制度は、実は日本でも採用されてやったことがある歴史がありまして、なかなか内容がおもしろいんですね。ぜひ総理に個人的にもちょっと研究していただくと大変おもしろいと思うので、それをお勧めして、質問を終わります。
○委員長(荒木清寛君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○委員長(荒木清寛君) 速記を起こしてください。
引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 総理に対する概括的な質問はさせていただきましたが、この司法制度改革審議会設置につきまして、ほぼ論議も終盤を迎えておろうかというふうに思いますので、残された問題等、法務大臣、そしてまた最高裁事務当局の方にもお尋ねをさせていただきたいと思います。
先ほど、総理にも基本的な問題、基本的な考え方をお尋ねしたんですけれども、私は、今回の司法制度改革、この論議は、いわば経済界等の動き、これが大きなきっかけになりまして動き出したということにある意味では極めて特徴があろうかというふうに思っております。
これまでも司法に対してはさまざまな改革の意見あるいは取り組みがなされてまいりました。しかし、政府がこぞって司法制度の改革、こういうものに腰を上げてきたということはございませんでした。経団連等いわば経済界あるいは経済的な要請、こういうものの中で司法改革というのが重い腰を上げ始めたということ、私は、これが本当にいいことなのか、あるいは非常に危惧をする面もあるのか、そんなことを感ずるところでございます。
すなわち、経済の面でも、従来からの護送船団方式と言われるものから自由な競争、そして自己責任あるいはルールを重んじた社会に転換をしてきた。こういうことの中で、自由競争ルールに基づいて的確に進めて、そして、紛争があれば迅速に処理することが要請されるということは当然のことであろうかというふうに思います。そういう意味で、経済界からも司法の充実や強化、こういうものが要請されてきたということであろうかと思うんです。
ただ、忘れてならないことは、やはり司法というのは、そもそも経済運営のために、あるいは経済の動きに合わせるために行われるわけではないことはもう十分大臣も御承知のところでございます。経済の場においても、公正なルールや法の支配というものが貫徹されるということは別に否定することではございませんけれども、それだけではない。やはり経済の変動の有無にかかわらず、司法がより一層充実をされ、そしてその役割を果たすこと、これは当然であり、その問題点というのは大変多岐にわたり多くあろうかというふうに思います。これまでにもそういうことが多々指摘をされてまいりました。
また、経済がこのように自由競争が進むという中では、むしろこれまで以上に経済的な要請ではなく市民にとっての権利保障というのが重大になってくる。弱肉強食という社会になってはならないし、それから経済と市民生活、その間の情報の格差というのも大変大きいものがあるわけですから、規制が緩和されることによってより一層個人の権利、こういうものに注意を払っていくということが必要だというふうに思います。そういう意味では、一人一人の個人の権利、人権が保障されるということは、大きな経済の動き、社会の動きの中でもいわばセーフティーネットという役割を果たすのではないかというふうに思っているところでもございます。
どういうきっかけでこの司法改革の論議が大きく踏み出されてきたか、これは別としても、審議会の議論がこういう基本的な視点を忘れずに活発に展開されることを私たちも望んでおります。それのみならず、立法府、これも先ほど触れさせていただきましたが、当委員会でも司法改革を専門的に論議をしようということで小委員会を設置するという方向も今進められているところでもございます。政府としても、審議会ができたのでそこにすべてをゆだねるということではなくして、これまで長年にわたっていろいろ指摘されてきた、あるいは今取りかかるべき課題については、やはり怠りなく積極的に取り組んでいくということが必要ではないかというふうに思います。
特に、先ほどもどなたかが触れておられましたけれども、審議会も二年間という期間でございます。参考人からも多岐にわたる問題指摘もありましたが、二年間で本当にどうやって意見集約ができるのだろうか。社会のこれからのありようを本当に決めていこうというくらいの大仕事ですし、具体的な個々の問題を取り上げれば、これまでも一年、二年かけても解決し得なかったような課題がその中にたくさん盛り込まれる。こういうことになると、審議会も論議を進めていただく、しかしその一方で、国会も、そして政府としても、むしろ競争し合うぐらいの形で司法の改革というものに取り組んでいく、そういう姿勢がやっぱり必要だというふうに私は思います。
そういう意味では、審議会にもきちっとした理念のもとに論議をいただきたいというふうに思いますけれども、さらに、政府、法務省としても、そして最高裁としても改めて司法の充実、より一層の発展に向けた取り組みをお願いしたいというふうに思います。
まず、改めてということになって恐縮でございますけれども、これからの司法の充実に向けてどういう姿勢、どういう理念、考え方に基づいてお取り組みをされようとするのか。これは審議会への期待もあろうかというふうに思いますけれども、みずからの姿勢として、どういうお考えのもとにこれから法務行政あるいは司法行政などを進めていかれようとするのか、それぞれ法務大臣、そして最高裁の事務当局にもお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) ただいま委員がお話しなさいましたように、司法というのは国民の権利の実現を図るとともに、国民の基本的人権を擁護し、さらには安全な国民生活を維持するなど、国民生活にとって極めて重要な役割を担っておるわけでございます。
二十一世紀を目前に控えまして、ただいま社会経済、あらゆる面で複雑多様化し、国際化が進んでおりまして、そういう中で司法の果たすべき役割というのは一層重要になってきております。
したがいまして、二十一世紀の司法がより国民に身近で利用しやすくするためにいかにあるべきか、その基盤なり整備の問題について早急に審議会で議論を深めていただき、方向を出していただきたい。二年間がどうかという問題はございますけれども、二十一世紀を目前にしておりますだけに、精力的にこれまでも議論されましたように国民の幅広い御意見を集約しながら方向づけをしていただきたい、このように願っておるわけでございます。
そういうわけでございますけれども、私ども法務省といたしましては、審議会の結論を待って取り組むこともございますけれども、それを待たずに早急に必要な施策につきましては適宜適切に実施してまいりたい、このように考えておるところでございます。
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 改めて申し上げるまでもなく、司法制度は、市民の家庭関係や社会生活、経済活動等に伴い発生いたしますさまざまな法的紛争の予防と解決、権利の保護と救済を図るためでございます。したがって、国民生活あるいは社会の実態が変容すればそれに即して司法制度も改善するという努力を常に払っていかなければならないと自覚いたしております。裁判所といたしましても、その本来の使命であります適正、公正、迅速な裁判の実現のためにこれまでも着実な努力を重ね、国民の皆様方の一定の信頼を得てきたものと考えております。このような努力は、審議会の御審議を離れても続けてまいらなければならないと考えているところでございます。
しかしながら、最近の経済を初めといたします社会情勢の大きな変動によりまして、法的な紛争が量的に増大したのみならず内容的にも複雑多様化しております。これを公正な手続でより迅速に解決してもらいたいという国民のニーズは一段と高まっておるところでございます。また、国際化の進展に伴いまして、裁判の適正、公正、迅速さといった面でもグローバルスタンダードという視点を抜きには語れなくなってきているわけでございます。現在各方面から寄せられております司法制度の改革の議論というものは、まさにこのような要望を反映したものであろうと考えているところでございます。
二十一世紀を目前にいたしまして、我が国のさまざまな分野におきまして構造的な見直しが進められているところでございますが、このようないわば節目の時期に司法制度全体について総合的な見直し、改善を図るということは、まさに時宜を得たものと考えている次第でございます。
最高裁判所といたしましては、個々具体的な事件の適正、迅速な処理を通じて、国民の権利を擁護し、法の支配を実現し、そして国際的に見ても遜色のない裁判制度をつくりたい、こういう目的を持っておりまして、そのような理念に立って司法制度改革審議会における審議に協力させていただきたいと考えている次第でございます。
○千葉景子君 確かに、二十一世紀を目前にするこういう大きな時代の変わり目ですから、そういう時期をとらまえて、司法の分野でもやはりこの際改めて抜本的な見直しやあるいはこれからの方向性をこぞって考えていこうということは、そういう意味では私も理解をさせていただきます。ただ、この機会をとらえることはよろしいですけれども、これまで本当にもっともっとやれてきた部分、あるいは余りにも腰が重かった部分があったのではないか、こういう気がいたします。せっかくこういうチャンスを国民の側からも与えられたということでもございますので、そんなことをよくよく頭に置いてぜひ積極的な姿勢をお持ちいただきたいというふうに思います。
そこで、先ほども総理にお尋ねしましたが、そういうことを考えるにつけ、やはり余りにも貧弱な予算ということを改めて感じます。総理も、とてもこれでいいとかあるいは十分だとはどうも思わなかったのではなかろうかと先ほどの御答弁ぶりから推測をさせていただくわけですけれども、こういう機会に司法の予算というものを運用している側としても積極的にやはり充実させていこう、こういう気構えも必要ではないかというふうに思います。
この間の審議あるいは参考人等の御意見からも、少なくとも司法がもっと小さくてよろしいなどという意見は皆無なわけでございます。もうちょっと充実、そして容量も含めて大きくせいという意見こそあれ、小さくなってよろしいという意見はないわけでございます。もう繰り返しませんけれども、先ほど総理にもお示しをさせていただいた数字を考えますと、これは本当に残念ながら貧弱そのものと言わざるを得ないというふうに思います。額が多ければいい、金だけ持っていればいいということはございませんけれども、これから改革を進める、あるいは法務省も審議会のあれを待たずしてもやるべきことはやろうということでもございますので、やはり財政措置などについて積極的に物を申していくということが必要ではないかというふうに思います。
裁判所の方も、どうもこれまで予算については極めて遠慮がちというか、まさに紳士的といえば紳士的なのかもしれませんけれども、どちらかといえば予算は分捕り合戦になるくらいなところ、余りそういう様子もございません。別にそれを悪いというわけではございませんけれども、せっかくこういう機会ですので司法の充実に向けたやっぱり財政面での積極姿勢、こういうものも求められるのではないかというふうに思います。
法務大臣、これから少し、せっかく応援団がたくさんいるときですから、法務省の予算、それから裁判所も、裁判所に目が向けられる機会というのはなかなか少のうございますので、これもせっかくのチャンスでもありますから、やはり世界にも引けをとらない、そういう意味での予算について積極的な姿勢で臨んでいただく、こういうことをぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) ただいま委員から大変力強いお話を承りましてありがたく存じております。
司法の機能の充実につきましては、政府といたしましても予算等の面で最大限の配慮をしてきたつもりでございますけれども、これからの司法の重要さにかんがみまして、今後ともさらに適切に対処してまいらなければならないと考えております。そして、そういう場合に、この審議会において国民的な論議が盛り上がり、御理解と御協力がさらに高まりますことを期待し、私たちもそれに向けて努力してまいりたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 裁判所の役割と申しますのは、適正、迅速な裁判の実現ということでございまして、裁判所予算というのは全国の裁判所でこの機能が十分確保されていくということを担保するものでなければならないというように考えております。こういう観点から必要な予算の確保にこれまで努めてきたわけでございまして、こうした裁判所の果たすべき役割につきましては、先ほど総理の御答弁にもございましたように、政府から理解を得てきたものというように考えております。
ところで、今回、司法制度改革審議会が設置されるに至りました大きな流れと申しますのは、今後の我が国における社会の複雑多様化あるいは国際化等の傾向の中で、司法機能を一層拡充し、国民の利用しやすい司法を実現する必要があるということであろうと考えております。その具体的な方策につきましては今後の審議会の検討を待つことになるわけでございますが、いずれにいたしましても、そこでは司法機能の充実強化を図るための施策が提案されることになるであろうと考えております。私どもといたしましては、これらの施策を講ずる上で今後必要とされる予算につきましては、これを確保するように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
また、審議会の答申を待つまでもなく、司法予算の増額を図るべきでないかという御指摘でございます。
予算は、申すまでもなく、具体的な施策の遂行に必要な事柄について確保すべきでございまして、一般的にはどういたしますということは論ぜられないわけでございますが、ただいま申し上げましたような審議会設置に至る経緯を踏まえまして、審議の状況等についても十分配慮し、適正、迅速な裁判を実現していく上で早急に必要とされる施策については必要な予算を確保するよう努めてまいりたい、こう考えております。
○千葉景子君 今お話がございましたように、金だけあればいいというわけではありません。どういう施策のためにどれだけの予算が必要か、こういうことは当たり前のことでございますが、やるべきことは幾らでもあると言っては語弊がありますけれども、本当に必要なことというのは山積をしているわけです。施策がないところに金だけとってこい、決してこんなことを申し上げるつもりはございませんので、施策の推進とともに財政面での積極姿勢もぜひお持ちいただきたいということでございます。
さて、審議会の方でもいろいろな御議論が今後あろうかというふうに思いますが、今申し上げましたように、それを待たずしても、そしてそれと並行しても必要なことは積極的に対応し、あるいは取り組みを進めていかなければいけない。
そういう中で、二十一世紀、これも審議会の大きなテーマであろうかというふうに思いますが、やはり国際社会の中でも大きな問題というのは人権の問題、人権の充実ということが挙げられようというふうに思います。人権と環境の時代とも言われるくらいでもございまして、そういう意味では、これからの司法のあり方、司法の場で人権を保障し、そしてそれをさらに深化させていくためのさまざまな努力をしていくということも大きなテーマであろうというふうに私は思います。
先般、この委員会でも外国人登録法などの議論をさせていただきました。これからの開かれた国際社会、そういう中で日本はどうあるべきかという議論もありましたし、それから規約人権委員会での日本に対するさまざまな意見、こういうものに対しても私たちがどう受けとめていくか、こういう議論もさせていただきました。
やはりこれから人権の国際的な保護、伸長のためにさまざまな努力を日本もしていくということが必要であろうというふうに思います。そして、国際的な人権の水準、国内でも私たちがそれにできるだけ沿う社会を率先してつくっていく、あるいは国際的な取り組みに日本がリーダーシップを発揮していく、こういう面では司法というものがそれの後ろ盾になっていくということが言えようかというふうに思います。
また、とりわけアジア諸国との中でも、例えば日本がアジアの中で人権意識の啓蒙に努めていくとか、それからヨーロッパなどでもございますが、人権保障のためのシステム、機構、こういうものなどを日本が提唱するなどして進めていく、こんなことも今後求められていくことではないかというふうに思います。
二十一世紀の司法ということを考えるに当たって、国際化、国際的な対応、こういうことをどうお考えになっておられるか、そしてまた具体的にどんな取り組みをされようとしているのか、法務大臣にお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) お尋ねの点で、法務省は従来から、刑事面では法務省所管の国連アジア極東犯罪防止研修所におきまして、既に三十七年間にわたりましてアジア太平洋諸国の刑事関係実務家を対象とした研修を実施しております。さらに、入国管理や矯正関係に関しましても法務省において国際研修を実施しているところでございます。また、平成六年度からは、刑事分野のみならず、民・商事の分野等における法制度の整備に関しましても、外務省及び国際協力事業団等関係諸機関との綿密な連携協力のもとで、アジア太平洋諸国に対する法制度整備のための支援を行っておるところでございます。
これらはいずれも人権擁護というものをベースに踏まえながら行っているというふうに考えているところでございまして、今後とも、人権保障を含め法整備支援体制を一層強化するなどいたしまして、できる限りアジア太平洋諸国の法的インフラ整備に貢献してまいりたい、このように考えております。
○千葉景子君 努力をされておられることについては私も承知をさせていただいておりますが、ただ、これまでの国際的な社会から眺めている日本というのは、どうも閉鎖的であり、そして人権条約はさまざま締結いたしておりますけれども、なかなかそれに沿った国内的な対応がされていないのではないかといろいろな指摘もされてきたところでもございます。
そういう意味では、今大臣がおっしゃられましたような努力は当然のことながら、国際的な人権というものにさらに目を向けていただき、そして国際的なさまざまな指摘などにも謙虚に耳を傾けながら、むしろ日本は世界の人権リーダー国だというぐらいに努力をいただくことが二十一世紀へ向けたまず大きな第一歩ではないかというふうに思います。これは私の希望ということでお聞きとめいただきたいというふうに思います。
さて、今回の改革の中でどこからも指摘をされておりますのが司法の量と質の拡大です。これはどなたも否定されるものではなく、指摘をされているところでございます。
これは、審議会などで今後どういう形で容量の拡大などをしていこうかという議論を進めていかれるでしょうけれども、これはある日突然ばんとふやすことができる問題ではありません。これまでもそうかもしれませんけれども、きょうからでもより一層、質、量をできるだけ前進させていくような努力を不断に続けていく、こういうことが必要であろうというふうに思います。
そういう意味で、裁判官の任用について改めていろいろな抜本的な改革が必要となってくるのではないかと思いますが、その中で、質そして量、こういうものを考えたときに避けては語れないのが法曹一元という問題であろうというふうに思います。これも本当に長年語られ、そして議論されてまいりました。決して今度の審議会で初めて議論が始まり、そこで突然びっくりするような結論が出るという問題ではなく、私はこれまでの議論の積み重ねの上に立って語られる問題であろうというふうに思います。
この法曹一元、私はこれを今度の大きな改革のテーマに据えて、そしてその方向性を出していくべきものではないかというふうに考えておりますが、大臣はこの法曹一元という問題について、どのように御認識され、そしてこれからの進展あるいは推進方についてどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 法曹一元制度につきましては、司法制度の改革に関する各界の提言中にもこの制度につき言及するものが少なくなく、司法制度のあり方についての一つの考え方として広く国民の意見を踏まえて議論される必要があると考えております。昭和三十七年に設置されました臨時司法制度調査会におきましてもこの問題が議論されたわけでございますけれども、今度の審議会においても重要な審議のテーマの一つだと思っております。
○千葉景子君 先ほどから話にも出ておりますように、逆に考えれば二十一世紀の司法は多様化、そしてさまざまな専門性あるいは情報化、国際化、こういう中でやはり裁判官などが幅広い社会的な経験やあるいは見識を持ち、そして適切な公正な判断をしていくということが極めて私は必要なことであろうというふうに思います。
そういう意味では、法曹一元、法曹資格を弁護士として持ち、そしてその経験を踏まえて裁判官として任用されていくという考え方は、私は非常に時宜を得た、そしてこれからにふさわしい考え方ではないかというふうに思っています。決してこれまでの裁判官がそういうものを持ち合わせていないとか、あるいは非常に判断がおかしかったということを別に申し上げたいわけではないけれども、さらに社会がそういうものを必要としてくる、こういうことではないかというふうに思います。
今後この委員会あるいは審議会などでも議論が進んでいこうかというふうに思いますけれども、ぜひそんな視点を大臣にもお持ちいただきまして、議論を積極的にサポートしていただきたいものだというふうに思います。
この制度といいますか考え方、これも一気にできることではございません。できるだけこういう幅広い人材を、そしてできるだけ数もふやしていこうということになりますと、当面すぐにでも取りかかれる幾つかのことがあるのではないかというふうに思います。
私も当委員会で何回か指摘させていただいたことがあろうかというふうに思いますけれども、例えば非常勤の裁判官制度。今、弁護士からの任官というものも制度としてとられております。しかし、なかなかやはり一気に任官をするというところまでには至りにくい。だとすれば、非常勤で経験豊かな人が裁判官として一定の役割を担うということなどは、柔軟にできることではないかというふうに私は思います。
それから、場合によっては、これは私も物の本などで読ませていただいたりしましたが、アメリカなどでも、一定の年齢でどうしても定年というものがございます。ただ、日本も非常に寿命が長くなりまして、定年時というのはまだまだ実務者としても大変お元気で豊かな見識をお持ちだという時期でもございます。定年という問題をすぐに変えるわけにはいかないとすれば、定年後の裁判官を一定の部分、一定の事件とか一定の職務についていただいてその経験などを生かしていただく、そして裁判のスピードアップにもつなげていくことも可能ではないかというふうに幾つかの私の乏しいあれから考えているところでございます。こういういろんな工夫などもやって、これは議論をまつまでもなく、だれもが別に否定をしたり、あるいはけしからぬと言う問題ではないというふうに思います。
その点、こういういろいろな司法のすそ野を広げていく、できるだけ裁判の容量をふやしていく手だて、こういうものについていかがお考えでしょうか。
○政府委員(房村精一君) ただいま委員から御指摘のありました非常勤裁判官の制度あるいは定年後の裁判官の活用というものも、その具体的な内容が必ずしも明確でない点もあってお答えしにくい点もございますが、裁判官につきましては、国民の権利を左右する、あるいは場合によれば生命すら左右するという非常に重要な職責を担っておりますので、その職責の重要性にかんがみまして憲法上も身分保障その他詳細な規定が設けられております。そういう裁判官の役を果たす者について従来の制度と異なる新しい制度の導入を検討するということになりますと、これは非常に慎重な検討が必要になるのではないかというぐあいに考えております。
○千葉景子君 やはり裁判官というのがそれだけ独立性を保障され、そして身分も保障されて、それだからこそ公正で適切な役割を果たし得る、こういう仕組みになっていることは当然でございます。ただ、むしろ今求められていることは、そういうことは当然のこととして、できるだけすそ野を広げ、そして市民とのすき間も減らし、スピーディーに裁判を進めていくということでもございますので、その原則を壊すことなくいろいろな知恵を働かせるということは、私はできるだろうし、そしてそれがやはり政府あるいは法務省としての役目ではないかというふうに思うんです。審議会などでも議論があろうかと思いますけれども、ぜひそんなことにもいろいろな知恵を働かせていただきたい。ただ待っていて結論が出てからやるということではない課題であろうというふうに思います。
それから、これも多くの参考人などからも御意見がございました。やはり司法への市民参加、これが大変重要な課題だということも指摘されてきたところです。ちょっとこれは半分からかい加減もあるのかもしれませんけれども、逆に裁判官の市民社会へのもっと参加ということが必要なんじゃないか、あるいは市民的な自由、こういうものももっときちっと保障することで市民との距離を縮めていく、そして市民の生活にのっとった生活感のある裁判というものを進めるべきであるという御意見すらあったところでもございます。
そういう意味で、司法への市民参加という問題は、これも多分審議会でも大きな議論、問題点になるのではないかというふうに思います。
その大きなポイントは、▼陪審あるいは▲参審と言われるような形で司法に市民が参加をする形、こういうものが当然頭に浮かんでくるところでございます。これについては、これからこの委員会などでもむしろ時間をとって議論すべきことであろうというふうに思いますので、きょうここですぐにお答えを出していただこうということは私も求めるわけではございませんけれども、やはり市民が裁判に参加をする道というのもそろそろ準備を始めてもよいのではないかというふうに思います。
私は、この議論が煮詰まって、例えば審議会などでも▼陪審というものを、これは新規に入れるということではなくてある意味では制度的には復活させるということかというふうに思いますけれども、そういう議論が進んできた、そうなって、さあ、いざとなってどんとスタートしよう、これも大変なことでございます。なかなか市民にとっても経験をしていないことでございます。
これは私もどうやったらいいものかというのをすぐに思いつかないんですけれども、例えば法務省が、あるいは裁判所などと協力し合いながら司法への市民参加、▼陪審などの模擬的な法廷、そういうものを開いて、多くの市民の皆さんにも、実際こういうものですよ、こういう法廷になります、どうでしょうかと、むしろ率直に問いかけてみる。そして、市民も一回体験をしてみて、なるほど、これは自分たちも責任を持って司法にかかわれるし、そんなにびくびくしないで大丈夫なことだというようなことも経験をする。
やっぱりいざとなったときにどんといっても大変ですから、こういうことも含めてむしろ審議会の議論を進める上でのいろんな情報、条件を整えていくということも役割ではないかというふうに思います。
そういう意味で、▼陪審や▲参審ということをぜひもっと身近な問題としてとらえていく必要があるだろうというふうに思います。検察審査会という制度がございまして、私も何回かいろいろな機会に話を聞かせていただきましたが、大変市民が責任を持って、そして積極的にその役割を果たしているという、これは裁判ではありませんけれども、こういう経験もあるわけです、私たちの社会には。
今、司法がどうも市民から遠い、そしていろいろな問題について裁判所の中だけでどうも物事が進められているということに対する違和感、こういうものがあるわけですから、ぜひこういう▼陪審、▲参審、市民参加ということについて積極的な何か条件整備とか、あるいは多くの国民が考え得る土壌というものを今こそつくるべきではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。少し大臣としてのお考え方などをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法をより国民に身近なものにしていくという観点から、委員御指摘の▼陪審・▲参審制度の導入というのは一つのあり方だと思っております。
この▼陪審、▲参審という言葉については国民の方々もよく御存じと思いますが、その内容等につきましては、今委員がお話になりましたように、中身については必ずしも十分な理解が行き届いているとは思わないと思います。きょうあたりも某新聞は大きく取り上げておりますけれども、やはりこの制度を実行していく上には国民の責務というものあるいは義務というものを本当に果たしていっていただけるのかどうかとか、裁判制度に対する国民の考え方がどういうものなのか、長い我が国の裁判制度になじんでおる国民として▼陪審・▲参審制についてどういう考え方をお持ちなのか、いろいろ考えてみると難しい問題があろうかと思います。
また、裁判所の施設整備の問題もあわせてやっぱり必要になってくると思いますので、そういったものをそれぞれわかりやすい形で国民の皆様に理解していただく中で、こういう制度が国民の大方の考え方としてどういうふうに認識していただけるのか、こういうものを見きわめていく必要があろうかと思っております。
いずれにしましても、今度の審議会で取り上げる大きなテーマとなると思いますので、その審議の実が上がるようにいろいろな工夫が必要かと思っております。
○千葉景子君 おっしゃるとおりだと思います。何も情報がなくて、あるいは経験とかそういうのがなくて、国民がどう思っているか、意識といってもこれはなかなかわからない。知らないものは、いや、やっぱりという消極的な姿勢になりかねない。こういうことでもございますので、そういう情報とかあるいは実情などをわかりやすく提供して、そして審議会の議論などにもそれを生かしていくということなどにぜひ努力をいただきたい、こういうふうに私は考えているところです。
それから、ちょっと私、先ほど予算のところでもう一点お尋ねするつもりでおりまして忘れましたので、ここでお聞きいたします。
予算をできるだけ充実させていくという中で、法律扶助の制度がございます。これは今、日弁連なども主体的に取り組みまして、そして財政的にもこの間大分厚い補助などを出していただくようになってまいりました。しかし、これはやはり国民が裁判を受ける、そういう権利を実質的に保障していくという意味では大変重要なポイントであろうというふうに思います。そういう意味では、これをできれば法的にきちっと位置づけ、整備をして、そして国民に対するサポート、法的サービスが十分にできるような体制を整えるということが必要ではないかというふうに思いますが、この点についてお尋ねをしておきたいというふうに思います。
それから、その中で被疑者の弁護とかについても、これから公的にという議論などもございます。ただ、被疑者の方もそうなんですけれども、もう一つ、少年の付添人、こういうところにもやはり十分なサポートが必要であろうというふうに思うんです。
この間、いろいろな問題がありまして、どうしてもやはり少年事件に付添人なくして本当の意味での少年の問題というのは解決し得ないという状況もあり、この法律扶助という中で付添人などにも十分な扶助なりができるようなことを積極的にしていく必要があろうというふうに思いますが、これらを含めて、市民の実質的な裁判を受ける権利、こういうものの充実という面で大臣のお考え方をお聞きしておきたいというふうに思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 法律扶助制度につきましては、これはもう御案内のように、憲法三十二条に定める裁判を受ける権利を実質的に保障するという理念のもとに充実が図られてきた重要な制度であると認識しております。そして、委員御指摘のとおり、この制度の一層の充実強化を図っていくということは、司法を国民に身近で使いやすくするという観点から、我が国の司法制度にとって喫緊の重要課題であると認識しております。この制度につきましては、法律扶助制度研究会が平成十年三月に取りまとめました研究成果などを踏まえながら、関係機関とも協議し、法制度を含めてその一層の充実発展に努めてまいりたい、このように考えております。
また、少年事件における付添人の扶助についてでございますけれども、この問題につきましては、今国会に提出しております少年法等の一部を改正する法律案におきまして、少年保護事件において審判に検察官が関与する場合に、少年には、弁護士である付添人がないときは弁護士である国選付添人を付すこととしております。それ以外の付添人に対する国庫金支弁に関しましては、少年審判における国選付添人制度のあり方などとともに付添人制度全体の中での検討が
必要である、そのような問題であると考えておるわけでございます。
なお、もう一点、被疑者に対する公的弁護制度の問題でございますが、被疑者段階の弁護に関する国庫金支弁の問題に関しましては、法務省としても種々の角度から研究を続けているところでございますが、これについては、捜査手続への影響など刑事司法手続全体の構造との関連、適正な被疑者弁護活動のあり方、国の財政負担との関係、国民の理解、弁護士偏在など、さまざまな角度から検討が必要とされる問題である、このように考えております。
○千葉景子君 時間がもうそれほどありませんので、私も、今司法に求められている、そして審議会でも当然いろいろ議論されているであろう問題、多分重なり合って多方面で議論されていく課題であろうというふうに思います。きょう御指摘をさせていただいた、あるいは大臣の御意見をお聞きしたのはほんの一部でございまして、考えてみると、これだけいろいろな課題、そしてそれをトータルとしてこれからの司法どうあるべしと、私も二年間で本当に十分な議論を尽くせるのかなという感じがするわけです。
ただ、そういう意味で、私が言いたいのは、審議会では、例えば先ほど言ったこれからの裁判官の任用のあり方、法曹一元とかあるいは司法への市民参加、▼陪審とか▲参審、こういう大きな柱でどんと議論をいただいて、そしてそれに付随をするわけではありませんが、本当に日常、日に日に改革をしていかなければいけない幾つかのこと、今指摘させていただいたことも含めて、この委員会、あるいは法務省、最高裁、そういうところでこぞって、論議をまつまでもなくどんどん進めていく。こういうくらいのことがないと、審議会の方も、どっとお店は開いちゃいましたけれどもということになりかねない。そして、個々の問題は審議会を待ってからといってテンポが遅くなっていく、こういうことにもなりかねませんので、ぜひそんな懸念のなきように、大臣にもそういうリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っているところです。
そこで、もう最後になろうかというふうに思いますが、この法案で、もう皆さんからも、事務局の任命について遺憾なきようにする、あるいは情報の開示などをしっかりとするようにという話もございました。私もそのとおりであろうというふうに思います。この委員会との関係なども御指摘がありました。
そこで、私は、こういうことはできないだろうかと。多分お答えはできないだろうというふうに思いますので、御感想ぐらいお聞かせいただけたらというふうに思うんです。
委員を両院の同意のもとに任命するということになるわけです。先ほど大森委員の方からも、女性の割合をきちっとせいということもあり、私も本当にそのとおりであろうというふうに思います。この委員会と相反目する問題ではありませんし、十分な連携を図りながら議論していくという意味で、その任命について、私たちも責任を持って同意させていただくということになるわけですので、こういう皆さんに委員をしていただきたいということがありましたらば、例えばこの委員会で意見の陳述をいただくとかお考えを御表明いただいて、なるほどこういう皆さんに審議会で一生懸命議論していただくんだということなどを私たちも十分知った上で責任を持って議論をゆだねていくというようなこともできたらなというふうに思います。委員の皆さんに質疑に応じていただくということはなかなか難しい面があろうかと思いますけれども、こんなお考えの方だ、こういう幅広い御見識のもとに議論をしていただくんだということなどが私たちにもわかると大変うれしいなというふうに思います。
そんな意味で、ぜひそんな機会をつくることができたらなと思いますが、大臣、お答えというわけにはいかないかもしれません、これはこちらの委員会の問題、国会の問題でもありますので。ちょっと御所見、御所感などがございましたらお聞かせをいただければというふうに思います。
○政府委員(房村精一君) 委員の同意をお願いする立場からということでちょっと発言をさせていただきます。
基本的に私どもとしては、この審議会の委員として国民的見地に立って審議をしていただくにふさわしい方を選考いたしまして御同意をお願いするということになりますが、その御同意をいただくに当たって、国会でどういう形で行うかということについて、お願いをする私どもの立場から御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたい、こう思っております。
○千葉景子君 大臣、何か御感想がありましたら。
○国務大臣(陣内孝雄君) 先ほど総理も、ふさわしい方を、皆様方に御理解いただける方を選ぶということをおっしゃっておりました。そういうものを国会の同意の中でひとつまたお決めいただければありがたいと思っております。
○千葉景子君 それは私どもでまた考えさせていただくことにいたしましても、本当に幅広いいろいろな角度から、そしてそれを受けとめて運用していくのはやはり司法関係者ということになりますので、そんなことも多角的に考えていただきまして、ぜひ適切な委員を任命いただきたいものだという希望を申し添えておきたいというふうに思います。
時間が多少ございますけれども、私の方からはきょうはこの程度にさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○委員長(荒木清寛君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩
いたします。
正午休憩
─────・─────
午後一時開会
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、本田良一君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任され
ました。
─────────────
○委員長(荒木清寛君) 休憩前に引き続き、司法制度改革審議会設置法案を
議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。質問いたします。
まず、この審議会の構成について確認しておきたいことがございます。
審議会の構成につきましては、内閣が両院の同意を得て任命する十三人以内の委員でありまして、これまでの質疑では、法律実務家、労働界、消費者団体、経済界、法律学者という各層から選ばれるほか、裁判官経験者とか検察官経験者、それから弁護士からも委嘱されるように聞いておりますが、これはこのとおりでよろしいのでしょうか。もう一度確認させてください。
○政府委員(房村精一君) この審議会は、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について国民的見地から調査審議することを目的とするものでありまして、そういうことから、司法制度全般についてこのような視点のもとで調査審議するのにふさわしい有識者を国民各層から委員として選任する必要があると考えているところでございます。
ただいま委員から御指摘のありましたような司法を利用する側の立場の方々、経済界とか労働界あるいは消費者団体等の国民各層からふさわしい有識者を選ばせていただきたいと考えております。また、司法関係ということで、法律実務家あるいは法律学者という方々も委員になっていただきたいと考えておりますが、その法律実務家の中には、当然、裁判官を経験された方あるいは検察官を経験された方あるいは現に弁護士をなさっている方、こういうような方も含まれようかと考えております。
○大森礼子君 この審議会の委員につきましては、むしろ専門家でない方が自由な意見が聞けていいということもあるんですけれども、しかし現状認識をする場合に、やはり実務の中身、仕組みとかがわかりませんと、正しいそういう認識がありませんと正しい評価にもならないと思いますので、そういった意味で、やはり法律実務家が入ることは必要であろうというふうに、個人的見解ですが私は考えております。
それから次は、事務局なのですけれども、この審議会には事務局が設置されることになっております。この事務局員も専ら内閣によって任命される官僚の方とか裁判官、検察官がなるものと思うのですが、この事務局員の構成についてはどのようにお考えでしょうか。確認させてください。
○政府委員(房村精一君) この審議会に置かれる事務局の役割でございますが、これは改めて申すまでもなく、その審議会における審議のための資料の調査、収集、整理、分析あるいは審議結果の整理というような、審議会において委員による審議が十分に行われるようにそれを補佐する役割を果たすということになります。したがいまして、その事務局の職員にはこのような役割を果たすのにふさわしい知識を持っている方々になっていただきたい、こう考えているところでございます。
具体的には、司法制度改革に関連するような省庁から官僚の方々に来ていただく。その中には検事あるいは裁判官の経験のある人も含まれるかもしれませんが、そういうことになろうかと思っております。また同時に、いろいろ御指摘をいただいている中に、そういう知識を有する民間の方の登用も検討すべきであるという御指摘も受けておりますので、そのような点も含めて事務局の構成については検討をしていきたいと考えております。
○大森礼子君 この審議会は、内閣法十二条四項の規定によって設置するものとされておりまして、審議会は内閣に設置される一機関であり、これは衆議院の法務委員会の政府側答弁でも内閣の補助機関というふうに位置づけられております。
それで、審議会の委員の人選、これも公正でなくてはいけませんが、その事務局員の選び方につきましても、これがまた時の内閣の意向が強く働いて、審議会の方向性を位置づけるものであってはならないと思いますので、事務局員の人選についても十分考慮していただきたいと思います。
それから、事務局との関連になるかと思うのですが、五月二十五日の参考人質疑の中で、21世紀政策研究所の田中参考人の意見でこういうのがございました。審議会のあり方、メンバーの選定に関する話の中ですが、司法基盤の整備とか、それから▼陪審など新制度導入が議論をされる場合に、それに関する詳細な現状調査が必要であるということ、そしてそれを分析することによってどういう成果につながるかを明らかにしなければならない、こういう御意見がございました。それで、物事の分析にたけたその道の専門家を審議会委員として加えるべきではないか、こういう御意見がございました。
確かにいろんな問題を検討して方向性を出していく場合に、認識せずして評価するなかれという言葉がございますけれども、正しい事実認識、これがベースになるだろうと思うんです。そうしますと、田中参考人がおっしゃった詳細な現状調査、そしてそれを分析していくという作業がとても重要であるし、またそれが効率的な審議にも大いに役立つものであろうと思います。
この点について、どのようにお考えなのでしょうか。
○政府委員(房村精一君) ただいま御指摘のありましたように、司法制度についての施策を検討するというときには、司法の現状がいかなるものであるのか、どういう問題があるのかというようなことにつきまして、詳細な資料に基づいて、かつこれを分析して、その上で議論をして問題点を把握するということが必要であろうと思っております。
そういう意味で、そのような現状に対する資料の収集あるいは分析ということが当然必要になってまいりますが、この審議会におきましても、設置法の六条におきまして、関係行政機関あるいは最高裁判所、日本弁護士連合会というようなところに対して、資料の提出あるいは意見の開陳など必要な協力を求めることができるというような規定も置かれております。こういうような協力を求められた場合には、関係する機関においてそれぞれ詳細な資料を提出し、あわせてそれの分析についても御意見を審議会の方に提出するということも可能になっております。また、事務局につきましても、先ほど申し上げましたように、審議を充実したものにしていただくために、必要な知識と能力のある方々に審議会の事務局に来ていただくということも当然考えております。
そういうようなことで、現状の調査、分析ということも十分可能であると思っておりますし、またそういう専門的能力を有している方々、外部の方のお力を審議会としておかりするということも十分あり得るわけでございますので、そういった方法を組み合わせることによって、司法の現状を十分認識した上で御議論いただけるというぐあいに考えております。
○大森礼子君 わかりました。
現状調査、それから分析の部分、これは委員みずからがする必要があるのかどうか、これはちょっとよくわかりません。もしかしたら第三者的立場の方に委託する方法もあるのかなという気がいたします。ただ、田中参考人の御意見というのは本当にもっともなことでありますので、正しい結論を得るために十分こういう調査、分析を行っていただきたいと思います。
次に、最高裁の方にお尋ねいたします。
最高裁は審議会メンバーとは直接かかわらないわけでございますけれども、国民の法的ニーズが多様化かつ量的に拡大しているので、この国民のニーズにどうこたえるかということがこれからの課題になってくると思います。
それで、四月二十一日の衆議院の法務委員会で、最高裁の方が、「国民のニーズを受け、司法制度全般の機能のあり方について実証的かつ多角的に検討を加え、」という御発言をされているわけであります。
それで、最高裁もいろいろお考えになっていると思うのですが、この言葉の中に出てきます「司法制度全般の機能のあり方について実証的かつ多角的に検討」というのは、これは具体的にどのようなことをお考えになっておられるのか、お尋ねいたします。
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) お答え申し上げます。
司法制度は、国民の権利の擁護、救済を図ることを目的とするシステムでございますけれども、この目的を達成するためには、単に裁判手続の一部を変えれば済むという問題ではなく、紛争の発生の時点にさかのぼり、そこから権利回復の実現に至るまでに国民の方がたどらなければならなかった道筋を検証し、国民の方々がどうして紛争に巻き込まれたのか、どうすればそれが防げたのか、紛争に巻き込まれた方が初期の段階で身近に法律情報を入手する機関、施設があったのかどうか、紛争が軽微な場合にそれに見合った手軽な解決手段が整備されていたのかどうか、また紛争が重大な場合には当然弁護士に解決を依頼する必要が出てまいりますけれども、弁護士を依頼する過程においてその選択や費用の点で障害はなかったのかどうか、また訴え提起に至った場合に、迅速性に問題があるとすれば何が原因をなし、それを取り除くためにはどういう手段が有効であるか、今申しましたような権利侵害から権利回復に至るシステム全般にわたり、客観的データに基づいて現状を十分に把握し、具体的問題点を抽出し、それに見合った対応策を講じていく必要があろうかと存じます。
衆議院におきまして、御指摘のような司法制度全般の機能のあり方について実証的かつ多角的に検討を加える必要があると申し上げましたのは、そういうことを念頭に置いた言葉でございます。
また、一国の司法制度は、申すまでもなく、国民の社会生活の基盤をなすものでございまして、その国の歴史、文化、国民性に根差すものでございます。外国の司法制度にも大いに学び、また参考とすべきことは当然でございますが、歴史や伝統の異なる外国の司法制度の一部だけを切り取って直訳的に導入しようとしても、日本の社会の中でうまく育ち、機能することはなかなか直ちには難しい場面がございます。日本の土壌で育つかどうか、よく見きわめる必要があるのではないかというふうに考えます。そういう意味も含めたつもりでございます。
国民の方々が本当に役立つようになったと実感し、喜んでいただけるような司法制度の改革を実現するためには、地味かもわかりませんけれども、今申しましたような実証的な検討が欠かせないのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
○大森礼子君 二十一世紀の司法のあり方を考える、その目的でこの審議会が設置されるわけですけれども、繰り返しほかの委員の方もおっしゃっていますけれども、審議会にすべて任せていいわけではない、そして司法改革に着手するのが二年後以降であっていいわけはないわけでありまして、同時に最高裁も考え、また法務省も考え、審議会の議論と同時進行という形で二十一世紀に向かっていくのだろうと私は思います。
今、最高裁の方からお答えいただきましたけれども、繰り返しの質問になるかもしれませんが、今そのような実証的かつ多角的検討を加えて、そして対応策を最高裁の方でも、最高裁独自の立場という意味ですが、積極的に講じていくという姿勢であると受けとめてよろしいのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員御指摘のとおりでございます。
裁判所といたしましては、長い過去の歴史の中で、裁判所でできる運用面、あるいは政府、法務省に御理解いただいて最終的には国会でお決めいただいた制度面、各種の施策について工夫し、実行してまいりました。そういうことで、審議会の設置にかかわらず、これまで適正、迅速な裁判の実現ということで充実強化を図ってまいったわけでございます。
一方、ただいま設置法を御審議いただいております司法制度改革審議会でも、幅広い観点から建設的な審議がなされ、一層司法制度全般についての利用しやすい提言というものがなされるだろうというふうに期待しております。
裁判所といたしましては、そういう提言がなされました暁には十分それを尊重させていただいて、さらに最終的には国会の議論を経た上で制度面でも充実強化を図っていただきたいというふうに思いますと同時に、委員がただいま御指摘のとおり、裁判所としていろいろ従前からもやってきましたように、司法制度、特に裁判の手続についての現状分析、あるべき姿をさらに模索して、一層の充実強化を図ってまいりたい、かように考えております。
○大森礼子君 続けて最高裁の方にお尋ねいたします。
これは前回の参考人質疑の中で参考人の方がおっしゃっていたことですが、時として世間の感覚とずれているような判決が出ることがあるということの中で、これは常に裁判所の判決がすべての方を満たすことはないわけでありまして、いろんなとらえ方があるでしょうが、この参考人がおっしゃっていたことは、純粋培養型という言葉を使っておられましたけれども、裁判官の養成ということについてやはり純粋培養型ではないか、それゆえに世間の常識を十分わきまえているかどうか、こういう懸念を持っておられるという御意見だろうと思います。
それで、世間の感覚とずれている判決を出していますか、こういう質問はできるわけがないのでありまして、ただ、こういう御指摘についてやはり最高裁としても何か考えていくべきことがあるのではないかという気がいたします。
確かに、裁判官、検事もそうかもしれませんけれども、外から見まして、非常に中立的な立場を要求されるものですから、このことが私生活の面においても勢い非常に抑制的な生活と言うと変なんですけれども、余りサラリーマンの方と同じように自由にできないという制約はあるのかなと思います。
その上で、こういう参考人の方の御意見について裁判所としてはどういうふうに認識しておられるか、こういう意見についてはどのように対応していこうとお考えかをお尋ねいたします。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 委員御指摘のような批判がありますことは私どもも承知しております。
また、ただいま委員からお話がありましたように、裁判官にはそういう行動の面で一定の制約があるということも事実でございます。ただ、裁判というのが社会的な感覚に反するものであってはならない、裁判官がそういうものを養わなきゃいけないし常識を涵養しなきゃいけない、これも大変大事なことだというふうに思っております。こういう常識を涵養するというふうなことは、一定の法律分野の知識を習得するというふうなことと違いましてなかなか難しい面もあるわけでございますけれども、やはり基本は物事を広く見る、社会的な紛争の背後にある実態というものを見通す力を持つということであろうと思います。
裁判官は事件を通じて、事件にはいろいろな社会事象、人間のいろんな活動ぶりというのが出てきているわけでございますので、そういうものをしっかり見ることによってそういう能力を養っていくということが基本ではございますけれども、それだけではやっぱり足りない点もあると思います。仕事を離れて別の観点から物事を見るという機会を持つことも大事だろうと思います。
そういう趣旨から、裁判所の方では、若い判事補を民間企業へ派遣いたしまして、そういう企業の現場で働く人たちがどういう仕事をどういう思いでしているか、どういう問題があるかということを学ばせる。あるいは、報道機関へ派遣しまして、報道記者と同じ視点で物事を見る、裁判をする立場ではなくて、むしろ裁判を報道する立場からの目で見る機会を持つ。あるいは、海外へ留学させて、外国から日本の社会のありさま、日本の司法のあり方というものを考えさせる機会を持つ。そういうふうないろいろな機会を設けて裁判官の視野を広めるように努力をしているところでございます。
こういった点につきましては、今後とも一層充実してまいりたいと考えております。
○大森礼子君 仕事を離れて物事を見るということはとても大事だと思います。そのためには、ある程度はゆとりを持った仕事の体制でなくてはいけないわけでありまして、こういう純粋培養が世間知らずにならないためには、やはりゆとりある執務体制というものを用意する。そのためには、人的な拡充というのが必要だろうという気もいたします。
それから次に、審議会でも議論していただく、このことは繰り返しになりますが、最高裁、法務省で、そちら任せにしていいというわけではございませんで、同時進行でできるところから改革を手がけていただきたいと思うのです。
これも参考人の方がおっしゃったことからヒントを得た質問なのですが、裁判所にしましても、それから法務省、検察庁も入りますが、やっぱり現場の人が一番問題点を正しく認識しているのではないか。その問題点を考える中で、こういうふうにしたら解決できるのではないか、こういうことも考えておられるかもしれません。そこで、何が問題になっていて、どういうふうにしたらいいかということを考えるときに、現場の人間に聞くということが非常に有効な手段であろうと私は思うわけです。
私も検事の経験がありますが、現場で余りそういう意見を聞かれるようなことはなかったかなという気がします。一時期、検察問題研究会ということでみんなが任意で集まりまして、いかにして検察をよくしていくか、こういうことを話したことがあるんですけれども、その後どうなったのか、ちょっと追跡調査しておりません。
そこで、裁判所とか法務省でも、中で一度、どういうふうにしたらよくなるかということについてアンケート調査みたいなものをされたらいかがか。そのときに、もちろん氏名は書かないようにする必要があるかもわかりませんけれども、こういうことも一つのおもしろい方法ではないかと思うのですが、最高裁、それから法務大臣、ちょっと御意見を伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員御指摘の点は、非常に裁判所としても重要な点だというふうに考えておるわけでございます。
裁判所としては、かねがね申し上げておりますように、司法制度改革審議会が設置されました暁には、裁判の実情、手続の内容等、わかりやすい形で実情を十分御理解いただけるような資料、御説明をしてまいりたいと考えておりますが、そういう御協力をする前提におきましても、委員御指摘のとおり、裁判の実務に携わっている裁判官その他の職員も含めまして、実務のありようについての意見もさまざまな形で私どもの方に吸収して、それを審議会の審議の過程で十分御理解いただけるような方法で御説明、御協力できるようにしたいというふうに思っておりますので、その点につきましてはいろいろな工夫をこれから重ねてまいりたいと考えております。
○国務大臣(陣内孝雄君) 委員御指摘のように、実務に携わっている者の意見を酌み取ることは大変重要だと考えております。
法務省におきましても、従来から各種会議等を通じまして、現場の検察官の意見、要望等を聴取し、これを施策に反映させることに努力してきたわけでございますけれども、ただいま委員御指摘のアンケートの実施も含めまして、現場の声を吸収する適切な方策についてさらに検討してまいりたいと思います。
○大森礼子君 それでは最後に、当たり前の質問をさせていただきます。時間
の関係で法務大臣のみにお尋ねいたします。
審議会の意見の尊重につきましては、法務省としてはこれを尊重して政府の施策に最大限反映させていくものと信じております。都合の悪いものは無視とかあるいは先送りするなどあってはならないと思うのですが、この審議会の意見をどのように反映していくかについて、大臣の御決意といいますか、これを最後にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法制度改革審議会の意見を十分尊重し、政府の施策に最大限反映させていく必要があると考えております。審議会の意見をいただいた後には、速やかに具体的な施策を策定してまいりたいと考えております。
○大森礼子君 終わります。
○橋本敦君 きょうは、総理がお越しになったときにも我が国の犯罪被害者救済制度の確立が重要な課題であるということを申し上げまして、特にサリン事件を
中心にお話をいたしました。引き続き私はこの問題を質問したいと思うんですが、警察庁にわざわざお越しをいただきまして、その点から伺いたいと思います。
言うまでもありませんが、あの地下鉄サリン事件は、無差別テロの凶悪なまれに見る事件でございまして、十五人の痛ましい死者が出る、そして五千五百人を超す被害者が出るという大変な事件でございました。こういった最大規模の凶悪犯罪で今も多くの方が苦しんでおられます。
私は、当法務委員会においても、犯罪被害者の実態について、警察庁も厚生省もあるいは労働省も、政府として総合的な実態調査をする必要があるということを指摘したのでありますが、警察庁はこの調査に取り組んでいただきまして、公的調査としては初めて本年の一月に「地下鉄サリン事件被害者の被害実態に関する報告書」をおつくりいただきました。
この調査を拝見いたしましても、現在の実情がよくわかるわけであります。例えば五千人余りの被害者の中で、調査に回答した方は二千二百人を超えるわけですが、事件後三年を経過した今日の時点で、五七%もの人が精神的影響が残っている、あるいは極度の精神的ストレスを原因とするいわゆるPTSD、心的外傷後ストレス障害ですが、これに見られる症状を訴えておられる。また、身体的症状の訴えも、疲れが多い、あるいはまた肩が凝る、あるいはまた思いがけない疲労感に襲われる、こういったことも五四%に達している状況であります。通院期間を見ますと、二五%の方が事件後一年以上通院しているという実態があり、現在も通院を余儀なくされている方も一七%に上っています。
大体、この調査から以上のような事実が見られるのですが、間違いございませんでしょうか。
○政府委員(野田健君) 今、委員お尋ねの報告書と申しますのは、地下鉄サリン事件が発生した後三年がたった時点の調査であります。警察庁の犯罪被害者対策室と科学警察研究所が共同いたしまして、昨年の五月から実施してことしの一月に取りまとめたもので、今御発言のありましたものは、その内容でそのとおりでございます。
○橋本敦君 こういう被害者の実態が一つは出てきたんですが、今の警察庁の調査で国への要望等も調査をしていただいております。この国への要望等について拝見をいたしますと、いろいろ要望が出ておるんです。報告書の三十一ページに記載されておりますが、大体どういう要望が主な要望であったか、御説明いただけますか。
○政府委員(野田健君) このアンケートの中で国への要望というのをお尋ねいたしました。質問項目の中でお答えが多かったものというのは再発防止への努力というようなことでございますけれども、ほかに、「労災を打ち切らないでほしい」であるとか、「被害者がおかれている現状を国が正確に把握してほしい」、「精神的な立ち直りの援助の方法について考えてほしい」等々がございました。
○橋本敦君 今の要望を整理なさってくださった項目が書かれているんですが、一つは、「被害者がおかれている現状を国が正確に把握してほしい」、これはもっともな要望ですが、こういう要望が基本的にあります。それからもう一つは、「サリンの後遺症の治療法を確立してほしい」、これは、サリンという今まで使われたことのない凶悪な毒物による犯罪の障害でありますから、その治療法の確立をしてほしい、もっともな意見。それからまた、サリンの影響は長期に及びますから、長期的な視点で調べてほしいという要望もあります。そして、もう一つは、サリンの後遺症の治療をするのに専門的な医療施設がなかなかないということが大変な苦しみの一つになっておりまして、そういう病院をつくってほしいということもございました。
こうしたことを含めて、「国に財政的援助をしてほしい」ということが今御説明いただいた調査の三十一ページに出ておるわけですが、こうした要望については、私は、国としては積極的に対応していってあげるという姿勢で臨むことが大事ではないかと思うのですが、法務大臣はどういう御所見でしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 委員御指摘の点につきましては、法務省といたしましても重要な課題であると考えております。本年四月から犯罪被害者通知制度を全国的に導入するなど、これまでも必要な施策を講じてきたところであります。また、本年三月、事務当局に対しまして犯罪被害者の保護等に関する法整備に向けての検討も指示し、調査、検討を進めているところでもございます。
司法制度改革に関しましては、各界からそれぞれの立場に立った各種提言がされておるところでございますので、審議会におきましてもこうした各種提言、国会における審議経過等を踏まえて具体的な審議をしていただけるもの、適切な審議を行っていただけるものと、このように考えております。
○橋本敦君 今、私が指摘した要望の中で、厚生省に関するものはかなりあるわけでございます。きょうは厚生省にもお越しいただいたんですが、外科、眼科、精神科と、一つの科にとどまらない総合的身体障害、被害が出るんです。何度も診察してもらったけれども今でも原因不明の激痛に悩まされているという声があります。あるいはまた、精神的な痛みが残っているいわゆるフラッシュバックという現象に苦しんでいるということがありますが、とりわけ女性については、将来子供を産んだときに悪い影響が出るかどうかということが痛切な心配だということも言われているわけです。
こういったことに対して、厚生省としては調査及び対応を具体的にどのようにおとりいただいたのか、またいただけるのか。その点はいかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) お答えをいたします。
サリンの被害者の方につきましては心的外傷後ストレス障害、今委員の方からPTSDというような御指摘がございましたが、多くの方が現在その症状を訴えているということは承知をしているわけでございます。
サリンの被害につきましては、大きく分けまして、急性期に対する対応、それからこのPTSD、さらに長期的なサリンの影響というものについて対応していく必要があると考えているところでございます。
そこで、長期的な対応につきましては、ほとんど我が国におきまして治験がないというのが実態でございまして、厚生省といたしましては、平成九年度から、東京大学の前川教授を班長といたしまして、地下鉄サリン事件被災者の慢性期における身体的、精神医学的影響に関する患者対照研究という調査研究班をつくりまして、現在まだ研究中でございます。
これは、人数は比較的少ないわけでございますが、例えば警視庁で従事された方、消防庁で従事された方と性、年齢が対照になるような対照群をつくりまして、長期的にサリンの被災者とそうでなかった人の間に影響に有意差が出てくるかどうかという、そのような観察を続けておりまして、現在のところ平成十二年度まで計画的にこのような研究を進めていくということで考えております。
したがいまして、中間的な報告は出ているわけでございますが、現時点におきましては長期的な影響についてまだはっきりしたことは申し上げられないというのが実態でございます。
それから、PTSDに対しますいろいろな対応でございますが、これは阪神・淡路大震災のときも非常に問題になったわけでございます。厚生省といたしましては、精神医療それから精神保健福祉事業に従事する医師及び保健婦などに対しまして診断、治療及び相談指導に関する研修会を実施しておりまして、そういうことに従事する人の資質の向上に努めているところが現状でございます。
さらに、現実の医療の問題といたしましては、東京大学の前川教授の研究班や虎の門病院などと連携をとりまして具体的な方策をいろいろ相談していただいておりますが、何分はっきりとした長期的な影響というものがなかなかつかめないものですから、現在のところはっきりとした医学的な対症方針というのはまだ研究中であるというふうに申し上げざるを得ないと思います。
○橋本敦君 今お話しのように、まだまだこれからの課題がいっぱいあるわけです。
そこで、厚生省としては各部局ごとに任せないで、例えばサリン事件に対応して生活上の助成が要るとなれば福祉局になりますし、それから医療担当ということでは保健関係ということになりますから、サリン対応の総合的な省内の連絡協議会をぜひつくって、長期にわたる検討を続けて積極的に対応してほしいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(伊藤雅治君) 保険局、社会・援護局、関係局と十分省内で連絡体制をとりまして、そのような対応をさせていただきたいと思います。
○橋本敦君 そこで、時間がないので、その点は今後の検討課題として進めていただく、積極的な努力をお願いして、次に移ります。
刑事局長も来ていただいておるんですが、現在の我が国の犯罪被害者に対する救済の制度は極めて不十分ではないか。死者に対する、あるいはまた重度心身障害者に対するものしかない、こう言われているんです。諸外国ではこの点どうなっているか、おわかりの範囲で簡単にお話しいただけますか。
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘のとおり、現行法上、我が国では犯罪の被害者というのは、民事手続によりましてその被害回復を受けるとか、あるいは犯罪被害者等給付金支給法によりまして一定の場合には国から給付金を受けることができるというようなことになっておりますが、実際には財産が散逸したり、あるいは被害者による証拠資料の収集の困難ということなどから、迅速的確な被害の回復には種々の問題がある、こういうことは否めないところでございます。
先生御指摘のように、諸外国では国によっていろいろな制度があるようでございますが、こういった被害者に着目した被害回復制度というものについてはいろいろな手だてが講じられているという実情がございます。
例えば、刑事手続への被害者の参加制度というものがとられている国もございます。これは刑事手続に被害者側がいわば同時並行的に参加しまして、民事的な損害賠償についての早期の実現を図る、あるいは早期にその被害を回復させるということでございます。
あるいはもう一つ申し上げておきますと、被害者側にとっての財産的な損害の回復でございますが、事件経過後、例えば被疑者あるいはその関係周辺から財産が散逸したりしまして、なかなか実際に民事訴訟を起こしましてもその損害の回復には困難を伴う場合があります。そうしたことに備えまして、民事的な仮処分あるいは保全の制度というものを刑事の場合でも導入できないかということ等も、既に一部の国でそういったことを実施し、あるいは検討しているということもございます。これも我が国の制度にとりまして非常に重要な課題だろうと思います。
それからもう一つは、そういう財産的な問題のほかに、被害者の精神的なケアをどうするかという問題がございます。これは、例えば被害に遭った犯罪の捜査がどういう状況になっているか、公判がどういう状況になっているかということの情報をこれまで以上に被害者に開示する手だてがやはり必要だということも検討課題でございますし、また被害者の感情等、あるいはこういうことを言いたいということがありましたら、その捜査過程あるいは公判の過程で的確にそれが反映されるようにというような制度も考えるべき問題であろうと思っております。そうしたことについて、既に実現されている諸国もございます。
刑事局といたしましても、そうした諸国のいろんな制度を参考にいたしまして、我が国でもどんな制度を取り入れるのかを真剣に検討している最中でございます。
○橋本敦君 最後の質問になります。午前中にも申し上げたんですが、国際的にも、国連で一九八五年に犯罪防止及び犯罪者の処遇に関する第七回国際連合会議で、我が国もこれを採択して賛成しているわけでありますが、そういった中にも今刑事局長が御指摘されたような点が、被害者側の基本的な救済の観点として、被害者は個人として尊重されることが大事であること、加害者の刑事手続にも関与して情報を知る権利があること、あるいは被害回復を求める権利が特に重視されること、その被害回復には、おっしゃったように物質的、精神的、心理的、そういった問題についての社会的支援を受ける権利、こういったことがいろいろと明確に言われておりまして、こうしたことは我が国の日本憲法の要請にも沿うところだと思うんです。
今後、犯罪被害者の救済制度について、大臣おっしゃったように、こういったことを総合的に審議会においても積極的に議論して、よい制度に発展させていただくように最後にお願いして、大臣に一言重ねて御意見を伺って終わります。○国務大臣(陣内孝雄君) ただいま御指摘の件、大変重要なことだと認識しております。
○橋本敦君 終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
この委員会を通じて委員の構成、事務局の構成をどうするのかという質問が大変出たと思います。衆議院の附帯決議でも、「政府は、審議会の委員の選任に当たって、司法制度の実情を把握すると同時に国民各層からの声が十分に反映されるように努めること。」、「審議会の事務局の構成及び運営については、審議会の審議を公正に補佐することができるよう民間人の登用も含め配慮・指導すること。」とあります。恐らく参議院でも附帯決議が出ると思いますが、この委員会での審議を通して、委員の構成、事務局の構成などについて、例えばもっとこういう民間人を登用するとか、内閣から役人をかき集めはしないとか、何かお約束していただけることがあればよろしくお願いします。
○政府委員(房村精一君) 委員の構成は、二十一世紀の司法のあり方を御審議いただく委員会でございますので、どのような方に委員になっていただくかということは非常に重要な問題だろうと思っております。そういう意味で、まさに二十一世紀の司法が果たす役割を明らかにして、その必要な基本的施策について調査審議するということをしていただけるような、それにふさわしい有識者の方を国民各層から選ぶということに尽きるわけでございますが、どのような方という点につきましては、内閣において国民、利用する側の立場を代表するような方あるいは司法の実情に詳しい方、こういう方々の中から適切と思われる方を選任いたしまして、それぞれ両議院に同意を求めさせていただくということになろうかと思っております。
また、事務局につきましては、そのような重要な任務を負っております審議会の審議を円滑に進めていくためにこれを補佐するという役割を担っているわけでございますので、そのような役割を果たすのにふさわしい知識と能力を有する人を広く事務局に登用するということを考えていくことになろうかと思います。
また、御指摘のありましたそういう知識を持っている民間の方の登用という点についても、これは当然検討をしていくことになろうかと思っています。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
特に民間のNGOからたくさんの登用をぜひぜひよろしくお願いいたします。
午前中、千葉委員も質問されましたし、私もいつも食い下がって質問しているんですが、今回、国連の規約人権委員会で勧告されている司法課題を審議会で検討されるよう法務省は努力する御意思はおありでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 御指摘の国連の規約人権委員会が我が国の刑事司法のあり方について種々の提言あるいは勧告をされているということは私どもも承知しております。
このような規約人権委員会の勧告も含めまして、我が国の司法制度、特に刑事司法制度についていろいろな御提言がございます。これは当然この司法制度改革審議会において我が国の司法のあり方を議論する際にそのような資料として用いられるということが考えられるわけでございます。常識的に考えれば、このような各種提言につきましては、事務局において取りまとめをして審議の資料として委員の方々に見ていただくということになるのではないかと思っております。その点はそういう充実した審議のための事務局に有能な人材を集めて適切な方策をとっていただくということになると思っております。
○福島瑞穂君 資料としてつけてくださるということは大変ありがたいんですが、資料としてではなく、課題として検討する余地はあるのでしょうか。
○政府委員(房村精一君) これは我が国の司法全体をテーマとしてこの審議会で御議論願うということでございます。その審議のための基本的なあり方は、何度も申し上げておりますが、国民にとって身近で利用しやすい司法制度、その司法制度をしっかりしたものにすることによって国民の基本的人権を守り法の支配を貫徹する、こういう基本的な審議の観点であろうかと思っております。
それを実現するために具体的にどのような審議項目を取り上げるかということは、何回も申し上げておりますが、その審議に当たられる審議会において決めていただくのが適切であろう。その決めるための審議の材料として、今申し上げたような各種の提言あるいは勧告というようなものは当然資料として用いられることになるだろうということでございます。
○福島瑞穂君 ただ、身近で利用しやすいというふうに問題を立ててしまいますと、規約人権委員会から勧告されている司法課題はちょっとワンクッションあるのかなという感じもするんですね。ですから、二十一世紀のあるべき司法の中には、基本的人権の尊重ももちろんあるわけですし、本来の司法ということであれば、規約人権委員会で勧告されている司法課題は本来の司法の課題だとも言えると思います。ぜひ重要な課題として取り上げてください。それはお約束はできないですか。あるいは、重要視します、前向きに検討しますでも結構です。
○政府委員(房村精一君) 今、司法制度を議論するスタンスとして身近で利用しやすいということを冒頭申し上げましたけれども、当然のことながら、基本的人権の擁護あるいは法の支配という司法に期待されている最も重要な役割をいか
に適切に果たしていくかという観点から、その一環として身近で利用しやすい司法制度の構築ということも出てくるわけでございますので、特定の題目について選別するためにこういうことを申し上げたわけではございませんので、審議会においてもそれを踏まえて当然適切に判断していただけると考えております。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
法の支配や基本的人権の尊重ということも考えて審議会をやっていただくとお聞きいたしました。
次に、午前中、総理大臣にも聞き、今までも聞いたんですが、衆議院の附帯決議の第一項目めは司法権の独立です。やはり司法権の独立を侵害しないということが極めて重要だと思いますが、正直言いまして、総理の答弁だと何だかぼんやりしていましたので、再度、審議会でこの附帯決議の一項をどう生かすかについてちょっと具体的に話してください。
○政府委員(房村精一君) まず、基本的にこの審議会で議論いたしますのは、司法制度を充実するための基本的施策が中心でございます。具体的な裁判権の行使のあり方とかあるいは裁判所が行使しております司法行政権の行使のあり方の適否を直接議論する場ではございませんので、そういう審議のテーマからいきましても、司法権の独立を侵害する、あるいは司法に対する行政の干渉になるおそれは少ないものと考えております。
それから、第二点といたしましては、このような国会での懸念、そういうものは当然審議会の審議に当たられる委員の方々にも議事録等を通じて御理解していただけると思っておりますし、私どもとしても、そういう審議会の運営が司法に対する干渉には当たらないように十分心していく。また、当然このような重要な審議会の委員になられる方々であればそれは御理解されているものというぐあいに考えております。
○福島瑞穂君 裁判官の市民的自由についてもこの委員会でテーマになったと思います。宮本参考人の方から、「日独裁判官物語」の話、キャリア裁判官のシステムの問題などの指摘もありました。たまたま、あした弁護士会で「日独裁判官物語」の上映会もありますけれども、裁判所はもっと変わってほしいという声は国民の間に非常に強いと思います。その点について、審議会でどんなことをテーマとして取り上げたらいいというふうに裁判所はお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 法務省の方からお答えがありましたように、審議会で取り上げるべき事項はその審議会でお決めになるということになっておりますので、私どもの方でこうすべきだということを申し上げる立場ではないと思いますが、今までいろいろな議論が出ておりまして、裁判官の任用制度のあり方なども一つの論議の重要なテーマになるのではないかというふうなこともいろいろ言われておりますので、今委員御指摘のような点についても議論がなされるんじゃないだろうか、そういうふうには思っております。
○福島瑞穂君 衆議院の附帯決議に、国民の司法参加というテーマがあります。この委員会でも国民の司法参加のことは非常に具体的な提案もありましたけれども、国民の司法参加についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 司法制度というものは、もちろん裁判所等を中心とする直接その運用に携わる者が努力をしなければならないことは当然でございますが、同時に、国民に支えられて初めてその機能を十分に発揮することができるということも間違いのないところでございます。そういう意味で、国民の方々に司法に対する十分な関心を持っていただくということは非常に意味のあることだろうと思っております。ただ、具体的にどのような形で国民が司法に参加するのがいいかということについてはいろいろ御議論があろうかと思います。
我が国においても、現に検察審査会あるいは司法委員あるいは調停委員、いろいろな形で国民の方々に司法の過程に参加していただいております。これをさらに進めた、例えば▼陪審であるとか▲参審であるとかということがいいかどうかというのは、この審議会で十分御議論いただければと考えております。
○福島瑞穂君 小田中参考人は、基本的人権の擁護と公平な裁判の実現という本来の司法の任務がやはり大事にされるべきだとおっしゃって、私は本当にそのとおりだと思ったのですが、公平な裁判の実現という小田中参考人の意見などについて、審議会でこういうことは議論になり得るのか。公平な裁判の実現ということを考えた場合に、どのようなことがテーマになり得るでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 裁判というのは、まさに裁判の生命は公平さにあるわけでございます。ですから、これをいかにして実現するかということのために多分裁判に当たられている裁判官の方々は日夜努力をされているのだろうと思います。そういう公平な裁判を実現するためにどういうような仕組みが望ましいかということは、これはこの審議会でもいろいろ議論はされるのではないかとは思いますが、具体的にどういう項目がというのを私どもこの場で直ちにはお答えできないものですから、この程度でお許しをいただきたいと思います。
○福島瑞穂君 抽象的な質問をしてごめんなさい。
この審議会が経済における規制緩和という流れの中でのみ議論されるのではなく、ぜひ基本的人権の尊重あるいは刑事司法の改革の議論もきちっと、短い時間ですけれども、二年間の間にされることを要望して、私の質問を終わります。
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○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、有馬朗人君が委員を辞任され、その補欠として阿南一成君が選任されました。
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○中村敦夫君 法律の文言の表現や言葉遣いについてお尋ねします。
実はこれはさきの参考人質疑で参考人の先生方に感想を聞いたんですが、この方々が法律の専門家であったため、よく意味がわからないというか、私が期待した答えがなかったんです。つまり、そのこと自体が問題なんです。
一般的に言って、今の法律を読んだとしますと、これは大変に古い言葉遣いですね。こんな言葉を二十一世紀に持ち越してずっとほうっておくのかどうかということは大きな問題だと思うんです。言葉自体が旧式であるというばかりではなくて、実は文体、センテンスが場合によっては非常に長くなっていく。その中にはそれぞれ違ったテーマのことがたくさん入っていて、無理やりつないでいるような文体になっていまして、結局全体の論理の整合性がわかりにくいというのが現在の状態なんです。
それを勉強した人たちは大体わかるのでしょうけれども、文章を書く我々のようなクラスの人間ですら三度、四度読んでもわからないということが一般的に多いわけです。これではまずいのじゃないか。そしてまた、解釈の仕方が非常にあいまいになって、どうとってもとれるような状態になるということは、余りにも法律の解釈の効率としてもよくないのじゃないか。もう少し文体を短くつないでいくというのが今のよい文章と言われているわけです。ですから、今の法律文というのは非常に悪い文章として指導されてしまうということが文章書きの中での鉄則になっているわけです。
しかも、国民が司法になじむということは非常に重大だと言うにもかかわらず、入り口である法律そのものが最初から難しければ、やっぱり入り口を閉ざしてしまうということになっていると思うんです。
法務大臣はこの点についてどういう個人的なお考えを持っているか。そしてまた担当の方に、この問題が今度の審議会の検討材料になっていくかどうかということをお尋ねします。
○国務大臣(陣内孝雄君) 専門家の先生の御指摘、まことにそのとおりだと思って拝聴いたしました。
私もかつて、砂防法というのがございますが、これは明治三十年に制定された大変古い法律でございまして、これがまさに片仮名言葉で書いてございます。これを改正するにも大変長い年月がかかっているわけでございますが、法律に関する文章をできるだけ簡潔で国民にも理解されやすいものにするということは非常に重要なことだと考えております。
法務省におきましても、これまで法令の平易化等のための努力、工夫を重ねてきたところでございますが、御指摘の点についてはさらに努力を重ねなければならないと思っておるところでございます。
○政府委員(房村精一君) 法律の用語がわかりにくいというのは本当に委員御指摘のとおりだろうと思います。特に、法務省が所管しております法律の民法、商法は、いずれも片仮名、文語文、濁音もない、句読点もないという非常にわかりにくい条文でございます。
私どもとしても、国民に法律を理解していただくためにはこのような用語を改めてわかりやすい条文にすることが重要だということは十分認識をしておりまして、平成七年には刑法を、やはり片仮名、文語文でありましたものを現代用語化いたしました。民・商法についてもそれぞれ法務省内部では研究を重ねているところですが、なかなかほかのいろいろな諸課題が多いものですから一気に行かないという状況にございます。そういう意味で、このような法律を平易なものにすることは重要な課題であるということは法務省としては十分認識しているところでございます。
ただ、この審議会で取り上げていただけるかどうかということになりますと、これは先ほど来何回も申し上げておりますが、こういうような国会の審議経過とか各種提言を踏まえてこの審議会で審議項目を具体的に決めていただくということになろうかとは思っております。
○中村敦夫君 審議会は割と専門家ばかり集まってしまいますから、意外とそういうことに気がつかないと思いますので、やはり国民参加という視点から、法務省としてもこういう話が出ているんだということはぜひ皆さんにお伝えいただきたいんです。
もう一つ、明治以来の死に法というものがたくさんあるわけなんです。びっくりするような法律を見たこともあります。それがどんどん積み残されている。数人の弁護士の友達に法律というのは数でいったら大体幾らあるんだと言うと、だれも答えられないんですね、何万とか、五万かな、六万かなとか。そういう状況の法律というのはほとんど意味がないんじゃないかなと私は思うんです。それで、これを整理する意思あるいはプログラムというものをお持ちでしょうか。
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145 参 法務委員会 12 1999/05/20
○円より子君 事務局体制についてお伺いいたします。
いろいろ事務局の側が議論のレールを敷いてその上を走らせようとするような審議会等があるということをよく言われておりますけれども、そういったものであってはならないということで、審議会の運営に事務局の関与は排除すべきだ、そういった御意見もあちらこちら、新聞にもまたさまざまな各界からも出ていることは御承知のとおりだと思いますけれども、今度の事務局体制をどのようになさるかについてもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 事務局の役割というのは、司法制度改革審議会の審議のための資料の調査、収集、整理、分析及び審議結果の整理等の職務を行うなど、審議会において委員による十分な審議が行われるようにその補佐的な役割を果たすべきものであると考えております。それにふさわしい知識等を有している者を充てることが必要であるわけでございます。もとより、事務局が審議会の調査審議を方向づけたり、誘導するようなことがあってはならないと考えております。
○円より子君 この審議会は一応二年という期限の中で司法改革をある程度進めたいということでございますが、確かに十年もやっていては今の世の中に間に合いませんから、二年というのがちょうどなのかなという感じはしております。問題が山積しておりますから何を優先するかというのは結構難しいんではないかと思いますが、ある程度こういったことをという、今回の二年間で審議すべき大枠がおありかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法制度の改革は我が国の喫緊の課題でございます。司法制度改革におきましては二十一世紀の司法のあり方を審議していただくわけでございますので、二十一世紀に入ってできるだけ早い時期に審議会の御意見をいただき、これに基づいて速やかに具体的施策を講じていく必要があるということから、一応二年を期間としてお願いしようとしているわけでございます。
それで、この審議会でどういうテーマが審議のテーマになるかということでございますけれども、これは今申し上げましたように、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにして、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について国民的見地から調査審議していただくわけでございますが、この具体的な審議事項につきましては、この審議会において審議を通じて明確にしていただくことが適当であると考えております。
その審議テーマとしましては、衆議院におきまして、本設置法案の修正の際に盛り込まれた「国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化」等が取り上げられていくものと考えております。
○円より子君 国民がより参加しやすい司法ということで、例えば、▼陪審・▲参審制度の実現ですとか、先ほど言いました法曹人口の増員や司法予算の増額等はもちろんなんですが、法曹一元ですとか、また法律扶助制度の拡充ですとか、そういったさまざまなことが話し合われるというふうに考えてよろしいわけですね。
○国務大臣(陣内孝雄君) そのようなテーマが取り上げられるのではないかと思っております。
○円より子君 とにかく、先ほどお話しいたしましたけれども、法曹界の方々の教育だけではなくて、私たち国民の側もしっかり司法に参加する力を持たなければいけないという気がしております。子供のころから私たちはどうも法律に疎いとかそういったところがあるかもしれませんので、小さいころから、政治もそうですけれども、裁判ですとか検察ですとか弁護士ですとか、そういった司法の世界になじめるような状況をつくり出した方がいいのではないかというふうに考えているんですが、子供たちの教育とか国民の側に司法の力をつけるということについて、今後文部省などとの関係もあるかもしれませんが、大臣としてはどんなふうなことを考えていらっしゃるかお聞かせ願えれば、お願いいたします。
○国務大臣(陣内孝雄君) 大事な御指摘をいただいたと思っております。
二十一世紀の我が国社会において、司法が国民に身近な存在としてその役割を十分に果たしていくためには、司法の意義、役割、その重要性等につきまして広く国民に御理解をいただく必要性が一層高まっていくものと考えております。
法務省といたしましては、司法に関する広報活動のあり方等について一層の意を用いるなど、国民によりよく司法を理解していただくため今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
さらに、司法制度の改革についての各界の提言中には、委員も御指摘のように初等中等教育における司法についての教育のあり方について言及するものも少なくありませんので、この点も重要な検討課題の一つであると認識しております。
○円より子君 ありがとうございました。
私の質問を終わります。
○海野徹君 民主党の海野であります。数点質問させていただきます。
現在の司法制度の現状認識についてということで質問させていただきますが、その前提として、今回の司法制度、なぜ改革を求めるか。人権が最大限尊重される社会の実現に努力する、あるいは身近な司法制度の構築に取り組むというような大命題があるかと思います。司法のあり方を論ずる、あるいは司法制度のありよう、また、要するに法律というのは我々人間が人間らしくより豊かな生活を送るための仕組みですから、そういった意味では極めて哲学的な議論になるんではないかなと思います。そういう哲学的議論をしなくちゃいけない司法制度改革審議会、これは大変なことだなと思いますが、まずその点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 我が国の司法制度につきましては、その機能を十分果たし、国民に利用しやすい適切な紛争解決手段を提供すべく、この点につきましては司法関係者において最善の努力がされているものと認識しております。
政府におきましてもさまざまな努力をしておるわけでございますが、なお司法が国民に身近なものになっていないなどの御指摘も含めまして、国民各層から司法制度の改革についての種々の提言がなされているというふうに認識しておるわけでございます。
そこで、昨今の時代の変化が激しい中で、間もなく二十一世紀を迎えようとしておるわけでございますが、その社会というのはますます複雑化、多様化し、国際化も進み、また規制緩和等の面からもさまざまな変化が起こってくるということで、司法の役割は従来にも増して重要なものになると考えられます。こういうものについてのあるべき姿という点については、委員御指摘のように一つの理念、哲学というか、そういうものが必要であることはそのとおりだと思っております。そういうものを踏まえて私どもも取り組まなきゃいけませんけれども、さらに国民的な論議をいただく意味から、司法制度改革審議会を設置して、二十一世紀へのふさわしい司法制度のあり方を確立していきたいと考えております。
○海野徹君 国会というのは哲学を論議する場じゃなくて、国会議員が哲学を持って行動する場ですから、そういった意味では審議会、期間、あるいは人選というのは非常に哲学的にすぐれた人をお選びいただきたいなと思うわけなんです。
これは通告していないものですからまことに恐縮に思うんですが、どうしても確認しておきたいことがあります。これは総理がお話ししているわけなんですが、人権が最大限尊重される社会ということがこの司法制度改革審議会の一つの大きな方向、命題になっているわけなんです。人権というのは、どんな状況下でも、どんな人に対しても断固として守られるべき最大の価値観だと思います。思想とか信条とか政治観、あるいは言論、表現の自由も立場によって制限されるものでは全くない。守るべき人権について差がつけられてはいけないと思っていますが、どうもいろいろ我々を取り巻く現状を見てみますと、特定の人々の人権がほかの人々の人権よりも重んじられているという実態があるんではないか。これは私の誤解だったら、危惧だったらいいんですが。
そういう人権論、ダブルスタンダードというようなことがときどきマスコミにも登場しますし、我々の世界でもそれでいいのかなというような危惧の念を持つことがあるんですが、その点について、大臣何か御見解はありませんか。
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○国務大臣(陣内孝雄君) 今委員御指摘のように、人権を擁護するということはもう一番大事な基本的な立場でなければならないと思っております。
それで、今回の司法制度改革の目的というのも、先ほど来申し上げましたように、社会が複雑多様化していく、あるいは国際化等に加えまして、規制緩和等の推進によって社会が事前規制型から事後チェック型に移行していくわけでございます。このような社会において、利用者にとって利用しやすい司法の実現を図ることは、これは人権を守るという意味でも大事なことでありますし、また司法がルールの維持という役割を十分果たすことによりまして、社会的弱者の保護、救済、人権の確保が図られるというふうに考えておるところでございます。
○海野徹君 この問題は私の単なる誤解であればいいかと思うんですが、今私は人権のダブルスタンダードがあるかないかということをお聞きしたかったんですが、その辺は私が単なる危惧の念としてとらえているということで御理解いただきたいと思います。
それでは、司法制度の現状認識、各論に入っていきたいと思います。
日本国憲法、三権分立、これは基本原理でありますから、法の支配を実現するという役割が当然司法にも期待されております。そういうものがどうも機能していないんではないか、この憲法の理念が機能していないんではないか。特に、立法裁量や行政裁量が絡む事件においては、司法の方が過度に抑制的になっているんではないかな、大きな行政、一方で小さな司法というような体制が温存されているんではないかなというような指摘があります。このことについて大臣の見解はどうだろうかということが一点であります。
二点目は、先ほど円委員からも話がありました二割司法、これ二割か三割かというような数字的な問題は別にして、なかなか利用しにくい、むしろかなり利用しにくいシステムになってしまっている。特に行政訴訟、これはもう優先的に行政側が、優先的というか一方的に行政側が勝っている。国民というのは泣き寝入りしているのかな、そういうことが多いのかなということもあります。その点について御見解をお伺いしたい。
もう一つは、身近な司法の構築。身近な司法の構築と言われたら具体的にどんなことをイメージできるのか、今できていないとしたらそれが具体的に何なのか、どこに原因があるのか、歴史的な背景は何なのか、その点について御見解をお伺いします。
○国務大臣(陣内孝雄君) 我が国の司法制度につきましてはいろいろな御批判があるのは承知しておりますけれども、私どもといたしましては、その機能を十分果たし、国民に利用しやすい適切な紛争解決手段を提供すべく、司法関係者において最善の努力をしていただいているというふうに認識しておるところでございます。
しかし、委員も御指摘のように、いろいろな御意見もあることは承知しておりますので、二十一世紀に向けて司法が国民により身近なものになっていくように司法制度のあり方について十分な論議が必要である、このように認識したわけでございます。
その中で、これからどういう問題を具体的に審議して改善の方向を打ち出すべきかということにつきましては、この審議会の審議の中で方向づけをしていただくように、私どもとしてはこの審議会に期待をしておるところでございます。
○海野徹君 私が答弁していただきたいのは、法の支配が機能不全かどうか、大臣はどう思っていらっしゃるか。その二割司法とやゆされるような状況が現実にあって、そう認識しておられるのか。あるいは利用しにくい制度だというような批判がある、指摘がある、それについては大臣の率直な御意見はどうなのか、それを聞きたかったんですけれども、いま一度お願いしたいと存じます。
○国務大臣(陣内孝雄君) これは先ほどちょっとお触れしたつもりでございますけれども、司法関係者においては最善の努力をしておられるという基本的な認識を持っております。
ただ、法曹関係者が少ないということで、地方において弁護士さんにお願いするにしてもなかなか簡単にお願いできないとか、またちょっと国民が司法になじみにくいという実態は、私も地方に住んでおりますのでよくわかりますので、そういう点についてこれからさらに改善していく余地があるなと。そういう改善の中で、今委員が御指摘になったような懸念があるとすれば大幅に改善が可能になるんじゃないかと期待しております。
○海野徹君 私の指摘したようなものがあればということなんですが、では政府委員の方の答弁はどうでしょうか、今の三点について。
○政府委員(房村精一君) ただいま大臣が答弁をいたしましたように、司法に携わる者、それぞれ国民に満足していただけるよう最善の努力をしているつもりでございます。何といっても司法も国民に利用していただくという制度でございますので、この利用者の国民が司法制度をどうとらえているかということに謙虚に耳を傾けて、改善すべき点があればでき得る限りの改善をするということが当然要請されるのだろうと思っております。私どもとしても、日ごろからそういう努力はしているつもりでございますが、それは必ずしも十分その声を酌み取っていないかもしれません。
そういう点も含めまして、このような審議会の場で国民的な見地に立って、国民各層から選ばれた委員の方々が司法の問題について突っ込んだ論議をしていただくということは、私ども司法に携わる者にとっても非常にありがたいことだろうというぐあいに考えているところでございます。
○海野徹君 なかなか期待するような答弁が出てこないんですが、改革をしようということでいろんな検討課題が出てきています。法曹三者の中でも協議が逐一行われているやに聞いておりますし、部分的な改良とか改正に向けての努力が十分なされていると思います。
そのことは多としながらも、今、現状を聞いたわけなんですが、我々国民にとっても非常に関心が司法に対して薄いということは事実であります。その原因がどちらにあるのか、国民側にあるのか、あるいは皆さん方の方にあるのか、そういう問題もあろうかと思うのです。これはやはりある意味では日本の統治システムに大きな欠陥があるのではないかと思うのですが、その点について大臣の御見解はどうでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) いろいろな論議の中に、法曹一元化の問題とか、国民が身近に司法を利用できるようにする、また迅速適正な判断が下るようにしてもらいたいとか、いろんな要請がございます。
そういう問題を解決していくためにはいろんな取り組み方が必要であるわけでございますが、こういったものがこれからの司法制度改革審議会の中で十分論議され、それを私ども改善の方に向かって適切な施策に反映していかなければならないと考えております。
○海野徹君 それでは、これは私の意見を交えてお話しさせていただきますが、今回の司法制度改革の目的というのは、ある意味ではいろんな紛争処理をする、要するに基盤整備だけ、機会をふやすということだけじゃない。先ほど質問しましたように、本来法の支配、その理念がとにかく拡充、発展することだというふうに思っております。そうだからこそ哲学的論争をしてほしいということを言っているわけなんです。
私は、改革の目的をそう理解しておりますが、その点について、大臣の御見解をお伺いします。
○国務大臣(陣内孝雄君) 法の支配が大事であるということは、もうそのとおりでございます。そのために、特にこれから事前規制型から事後チェック型に社会のありようが変わっていくわけでございますので、司法のルールをきちっと明らかにして、それが十分維持できて、国民の権利、法秩序の維持が図られるようにしていくのは当然のことだと思っております。
○海野徹君 先ほど円委員からも内閣に設置する理由ということで御質問があったわけなんですが、内閣に設置するということになると、この法務委員会の役割はどの程度あるわけなんですか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法制度改革審議会というのは、司法制度の利用者である国民各層の視点に立って、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を見据えまして、司法制度全般について幅広く調査審議するために内閣に設置されるわけでございますが、この審議会における審議の状況につきましては、法務委員会等国会からの求めがあれば審議会から適切な形で報告がなされるものと考えておるわけでございます。
また、この審議会が司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議を行い、その結果を踏まえまして講じられる施策に関して具体的な立法化を図る段階で、立法府として法務委員会において御審議いただくことになるということは当然のことだと思っております。
○海野徹君 我々はこの設置法案を審議して、これについて皆さん異論はないかと思うのですが、私も改革するということについては賛成しております。それで、採決してこれで終わってしまって、それ以降については我々法務委員会が関与するということは具体的には余りないのですね。
○国務大臣(陣内孝雄君) 審議会の審議の途中におきましても、委員会に対して必要に応じて事務局から御説明を申し上げるということは衆議院の方で御報告したわけでございます。そのような中で、あるいはまたこの委員会の審議の状況などにつきましても、審議会としてもそれを見ながら十分審議をしていただけると思いますので、委員が御懸念のように、この法案を通してしまえばそれで審議会と委員会の委員の先生方の間に関係が薄らいでいくのじゃないかということでございますけれども、私はこの委員会の審議経過というのは適切に審議会においてもお酌み取りいただけるのじゃないかなと期待しております。
○海野徹君 せっかくこういうような議論をしているわけですから、我々法務委員会が何らかの形で関与できるようなことはお考えいただけませんか。そういうものを明文化するといったらあれかもしれませんが、何らかの形で規定するということのお考えはございませんか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 審議の進め方については、審議会において協議してお進めいただけると思います。そういう中で、ただいま委員の御発言のようなものも十分参考にしていただけるのではないかと思っております。
○海野徹君 国会が国権の最高機関でありますし、我々国民から選ばれているわけですから、しかも大変重たい議論を審議会は二年間でやろうと。後で二年間の問題もするわけなんですが、やはり何らかの形で我々法務委員会が関与すべきだ、我々は発言すべきだ、いろいろ審議状況の報告を受けるべきだと私は思っていますが、その点については意見として申し述べておきます。
二年間ということ、これはいろんな方々から議論されていると思います。例えば法曹一元制度についても、前回、三十七年に臨時司法制度調査会が内閣にできて、三十九年に意見書を出して、まだ条件が整備されていないというような話があります。それから三十七年間いろんな条件整備が図られてきたと思うんです。
このこと一つとっても、三十七年間かかってまだどうだろうか、あるいは慎重な御意見もあるやに聞いております。こうなると、いろんな問題、検討事項がメジロ押しの中で、二年間というのは余りにも短いのではないか。しかも、検討項目についても審議会の中でいろいろ議論していただく、哲学的論争に時間を割かなくてはいけない。その中でプライオリティーをつけながらやっていくということになると、二年間というのは余りにも少な過ぎるんじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法制度の改革というのは我が国の喫緊の課題でございます。司法制度改革審議会においては、二十一世紀の司法のあり方を審議していただくわけでございますので、二十一世紀に入ってできるだけ早い時期に審議会の御意見をいただきたいと考えておるわけでございます。この審議会において速やかに具体的施策を講じていく必要がありますので、審議期間としては二年間が相当であると考えたところでございます。
○海野徹君 大変言葉じりをとるようで申しわけないのですが、喫緊の課題、すぐ検討してすぐ実施できるものは幾つかあると思うんですよ。それは別に審議会で議論しなくてもやらなくてはならない明確な課題として浮かび上がっているのじゃないか。そうではなくて、本当にやらなくてはならない国のありように関係する法のあり方、そういうことを考えると、やはりどうしても二年間というのは余りにも短過ぎて、喫緊の課題ということだけ吸い上げてこれでよしとして終わってしまうということがどうも懸念されるのですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 二年間という間に十分審議を尽くしていただいて所期の目的を達成していただく、最大限の努力を私どもとしてはお願いしたいところでございます。
○海野徹君 私は先ほどから何回も言っていますが、大変な重たい課題、とにかく二十一世紀の日本のありよう、国民生活のありようがそこでイメージされてくるわけですから、何段階かに分けて改革を行っていく。今まで日本人というのは部分的な改良を重ねれば全体もそれによってよくなっていくだろうというような感覚で、これは商品開発も製品開発もそんなところがあったんですけれども、だから部分的に改良することについては非常に技術的、能力的には高いものがあると思うんですが、どうも枠組みを論ずることというのは非常に苦手かなと。それをあえてしなくちゃならないのが今回のこの審議会だと思うんです。
そうなったら、やっぱり数次的に段階を追ってやっていくべきである。五年とか十年とかそのぐらいの期間でプログラムを組んで目的と検討項目を特定化して、そして国民が十分参加できるようなシステムをつくりながらやっていくべきじゃないか。重ねて質問しますが、御答弁をお願いします。
○国務大臣(陣内孝雄君) 二十一世紀のあるべき姿、これを長期的に見通した上で、今おっしゃいましたように、中には直ちに改革に着手していくもの、中期的に解決するもの、そういうものも必要だと思います。
しかし、いずれにしましても、全体の方向づけ、枠組みというのを見定めた上での部分の改善が必要じゃないかと思いますので、委員のお話のような姿でこの審議会の審議なりあるいはそれを受けての法務省の対応というのは行われていくべきであろうかと思っております。
○海野徹君 それでは、次の質問に入ります。
法曹一元制度の採用について、私は採用すべきだという観点からお話しさせていただきたいんですが、これも先送りされて、三十七年間ずっと議論を重ねてきたんじゃないかと思います。参考人質疑の中でも、もう既に実験段階だ、やるべきだという方が、私が聞いている限り全員そうだったんじゃないかなと思うんですが、法務大臣の御見解をお伺いします。
○国務大臣(陣内孝雄君) 法曹一元制度の前提条件といたしましては、法曹人口を飛躍的に増加してもらう、今弁護士さんの地域的分布が偏っておる点がありますので、これをやっぱり平均化していただく、こういった多くのことが必要だというふうに指摘されておるわけでございます。
政府におきましても、これらの事項に関しまして司法試験合格者の増加を図るなどの施策を講じてまいっておるわけでございますが、現状においてはこれらの諸条件が整備されているというふうには言いがたいと考えるわけでございます。
しかしながら、司法制度の改革に関する各界の提言の中にもこの制度について言及するものが少なくございませんで、この司法制度のあり方についての一つの考え方として広く国民の意見を踏まえまして議論される必要があると考えるわけでございます。
○海野徹君 三十七年間いろいろ議論されながら、大変重要な課題だと言いながらまだ条件が整備されていないとしたら、そのことについて皆さん方の努力はどの点にどう具体的になされてきたのかお聞かせいただきたいと思います。この問題については、その前に最高裁からも答弁を求めたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) いわゆる法曹一元制度、これは主張する人によって多少内容が違うところもあるようでございます。一般には弁護士の中から裁判官を選任する制度というふうに理解されておりまして、御指摘の三十九年に出ました臨時司法制度調査会の意見書でもそういう前提で意見が出ているわけでございますが、その中で、「これが円滑に実現されるならば、我が国においても一つの望ましい制度である。しかし、この制度が実現されるための基
盤となる諸条件は、いまだに整備されていない。」という認識を示しているわけでございます。
法曹一元の制度が我が国におきましても、これはもともとは英米法系の国の制度でございますけれども、こういう制度が「一つの望ましい制度である。」というこの臨時司法制度調査会の意見そのもの、この部分については特に最高裁としても異論を持っているわけではございません。
ただ、法務大臣の方からも御答弁ございましたけれども、その条件整備の点についてはまだ整備されていないんじゃないかという指摘があるということでございまして、例えば弁護士の地域分布の平均化、こういった点はやはりまだ改善が進んでいないということは余り異論がないところではないだろうか。
法曹一元制度はたくさんの弁護士の中からすぐれた人を裁判官に任命する制度でございますので、裁判所があるところ、所在地の都市とかその近辺に任命されるべき裁判官の何倍もの弁護士が存在するということを前提にしていると思うわけでございます。
裁判所はもちろん大きな都市ばかりにあるわけでございませんで、全国的にいろいろな都市にあるわけでございますが、全国的に見ますと、今言いました前提条件というものを満たしているかどうかということは大変疑問ではないか。
それから、弁護士の執務の共同化などということも臨司の報告書の中に出てきておりますが、こういう点も果たしてどのぐらい進んでいるのかというふうな問題があろうかと思っております。
○政府委員(房村精一君) 委員御指摘の法曹一元の制度の前提条件として、臨時司法制度調査会意見書では、法曹人口の飛躍的増加、弁護士の地域的分布の平均化等、弁護士に対する国民の信頼度の向上、弁護士の職域拡大、法曹と国民生活との親近性、国民の法意識の向上、弁護士の公共的性格の強化等、弁護士の執務の共同化、検察官の職務内容についての改革、裁判官の職務内容についての改革、裁判官の待遇の改善等、それから精神面における法曹一体感の強化と、実に十二項目を掲げているところでございます。
ただいま申し上げた各項目については、法曹一元の制度を抜きにいたしましてもそれぞれある意味では追求されるべき課題ではないかと思っております。法務省としても従来こういう項目について、例えば法曹人口につきましては、司法試験合格者、当時は三百人に満たないような人数であったものを順次ふやしておりまして、ことしから一千人にふえるというような努力をしているところでございます。そのほか、現在も弁護士の方々の職域あるいは執務の共同化等についてもいろいろの努力をしているところでございます。
ただ、この臨時司法制度調査会で指摘された諸条件が満たされているかということになりますと、やはり現状においてもまだ法曹一元を実現できる程度には達していないであろうと認識しているところでございます。
○海野徹君 その十二項目の条件、その中で皆さん方の方で努力されてやってきた点、幾つかあるとは思うんですが、それがすべて整備されてから採用される、それも一つの考え方だと思うんですが、ある意味ではそれが採用されることによって整備が促進されていくという側面があるかと思うんです。
その点について、もうこの際思い切って導入すべきだと私は思うんですけれども、これは改革論議されるべきなんですが、その点についてもどうも御努力がまだまだ不十分であったのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(房村精一君) この意見書で指摘されている項目の中には、例えば法曹と国民生活との親近性というようなものがあることによって法曹一元がうまくいく、あるいは逆に法曹一元が実現されればそれが深まるというような事柄もあろうかと思います。
しかし、同時に、法曹人口の飛躍的増加あるいは弁護士の地域的分布の平均化というようなものは、これは法曹一元を採用する当然前提となる事項でございますので、やはりそういうものを無視して法曹一元を直ちに実現するということは非常に困難かと思います。そういう点から、この臨司の意見書においても前提条件が満たされていないと判断をされたのではないかというぐあいに考えております。
○海野徹君 別な観点からお話ししますと、本当に大切なことは、裁判所、検察、弁護士、そういう方々が我々のような普通の人間の世界に近づくことが大事じゃないかと思います。法や社会正義の実現というのは、法曹界だけでやっているのではなくて、どんな人たちもそれぞれの立場でやっているわけです。だから、ある意味では一般の国民の上に立って裁く者という特権意識を離れていくこと、それが真の司法改革だと思うんです。そういうものが今度の改革審議会で議論されるべきだと思うんです。
そういった意味で、法曹一元制度というのは、その方々の側から消極的な姿勢があるということではございませんね。その辺についてお聞かせください。
○政府委員(房村精一君) 先ほど大臣がお述べになりましたように、まさに司法の一つのあり方であることは間違いございませんし、臨時司法制度調査会におきましてもそれなりに真剣な議論がなされた制度でございます。
私どもとしては、この条件につきましても、どういう状況にあるかということを含めて国民的な議論をしていただければというぐあいに考えているところでございます。
○海野徹君 それでは、次にお伺いします。
国民の司法参加ということなんですが、▼陪審制度あるいは▲参審制度についてはやはり大きな議論を呼ぶところだと思うんですが、この点について法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 御指摘の▼陪審・▲参審制度の導入につきましては、司法をより国民に身近なものにしていくという観点からも意義があるといった提言がなされていることはよく承知いたしております。
この問題につきましては、我が国の司法の基本にかかわる問題でございますので、広く国民の意見を踏まえて、そのような制度による裁判に対する国民の信頼の確保、あるいは▼陪審員等としての責務を負うことについての国民の理解など、種々の観点から慎重に議論される必要があると考えております。
○海野徹君 国民主権ということが具現化される中では、どうしてもこういうものが必要になってくるのではないかと私は思います。それだけにこの導入をどうしても今回の制度改革で実現してほしい。だから、ある意味では法曹一元制度、そして今回の▼陪審・▲参審制度、こういうものが議論の中心となっていくべきだ、このことだけで二年間議論を費やしてもいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 今回、衆議院の方で修正をしていただいた中にも国民に身近な司法制度ということがあるわけでございますが、その意図するところは、▲参審・▼陪審制度あるいは法曹一元化、こういったものを十分審議会のテーマとして論議していくべきじゃないかという御意思のあらわれだと理解しております。
○海野徹君 審議状況を国民に逐一報告する、これも十分必要なことだと思うのですが、具体的にどういうような努力をなされようとしていらっしゃるのか、大臣から答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 審議会の審議状況の公開につきましては、従来からの政府の基本方針としておりまして、中央省庁等改革基本法においても公開の原則がうたわれております。また、衆議院法務委員会における本審議会設置法案可決の際の附帯決議におきましても、本審議会の「調査審議の状況に関し、情報公開等透明性の確保に努めること」、そういう趣旨の決議をされているところでもございます。
審議会における具体的な公開の方策につきましては、これは審議会において、これらの中央省庁等改革基本法の趣旨や衆議院法務委員会の附帯決議等を踏まえて適切に対応していただけるものと考えております。
○海野徹君 その辺は審議会任せということで、具体的に大臣の方から何か担保すべき、こういうことをとにかくやってほしいというような要請ということはお出しになることはございませんか。というのは、我々が法案を上げたらそれでおしまいということになっては非常にこれはもったいない話でありますし、それを避けたいということがありますから。
○政府委員(房村精一君) ただいまの審議状況の公開の点でございますが、この審議会は、言うまでもなく内閣に附属して置かれる内閣の補助機関でございます。その内閣の基本方針ができ得る限り審議会等の審議状況については公開をしていくということではっきりしておりますので、これは審議のあり方を決める審議会において当然適切に対応していただける。現に、現在行っております審議会においてもそれぞれでき得る限りの公開のための措置をとっているところでございます。
このような国会での審議の状況も当然審議会の委員の方々は認識をされて、その審議公開に当たる措置をお決めになるというぐあいに私どもは考えております。
○海野徹君 それが進んでいけば、当然いろんなことが公開されて、そして我々の意見が反映されて、答申がなされていくということが結果として出てくるわけなんです。そして答申を尊重しよう。しかも、内閣がこれを進めるということになりますと相当重たいことであります。とにかく答申が出たら、それは予算措置もします、制度もつくります、その方向に向けていついついかなる状況で達成しますということが出てくるかと思うんですが、それに対して法務委員会あるいは法務大臣としてはどういうふうに答申尊重を担保していくんだと。そのために委員会としてはどういう意見を今述べようとか、あるいは大臣としてはどういう意見を述べていこうというようなお考えはありませんか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 内閣の一員でございますので、必要に応じてこの審議会に対して意見を申し上げる立場にあろうかと思いますし、また審議会の審議状況につきましては、先ほど来御説明申し上げましたようにこの委員会に対しても報告がなされるわけでございますので、そういったものに対する委員会としての審議の状況、これも十分視野に入れて審議会としても審議を進めていただけるものと思っております。
○海野徹君 それでは次に、利用しにくいということの中で先ほどからも幾つかの答弁が出ているわけなんですが、法曹人口が少ないということが原因にあるわけなんです。法曹人口が少ない、今まで少なくなってきた歴史的な背景、原因というのはあるのではないかと思うんですが、その点について見解をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(房村精一君) 法曹というのは、国民の権利、利益の実現あるいは法秩序の維持という極めて重要な役割を担っているわけでございます。したがいまして、そういう人たちにつきましては、法律についての深い知識、社会についての幅広い物の見方あるいは高い倫理観、こういったものが当然に要請されるわけでございます。
このような資質に欠ける者が他人の権利義務を取り扱い、あるいは場合によれば生命にもかかわるような、左右する立場に置かれるということになっては大変でございますので、やはり法曹となる者についてはその質の確保を十分にしていかなければいけないということになろうかと思います。
そういうことから、司法試験で一定の能力を持った者を選抜した上で、司法研修所において実務法律家としての必要な知識、経験、能力を身につけていただくということで実務法律家を養成してきたわけでございます。そのようなことから、法曹になっていく人数が必ずしも多くなかったということになろうかと思います。その点いろいろ御意見がありまして、私どもとしても、この質の確保を図りつつ、そういう社会からの法曹に対するニーズにこたえていくということで司法試験合格者の増員に努めてきたところでございます。
なお、まだ法律家が足りないという御指摘も受けておりますので、そういう国民の負託にこたえるに足りる水準の質を確保するということと同時に、社会のニーズにこたえるということで、今後とも法曹人口の増大については考えていきたいと思っておりますし、この司法制度改革審議会が設置されますれば当然そのような問題も議論されることになると思っておりますので、そういう議論も踏まえ、法曹の質及び量の充実に今後とも努めていきたいと考えておるところでございます。
○海野徹君 量も大事だけれども質がそれより優先するというようなお話かと思うんですが、それはある意味では、司法修習時代の教育のあり方等でも質を高めるということは十分可能だと思うんです。これからますます紛争がふえるかもしれない、あるいは予防司法という考え方であればそれもふえていく。となると、法曹人口が飛躍的に拡大していかないとなかなか期待にこたえられない。結局、使いにくいねということがずっと続いてしまうのではないかなと懸念されるわけなんです。
やはりある意味では、二十一世紀はこういう状況の中でこういう国になります、となったらこのぐらいの事件が出てくるんじゃないか、予防司法でもこの程度考えられるんじゃないかというような、あるいは数値的な目標というものもシミュレーションの中で出てくるんじゃないか。それに対して何%ずつふやしていけば十年後にはできるんじゃないかというような、そういう客観的な要するに数値的目標というものも設定して、その中で質を追っていかないとなかなか達成できないんじゃないかと思うんですけれども、その辺について御見解はいかがですか。
○政府委員(房村精一君) 世の中に存在する法的ニーズをどう把握するかということはなかなか難しい面もございますので、ただいま委員の御指摘になったような、この程度の人数の法律家が必要で、それを達成するためにどの程度ずつふやしていくというようなことが数字的に明確に決められるのかどうかというのは、なかなか難しい問題もあろうかと思います。
ただ、いずれにしても、法曹人口のあり方等についていろいろな観点から検討をし、社会動向をにらんで法曹としてどの程度が必要とされるのかというようなことを検討していかなければならないのは、委員御指摘のとおりだろうと思っております。そういうような議論をこの審議会でしていただければと思いますし、私どもも今後もそういう観点でいろいろ検討していきたいと考えております。
○海野徹君 今十万人で十三人ぐらいですね、法曹人口というのは。十二・何人か十三・何人ぐらいだと思うんです。やはり待っていたってだめなんですね。どんどん外へ出ていきながら、現状を把握しながらやっていかないと出てこない、私はそう思うんです。
だから、そういった意味では、せっかく内閣に設置されて、それが予算措置を伴いますからということが一つの理由だったと思うんですが、私はやっぱり積極的に打って出て、数値的目標を設定して、例えば十万人当たり二十人にするには毎年五%ぐらい伸ばしていけば十年で達成できますよというのが出てくるんじゃないかな、そのための予算措置、そのための教育をどうするかという具体的なものが出てくるかと思うんです。私ども、民間で経済活動をやっていた人間だったらすぐそういうことを考えつく。その辺はどうなんでしょう。
○政府委員(房村精一君) 法曹人口としてどの程度が適当かということにつきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろ社会の状況、これからの社会の動きに対する予測、あるいは国民の考え方、こういういろいろな要素を考慮しながら判断していくことになろうかと思います。
委員の御指摘のような判断の仕方も参考にさせていただきつつ、私どもとしても今後も検討を続けたいと思いますし、また審議会においてもそういった検討がされるのではないかというぐあいに思っております。
○海野徹君 最後に、大臣に御質問させていただきたいんですが、大変いろんな重要な課題が山積しております。しかも、それを議論するには二年間という限られた期間の中で議論しなくちゃいけない。
また、取り巻く日本の現況がどうかというと、これは私の判断です、あらゆる面であらゆる意味の力の行使というのを戦後どうも忌み嫌ってきている風潮があるんじゃないか。そういった意味で、力から離れることによってかえって余り好ましくない力に支配される、そんな国になっちゃったんじゃないかと私は今思っているわけです。あえて言えば、これがいい表現かわかりませんが、いろんな意味での力を否定することによって健康的な意味での力まで失ってしまった、その発揮をする機会を少なくさせてしまっている、そういう風潮が今、日本にあるんではないか。
そうなると、この改革というのは大変な負担というんですか、可能性として、抜本的な改革をしようといってもなかなかそれができにくい状況が今、日本にあるんじゃないかなということを感ずるわけなんです。
ましてや、いろいろの最近の事例の中で、私がリーダーかどうかわかりませんが、リーダー層と言われる、あるいはサブリーダー層と言われる人たちが、非常に精神の衰弱現象があるやに思われてなりません。
そういうことがあるものですから、この改革を期待するだけに、大変困難性を伴うと私は思うんですが、大臣、今日的な風潮、力の行使の仕方、あるいはそういう健康的な力の行使もできにくくなっている、あるいはそれが否定されてきてしまっているというような観点からどう取り組んで動かれるのか、個人的な見解で結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) この世の中、世界情勢、大きく、激しく変わっていく中において、やはり国民の権利を保護する、あるいは利益を守る、あるいはまた法秩序を守っていくということは、これはもう一番大事なことでございます。そういうことに備えて司法制度改革審議会において十分な論議をしていただく。そして、そこで英知を絞って、日本の国のあるべき姿をどういう法社会として確立していくかの御議論、あるいは方向を出していただけるというふうに期待するわけでございます。
そういう中で、今委員が御指摘になりましたような懸念もないわけではないとは思いますけれども、私は国民の将来の繁栄、安定に向けて、鋭意力を惜しみなく出していただく、そういう場になることを期待しておるわけでございます。
法務省といたしましても、与えられた法務行政の中で、社会正義の確立、あるいは法秩序の維持、こういったものについてあらゆる困難を排除しながら立ち向かっていかなければならないと思っております。
○海野徹君 ありがとうございました。
これで終わります。
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。
早速、質問いたします。
先ほどの円委員の質問と重複することがあるかと思うんですが、一応確認の意味でまず法務大臣にお尋ねいたします。
まず、基本的な認識としてお伺いしたいのですが、司法の果たしている現状認識、これが二十一世紀にはどのように改革されるべきであるとお考えなのか。それは審議会でやってもらったらいいとおっしゃるかもしれませんが、まず大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法の現状をどのように認識しているかというお尋ねでございますけれども、我が国の司法制度につきましては、これまで国民のニーズにこたえるべく司法関係者において最善の努力がなされているものと考えております。政府といたしましても、さまざまな努力を払ってまいりましたが、しかし国民各層からは司法制度の改革について種々の提言がなされておるわけでご
ざいまして、そういうことについて十分承知しながら対応が必要だと思っております。
時代の変化は大変激しく動いておりまして、二十一世紀の我が国社会におきましては、社会の複雑多様化、国際化等に加えまして規制緩和等、社会のさまざまな変化が起こるわけでございますが、そういうものに伴って司法の役割は従来にも増して重要なものになると考えられますので、この司法の機能を国民のニーズにより一層こたえ得るように改革する必要がある、このように考えるわけでございます。
○大森礼子君 先日の参考人質疑で大変貴重な御意見を参考人の方からいただきました。その中で、佐藤幸治参考人は大学教育との関係で次のようなことをおっしゃられました。あくまで要旨です。要するに、大学教育においても安上がりな大量生産をしてきた、そのマイナス面のツケを今支払わされているのではないか。佐藤参考人は、教養科目と訳せばいいのでしょうか、リベラルアーツが不足している、そのためにクリエーティブインディビジュアルを育てることができなかった。要するに、佐藤参考人は人を育てることに知力、財力を注ぐべきであるという御意見を寄せられました。
それから木佐参考人は、不況の時代になって司法の増大というのは難しいことかもしれない、しかしやるべきだとおっしゃっているんですが、要するにこれまでの機能不全のツケが今回ってきたのではないか、こういうこともおっしゃられました。あくまで要旨でございます。
それで、今大臣がおっしゃられたこと、これは提案理由説明の中にも挙げられているわけなのですが、この趣旨によりますと、「二十一世紀の我が国社会においては、」と始まります。そして、今大臣もおっしゃったように「社会の複雑・多様化、国際化等に加え、規制緩和等の改革により、社会が「事前規制型」から「事後チェック型」に移行するなど社会の様々な変化に伴い、」と続くわけなのです
が、新しいニーズが出てくるということはわかるんですが、もしかしたらこれまでも国民のニーズにこたえていなかったのではないか、こういう検討も必要ではないかと思うのです。
というのは、同じく参考人の飯室参考人が、まず司法改革についても、例えば早期解決ということを目指すとなると社会的弱者を守れなくなる、そうすると弱肉強食の世界にもなりかねない。だから本来司法権の役割である、人権のとりでである裁判所として人権を守るためにどうあるべきかという観点を基本とすべきではないか、あくまでも要旨ですけれども、こういうことをおっしゃいました。
そうしますと、司法を考える場合にも、これから二十一世紀を見据えて新たなニーズが加わってくるから、その新たなニーズに対して体制を整えなければいけないということもありますが、二十一世紀の司法のあり方といいますか、ここの部分がきちっとできていたのかどうかというまだ残されている問題があるのではないか、こういう観点も必要ではないかと思うのです。
ですから、余り新たなニーズ、ニーズと言いますと、基本的な本来果たすべき司法の役割、ここが抜け落ちる危険があるのではないかと思うのですけれども、この点について大臣はいかがお考えか。これは通告しておりませんけれども、余り新しいニーズばかりに走り過ぎると、本来の司法の機能として不十分であったところを置き忘れることになるのではないかと思いますので、あくまで出発点としては、まず本来二十一世紀の司法のあり方として確立しなければいけなかったところ、そこでまだ不十分なところ、これをまず中心にここからスタートすべきでは
ないかと私は考えるのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
それによりまして、本来二十世紀で足りなかった部分は法務委員会とかほかですればいいんだというお答えもあり得るのかと思うので、こういう点も審議会で審議していただく事項に含めるべきとお考えかどうか、お答えいただければと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法が国民にとって身近で利用しやすいものであるべきだということは一番大事なことだと思います。そういう点で、これまでいろいろお聞きするところによれば、迅速な裁判が行われてきたんだろうかとか、あるいはいろいろ弁護士さんにお願いしたいと思うけれどもどうやってお願いしたらいいかわからぬとかいう点で、必ずしも国民がみんな満足しておったとは言いがたい面があると思います。
そういう基本的なところをひとつ踏まえながら、これは二十一世紀においても一番大事なことだと思いますので、これを解決する知恵といいますか、英知を審議会の審議を通じて出していただきたい。それに加えて、今後、特許とかいろいろ新しい面でのニーズもふえてくると思いますので、そういったものへの対応も大事になろうかと思っております。
○大森礼子君 ありがとうございました。
憲法三十二条では裁判を受ける権利が保障されておりまして、ここがまず充足されるということが大事であろうと思います。そして、その裁判においても、やはり基本的人権にかかわるようなところ、この部分がまず第一に充足されるべきではないかと私は考えます。
次の質問に移りますが、法案の各条文についてお尋ねいたします。
第一条に、内閣に審議会を置くとありますが、司法改革のあり方を調査審議するものであるだけに、司法の中にはもちろん法務省という行政府も入りますし最高裁判所も対象となり得ることになります。
そこで、この審議会設置でいろいろ論議することはいいのですが、そのことが行政府による司法権の独立を侵す、直接的に侵すことにはならないと思いますが、こういう危険がないかどうか懸念されます。その点について、そういう問題はないのかどうか、あるとしても何か担保があるとおっしゃるのか、この点お聞かせください。
○政府委員(房村精一君) 本審議会は、「司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する。」ことを所掌事務とするものであります。このような審議会を内閣に置き、その調査審議の結果を踏まえて司法機能の充実強化のための施策を講ずるということは、司法権の独立を侵すものではなく、むしろ内閣の責務であるというぐあいに考えております。
政府としても、従来から常に司法権の独立を尊重してまいったところでありますし、いやしくも行政による司法への干渉ととられることがないように十分配慮してまいりたいと考えております。また、本審議会においても、このような審議経過をも踏まえ、司法権の独立を侵すとのそしりを受けるような調査審議が行われることはないと考えております。
○大森礼子君 それから次に、先ほど円委員の方からも、審議会を内閣に置くことにした理由は何かということで、国民各層の広い意見を吸収するため、こういう御説明があったと思います。
内閣に置く理由としてそういう説明はできると思うんですが、では何で法務省のもとだったらだめなのか。法務省のもとに置いたのでは十分機能しない、こういう何か積極的な理由があるのかなという気もするので、お尋ねします。
○政府委員(房村精一君) 本審議会は、司法という国政の基本にもかかわる重要な事項を調査審議するものであります。また、その調査審議事項は複数の省庁の所掌にかかわることも予想されるものでありますから、そういうことからこの調査審議は一つの省ではなく行政の最高機関である内閣のもとで行うべきであるというぐあいに考えたわけでございます。
例えば、法曹養成ということになりますと、大学の法学教育との連携とかそういうことも問題になりますし、先ほど大臣からも申し上げた特許のあり方について司法制度を考えるということになりますと、特許を所掌している特許庁あるいは通産省との関係ということも出てまいります。そういった意味で、広く司法制度全般をこの審議会で審議していただくということから、これは内閣に置くのが適当であろう、こういうことでございます。
○大森礼子君 実はこれからする質問の答えが今のお答えの中に含まれているかと思うのですが、確認という意味で聞かせていただきます。
法務省のもとよりも内閣という御説明はわかりました。次に出てくるのが、何で国会の中じゃだめなのかということになると思うんです。例えば、一つの方法としまして、司法制度特別委員会というものを設けましてあらゆる角度から時間をかけて検討する方法もあると思います。そして、それが一つの民意を反映する方法にもなると思うのです。
しかし、国会の方がやらないから我々がやるんですと言われたら困るんですけれども、本当は国会の方がいいんですが国会がおやりにならないものでという理由であれば、ではこれから国会がやりますからそうしたら審議会は要らないですね、こういう流れにもなるのですからお尋ねします。そういう国会における検討はそれはそれとして、これは国会が決めることだと思います、別に並立してもいいと思うんです。それとは別にやはりこういう形が必要なのだという理由をもう一度、実は先ほどのお答えの中に入っていた気もするんですが、簡単に説明していただきたいと思います。
○政府委員(房村精一君) ただいま委員から御指摘のありましたように、こういう司法に関する審議会を国会に設置するということも一つのお考えであろうかとは思っております。しかし、内閣として国家の総合的施策のあり方を検討し、立法的及び財政的な措置を全体的に講じていく、こういう内閣の責務を考えますと、やはり広く司法にかかわる施策を審議し、それに基づいて施策を講じていく、内閣にこの審議会を設置することが相当ではないかというぐあいに考えたところでございます。
○大森礼子君 次に、これは六条一項ですけれども、「資料提出その他の協力」という条文がございます。「審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、最高裁判所及び日本弁護士連合会に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」と規定してございます。それは何も司法制度改革については審議会だけがおやりになればいいということではなくて、やはり関係省庁も積極的に協力していかなければならない、そして資料提出等を求められたときには本当に役立つよい資料といいますかこれを提出しなくてはいけないのだろうと思います。
そこでお尋ねするのですが、この審議会の調査審議に対して、法務省それから最高裁の対応として、省庁内あるいは最高裁の中にどのような体制を用意しておられるのでしょうか。そして、それはどのようにかかわっていくことになるのでしょうか。まず最高裁判所、それから次に法務省にお尋ねいたします。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) お答えいたします。
審議会の調査審議がどのような形で行われるかということに対応して考えてい
くべき問題でございますけれども、最高裁判所といたしましては、昨今の社会経
済情勢の変化を反映した国民の司法に対するニーズがさまざまに変化する中
で、これらの司法制度全般の機能のありようというものをさまざまな角度から総
合的な検討をする体制を整備する必要があるというふうに考えております。
このようなことから、最高裁判所におきましては、この四月に審議官を中心とい
たします検討チームを発足させまして、事務総局のそれぞれの担当局課とともにこのような問題を検討する体制をとることといたしました。
裁判所といたしましては、このような体制のもとで、審議会からの要請がありますれば各種の資料の提供、実情の紹介をいたしまして、また御説明等をさせていただくことはもちろん、仮に意見を求められるようなことがあれば、裁判の実務を担当する者の声も十分踏まえましてこれに対応してまいりたいと考えております。
○政府委員(房村精一君) 法務省といたしましては、司法制度改革そのものを直接担当しておりますのは私ども司法法制調査部でございますが、この審議会における調査は法務省の所掌事務全般にわたるということも当然予想されますので、全省的にこの審議会の審議、調査には協力をするということを考えております。
その体制として、事務次官を委員長といたしまして各局から委員を出していただいて省内にこの審議会に対する協力委員会を設置して、審議会の方から資料の提出あるいは意見の開陳その他必要な協力を求められた場合には十分これに対応できるような体制を整えているところでございます。
○大森礼子君 最高裁の方はよくわかりました。
法務省の方は、協力委員会というのはこれから設置するということですか。
○政府委員(房村精一君) 既に省内的に設置をいたしまして、どのようなことがこの審議会で取り上げられるのか、どのような提出できる資料があるかというような基礎的な作業を行っているところでございます。
○大森礼子君 わかりました。
今、司法法制調査部のお話が出ましたので、ちょっとこれを先に聞かせていただきます。
この審議会が設置されるからといって、法務省が司法制度改革とかあるいは司法制度についてのいろんな諸問題についての検討、この任務から解放されるわけではないと思うわけです。それで、いろんなそういう問題を扱い調査する部署として司法法制調査部というものがあると伺っております。
それで、この司法法制調査部についてちょっと質問したいのですが、これはいつごろできたものなのか。それからまた、どのような経緯からできたものなのか。これはもともと必要だからもとからあったんだということかもしれませんけれども、まずこの点を教えてください。
○政府委員(房村精一君) 調査部の最初の設置ということになりますと、昭和二十三年でございます。御承知のように戦前は司法省ということで、裁判所、検察庁の仕事を束ねておったわけですが、戦後、憲法の改正に伴いまして司法部が独立をされて別個になる。そういうことを受けまして司法省も解体をされまして、当時法務庁ということになりました。その法務庁の中に法務調査意見長官という方がおられまして、その下に調査意見第一局、あるいは資料統計局というような局がございまして、そういうところで現在の調査部が扱っているような事務を扱っていたという意味でそれが一番最初かと思います。その後、法務庁から法務府、法務省へと変わってまいりまして、最終的には昭和三十三年の五月に法務大臣官房司法法制調査部という形になっております。以後、現在まで調査部ということで仕事をしております。
ちなみに、所掌事務といたしましては、司法制度に関する法令案の作成、内外
の法令並びに司法制度及び法務に関する資料の調査、収集、整備及び編さんに関する事項、こういったようなことを取り扱っております。
○大森礼子君 わかりました。
それで、そういうところでいろんな問題提起、ある意味では二十一世紀の司法のあり方とか、二十世紀の司法のあり方でもいいですけれども、やはり改善すべき点とか、そういう問題に取り組んでいると思うのですが、これは例えば法律扶助の問題もこの中で検討されているのでしょうか。
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。
民事法律扶助制度につきましては、法務省としましては、その充実強化のために、法律扶助制度研究会が平成十年三月に取りまとめました研究成果などを踏まえつつ、関係機関とも協議しながら法制度化を含めて現在検討しているところでございます。
○大森礼子君 せっかくこの司法法制調査部について質問しましたので、司法制度のあり方について別に法務省もしっかり検討しているんだということを示すために、あるいはこの調査部の中でほかに重要な課題がいろいろとあると思うんですが、こういうふうな問題に今取り組んでおりますということがあれば、簡単に御説明いただければと思います。
○政府委員(房村精一君) 司法法制調査部で現在いろいろ取り組んでいる課題でございますが、まず法曹人口のあり方、あるいは法曹養成のあり方、こういった問題について、これも法務省内で司法試験を直接所掌しておりますのは人事課でございますので、そこと協力をしながら種々検討を続けているというようなことがございます。そのほか、弁護士業務のあり方につきまして、規制緩和委員会からも指摘を受けております弁護士事務所の法人化の問題、あるいは総合的な法律経済事務所の開設の問題、こういったような問題にも取り組んでおりますし、また現在、指摘を受けております▼陪審・▲参審制度等について諸外国の例を
調べるとか、そのような調査研究というようなことも行っております。
○大森礼子君 今言った弁護士事務所の問題とか、今度は例えば日弁連など、そういうところとお互い意見を、外の意見も聞きながらということでいろいろ指導する、それとも法務省は法務省の立場として意見集約しようということでしているのか、その辺は開かれた調査になっておりますでしょうか。
○政府委員(房村精一君) この弁護士事務所の法人化の問題につきましては、日弁連においても取り組まれているところでございます。
私どもとしても、直接の当事者である日弁連がどういう取り組みをしているかということを無視して、私どもだけでこの問題について解決ができるような問題ではないと思っておりますので、密接に連絡をとり合って検討を進めているところでございます。
○大森礼子君 今、司法法制調査部の活動についてちょっと詳しくお尋ねしたのは、法務省は法務省でやはり独自の問題について検討していくことが必要であろうと思います。そして、最高裁の方でもやはり審議会に向かった調査もあるでしょうし、最高裁判所の問題としていろいろ取り組まなければいけない問題を最高裁判所内で協議、検討するのは当然であると思います。
それで、例えばそういう各機関の中で検討されていることと、それから審議会との関係なんです。もちろん審議会の方から要求された場合に、検討が進んだ事項であれば、いい資料として、いい情報として審議会の方に伝達することができると思います。しかし、すべての審議会の御意見を聞いてからスタートするというのではないと思いますので、この審議会が検討していく事項と重複するものがあると思うのです。重複する部分については、審議会の意見は意見として、あくまで早期に取り組むべきものについては、その審議会の結論をまつまでもなく、当然法務省あるいは最高裁判所の方で取り組んでいくのかどうか。この両者の関係がよくわからないものですから、ちょっと質問が抽象的になったかもしれませんが、審議会の活動と最高裁判所、それから法務省の中の活動との関係についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(房村精一君) まず、この審議会の審議に協力をしていくということはもう委員御指摘のとおりで、私ども全力を挙げてできる限りの協力をしていきたいと考えております。
それから、この審議会で取り上げられる事項と現に私どもが検討を加えている事項との関係でございます。これは審議会で取り上げられる事項について、一切私どもはその間何もしないということではなく、審議会でどのような審議の状況にあるのかということを踏まえて、その問題の重要性あるいは切迫性等を考えながら適切に対応していきたい、こういうぐあいに考えております。
したがいまして、場合によれば審議会の審議中にも必要な施策を講ずるということもございましょうし、現に審議会がそれについて検討を始めているということであればその検討を見るというようなこともありましょうし、そこは審議の状況を見ながら適切に対応していくということを考えております。
○大森礼子君 最高裁は。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 裁判所といたしましては、委員御指摘のとおり、これからの司法制度全般の機能のありようを考えるという検討は裁判所としても必要であろうというふうに考えております。紛争の発生から解決までのプロセス、紛争予防のプロセス、社会的、文化的背景の中で司法制度が果たしてきた機能と特質とを実証的、総合的に検討いたしまして、改めるべきものは改め、受け継ぐべきものは発展させていくという観点に立った検討が必要ではないかというふうに考えております。
それからさらに、制度面、運用面での今の具体的な検討の方法でございますが、裁判所といたしましては、まず運用面では、先ほども御説明いたしましたように、新民事訴訟法の運用も含めて、これは既に法律ができておりますので、既に法律ができている趣旨をさらに一層実現するように運用面での改善、定着について検討し、努力をしてまいりたいと思っております。
それから、制度面につきましては、基本的に担当していただくのが法務省でございますので、法務省の関係部局と御相談しながら準備的な検討をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○大森礼子君 それでは、再びちょっと大臣の御意見を伺いたいと思うのですけれども、社会の複雑多様化、国際化等に加えと、例えば国際化社会ということを前提としてこういう社会のニーズも高まってくるということだと思います。
私、常々感じていることなのですけれども、国際化が進んでいく、それから多くの外国人の方が日本に入ってくる。例えば一方で、不正規の入国者を防ぐために入管法を改正するとか、こういういろんな施策もとられるわけなんですけれども、今回の改正もそれに関係してくるわけなのですけれども、国際化していくということ、それから外国人がふえてくるということは、やっぱり事件も犯罪も起きてくるということだと思います。
特に、入管法なんかでも、不法入国者が入るとすぐ犯罪が増大するとかという言い方をするわけで、この入管法等改正案についての質疑を見ましても、ちょっと政府側と我々と認識が違うところがあるのですけれども、よく法務省は、不法入国者、不法在留者がふえると犯罪がふえるんだという言い方をされるわけです。
そうしますと、では、犯罪が起きるならば摘発ということが起きる、そして摘発が起きた後には捜査されて、起訴されて裁判になる、こういう過程になるんですね。
だから、国際化社会、それから外国人が日本にふえるとなったならば、当然裁判手続の適正ということについても思いを及ぼさなければいけないわけで、ただ摘発の必要性だけを強調すべきではないと私は思うわけです。
こういう社会状況というものを考えていきますと、常々この法務委員会でも取り上げておりますが、司法通訳の問題というのがどうしても私の頭の中では出てくるわけです。外国人に対して憲法の保障するところの公正な裁判を受ける権利、これは国民に限るわけではありませんので、公正な裁判を受ける権利の内容として司法通訳というものが適正に行われなければいけないと思っているわけなんです。
ところが、司法制度改革等についてはいろんな各界の方からの御提言とかもありますけれども、どうも司法通訳の問題というのは出てこないんです。これは、もしかしたらマイナーな問題、現場を知る機会がなかなか持てないということも理由かもしれません。
〔委員長退席、理事円より子君着席〕
いずれにしましても、司法通訳の問題は裁判を受ける権利との関係でも非常に大事な問題だと認識しているんですが、大臣、率直なところでいいですから、この司法通訳の問題、どういう御認識か。まず、関心がおありかどうか、関心をお持ちとすればそれは重大な関心かどうか、大事な問題とお考えか、これは正直にお答えくださって結構です。余り関心がない、知らないというのであれば、これから私は大臣のもとに通ってこれは大事だということをお話ししたいと思いますので、司法通訳制度につきまして大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 来日する外国人の犯罪の増加とその国籍の多様化を背景にいたしまして、通訳が必要とされる言語が多数に及んでいる上、いわゆる少数言語の通訳人の確保や特に地方都市における通訳人の確保に困難を伴うなど種々の問題が生じており、有能な通訳人を確保し適正迅速な捜査、裁判と、被疑者、被告人の権利の保障を実現するため、通訳制度の整備充実を図ることが重要であると考えております。
私も、先般いろんなところを視察させていただく中で、こういう通訳が大事だということからどういう状況にあるのかと関心を持って見させていただいたわけでございますけれども、入国管理に携わる方々にもしっかりと通訳について語学の勉強をさせている、研修をさせているという状況がございました。しかし、それらの担当官そのものに対する研修も必要でございますけれども、専門の通訳人というのもさらに重要だと認識しておりまして、まさに委員御指摘のとおりの認識を持っておるところでございます。
○大森礼子君 司法通訳といった場合は、これは捜査段階における通訳、それから公判廷、裁判における通訳と二つに分かれますので、裁判所とそれから検察庁と両方にかかわってくる、さらには警察段階にもかかわります。ですから、いつも私はどちらを向いてお話しすればよろしいのかと迷うことがあるのです。
いずれにしましても、検察庁では通訳を介して検察官が調書をとって、その証拠に基づいて起訴するかどうかを決め、あるいは求刑も決めるわけですので、まず捜査段階において適正な通訳の確保ということも非常に大事なことであろうと思います。ぜひこの問題、積極的に取り組んでいただきたいと思います。時間の関係でこれ以上は申しません。
それから、三条について伺います。
委員の人数については、十三人以内で組織すると定めております。人選の基準について多くの問題があることは、もう既にいろんな方が衆議院の方でもお聞きになっていますので次回に回すとして、十三人以内というと十三人以下のこともあるのかと思うんですが、十三人以下、最低十三人というのでもないわけですね。この人数のところ、では十人の場合があるのかということが一点。
それから、女性が入るのかどうかということなんです。十三人ですと、今審議会には三割を女性という方針が出ておりまして、そうすると三・九人ですから最低四人は必要であろうという計算になります、四人でいいということにはなりませんけれども。それで、女性をこういう大事な審議会に入れるということもこれもまた二十一世紀の社会のニーズであろうと私は思うわけです。
それから、女性が入るべきだと私が考えるのは、ただ三割だから三割入れてという機械的な考え方によるのではなくて、やはり女性というのは非常に細やかな視点というものを持っております。それから、不合理さというものに対しましては非常に鋭敏な感覚を持っていると思います。男性だって持っているよと言われると困るんですけれども、私はやはり女性の持つ特質と考えますし、それがこういう審議会の中で非常に有効な貴重な意見として反映するだろうというふうに思うのです。
女性はどの程度入ると考えているのか、今の段階で聞いておきたいと思います。
以上、二点お答えいただきたい。
○政府委員(房村精一君) この司法制度改革審議会の委員の人数につきましては、委員御指摘のとおり、委員十三人以内で組織するとされております。したがいまして、その範囲内において本審議会における調査審議にふさわしい有識者が広く国民各層から委員として選任される必要があるというぐあいに考えているところでございます。
なお、女性委員の登用でございますが、国に設置される審議会等における女性委員の登用につきましては、政府としてその登用に努めているところでございます。本審議会の委員の選任においても、この方針を踏まえ、本審議会の審議にふさわしい有識者である女性が委員として選ばれるものと考えているところでございます。
〔理事円より子君退席、委員長着席〕
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 裁判所といたしましては、委員御指摘のとおり、これからの司法制度全般の機能のありようを考えるという検討は裁判所としても必要であろうというふうに考えております。紛争の発生から解決までのプロセス、紛争予防のプロセス、社会的、文化的背景の中で司法制度が果たしてきた機能と特質とを実証的、総合的に検討いたしまして、改めるべきものは改め、受け継ぐべきものは発展させていくという観点に立った検討が必要ではないかというふうに考えております。
それからさらに、制度面、運用面での今の具体的な検討の方法でございますが、裁判所といたしましては、まず運用面では、先ほども御説明いたしましたように、新民事訴訟法の運用も含めて、これは既に法律ができておりますので、既に法律ができている趣旨をさらに一層実現するように運用面での改善、定着について検討し、努力をしてまいりたいと思っております。
それから、制度面につきましては、基本的に担当していただくのが法務省でございますので、法務省の関係部局と御相談しながら準備的な検討をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○大森礼子君 それでは、再びちょっと大臣の御意見を伺いたいと思うのですけれども、社会の複雑多様化、国際化等に加えと、例えば国際化社会ということを前提としてこういう社会のニーズも高まってくるということだと思います。
私、常々感じていることなのですけれども、国際化が進んでいく、それから多くの外国人の方が日本に入ってくる。例えば一方で、不正規の入国者を防ぐために入管法を改正するとか、こういういろんな施策もとられるわけなんですけれども、今回の改正もそれに関係してくるわけなのですけれども、国際化していくということ、それから外国人がふえてくるということは、やっぱり事件も犯罪も起きてくるということだと思います。
特に、入管法なんかでも、不法入国者が入るとすぐ犯罪が増大するとかという言い方をするわけで、この入管法等改正案についての質疑を見ましても、ちょっと政府側と我々と認識が違うところがあるのですけれども、よく法務省は、不法入国者、不法在留者がふえると犯罪がふえるんだという言い方をされるわけです。
そうしますと、では、犯罪が起きるならば摘発ということが起きる、そして摘発が起きた後には捜査されて、起訴されて裁判になる、こういう過程になるんですね。
だから、国際化社会、それから外国人が日本にふえるとなったならば、当然裁判手続の適正ということについても思いを及ぼさなければいけないわけで、ただ摘発の必要性だけを強調すべきではないと私は思うわけです。
こういう社会状況というものを考えていきますと、常々この法務委員会でも取り上げておりますが、司法通訳の問題というのがどうしても私の頭の中では出てくるわけです。外国人に対して憲法の保障するところの公正な裁判を受ける権利、これは国民に限るわけではありませんので、公正な裁判を受ける権利の内容として司法通訳というものが適正に行われなければいけないと思っているわけなんです。
ところが、司法制度改革等についてはいろんな各界の方からの御提言とかもありますけれども、どうも司法通訳の問題というのは出てこないんです。これは、もしかしたらマイナーな問題、現場を知る機会がなかなか持てないということも理由かもしれません。
〔委員長退席、理事円より子君着席〕
いずれにしましても、司法通訳の問題は裁判を受ける権利との関係でも非常に大事な問題だと認識しているんですが、大臣、率直なところでいいですから、この司法通訳の問題、どういう御認識か。まず、関心がおありかどうか、関心をお持ちとすればそれは重大な関心かどうか、大事な問題とお考えか、これは正直にお答えくださって結構です。余り関心がない、知らないというのであれば、これから私は大臣のもとに通ってこれは大事だということをお話ししたいと思いますので、司法通訳制度につきまして大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 来日する外国人の犯罪の増加とその国籍の多様化を背景にいたしまして、通訳が必要とされる言語が多数に及んでいる上、いわゆる少数言語の通訳人の確保や特に地方都市における通訳人の確保に困難を伴うなど種々の問題が生じており、有能な通訳人を確保し適正迅速な捜査、裁判と、被疑者、被告人の権利の保障を実現するため、通訳制度の整備充実を図ることが重要であると考えております。
私も、先般いろんなところを視察させていただく中で、こういう通訳が大事だということからどういう状況にあるのかと関心を持って見させていただいたわけでございますけれども、入国管理に携わる方々にもしっかりと通訳について語学の勉強をさせている、研修をさせているという状況がございました。しかし、それらの担当官そのものに対する研修も必要でございますけれども、専門の通訳人というのもさらに重要だと認識しておりまして、まさに委員御指摘のとおりの認識を持っておるところでございます。
○大森礼子君 司法通訳といった場合は、これは捜査段階における通訳、それから公判廷、裁判における通訳と二つに分かれますので、裁判所とそれから検察庁と両方にかかわってくる、さらには警察段階にもかかわります。ですから、いつも私はどちらを向いてお話しすればよろしいのかと迷うことがあるのです。
いずれにしましても、検察庁では通訳を介して検察官が調書をとって、その証拠に基づいて起訴するかどうかを決め、あるいは求刑も決めるわけですので、まず捜査段階において適正な通訳の確保ということも非常に大事なことであろうと思います。ぜひこの問題、積極的に取り組んでいただきたいと思います。時間の関係でこれ以上は申しません。
それから、三条について伺います。
委員の人数については、十三人以内で組織すると定めております。人選の基準について多くの問題があることは、もう既にいろんな方が衆議院の方でもお聞きになっていますので次回に回すとして、十三人以内というと十三人以下のこともあるのかと思うんですが、十三人以下、最低十三人というのでもないわけですね。この人数のところ、では十人の場合があるのかということが一点。
それから、女性が入るのかどうかということなんです。十三人ですと、今審議会には三割を女性という方針が出ておりまして、そうすると三・九人ですから最低四人は必要であろうという計算になります、四人でいいということにはなりませんけれども。それで、女性をこういう大事な審議会に入れるということもこれもまた二十一世紀の社会のニーズであろうと私は思うわけです。
それから、女性が入るべきだと私が考えるのは、ただ三割だから三割入れてという機械的な考え方によるのではなくて、やはり女性というのは非常に細やかな視点というものを持っております。それから、不合理さというものに対しましては非常に鋭敏な感覚を持っていると思います。男性だって持っているよと言われると困るんですけれども、私はやはり女性の持つ特質と考えますし、それがこういう審議会の中で非常に有効な貴重な意見として反映するだろうというふうに思うのです。
女性はどの程度入ると考えているのか、今の段階で聞いておきたいと思います。
以上、二点お答えいただきたい。
○政府委員(房村精一君) この司法制度改革審議会の委員の人数につきましては、委員御指摘のとおり、委員十三人以内で組織するとされております。したがいまして、その範囲内において本審議会における調査審議にふさわしい有識者が広く国民各層から委員として選任される必要があるというぐあいに考えているところでございます。
なお、女性委員の登用でございますが、国に設置される審議会等における女性委員の登用につきましては、政府としてその登用に努めているところでございます。本審議会の委員の選任においても、この方針を踏まえ、本審議会の審議にふさわしい有識者である女性が委員として選ばれるものと考えているところでございます。
〔理事円より子君退席、委員長着席〕
○大森礼子君 女性の中にも人材はいっぱいいらっしゃると思いますので、女性がいなかったなんてことにならないように十分女性の数をふやしていただきたい。それがまさに今の二十一世紀の社会的ニーズじゃございませんか。
最後の質問になると思います。
情報公開につきましては、先ほど海野委員の方からも御質問がありました。審議会で検討されている事項を外に公開するという問題と同時に、十三人という人数です。協議するにはこれぐらいの人数がいいということはもちろんわかるのですが、この十三人の方すべてがあらゆる分野のことについて専門的であるはずはありませんから、すべての分野をカバーできない。そうすると、いろんなあらゆる分野の情報をそこに集約するという作業が必要になろうと思います。そうでなければ十三人では足らないということになると思います。
そこで、国民の意見とか、つまり公開とは逆の方向ですね、国民の意見とかあるいは国会の意見、国会の意見というのは民意を反映しているという意味においてですが、これが審議会に反映されるという仕組みがとられているのでしょうか。
それは先ほど言った、審議会は意見を求めることができるとあるのですが、例えて言いますと、先ほど海野委員が法務委員会との関係はどうなるのかと御質問になりました。法務委員会でももちろんあらゆる問題についてこれまで検討しているわけでありまして、言ってみれば非常に有効な情報、民意の反映という意味では、この法務委員会の議事録等を精査していただければかなり集約できるのではないかと思います。
時間がないので簡単に言いますと、例えばある項目について、法律扶助の問題について、そこの部分を議事録からピックアップして、これが法務委員会レポートです、こういう形で審議会の方に資料としてお渡しする、こういう仕組みがあってもいいのではないのかと思うんです。そうすると、いや、それも審議会の方がお決めになることですとおっしゃるかもしれませんが、言ってもらわないとわからないということがありますので、最終的には審議会が決めることであっても、積極的にこちらがそういう準備をして、こういうことでできますよ、こういうことを提言することが必要なのではないかと思うのですが、これは大臣にお尋ねした方がいいでしょうか。法務省でも結構です。
○政府委員(房村精一君) ただいま委員御指摘のとおり、この審議会はまさに国民的見地に立って御審議をいただくということでございますので、国民がどういうことを考えているか、国民の御意見を広く酌み取るということは必要なことだろうと思っております。ただ、具体的にどういう方法をとるかということについては当然委員会の方で適切な方策をお考えいただけると思っております。例えばこの法案の審議経過につきましては、議事録等を事務局の方で当然委員会の資料として準備されると思いますし、また、今委員の御指摘になったような司法制度改革に関する議論が当委員会等で行われた場合に、その議事録を資料として審議会に提供するというようなことは当然事務局において配慮するのではないかというぐあいに考えております。
○大森礼子君 終わります。
○橋本敦君 今回の司法制度改革という問題については、日弁連は早くからこういった問題を提起いたしまして、一九九〇年から取り組んできた成果としていろんな意見も発表しております。こういう流れがあるとともに、一方で、最近はアメリカや経済界から規制緩和に対応する司法改革といったような論議も出される。こういうようなことも含めて、今日、国民的課題となってきているわけです。
そこで、司法改革をやっていく基本的なスタンスといいますか立場といいますか、そこのところをはっきりしておく必要があると思うんです。そういう点でいいますと、まず何よりも憲法理念を尊重するということ、これは抜かしてはならない。
国民主権の問題、基本的人権の尊重、あるいは国民の裁判を受ける権利、司法の独立、こういったことは当然であります。こういったことを踏まえた上で、広く国民の立場から今日の司法に対するニーズは何かといったような現状分析をきちっとやるということが出発点として私は大事ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 本審議会における具体的審議事項につきましては、審議会において適切に選定されていくもの、このように考えておりますが、御指摘の点につき一般論として申し上げますと、司法が人権擁護の機能を果たすべきことは当然のことでありまして、審議会の審議に当たり、司法の現状についての深い分析などを行っていくということもこれまた重要なことであると考えております。
○橋本敦君 今の御答弁でおおむね話はわかりますが、私は憲法理念をしっかり踏まえるということは当然の前提ではないかということを申し上げたんです。それは異論がないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(陣内孝雄君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 そこで、こうした中で、衆議院の審議で第二条の「所掌事務」に関連をして修正が行われました。「審議会は、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかに」するという大事な課題。それとともに修正の中で言われたことは、「国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化」、こういった文言が入れられまして、ある程度そういった方向で具体的な意味づけも出てきたわけです。
しかし、これで十分かといいますと、決してそれだけで十分と私はまだ考えることができません。強いて言うなら、そこに何があるかといいますと、私は司法改革の理念としてこの二条の修正点をさらに敷衍する方向で、司法が人権擁護の機能を果たすということとともに、今日の国際社会を展望して、一つは国際人権法の適用にも積極的に適合する方向を探究する、二つ目には、大事な問題として違憲立法審査、この問題で違憲立法審査権の行使についても十分な考慮を払って司法のチェック機能を大事にしていく、こういった観点も審議の方向づけとしては大いに議論をすべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 今、委員のお話にもございましたように、「司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する。」というふうに衆議院の審議の段階で修正されたわけでございます。本審議会設置の理念や方向性はこれで十分明らかになってきたというふうに考えるわけでございます。
この審議会におきましては、各界からの提言はもとより、衆議院におけるこういった修正あるいは国会でのこれからの御審議の経過を踏まえますとともに、司法権の独立を侵すことがないような配慮、こういうことも十分配慮しつつ、二十一世紀を展望するのにふさわしい審議がなされていくものと考えております。
○橋本敦君 今、大臣がおっしゃった二十一世紀を展望するのにふさわしいという中には、今日の国際人権委員会を中心とする国際人権法の発展という経過も十分視野に入れる必要があるということを私は指摘しているんです。これは御異存がないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 御意見のような考え方を踏まえながら、ふさわしい審議がなされていくだろうと思っております。
○橋本敦君 今、大臣も指摘されましたが、第二条の「法曹の在り方」という問題も論議をされました。この法曹のあり方という点について言いますと、私は弁護士自治というのは極めて大事な問題だというように思うわけです。
日弁連が「司法改革ビジョン」の中でどう言っているかといいますと、 弁護士は、市民に身近な法曹として司法を担い、基本的人権の擁護と社会正義の実現のために、弁護士自治によって、国家権力その他の社会勢力から独立して職務を遂行することが保障されています。戦前、司法省の監督のもとで、人
権侵害に対し果敢に立ち向かった弁護士が懲戒され、あるいはその脅威にさらされ、弁護士活動が封じられたことに対する痛切な反省の上に立って、戦後の弁護士法改正により弁護士会に自治権が保障されたのです。こう記述しておりますが、歴史的経過として私はそのとおりだと思うんです。
しかし、実際に現状の中でいろいろな問題がございますけれども、例えばそういった弁護士自治に対して、この司法制度改革の一つの背景にありますアメリカ側の意向ですが、アメリカは昨年、「日本における規制撤廃、競争政策、透明性及びその他の政府慣行に関する日本政府への米国政府要望書」を提出しておりまして、司法分野においてもさまざまな処置を要求しておりますが、そういったことでアメリカ側は、アメリカのこの要求に対する一つのバリア、障害として考えているのが弁護士自治であるということが状況的に把握されているわけです。ですから、こうしたもとで弁護士自治の擁護というのは極めて大事な問題になってまいりました。
だから、ここの第二条で「法曹の在り方」ということが言われましたが、それはあり方として、国民のためにある法曹として大いに検討すべきでありますけれども、少なくともこういう歴史的経過を経て確立された弁護士自治の尊重というこの原則というものは、これは維持される必要がある大事な問題だと私は認識しておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 弁護士が司法制度の一翼を担い、基本的人権を擁護し、社会正義を実現するという重大な使命を有しておられるということにかんがみまして、弁護士法におきましては、弁護士会及び日本弁護士連合会が十分な自治能力を有することを前提として、弁護士に対する指導監督をこれらにゆだねておることはもう御承知のとおりでございます。
弁護士会及び日本弁護士連合会においては、このような法律の趣旨を十分に踏まえ、弁護士に対し適切に指導監督を加えていくものと期待しておるわけでございまして、司法制度のあり方の論議の中にもそういうようなことが認識されておるものと考えております。
○橋本敦君 大臣も法曹のあり方、弁護士のあり方として弁護士自治という原則が大事であるということはおっしゃっていただいているわけであります。
国民の声を代表する一つの意見として、ある新聞の社説はこう言っております。「政財界の提言の背景には、市場経済活動の自由拡大を目指す規制緩和論がある。司法の役割は社会正義の実現であり、人権擁護である。市場経済活動とは異質だ。もし、改革審議が規制緩和論に振り回されるようならば、今以上にゆがんだ姿をさらすことになりかねない。」、こう言って警告をしているわけですね。これは私は大事な国民の声だと思うんです。
ですから、審議会についても広く国民の声を聞いてもらわなくちゃなりませんが、こういった規制緩和論との関係、こういったことが出てきているけれども、司法の役割は社会正義の実現であり人権擁護である、こういったことを守れという国民の声は私は大事な国民の声であると思うし、審議の中で十分生かされる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 二十一世紀の我が国社会におきましては、社会の複雑多様化、国際化等に加え規制緩和等の推進により社会は事前規制型から事後チェック型に移行してまいります。
このような社会において、利用者にとって利用しやすい司法の実現を図ることは重要なことであると考えております。また、司法がルールの維持という役割を十分果たすことによりまして社会的弱者の保護、救済、人権の擁護が図られるものと考えるわけでございます。
司法制度改革審議会におきましては、このような観点に立って十分かつ適切な審議がなされるものと期待しております。
○橋本敦君 その適切な審議ということの中に私が指摘した問題も十分考慮される必要があるということを重ねて意見として強調しておきたいと思います。
その次の問題に移りますが、法曹一元の問題であります。 これは委員からもいろいろ議論をなされてまいりましたが、審議会の審議事項として法曹一元問題は、前の臨司意見等から今日の状態を踏まえて、重要なテーマの一つになると思っております。
その点に関して、ここに京都弁護士会が著しました「法曹一元」という本があるんですが、この本は市民のための司法を目指し法曹一元の実現を探求するという課題を貫いておりまして、この中には、当委員会に参考人としてお越しくださいました佐藤教授へのインタビュー、あるいは矢口洪一元最高裁長官の「私の法曹一元論」なども掲載されておりまして、幅広い観点から編集をされている本で、大いに参考になるかと思います。
この本の中で、京都新聞論説委員の河村さんという方が次のように述べておられるんですね。「国民が裁判官に期待するのは、豊かな人間性と高い見識である。」、つまり官僚的判決ではありません、豊かな人間性と高い見識であると。「人権感覚にあふれた訴訟指揮であり、時代の流れや社会状況に敏感で市民常識にかなった判決である。「独立して職権を行う」という憲法の規定にふさわしく、権威に屈せず、上司に媚びず、気概と誇りを持ってほしいと願っている。」、こう述べて、「そのためには司法行政による過度の人事管理から裁判官を解放することが必要だ。」、こういう指摘もあるんです。私は、これは国民の声として大事にすべき卓越した意見だ、こう思っているわけであります。
そういうように、司法が国民に身近に、しかも国民の感覚を踏まえたものとしてのありようを実現していく上で、最高裁を頂点とする司法官僚制度がしばしばこれまでも問題になってきたのですが、こういったことにもメスを入れると同時に、裁判官の独立の問題、それと同時に裁判官の市民的自由をどう保障するかという問題、これは参考人もいろいろと御意見がありまして、この点を強調された参考人もありますが、そういった問題も積極的に検討する。それとあわせて、従来からの法曹一元の議論というものを深めていく必要がある、こう思っておるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 今いろいろとお話を承りました。豊かな人間性、高い見識を持つ、人権意識の高い、また時代の流れを読み取る、市民感覚の豊かなというような、いろいろと法曹界に身を置く方々にとっては大事なお話であると思って承ってきたわけでございます。
そういう中で、もう一つの柱である法曹一元についての話でございますけれども、司法制度の改革に関する各界の提言の中にもこの制度について言及するものが少なくなく、司法制度のあり方についての一つの考え方として、広く国民の意見を踏まえてこの法曹一元化の問題については論議されていく必要がある、このように考えます。
○橋本敦君 時間がないのでこの点についてこれ以上議論をするわけにいかないんですが、大事な問題としてぜひ御検討を審議会にお願いするということで、国会の意見としてもひとつ聞いていただきたいと思っております。
国民の司法参加という問題では、▼陪審制の問題、▲参審制の問題がかねてから言われてまいりました。この問題が今度の審議会の重要な課題の一つとして審議をされるということは私は当然予想されることと思いますが、大臣としてもそういった問題は議論を大いにされてよい問題だとお考えでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 御指摘の▼陪審・▲参審制度につきましては、司法をより国民に身近なものにしていくという観点からも意義のあることとの提言がなされておることはよく承知しております。
この問題につきましては、我が国の司法の基本にかかわる問題でありますので、種々の観点から慎重に議論される必要があるものと考えておりますが、国民の司法制度への関与の一つのあり方として、審議会におきましても大事な検討事項として取り上げていただけるものと考えております。
○橋本敦君 わかりました。
それから、審議会の委員の選任、会議の公開、いろいろ議論がございました。審議期間についても海野委員から二年では短いのではないかというお話もあり、私もその点を危惧しておるものであります。
そういう点からいいますと、二年の審議期間にこだわらずに、予算措置でスタートさせることができるような問題は、例えば法律扶助制度の拡充、司法予算の増大、こういった問題については法務委員会でもいろいろ議論されておりますから、そういったできることは積極的に法務省としてはどんどん進めていくという姿勢もあわせてとるべきだと思いますが、それはいいですね。
○政府委員(横山匡輝君) 民事法律扶助制度の点について申し述べさせていただきますけれども、この制度につきましては、平成十年三月に法律扶助制度研究会が同制度のあり方等につきまして報告書を取りまとめたところでございます。法務省では、本制度の充実強化を図るため、この報告書を踏まえつつ関係機関とも協議しながら法制度化を含めて現在検討しているところでございます。
○橋本敦君 司法予算の問題についても。
○政府委員(房村精一君) 法務省としては、この審議会での審議状況を見ながら、必要な施策については適時適切に措置を講じていきたい、こういうぐあいに考えております。
○橋本敦君 ということで、両々あわせ持って進んでいかなければなかなか目的は達せられないと思うんです。
その審議内容の公開ですが、実は法案四条六項で、「委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。」という規定があるんです。
私は、国民のための司法、国民に開かれた司法を論ずるこの委員会としては、こういう規定は果たして必要だろうかという疑問があるんです。しかし、設けられました。だから、この規定が審議の公開を制約したり否定したりするようなことに使われてはならぬということはきっちり認識しておく必要があると思うんですが、いかがお考えですか。
○政府委員(房村精一君) この規定は、例えば調査審議の過程で個人のプライバシーにかかわるような資料を扱う場合もあろうか、こういうようなことを想定して設けたものでございます。審議の公開はまた別の話でございますので、当然政府の方針として、審議会の審議等の公開についてはこれをできる限り行っていくということで考えておりますし、審議会においてもそのために適切に対応していただける、こういうぐあいに考えております。
○橋本敦君 個人のプライバシーという狭い限定された大事な限界ということに着目した規定だということの運用をおっしゃったと思うんですが、それはそういうことできちっとやってほしいと思います。
それから、もう時間の関係で最後の質問になるんですが、未成年被疑者も含めまして刑事被疑者に対する公費弁護制度というのが論じられてまいりました。この審議会でも論じられる課題になると思うんですが、そうなりますと、これと同時に少年事件の付添人についての公設扶助制度、こういった構想も論議されないと、子供たちの利益を守るということで欠けてしまってはならないと思うんですが、こういう問題も当然論議されるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(房村精一君) ただいま委員から御指摘のありましたような事柄が広くいろいろ議論されているということは私どもも承知しております。この審議会においては、先ほども申し上げましたような二条の「所掌事務」の規定された過程等を踏まえまして、具体的にいかなる事項を取り上げるかということは審議会において適切に判断していただけるもの、こういうぐあいに考えております。
○橋本敦君 具体的に取り上げることは審議会が決めるというのは当たり前なんですが、私が指摘したような問題も少年事件について忘れずに論議されるような方向で皆さんも努力してもらわなきゃ困るので言っているんですが、どうなんですか。
○政府委員(房村精一君) ただいまの委員の御指摘も踏まえまして、この審議会に対する各委員の御意見等は議事録の形で当然事務局から審議会に伝えられるということになろうかと思っております。
○橋本敦君 わかりました。
終わります。
○福島瑞穂君 司法制度改革審議会が内閣に置かれるということには非常に危惧を感じます。三権分立を侵害するのではないか、違憲立法審査権を行使する裁判所が逆に内閣のコントロール下に置かれるという危惧を大変感じます。だからこそ、何が議論されるのか、そしてどういう体制なのかということを十分国会もチェックしなくちゃいけないというふうに思います。
それで、まず委員の選任ですが、これは衆議院の附帯決議の中で、「政府は、審議会の委員の選任に当たって、司法制度の実情を把握すると同時に国民各層からの声が十分に反映されるように努めること。」というのが入っております。私は、例えばNGO団体、できればシビアな事件を扱ってきたような団体、あるいはアムネスティ・インターナショナルのような団体、自由人権協会のような団体、そういう人たちを委員に選任していただきたいと考えておりますが、いかがですか。
○政府委員(房村精一君) この司法制度審議会は、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について国民的見地から調査審議することを目的とするものであります。そういうことから、この司法制度全般についてこのような視点のもとで調査審議するのにふさわしい有識者を国民各層から委員として選任するということになろうかと思っております。
具体的にどのような方がその委員にふさわしいかということにつきましては、国会における御議論も踏まえて内閣において適切に判断していくことになろうかと思っております。
○福島瑞穂君 この審議会で何を議論するかはかなり白紙委任なんですが、法務省がまとめた司法制度改革のための検討事項の中に明らかに漏れているものがたくさんあります。例えば行政のチェック機能、裁判官の独立の問題、刑事司法の改革の問題、代用監獄の問題や自白強要の問題など、明らかにさまざま指摘されている司法の中の司法、あるいは捜査の問題の中で明らかに欠落しているものがたくさんあるというふうに思います。
ですから、委員の選任に当たっては、決して法務省のみ、内閣のみの意向ではなく、もっと市民、しかもかなりシビアな問題を抱えている市民の意見を体現してくださるように、委員の選任についてはよろしくお願いします。
次に、事務局体制です。
衆議院でも議論になっておりますが、事務局長一名、参事官三名、それには最高裁、法務省、大蔵省という話が出ておりますが、これはこうなのでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 事務局を置くということが本法案の第七条に定められておりまして、二項では「事務局長のほか、所要の職員を置く。」ということになっております。また、その所要の職員としては少なくとも参事官三名は置くことが予定されております。この事務局長あるいは参事官にどのような者が当たるかということにつきましては、いまだ決定されていることではございませんので、本法案が成立をいたしました場合には速やかにその事務局体制の整備に取りかかりたい、こういうぐあいに考えております。
○福島瑞穂君 今おっしゃった七条二項、事務局長は「関係のある他の職を占める者をもって充てられる」とありますが、これはどういう人を念頭に置いていますか。
○政府委員(房村精一君) これは、この司法制度審議会に関係のある省庁の何らかの職を占めている人が事務局長に充てられるということを定めたものでございます。
○福島瑞穂君 この事務局長がだれかということが非常に問題だと思います。衆議院でも議論になっておりますが、例えば房村さんはもともと裁判官で、法務省に出向されて、そして今調査部長なわけですね。事務局長になられるとか、そういうことではないんですよね。
○政府委員(房村精一君) 人事の問題、特に私がどうなるかということは私にもわかりかねますので、ちょっと御容赦願います。
○福島瑞穂君 この参事官の三人なんですが、最高裁、法務省、大蔵省などと言われております。大蔵省がなぜ入るのかというのがわかりません。私は、先ほど言いましたように、事務局体制の中にもアムネスティ・インターナショナル、世
界的にきちっと評価されているそういうNGOの、しかも刑事司法などについてかなりシャープな問題意識のあるような団体の人をきちっと事務局に入れるべきである。衆議院の附帯決議の中でも民間を登用するようにというのは強く言われておりますが、いかがでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 先ほどから申し上げておりますように、事務局にどのような者が当たるかということはいまだ定まっているわけではございません。ただ、事務局の役割というものは、要するに委員による審議を十分に充実させる、そういうことのために資料の調査、収集、整理、分析、あるいは審議結果の整理、こういうようなことを行うわけでございます。いわば縁の下の力持ち、審議充実のための黒子ということでございますので、そのために必要な知識を有している方々にこの事務局には集まっていただくということを考えているところでございます。
○福島瑞穂君 この司法制度改革審議会が内閣のもとに置かれると、司法の改革を内閣のコントロール下に置き、三権分立あるいは違憲立法審査権の行使について大きな疑問があるというふうに思います。だからこそ、この事務局を各関係諸省庁の役人をかき集めることでやっていただきたくないと思いますが、いかがですか。
○政府委員(房村精一君) 内閣としては、常日ごろから司法権の独立というものはこれを尊重しなければならないと考えているところでございます。ただ、裁判所が法案提出権を有しておりませんので、例えば裁判所の定員法であるとか裁判所法であるとか、裁判所あるいは司法制度に関する法律案については、内閣として閣法として国会に御審議をお願いするということが多うございますが、その際にも司法権の独立に抵触することのないよう細心の注意を払っているところでございます。
この審議会につきましても、同様に内閣として司法権の独立に干渉するようなことのないよう心がけてまいるつもりでおります。
○福島瑞穂君 衆議院の附帯決議のトップにも、「司法権の独立を侵害しないように配慮すること。」というのが入っております。具体的にどう配慮されるんですか。
○政府委員(房村精一君) どう配慮するかということになりますが、基本的に内閣としてそういう認識でおるということを審議会の方々にも御理解いただくということになりましょうし、また審議状況の透明性の確保に努めるということで、国民の方々にこの審議会はどういうことをしているということを理解していただけるような状況をつくる、こういうようなことであろうかと思っております。
○福島瑞穂君 配慮するということは、配慮だけではだめで、システムの問題でもあると思います。委員、そして事務局体制、特に事務局体制は各関係諸省庁からかき集めないように、特に参事官に大蔵省が入るとなぜ一般的に言われているのか、全く理解に苦しみます。きちっとしたNGOを入れてくださるように強く要望したいと思います。
会議の公開なのですが、今まで流れとしては、会議公開あるいはできる限り公開というふうに聞いてちょっと不安なんです。会議は公開するとぜひ明言してください。
○政府委員(房村精一君) ですから、政府の基本的な方針といたしまして、審議会等につきましては会議または議事録の公開ということを基本方針に定めているわけでございます。内閣の補助機関として置かれる審議会において、当然その方針を踏まえて適切に対応していただける、こう考えております。
○福島瑞穂君 橋本委員も聞かれたんですが、この法案には守秘義務が入っております。これはとても理解に苦しむ条項で、削除していただきたいというふうに私は強く思うんです。
というのは、これは国民参加ということを非常にうたっているわけですから、司法改革については議論沸騰、大騒ぎ状態になる方がずっといいわけです。国民の知らないところで決められるよりは議論が沸騰してたまらないという方が絶対にいいわけですから、守秘義務、職を退いた後もしゃべってはいけないというのは全く理解に苦しみますが、いかがですか。
○政府委員(房村精一君) ここで守秘義務の対象となっておりますのは、職務上知ることができた秘密ということでございまして、具体的にいかなる議論をしたかというようなことが秘密に該当するとは考えておりませんで、先ほどもちょっと申し上げましたが、調査審議の過程でプライバシーに触れることあるいは秘密に触れること、こういうような資料を取り扱うこともあり得ると思いますので、そういう場合に備えてこのような規定を設けたわけでございます。
委員の間になされる議論については、審議の過程として当然公開の対象になってくるというぐあいに考えております。
○福島瑞穂君 参考人の意見の中でも、行政のチェック機能の話が随分出ました。行政のチェックをどうしていくのか、判検交流の問題、それから例えば令状の却下率が〇・一%を切っているとか、いろんな問題があります。あと参考人から出た意見では、裁判官の市民的自由ということも非常に強調されました。
そういうことはこの審議会で議論されるのでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 具体的な個々の審議項目につきましては、国会での審議経過あるいは各種提言、あるいは国会でなされました所掌事務に関する修正の経過、こういうようなものを踏まえて審議会において決定していただけるというぐあいに考えているところでございます。
ただ、先ほどから御指摘のありますように、審議事項が司法の独立にわたらないようにということは当然審議会においても意識して具体的な審議事項を選定することになろうかと思っております。
○福島瑞穂君 裁判官の独立ということで、最高裁事務総局を頂点にした強烈なピラミッド機構ができているのではないか、それが裁判官を非常に萎縮させている、なかなか行政事件の勝訴率が上がらないなどということも言われておりますが、そういう点についてはどうお考えでしょうか。
○政府委員(房村精一君) そのような参考人等の御意見が述べられたということは認識しておりますが、最高裁判所におかれては適切に司法行政権を行使されておるものと私どもは認識しておりますし、また裁判官はそれぞれ裁判官の独立を保って職務に精励しているというぐあいに考えております。
○福島瑞穂君 私は、裁判官の数をいかにふやしても、官僚的裁判官、そして判検交流のもとでの裁判官という立場であれば、あるいは市民的自由を持っていない裁判官ということであれば、結局数をふやしても裁判の内容は全く変わらないだろうというふうに思っております。
いつもこれは最高裁に申し上げているんですが、市民的自由などについてもっと拡大するというふうな、もっと裁判官が元気に自由になるとか、判検交流なんてやめて、今少しおやりになっていらっしゃいますが、もっと民間、NGOなどとの交流もやってもいいと思います。
そういう点についてはいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 現在の法制度、裁判所法で裁判官の義務なども定められておりますが、そういうものが不当に裁判官の市民的自由を制約するものなのかどうかということは、そういうふうには言えないのじゃないかと思います。現在の裁判所の実情を見ましても、合議などにおきましては自由濶達に意見を述べていると思います。
ただ、御指摘がありましたように、裁判官はいろいろな経験を、いろいろなことを広く知る、いろいろな人の意見を謙虚に聞くということが大事でございますので、研修等を含めてあちこち見聞を広める機会をつくるということは大事だと思っております。
○福島瑞穂君 司法制度改革の大きな柱はやはり裁判官の独立をどう保障していくかということだと私も思います。
それで、今自由濶達に意見を言っているとおっしゃいましたけれども、例えば令状の却下率が〇・一%を切っているなどという点については、何でこんなことになるのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 令状の却下率と全部ひっくるめて仰せになりましたが、これは少し分析してみますと、例えば逮捕状の請求についての却下率、これは年々率が下がっておりますことは委員仰せのとおりでございます
が、実はそのほかに捜査機関の方から撤回という形でウイズドローしておるものがあります。この撤回と却下というものを合わせた数字で見てみますと、実は逮捕の場合には逆にその数字は上がってきているという状況でございます。
ただ、勾留について申しますと、却下と撤回を合わせましても数字的には下がってきているということは事実でございます。
なぜ下がっているのかということでございますが、これは事件はすべて個別でございますので、個別にそれぞれの裁判官が御判断なさっておられることでございまして、その数字だけを見てどうであるというようなことは申せないのではないかと思っております。
○福島瑞穂君 それでは教えてください。却下率のみ、それから撤回と却下を合わせた分はどれぐらいになっていますか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 大変申しわけございませんが、突然のお尋ねでございますので、本日手元には資料は持ってきておりません。
○福島瑞穂君 それでは後ほど教えてください。
それでは次に、先ほど橋本委員も質問されたんですが、法律扶助制度のことについてお尋ねいたします。
衆議院の附帯決議の最後が、「既に一定の方向性の示されている法律扶助制度等の諸制度の充実を図ること。」というふうになっております。この「既に一定の方向性の示されている法律扶助制度等」の中に少年事件付添扶助制度は入っていないというふうに言われているんですけれども、この点はどうなんでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 委員の突然のお尋ねでございますが、一定の方向が示されているというのは、法務省におきまして民事法律扶助について研究会を組織し、その結果を研究報告としてまとめたことを指しているのではないかと考えておりますが、そういう前提であるといたしますと、その研究会報告は今も申し上げましたように民事法律扶助についてのものでありますので、少年の付添人についてはその研究会報告の一定の方向には含まれていないということになろうかと思います。
○福島瑞穂君 ちょっと細かい論点になって申しわけないんですが、一定の方向が示されているのは民事扶助であると。あと刑事被疑者の弁護のことも議論にはなっていると思います。ただ、すぽんと抜け落ちているのが、扶助協会が今多く扱っている少年付添人の扶助制度のことがさっきおっしゃったとおりこれには盛り込まれていないわけです。
ですから、法律扶助制度の中で少年付添人扶助制度もぜひその審議会で議論していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 先ほど来申し上げておりますとおり、具体的な個々の審議項目につきましては、審議会においてこのような国会での審議とか各種提言というものを踏まえて御決定いただくことになろうかと思っておりますが、このような議論があったということは、多分事務局から国会の議事録を提出するという形で審議会に伝わるものと考えております。
○福島瑞穂君 あと割と漏れているのが、家庭裁判所の充実ということなども余り議論になっていないのではないかと思います。家庭裁判所の調査官は非常にいい仕事をしながら、なかなか忙しいということもありますし、離婚事件が大変ふえておりますので、そういう意味で家庭裁判所の充実、この委員会でも議論になったこともあるかと思いますが、ぜひお願いしたいと思います。
今回のこの司法制度改革はかなり長い間の司法のあり方を決めてしまうだろうと思います。その方向づけによっては司法制度そのものも瓦解していくような、そんなことだって起こり得るだろうと。ですから、特に委員の選任、事務局体制、それから取り上げる項目が偏らないように、今法務省が出しているのは法務省サイドのことですから、刑事司法の改革や行政のチェックなどについては明らかに触れられておりませんので、そういう意味では、今まで戦後重要な問題とされてきたそういう点について落ちることのないように取り上げていただきたいというふうに思います。ぜひNGO、人権団体から委員、事務局に採用してくださることを強く要求して、質問を終わります。
○平野貞夫君 司法制度改革審議会という名前でございますので、現行の司法制度に何か問題がある、あるいは弊害があるからこういう審議会をつくるんだと思いますが、この審議会が調査審議する対象となる司法制度というのはどんなものをお考えでございますか。
○政府委員(房村精一君) これは広く司法にかかわる事柄一般、特に狭く裁判所だけに限定するというようなことではなくて、例えば民間における仲裁制度であるとか、あるいは準司法機関の活動もございましょうし、そういったような広く司法にかかわるものを全般に審議の対象とするということが考えられております。
○平野貞夫君 そうしますと、司法制度の中身はもちろんのこと、司法制度を支える周辺の問題、もうちょっと広く言いますと、司法文化といいますかリーガルカルチャーといいますか、そういうものも視野に入れていろいろ議論する、そういう審議会だというふうに考えてよろしいですか。
○政府委員(房村精一君) 具体的にそういう司法を支える文化といいますかあるいは意識といいますか、そういったものをこの審議会が取り上げるかどうかというのは、これは審議会が、何を審議したらいいか、あるいはどういうことが必要かということを判断して決められるということになろうかと思います。
ただ、確かに司法というのは、そういうこれを支える国民の意識とか、これに携わる者の意識というものと離れてはうまく機能しないということは御指摘のとおりだろうと思っております。
○平野貞夫君 そういう意味で、私は諸先生方の意見と若干違いまして、内閣に審議会を置くことについては特に異論はありません。適切だと思います。むしろ、司法の中に置くことが幅広い司法制度の改革の議論にはなりにくいと。内閣に置くことの意味が一つあると思います。
さて、審議会は内閣に意見を言うということになっていますが、調査審議したものを内閣に対して意見を言って、内閣はその意見をどうするつもりですか。
○政府委員(房村精一君) これはやはり司法改革のために審議をしていただいた上での意見でございますので、でき得る限りこれを尊重していくということになろうかと思います。
○平野貞夫君 尊重するということは、具体的にどういうことですか。
○政府委員(房村精一君) その意見の内容にもよるわけですが、具体的に例えば立法措置を講ずる必要があるということになれば、担当部署におきまして法案をつくって国会での御審議をお願いするというようなことになるのではないかと思っております。
○平野貞夫君 立法措置、立法による制度の改革ということが主題だし本論だと思うのですが、となると、やっぱり改革する権限を持っているのは国会だというこ
とでございますね、当然のことでございましょうけれども。
○政府委員(房村精一君) もちろん、法律を制定するのは国会でございますので、立法措置が必要なことについては国会で御審議、御決定願うわけでございますし、予算措置についても予算を編成して国会での審議をお願いする、こういうことになろうかと思います。
○平野貞夫君 何かこの審議会ですべて物が決まるような御意見が大分あったのですが、私は、そういう意味で、国会が立法、予算について改革の権限を持っているんだという自覚をもっとやっぱり国会の方々が持つべきだという意見を持っております。国会の中に司法制度改革委員会のような、特別委員会でもいいし常任委員会でもいいんですが、そういうものを設けてやるのが本当は一番いいわけですが、こういうやり方も一つのやり方だと思っております。
さて、この審議会の機能といいますか用向きにつきまして衆議院で修正があった中で私が注目をしていますのが「法曹の在り方」という言葉であります。法務省の人が修正案を出したわけじゃないから法務省の人に聞くのはちょっとなにですが、法曹という言葉が法律の用語にあるということは非常に珍しいんじゃないかと思うのです。私も専門家じゃないからよくわかりませんが、「法曹の在り方」という言葉を入れたことについて、法務省としてはどう理解なさっていますか。
○政府委員(房村精一君) ただいま委員のお述べになられたとおり、この部分は衆議院で議員の先生方が修正を加えた部分でございますのであれですが、確かに法曹という言葉は法律用語としては余り使われた例はないのではないかなと思っております。
ただ、この修正に関与された御意見を承っておりますと、この「法曹の在り方とその機能の充実強化」というようなことで、やはり法曹一元とか日本の法律家のあり方を広く考える、あるいは業務のあり方とか、そういったようなことを念頭に置かれているように承りました。
○平野貞夫君 私は法律の勉強を二年しかやっていませんでまことに素人でございますので、基礎的なことをお聞きして恐縮ですけれども、そもそも法曹という意味はどういう意味なんですか。
○政府委員(房村精一君) 私もちょっとあれですが、一般に我が国で法曹と言う場合には、具体的には裁判官、検察官、弁護士という法律実務家を指して法曹と用いられているのが通例ではないかと思っております。
○平野貞夫君 そうしますと、「法曹の在り方」という意味には法務省の機能のあり方という意味も入りますね、この中には。
○政府委員(房村精一君) 広い意味では、もちろん法務省にいる者すべてが法曹というわけではございませんが、法務省のあり方にも関係してくるところがあろうかとは思います。
○平野貞夫君 そうしますと、この審議会の機能としまして、司法制度と一言で言っておるわけですけれども、衆議院の修正というのが、司法制度及びその周辺、法務省にかかわる問題についても改革せにゃいかぬ、そういう意思の修正でしょうね。
○政府委員(房村精一君) 法務省にかかわることがこの修正で入ったのかどうかということになると私どももよくわかりかねますが、もともとこの審議会の設置法案を国会に提出する段階で、私どもとしては、先ほど申し上げたように、狭義の司法制度、裁判所制度に限らず、広く司法にかかわること全般を審議の対象として二十一世紀の司法のあり方を御検討いただく、こういうつもりでおりましたので、そういう意味では、法務省の所掌している事柄につきましても当然その審議会で審議される事項と関連を持っているというぐあいには考えております。したがいまして、修正後においてもその点は変わりがないのではないかというぐあいに考えております。
○平野貞夫君 わかりました。修正案を出された人たちに一回聞いてみたいと思います。
あと一点、大臣の提案理由説明の中に「司法の機能を社会のニーズにこたえ得るように改革する」、こういう言葉がありましたのですが、現在のシステムが社会のニーズにこたえることに障害があるという御認識でしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法の現在の役割というのは、十分社会のニーズにこたえるべく努力されておる、このように認識しておるわけでございますけれども、一方では、国民の方々により利用しやすい司法制度であってほしいという声もあるわけでございまして、そういう観点から申し上げたところでございます。
○平野貞夫君 司法権の一番大事なポイントは、国家の法正義といいますか法価値を決定することだと思います。ですから、司法制度に国民あるいは社会のニーズといいますか、かかわりというのが入ることは結構なことですが、国家の法正義を決定するということは別に多数決で決めるべきことではないと思いますし、ちょっとこの提案理由の言葉ではそこら辺が誤解されるんじゃないかという思いを持っておりますが、その点はいかかでございましょうか。
○政府委員(房村精一君) 社会のニーズというときに、もちろん個々の紛争について司法に適正、迅速な解決を求める、こういうような司法を国民が直接利用するという意味のニーズもあると思います。しかし同時に、社会の法秩序を司法が適切に守っていく、そういう役割を果たすということを国民が期待するというのも社会の司法に対するニーズだろうと思います。
今、委員の御指摘の法の正義を実現していくというようなことも、これは当然司法に課せられた役目だと思っておりますし、社会もそういうことを司法に期待している。そういう意味で、それは司法に対する社会のニーズだということではないか。具体的に何をしてくれということではなくて、国民が司法の果たすべき役割として何を求めているか、それを司法に対するニーズと呼んだわけでございます。
○平野貞夫君 わかりました。
最後に、これは質問ではございません、いずれ改めてお尋ねしたいと思いますが、一昨日、参考人審議の中で、飯室参考人が現在の司法制度の制度疲労に三つポイントを挙げまして、最後に現在の司法制度に立法、行政へのチェック機能が十分でない、そういう問題の指摘をしております。そして、その説明として、違憲立法判断が少ない、裁判官が憲法判断を避けている傾向があるのではないかという指摘がありました。
ことしの大臣の所信表明で、このことについて私が大臣にお聞きしましたところ、大臣は、現在の司法制度の違憲立法機能は果たされているという御見解の答弁があったと記憶しております。いずれまた改めてこの法案での審議があると思いますので、そのときにまたゆっくり大臣との議論をしてみたいと思いますので、ちょっと質問の予告をしておきまして、終わります。
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○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、藁科滿治君が委員を辞任され、その補欠として藤井俊男君が選任されました。
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○中村敦夫君 これは審議会の設置法案に関する質疑ということでございますけれども、こういう質疑というのは、卵か鶏かというような部分がありましてなかなかややこしい。ともすれば参考人質疑みたいになってしまうということなんですが、卵か鶏かのところをもうちょっと明確にしていただきたいので、まず最初に委員の人選過程についてお聞きしたいと思うんです。
審議会委員のリストを作成するということになりますと、これを作成するための事務局みたいなものが必要なわけですけれども、これは内閣内政審議室になるのか、法務省になるのか、審議会事務局、例えばこれができてしまえばそこになるのか。どれなんでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 本審議会の委員は、両議院の同意を得た上で内閣が任命するということになりますので、委員の候補者の選定に関する事務は内閣官房において扱うということになります。
○中村敦夫君 委員の数は十三人ということを想定されていますけれども、その前に何人ぐらいを候補者リストとして挙げるのか。そういう基準はあるんですか。
○政府委員(房村精一君) 候補者リストという言葉ですが、両議院に同意をいただくに当たってお示しする委員候補者の数ということでありますと、これは審議会委員として適当と考える十三人以内の候補者をお示しするということになろうかと思います。
○中村敦夫君 もう最初から十三人しか挙げないということですか。
○政府委員(房村精一君) 十三人以内の候補者をお示しするということになります。
○中村敦夫君 そうすると、選ぶということになるのかどうかという疑問があるとんですけれども、委員は十三人以内になってしまうということなんでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 委員の任命につきましては、両議院の同意を得て内閣が任命するということになりますので、当然、委員として任命したいと内閣が考えている方を両議院にお示しして、その方についての同意を求める、こういう形
になります。
○中村敦夫君 何人かの中からチョイスすることではないというお答えだと思うんですけれども、そうしますと、委員をまず選んで出していくということなんですが、その場合に、例えば職業別とか団体別などという、どういうところから選ぶというような基準というのはあるんでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 委員選任の基準ということでございますが、これは、この司法制度改革審議会が二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにして、司法制度の改革と基盤の整備に関して必要な基本的施策について国民的見地から調査審議することを目的とするということでございますので、司法制度全般について、このような視点のもとで調査審議するのにふさわしい有識者を国民各層から委員として選任する必要があるというぐあいに考えているところでございます。
○中村敦夫君 そうすると、例えば法曹界とか人権団体とかあるいは労働組合とか、いろいろバランスのとれた職種、団体別ということを最初に想定しないということなんですね。
○政府委員(房村精一君) 委員の選任につきましては、法律が成立すれば直ちに取りかかるということになろうかと思いますが、当然、審議事項が司法にかかわる事柄だということから、法律に関係の深い方々をお願いする必要があろうかと思っておりますし、また司法を利用する側の立場の方々にも委員として入っていただきたいというぐあいには考えております。
○中村敦夫君 法務大臣は委員の人選や任命に当たってどういう役割を果たされるんですか。
○国務大臣(陣内孝雄君) 委員の任命に当たりましては、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、両議院の同意を得た上で内閣が任命するということでございますが、任命権者である構成員の一人といたしまして、適切な委員の人選がなされるよう必要に応じて意見を述べてまいりたい、このように考えております。
○中村敦夫君 次に、事務局のあり方についてお聞きします。事務局長及び事務局員の任命権限というのは法案では定めていないんですけれども、これはだれなんでしょうか。
○政府委員(房村精一君) この事務局は内閣直属の機関として設置されるということでございますので、事務局長以下、事務局職員の任命権については、国家公務員法第五十五条第一項の規定により、内閣に属するということになります。ただ、この内閣の任命権につきましては、同法で「委任することができる。」ということになっておりますので、この法案成立後、具体的にどういう委任をするかというようなことは決められることになるのではないかと思っています。
○中村敦夫君 衆議院での政府答弁を見ますと、事務局長、それから三人の参事官を含め十名程度で構成すると答えているわけですけれども、予算措置上、正確には何人を想定されているんですか。
○政府委員(房村精一君) 実は、この事務局長あるいは参事官などの事務局に勤務する者につきましては、それぞれの関係省庁から出向していただくということを想定しておりまして、予算措置上、事務局職員の定員措置というのは講ぜられておらないものですから、予算定員として何人ということは決まっておりません。
ただ、審議を円滑にするための事務局機能を果たすために十名程度は必要であろうということを今考えているところでございます。
○中村敦夫君 これも同じように衆議院での答弁がありまして、原則として各省庁と最高裁からの出向者で事務局を構成するとなっていますけれども、省庁別及び最高裁の出向予定割合というものはもうできているんでしょうか。
○政府委員(房村精一君) この事務局職員の人事の詳細につきましてはいまだ固まっているわけではございません。この法案成立後、審議会の審議を補佐するのにふさわしい知識を有する者を早急に任命していきたい、こういうぐあいに
考えております。
○中村敦夫君 次に、国会論議との兼ね合いについてお尋ねしますけれども、先ほども海野委員からも質問がありました。衆参の法務委員会あるいは本会議で審議会の方向性や議論、テーマに関してさまざまな意見が出されました。しかし、私たち国会議員の意見というのは審議会でどう反映されるのかということで、例えばここの法務委員会の一般質疑などで、この審議会委員を参考人として、あるいはこれは政府委員となるんですかね、そうした形で呼べるのかどうかということはいかがですか。
○政府委員(房村精一君) 審議会の審議の状況につきましては、議事あるいは議事録の公開というような形で透明性を保つ努力をするということは当然でございます。
また同時に、この審議会がどのような審議状況であるかということを国会に知っていただくということも当然考えられるところでございまして、そういうことから衆議院の法務委員会で附帯決議がなされまして、その附帯決議では、透明性の確保に努めるとともに、審議事項等について事務局を介して委員会が報告を求めることができる、こういう附帯決議がされております。例えば衆議院の法務委員会の場合、そのようなことで事務局が現在の審議状況等についてお求めがあれば説明に応じる、あるいは審議の議事録をお届けするというようなことになろうかと思っております。
○中村敦夫君 具体的に出席できるんですね、法務委員会に。
○政府委員(房村精一君) ですから、その場合は事務局の適当な者が法務委員会の求めに応じて御説明をするということになるのではないかと考えております。
○中村敦夫君 では、できないということなんですね。要するに、審議会委員が法務委員会の質疑に出席できないと。
○政府委員(房村精一君) どのような方を参考人にするかというのは、それぞれ委員会の御判断でございます。私が申し上げたのは、附帯決議でそういう形での報告が衆議院の法務委員会では考えられているということを御説明したわけでございまして、それ以上にわたりまして審議会の委員がこの委員会に参考人として出てくることについて、できるできないということをここで申し述べたわけではございません。
○中村敦夫君 そのお答えだと本当に我々法務委員会の委員と審議会委員とが交流する場所が確保されているのかどうかということは不明のままなんです。
では、衆議院で附帯決議がつけられました。この附帯決議というものが実際にその審議会の中でどのように扱われるのかということなんですけれども、例えば附帯決議が審議会の規範的な条件というようなことになるんでしょうか。
○政府委員(房村精一君) 附帯決議にもいろいろな項目が含まれておりますが、これは国会の意思の表明としてなされた決議でございますので、審議会の審議に当たる委員もそのような国会の意思であるということを十分踏まえてこの附帯決議の趣旨を考慮するということになろうかと思っております。
○中村敦夫君 ▼陪審制についてちょっとお聞きしようと思いましたが、時間の関係もありまして、これは理念的な問題になりますので、省略いたします。
質問を終わります。
○委員長(荒木清寛君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○委員長(荒木清寛君) 速記を起こしてください。
─────────────
○委員長(荒木清寛君) 外国人登録法の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
両案の原案に対する質疑は去る五月十三日に終局いたしておりますが、外国人登録法の一部を改正する法律案の修正について服部三男雄君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。服部三男雄君。
○服部三男雄君 私は、ただいま議題となっております外国人登録法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び自由党を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより、その趣旨について御説明申し上げます。
第一は、入管特例法に定める特別永住者につきまして、外国人登録証明書の常時携帯義務に違反した場合の罰則を「二十万円以下の罰金」から「十万円以下の過料」に改めることでございます。
第二は、外国人登録証明書の常時携帯義務に違反した場合の罰則を過料に改めることに伴いまして、特別永住者が旅券等の携帯義務に違反した場合の罰則につきましても、「十万円以下の罰金」から「十万円以下の過料」に改めることでございます。
第三は、廃止前の日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法に基づく永住の許可を受けて在留していた者で、再入国の許可を受けることなく出国し、外国人登録法の一部を改正する法律の施行の日において入管法別表第二の上欄の在留資格をもって在留している者が、同日以降、入管法別表第二の上欄の永住者の在留資格をもって在留するに至ったときは、入管特例法に定める特別永住者とみなすことでございます。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(荒木清寛君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
三点お聞きしたいと思います。
外国人にのみ義務づけられている常時携帯義務につきましては、国際人権規約B規約などから大変批判されているところであります。なぜ外国人にのみ常時携帯義務を課しているのか私はわかりませんでした。この法務委員会においても明確な御答弁はなかったというふうに考えておりますが、なぜ今回この外登法の改正におきまして、非常に重要なかつ要望の強い外国人にのみ常時携帯義務を
課していることを撤廃してほしいということを盛り込まれなかったのでしょうか。
○服部三男雄君 外国人登録証明書の常時携帯制度につきましては、当委員会においてさまざまな議論がなされたところはよく承知しておりますが、一般的に申し上げれば、いわゆる即時性とお答えしておりますけれども、この制度には必要性、合理性があるものと信じております。
しかしながら、歴史的経緯等を有する特別永住者に対しましては、この義務違反につき刑事罰をもって臨むことは委員御指摘のとおりまことに酷に過ぎるものと考えまして、このたびその罰則を内国と同じ扱いということで十万円以下の過料という行政罰に軽減する修正案を出させていただいたということを御考慮いただいて、御理解を賜りたいと思います。
○福島瑞穂君 第二番目に、再入国許可制度の問題について御質問をしたいと思います。
外国人に義務づけられております再入国許可制度につきましても、なぜこれが必要なのか。この点につきましても、永住者、特別永住者については特に撤廃すべきであると国際人権規約B規約からも勧告を受けております。今回なぜ修正案にこれが盛り込まれなかったのでしょうか。
○服部三男雄君 再入国許可制度につきまして各委員から法務当局に対していろいろ御質問があり、答弁させていただいたところでございます。その際申し上げたとおりでございまして、その必要性、合理性につきましては十分あると考えております。
ただ、今後も世界の動向の変更がございましょうから、それに合わせて検討を続けていく必要があることは認めるにやぶさかでございませんけれども、現在のところは十分必要性、合理性があると考えております。そういうことでこのたびの修正案には盛り込まなかったのでございます。御理解を賜りたいと思います。
○福島瑞穂君 第三番目に、外国人登録法の登録事項なども問題ですが、今回特に盛り込んでいただきたかったのは、満十六歳から本人登録、外国人登録証明書の常時携帯義務などを課している。これは十六歳からで、やはり非常に低過ぎるのではないか。十八歳に引き上げてほしいと思っておりましたけれども、なぜこの十六歳、外国人登録法上の義務年齢の引き上げということは盛り込まれなかったのでしょうか。
○服部三男雄君 この点についても、当委員会で御議論があったことは十分承知しておりますが、諸外国との比較とか年齢を引き上げる必要性の理由とかいろいろ勘案いたしまして、今後十分検討はいたしますが、今国会においては盛り込まないように決めたわけでございます。
○福島瑞穂君 以上です。
○委員長(荒木清寛君) これより両案並びに修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○中村敦夫君 まず、外国人登録法の改正法案に関しまして、一部にわずかな改良が見られるものの、外登証の常時携帯義務の廃止という指紋押捺制度廃止に匹敵する重大テーマが今回見送られました。これでは不完全法案となりましたので、反対を表明いたします。
次に、入管法改正法案に関しましては、さらに拡大する二十一世紀の国際交流状況に対応するにはむしろ逆行的な改悪となるものであり、到底国際的批判にもたえられぬものでありますので、強く反対いたします。
いずれにせよ、この二法案は、過去の国会の附帯決議、国連規約人権委員会の勧告、そして今国会の法務委員会の質疑内容、圧倒的世論の主張を著しく軽視したものであり、人権の尊重よりも役所の利便性を優先する時代錯誤的内容となりました。
なお、附帯決議に関しましても、これまでの決議無視の経過を見る限り、その有効性、実効性に関し大きな疑問と不信を抱かざるを得ません。
したがって、この両法律案に対し、ごく近い将来、再び根本的な改正案が審議されることを強く希望し、討論を終わります。(発言する者あり)
○委員長(荒木清寛君) 傍聴席、御静粛に願います。
○橋本敦君 外国人登録法改正案は、外国人登録証の常時携帯義務が存続する点で私も問題と考えております。しかし、長年の課題であった指紋押捺制度が全廃される、こういう点で私は賛成をいたします。
また、修正案については、その第一と第二について、永住者と特別永住者を区別せず、永住者全体について刑事罰をなくすのが適当と考えるのでありますが、修正案は現状の改善にもなっておりますので賛成したいと思っております。
以上の点を指摘した上で、日本共産党を代表して、出入国管理及び難民認定法改正案に対して反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、不法在留罪の新設であります。
第一に、政府は、不法在留罪の新設について、不法在留している在日外国人に対して治安対策上の必要があるということを述べました。しかし、不法に入国、上陸している不法在留と言われる人たちが起こす犯罪件数は、二十七万と推定される人たちのうち毎年ごくわずかで、著しく増加しているという事実がないことは審議の中で明らかになりました。現行法の不法入国罪あるいは不法上陸罪と退去強制制度の上に新たに不法在留罪を新設することに具体的合理性がないことはこの点でも明白であります。
第二に、不法在留罪は、どの時点から果たしてその罪が既遂となるのか、また不法入国罪等との関係で罪数がどうなるのか、こういった点も含めて構成要件が不明確なままであります。
第三に、不法在留罪によって不法入国者はいつまでも刑事訴追の対象となり、不法入国罪の公訴時効制度を事実上否定する結果になります。公訴時効制度は近代刑法が確立してきた基本原則の一つでありまして、これを事実上無効にしてしまう点で重大な人権上の問題があると言わざるを得ません。
このような不法在留罪の新設は、参考人も述べたように、不法入国などに事実上抑止効果がないばかりか、在日外国人に対する人権侵害を起こしかねない、そういった問題を持っておるものであります。
反対理由の第二は、被退去強制者に対する上陸拒否期間の伸長であります。 現行法において、退去強制された者に対する再入国拒否期間は一年でありますが、法務大臣の裁量により実際には二年あるいは三年かかるということもあるわけであります。ですから、仮に悪質なケースがある、こういった場合においては現行法のもとであっても入国を認めなければよいわけであり、このような運用が裁量的に実際上できているのでありますから、拒否期間を法律上五年に延長しなければならないという合理的根拠はないと考えます。
問題となるのは、この期間の伸長によって関係者の家族の長期にわたる離散、あるいは離れ離れになって生活の侵害を受けるなど、人権侵害を助長するケースがふえるということであります。これは重大な問題であります。
この間の審議で法務大臣は、私の質問に対しても、家族的関係を結んだ在日外国人に対しては人道上から従来どおりの扱いをするという旨の答弁をされていますが、しかし、法務大臣に広範な裁量権がゆだねられたままでその扱いを担保する法的根拠がないという本改正案では、関係者の不安を到底取り除くことはできません。
根本問題は、在日外国人の皆さんをいつまでも管理、取り締まりの対象と見る日本政府の政策の問題でありまして、政府に、国際人権規約を尊重し、内外人平等の考え方、そしてまた在日外国人に対する一層の人権保障など、外国人とともに生きる国際社会に開かれた我が国の入管行政の転換を強く求めて、反対討論を終わります。
○福島瑞穂君 社民党を代表して発言をしたいと思います。
今回の入管法改悪案、そして外登法の改正が極めて不十分に終わったことは本当に残念であり、かつ激しい怒りを持っております。
去年、一九九八年十一月、規約人権委員会から、入管法、外登法に関してさまざまな点について改正をするように、四回目の審議の中で勧告が出ました。そして、前回の附帯決議もちゃんとあります。しかし、本当に残念ながら、今回、この法務委員会でそれを生かすことが全くできないばかりか、改悪案が成立しようとしているということに強い憤りを感じております。
社民党は、まず、入管法について、この改正については反対です。
この入管法改正について、立法理由、立法目的は何ら明らかにされておりません。犯罪がふえているということを立法理由として挙げられておりますけれども、それは十分立証されてはおりません。むしろ、そうではないのではないかというふうにも言われております。
それから、先ほども同僚の委員からも発言がありましたけれども、不法在留罪は、まず第一に構成要件が不明確です。第二番目に、いつまでも時効が成立しないという大変厳しい犯罪です。日本はアムネスティ、合法的釈放の制度を持っておりませんから、外国人はこの不法在留罪に常におびえながら生きていかなければならない。より悪くなる重罰の傾向だと思います。第三番目に、日本で恋愛をしたり結婚をしたり子供が生まれたり、そういう人たちにとって不法在留罪が本当に厳しくのしかかるということについて問題をやはり主張したいというふうに考えます。
そして、再入国拒否期間の延長も、日本の中で家族を持とうとしている、持った人たちについてすさまじい圧迫になるということを申し上げたいというふうに思います。
今回の入管法改正案は重罰化ということのみを盛っております。入管法は、御存じのように出入国管理及び難民認定法という法律です。外国人の出入りの管理のための法律である。外国人は常に管理の対象と考えられ、人権の保障の対象とは全く考えられていない。残念ながら日本には外国人を人権の保障の対象と考える包括的な立法は今のところないというふうに思います。外国人を管理の対象と見るこの法律をより強化していく、より犯罪者と見ていくこの入管法改正には絶対に賛成することはできません。
そして、外登法の改正について申し上げたいと思います。
もちろん、指紋押捺の撤廃、そして行政罰に変わったという点などは大変評価できるところだと思います。住民基本台帳法に比べて刑罰が非常に不均衡であるということはこの法務委員会でも大変問題になりましたから、もちろんこの改正案には評価すべき点はあるというふうに思います。
ただ、規約人権委員会あるいは前回の附帯決議、そして外国人、国民の強い要望であった外国人の常時携帯義務の撤廃、再入国許可制度の撤廃、あるいは登録事項の見直し、そして子供にこういう義務を課すことの深刻さ、せめて登録の義務年齢を引き上げてほしい、そういうことは全く盛り込まれておりません。
何度も何度も勧告を受けながら、せめて永住者、特別永住者についてだけでも常時携帯義務を撤廃していただきたかったと思います。
自国民には常時携帯義務を課さず血統主義を採用し、かつ植民地出身者の二世、三世の人まで常時携帯義務を課している国はあるのかという質問に対して明確な答弁はいただけなかったと思います。日本が非常にそういう意味では特殊な国で、人権を大事にしないということは残念ながら今回の改正でも明らかになったと思います。
ただし、外登法は評価すべき、つまり改悪の部分はなく、こちらが主張したことは大部分盛り込まれなかったけれども、盛り込んでいただいた点もありますので、これには反対ではなく賛成ということで社民党は考えております。
○委員長(荒木清寛君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより両案について順次採決を行います。
外国人登録法の一部を改正する法律案について採決を行います。
まず、服部君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、服部君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
次に、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の採決を行いま
す。
本案に賛成の方の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、円より子君から発言を求められておりますので、これを許します。円より子君。
○円より子君 私は、ただいま可決されました外国人登録法の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
外国人登録法の一部を改正する法律案並びに出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の諸点について格段の努力をすべきである。
一 今回の改正により指紋押なつ制度が全廃されるに至った経緯にかんがみ、指紋押なつ拒否を理由に在留資格において著しい不利益を受けている外国人に対し、その不利益を除去するための措置を速やかに検討すること。
二 永住者に外国人登録証の常時携帯を義務づける必要性、合理性について十分な検証を行い、同制度の抜本的な見直しを検討すること。とりわけ特別永住者に対しては、その歴史的経緯等が十分考慮されなければならない。
三 特別永住者の外国人登録証常時携帯義務違反に対する罰則の適用に当たっては、改正により刑事罰の対象から除外された趣旨を踏まえ、違反者に対する行政罰についても、その運用は抑制的であらねばならず、いやしくも濫用にわたることのないよう努めること。
四 本邦在留の外国人に対する行政の在り方にかかわる内外の諸情勢の推移を踏まえ、外国人登録事項、登録証の更新切替期間、登録原票等の公開をはじめとする外国人登録制度の在り方について、制度の見直しを検討すること。
五 特別永住者に対しては、その在留資格が法定されるに至った歴史的経緯等を十分考慮し、再入国許可制度の在り方について検討するとともに、運用については、人権上適切な配慮をすること。
六 退去強制者の上陸拒否期間の延長、不法在留罪の新設等に伴い、退去強制手続、上陸特別許可、在留資格認定証明書の交付、在留特別許可等の各制度の運用に当たっては、当該外国人の在留中に生じた家族的結合等の実情を十分考慮すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(荒木清寛君) ただいま円君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、円君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、陣内法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。陣内法務大臣。
○国務大臣(陣内孝雄君) 外国人登録法の一部を改正する法律案並びに出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきまして、委員の皆様方に熱心に御審議いただき、ただいま可決されたことに対し、心からお礼を申し上げます。
なお、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも努力を重ねていく所存でございます。
○委員長(荒木清寛君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────
○委員長(荒木清寛君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
司法制度改革審議会設置法案の審査のため、来る二十五日の委員会に参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認めます。
なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じます
が、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十六分散会
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145 参 法務委員会 11 1999/05/18
○参考人(飯室勝彦君) 飯室でございます。
それでは、時間が限られておりますので、単刀直入に意見を申し上げたいと思います。
私は一九六〇年代に新聞記者になりまして、その後半から、濃淡あるいは遠近の差はありますけれどもずっと司法というものを眺めてまいりました。
その結論として申し上げますと、やっぱり日本の司法というのは十分機能を発揮していないのではないか。言葉は悪いかもしれませんけれども、既にもう制度疲労を起こしているのではないかというのが私の印象であります。そういう意味で司法の抜本的改革ということは必要だと思っておりますので、こうした審議会を設けてフランクな議論をするということは大変時宜を得たものだと思います。
司法の役割というのはいろいろあると思うんですけれども、例えば三つだけ挙げてみましょう。紛争解決の役割という問題があります。それから人権を守るとりでという役割もあると思います。それから立法と行政をチェックするという大事な役割もあります。このいずれも十分機能を果たしているとは思いません。
紛争解決の問題に関しましては、詳しく言うまでもないでしょうけれども、民事訴訟が長過ぎる、手間がかかり過ぎるということがよく言われております。民事に限らず刑事でも、それぞれの裁判、裁判官も弁護士さんもあるいは検事さんも皆さん自分の良心に従って精いっぱい頑張っておられるんですけれども、もう良心と頑張りというだけでは解決しない問題なのではないかというのが私の印象です。
審理期間というのは、確かに民訴法を改正したり、それから裁判所と弁護士会がフランクに話し合ったりして短縮する努力を大変続けられております。
しかし、その一方で、当事者の方から不満が起きてきているのは、訴訟が合理化されているのではないか、もっと言い分を聞いてくれてもいいんではないかという声です。
例えば、訴訟百件当たりの証人とか本人尋問の数というのを比べてみますと、地方裁判所の場合には一九八六年には百十人調べていました。百件当たり百十人です。ところが、九五年になりますと八十三・五人というふうに減っています。忙しいし、大体心証がとれればもうこれ以上は要らないという形で、申請してもけられるというケースが非常に当事者の不満になっているようです。
裁判を我々の取材活動に例えるのはちょっと不謹慎かもしれませんけれども、私たちでも忙しいときにはそういう取材活動をします。ある種の想定をして、ある種の質問をして、それで納得してしまう。ところが、若干時間があって、その後むだだと思いながらもいろいろ話を聞いていると、そっちの方に珠玉の真実が見つかるという場合があるんです。
だから、裁判の場合にもそういう当事者が余裕を持ってやれるという体制をつくる必要があるのではないかと思っております。
しかし、これは裁判官だけを責められませんで、弁護士さんもやっぱり忙し過ぎます。ある弁護士会で弁護士さんに開廷間隔はどのぐらいが望ましいかというアンケートをとった。開廷間隔というのは、つまり次の法廷を開くまでの間隔です。弁護士さんの不満は、私の経験では三カ月待たされたとか二カ月待たされたとか長過ぎるという不満をもちろん言うんですけれども、それじゃどのくらいがいいか、望ましい開廷間隔で一番多い答えは一カ月です。これは市民の感覚からいいますと、きょう裁判をやって一カ月先でなきゃ期日が入らないというのはとても適当な間隔だとは思えません。しかし、弁護士さんも忙しいからそのぐらいの間隔でないと仕事が成り立たないんです、一遍にたくさんの事件を引き受けていますから。ですから、これはやっぱり制度上の問題が多分にあるんだろうと思うんです。
それから、検察官も忙しいですから非常に綱渡りの仕事をされておられます。特捜部で大事件があれば地方から応援に行かざるを得ない、そうするとその地方は穴があいて大変だというような場合もあります。
最近有名になった隼君事件というのがありましたね。交通事故で捜査を十分やらないで不起訴にしちゃって、両親のアピールで起訴し直したという事件。あれなんかも、副検事が転任間際だから後の人に仕事を残していきたくないということで、十分捜査をしないまま起訴しないでいって後で問題になったケースです。こ
れも僕はやっぱり多忙が一つの理由になっていると思います。
逆に、多忙で冤罪になった交通事故もあります。これはあの有名な新潟の遠藤さん事件というんですが、ひき逃げ事件です。新潟でひき逃げ事件が起こりまして、遠藤さんという被告が起訴されて、ずっと無実を訴えたんですけれども有罪で来まして、最高裁がちょっとこの有罪判決はおかしいと言って、何と交通事故で最高裁自身が破棄自判するという異例な事件です。
これも調べてみますと、担当副検事が転任間際で忙しいものですから被疑者を調べないで起訴していったんです。そういうものですから、やっぱり人的に十分体制がとれていないのではないかということが一点あります。
人権のとりでという問題は、これもまた言うまでもないと思うんですけれども、今刑事裁判の七割は国選弁護です。つまり、起訴されて裁判になっても自分の費用で弁護士を雇える人は三割しかいないんです。そうしますと、捜査段階は国選弁護はありませんから、私選で弁護人をつける人なんというのは恐らく一割いないだろうと思います。
日弁連が当番弁護士制度というのをやっておりまして、当番弁護士の派遣数がやっと今逮捕者の一割になったところです。ですけれども、当番弁護士が飛んでいっても全部頼むわけじゃありませんから、到底一割も弁護人がついていません。
それから、民事訴訟の面でいいましても、法律扶助は今のところ法律がありませんから、具体的な数字を忘れましたけれども、国の扶助は数億ですね。しかも数年前までは法律相談に関して国の補助金を使っちゃいけないという制度になっていた。やっと国、政府もわかってきて法律相談にも補助金を使っていいよという段階になってきたんですけれども、これはまだまだです。
それから、立法、行政のチェックというのは、これはよく言われるんですけれども、違憲判決がほとんどない、そもそも憲法判断を裁判所がなるべく避けようとされるという問題がある。衆議院の定数訴訟が十対五で割れていますけれども、あの状態は経済同友会でさえこんなことでいいのかということを意見書に書いておられるわけです。こういう状況を見てきますと、やっぱり司法制度は抜本的に改革する必要があるのではないかというのが私の意見です。
さて、そうしますと改革の方向はどうあるべきかという問題が次の問題になります。
第一に申し上げたいことは、特定のグループや特定の利益代表のための改革であってはならないということはもう一番大事だと思います。声の大きい人の利益になるような改革じゃなくて、声を出しようにも出せない人たちの意向を十分くみ上げた改革の論議をしなければいけないというのが大事だと思います。
それから第二の大事な点は、紛争の早期解決ということだけに目を奪われた改革であってはいけないと思います。早期解決ということだけを目指しますと、それについていけない社会的な弱者だとか弁護士を十分雇えない経済的な弱者という人の人権を十分守れない改革になりかねない。逆に言うと、弱肉強食を手助けするための司法になりかねない。ここもやっぱり警戒しなければいけない点だと思います。ですから、もちろん紛争の早期解決も大事ですけれども、最も大事なのは人権を守るために司法はどうあるべきかという視点だろうと思います。
それから第三点ですけれども、規制緩和の時代だから司法も規制緩和すべきだという議論は僕は間違いだと思います。しかし、その一方で、一部の方々がおっしゃっているように、今起きている司法改革論議は司法の規制緩和論議だからくみしてはいけないという議論も間違っていると思います。今起きている司法改革の背景には、司法を改革してほしいという広範な国民の声があるはずです。ですから、司法の規制緩和をねらった改革論議だからくみしちゃいけないという議論じゃなくて、規制緩和のために司法を改革するんだというせっかちな議論には十分反論すればいいわけですから、国民のためになる司法をつくるという議論には十分参画しなければいけないと思います。
よく言われていることですけれども、経済社会の規制緩和とか自由化という問題が起こりますと、紛争はふえざるを得ません。そうなると今の司法の体制では僕は十分機能できないと思いますから、これはそのためにも司法改革はしっかりまじめにやっていかなければいけない、司法を充実するということを議論しなければいけないと思います。
そうなりますと、改革論議の柱は何だろうなというのが僕の次の問題意識になるんですけれども、僕は二つ考えております。第一は、市民が利用しやすく頼りにできる司法の実現ということだろうと思います。それから二番目は、民意が反映する司法というものだろうと思います。
第一番目の市民が利用しやすい司法ということで言いますと、具体的にはやっぱり法曹人口を拡大しなければいけません。一部の方がおっしゃっているように、司法試験の合格者をすぐ二千人にしろとか三千人にしろとかいうのは乱暴ですけれども、ずっと情勢を見ながら順次ふやしていくことは絶対欠かせないと思います。
日弁連は現に今、被疑者国選弁護制度というのをつくろうとしていろいろ努力されていますけれども、田舎に行くと弁護士さんがいません。しかし、その田舎にも警察はありますから被疑者は捕まるわけです。弁護士さんがいないところで被疑者が捕まっても被疑者弁護制度はできません。当番弁護士の場合は、北海道なんかは大変弁護士さんが努力して、ボランティアで吹雪の中を何十キロも走って面会には行っておられるようですけれども、被疑者国選となりますとそれが何万人と要請があるわけですから、今の情勢ではとてもやり切れないと思います。ですから、法曹人口の拡大は絶対に欠かせないと思います。
もちろん裁判官とか検察官もふやさなければいけませんけれども、しかし裁判官と検察官がふえたら弁護士もふやそうという消極的な姿勢じゃなくて、まずとにかくふやしていこうという姿勢を示すことが大事だろうと思います。
それから二番目は、司法予算の拡大による人的、物的な司法の仕組みの充実であります。これはもう言うまでもないと思います。
それから、具体的な三番目は、被疑者国選弁護制度を含めた法律扶助制度の充実ということだろうと思います。今、法律扶助に関しましては法律をつくるということで話し合いが随分進展しているようですけれども、被疑者弁護に関してはなかなか難しいようです。確かに捜査と弁護の対立という問題がありますから簡単にはいかないと思いますけれども、これもぜひ十分な議論をして実現していただきたいと思います。
それから、二番目の柱の民意が反映する司法という問題ですけれども、これは僕はやっぱり▼陪審制度の復活と法曹一元だろうと思います。戦前の▼陪審が全然国民に好まれなかったという意見が一部にあるんですけれども、私は若干違っておりまして、日本人もしっかりやっていけるという自信を持っております。
それから、法曹一元というのは臨時司法制度調査会でまだ時期尚早だということで棚上げになっているわけですけれども、あそこで条件とされた項目の幾つかはクリアされたかあるいはクリアされつつあるのではないかという気がいたします。法曹一元とすることによって、司法試験の合格からすぐ裁判官になって、そんなことを言ったら大変失礼ですけれども、多彩な社会生活を余り経験されないまま多彩な社会事象を裁くということはやっぱり偏った判断が生まれやすいと思います。十分世情を経験した方が裁判官になることによって当事者が納得する裁判がもっともっとふえるんではないかと思っております。
以上が私の申し上げたいことですけれども、今言ったようなことをよく考えてみますと、衆議院の法案修正と附帯決議には大体僕の考えに近いようなことを衆議院の先生方がつけていただきましたので、僕自身は衆議院の修正と附帯決議は大変立派なものだと思っております。
以上でございます。
○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。
次に、小島参考人にお願いいたします。小島参考人。
○参考人(小島武司君) 私も飯室参考人のよき先例に従いまして、最初から本題に入ってお話し申し上げたいと思います。
私は、一九七〇年代の初めからフィレンツェを中心にする正義へのアクセスプロジェクトというものにかかわる機会がございまして、これは本当の意味で私が仰ぎ見るような欧米の法律界の碩学の集まった賢人会議みたいな様相を呈しておりまして、司法の現状における問題点を特定してそれに対する改革の大きなビジョンを立てようという国際共同研究でございました。
その中のキーコンセプトは何かと申しますと、そのプロジェクトの名の示すように、ユニバーサル・アクセス・ツー・ジャスティスということでございます。ユニバーサルというのは二つの意味がございます。国内のすべての人々に正義へのチャンスを与えるということと同時に、いよいよ重要な意味を持っている第二の含意といたしまして、グローバルな意味でもこれを保障するということでございます。
それから、法へのアクセスと言わず正義と言ったことも非常に深い意味がございます。単に現行法というものを意味しないで、本当の究極的な法の価値を目指した流動的、発展的な法というものに人々が参画できるようにしなければならない、そういうことを意味しております。
私は、この研究会に二十年以上にわたって出てまいりまして、私のいろいろな理論的な成長はこの研究会に負うところが多いわけでございますが、日本人としてこれを眺めておりまして、これはアカデミックなドリームだ、しょせん夢にしかすぎないというような感慨を常に持っておりました。そのことはつい最近まで変わらなかったように思います。ところが、九〇年代になりまして急に新しい潮流が出てまいりました。そして、このようなキーコンセプトは単なるアカデミックドリームではない。日本の社会にあるいは根づいて、日本の社会の本流になるのではないかという一つの期待を持つようになったわけでございます。
そういう点で、今度、司法制度改革審議会設置法案が御審議されておりまして、その中で幅広い基本的な我が国の正義に関するシステムの総合的な変革を目指す動きが出てきたことに、私は深い敬意とともに大変大きな喜びを感ずるわけでございます。
それが私の基本的な認識でございますけれども、これを前提にして私は具体的な問題として三つの点を取り上げたいと存じます。そして、もし時間がございましたらもう一つ国際的な側面のこと、三つは国内の側面でございますけれども、もう一つ国際的な側面のことを申し上げてみたい、そういうふうに考えております。
まず、国内的な側面の第一は、紛争解決システムの改革でございます。
紛争解決のためには、二つの局面がございます。訴訟と訴訟以外。この訴訟以外の紛争解決方法を代替的紛争解決方法と呼びまして、最近ではADRと呼んでおります。このADRと訴訟がともにうまく連動し合って一国の正義の理想、普遍化の理想が達成されるというのが新しくほぼ学会に世界的に定着した考え方かと思います。もちろん、国際的に見ますと、アメリカは訴訟に重点を置き、ドイツももっと純粋な形でこれに重点を置いています。日本はむしろADRに重点を置いた国でございますが、大きな流れがその中間に向かって動いているというふうに思います。
そして、正義の総量を拡大しようといたしますと、どうしても訴訟だけではこれは賄い切れない、ADRが必要になるということで、両者が役割分担をすることによって目的を達成するということになろうかと思います。両者はそれぞれ違った特性を持っております。訴訟に対してADRは、三つの標語がよく言われますけれども、デリーガリゼーション、インフォーマリゼーション、デプロフェッショナリゼーションというようなことが言われるわけですが、そういう使いやすいという面がございます。でも、使いやすいというだけではない、非常に重要な不可欠の要素としてADRが存在するということも認識してよいのではないかと思います。
いずれにせよ、この二つの方法、基本的な方法を通じて正義の総量を最大化する。別の言葉で申しますと、規制緩和社会における事後監視・救済を徹底することができるということになろうかと思います。
この二つの関係について、当然これまで一般に言われてきたものとして、今申しましたように増大する司法ニーズというものを両者で分担して賄っていく、言いかえれば裁判所の負担過剰をこれによって補っていく、そういう側面があろうと思います。しかし、これは消極的な物の見方だと思います。私は、このシステムの変革というのはむしろ積極的な意味を持っているのではないかと思います。
第一に、両者が多元なルートを開くことによって従来のアクセス可能な救済というものが飛躍的に拡大いたします。今までよりもより多様な人々、より多様な事件が救済を受けられるようになるというので、むしろ拡大機能がそこにあるということかと思います。
それからもう一つ、第二に、これを通じて、司法がややもすれば硬直な基準を使用して退嬰的になりやすいというものが、合意を中核とするADRの新しいフレッシュな感覚に基づくより豊かな正義が常に法というものを新鮮に活性化していき、豊かなよりレスポンシブルなものにしていく、そういう機能があるのではないかと思います。
そういう意味で、ADRの進展というのは積極的な意味があるのではないか。そういう意味で、我が国の従来伝統的に盛んに行われてきました調停なども本当の意味で生かしていくべきであろうと思いますし、新たに仲裁、とりわけ国際仲裁の活性化というのが大きい意味、深い意味を持っているのではないかと思います。
もちろん、こういうシステムが全体として働くためには絶対不可欠の幾つかの条件がございます。もしこの条件がないならば、こういうシステムはむしろ弊害を生みかねない。いわば、まあまあ調停とかあるいは泣き寝入りという言葉と連動してくることになりかねないと思います。
そこで、幾つかの条件のうち一つを申し上げておきたいと思いますが、それは司法というものが本格的に対等な当事者によって争われ、公正な手続のもとで明晰な明快な法を定立していくということだと思います。この点で我が国の司法にはこれまで欠けてきている面があるのではなかろうかと思います。
なぜ欠けてくるかというのは、一つこれは裁判所の体制の問題もあろうかと思いますが、やはりそれだけ刺激を与えるような事件が裁判所に入り込んでこなかったというところに問題があろうかと思います。言うなれば、事件がワンパターン化して多様な事件が裁判所に入ってこないような現実的制約があった。
これにもたくさんの制約がございますけれども、その最大のものの一つとして、法律扶助の未整備ということがあろうかと思います。そして、これを支える弁護士活動の画一的傾向というのがあろうかと思います。そこが是正されなければならない。これはいろいろな問題がありますので、これ以上入らないことにいたします。
そこで、今の話から第二のテーマ、弁護士活動の活性化ということに触れておきたいと思います。
このようなシステムができてまいりますと、そのシステムの初めは弁護士事務所の扉から始まります。弁護士事務所が開かれていなければこのすべてのシステムは瓦解していくわけでございます。アクセシブルな弁護士というのがまず要諦でございます。そういう意味で、弁護士の十分な数量ということは重要でございますが、それの前提としてより重要なこととして、弁護士の力量の充実ということがあろうかと思います。
弁護士の力量としては、訴訟の場における弁論能力、論争能力ということが重要なものとして意識されて、我が国の教育の根本とされてまいりました。この重要性は言うまでもありませんが、さらに、ADRの場面になりますと、調整能力、いたずらに議論を紛糾させないで事柄の真相を見きわめこれに対して創造的な取り組みをする、こういう点の能力において現在の弁護活動は十分でないということが指摘されております。これは学校教育の問題にかかわってまいるかと思います。
それから、このようなシステムの紛争解決の話をいたしましたが、その根底にもう一つ相対交渉というのがございます。これは、第三者がかかわらないで当事者相互で交渉する、あるいは当事者双方にそれぞれ弁護士がついて活動する、交渉をするという局面、これは二面的な紛争解決の局面ですが、これを相対交渉といいますけれども、この中で交渉の力量というのが非常に大切になってまいります。
従来の交渉のモデルというのは、訴訟を念頭に置いた対決論争型あるいは対決抗争型モデルということで弁護士業務が展開されてきたということが指摘されております。しかしながら、交渉というのはそういうものにとどまってはならない。そこで、新しいモデルとして言われるものが統合的交渉とかあるいは問題解決型交渉ということでございます。
抽象論ばかり申し上げてあれですので一つ例を申し上げますと、これは法的紛争とは言えませんけれども、夫と妻がけんかになった、夫はバカンスに海で泳ぎたい、妻は山で読書でもしたい、そういうことで意見が対立した。このとき、これがお互いに争ったら、ゼロサムゲームで、どっちか勝った方は一〇〇%満足をし他方はゼロということになりかねないわけでございます。ところが、もしこの場合に夫婦が山の湖に行こうとすれば、夫は幸福に泳ぎ、妻は静かな山の空気を吸うことができるわけで、両方の満足度は一八〇%を超えてくるのではないか。
これが新しい交渉のシステムで、こういうものはあらゆる交渉についてこういう満足度を一〇〇と考えて、それを分けて五〇、五〇にするという愚かな解決ではなくて、両方の満足度を五〇以上に上げて、できれば両方全部満足して一〇〇%ずつにする。そういうことが例として言われるわけですけれども、そういう交渉の技術というようなものを高めていく必要があるのではないかと思います。
それから、三番目の法学教育でございますけれども、こういうふうになってまいりますと、必然的に法学教育、それに続く法曹養成制度の抜本的な改革が必要になってくるのではないかと思います。特に、法曹の数を下げれば、今の制度を前提とする限り、質的な低下は必然でございます。しかも、優秀な上積みの人に
ついて見ても、能力の画一的、限定性という病弊は明らかでございます。どうしてもシステムそのものの変革が必要になってくるのではないかと思います。
これまで司法試験制度を念頭に置いてその改革ということが関係者の努力で行われてまいりましたが、しょせんこれは敗北者のゲームであろうと思います。つまり、限られた出口のない局面で改革をしても、一つ前進すれば他がへこんで、結局大した前進にはならないというのが如実にここのところ明らかになってきているのではないかと思います。大切なのは、我々のよって立つ基盤、土俵を変えることではないかと思います。それが大学審議会が出しましたロースクールなどを例とする特化大学院の構想ということでございます。
もちろん、従来のシステムを全く変えてこれに一本化するということには現実的でないという面があろうかと思います。両者をどう組み合わせて、しかし我が国にとってどうしても必要な本質的な人材をどう育成していくかを真剣に探るべきだと考えております。
そのためには、まず司法養成の基盤を試験からプロセスに変えなきゃならない。つまり、よき大学院教育の中ですぐれた人材を養成していく、そしてそこで鍛え上げられた人材は七、八割は合格するというふうにしていく必要があるのではないか。このことをしない限り、我が国の制度は非公式教育、つまり予備校による司法官、法曹養成ということに必然的に行き着かざるを得ない。このプロセスを抜本的に変えていかなければならないのではないかと思います。それによって多元的な能力を有するすぐれた法曹が生まれてくるのではないか、そういうふうに思うわけでございます。
我が国の法曹の問題点というのは、例えば最近国会でも御審議いただいた外弁法の審議や立案の過程におきまして識者が痛感させられたことだと思います。要するに、我が国の法曹が国際的競争力を持たない。これは我が国だけではなくてドイツについても同様のことが指摘されております。何とか国際社会で我が国の人材が活用できるようにするためには、このような点の抜本的な改革が必要であるということがコンセンサスになりつつあるのではないかと思います。
もう私の持ち時間がほぼ尽きているかと思いますが、最後に、このようなシステムの変革というのはグローバルな変革に結びつかなければならないと思います。そして、そのために日本の法曹も国際貢献していくということが何よりも必要なことかと思います。これを通じて我が国の制度が一層よくなっていく、洞察力が得られるのではないかと思います。
そういうことで、今具体的に項目だけ挙げて終わりにいたしますが、従来考えられなかったようなことが幾つか起こっております。
一つは、弁護士の国際的相互乗り入れということであります。これが訴訟の場では限定されておりますが、交渉の場では進展し、国際仲裁の場では全面的に開放される方向に動いております。
さらに、司法の心臓部、つまり訴訟法についても、渉外事件についてはこれを国際的に共通化しようという世界的な運動が去年の暮れから展開され始めております。私も、アメリカン・ロー・インスティテュートという、これはアメリカ最大の組織でございまして、連邦最高裁判所の全判事、高裁長官全員を含む三千を超える法律家が結集して法の改革をしている団体でございますが、それと協力しまして、日本でも国際会議を六月上旬に開くことになっております。ここで全世界の法律家が討議しながら、国際事件を対象とする訴訟法というものをハーモナイズしていこうと。アメリカも▼陪審というようなものあるいはディスカバリーというようなものを非常に限定してくる、また大陸法の諸国もこれに呼応してそのシステムを近づけていく、そういうようなことが進展しております。
以上のことから、司法制度改革がその成果を上げますよう私は強く期待している次第でございます。
ありがとうございました。
(○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。
次に、畑参考人にお願いいたします。畑参考人。
(5/28) 次の分割内容へ
○橋本敦君 それに関連して、飯室さんの先ほどのお話の中で、憲法判断を避ける傾向があるということを今後検討すべき観点の一つとしておっしゃいまして、それは私もなるほどそうだという感じがするんです。
一般的には、裁判所は憲法の番人ということが国民的には言われているわけですが、案外憲法判断をおっしゃるとおり避ける傾向もあるし、なかなか違憲判断というのが容易なことでは出てこないという現状にもある。そういったこともありまして、おっしゃる違憲判断を避ける傾向というのも、やっぱりそういった裁判官の養成システム、あるいは現在の司法制度の中で国民との気持ちが通うシステムが基本的にはなかなかないということが一つの原因なのか、そこらあたりはどうお考えでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) それは、先ほど申し上げましたシステムの問題もあるかと思いますけれども、もう一つ、感覚の問題だけではなくて、今の裁判官の任用制度は基本的に国民的な基盤に立った任用の仕方ではありませんので、裁判官が非常に謙虚になっておられまして、おれたちは国民的基盤に立っていないのにそんなドラスチックなことを言っていいのかいというどうも雰囲気があるように思われます。
○橋本敦君 そういうことで、先ほどもそれをやっぱり克服していく一つのシステムとして▼陪審制度の復活あるいは法曹一元というお話もあったんだと思うんです。
▼陪審制度の復活あるいは▲参審制ということがよく言われておるんですが、この▼陪審制度の復活、▲参審制ということが今度の司法改革の中の柱でぜひ検討されるべきだと思いますが、これが復活ということに対してどのような御期待を持っていらっしゃいますでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) 私は選択的▼陪審論者でして、一定の罪に関しては被告人の意思によって▼陪審裁判を選択できるようにしたらいいのではないかという意見を持っております。日本人もこれを十分やっていけると思っています。それの一つの例証は、検察審査会は大変立派な業績を上げておられますし、大変まじめに取り組んでおられますから、それの負担は大変でしょうけれども、僕は日本人は十分やっていけると思っております。
○橋本敦君 もう一つ、最後に飯室参考人の御意見を伺っておきたいのは、今後の司法改革についてもやっぱり広い国民の声が反映されるということが大事だというお話でございまして、まさに私はそれは国民のための司法という観点からも大事だと思うんです。
その一つとして、今度できる審議会の審議のプロセス、そこで一つは、審議の公開性ということが問われるのではないか。それからもう一つは、国民の多様な意見を反映させる方法として、立派な方が任用されることはもちろん基本ですが、その審議のプロセスで国民各界各層の意見を積極的に吸収するといったような審議方式を確立すべきだというように私は思っておるんですが、そこらあたりの御意見はいかがでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) 全くそのとおりだと思います。ですから、議事はリアルタイムで僕は公開してほしいと思っております。
○橋本敦君 ありがとうございました。
次に、小島参考人にお伺いさせていただきたいと思いますが、要するに、ADRの問題にせよ、それからまた紛争解決の合理的なシステムの発展ということにせよ、弁護士事務所が開かれた弁護士事務所であることが大事だということと、それからもう一つは、法律扶助制度の整備が重要だというお話がございました。私も弁護士の一人なんですが、全くその点は同感ですし、みずからもいろいろ考えねばならぬ、こう思っております。
その場合に、やっぱりインフラ整備ということで、法曹人口の増大ということが一つと、それからもう一つは司法予算の拡大ということで、国民が利用しやすい司法制度をつくるということが背景にないと、弁護士事務所へのアクセスもなかなかそう簡単にいかないということがありますので、おっしゃる点は私は、法律扶助制度の整備、それから司法予算の増大ということと一体として進めるべき課題かなと思って伺ったんですが、その点はいかがでしょうか。
○参考人(小島武司君) 今の御意見のとおりでございます。全体的に今御指摘のようなところも含めて考えていきませんと、改革はアイデアだけで実効性を持たないと思います。
○橋本敦君 もう一点お伺いしたいことは、先生のおっしゃる要するに紛争解決の新システムとしてもう一つ訴訟の問題がございますね、ADRのお話がございました。訴訟の問題の今後の改善課題としてはどういう点が重要なのかということになりますと、その点は具体的にはどういうことをお考えいただいておりますでしょうか。
○参考人(小島武司君) 全体的なシステムを考える場合に、そのシステムに一つの筋を通すといいますか、基準、基調を設定するのは、裁判所が訴訟を通じて下す判決でございますから、その手続がどうであるか、裁判官がどのようにして任用されるか、これは大変重要なことだと思います。
私の専門であります例えば訴訟手続について申しますと、今回、新しい民事訴訟法が成立しておりますけれども、やはりこれで手続法として十分であるかということは考えてみる必要があるのではないか。これは理論的にも実務的にも一つの考え方の極限に改正を進めましたので、これから先の改革というのは確かに大変な難しさがあると思いますけれども、これについて学界も、その他の分野でもチャレンジしてみる必要があるのではないかと思います。いわば法における先端研究というものを行うことによって、日本の社会におけるいろいろの障害、ハードルというものを克服していけば、さらなる手続の改善ということが可能になってくるのではないかと思います。
○橋本敦君 ありがとうございました。
最後に、畑参考人にお伺いしたいと思うんですが、長い裁判官としてのキャリア、そしてまた現在、弁護士として御活動いただいておるわけですけれども、判検交流という問題についての御意見をちょっとこの際伺っておきたいと思うんです。
といいますのは、国民から見ますと、裁判官と検察官が交流される、検察官の方で法務省にお入りになってお仕事なさった方がまた裁判所へお戻りになる、そういうことについて国民の中にある意味の不信感が起きてはいけないし、またあるのではないか。
そういう点で、この問題については、我々の感覚としては、本当に慎重にやるべき問題で、これがよく反省されないままなされているというところは問題があるのではないかなという気がしておるんですが、そこらあたり実務上の御経験からいかがお考えでしょうか。
○参考人(畑郁夫君) お答えします。
基本的には、法曹というのは裁判官、検察官、弁護士、いずれの立場も共通で、その立場立場に応じて職責を全うする、そういうのが現行法の体制でございまして、言うてみれば一元的な法曹養成制度もとっておるわけでございますから、基本的に制度上問題があるということはなかろうかと思っております。
ただ、御指摘のとおり、国民の不信感と言われること、そういう批判があることも承知しております。しかし、正確な数字は把握しておりませんが、あくまで研修目的というか、お互いがツーツーになっておるというような判検交流ではないと私は理解しておりまして、現段階では御指摘のような心配はないと思っております。
また、私は民事の方が専門でございますので一点申しますが、訟務検事というのがございまして、これは随分判事補等から出しております。これは弁護士になってから聞いたのでありますけれども、訟務検事経験をした裁判官の方がかえって国にきついという意見もありまして、これは別段統計的あるいは学問的調査をしたわけじゃございませんけれども、そういうこともございまして、御指摘の点は十分将来とも裁判所として留意されるべき問題だとは思いますが、現段階ではそういう現状認識を持っております。
○橋本敦君 最後に、もう時間がありませんので一点お伺いしたいのですが、畑参考人は実務修習の必要性といいますか、その成果というのを大変強調されまして、その点は私もよくわかるのですが、そういった実務修習ということが大事であるということに加えて、弁護士の中からやっぱり尊敬される法律家が裁判官になるというプロセスも大事だというお話がございました。
そういう点から見ると、やっぱり国民生活から隔離されない、国民の生活感覚あるいは国民の意見がよく経験的にも理念的にも反映される、そういった状況の中で裁判官が任命されるというシステムがどう合理的に構築されるかということがやっぱり課題だというように私は思うんです。それが法曹一元という形でどこまで具体的に進むか、これからの課題ですが、そういった方向性について、特に御経験上の御意見をさらに付加していただければお述べいただきたいと思います。
○参考人(畑郁夫君) 法曹養成の問題でございます。冒頭で申し上げたことに帰着するかと思うのですけれども、それではもうちょっとマクロにはどうなのかということだろうと思うんです。
この問題も、例えば弁護士会がどのように関与されるかということも非常に大切だと思っておりますし、大変結構なことだと私も思っております。しかし、それを制度論としてどうするかということは、ただいま問題意識として申し上げるほどのことを用意しておりませんけれども、ただ、問題はやはり全国的規模で弁護士会がどの程度対応できるか。東京、大阪は私は十分できるかと思うのですけれども、そういった問題点をきっちり整理して、踏まえてやるべきではないか、そのように思っております。
○橋本敦君 ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。きょうは本当にありがとうございます。
飯室参考人が社説に書いてある文章が非常におもしろかったのですが、
軸足の位置は微妙に異なります。日弁連は砦の強化に比重をかけ、財界は取引円滑化のために道具機能を重視し「安く使いやすい司法」を目指しているようにみえます。自民党は財界の期待を背負いながらも一般国民の視線も意識し、政治主導で改革することを主眼にしているようです。
つまり、同床異夢ではありませんが、司法改革で何を優先的にやっていくかということがかなり雑多になっているという気もします。
今回の司法改革の中で抜け落ちている視点も非常にあると思います。先ほど飯室参考人は、行政、立法のチェック、違憲審査権が余り機能していないということをおっしゃったと思います。衆議院の議論の中でも、例えば弱肉強食、市場原理に基づく自由競争、それから効率的サービス、こういう面からの実現のみが図られていて、真の司法の充実、民主化の強化、人権保障機能の強化という視点が欠落しているのではないかという議論が出ております。
それで、飯室参考人にお聞きしたいのですが、法以外に強者と闘うすべを持たない者にとっての最後のとりでという裁判の役割を考えたときに、違憲立法審査権の強化あるいは行政のチェックということを考えた場合に何を改革すべきでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) 今、特に行政訴訟に関しましては、行政訴訟法の改正という問題が盛んに議論されております。しかし、僕は改正だけではやっぱり解決しない問題だろうと思っています。
そんなことを裁判官の御経験者の前で申し上げるのは大変失礼ですけれども、官として生きてこられた方が官と民の争いを裁くということには、どうしても心情的にはやっぱり官にシンパシーを抱かざるを得ないでしょうし、それから、自分の判決の与える影響ということを考えますと、国民的基盤のなさということも考えますと、どうしてもそれは権力的にならざるを得ないでしょうから、僕はやっぱり基本的には裁判官の任用システムは一番の基本の問題だと思っております。
○福島瑞穂君 ありがとうございました。
橋本委員も聞かれたんですが、判検交流の問題はよくこの法務委員会でも問題になるんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) 判検交流を見ていますと、非常に広範にやりますね。僕は交流されておる裁判官も検事さんも何人か知り合いの方がいます。その方たちは個人的には非常にまじめに誠実に仕事に努力されております。もちろん、判検交流で行っているから出身母体に有利にしようとかそんなような姿勢はないと思います。
ただ、やっぱり最後は、畑先生もおっしゃっていましたけれども、国民の目というものが非常に大事だろうと思います。だから、最低限というより絶対やってはいけないことは、訟務検事をやっていた人が裁判官に戻ってまた行政裁判を担当する、これは絶対にやってはいけないことだと思います。
○福島瑞穂君 「日独裁判官物語」という映画がありますけれども、裁判官の市民的自由というのが日本とドイツで物すごく違うんだなということを示した映画だと思います。
裁判官の数をふやしたとしても、例えば寺西裁判官が集会のフロアできょう出れないと発言したことが懲戒処分になるような、そういう裁判官に市民的自由がない状況であれば、例えば法曹一元で裁判官になれと言われても、市民的自由のない裁判官にはなりたくないというふうに弁護士の多くは思うだろうと思います。そういう意味では、裁判官の市民的自由の改革というふうなことも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) 裁判官に市民的自由を与えなければいけないと思うのは全くそのとおりですけれども、制度が意識を規制するという要素もありまして、今の裁判官の意識の不自由さはやっぱり制度に規制されている部分が大分あると思います。常に昇級と次の転勤地はどこかなということを気にしているわけですから。その制度を設けている限りやっぱりどんなに数をふやしても自主規制は出るだろうと思うんです。
ですから、法曹一元にしてその垣根を取っ払えば、意識もかなり自由になりますし、もし締めつけようという上司がいたとしても、そうは締めつけられないのではないかと思います。
○福島瑞穂君 今回の司法制度改革の中でとても抜けている視点は、例えば刑事司法の改革、国際人権規約B規約などから、日本はこういう点を改善すべきだと。代用監獄の制度や自白を多くとる、自白の強要も場合によってはある、それは冤罪になることもあるといったさまざまな点がなぜか余りクローズアップされていないというふうに私は思っております。そういう点についてはいかがでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) 確かにそういう印象はありますけれども、それはこれから弁護士会なりその刑事事件に関心のある人たちが喚起していくべきテーマだろうと思います。
そもそも経団連というのは利益団体として自分たちの利益を主張しているわけですから、その人たちが刑事弁護の充実なんということを言うことを期待すること自体が間違っているわけでして、経団連が言わなかったことは弁護士会が言ってプッシュしていけばいいことだろうと思っています。ですから、経団連が言わないからけしからぬというのは的外れであって、言わないのが当たり前ではないか、こう私は考えています。
○福島瑞穂君 わかりました。
それから、今度の法案によりまして内閣に審議会が置かれるわけですけれども、確かにそこで十分に議論してもらう必要があるのですが、先ほど飯室参考人、行政、立法のチェックということを非常におっしゃったと思います。例えば、裁判官は行政の干渉を受けない、弁護士自身も外部からのさまざまなチェックを受けない、あるいは検察官も一体の原則がありますけれども、検察官一人一人の独立性がもっと保障されてもいいのではないかというふうに思うわけです。ですから、先ほどからいかに行政をチェックするか、行政チェック機能、行政監視機能ということをおっしゃっていらっしゃるわけなんですが、他面、司法をどうするかというのが、内閣に置かれるということについてはいかがですか。
○参考人(飯室勝彦君) 私はそういう仕組みに疎いものですから、内閣以外にこういう審議会を置く方法があるのかどうかということを僕はわからないんです。ですから、先生の方で例えばこういうシステムでここに置いたらいいじゃないかという具体的な御意見を挙げていただければ、なるほどといって考えることができるんですけれども、代替手段を僕は知らないものですから、ちょっと意見を申し上げられません。
○福島瑞穂君 国会の中に置いても問題はあるかもしれませんが、いろんなところで議論がされる、私が参考人みたいに答えるのはおかしいですね、申しわけありません。
それから、先ほど被疑者国選弁護制度のことをおっしゃったんですが、少年法などに取り組んでいる人たちの方から、例えば法律扶助制度においてどうも少年事件が漏れているようなので、例えば被疑者国選弁護制度の充実、それから法律扶助制度の充実の中で少年事件、少年法についても適用があるようにというようなことをぜひ入れてほしいということが言われているんですけれども、そういう点についてはいかがですか。
○参考人(飯室勝彦君) もちろん入ることも僕も理想だとは思いますけれども、現場を知っている人がよく議論をして、どういう優先順位をつけるかという議論だろうと思います。その場合に、やっぱりいろいろな事情から少年事件は次の段階にしようやという議論になるんでしたら、それは現場の人たちの判断が正しいのかなとも思いますし、そこも僕は現場は知らないものですから、入れることは理想だけれども、直ちにすぐ入れろということがちょっと言い切れないということです。
○福島瑞穂君 たくさんテーマがあるのを二年間でどれだけできるだろうかという気もちょっとするんです。
例えば、法律扶助の拡大や司法予算の増大、国選弁護制度の導入などは、その一部はよく法務委員会でも議論になりますし、先ほど大森さんからもあったように、司法予算の増大などはこの法務委員会でもよく取り上げられております。そういう意味で、内閣の審議会でなくても関係機関で協議を進めればいいというふうにも思うんですけれども、この審議会のプライオリティーとして、何を優先的に議論すべきだとお思いでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) まず、当面はやっぱり司法予算の飛躍的充実だろうと思います。まず、すぐできることということを念頭に置きまして。
○福島瑞穂君 それからほかには。
○参考人(飯室勝彦君) それから法曹人口の増大だと思います。もちろんこれはすぐ三千人にしろとか何とかということじゃありません。
○福島瑞穂君 それでどうしたどうした、松島みたいであれですが、ほかにありますか。
○参考人(飯室勝彦君) 当面、僕が絶対真っ先にやれと思われる、もちろん法律扶助は最優先ですね。しかし、そこは、あそこの議論はしないにしても、法律扶助法はどうも制定できそうな雰囲気ですから。法律扶助はもちろん入れなければいけないと思います。
○福島瑞穂君 では最後に、ちょっと振り出しで、一番初めに聞いた質問の繰り返しになって申しわけないんですが、行政のチェックということを考えたときに、確かに裁判官は民主的基盤を持ちませんけれども、違憲立法審査権というのがあるわけですし、アメリカ、ドイツなどでは公共事業の差しとめなども裁判官が立法、行政とけんかしてもやるというようなことがあります。
そういう意味では、行政、立法のチェックということで、こういうことをやればもっと変わるんじゃないかということについて、もうちょっとお聞かせ願えますでしょうか。
○参考人(飯室勝彦君) こういうことをやれば変わるかと聞かれると、私もすぐ思いつきませんけれども、ただ、逆説的な言い方をしますけれども、もっと弁護士さんが裁判官を励ましてほしいと思います。先ほど小島先生が、どうも弁護士は最近対決型に育っているということもおっしゃいましたけれども、裁判官のある種の国民的基盤がないからドラスチックなことができないんだという意識を、そうじゃないんだという形で励ますことによってむしろいい結果が出る場面もあるのではないかと私は思っております。
○福島瑞穂君 裁判官を励まして違憲立法を出してくれというんですが、最高裁で全部負けていますので。
では、今の問題で小島参考人、行政、立法のチェックなどについてはこういうことをやったらどうだろうかというのをお聞かせください。
○参考人(小島武司君) 大変難しい問題で、私の専門とも少しずれますけれども、基本的には、私の責任範囲に引きつけて考えますと、我々の法学教育の場でどういうことが行われているのか、学生たちにそういう困難な問題に対する取り組み方、考え方をトレーニングしているのかということを考えますと、非常にじくじたるものがあります。
やはり法学教育プロセスの抜本的な改革が、すぐに即効性はありませんが、大局的に見れば重要ではないかと思います。そこからいろいろなものが出てくる。そしてさらに、少数意見制というのも最高裁だけではなくてもう少し下まで下げてくるというようなことも考えられる。
それから、学説の展開も、実務と理論というものが乖離しておりますけれども、この中でもう少し実践的な、判例の形成を意識した学説の展開というものが出てまいりますと相当状況は変わってくるのではないか。
それから、情報公開によって行政訴訟の方は相当変わってくるので、これは近いうちにある程度変化が出てくるのではないか、そういうふうに思っております。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございました。
○平野貞夫君 自由党の平野貞夫でございます。
先ほど来の参考人の先生方のお話、大変勉強させていただいておりますが、飯室参考人の発言の中に、司法制度改革をまずできることからやるべきだというお話がありました。私はそれも大切なことだと思いますが、すぐできないことも大いに議論をしていただきたいという意見を持っております。
お話の中に、違憲判断が少ない、立法、行政のチェックが十分でない、裁判官は憲法判断を避けようとしているというお話がありましたが、そういう状況の原因は何だとお思いでございましょうか。
○参考人(飯室勝彦君) まず冒頭の、理念論が大事であるというのは、僕も全くそのとおりでありまして、まずこれからの司法のあるべき姿という理念をしっかり議論して確立した上で、項目ごとについてはできることからやっていってほしいということが私の趣旨でございます。
それから、違憲立法審査権が少ない理由は何だというのは、先ほども申し上げましたけれども、やっぱり裁判官の任用制度のあり方も大きな原因だと思いますけれども、もう一つ私どもがよく聞くのは、紛争というのは多種多様なものが同じ憲法条文についても出てくるわけだから、むやみに先走って憲法判断すべきではないという裁判官の話もよく聞きます。少なくとも具体的な事件の解決に必要な範囲で、最小限の範囲で判断するというのが裁判官の姿勢として正しいんだということをしばしば裁判官の方から聞かされたことがあります。
僕はそれが法律家として正しい姿勢なのかどうかわかりませんけれども、ただしかし、それは見ている側からいいますと、実は判例の射程距離がさっぱりわからないという不満を生み出すんですね。ですから、裁判所の判例には法の定立という一つの効果があると思うんですけれども、そういう一般的な判断を打ち出さないものですから、事後に向かって法の基準に全然ならないという不満があります。それは最近は経団連サイドの人たちの声からも聞こえてくるようになっております。
○平野貞夫君 私は、ちょっと乱暴な議論かもしれませんが、やっぱり最高裁判所長官なり裁判官が内閣の任命という憲法の仕組み、ここら辺に一つの原因があるんじゃないか。極端なことを申しますと、議院内閣制というのをとっていますけれども、内閣司法制というのが我が国の司法権の一つの、残念ながら極めて最近はそういう意味での司法権の独立というものを私は疑問視しているわけなんです。したがって、司法制度の改革においては、私は憲法の見直しも含めて大いに各界の方が議論していただきたいという希望を持っておるんですが、そこら辺についてはどういう御意見でございましょうか。
○参考人(飯室勝彦君) 私も憲法を改正できるかどうかわかりませんけれども、任命制度は改めなければいけないという趣旨も含めて裁判官の任命の仕方を考えなきゃいけないと申し上げたつもりです。
ただ、今の制度のままでもできることがあります。それは公聴会なりなんなりを開いて、国民の前で次の最高裁判事と擬せられている人が所信を明らかにして質疑をするという機会をつくったらいいんじゃないかと思うんです。ところが、実際には国民投票のときに新聞社がアンケート用紙なんかを配りますと、誤解を招くからといって具体的なことは何も書きませんね。ですから、国民にしっかり次の最高裁判事になる人はこういう人だよということがわかる機会をつくることは憲法を改正しなくてもできるんじゃないかと思うんです。
ところが、オープンになるということを弁護士会の方も余り歓迎しないんですね。日弁連が、日弁連から推薦する最高裁判事候補者を決めるときに、一時期内部投票をやったらどうだとか公開討論会をやったらどうだというプランを出した人がいます。日弁連のしかもかなり幹部の人で、具体的な案までつくりました。ところが、選に漏れた人の名誉の問題になるとかということになりまして、それはポシャりました。それで、せいぜい推薦する前に日弁連の執行部が面接するという形に落ち着いたわけです。ところが、それさえ拒否する人がいますね。あの程度の連中がおれの面接するとは何事だと言って、面接しなきゃいけないのなら候補者にしてくれなくてもいいと言う人もいるそうです。
○平野貞夫君 小島参考人にお尋ねいたしますが、先ほど大変感動するお話があったんですが、最近、正義へのチャンスをすべての人間にと、あるいは一九九〇年代から国際的に法の究極の新しい価値観を求めようという動きがあるというお話を聞いたんですが、率直に申し上げまして、近代司法制度、司法だけではありませんが、近代のあらゆる制度は、十九世紀ごろからのいわゆる世界の近代文明に基づいた一つの法の正義というある種の価値観、普遍的といえるかどうかわかりませんが、世界的に大体一般的にこうだというものがあって百年なりあるいは二百年なり世の中が動いてきたわけで、秩序を保ってきたわけです。
司法制度が十分機能していないとかあるいは制度疲労をしている、これは日本だけではなくて、日本は特にひどいかもわかりませんが、それの原因は、裁判官の数とか弁護士さんの姿勢とかいろいろな問題があると思いますが、やっぱり近代文明が打ち立てた法の正義というものの価値観が多様化したといいますか分裂したといいますか、そういったところに根本的な原因があるんじゃないかと私は思っておるわけでございます。
政治の部分でも、アメリカでソーシャルジャスティスという概念をつくろうという動きが最近あるんですが、共産主義社会あるいはソ連というものの崩壊、そういったものともかかわってくるんですが、やっぱり新しい二十一世紀の人類共通の法の正義というのはこういうものだという概念をぜひ先生方おつくりいただきたいということ。
それから、先ほどもありましたのですが、やっぱり教育、これも法学教育というだけじゃなくて、場合によっては義務教育から始まる司法とは何か、法とは何か、いわゆるルール・オブ・ローというもの、本質は何かということをやっぱり子供のころからきちっとした教育をしていかなければ、なかなかこれからの司法制度もうまく機能していかない、こう思っております。私は、新しくつくられる審議会にはそういう根っこの問題も大いに議論していただきたいという希望を持っておりますが、その辺のお考えをお聞かせいただければありがたいんですが。
○参考人(小島武司君) ただいまの御指摘、私も根本において大変同感でございます。この審議会の場では、当面あらわれている具体的な問題あるいはやりやすい問題を議論するということも大切ですけれども、やはり根本にある問題というものに取り組んでいただきたい。それが現在日本の社会で最も必要とされているものではないかと感じております。
そして、法律の分野に限定して申しますと、確かに、我々が法律のプリンシプルとか手続ということを言う場合に、それは近代先進国家が近代においてつくり上げた一つのルールというものがございます。しかし、これがヨーロッパでもアメリカでも非常に揺らいでいるということも事実でございます。そして、日本について見ますと、非常に我々はある意味では法というもの、近代法というものを薄っぺらに理解していて根源的なものを忘れていた嫌いがあるのではないか。それが我が国に近代法の議論が浸透しなかった根本的な理由なのではないか。その点では私は、法律家、弁護士さんも裁判官の方も含めて、深刻な反省がこのところ必要ではないかと思います。
そしてまた、新しく現代法という角度、あるいはポストモラルというようなところからの問題提起がございまして、これもまた別の一つの切り口での問題提起でございますから、こういうあたりから問題を出発して考えていく必要があるのではないか。まさにその問題が具体的にこの司法改革の場で出てくるのは、リーガルジャスティスとADRジャスティスというものの関連、その二つをどういう理論的な枠組みのもとに置いて評価していくのか、これは法曹界で激しい議論があることでございますからここで軽々に私が結論的なことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、それは十分に議論をした上で、問題の将来の具体策を考える際のコアのものとしていただく必要があるのではないかと思います。
まさにそのことは、やっぱり根本的な場では法学教育ひいては中等教育の問題にもはね返ってくる。特に日本では法学教育が十八歳から始まります。しかしながら、十八歳から法学教育をして二十二、三歳で終えるというシステムは、私は根本的に間違っていると思います。きちっとした幅広い人文科学や教養を身につけて、人間として成熟したところで一気にもうインテンシブに法学教育はやるべきものだ。それをだらだらと長くやって、しかもその中に予備校教育というものが相当入ってくるというのは、国家の人材養成としては全く自殺行為以外の何物でもない。この点の改革なくしては、日本の司法の将来は現状打開の道が開けてこないのではないか。しかもこのパターンは法律の世界だけではなくて、公認会計士の世界あるいは政策科学のスペシャリストの世界、あるいはまた理工学の世界に共通して出てくる根本問題がそこに横たわっているのではないか。
そういう教育課程の成熟の中でようやく新しい本当の意味での考え方、欧米追随でもない、日本的な独自などとも言わない、もっと人類普遍的な考え方が芽生えてくるのではないかと思います。
○平野貞夫君 ありがとうございました。
結構です。
○中村敦夫君 全般に、▼陪審制度についてお三方にお聞きしたいと思います。
最初に畑参考人にお願いしますが、この▼陪審制度を司法改革のビジョンの中に一つの可能性として取り入れるべきかどうか。つまり、日本においてこれを取り入れるべきだとお考えになるか、あるいは入れない方がいいとお考えになるか。その理由ということを御説明ください。
○参考人(飯室勝彦君) 私も憲法を改正できるかどうかわかりませんけれども、任命制度は改めなければいけないという趣旨も含めて裁判官の任命の仕方を考えなきゃいけないと申し上げたつもりです。
ただ、今の制度のままでもできることがあります。それは公聴会なりなんなりを開いて、国民の前で次の最高裁判事と擬せられている人が所信を明らかにして質疑をするという機会をつくったらいいんじゃないかと思うんです。ところが、実際には国民投票のときに新聞社がアンケート用紙なんかを配りますと、誤解を招くからといって具体的なことは何も書きませんね。ですから、国民にしっかり次の最高裁判事になる人はこういう人だよということがわかる機会をつくることは憲法を改正しなくてもできるんじゃないかと思うんです。
ところが、オープンになるということを弁護士会の方も余り歓迎しないんですね。日弁連が、日弁連から推薦する最高裁判事候補者を決めるときに、一時期内部投票をやったらどうだとか公開討論会をやったらどうだというプランを出した人がいます。日弁連のしかもかなり幹部の人で、具体的な案までつくりました。ところが、選に漏れた人の名誉の問題になるとかということになりまして、それはポシャりました。それで、せいぜい推薦する前に日弁連の執行部が面接するという形に落ち着いたわけです。ところが、それさえ拒否する人がいますね。あの程度の連中がおれの面接するとは何事だと言って、面接しなきゃいけないのなら候補者にしてくれなくてもいいと言う人もいるそうです。
○平野貞夫君 小島参考人にお尋ねいたしますが、先ほど大変感動するお話があったんですが、最近、正義へのチャンスをすべての人間にと、あるいは一九九〇年代から国際的に法の究極の新しい価値観を求めようという動きがあるというお話を聞いたんですが、率直に申し上げまして、近代司法制度、司法だけではありませんが、近代のあらゆる制度は、十九世紀ごろからのいわゆる世界の近代文明に基づいた一つの法の正義というある種の価値観、普遍的といえるかどうかわかりませんが、世界的に大体一般的にこうだというものがあって百年なりあるいは二百年なり世の中が動いてきたわけで、秩序を保ってきたわけです。
司法制度が十分機能していないとかあるいは制度疲労をしている、これは日本だけではなくて、日本は特にひどいかもわかりませんが、それの原因は、裁判官の数とか弁護士さんの姿勢とかいろいろな問題があると思いますが、やっぱり近代文明が打ち立てた法の正義というものの価値観が多様化したといいますか分裂したといいますか、そういったところに根本的な原因があるんじゃないかと私は思っておるわけでございます。
政治の部分でも、アメリカでソーシャルジャスティスという概念をつくろうという動きが最近あるんですが、共産主義社会あるいはソ連というものの崩壊、そういったものともかかわってくるんですが、やっぱり新しい二十一世紀の人類共通の法の正義というのはこういうものだという概念をぜひ先生方おつくりいただきたいということ。
それから、先ほどもありましたのですが、やっぱり教育、これも法学教育というだけじゃなくて、場合によっては義務教育から始まる司法とは何か、法とは何か、いわゆるルール・オブ・ローというもの、本質は何かということをやっぱり子供のころからきちっとした教育をしていかなければ、なかなかこれからの司法制度もうまく機能していかない、こう思っております。私は、新しくつくられる審議会にはそういう根っこの問題も大いに議論していただきたいという希望を持っておりますが、その辺のお考えをお聞かせいただければありがたいんですが。
○参考人(小島武司君) ただいまの御指摘、私も根本において大変同感でございます。この審議会の場では、当面あらわれている具体的な問題あるいはやりやすい問題を議論するということも大切ですけれども、やはり根本にある問題というものに取り組んでいただきたい。それが現在日本の社会で最も必要とされているものではないかと感じております。
そして、法律の分野に限定して申しますと、確かに、我々が法律のプリンシプルとか手続ということを言う場合に、それは近代先進国家が近代においてつくり上げた一つのルールというものがございます。しかし、これがヨーロッパでもアメリカでも非常に揺らいでいるということも事実でございます。そして、日本について見ますと、非常に我々はある意味では法というもの、近代法というものを薄っぺらに理解していて根源的なものを忘れていた嫌いがあるのではないか。それが我が国に近代法の議論が浸透しなかった根本的な理由なのではないか。その点では私は、法律家、弁護士さんも裁判官の方も含めて、深刻な反省がこのところ必要ではないかと思います。
そしてまた、新しく現代法という角度、あるいはポストモラルというようなところからの問題提起がございまして、これもまた別の一つの切り口での問題提起でございますから、こういうあたりから問題を出発して考えていく必要があるのではないか。まさにその問題が具体的にこの司法改革の場で出てくるのは、リーガルジャスティスとADRジャスティスというものの関連、その二つをどういう理論的な枠組みのもとに置いて評価していくのか、これは法曹界で激しい議論があることでございますからここで軽々に私が結論的なことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、それは十分に議論をした上で、問題の将来の具体策を考える際のコアのものとしていただく必要があるのではないかと思います。
まさにそのことは、やっぱり根本的な場では法学教育ひいては中等教育の問題にもはね返ってくる。特に日本では法学教育が十八歳から始まります。しかしながら、十八歳から法学教育をして二十二、三歳で終えるというシステムは、私は根本的に間違っていると思います。きちっとした幅広い人文科学や教養を身に
つけて、人間として成熟したところで一気にもうインテンシブに法学教育はやるべきものだ。それをだらだらと長くやって、しかもその中に予備校教育というものが相当入ってくるというのは、国家の人材養成としては全く自殺行為以外の何物でもない。この点の改革なくしては、日本の司法の将来は現状打開の道が開けてこないのではないか。しかもこのパターンは法律の世界だけではなくて、公認会計士の世界あるいは政策科学のスペシャリストの世界、あるいはまた理工学の世界に共通して出てくる根本問題がそこに横たわっているのではないか。
そういう教育課程の成熟の中でようやく新しい本当の意味での考え方、欧米追随でもない、日本的な独自などとも言わない、もっと人類普遍的な考え方が芽生えてくるのではないかと思います。
○平野貞夫君 ありがとうございました。
結構です。
○中村敦夫君 全般に、▼陪審制度についてお三方にお聞きしたいと思います。
最初に畑参考人にお願いしますが、この▼陪審制度を司法改革のビジョンの中に一つの可能性として取り入れるべきかどうか。つまり、日本においてこれを取り入れるべきだとお考えになるか、あるいは入れない方がいいとお考えになるか。その理由ということを御説明ください。
○参考人(畑郁夫君) 何を検討題目とするかということは、基本的には国民と申しますか、具体的には国会がお決めになることは十分承知いたしておりますし、また私先ほど来の発言で、一法曹実務家としてのスタンスで物を申しておりまして、必ずしも理念的な問題を申し上げていない点で大変御期待に沿えない点があろうかと思います。
ジュリーの点でございますけれども、これについては先ほど申しましたとおり多面的な検討をぜひしていただきたいと思っております。それはいろいろ議論がございますけれども、実際に▼陪審をやりました場合に、弁護士の負担とか国民の負担、相当期間仕事を離れて裁判に専従するというふうなことがございます。それから、国民の感情といたしましてどうしてもラフジャスティスという問題が浮かん
でまいります。これが相当かどうか、適当かどうかということであります。
他方、我が国におきましては、調停あるいは司法委員、参与員、検察審査会等の司法参加システムがいろいろございまして、私はADRを眼目にしていただきたいとただいま申し上げたのでございますが、そういうことも含めてのことでございまして、御議論の際にはぜひ多面的な御議論をいただきたい。
以上でございます。お答えになったかどうかわかりません。
○中村敦夫君 同じ質問なんですが、小島参考人お願いします。
○参考人(小島武司君) ▼陪審制の問題は、主として刑事で問題になっておりますけれども、これは裁判についてある意味では横断的に民事も含めた問題としても考えることができるのではないかと思います。
私は民事訴訟の専門家ですのでその角度から考えますと、▼陪審制は民事でもある程度導入することを考えてよいのではないかと個人的には思っております。ただ、それは全面的にではなくてある特定の事件類型に限って、しかもある特定の形におけるという限定をつけて、しかもこれを試行的にやってみる、弊害があればやめてもよいのではないか、そういうふうに考えております。
と申しますのは、我が国では最近、▼陪審というと善である、よいものであるという認識がございますけれども、私は▼陪審制の問題は若いころからずっと地味な部分を研究してまいりました。そこでこの▼陪審制の持つマイナスの面というのは痛いほど知っております。最近の議論の中でそういう▼陪審制のマイナス、影というものに対する認識が不十分ではないかと思っておりまして、光と影の両面を見詰めてこの問題を考えるべきではないか。そうしますと、慎重だけれども、しかし前向きの評価をしていくというような結論がおのずと出てくるのではないかと思うわけです。
二つだけ具体的なことを申しますけれども、一つは、ラフジャスティスの話がありましたが、▼陪審というのはどうしても情緒によって動かされやすい、その社会の空気によって動揺するということは避けがたいことだと思います。
しかしそれでは、それでよくないかと申しますと、アメリカにおける実証的研究、これは非常に確実な方法のもとにやった信頼できるものでございますけれども、その複数の研究の示すところによれば、裁判官の判断、法曹一元のもとでの裁判官の判断ですけれども、それと▼陪審の判断はほぼ一致するという結果が出ております。ただ、特定の論点について変わる、ここが一つのポイントなのではないか。そうすると、これをどう考えるべきか。コストの問題を考えるとどう考えるべきかということでございます。それが一つの考える要素、資料かと思います。
もう一つの資料を提供いたしますと、有名なアメリカの最も尊敬されている学者、ロスコー・パウンドが論文を書いております。その題が▼陪審員のローレスネス、無法性についてという論文でございます。多くの人々は▼陪審は法律を無視するから悪だ、それは弊害だということを言う。しかしながら、実は▼陪審は法を無視するところに価値があるんだと、一定の限度で。そういう論文を書いておりまして、私はこれは大変心を打つ論文と思っております。
そういう意味で、この▼陪審の問題はきちっとした議論をして理解を深めるならば、我が国の司法にとって非常に重要な意味を持ってくるのではないか。特に、その末に▲参審制という選択肢がまたおのずと浮上してくることもあろうかと思います。
○中村敦夫君 今のお答えのつながりでちょっとお聞きします。
○参考人(飯室勝彦君) 私も小島先生と同じように、デメリットも考えながら多
面的に検討して、やっぱり導入の方向に進むべきではないかと思います。
一つは、やっぱり国民主権という問題です。確かに調停制度とかその他いろいろと国民が参加する制度は設けてありますけれども、いまだに調停制度は主任官は素人にはやらせてくれませんし、検察審査会だって議決の拘束力はありません。あれは本当の意味での国民参加ではないと思います。僕は、日本では司法の分野だけ国民参加ができていないのではないか。
それからもう一つ、▼陪審をすることによって国民は法をみずからのものとして身近に感じて、非常に国民の意識も変わるのではないか。
それから、これは副次的効果ですけれども、弁護士さんはやっぱり鍛えられざるを得ないと思うんですね。これはいわゆるショーマンシップを発揮するという鍛えられるという意味ではなくて、今は周りは相手も法律家、裁く裁判官も法律家ですから難しい言葉を使っていたりしてもお互いにわかってくれますけれども、素人が相手ですから、非常にかみ砕いてわかりやすく理論展開しなければいけないという意味で弁護士さんも鍛えられると思います。
そういいますと、日本の法意識とか法文化というものはやっぱり大いに向上するのではないかと期待しております。
○中村敦夫君 ちょっと続きで、飯室参考人にお聞きしますけれども、日本には戦前この制度がありましたよね。全体的な評価としてうまくいかなかったというふうに言われておりますけれども、なぜそういうふうに言われるようになったのかということについて御説明いただけますか。
○参考人(飯室勝彦君) うまくいかなかったというのが今の普通の一般的、特に裁判所の内部の方の意見ですけれども、どうも必ずしも僕はそうではないように受けとめております。
浦辺衛さんという裁判官が、▼陪審裁判をかつて経験した裁判官、つまり先輩ですけれども、ずっとインタビューして歩いてまとめた大変有名な研究があります。それによりますと、当時の裁判官は▼陪審員制度を非常に高く評価しておられます。それから、▼陪審員制度が始まって間もなくの法律専門雑誌なんかを見ますと、各地の裁判所長だとかいろいろの検事正が集まって原稿の特集を組んでいたりするんですけれども、おれたちは▼陪審員にこんな視点を教えられたとかいう教訓話がいっぱい出てきます。
ですから、必ずしも役に立たなかったわけじゃなくて、僕は高く評価されていたんだろうと思うんですけれども、時代が何せファシズムに走っていく時代ですから、▼陪審員制度などという民主主義のまさにかがみみたいな制度をとてもやっていられる時代ではなかったでしょうし、どうもいろいろな記録を読んでみますと、法律家がやっぱり盛んに辞退させたみたいですね。面倒くさいですから、はっきり言って。
当時の日本の▼陪審員制度は、▼陪審員の答申が拘束力がなくて、▼陪審員の答申を裁判官が気に入らなければ解散して新しい▼陪審員でやり直しができたわけですから、そういったことやらを考えると、被告の方にもそういうデメリットなんかも
考えて利用する人がだんだん少なくなったというのが実情だろうと思うんです。ある裁判所では辞退率が六三%なんという数字が残っています。それから、当時の判事補で傍聴した人の話を聞くと、盛んに裁判長が辞退を勧めたとかいうような談話もありまして、必ずしも不人気という理由だけじゃなくて、そういった理由もあって数が少なかったんじゃないかと思います。
それから、時間が押して済みませんが、もう一つだけつけ加えますと、実例としては、例えば仙台の事件ですけれども、放火事件で▼陪審員が無罪の答申をしたら、裁判官が、そんなばかな話はない、これは有罪に決まっているといって▼陪審員を解散して再▼陪審にかけたんですね。そうしたら、再▼陪審の法廷で被告に不利な証言をしていた証人が、いや、実は偽証していましたといって再▼陪審で証人が別の証言をしてやっぱり無罪になったと。今度は裁判官もそれを受け入れたというような事件もありまして、必ずしもいいかげんな答申をしていたということも当
てはまらないんじゃないかと僕は思っております。
○中村敦夫君 同じように、なぜうまくいかなかったかということを小島参考人にお聞きしたいんですが、それと同じようなことで今やってもそういうマイナス面につながるんじゃないかということがあれば、お答えいただきたい。
○参考人(小島武司君) これは刑事裁判の▼陪審ですので、私が特段専門的な知見があるというわけではございません。しかしながら、私も興味を持ってかつて若干日本の刑事事件のものを読んだことがございます。
そこで今記憶に残っておりますのは、当時の法廷が非常に職権主義的な法廷で、今は非常に当事者主義的な法廷でございます。それが要するに▼陪審制度の成否を分ける大きなファクターとなり得るかもしれないという指摘が当時の文献にもございますので、うまくいくようなプラスの方の新しい条件がそこに生まれているということは感じます。
それからもう一つは、社会の空気、物の見方というものも随分変わってきておりますから、やはり日本においてこれがうまくいかないということは必ずしも断じられない。むしろやり方によっては、このやり方によってはというところが非常に大切だと思いますけれども、そしてある分野においては成功の可能性があるのではないか。飯室参考人がおっしゃったように、いろいろこれはよい副次的効果がございます。例えば、法理論をもっとわかりやすく実質的に説得力あるものにしなければならないとかということで、法律家がそういう意味で法的思考がよりリファインされてより公正で妥当なものになってくる、地についた法的基準が生まれてくるというような副次的な、これは副次というより非常に大切なことでございますけれども、そういうメリットもあり得るのではないかと思います。
○中村敦夫君 ありがとうございました。
質問を終わります。
○委員長(荒木清寛君) 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用のところ大変貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。
午後零時二十六分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、佐々木知子君が委員を辞任され、その補欠として斉藤滋宣君が選任されました。
─────────────
○委員長(荒木清寛君) 休憩前に引き続き、司法制度改革審議会設置法案を議題とし、参考人から御意見を伺います。
午後、御出席をいただいております参考人は、北海道大学法学部教授木佐茂男君、京都大学大学院法学研究科教授佐藤幸治君及び預金保険機構理事長松田昇君でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
参考人の皆様から忌憚のない御意見をいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
議事の進め方でございますが、まず、木佐参考人、佐藤参考人、松田参考人の順に、お一人十五分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
なお、参考人の意見陳述、各委員からの質疑並びにこれに対する答弁とも、着席のままで結構でございます。
それでは、木佐参考人からお願いをいたします。木佐参考人。
○参考人(木佐茂男君) 北海道大学の木佐でございます。このような機会を与えていただきまして大変光栄に存じております。
時間がございませんので、早速お話をさせていただきたいと思います。
今回この司法制度改革審議会設置法というのが議論されるということをお聞きしまして、やっと司法改革の時代が来たのかという感慨がございます。司法改革の推進それ自体につきましてはもろ手を挙げて賛成したいと思っております。
司法改革、特に我が国にあっては小さな司法を普通の司法ないし大きな司法にするための改革は、本来高度経済成長期に行っておくべきことだったと思っております。この経済不況の時代に司法容量の拡大充実を実現することは容易ではございません。ただ、この未曾有の経済的危機ないし不況や、政治、経済、官界におきます大規模な不祥事の続発などを考えますと、いずれもこれまでの日本の司法のいわば機能不全が相当程度寄与しているということを私は認識せざるを得ないと思っております。
小さな司法という言葉がはやっておりますが、これは恐らく私が初めて使用し文献の中でも用いたのではないかと思います。普及したこと自体極めて不幸なことだと思っておりますが、それほど普及したのは、これまた問題の深刻さが認識された結果だろうというふうに思っております。
きょうお手元にお配りしました資料の三枚目に「ガラパゴス現象」というタイトルの記事が入っておりますけれども、現在の日本の司法システムは、何も司法に限ったことではなくて社会全体が一種の諸外国から見て私はガラパゴスとかシーラカンスとかそういう表現をしておりますけれども、不謹慎ではありますが、やや問題のある形で存続し続けてきているというふうに思っております。
きょうは時間の関係で四点だけに絞って最初にお話しさせていただきたいと思います。
第一は、司法改革の根本理念についてであります。第二は、それとのかかわりで、ドイツとアジア諸国を中心に考えてみたいと思います。第三は、特殊に私が専門にしております行政裁判あるいは行政訴訟の問題についてでございます。そして四つ目に、最初でも申し上げますが、改めて裁判官の独立性というものの重要性についてお話しさせていただきたいと思っております。
第一に、裁判と申しますのは、やはり正義にかなった法の運用をする権利救済の機関だということを徹底して重視した司法改革を進めていただきたいということでございます。
ドイツでは、ワイツゼッカー元大統領が現職の時代に、裁判所は強者に対する弱者のための最後のとりでである、あるいは少数者保護の機関だということを公式に発言したことがございます。
政治的民主主義とか代表制民主主義というのが一種の多数決原理でありますから、そこから漏れてくる少数者あるいは弱者の憲法的な価値や人権という貴重な権利を擁護することが裁判所のいわば最終的な使命だというふうに私は考えております。
したがって、透明なルールとか自己責任を実現するということも司法にとって大変重要な役割ではございますけれども、それは、まずもって裁判所あるいは司法の本来の役割ということを認識した次の課題だろうというふうに思います。私自身は、裁判外の紛争処理の仕組みなどをこれからますます充実させることを否定はいたしませんけれども、究極の手段として裁判というものの重要性を考えます。
とりわけ、この司法改革と申しますときに、日本人は司法というのを裁判でイメージいたします。ただ、ドイツなどですと、司法といいますと検察と裁判と両方あわせて考えますが、ここでの司法改革という場合もやはり裁判制度を中心とした改革ということだろうと思います。その裁判の中でも裁判所の独立というのはかねてから重視されておりますが、私は最後にも申し上げますように、裁判官の独立をキーワードにした改革をぜひ進めていただきたいと思っております。
二番目です。
ドイツとアジアの関係について少し申し上げたいと思いますけれども、ドイツは現在でも戦前の日本のように司法大臣が裁判官の人事権を持っております。そして裁判所を所管するのは司法省です。それから予算編成も司法省に権限がございます。行政裁判所などという特別の裁判所もあります。それだけ聞きますと大変恐ろしい裁判が行われているように思えますけれども、実際の裁判は非常に市民に身近な親切な有用なものとなっております。
もし日本の裁判官の方たちが今のドイツに行って裁判をすれば、ドイツ社会は十年もしないうちに悲惨な行政優位あるいは少数者保護のない状況になるだろうと私は推測します。逆に、ドイツの今の普通の裁判官が日本に来て日本の訴訟法制度のもとで裁判をすると、違憲判決がたくさん出て多くの市民も救済され、その結果、例えば司法予算がふえるというようなことが続いて、何も大きな審議会をつくったり大議論をしなくても少しずつ法改正や予算の増加によって社会が変わっていくだろうというふうに思っております。
実は、この例えが意味しておりますのは、制度面で我が国が今不十分であるということは半ば常識になりつつありますけれども、制度が悪いから日本の裁判が機能していないということのみではなくて、裁判をする人、すなわち裁判官のメンタリティー次第で判決は大いに変わり得るということを示唆したいがためでございます。
ドイツでは裁判官集団の中から六〇年代末以降八〇年代にかけて司法改革が進みました。しかし、日本は全く逆の方向に行ったと私は考えております。これ
がいわゆる裁判官統制の問題でございます。
ここでアジア諸国について、例えば衆議院でも参考人発言がありましたり、各種提言の中にもアジア諸国への司法制度の援助ということが出ておりますけれども、お配りいたしました資料の一枚目と二枚目をぜひごらんいただきたいと思います。
ことしの三月三十日に台湾の最高裁に当たります司法院から出されました、これが現物の資料でございますけれども、(資料を示す)これを入手しております。それの目次だけをきょうは二枚に編集し直して翻訳したものをお見せしておりますが、冒頭に最高裁長官に当たります司法院長のはしがきがあって、その後、これからの台湾、中華民国の司法についての理念というものが書かれております。
私が大変すばらしいと思うのは、市民のための司法ということとか人間の尊厳を尊重する司法、あるいは市民主体だとか、あるいは暖かい人間みのある法廷環境をつくろうとか、一枚目から二枚目にかけてたくさん書いてございますけれども、今私どもの国で議論されかけている司法改革のいわばキースタンスと申しますか基本的な理念とは少し違った、より人間的な方向での司法改革を長官みずからあるいは最高裁みずからが述べているというところに学ぶべき点が既にあろうかと思います。
同じようなことは、独裁政権が八〇年代半ばに倒れた台湾、韓国とも同じ傾向でありまして、いわゆる反権力闘争を闘った学生たちが今中堅世代で法曹界や官僚界で頑張っているということと実は無関係ではないというふうに思っております。
それから第三番目に、日本の訴訟の中でも行政訴訟といういわば権力を相手方とする訴訟について私は大変大きな関心を持っております。
この間、私、映画の監修をいたしまして、「日独裁判官物語」という記録映画を日本とドイツを対象につくる過程に関与いたしました。その際、ドイツ側で登場していただいた方には、ドイツの憲法裁判所長官を初め、日本の最高裁や法務省で長期研修をした経験のある、今、独日法律家協会の理事長でありますグロートヘア財政裁判所長官とか、おととし日本に見えました連邦行政裁判所の裁判長のゲンチュ判事などにも出ていただきました。彼らは、行政を統制することが裁判官の使命であるということで、現に、その裁判長ゲンチュ氏などは、原発を停止する判決などを下しているのであります。
このような、刑事事件や行政事件が典型ですが、いわば国家権力と対峙するような訴訟のあり方というものがその国の司法の質とか人権保護の水準を決めるというふうに私は思っております。
しかしながら、我が国ではなかなか行政事件で国民あるいは企業が勝つことができません。その理由はいろいろありますが、裁判官も弁護士も公務員も、いわば国民、市民すべて行政法の知識が非常に疎いということが、結果として公務員が裁判とか行政不服審査などを怖がるという結果に結びついていると思っております。
お配りした資料の四枚目と五枚目は、時間の加減で一々御紹介はいたしませんけれども、ドイツでありますと、初級職の事務職員で十六歳から十八歳の方が、四枚目に書いてありますようなカリキュラムで勉強を二年間やります。それで、十八歳で初めて初級職の公務員になります。
それから、一つの州の例でございますけれども、最後から二枚目のページですが、ザールラントという州を例にしておりますけれども、公務員の中堅幹部になるだけで三年間の専門的な研究、学習をして、二千二百時間という大変な長時間の専門教育を受けて、それでやっと中級職の公務員、事務系の公務員になれるという、専門性が磨かれております。
このような、自分自身で裁判判決とか決定とか裁決書とかまで書けるようなところまで訓練されて初めて行政職員の一員として現場に出ることができるというシステムがあるのと比べますと、我が国では、およそ公務員一般もほとんど法的な訓練がなされておりません。いわんや、日本の法曹界では、行政法はこれまでも選択科目で、受験者のせいぜい一〇%しか行政法を選ぶ方はいなかった。これからはそれも廃止されるということで、国家権力に対峙する重要な訴訟に関する法的知識が、大学の法学部でも極めてお粗末であり、いわんや一般市民なり公務員にはほとんど知られていないということは、我が国のいわば法治国家とか法の支配を支えるのに極めて不十分だろうと思います。
司法改革の話から飛ぶようではありますけれども、このようなところにまで目配りをすることが、我が国の法に従った、いわばルールに従った行政あるいは社会というものの実現にとって不可欠だということを私は考えております。
時間がございませんので、第四に移りたいと思います。
いわゆる今回の司法改革はグローバルスタンダードということが盛んに述べられております。もしグローバルスタンダードということを基準にするのであれば、私は、いわゆる透明性とか規制緩和とか事後統制とか、そういうことのみならず、他の重要な論点においてもグローバルスタンダードに学ぶべきだというふうに思っております。具体的に申しますと、裁判官の市民的自由の確保及び裁判官の独立制の確保ということでございます。
一九九五年の八月に第六回アジア太平洋最高裁裁判長会議というのが北京で開かれておりまして、そこで北京宣言というものが採択されております。そこでは、裁判官の市民的自由を尊重すべきという項目がその会議の宣言として含まれております。我が国もその翌々年、九七年の八月にマニラで、当時の三好最高裁長官がこの宣言に署名をされているわけでございます。
それからもう一点申し上げますと、昨年の十一月に国連の国際人権規約委員会が、日本の裁判官には人権教育が不十分であるのでもっと十分に人権教育をするようにという勧告をいたしました。これは大変恥ずべきことではないかと思っておりますが、私は、いわゆるグローバルスタンダードと言うのであれば、こういう裁判官の市民的自由、あるいは憲法教育といいますかあるいは人権教育というものを充実させる、これはもちろん司法研修所においても同様でありますが、そういうことが非常に重要だと思います。
一般に我が国では、今回の衆議院の修正が加わりました法案を読みましても、裁判所の独立という言葉は出てまいりますが、裁判官の独立という言葉はございません。私は、附帯決議であれあるいは第一条の目的規定の中であれ、やはり原点として裁判官の独立というものを中心にして司法改革を進めるということをぜひ取り上げていただきたい、そのように考えております。
多分時間が十五分ぐらいになったかと思いますので、第一回目の報告はこれだけにさせていただきます。
ありがとうございました。
○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。
次に、佐藤参考人にお願いいたします。佐藤参考人。
○参考人(佐藤幸治君) 京都大学の佐藤でございます。
司法制度改革審議会設置法案につきまして意見を述べる機会を与えていただきましたことを大変光栄に存ずる次第です。
私の専門は憲法学でありますけれども、かねて、いろんな意味において日本の社会に司法のプレゼンスの増大を図る必要があるというように思ってまいりました。それからまた、平成八年十一月より行政改革会議の委員として審議に参画する機会がございましたが、司法改革の必要について一層強く感ずるところがございました。それだけに、今や司法改革が具体的な政治日程にのってきたことを本当にうれしく存ずる次第でございます。
まず、何ゆえに司法改革なのか、司法改革の目的とは一体何なのかということについて、最初に所感を述べたいと存じます。
第一に、個人の自律的生、オートノマスライフと申しますか、自律的生を支える社会システムとして司法、この場合、先ほどの木佐参考人の御意見にもありましたけれども、司法というときには弁護士も含めて広く理解しておりますが、この司法が国民の身近にあって、国民の生活上の需要に容易にこたえ得るような形になる必要があるということであります。
行政改革会議の最終報告、これは平成九年の十二月に出ておりますけれども、この最終報告でこういうことをうたっているところであります。「われわれの取り組むべき行政改革は、もはや局部的改革にとどまり得ず、日本の国民になお色濃く残る統治客体意識に伴う行政への過度の依存体質に訣別し、自律的個人を基礎とし、国民が統治の主体として自ら責任を負う国柄へと転換することに結び付くものでなければならない。」、こういうように最終報告ではうたっておりますが、まさにこの課題にかかわる社会システムの整備ということが第一の目的だというように存じます。
第二に、生き生きとした抑制・均衡のシステムを確立する必要がある、チェック・アンド・バランスのシステムを確立する必要があるということであります。同じく最終報告は、「内閣機能強化に当たっての留意事項」としまして、「日本国憲法のよって立つ権力分立ないし抑制・均衡のシステムに対する適正な配慮を伴わなければならない。」というように述べまして、「司法との関係では、「法の支配」の拡充発展を図るための積極的措置を講ずる必要がある。」というように述べているところであります。
第三に、司法改革の目的として、グローバル化する国際社会に対応した国家のあり方あるいは国民の生活の態勢を整える上で司法がもっと大きな役割を果たすことができるようにするということが必要であるということであります。国際社会が実体、サブスタンスを持ち始めまして、国際社会におけるルールづくりが非常に重要になってまいりました。それからまた、例えばWTOが誕生しましてガット時代に比べて紛争処理の仕組みがより整備されてきております。つまり、国際社会においてルールをつくる、あるいはルールを有効に使うということが重要になってきているということであります。
こうした事態への対応は、政府も重要ですけれども、もはや政府だけでなし得るところではなくて、国民各層における積極的、能動的な生き方が求められているということだろうと思います。そうした国民の生き方を支える有力な基盤の一つ
が司法あるいは法曹であるというように思うわけであります。ちなみに人口で六・七%にすぎない英米などのコモン・ロー系先進英語国の弁護士総数が全世界の弁護士総数の約七七%を占めているという説があります。
二十一世紀に向けて一体我々はどのような社会を築き、どのような社会で生きようとするのかということにつきましては、さまざまな考え方があり得るかと思います。ただ、私の専門の憲法学の立場から日本国憲法に引き寄せて言えば、憲法十三条を出発点とすべきだというように考えております。十三条は日本国憲法の理念的基石、土台とも言うべきものだと理解しておりますが、この規定はこういうように定めております。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」というように定めております。
私流に言えば、既に示唆しましたように、自律的個人を基礎とする自由で公正な社会、これが憲法が想定している我々の目指す社会であるということであります。そして、こうした社会を具体的に創出し維持していくもの、これが国民主権、私流の言い方をすると政治のフォーラムということになりますが、そしてまた法の支配、私流の言い方をすると法原理のフォーラムということになりますが、この国民主権と法の支配であるというように考えるものであります。
ここで、法の支配について一言述べておきたいと思います。
法の支配といいましても、一義的ではありません。広狭さまざまに使われます。また、法治国家と同義的に観念されることも少なくありません。ただ、社会の秩序形成観という観点から見ますと、ドイツ的な法治国家は日本が戦前明治憲法下で非常に大きな影響を受けた考え方でありますが、ドイツ的な法治国家は体系的、演繹的な思考傾向、比喩的に言えば上からの発想の産物なのに対して、英米的な法の支配は経験主義的、帰納主義的な思考傾向、比喩的に言えば下からの発想の産物であるように思われます。つまり、法の支配は体系的、演繹的な思考の限界を重視し、事件、争訟の当事者が適正な手続のもとで対等な立場で真剣に争う、そういう司法の場において経験的に形成される法というものへの信頼を内実としているということであります。そういう法が個人の権利、自由の保全にとって重要だという認識であります。自律的個人が主体的に努力して相互の共生を図る、それを議会、政府と並んで司法が独自の手助けをする、そういう構図であります。
いささか抽象的な話になりましたけれども、日本国憲法発足当初、法の支配の意義が強調されたものであります。例えば、戦前の行政裁判所を廃止して行政事件の裁判も司法権に含まれるとされたのは、その結果であります。しかし、やがて法の支配は余り言われなくなり、先ほどの木佐参考人の御意見ですが、小さな司法のままに打ち過ごす一方、国民の行政への依存体質は変わらず、あるいはむしろ強まっていきました。そして、行政の肥大化、硬直化を帰結したというように思われるのであります。ここに行政改革が必要になった根本的な理由があり、また、司法改革を推進しなければならない背景があるというように考えます。
国家の減量を図り、政府の統治能力の質を高めなければならないと同時に、個人の自律的生を助ける司法、国民の身近にあって利用しやすく、かつ頼りがいのある司法とするために相当思い切った人的、制度的整備を図る必要があるというように思います。
こうした司法とするためには、何よりも司法の容量の拡充、法曹人口の増大が必要であるということにつきましては、広範な共通の認識が既にあるかと思います。問題は、どのぐらいの規模なのか、どのようなテンポと方法で増員を図るのかということにあるように思われます。この問題こそ審議会で検討さるべき重要課題の一つかというように思いますが、検討に際しては次のような視点を大事にしていただきたいというように思っております。
まず、現在の需要を前提とするのではなくて需要を掘り起こすという視点、それから法曹は市民社会でどのような役割を果たすべきかという視点、次にいわゆる法曹一元制の実現を視野に入れるとすればそれを可能にするためにはどのような規模かという、その可能にするという視点、それから法曹養成、とりわけ大学
教育と関連づける視点、それから最後に国内事情だけではなくてグローバル化という国際事情も対象にするという視点等々の視点を大事にしていただきたいというように思っております。ちなみに、WTOの次期ラウンドでプロフェッショナルサービスの貿易自由化問題が取り上げられるようでありますが、その辺も気になるところであります。
先ほど言及しましたけれども、司法機能強化のための基盤的制度設計の問題として、いわゆる法曹一元制の問題があります。昭和三十七年発足の臨時司法制度調査会では、御承知のように法曹一元の問題を審議事項の一つと掲げましたけれども、結局のところ法曹一元を一つの望ましい制度としながらもいまだその条件は整っていないと結論しました。今度の審議会はこの問題をどのように扱うのか、もしその実現を目標とするのであればその条件整備の具体的プランをどのように描くのかということが非常に重要な事柄であるというように思います。
司法が国民の身近にあって利用しやすく、しかも頼りがいのあるものにするための制度的工夫としてはさまざまなものが考えられます。民事訴訟法は改正されたばかりですが、訴訟制度は国民が使いやすく本当に国民の利益になっているのか、あるいは司法サービスはADRを含めれば多様なものが考えられますけれども、どのような選択可能な多様なサービスを用意するのか、また国民の選択を容易にするためのどのような情報提供の仕組みを考えるのか、あるいは実効的な救済、正義の実現という面で現行法は十分か等々の課題があります。法律扶助制度の格段の拡充の必要があるということについては既に広く承認されているところであります。
ところで、正義は所与、ギブンなものではなく、天から降ってくるものではありません。矢口洪一元最高裁判所長官は、戦前の▼陪審制の不振は、「国民の「お上」依存の体質に起因したのではないか」として、さらに、「西欧人は己を頼み、訴訟において攻防に全力をつくすが、その上は神の御心にまかせる心情を持つのに対し、日本人はともすると人頼みで、客観的に存在すると考えている好都合な結果のみを求める心情になりがちである」というように述べられたことがあります。▼陪審制あるいは▲参審制の問題も、こうした観点から検討するに値するように思われます。
先ほど、グローバル化する国際社会において、ルールをつくる、ルールを有効に使うことが大事で、日本、日本国民は積極的、能動的に生きる姿勢が求められているというように申しました。そうした姿勢を我々の内にはぐくむ上でも、▼陪審制等の問題も検討に値するものというように思う次第であります。
最後に、法曹養成と大学の問題に触れておきたいと思います。
既に述べましたように、法曹人口の大幅な増員を考えるとしますと、従来のような司法研修制度のあり方では対応できないことは明らかであります。結論的に申せば、法曹人口の大幅な増員を視野に入れつつ、その養成の主要な担い手はどこになるべきかといえば、やはり大学とならざるを得ないというように思います。
もとより、現在の大学がその担い手となり得るというように考えているのではありません。むしろ、現在の大学における法学教育はリベラルアーツの面でも不徹底、法学専門教育の面でも不徹底、まことに中途半端な危機的状況にあるというように私は思っております。そして、司法試験を目指す学生は、高校時代の予備校通いの延長のように入学早々司法試験に予備校通いをする気配があります。司法試験の合格率は二%前後、かつては一・五九%でありました。平成十年は二・六六%になっておりますが、そういう状況であり、六回、七回と受けない
と通らないということになりますと、受験技術を教える予備校通いをすることを一概に批判できないものがあります。
自然科学者である江崎玲於奈氏は、日本の大学はクリエーティブインディビジュアルを育てられなかったのではないかとして、その原因の一端をリベラルアーツ軽視に求められております。法曹養成にとってもリベラルアーツの重要性は幾ら強調しても強調し過ぎるということはありません。それは青年の自己発見の機会として、それからまた現在ある実定法を広く外から見詰める目を養う意味において、リベラルアーツは極めて重要だと思います。
時間の関係で結論的に申します。
いわゆる法学部は、法学、政治学を中心として広く歴史学や経済学、哲学等を学ばせ、またネーティブスピーカーによる語学教育を重視する、そういう基礎教養教育を行う場としてはどうか。そして、大学院の三年間のコースにおいて法学専門教育を施す。そこでは体系的、理論的知識の習得に加えて、問題発見能力、具体的適用能力、帰納的総合能力、対話的能力を身につけさせるようにすると
いうことであります。こうした教育の過程を重視し、司法試験のあり方もそれにふさわしいものを考えたらどうかというように思っている次第です。
日本は今まで、大学教育の場では、あるいは大学教育の場でもと申すべきかもしれませんが、安上がりの大量生産を追求してきたように思います。それはそれでプラス面もあったと思いますけれども、今日我々が直面している諸困難は、そのマイナス面のツケを払わされている結果であるように思われてなりません。明治維新の時代の指導者が考えたように、今こそ人を育てることに知力、財力を惜しまずに注ぐべきではないかというように思っている次第であります。
以上でとりあえずは私の意見とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○委員長(荒木清寛君) ありがとうございました。
次に、松田参考人にお願いいたします。松田参考人。
○参考人(木佐茂男君) 人事権についてどうと言われましても、本当に深くて広いテーマですので一口でお答えするのは非常に困難です。一つは、国政調査権が裁判判決の中身で人事に影響したかどうかなどということをチェックできるかどうか、これまた憲法上の問題が一方で出てくるかなという気もします。
しかし、人事制度のあり方そのものを検討することは個々の裁判への干渉ではございませんので、きちっと今までやられたことはありませんが、裁判官の方を対象に匿名でアンケート調査をする。今までは私的な団体がしても回答率は非常に悪いわけですけれども、司法改革のこういう基本的な審議会の名において、全裁判官に匿名で、しかも消印などが残らないような封筒を用意してきちっとなさる、そしてこれに際しては最高裁からも全裁判官にアンケートに回答協力をせよというような指示を出していただく。今まで私たちはそういう発想をしないというか、遠慮してといいますか、無理だろうと思ってあきらめていたことをきちっとやらないと、二十一世紀、まさに新しい世紀に対応できる裁判官の仕組みはできないだろうという気がいたします。
ですから、本当ならば思い切って原因分析のところではアンケート調査等まであってもいいかなと。そこでおのずと人事について現職の裁判官たちが何をお考えかが浮かび上がってくるのではないかと思います。
○福島瑞穂君 ちょっと食い下がって済みませんが、「日独裁判官物語」などの映画でも裁判官の市民的自由の考え方の違いが非常に出ているわけですが、先ほどメンタリティーが変われば変わるというふうにおっしゃったのですが、裁判官に市民的自由を認めていくことというのも一つの方法だとは思うんですが、ほかに裁判官の独立を真に保障するための例えばこういうことをやればもっといいんじゃないかというようなことはありますか。
○参考人(木佐茂男君) それは大変難しい問題でして、公務員の中で一番身分保障が高いのが裁判官だと憲法の教科書を読むと書いてあるんですが、実は裁判官が一番身分保障がなくて、十年しか任期がないんです。ですから、任期直前の裁判官たちは大変神経をとがらせて判決を書かれる。ですから、憲法的には一番身分保障が厚いと言われていて実際が逆ですので、本当は一たん判事になれば終身判事でいいと。判事補の仕組みは例外だったはずです。そのために十年という判事補の任期があったわけですけれども、実際には十年ごとの定期チェックになっている。
ですから、実はそこには憲法上の問題もあります。書いてあることと実態がここまで乖離するというのは、占領軍の担当のオプラー氏の回顧録などを読んでもまさにこういう問題が起きるとは想定せずに制度設計しておりますので、本当はそこから見直さなきゃいけないと思います。今回憲法改正の話まではできないでしょうから、私はそれはちょっと深刻な問題として残るだろうという気がいたします。
○福島瑞穂君 行政のチェックということで、先ほど行政法にみんなが弱いということをおっしゃいましたけれども、たしか司法試験の科目から労働法、行政法がなくなったのですが、何かそういうことについてアドバイスがあったら一言お願いします。
○参考人(木佐茂男君) 今回行政法、労働法が削除されることについて、余り世論も国会その他でも大きな反響はなくて、学界でも阿部泰隆教授を中心に反対運動があったぐらいで、あっという間に決まってしまいました。
しかし、世界の中で行政法が科目に入っていないのは私の知る限りありませんで、アメリカでも択一的な科目の中に行政法は入っておりますし、それから多くの国は憲法、行政法という科目のセットとして公法というような枠の中で必ず行政法という権力統制の法に関しては試験科目がございます、比率の大小はございますけれども。
そういう意味で私は、これは労働法についてもそうだと思いますけれども、せめて二科目を一つどこかにまとめるか、労働法だったら民法系の中に入れるとか、それで択一の一定比率は占めると。行政法は憲法の中の択一の中にせめて三割ぐらいは入れさせていただきたい。佐藤参考人はどういう御意見かわかりませんけれども。
そういう形で、私は全体として公法部門の強化というのを図る方向で当面は司法試験の科目の問題について言えば乗り切る道はあるだろうと思っております。
○福島瑞穂君 ありがとうございました。
○中村敦夫君 私は、午前中の三人の参考人にした質問と同じ質問を一つだけしたいと思います。
それは司法改革の中で日本に▼陪審制を導入すべきか、大きなポイントとすべきかどうかという問題なんです。なぜこれにこだわるかといいますと、法曹一元とか司法の容量拡充あるいは教育制度の改革、裁判での法的扶助とか、そういう制度的なもの、これは外せないだろう、そしてこれをやらない限り司法改革にはならないだろうというふうに思います。
しかし、これは非常に重要ですけれども、専門家側の、要するにシステムの方の転換だと思うんです。それだけで日本の司法が変わるかどうかという問題がある。大きな問題としてやはり国民の側の問題が抜けているのじゃないか。かなりの数の国々を私は旅し取材しましたけれども、司法と国民の生活がこれほど乖離している、なじみのない国は特に先進国では珍しいということなんです。この部分が大きく変わるような装置を仕掛けないと、行政側だけの改革では本当に半分の改革になってしまうのじゃないかというふうに思います。
そこで、やはりいろいろなメリット、デメリットはあるにせよ、▼陪審制度の導入ということは、戦前のいろいろな条件とは現在違いますから、もう一度果敢に試すことが非常に大きな変化をもたらすのではないか、その可能性に多少期待しているんです。
ですから、そのことについてどういうお考えを持っていらっしゃるか、お三人に同じ質問でお答えいただきたいのです。四、五分ぐらいずつありますので、どうぞお願いします。
○参考人(木佐茂男君) 私は比較的研究対象がドイツとかヨーロッパなものですから、▲参審制をたくさん見ているということもございまして、木佐は▲参審制論者だということで一般的には言われているかと思います。
しかし、この間、六、七年前からは、実は私は実験論者とでもいいますか、もう議論はいいじゃないかという気がしております。東京は首都圏で割かし古いものを大事にするところですので、東京高裁とその幾つかの周辺の高等裁判所は現行制度のまま職業裁判官だけで裁判をする。東日本は▼陪審制か▲参審制かいず
れかを試行してみる。西日本はそのもう一つの制度を試行してみる。全国を三つに分けてもう実験をした方がいいと。
つまり、机上の空論で▼陪審、▲参審のそれぞれの長短を言い、それは大体もう出尽くしていると思うんです。どこでも欠陥はあるんだろうと思います。現に誤判というのは▼陪審でもあります。▲参審制であってもないわけではないです。
そういう意味で、既にこの十年来、陪・▲参審の問題はかなり私は出てきたと思っておりますので、三カ所で三つの違ったものをやればおのずとどちらが日本の国民性にふさわしいか。▲参審制は▲参審制で裁判の全プロセスに市民が裁判官の行為を監視しているという機能がありまして、いわゆる裁判のプロセス全体の透明性に奉仕する。それから▼陪審制の場合は事実認定のことが圧倒的に強いわけですけれども、その事実認定を全面的に市民が決められる。そのそれぞれの長短がございますので、とにもかくにも実験のための制度的手当てを早く整えて、あとは試行に移る。それで十年待てば十分に結果が見えて、三つが全部なじむかもしれないのです。その結果、同じような判決が出るかもしれないのですが、それはそれでよい。そのまま永久に日本は三つの裁判が進んでいいというような気もいたします。
最近、日弁連が報告なさいましたが、デンマークのように陪・▲参審が併存している国とか、それから普通は▼陪審から▲参審に移ってきたとかそういう歴史的な経緯はいろいろございますけれども、日本のように、スタートするのであれば私は実験でいい。ただ、スペインのように独裁がなくなって最近▼陪審が復活したとかそういうところもありますので、▼陪審への流れというのは少なからずあるかな、再びあるかなという気はいたしますが、私の今の見解はどちらが本当にいいかわからないので実験がいい、こういうものです。
○参考人(佐藤幸治君) 私も▼陪審制については、先ほど矢口元長官の言葉を引用させてもらいましたけれども、この審議会でぜひ積極的に審議していただきたいというように思っております。
それの一番大きな理由は、その矢口元長官の中にも、お上意識云々というのがありましたけれども、裁判というのは何か自分たちと別のものであって、そこから何か与えてもらうものだ、正義というのはおのずから実現するものだという、どうもそういう意識が日本の国民の中にあるんじゃないか。
それとちょっと話は前後しますけれども、日本の裁判官に対するイメージも、どなたがなっても一緒のものというように期待するところがあるんじゃないかと思うんですね。そうすると、だんだん裁判官の方もそういう観点から自己規制していって、外から見ると何となく窮屈な人に見える、そういうところがある。
法あるいは司法における人間のドラマ性といいますか、そういうものがもう少し日本の中に出てくる、そういうものであっていいのではないか。審議会で、まさに裁判とは何か、司法とは何かという哲学的議論をすることの意味がそこに一つあると思うんです。
そして、具体的には▼陪審というものは、自分たちが直接その正義の実現の場に臨席して人の運命というものを自分の問題として真剣に考える、そういう機会を国民が持つことによって、裁判、司法というものはもっと人間のドラマ性を持っているんだということを実感して、司法というのは自分たちのものだ、自分たちの生き方の問題なんだということを考える一つの場として、この▼陪審制というのは、先生お説のように、非常に真剣に考えるべきテーマではないか。
それから、もう一つだけ。法曹一元制をもし将来とるとしますと、やっぱりある種の、国民から見ると、仲間内じゃないかというように見られる。私はおやっと思ったことがあるんですけれども、全く法律を知らない人たちに法曹一元と言うと、これは仲間でやるということですかと言われる。そうではないんだということを国民に納得してもらうためにも、▼陪審制というのはある種の意味を持っているのではないかというように考えております。真剣に議論していただきたい。
すぐ一律にできるのか、さっき木佐さんがおっしゃったように、実験的に例えば大きなところでまずやってみるということとか、いろいろな方法があるかもしれませんが、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに考えております。
○参考人(松田昇君) ▼陪審制度の是非をめぐって議論をするということ自体は非常にすぐれたことで、立派なことだと思いますし、それを今度の審議会のテーマに取り上げるということ自体には私も全く反対はなくて、当然のことだと思います。これは古くして新しい問題でございますから、この辺できちんとした形の答えを出すというのも一つの方法であろうと思います。
ただ、▼陪審制度が国民に司法をなじませる、あるいはもっと身近なものに引き寄せるという、本当にそれになじむ制度なのかどうか。私は、全く個人的な意見で恐縮でございますけれども、今この段階でそういうふうには必ずしも言い切れないのではないかな。いろんな意見をもう一度よく酌み取って、まず▼陪審制度の導入の是非についても議論する必要があるだろう、そこから始めてもらいたいと思います。
なぜならば、今度我々が改革するのは国民のための司法改革であるわけですから、国民が司法に求めているものは何かということをもう一度原点から振り返る必要があると思うからです。その原点から振り返るということは、現在の裁判官たちがやっているいわば非常に孤高な形をとっている職業的な裁判官、しかしそれは廉潔性に満ちた裁判官としてここずっとやや定着してきているわけですが、それをなお振り切って▼陪審制に行ってやる方が事実の確定のためにも、また適正な法的対応をするためにもベストだ、あるいはベターだと言うからには、もっと国民の声をきちっと聞いて、どちらの裁判官像を選びますかということから始める必要があると思うからです。
それに関連して、私、一つ心配なのは現在のマスコミとの関係でございまして、マスコミとの関係を具体的に断ち切って、ある一定の期間、▼陪審員としての受任義務を課せられた市民がそれにたえてやっていく手だてをきちっとつくらないと、仮に▼陪審制を導入するとしてもそこは失敗に終わるのではないかな。我々は手だてと同時に質の高さが必要ではないかな、このように私個人としては考えております。
○中村敦夫君 ありがとうございました。質問を終わります。
○委員長(荒木清寛君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用のところ大変貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時三十六分散会
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145 参 本会議 19 1999/05/10
平成十一年五月十日(月曜日)
午後零時二分開議
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○議事日程 第十九号
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平成十一年五月十日
正午 本会議
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第一 司法制度改革審議会設置法案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
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○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一 司法制度改革審議会設置法案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。陣内法務大臣。
〔国務大臣陣内孝雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(陣内孝雄君) 司法制度改革審議会設置法案について、その趣旨を御説明いたします。
二十一世紀の我が国社会においては、社会の複雑・多様化、国際化等に加え、規制緩和等の改革により、社会が事前規制型から事後チェック型に移行するなど社会のさまざまな変化に伴い、司法の役割はより一層重要なものになると考えられ、司法の機能を社会のニーズにこたえ得るように改革するとともに、その充実強化を図っていくことが不可欠であると考えられます。
そこで、政府といたしましては、このような観点から、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する機関を内閣に置く必要があると考え、この法律案を提出することとしたものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、内閣に、司法制度改革審議会を置くこととし、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議するとともに、調査審議した結果に基づき、内閣に意見を述べることをその所掌事務とすることとしております。
第二に、審議会は、委員十三人以内で組織し、委員は、学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命することとしております。
第三に、審議会の事務を処理させるため、審議会に事務局を置き、事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置くこととしております。
なお、この法律は、政令で定める施行の日から起算して二年を経過した日にその効力を失うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
なお、司法制度改革審議会設置法案は、衆議院におきまして、審議会の所掌事務について、次のとおり修正が行われております。
審議会は、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹のあり方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議するものとすること。
以上であります。(拍手)
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○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。
発言を許します。海野徹君。
〔海野徹君登壇、拍手〕
○海野徹君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました司法制度改革審議会設置法案に対し、小渕総理並びに陣内法務大臣に質問いたします。
二十一世紀を目前とした今日、司法のあり方が問われ、政治改革、行政改革に続く第三の改革として、戦後五十年間ほとんど手を加えられなかった司法制度について改革を求める国民の声が高まっています。
小渕総理は、去る一月十九日の施政方針演説で、「すべての人々の人権が最大限に尊重される社会の実現に努力するとともに、より国民に身近な司法制度の構築に取り組んでまいります。」と宣言し、司法制度改革を実現する強い決意を表明されました。
今日の我が国の司法制度に対しては、国民からさまざまな不満や批判が出されています。それらの概要は次の三点に集約されると思います。
第一は、三権分立を基本原理とする日本国憲法のもとで、司法には立法や行政に対する監視と抑制の機能を通して、国民の権利と自由を守り、法の支配を実現するという役割が期待されていますが、この憲法の理念はほとんど機能していないという指摘であります。立法裁量や行政裁量が絡む事件については司法は過度に自己抑制的となっており、大きな行政と小さな司法という旧体制が温存され、これが国民の司法に対する信頼を揺るがしていることであります。
第二は、我が国の司法は二割司法とやゆされるように、紛争解決手段として果たす役割は小さく、二割しか機能していないという指摘です。裁判は時間がかかり過ぎ、その結果として費用も高額になることが多く、国民が安心して利用できるシステムとはなっておりません。また、行政訴訟においては、行政当局の主張が優先される傾向にあり、国民は泣き寝入りを余儀なくされています。さらに、我が国の法曹人口は諸外国と比べて格段に少ないことも指摘されています。
第三は、総理みずからが国民に身近な司法の構築と言われたように、裁判所は国民にとって身近なものではなく、国民が必要とするとき利用することができる制度としては定着していないということであります。
さて、ただいまの趣旨説明においては、二十一世紀の我が国社会は、社会の複雑・多様化、国際化等に加え、規制緩和等により、事前規制型社会から事後チェック型社会に移行するなどの社会のさまざまな変化に伴い、司法の役割はより一層重要になるとの認識のもとで、司法の機能を社会のニーズにこたえ得るよう改革し、その充実強化を図っていくと説明されました。これは、今日の司法はその機能を十分果たしているという視点からの発想であります。
確かに、規制緩和等により、自己責任の原則に貫かれた社会へと転換することにより、司法の役割が増大し、その機能の充実強化は喫緊の課題であります。このこと自体、否定するものではありません。しかし、政府案の視点は、今日の我が国の司法の現状についての認識が不十分であります。今日の我が国の司法制度はほとんど機能不全に陥っており、まずこのことを前提とした上での改革でないと、抜本的な司法改革は到底実現することはできません。
そこで、小渕総理にお伺いします。
総理は、我が国の司法制度の実情をどのように認識されているのでしょうか。総理が改革の実現に強い意欲を表明された今日の司法制度にはどのような問題があるとお考えなのでしょうか。私がただいま指摘しました三点に対する総理の見解をお尋ねします。
次に、ただいまの趣旨説明から明らかなように、政府提出案は、事後監視・救済型社会における司法が果たすべき役割を明らかにしようとするものであります。それは、紛争解決手段としての司法を充実強化し、利用しやすい司法を目指すものです。この方向に反対するものではありません。ただ、これによって粗雑な司法に陥らないように注意しなければなりません。
と申しますのは、司法の機能は紛争解決の手段だけではありません。刑罰法令の厳格な適用、人権の擁護と社会正義の実現、立法、行政に対する監視と抑制という役割もあります。規制緩和と経済的合理性だけが強調され、二十一世紀を競争原理が支配して社会的弱者が切り捨てられる弱肉強食の社会にしては
ならないのです。司法改革が目指す方向は、紛争解決手段としての機能を充実強化するとともに、国民の権利、自由を守るために、立法や特に行政に対する監視と抑制の機能をも充実させることにより法の支配を拡充発展することであると考えます。
ところで、本法律案は、衆議院において、政府原案に対し、調査、審議する事項として、「国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備」という内容を加える修正が行われましたが、この修正によっても、やはり基本的には規制緩和後の社会の秩序維持を目的とするものとしか理解できません。
そこで、小渕総理にお伺いします。今回の司法制度改革の目的は何かということです。
二十一世紀の規制緩和後の自己責任の原則に基づく社会の秩序維持を目的とするのか、それとも戦後五十年を経過して行政が市民活動や経済活動の隅々まで介入する行政国家のもとで機能不全を余儀なくされている国民の権利、自由を司法が確保するという法の支配の原理の拡充発展が目的なのか、総理の見解をお尋ねします。
本法律案では、内閣に設置される審議会の存続期間は二年間とされています。機能不全に陥っている我が国の司法を再生するための課題は山積しており、じっくりと腰を据えて調査、審議すべきであり、二年間では余りにも短過ぎます。二年間と限定することで、審議会事務局を構成する司法官僚から審議促進を迫られ、小手先だけの改革に終わらせてしまうなど、この審議会を司法官僚の隠れみのとすることは断じてあってはなりません。小渕総理、審議会の存続期間を延長するお考えはありませんか。
また、十三名の審議会の委員の選任に当たっては、司法制度の実情を把握するとともに、国民各層の意見が十分に反映される必要がありますが、どのような基準で委員の選任を行うのか、総理のお考えをお伺いします。
さらに、審議会が国民的視点に立った司法改革を調査、審議するのであれば、審議会委員だけで結論を出すのではなく、審議会の審議状況を逐次公表して国民に情報提供するとともに、広く国民の意見を審議に反映させるべきであると考えますが、この点について総理はどのような見解をお持ちなのでしょうか。
さらに、司法制度改革への取り組みは、今回で戦後三回目となります。第一回目は、昭和二十年十一月、司法省内に設置された司法制度改革審議会により、また、第二回目は、昭和三十七年、内閣に設置された臨時司法制度調査会によりそれぞれ調査、審議が行われました。この二度の司法制度改革への取り組みにおいていずれの検討項目としても取り上げられながら実現しなかった事項に法曹一元制度の採用があります。
法曹一元制度は、裁判官を弁護士の中から任命するものであり、現行のキャリアシステムによる限界を克服するものとして期待されております。
私たちの社会は、正と不正、善と悪が複雑に絡み合った社会です。画家が影を濃く描くことによって光の強さをあらわすように、私たちは悪をはっきりと認識したとき、初めて人間の偉大な善を想起することができるのです。人を裁く人間には成熟さが求められます。それには、清流の中にしか身を置かないのではなく、濁流にもまれることが必要であり、自分はいつも強いと自信を持つのではなく、自分の弱さも認識できる勇気を持つことが大切なのです。今日のような裁判官の養成システムのもとでは、司法の活性化や法の支配の実現を期待することはできません。
臨時司法制度調査会の意見書は、「法曹一元の制度は、これが円滑に実現されるならば、我が国においても一つの望ましい制度である。 しかし、この制度が実現されるための基盤となる諸条件は、いまだに整備されていない。」として、法曹一元制度の採用を見送っています。以来三十七年が経過いたしましたが、今日においては、法曹一元制度を実現するための諸条件は整備されているのか、いまだに整備されていないのか、政府は整備に向けて努力してきたのか、陣内法務大臣の認識をお伺いします。また、法曹一元制度の採用についてどのような見解をお持ちになっているのか、あわせてお伺いします。
さらに、より国民に身近な司法制度の構築のためには、司法判断に国民の声を反映させることが必要です。また、国民が司法に参加することにより多くの国民が法と裁判の仕組みや捜査のあり方に触れることになり、現行制度の欠陥が浮かび上がり、これを改善しようとする動きにつなげれば民主的な司法制度を築くことも可能となります。特に、最高裁判所を頂点とする司法官僚体制の弊害を是正する有効な手段となります。
そこで、司法における国民主権の実現を目指して、市民が裁判で事実関係を認定する▼陪審制度や市民が裁判官とともに評議をして裁判の結論を出す▲参審制度の導入を検討すべきであると考えますが、国民の司法参加の意義について陣内法務大臣の見解をお伺いします。
最後に、「国としての品格は、自分たちは偉大なる民族に属するという感情から、その支持と力を得るものである。先祖の偉大さを受け継ぎ、先祖の遂げた栄光を永続させるべきだという風土が、その国に出来上がったときに、国家としての品格が高まる。」とサミュエル・スマイルズは「品性論」で述べています。
今回の司法制度改革論議が我が国の品格を高める上で意義ある論議であることを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 海野徹議員にお答え申し上げます。
司法制度の実情について、まずお尋ねがありました。
我が国の司法制度につきましては、三権分立の趣旨を踏まえて、その機能を十分果たし、国民に利用しやすい適切な紛争解決の手段を提供すべく、司法関係者におきまして最善の努力がされているものと認識いたしておりますし、政府としても努力をいたしてまいったところであります。
しかしながら、なお司法が国民に身近なものになっていない。例えば民事法律扶助制度につきましても一層の充実強化を図るべきなど御指摘もあり、政府といたしまして、一層国民のニーズにこたえ、国民に身近な司法の構築に取り組んでおるところであります。
今回の司法制度改革の目的についてお尋ねがありましたが、二十一世紀の我が国社会におけるさまざまな変化に伴い、司法の機能を国民のニーズにより一層こたえ得るように改革するとともに、その充実強化を図ることが今回の司法制度改革の目的であり、社会においてルールが適正に守られるよう司法がその役割を十分果たすことによりまして、法の支配による国民の権利、自由の確保も図られるものと考えております。
審議期間の延長についてお尋ねがありました。
司法制度の改革は我が国の喫緊の課題でありまして、司法制度改革審議会におきましては、二十一世紀の司法のあり方を審議するという本法案の趣旨及びその審議期間を念頭に置かれつつ、重要と考えられる審議事項について必要な調査、審議を行っていただき、審議期間内にぜひ御意見をいただけるものと考えておるところでございます。
審議会の委員の選任に関する基準についてお尋ねでありましたが、審議会は、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について国民的見地から調査、審議することを目的とするものでありまして、このような視点のもとで調査、審議するのにふさわしい有識者を国民各層から委員として選任する必要があると考えております。
審議会の審議状況の公表についてでありますが、審議会の公開は従来から政府の基本的方針でありまして、本審議会におきましても、その趣旨を踏まえ、具体的な公開の方策も含め適切に対応されるとともに、国民の意見が反映した審議をされるものと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣陣内孝雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(陣内孝雄君) 海野議員にお答えを申し上げます。
まず、法曹一元の制度についてのお尋ねがありました。
法曹一元の前提条件としては、法曹人口の飛躍的増加、弁護士の地域的分布の平均化等の多くの事項が指摘されております。
政府においては、これらの事項に関し、司法試験合格者の増加を図るなどの施策を講じてまいりましたが、現状においては、これらの諸条件が整備されているとは言いがたいと考えております。
しかしながら、司法制度の改革に関する各界の提言中にもこの制度につき言及するものが少なくなく、司法制度のあり方についての一つの考え方として、広く国民の意見を踏まえて議論される必要があると考えております。
次に、国民の司法参加の意義についてお尋ねがありました。
御指摘の▼陪審・▲参審制度の導入等国民の司法参加の問題につきましては、司法をより国民に身近なものにしていくという観点からも意義があるといった提言がなされていることは承知しております。この問題につきましては、我が国の司法の基本にかかわる問題でありますので、種々の観点から慎重に議論される必要があるものと考えております。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十一分散会
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145 衆 商工委員会 11 1999/04/27
○与謝野国務大臣 御存じのように、まず、訴訟に関して言えば、日本の弁護士の方の数はアメリカに比べて二けた近く少ないんじゃないかと思います。
そういう中で、アメリカでは訴訟が頻繁に行われる、これはあらゆる分野でそういうことになっておりますが、日本の特許訴訟に関して言えば二つのことが実は問題になっておりまして、まあ三つだと思いますが、一つは、裁判に時間がかかり過ぎるということ。それから、裁判官、弁護士に、特許法に関して、特許法自体は御存じなんだけれども、特許を裁判所で審査しますのにはやはり技術的な背景が必要なので、法廷における弁護士の地位は当然きちんとした制度がありますが、弁理士の方にどう法廷で活動していただくか。これは業際問題でなかなか、弁理士会と弁護士会とのお話し合いがあるんだろうと思います。
それと、やはり損害賠償額が実際の損害とはかけ離れているという問題が実はあって、恥ずかしい話ですが、日本の会社が日本の会社を訴えるのにアメリカの法廷に行って訴える。裁判は迅速だし、賠償は余計とれる。こういう例は実は何件もございますし、有名な会社がそういうものをやっているケースがあります。
これは大変嘆かわしい状況で、昨年あたりから最高裁もそういうことをよく気がついてくださって、東京地裁に特許だけを審査する部を一つ二つと新設してくださいました。しかし、これで十分かといえば、まだまだ十分でないわけでございます。
今回の法改正は、実際、日本で裁判にせっかく勝っても少ないと言われた損害額、損害の補てんを可能にするということと、やはり挙証責任の問題、証拠収集の問題等がございまして、証拠収集の手段を拡充することによりまして訴訟審理を早める。要するに相手方からもいろいろ書面、証拠を出していただくというような新しい制度が入っているわけでございます。
これはやはり、発明者を保護するということは、その後に続く発明者にインセンティブを与えるということでございますから、せっかく発明したのに正当な保護が受けられないということですと後のインセンティブがなくなりますし、全体としては、長い間そういうことを続けていきますと日本人の創造的な発明意欲というものをそぐわけでございます。
現在提案されておりますのは、今の法体系、民法、民事訴訟法、特許法等々にかかわるものを前提としながら制度の拡充を図りまして、裁判の迅速化、創造的技術開発の推進といった普遍的な問題を解決しようということを目指しておりまして、これによって日本が不利になるというようなことはないというふうに考えております。
○渡辺(周)委員 これから徐々に、いろいろな形で訴訟社会というものになっていくのかなという、実は非常な危機感、危惧を持つわけであります。
これは、知的所有権に対する考え方、特に訴訟のあり方においても日米では違いがある。知的所有権の中にも米国特有な、例えばサブマリン特許というようなものもございまして、御存じのように、長いものでは三十八年間潜伏をしてい
る。つまり、ありとあらゆるものが抵触をするようにできていて、そこからは逃げられないようにして、実は和解に持ち込んで多額の金額を取る。これは、よくアメリカの方は、パテントマフィアというような方々もいらっしゃるようでございまして、またあるいは訴訟のやり方についても▼陪審員を納得させる。これはアメリカのあり方、こういうものも実は大変な問題がある。
それから、特許の解釈においても、日米においてかなりの開きがある。つまり、日本では人間の思考過程と解釈されて、例えば、これは数学の計算式の問題ではないか、思考過程の問題であるというようなことが言われていても、アメリカでは特許として成立することがあるんだと。いかに違いを、双方本当にというよりも、日本がその点についていかに研究開発を重ねてそしてまたやっていっても、最後にそこで侵害ということになる。
これは私の思いなんですけれども、そういう中で、法律の世界においても、あるいは今大臣がおっしゃられたような弁理士の方々の中においても、ぜひともこの訴訟社会にたえられるような、あるいは勝利できるようなそういう方々に対しての支援というものもつけ加えてお願いをしたい。また、そういう環境整備をしていかなければならないと思います。
そこで、こうしたいろいろな環境の中で、特許庁のあり方ということについてもお尋ねをしておきたいわけであります。
こういう日本の重要な戦略的分野である知的財産権、これが、省庁再編の中では経済産業省の外局という立場に置かれる。私は、ある意味では、こうした戦略部門については、より政治に近い位置づけというものをしていくべきではないのかなというふうに考えるわけでありますけれども、その点についての大臣の御認識はいかがでしょう。
○与謝野国務大臣 特許庁というのは普通の役所と違いまして、審査という非常に厳密なことをやるわけですし、裁判はやりませんけれども、特許で争いが起きましたときにある種の考え方を示すというような、他の役所とは違うような部分がございます。
特許行政は、工業所有権四法や諸外国の例にかんがみまして、経済産業行政の一環として経済産業大臣が戦略的な観点から実施するということが我々は適切であるというふうに考えておりまして、今度の行革でもそのように扱われておりまして、それは適切なことだろうと思っております。諸外国について申し上げますと、工業所有権が貿易や産業と密接に関連を持つことを考慮しまして、経済産業省に相当する省の外局として設置されることが通例になっております。
また、特許庁の独立行政法人化についてですが、工業所有権行政は、次のような業務の特質を有することから、今回の省庁再編においても、国みずから行うべき業務とされております。第一には、排他的権利の設定のための高度で専門的な判断を伴うこと。それから第二は、特許庁の行う審判が第一審機能を有しているとともに、権利侵害等に対して民事上、刑事上の責任を問われること。第三には、経済のグローバル化を反映し、制度の国際的調和等を図るための国際交渉が重要であること。
いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、知的財産は我が国にとって重要な戦略的分野の一つであるとの認識のもと、工業所有権行政を遂行していく、これは大変大事なポイントだろうと私は思っております。
○渡辺(周)委員 今後、知的財産をめぐる問題というものは政治課題として、とにかく日米交渉であるとか世界の中でもいろいろな形の中で出てくる、そしてまた企業同士においても大変な、ある意味では伝家の宝刀にもなる、しかしある意味では本当に危険な交渉材料ともなり得るであろう。そのような認識の中で、ぜひとも政府としても、国として、日本の重要戦略物質である知的所有権について、これからさまざまな法制度の整備はもちろんでありますけれども、側面的な支援、あるいは人材育成についても、とにかく国民挙げて、国を挙げて進めていただきたいというふうに思うわけでございます。
今回の法律の個々の問題についても触れなければなりませんので、次にちょっと進むわけでございます。
まず、幾つかございますけれども、一つには、出願公開期間の短縮についてという点で、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
審査請求期間が大幅に短縮される中で、出願公開までの期間をそのまま据え置くことには、いろいろな関係する方々の意見の中には疑問を感じるという声もあるわけでございます。まさに時は金なり、タイム・イズ・マネーでございまして、とにかく一年という時間は大変に貴重な期間でございます。そんな中で、十八カ月の間、申請された特許についてだれも知り得ることができない、これでは長過ぎるのではないだろうかというような指摘もあるわけでございます。特許庁から先般お話を伺いましたところでは、十八カ月間がいわゆる国際基準、グローバルスタンダードである、我が国だけが調和を欠くと特許の申請人の方の公平性が保てないということでございました。
ただ、今後日本がこれからやっていく中において、将来的には十八カ月より短い期間を各国に働きかけていくように、そしてまた先ほど来お話ししていますような、知的財産立国、技術立国とする我が国において、この方が実は国益にかなうのではないだろうかといったような認識を持つわけでありますけれども、その点について、個々の法律論の中でお尋ねをしておきたいと思います。
○伊佐山政府委員 先生御指摘のとおり、現行、出願から十八カ月後に公開するという制度をとっておりまして、これはパリ条約の一つのルール、国際的に確立されたルールになっております。したがいまして、内外におきまして共通の公平性を保つという意味で、制度は原則としてこういう形で存置させるのが望ましいかと思います。
ただ、今回の法改正によりまして、出願する者の方が希望する場合におきましては、出願から一年六カ月経過以前でありましても出願公開をするということを認めていただく、そういう法改正を入れていただいております。
つまり、出願した後同じものがコピーされて出されてしまう、あるいは出願されたものと類似のものが世の中に出回り始めるというようなことがあったときに、不要な訴訟を回避するという観点からも、金銭的な補償金請求権というものを出願する者に与える必要があるだろうということもございまして、出願人の権利の保護を確保するという観点から、十八カ月前であっても、出願人が希望する場合にはそれを認めるというようなことにさせていただいております。
○渡辺(周)委員 そのような御意見も承りました。私も伺ってきたわけでございまして、これから取り巻くさまざまな環境の中においては、日本がとにかくイニシアチブをとるときもこれから来るであろうといった中で、ぜひともリーダーシップを発揮していただきたいと思うわけでございます。
それから続けてちょっと、個々の分野におけるところでありますけれども、電子特許図書館です。
今回、このような形で、先月の三十一日ですか、電子特許図書館が開設をした、そして一日一万件のアクセスがあるというふうに聞いているわけであります。この機能拡充ということについて、あるいはインフラ、通信基盤の整備ということについて、中には、企業においては一企業当たり何千万もの大変な負担を余儀なくされているというところもあるように聞いております。こういう中で、一層の努力を期待される。
あるいは、例えばヨーロッパの特許庁のデータベースには世界主要十五カ国の特許が収録されている、米国の国際特許情報センターには世界五十数カ国のデータも収録されている。これから日本も追いつかなければならないわけでありますけれども、その機能拡充あるいは通信基盤の整備という点について、特許庁から今後のお考えを聞いておきたいなというふうに思うわけであります。
○伊佐山政府委員 私どもにおきましても、この三月三十一日から特許図書館を開設いたしまして、内外の情報を提供させていただいております。特に外国の特許情報につきましては、アメリカの特許明細書の過去十年分、六十七万件ほどがその中に入っております。
また、今年度予定いたしております海外の特許情報につきましては、アメリカの情報をさらに三百七十七万件収録する、あるいは今先生御指摘のヨーロッパ、EPOの場合だけでも、そのEPOが設立された後の情報を七十六万件、あるいはイギリス、フランス、ドイツ、スイスといったような主要国の特許情報につきましても、百万件前後ずつ収録いたしたいというふうに思っております。またさらには、それ以外の国につきましても、平成十二年度以降に順次拡充してまいりたいというふうに思っております。
また、情報基盤の拡充の御指摘でございますが、私どももその必要性については十分認識いたしておりまして、ただ単にインターネットによりますサービスで十分であるかどうか。特に地方にいらっしゃる方々にとりまして、込んでしまったときに必ずしもすぐにアクセスできないというようなケースが現実の問題として起こっておりますものですから、この辺を重点的に拡充する必要があるだろう。
そういうことで、各地方の通産局九カ所に専用線によります情報提供ということを考えていきたい。それから、各都道府県に知的所有権センターというのが全国四十七カ所ございます。そこにおきましても同じように専用線を導入いたしまして、今年度中にもこういう情報がより迅速にアクセスできるというような形にいたしたいと思っております。
また、大手の企業にありましては、それぞれの部署におきまして独自のデータベースを構築するというようなことをやっております。こういう方々のことをも考慮いたしまして、これまでにも、公報類を初めといたします特許情報、これをCD―ROMのような形でもってマージナルコストで提供するというようなことを通じまして、それぞれの企業内での社内のデータベースの構築を容易にするというような
ことをやっていただいておりますけれども、これにつきましても、利便性のさらなる向上といったことに今後努力してまいりたい、こんなふうに思っております。
○渡辺(周)委員 今、これから拡充、機能強化を図っていくというようなことでございます。そういう意味では、いかに利便性を図るかということをぜひともこれもまた御尽力をいただきたいと思うわけでございます。
今度は、TLOについてもひとつお尋ねをしたいと思うわけです。
実は、TLOについては、昨年の国会で私もこの場で質問をさせていただきました。その後、いろいろな大学で続々と立ち上げられているようでありますけれども、反面、この経済環境の中で、民間企業の側は、TLOを活用した新たな商品開発というようなところにはまだなかなか踏み切れないというのも、先般法律が国会で成立して以来、その認識といいましょうか、ギャップがまだまだあるというふうに聞き及んでおります。
もちろん、昨年八月が法施行でありますから、実施期間が短いのは承知でございますけれども、この制度において、幾つかの課題といいましょうか、問題点というものも明るみになってまいりました。
例えば、国の特許を国立大学のTLOに渡す場合はただであるけれども、私学が設置したTLOの場合は特許料を支払う必要がある、私学側の不満でありますとか、あるいは、なかなか商品化に結びつかない。当初立ち上げをしていく上で、企業に例えば会員制で会員を募ってみても、こういう経済情勢だからなかなか最初のスタートダッシュがうまくいかない。今いろいろな指摘があるわけであります。
そういったいろいろな指摘がある中で、この法が施行されて以来、どのような課題が出てきたか、また、どのような形で国は支援をしてきたかということについて、お尋ねをしておきたいと思います。
○江崎政府委員 TLOのお尋ねでございますけれども、今御指摘のように、幾つかの大学で設立の準備が行われ、現に設立をされました。昨年の十二月に四つの大学を中心にスタートをしておりますし、さらに、今年に入りまして四月に二件をスタートするということでございます。
その後どういう課題が出てきたかということでございますけれども、今申し上げましたように、まだTLOがスタートしまして時間が短うございまして、課題を判断するには少し早いかというふうに思っております。ただ、事業の立ち上がり期間におきまして、こうしたTLOが資金的な困難に遭遇するということは十分考えられるわけでございまして、そういうことのために助成金ですとか債務保証、こういったことを準備しておりまして、今後もこれについては最大限の力を注いでいきたいというふうに思っております。
御指摘の特許料の免除の問題でございますが、大学における研究成果のうちで特に国に権利が帰属するもの、これを譲り受けてTLOが事業を行うという場合に、法律の認定を受ければ確かに免除措置を受けられるわけでございますけれども、それは扱う権利が国有のものかどうかということの違いでございまして、設立されたTLOが国立大学によって設立されたか、あるいは私学によって設立されたかということの違いはございませんでして、例えば私立大学が国有の特許を扱う場合には同じように免除措置を受けられるということでございます。
ただ、いずれにしても、一般的に言いまして、今の制度のもとでは国に権利が帰属する場合というのは非常にまれでございまして、今の制度のもとでは実は大部分は、国立大学あるいは私立を問わず、個々の研究者に帰属するというケースが相当多くなってきております。そういうことですから、TLOにおきましては、むしろ特許権の免除を受けられずに、必要な対価を払ってこれを取得するということが多いわけでございます。
したがいまして、これについて、先ほど申し上げましたが、資金的な支援をすることが必要であるというふうに思っております。
平成十年度の実績でございますが、二千三百万円の助成措置を講じております。それから今年度でございますが、四億円の助成措置を確保しておりますが、これはまだこれからということでございます。
○渡辺(周)委員 いずれにしましても、資金集めの問題も含めて、あるいは意識の中にも、特許を取るということよりも論文を書くことの方に、まだ大学の先生方の中にはそちらの方を大事だと思っていらっしゃる方もやはりいらっしゃるわけであります。そんな中で、このせっかくのTLOでございます、これからいろいろな産学連携の中で、今の要望でありますとか問題点、こんな中で、ぜひともよりよいものにしていっていただきたい。
そして、とにかく最初から一貫して申し上げていますような、人材づくり、そして日本の知的財産による国家戦略、これを進めていくべくぜひとも支援をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○古賀委員長 大畠章宏君。
○大畠委員 民主党の大畠でございます。商工委員のメンバーが少し少ないような感じもしますが、私の方から特許問題について質問をさせていただきたいと思います。
先ほど与謝野通産大臣からもお話がございましたが、特許を取り巻く環境については、国際的な、経済戦争といいますか、大競争時代の中において、大変重要な経済競争における環境をつくるもとにもなっておりまして、ここら辺について何点か御質問させていただきます。
先ほど与謝野大臣からもお話がありましたが、日本の特許に関する訴訟において、日本の裁判所というのはまだまだ不十分な体制にある、したがって、日本に訴えるのじゃなくてアメリカに訴えるような、そういう事態も生まれてきておるという話もございました。この問題は確かに私自身も何人かの関係の方から聞いております。
今回の特許制度そのものの改革については、従来の問題点を改革しようということで努力した経過がうかがわれるわけでありまして、その内容については評価をするところでありますが、この今回の法改正で、今のいわゆる大競争時代における日本の企業といいますか、日本の産業界の求める十分な体制に至っているという認識にはちょっと同意しかねるところがございます。
最初にその端的なところを、要するにアメリカと日本の間のこの特許戦争といいますか、かなり激しくなってきておりまして、これは与謝野大臣からも先ほどお話があったとおりでありますが、特に日米間の特許にかかわる問題について最初にお伺いしたいと思っているんです。
一つは、先ほど渡辺周さんからもお話がありましたが、サブマリン特許の問題、それからもう一つは、特許裁判所というものをアメリカでつくったという、この二つにちょっと最初に的を絞ってお話を伺いたいと思うんです。
一九八〇年代、いわゆる日本の貿易黒字が大変攻勢をきわめていた時代でありますが、アメリカとしては、何とかしてこれをはね返そうという基本的な考えがあったと思うんです。そして、国家戦略として、特許というものを使って何とか崩せないか、そういうことでさまざまな対策をしていったということを、二週間ぐらい前にNHKで特集をしていましたね。私もたまたま見ましたけれども、あっ、そんな戦略でもって対応してきたのかということで、私自身も改めて特許に関する認識を新たにしたところであります。
アメリカはよく、フェア、オープン、グローバリーと言いますね。しかしながら、実際問題、このサブマリン特許といいますか非公開制度というものを維持するというか、アメリカの行政側としてはやろうとしていますが議会が反対をしてなかなか公開制度に踏み切れないという話がありましたけれども、私は、フェア、オープン、グローバリーというものを日本にどんどん押しつけているアメリカの基本的な政策として、議会が反対をしているからといって、言ってみれば、グローバルスタンダード、グローバルスタンダードと言いながら内部にそういう問題をずっと持続している、問題を持続してしまっているというところに大変大きな問題があると思うんです。
特許庁として、このいわゆるサブマリン特許、いわゆる非公開制度、いわゆる特許を申請した時点で公開しないというものをアメリカ側がいろいろ理屈は言いながらもずっと堅持してしまっているという問題に対して、どういう取り組みをされているのか、まず最初に特許庁のお話を伺いたいと思います。
○伊佐山政府委員 先生御指摘のとおり、アメリカが主要国の中で唯一公開制度というものを採用していない国でございまして、それにつきましては、二国間、あるいはWIPO、WTOといったようなマルチの国際的な機関の場でも、私ども、早急な是正というものを要求してまいってきているところでございます。
特にサブマリン特許問題の是正のための早期公開制度につきましては、日米間の包括経済協議の場におきましてアメリカ政府の方がその是正方を約束し、九六年までにその実現を図るということになっていたにもかかわらず、それがまだ実現されていないということにつきましては我々も大変重視いたしておりまして、昨年の場合にも、例えばアメリカの第百五議会がその改正法案を廃案にいたしましたその時点で、与謝野大臣からデーリー商務長官、バシェフスキー通商代表あてに、極めて遺憾である、早急に合意の履行というものを図るべしという書簡をお出しいただいております。
それからさらに、米側からは、その問題については日本の政府の懸念を自分たちも共有する、この問題については議会の協力も得なければいけないということで、上下両院の院内総務にその旨を送達するということで、そういう措置はとっていただいております。
そういうことがあるからというわけではございませんけれども、この一月に開催されました百六議会におきまして、この部分におきます合意の実現を図るという意味合いもありまして、アメリカ上下両院におきまして関連の法案を提出されておりまして、今それが審議されている最中であります。
そういうことでもございますので、私どもは、一刻も早くこれを議会において成立を見た上で、政府としての約束というものを対外的にきちっとした形でもって果たしていただきたいということを、その実現に至るまでの間は言い続け、要求を続けてまいりたいと思っております。
○大畠委員 政府の方が約束をした。平成六年の八月十六日には、米国が早期公開制度を導入することなどを約束した合意が交わされている、今のお話だと思うんですが、平成六年に交わされながらなおかつ、もう五年たった今も履行されていない。この問題については私は、もちろん行政といいますか、日本の政府もそうでしょうけれども、私ども議会としてもそういう問題に対してはっきりさせなきゃいかぬと思うんですよ。
常にアメリカは、日本のルールは特殊でおかしい、おかしい、日本のルールを直せ、直せといろいろ言いながらも、こういう問題を五年もほってあるということ自体に対して、これは行政府がなかなかやらないかもしらぬけれども、私ども衆議院としても商工委員会としても、そういう問題に対して明確に院の意思として、我々も内部で一生懸命改革するように努力している、しかしアメリカの方でも改革しなさいということを、私は衆議院の商工委員会としても明確に表現して、何らかの形でアメリカの議会に対して是正を求める、そういうことでもやってもらわないと、ちょうど今大臣おられませんけれども、大不況の中で、日本の産業界が大変な状況の中で、こんなアンフェアなルールのもとに、製品化すると突然これは昔アメリカの特許なんだといって、特許侵害というので賠償金を求められるわけですよ。いつそういう賠償金を求められるかわからない。相手がどんな特許を持っているかわからないのに、あなたは特許侵害ですと言われても困るんですよ。
だから、まさにアメリカが言うようにオープンだったら、みんなオープンにしてもらいたい。アメリカはこんな特許を持っています、したがってそれを侵害しないようにしてくださいねというならわかりますが、自分のところは隠し玉持っておいて、何かやろうとすると、はい、あなたの製品はアウト。これはまさにアメリカが求めている基本的な姿勢と全く違うものでありますから、私は特に強く、この商工委員会としてもそういう是正に向けて何らかの形で努力というか、行動をしなきゃならないんじゃないかと思うんですね。
大臣が戻ってこられましたけれども、まあ今戻ってきたばかりでありますからあれですが、いわゆるサブマリン特許の問題、私はぜひ通産大臣にも、アメリカに行ったときに、こういうアンフェアな、先ほどのお話によると平成六年の八月十六日にアメリカは早期公開制度を導入することを約束した、合意したと言っているんですが、五年たっても議会等々の反対でなかなかできないというんだけれども、この問題についてはやはり看過できないと思うんですよ。
通産大臣、常に、日本はアンフェアである、日本国内のルールが日本独特で我々はなかなかあなたの国に商品を納められない、日米間の貿易黒字の問題も結局日本のルールがおかしいから公平なルールにしてくれたら我々アメリカの製品が必ず売れるはずだ、だからもっと日本の市場をオープンにしなさい、オープンにしなさいと言うんですが、その一方で、自分の国の中にこういうサブマリン特許、要するに、特許を申請した時点で非公開ですよ。それで、特許を申請していつ取得するかどうかというのはまだわからないわけですね。日本で製品化した場合に、突然、いやいやアウト、あなたの製品はアメリカの特許にひっかかっていますというので賠償金を求められるんですね。
こんな制度をずっと置いておくこと自体がおかしいので、大臣、ぜひこの次といいますか、とにかく何かの交渉のときにはこんな問題出してくださいよ。あなたの国はいつもフェアを求めるけれども、あなたの国はこの特許問題についてはアンフェアじゃないか、すぐ是正しなさいと言うぐらいに。大臣、こういう問題についてはぜひ大臣の日米交渉のときには取り上げていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○与謝野国務大臣 日米の間での特許制度の一番大きな違いというのは、我が国が先願主義をとっているのに対して、向こうは先発明主義をとっております。それ自体、世界の中では大変異例な制度をとっているんだろうと私は思います。
今先生が御質問になられましたサブマリン特許でございますが、これは既に日米間で約束ができているわけです。確かにアメリカの行政府は、約束をした以上国会にはそのための法律改正の法案を提出しているようでございますけれども、一向に成立のめどが立たないということは、大変我々にとっては遺憾きわまりないことでございます。
私も、米側の代表と会う機会はことしもしばしばあるだろうと思いますので、先生御指摘のように、我々も約束を履行しているわけですから、先方様もやはり約束された合理的な内容のものは早速法改正をして実行していただかないと、それこそフェアでないという気がいたします。
○大畠委員 私も、アメリカに行く機会があったら、民主党とか共和党の議員にはこの問題を話をしたいなと思っているんですよ。ですから、ぜひ通産大臣としても、そういういわゆるアンフェアなルールについては改善するように、さらに努力をしていただきたいと思います。
それからもう一つ、先ほども特許裁判所の話がありましたが、やはり、今七年ぐらいのものを三年ぐらいにするという審査請求期間もありますが、特許裁判がなかなからちが明かない。
日本の裁判所に提訴しても、正直言って私自身も特許は随分、何件ぐらい持っていますか、十件か十五件ぐらいは出した経験がありますが、特許を理解するというのは、やはり弁護士の人は難しいんだと思うんですね。図面をまず読めなきゃなりません。どういうところが特許なのかということも理解しなければなりません。かつ、それが世界の特許と比べて何が違うのか、これは非常に複雑でありまして、なかなか大変なんですね。したがって弁理士制度というのができているんだと思うんです。
ところが、その弁理士さんが裁判所に立てない。さっき渡辺周さんからもお話がありました。したがって、もう日本の裁判所に訴えても、国際特許裁判というのは大概英語で行われることが多いですから、だからアメリカの裁判所にやった方が早いということなんだと思うんです。
このNHKの報道によると、特許裁判所をつくったのも、迅速化を図ろう、そして諸外国の特許制度にどうやら余りたけていないという企業に対しては非常に揺さぶりをかけて賠償金を取る、そういう意図があるんじゃないかというニュアンスの報道がされていました。今回、一連のさまざまな、おとり捜査とか何かもありました、そういうのも含めて、どうも私は、アメリカの国としての基本的な戦略として、経済戦略の一環としてこの特許制度を使っているんじゃないかというような感じを持つ者の一人なんです。
この特許裁判所についても、今のような、時間がかかる、そして実際の法廷に弁理士が立てない、こういう問題を放置しておいていいのかどうか。これは、日本の裁判所がだんだん相手にされなくなって、アメリカとかヨーロッパの裁判所に行く可能性が強いと思うんですが、先ほど周さんからもお話がありましたが、実際、法務省としてこの問題はどういうふうに受けとめているのか、改めてちょっと伺いたいと思うんです。
○房村政府委員 特許裁判に専門的知識が必要とされるというのは、先生御指摘のとおりでございます。日本では、そういう意味で、東京地裁と大阪地裁にそれぞれ特許の専門部を置きまして、そこに特許事件に通暁した裁判官を配置する。あわせて、東京地裁、大阪地裁にそれぞれ特許関係の調査官、これは特許庁からおいでいただいておりますが、この方々を配置いたしまして、裁判官と調査官が協力しながらその専門的知識を要する特許裁判の処理に当たっているというのが実情でございます。
ただ、そうしますと、東京、大阪以外のところで特許裁判を起こしたいというときに、せっかくある専門部が利用できないという問題点がございますので、先年改正をお願いいたしました民事訴訟法におきまして、特許事件については東京地裁と大阪地裁に競合管轄を認めました。例えば、北海道の当事者が、通常訴訟ですと北海道で起こすわけですが、これを東京地裁に起こせるというような競合管轄の制度を設けまして、全国どこにいても、その気になれば東京、大阪の専門部で裁判を受けられるという体制にいたしました。
裁判が遅いという点でございますが、特許事件というのはどうしても複雑なものですから、通常事件に比べますと時間がかかっております。地裁の一審の通常事件は平均いたしますと十カ月ぐらいで判決が出ているわけでございますが、特許事件になりますと二十二カ月程度ということで、通常事件に比べると相当時間がかかっているのは事実でございます。
これを早く処理するためには、今言ったような裁判所の体制をさらに整備していくということ、それから当事者の問題ですね。
ただいま先生の御指摘にもありましたように、当事者にとっても特許事件というのは専門的知識が要る。そういう専門知識を持った弁護士の方あるいは弁理士の方をふやしていくということが、これもまた同時にされる必要があるだろうと思っております。現実に、東京地裁等に起きております特許事件につきましては、特許を専門とする弁護士の方が弁理士の方と協力しながら訴訟の追行に当たっているというのがほとんどの事件でございますが、そういう当事者の充実強化も必要かと思います。
また、訴訟の運営につきましても、特許事件につきましては複雑な事件が多いものですから、なかなか運用がスムーズにいかない面もございます。これも、裁判所と当事者が協力しながらスムーズな運営を図る努力をしていただくことが必要かとは思っております。そういう、それぞれの立場での迅速化、適正な解決を早く得るということのために、協力しながら改善に努めていく必要があろうかとは思っております。
法務省としても、従来からこの問題についてはそういう意識で種々工夫をしてきたところでございますが、さらに今後も適正迅速な解決を得るということのために研究を進めていきたいというぐあいに考えております。
○大畠委員 今の説明で、そうすると、弁理士の方も法廷に立つことはできるのですか。
○房村政府委員 侵害訴訟につきましては、弁理士の方は訴訟代理人にはなれませんが、弁護士の方と一緒に法廷において活動することはできますし、現実にそうされております。
○大畠委員 今の日本の法務省、裁判制度もそうですし、特許問題もそうですが、過日、これもテレビ報道ですが、GEと東芝のCTスキャンの開発競争についての報道がありました。
GEは、早く開発をする、開発期間を短縮して早く市場に出すということを重視した。そぎ落とせるものは全部。東芝の方は性能を重視した。やはり性能をある程度高いものにしようということでやったんです。それで、東芝は半年間おくれたわけですよ。GEはその半年間に七十機のCTスキャンを日本国内に売りまくってしまったというような話がありました。そのくらい、半年間でも一カ月でも一週間でも早く製品を投入するというのが勝負の決め手だと。これはGEの会長が、今経済界でも注目されているというんですが、言われていますね。
それに対して、日本の特許制度あるいは日本の特許裁判問題は、追従することができなくなっているんじゃないですか。産業界はそれだけ熾烈な戦いをやりながら、物をつくる、日本の製品というものを世界の大競争の中で生き抜こうと考えているのにもかかわらず、特許に関する裁判所の体制、あるいは特許庁もそうなんですが、そういう熾烈な戦いを行っている産業界の実態というものを踏まえて、もうちょっと大胆な改革をしていかないと、正直言って、さっきの通産大臣の話にもありましたけれども、もう日本の裁判所は相手にしない、特許裁判についてはアメリカへ行くんだ、そういう事態になってしまうと思いますよ。現実の産業界といいますか、経済界のそのくらい熾烈な戦いというものに対して、もっと真剣に考えてもらわないといけないと私は思いますね。
通産大臣、時間が大分なくなってきましたけれども、この問題について通産大臣として、いろいろなものもあるでしょうけれども、かなり突っ込んだ形でリーダーシップをとってもらいたいと思いますし、特に、アメリカだけでなくヨーロッパもそうでしょうし、これからアジアというものが非常にいろいろな意味で特許というものを通じてねらわれているんだと思うんですね、アジアの新しく立ち上がってくる国々の産業界が。
そういう問題も含めて、私は、日本が、アジア全体の特許あるいは知的所有権というものを、構成する社会の中でもうちょっと踏み込んだリーダーシップをとって、アメリカについてもきちっと対応する、そして日本の産業界が必死になってもがいているものをもうちょっと真剣にサポートしていただかないと、何のための日本の特許制度か、何のための裁判所なのか、何のための行政なのか、わからなくなるような感じがするのですよ。
ぜひ大臣からそこら辺に関する御所見をお伺いしたいと思うのです。
○与謝野国務大臣 先般、法務委員会で、司法制度改革に関する審議会の法律が一応衆議院の段階では可決しておりまして、恐らく、裁判制度、特に裁判の迅速化等のことは、この司法制度改革の中の重要な一環だろうと思っております。
弁護士の皆様方が法律の大専門家であるということは疑いのないことですが、例えばサービサーに関する法律を我々通しました。これは要するにお金を取り立てる業務をだれがやっていいのかということですが、今までは弁護士しかできなかったのですが、今後はそういうものも、法務省の認可を受ければサービサーという取り立て会社を設立することができるということで、現に多分四社ですか、そういうことになっております。
弁理士と特許裁判の話ですけれども、弁護士は法律の専門家ですけれども、実際、特許裁判というのは技術とか発明の内容そのものを審査していかなければならないわけで、相当技術的素養がありませんと実は特許裁判自体を進めるということができないと思っております。
私は、これは個人的な持論でございますけれども、やはり弁理士の方々が、例えば民事訴訟法等をきちんと勉強された方は法廷に立って法廷活動をやっていただいていいんじゃないかと実は思っております。それの方がやはり訴訟当事者にとって利便性が高い。法律のことしかわからない弁護士の方にまず技術のことを理解していただくというのは相当難儀なことでございまして、そういう側面もまた特許裁判をおくらせている。
一方では、日本は恒常的に裁判官不足でございまして、一人の裁判官が何百件という案件を抱えてやっているという実情がございます。そういう意味では裁判官の数の充実ということも、特許にかかわらず、民事、刑事にかかわらず、裁判官の方の数の充実ということもこれからまた必要になってくると思っております。
日本も、アジアに対して範を垂れるような特許制度あるいは知的財産権制度を運営するということが必要な時期に来たと私は思っております。
○大畠委員 終わります。ありがとうございました。
○古賀委員長 吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
きょうは特許法について最初に、早い、強い、広い保護を目指すということで、今回の法律改正に当たってもいわゆるプロパテント政策を進めていくということで法案の提出ということになっているわけであります。
そこで、少し最初に伺っておきたいのは、日本とアメリカの出願に伴う審査請求の数、それから、審査官の数が八五年と九五年で見たときにどういうふうになっているのかということ。それから、調査室が出していらっしゃる資料を見ていますと、九七年と九八年でアメリカでは審査官が四百七十二名ふえている。日本の場合は同じ九七年から九八年の一年間でふえた数が十三人ということになりますが、実際に早い保護ということを目指したときに、それに対応する審査能力と体制が現状はどうなっているのか。
この辺のところから伺っていきたいと思います。
○伊佐山政府委員 アメリカ、ヨーロッパ、日本におきます、八五年、九四年の審査官の数と一人当たりの審査処理件数についてお答え申し上げます。
アメリカの場合ですと、審査官数は八五年に千四百七十七人、これが九四年に千九百四十三人になっております。審査官一人当たりの処理件数につきましては、八五年八十二件、九四年八十九件でございます。
欧州特許庁の場合は、審査官数が八五年で四百十一人でございましたところ、九四年が九百五十二人になっておりまして、一人当たりの処理件数は八五年が五十七件、九四年が七十三件でございます。
それに対しまして、我が国の場合は、審査官数は八五年が八百六十五名、九四年が一千六十六名でございまして、一人当たりの審査処理件数は八五年で二百二十件、九四年で二百四十三件でございます。
○吉井委員 今お聞きした数字を見ても、アメリカの場合でいえば大体八五年から九五年にかけて五割増し近くなっている。日本の場合には二割増しぐらい。ヨーロッパについても審査官の方が二倍を超えている。明らかにこの体制が強化されているというのが特徴じゃないかというふうに思うのです。
アメリカが八〇年代に入ってからプロパテント政策で前進したということの背景には、やはり審査する能力とか体制を強化するということが非常に強められているのではないか。これは、八五年と九八年で見ますと、九七年から九八年にうんとふやしていますから、アメリカでも約二倍近く審査官の方がふえているというわけですね。
先にお答えいただきましたが、審査官一人当たりの処理件数ということで見ても、今お話しいただいた数字から見ると、最近の数字で大体、日本の審査官の方の一人当たり処理件数ということで見ていきますと、アメリカの二・五倍、ヨーロッパの三倍の処理をしていらっしゃる。
まず、現在の日本の審査官の方の処理件数の実情をもう一遍確認しておきたいのですが、アメリカの二・五倍、ヨーロッパの三倍の処理をしていらっしゃる、こういうふうに見ておいていいですね。
○伊佐山政府委員 件数としてはそういう形になろうかと思いますが、先生御案内のとおり、申請された、出願された書類の中にどれだけの審査をすべき項目が入っているかということも実は大変重要な要素になっておりまして、日本の場合には、どちらかというと、発明の数が平均いたしますと六項目ぐらいでございます。それに対しまして、アメリカあるいはヨーロッパの場合には十四項目とか十五項目というようなことがございますので、処理件数だけですと先生御指摘のようになりますけれども、実際に時間をかけるものになりますと、それだけではなかなか判断できないような要素もあることも御理解いただければと思います。
○吉井委員 私は、そういう点で、伺っておりますのは項目の数というよりも、まず実出願件数という点でいえば、日本の実出願件数そのものは結構多いわけですね。だけれども今、審査請求件数ということで見て、それに対する数字で言っておられるわけですから、それでいいますと、アメリカの二・五倍、ヨーロッパの三倍の処理をしていることになることは、お認めにもなったようにこれは事実なんですから、そのときに、審査官一人当たりの処理件数がふえているということは、これは出願一件当たりの審査官のいわばサービス量の低下ということになりますか。
私は、審査官の方に専門分野の学習とか研修とか学会やシンポジウムに出席する機会をうんと保障していくことが、本当の意味で強い保護ということにつながっていくと思うのですが、そういう機会が、とにかく抱える案件がふえるということは物理的に時間が限られますから、減少するわけですね。だから、この点では、早い、強い、広い保護ということに今の現状というものは反するものじゃないか。
これは根本的な検討を要するところじゃないかと私は思うのですが、この点はどうなんですか。
○伊佐山政府委員 先生御指摘のように、全体として見た場合に処理件数そのものは相当膨大な件数になっておりますので、これを十分な時間を持って対応できるかという点については、必ずしも今の体制のままでは十分でないということもございまして、御案内のとおりいろいろな、審査官の数をふやしていただくにとどまりませんで、いわゆるペーパーレス計画等の総合的な政策を進めさせていただくことによりまして、何とかこれをしのいでいるというところでございます。
○吉井委員 長官よく御存じのように、ペーパーレスといっても、ペーパーレスによってできることというのは、パソコンを使っての直接申請とかあるいはフロッピーで申請できるということであって、特許庁の電子図書館での公開をするための作業というのは確かにそれで大分簡素化されるかと思うのです。しかし、審査案件の審査そのものは審査官の方が行うわけですから、それはペーパーレス化ということによって解決できるものじゃないということは、きちっと見ておく必要があると思うのです。
そこで大臣、早い、強い、広い保護、これを目指すからには、その体制としては、審査官の方が現実に一人当たりアメリカの二・五倍、ヨーロッパの三倍というふうな余りにも膨大な処理量を抱えますと、これは言葉は悪いけれども、手抜き審査になってしまうか、水増し認定になるか、あるいはその後のトラブルの増加につながりかねない要素を持っているということは、だれもが認めざるを得ないところだというふうに思うわけです。
だから、強い保護、プロパテント政策ということを考えるからには、できる限りの増員の努力というよりも、やはり実際に何人の人が必要なのかという根拠のある数字を明らかにして、その実現を目指していくということを真剣に取り組まなかったら、強い保護ということにはつながらない、政策の実現につながらないと私は思うのですね。
この点は、大臣として、一般的なできる限りの努力ということにとどまらないで、では一体何人必要か、それを目指してどうするんだということ、これをひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。
○与謝野国務大臣 特許庁の増員の問題でございますけれども、私どもは特許庁の審査官を中心とした方の増員は必要だと思っておりまして、毎年相当、通産省の中では優先的な定員増をお願いしております。
ただ、これは全体の政府の総定員法との関係もございますので、査定はなかなか毎年厳しいということはおわかりいただけると思いますが、こういう時代になりまして知的財産権の保護というのは、先生御指摘のように、強いばかりじゃだめで早いとかそういうほかの要件もあるのだよと、それはそのとおりでございます。それと同時に、やはり特許審査というのはただ人をふやすだけではだめで、ある一定のレベル以上の方が審査官になっていただくというようなことも必要なわけでございます。
そういう意味で、万般、国会の議員の皆様方でこういうことを理解されている方のお力もおかりしながら、特許庁の内容の充実を図っていくということが我々の仕事だろうと思っております。
○吉井委員 大臣も努力したい、しかしなかなか総定員その他の要因があってと、そういうところなんでしょうが、しかし、アメリカがやはり八〇年代以降進んだとかその議論というのは、本当に私は、八〇年代だけじゃなくて九七年から九八年にかけて、調査室の方で資料をまとめていただいておりますが、二千百七十八人から二千六百五十人へ、一年間に四百七十二人の審査官をふやしているわけですね。同じときに日本はどうか、日本は十三人なんですね。
アメリカに負けちゃならないとかいろいろ言っていて、言うからにはやはりこの分野で本当にその体制を強める、私は大臣のおっしゃった後段は賛成なんです。一定のレベル以上ということをおっしゃった。そのためには、研修の機会とか、かなり時間的余裕も上げて自分でしっかり研究もされる、シンポジウムに出られるとかあるいは国際学会へも行かれるとか、やはりそういうことを保障しないと本当に早い、強い、広い保護ということにはなっていきませんから、私はその点特に強化されるように重ねて申し上げておきたいと思います。
次に、外注の拡大の話です。ペーパーレス化とか、審査経験のあるOBの活用とか、これは実はレクチャーのときにお聞きしておりましたが、大体年間七十億円ぐらいの外注費があると思うのですが、これは約一千人分ぐらいの人件費に当たるわけですね。そうすると、何をどこに外注するのかとか、外注のコストは幾らかということも問題になってこようかと思うのです。これについて、守秘義務の問題についてはほかの方の質問等でもありましたので、重ならないということでいえば、私はそういうことも伺っておきたいと思います。
○伊佐山政府委員 先生御指摘のとおり、私どもも、平成二年に工業所有権に関する手続等の特例に関する法律というものをつくっていただきまして、一定のタイプの業務につきましては外注することも可能にする制度をつくっていただいたもとで、現実のところ、工業所有権協力センターという財団法人に幾つかの業務を外注させていただいております。
審査官業務のうちで、必ずしも審査官が行わなくても定型的な業務ということで第三者にお願いできるようなものを厳選いたしておりまして、具体的には、先行技術の検索キーでございますFタームの付与、あるいは先行技術に関する調査、それから出願書類への国際特許分類の付与を行う分類付与業務、こういうものを外注いたしております。
それらにつきましては、平成十年度におきまして、例えばFターム付与は九十七万テーマにつきまして二十六億円の予算を使わせていただいております。サーチの外注につきましては十二万件、六十四億円の予算をいただいてやっております。それから分類付与につきましては三万件で五億円の予算をいただいて、こういう業務を外注いたしたところでございます。
○吉井委員 そうすると、全部合わせますと七十億どころじゃなくて、まあ九十五億ほどですか、かなりの外注だと思うのですが、私は、その外注の中で、きょうは時間がありませんから残念ながらお聞きしたいところでさらに触れられないのですが、この出願料、審査請求料のいわばピンはねという表現がいいかどうかは別として、そういう問題とか、丸投げ問題とか、そのセンターから別なところへ丸投げですね、やはり安易な外注については検討し直すべきじゃないか。
分類付与の外注といいますが、公正中立、専門的な能力なしにやれるのか、少なくともそこについての検討は必要だと思います。検討されるかどうかだけ、一言伺っておきたいと思います。
○伊佐山政府委員 私ども、先ほど申しましたように、平成二年の工業所有権に関する手続等の特例に関する法律に基づきまして、客観的な手続によりまして資格のある者にこういう業務を外注することができるということでやっておりまして、現行は工業所有権協力センターにお願いいたしているところでございますが、将来にわたってここだけに依存するのか、ほかのところに依存するのか、この辺については厳正な法律の運用を進める中で考えていきたいと思っております。
○吉井委員 私は、そのセンター経由で事実上の丸投げとか、いろいろな問題について残念ながら時間がないからきょうは触れられないけれども、まあ、厳正なということをおっしゃったけれども、本当に厳正な検討が必要だと思います。それを指摘して、次の問題に行きたいと思います。
プロパテント政策で言われてきましたのは、要するに、新しい産業を起こすとか、その活性化とかいうことが言われてきました。要するに環境整備の問題なんですが、ただ、この環境整備の基本というのは大学、国立研究所等の基礎研究
をもっと重視することが大事だということが、実は報告書が出ておりまして、科学技術基本計画のフォローアップについての中間取りまとめというのが、科学技術会議政策委員会から、せんだって四月二十二日に出されました。その中では、「基礎研究の成果は国家の広範な活動の基盤をなし世界人類の知的資産の拡充に貢献するものであるとともに、時として全く新しい技術体系の出現をもたらす無限の資源である」との考え方のもとに、そこへもっと力を入れなければいかぬ、これは科学技術会議の報告でもあるわけです。
実は、昨年の三月に私は科学の委員会の方で紹介したのですが、通産省の大阪工業技術研究所の炭素繊維の発明は、これは非常になかなかのものでありました。ところが、せっかくの成果を上げたのだけれども、これはPAN系炭素繊維の開発に成功したのですけれども、一九六〇年から六七年までの八年間で経常研究費が総額二千万円、年々それは本当にわずかな経常研究の中で成果が上がって、成果が上がるとプロジェクト研究費がどかんとつくというものであったわけなんです。これは科学技術庁長官賞も得たような成果なんですけれども。
つまり、最近のやり方というのは、経常研究費とか基礎研究費は非常に軽く見られて、成果があったらどかんとつける。そういうやり方では必ずしもうまくいかないんだということが今科学技術会議の方からも中間報告で出ておりますから、私は、そこのところへもっと目を向ける必要があるというふうに思います。
なお、科学技術白書で見ましても、研究費の政府負担割合を見ますと、九六年度で、日本は二一・二%、フランスは四三・二、イギリスは三三・三、ドイツは三七・一、アメリカは三三・六と、いずれも一・五倍から二倍を超えるほど、研究費の中で政府負担割合は非常に高いんですね。ところが、日本は低い。
同時に、この白書や総務庁の調査にありますが、九〇年から九一年のちょっと古いデータしか海外との比較ができないんですけれども、大学や国立研究所での基礎研究費について見たときに、日本は一一・五%、ドイツは二一・〇、フランスは二〇・三、アメリカは一四・九と、やはりこの面でも一・五倍から二倍、欧米諸国は基礎研究に手厚くしているんですね。
だから、成果の上がりそうなものにだけお金をつけて、それを早く特許化してと、そういう短兵急なやり方ではやはり長期的にはうまくいかないんだというのが指摘でもありますから、最後に私はこの点で大臣に伺っておきたいんですが、大畠委員なんかともあのとき一緒だったかな、別の委員会だったかな、アメリカに
行ったときに下院の科学技術委員会で、センセンブレナーさんが委員長をやっているところで、国家科学政策の検討の中で最近指摘していることなんですが、やはり基礎研究に特別の高いプライオリティーを連邦財政の中で与えるべきだ、こういう指摘があるんですね。
私は、本当にプロパテント政策を進めることをお考えになったときに、やはり環境整備という点では、今日本が弱いこの分野にうんと力を入れる、政府としてそのことに全力を挙げるというその姿勢を示していただくことが大事じゃないか。姿勢だけじゃなくて実際に予算をつけなきゃいけませんが、基礎研究をもっと充実することについての大臣の決意だけ伺って、時間が参りましたので終わりにしたいと思います。
○与謝野国務大臣 基礎研究の分野は先生御指摘のように大変重要だと思いますが、日本の予算が単年度主義であるということも一つの壁になっておりますし、基礎研究をやっていると、そんなものをやって何の役に立つのかというような考え方で予算が抑制される場合もあります。
ただ、私は、技術のブレークスルーというのは、そういう地道な基礎研究の積み重ねが、ある日一つのブレークスルーを起こすということで、こういう連続したカーブとして技術の水準が上がっていくのではなくて、やはり技術というのは、あるところまで基礎研究が行われて、そこで階段状に不連続曲線で進歩していくのだろうと私は個人的には思っております。
私どもも科学技術基本計画などを立てて、何とか予算をふやそうということを国会議員としても随分やってまいりました。基礎研究の重要性は、十分かどうかはわかりませんが、理解をしているつもりでございます。
今後もやはり基礎研究分野の予算確保、人員確保、それから施設の整備、こういうことには、通産省のみならずあらゆる分野、例えば大学、他省の研究所等々で行っている基礎研究は、日本の将来の豊かさを確保するための重要な、かつ地道な研究であって、とかく、何のためにそんなむだなことをやっているんだとか、あるいは一年ごとに何の成果が上がったんだ、紙に書いてこいというようなことで、むだな紙の山になるというようなことが単年度主義の欠陥でございますので、そういうことを十分財政当局にもわかっていただく必要があるのだろうと思っております。
○吉井委員 終わります。
○古賀委員長 大口善徳君。
○大口委員 明改の大口でございます。
私の方からは、まずバイオの問題について。今、日本においてこのバイオテクノロジーの問題は特許戦略も含めまして極めて重要である、こう思うわけです。
それで、特にゲノムの塩基配列解析については、当初、アメリカ、イギリスは二〇〇三年に詳細なシークエンスを完成する、こういうことであったわけですが、それを二〇〇〇年の春までにヒトゲノムのドラフトの九〇%を作成するということで、このゲノム解析がすごく進んでいるわけです。こういう状況について、非常に危機意識を日本の研究家も持っております。
と申しますのは、遺伝子というのは数が有限で、かつ特許化が可能なことから、遺伝子を押さえることはバイオの研究開発それから事業化の両面で競争力に強く影響して、世界じゅうで遺伝子の陣取り合戦の様相を呈している。限りある遺伝子資源に対する戦略というのが非常に大事になってくるわけでございます。
そういう中で、財団法人かずさDNA研究所所長の大石さんを初め、これは一九九八年四月七日に「日本のゲノム解析総合戦略を考える」という緊急提言を出されておって、その中で非常にショッキングな部分があります。
つまり、ゲノム研究のおくれの代償は高価なものとなろう。外国に特許の独占を許したら、将来、国民医療費の支払い、省エネ・低環境負荷プロセス技術、環境浄化技術の技術料などほとんどが外国への特許料支払いになる可能性もある。現在、既に、日本でつくられている主要な医薬品の中には売り上げの約二割が外国への特許料として支払われているものもある。そういうことで、逆に、総合的国家戦略のもとにゲノム解析が進められるならば、日本独自の産業基盤技術の開発が行われ、新産業の創造、雇用創出、医療費の低下、環境の一層の改善に結びつく可能性が高い。こういうことでございます。
そういう点で、日本がバイオ戦略がおくれているということもあって、この一月に、バイオ創造に向けた方針というのを関係五省庁でまとめられたということです。また、通産省においても、二十一世紀のバイオ産業立国懇談会ということで報告書を昨年の十月二十二日にまとめられておるわけでございますが、大臣において、今後のバイオに関する国家戦略について見解をお伺いしたいと思います。
○与謝野国務大臣 三十億の塩基を読んでいくわけですから、相当手間も暇もかかるわけですが、アメリカはそれをやっているわけでございます。これは日本でも方々でやっておりますけれども、アメリカには相当立ちおくれるということは先生御指摘のとおり。
あわせまして、ある特定の遺伝子がこういう働きを持っているということを見つけますと、他の国ではそれを特許を取ろうといたします。今のところ、そんなものは特許の対象にならないということを主張しているわけですが、やはりそういう主張をしているだけでは多分間に合わないはずで、やはりみずからが、人のゲノムであれ、他の植物のゲノムであれ、日本人がどんどん読めるような研究設備を私は持つべきだろうと思っております。
遺伝子を読むシーケンサーも相当値段が安くなってきましたし、何も超専門家でなくともその機械を動かせるということで、物量を投ずればゲノムは読める、基礎的なデータは収集できるということですから、この分野にはやはり惜しみなくお金をつぎ込んでいきませんと、我々が持っている遺伝子、DNAが特許の対象になって、それがお金になるということを放置しておく、そんなことはないはずで、やはりこの分野は、いろいろな、医療、食糧その他、非常に大きく貢献する可能性のある分野ですから、それこそまさにどんなにお金をかけても、私個人は、どこかで年次を区切ってばたばたと全部読んでしまうというのは本来日本が得意なところじゃないかなと実は思っているわけです。
○大口委員 そういう点で、かなり財政において投入をしていかなきゃいけないと思うのですね。ところが、バイオについての予算がアメリカに比べたら十分の一だとか、あるいはゲノムに関しても四分の一とか、こういうような大変おくれた状態であるので、ここは大臣、しっかりと予算要求におきましても推進をしていただきたい、こう思っております。
次に科学技術庁にお伺いしますが、そういう点で、欧米におけるゲノム科学研究の取り組みの状況、それから、今も指摘しましたように、日本のゲノム研究が非常におくれている。しかしながら、挽回できないものか。特に、日本にはいろいろ関連技術にしても非常に優秀なものもありますし、イネのゲノムについては集積もございますし、日本が挽回し、また日本の特色を生かしていくことによって、このゲノム研究で欧米にしっかり対抗していかなきゃいけないと思うのです。そういう戦略も含めてお伺いしたいと思います。
○池田政府委員 欧米におきますゲノム科学研究の取り組みについてのお尋ねがございました。
欧米各国、中でも米、英でございますけれども、近年、ゲノム科学研究につきましては特に重要な研究分野として位置づけておりまして、重点的な取り組みを行っております。
米国におきましては、国家の戦略といたしまして、ライフサイエンスを行政府、議会ともに二十一世紀の科学技術であるとして位置づけておりまして、特にその中でもゲノム研究を重視しております。世界でも最も厚い研究者層を背景にいたしまして、ゲノム大量塩基配列の解析、これのみならず、それらの解析結果をもとにして行います遺伝子機能の解明でございますとか、いわゆるポストゲノムの研究におきましても、世界の最高水準の科学的成果を上げようとしているところと認識してございます。また、企業におきましても、各種ベンチャーによります遺伝
子特許の獲得競争を中心としまして、戦略的な取り組みを行っているというふうに承知しております。
また、イギリスでございますけれども、高い基礎科学水準を背景にいたしまして、質的にも世界水準のゲノム研究を展開してございます。特に、こうした基礎科学研究の基盤としての大量な塩基配列の解析、これを重視していると承知してございます。
いずれにしましても、この主要各国はいずれも、ゲノム研究を将来のすべてのライフサイエンス分野の研究、応用の基盤となる重要な研究領域と認識して、独自の戦略によって国際競争の主導権をとるといったことで取り組んでいるというふうに承知しております。
日本の取り組みについてのお尋ねがございました。
ゲノム科学につきましては、平成九年の八月でございますけれども、科学技術会議の議を経まして内閣総理大臣が決定いたしましたライフサイエンスに関する研究開発基本計画がございます。この中に、ゲノム科学研究につきましては国として取り組むべき最も重要な研究開発領域であるとしているところでございます。
また、先ほど通産大臣からも御紹介がございましたけれども、ことしの一月には、関係五省庁大臣の申し合わせによりまして、バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針、これにおきましても、ゲノム研究の加速的促進に向けまして関係省庁が一丸となって取り組むこととしております。
こうしたゲノム科学につきまして、我が国としまして具体的かつ強力に推進してまいりますために、科学技術会議ではゲノム科学委員会というものを設置しております。昨年の六月には、この委員会におきまして、我が国のこれまでの研究の特色、世界に先駆けることを目指しました我が国独自のゲノム科学戦略といたしまして、「ゲノム科学に関する研究開発についての長期的な考え方」というものを決定したところでございます。
この戦略におきましては、我が国として戦略的に取り組むべき重要な研究開発領域としまして、先ほど先生からも御紹介がございましたけれども、我が国の特色を生かせるイネ、それからヒトモデル動物のゲノム構造解析、それからこれに加えまして、いわゆるポストゲノム時代に備えまして、ゲノム、遺伝子、たんぱく質等の機能を体系的に解析するようなゲノム機能の解析、それから、ゲノムの構造と機能の関係を情報科学の観点から解明、応用しようとするゲノム情報科学、それに、新たな解析技術のブレークスルーによって次世代の全く新たな科学的展開を引き起こすための次世代解析技術開発、こうした推進を定めたところでございます。
現在、このゲノム科学委員会の指導のもとに、関係省庁、通産省それから私ども科学技術庁、文部省、厚生省、農水省でございますけれども、連携を図りまして、ゲノム科学関連研究を体系的に推進しているところでございます。
なおちなみに、平成十一年度の予算におきましては、関係省庁の総額を合わせますと前年度比約三四%ぐらい増になりますけれども、約二百七十億円という額の研究開発費を投入して取り組んでいるところでございます。
○大口委員 そしてまた特許についても、我が国の遺伝子特許出願数というのが千七百四十五件、そのうち外国から出願が千六十九件、こういうふうになっておるわけですね。そういう点で、この遺伝子工学分野における我が国と欧米との
特許に見る格差についてどう考えているのか、長官にお伺いしたいと思います。
○伊佐山政府委員 先生御指摘のとおりの実態でございますが、若干詳し目に申し上げますと、一九七一年から九八年八月までに公開されました特許出願の統計を見ますと、全分野の平均では外国人によります出願割合というのは八%未満でございますが、遺伝子工学分野だけとってみますと五四%で、欧米が中心となっております。
それから、出願人の内訳を見ますと、大学、研究機関、ベンチャーといったようなところの占める割合というのが、日本人の出願人全体では一四%でございますけれども、日本に出願されました外国人出願の中を拝見いたしますと約半分がそういう方々だということでありまして、出願におきます日本と欧米との違いというものがかなり明瞭に出ているかと思っております。
○大口委員 そして、今危惧をしておりますところはアメリカの動きでありまして、遺伝子断片、遺伝子の配列、これをESTと言いますが、これについて、日本の場合は、あるいはヨーロッパの場合においても、遺伝子配列に加えて産業上の利用性というものを解明したことが特許を認める要件になっておるわけですが、アメリカの場合、ただ単に遺伝子の断片の発明だけを出願し、遺伝子の機能は解明されないものについてもこれを認めようとする動きもあります。
こうなってきますと、それが特許が認められるということになってきますとこれは大変なことでありまして、日米欧の三極の議論もございましょう。こういう権利の付与の要件の緩和、アメリカにおける要件の緩和についてどういうふうに日本として対応するのか、ヨーロッパと連携をとってやらなきゃいけないとも思うのですが、いかがでございますか。
○伊佐山政府委員 先生御指摘のように、機能が、構造はともかくといたしまして機能が明らかでないような遺伝子断片に特許が付与されるという形になりますと、その後の研究開発でありますとか、あるいは関連する産業の発展に悪影響を及ぼすのではないかというのが、私どもそれからヨーロッパ、アメリカの中でもそういう見解を持っている人がいるというふうに理解いたしております。
御案内のとおり、昨年十月にアメリカが、遺伝子断片、ESTの出願に対しまして特許を付与いたしました。その際、私どもそれからヨーロッパ両特許庁におきましては、若干権利の付与の仕方に問題があるのではないかということで疑問を提起いたしまして、昨年の十一月に、私どもの提案によりまして日米欧の三極特許庁間でESTの特許性について比較研究をしようではないかという提案を行いまして、それが合意されました。その結果、現在三つの特許庁の間で意見交換を行っている最中でございます。
昨年の末からことしにかけまして何度か、日本の特許庁の方から質問書をつくりまして、日本、ヨーロッパの方にそれへの回答をお願いし、それが今ほぼ集まりつつあるところでありまして、五月に三極の特許庁の専門家が集まりましてそれぞれの比較をする。望むらくは、今後のある種の方向づけ、特許というものを考えた場合にどういう要件を必要とするかというようなことについて大まかな方向づけができたらというところで、議論を重ねている最中でございます。
○大口委員 次に、今回の法案に関連してお伺いしたいと思うんです。
今までも同僚議員からいろいろ挙げられておりますが、NHKで最近「特許で世界を制覇せよ」、こういう番組がございました。それこそ、アメリカは貿易赤字に苦しんでいて、一九八三年の九月に、レーガン大統領が、コンピューターメーカーのヒューレット・パッカード社の会長だったジョン・ヤング氏に議長になってもらって産業競争力委員会というものが発足して、そしてその中でいろいろと検討された結果、ヤング・リポートという形で、アメリカというのは今まで国内ばかりに目を向けていて、外国の競争相手がアメリカの発明を取り入れて大きな利益を上げていることに余りにも関心を払っていなかったということで、私たちはそれを直ちにやめさせる必要がある、またそうしないとアメリカの企業は研究開発に投資をしない、投資をしても回収できない、こういう趣旨のことを発言しているわけであります。
そして、外国の企業による技術の模倣あるいは侵害を防ぐために、知的財産権の保護の一層の強化ということを国家戦略としてやってきたわけであります。いわゆるプロパテント政策を実施した。
日本も日本版のプロパテント政策というものを策定し、昨年そしてことしと法案が改正されてきた。早く、強く、広い権利の保護、そしてまたパテントに対する意識のレベルアップ、そしてまた世界共通特許へ向けた一つの戦略というものを持っているわけでございます。
日銀の国際収支統計月報の中で九六年の技術輸出に関するものを見ますと、日本は輸出が七千二百五十七億、輸入が一兆六百八十四億。それに対してアメリカは、輸出が三兆二千六百十二億、そして輸入が七千九百六十六億。アメリカは大きな輸出超過であるのに対して、日本はかなりの輸入超過、八六年から九五年の十年間をとってみましても、技術貿易収支については日本は四・一兆円の赤字、アメリカは十七・五兆円の黒字、こうなっているわけです。
こういう現状も踏まえて、二十一世紀における特許戦略についてお伺いしたいと思います。
○伊佐山政府委員 先生御指摘のように、私どもも科学技術創造立国という国是を実現するためにも、特に今御指摘のありましたような技術貿易の実態というものを、少しでも日本にとって誇れるような数字を実現することこそが重要だという思いで、各種の政策を進めているところでございます。
具体的には、日本版のプロパテント政策といたしまして、今も御指摘ございましたように、まずは日本の特許を初めといたします知的財産権制度というものが米欧と比べまして十分同じような制度になっていること、同じ土俵にしていただくということが何よりも大事でございまして、昨年、ことしと二度にわたって大幅な制度改革をお願いし、実現をさせるべく御尽力いただいているところを私ども大変評価しているわけでございます。それをさらに日本がリードできるような状況に持っていきたいというのがまず第一でございます。
それから第二は、やはり先生御指摘のとおり、一つの研究開発を権利化するそのプロセスというものが今ですと各国でそれぞれのルールに従って権利化するという形になっておりますのは、ほかの分野と比べましてまだまだ改善の余地があ
るのではないか。私どもで申します世界特許という制度をもっと積極的に考えていく必要があるのではないかということで、現実の問題といたしまして、日本、アメリカ、ヨーロッパが世界の特許の約九割を占