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| 印旛沼は、千葉県北西部の下総台地のほぼ中央北部に位置し、昭和27年には隣接の手賀沼とともに「県立印旛手賀自然公園」に指定された風光明媚な湖沼で、当時の沼の姿は、図1に示すように〔出典:千葉県・印旛沼流域水循環健全化会議:「印旛沼流域情報マップー治水・利水編ー」、平成20年3月発行〕、ローマ字のWに似た形状を呈していた。しかし、現在の地形は、図1に示した、かつての沼の中央部が、前述した昭和期の「印旛沼開発事業」によって埋め立てられ、図2に示すように〔出典:千葉県・印旛沼流域水循環健全化会議、「印旛沼流域情報マップー治水・利水編ー」、平成20年3月発行〕、北印旛沼(以下、西沼と称す)と西印旛沼(以下、北沼と称す)に2分され、捷水路で結ばれる形となった。 沼の面積は、北沼(6.26km²)と西沼(5.29km²)を合わせて11.55km²と、開発事業以前(約29.0km²)に比べ約半分に縮小したが、水深は平均で1.7mと、むしろ開発事業以前(0.7~0.9m)に比べ倍近く深くなっている。 その他、沼の諸元については表1〔千葉県環境生活部水質保全課(2007・3):第5期「印旛沼に係わる湖沼水質保全計画」より作成)に示すとおりである。 |
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表1 「印旛沼開発事業」後における印旛沼の諸元
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| 【備考】 |
①干拓前の水面積は約29.0km² ②印旛捷水路は指定延長(北総地域整備センター資料) ③[湖沼水質特別措置法]に基づく指定地域 |
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印旛沼は上水道、工業用水および農業用水の貴重な水源としてのみならず、水産、レジャー、親水、そして観光などに利用され、なかでも、前3者の用水源としての印旛沼は、千葉県民の“命”はもとより、日本経済の一端を担う重要な水がめである。 |
表2 印旛沼における流入水量と利用水量
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| 【備考】 |
①平均は最近5ヵ年(平成15~19年)の平均 ②工業用水の供給先は千葉県五井姉ヶ崎工業地区(佐倉浄水場)、千葉県千葉地区 (印旛浄水場)、JFEスチール(株)(印旛沼浄水場)への給水合計 ③水道用水の供給先は千葉県水道局(柏井浄水場) ④累年平均は昭和44年~平成19年の39年間の平均 ⑤雨量は羽鳥観測所資料 |
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| なお、図3〔印旛沼土地改良区:「印旛沼土地改良区(支区別)排水流域図より作成〕には印旛沼における上水および工業用水の取水施設および農業用水の主な揚水および排水機場の位置、そして表3〔「印旛沼土地改良区」の資料より作成〕にはそれらの施設における諸元を示してある。 |
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表3 印旛沼における上水・工業用水と、農業用水の揚・排水機場の諸元
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| 【備考】 |
①用水量:「印旛沼開発施設」の用水計画に基づく水量 ②赤部分:排水流域面積 |
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工業用水 |
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上水道
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農業 |
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漁業 |
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![]() 図4 印旛沼における漁場図 |
表5 印旛沼における魚種別漁獲量
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| 【備考】 |
①貝類その他:シジミ以外の貝類 ②水産動物類その他:カニ、ヤツメウナギ、サザアミ |
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| 観光 印旛沼は昭和27年10月(1952年)〔再点検:平成7年5月2日(1995年)〕に隣接の手賀沼とともに、それぞれの沼を中心とした地域一体が印旛・手賀自然公園〔面積:660.6km²、地域:柏市、我孫子市、沼南町(現・柏市)、印西市、本埜村、栄町、印旛村、酒々井町、成田市、佐倉市〕として指定されたが、最近は、都心に近い自然公園として衆人の注目を浴び、貴重な存在になっている。 両沼は四季をとおし、有数の魚釣り場として関東一円のなかでも有名である。また、印旛沼および流入河川に沿ってはサイクリングロードが計画され、平成18年4月(2006年)現在、図5(出典:印旛放水路周辺自然環境整備連絡協議会「印旛放水路サイクリングロ-ド案内図」2002年3月発行)に示すように、阿宗橋を起点として最終計画地点の国道356号線のふじみ橋までの27.3kmの間のうち、栄町の酒直水門までの21.6kmが整備され、沼およびその周辺の自然を楽しむことができる。残りの5.7kmについては、酒直水門の堤防改修工事計画との関連でまだ未着工の状況にある。 一方、沼および沼の畔で催される行事としては、表6に示すように〔(社)佐倉市観光協会および成田市環境管理課の聞き取りにより作成〕、(社)佐倉市観光協会が4月~10月の期間中に運航する「屋形船観光」、毎年4月初旬頃に佐倉ふるさと広場で佐倉市と佐倉市観光協会の共催による「佐倉チュ-リップまつり」、また毎年10月に成田市環境管理課が主催して行う甚兵衛渡し公園を拠点とする「印旛沼クリ-ンハイク」や、(社)佐倉市観光協会による「コスモスまつり」などがあり、それぞれに多くの人々が集い、楽しんでいる。 また、流域には故事来歴のある成田山新勝寺(成田市)、宗吾霊堂(成田市)、麻賀多神社(成田市)のほか、松虫寺(印旛村)、竜角寺と栄福寺(栄町)、竜腹寺と龍水寺(本埜村)等の古寺、また学習・教育の場として国立歴史民俗博物館(佐倉市、)、成田山書道美術館(成田市)、川村記念美術館(佐倉市)、県立房総の村(栄町)、岩屋古墳(栄町)、房総風土記の丘(栄町)等が数多く存在している。 なお、印旛沼流域内の成田市、佐倉市と栄町の2市1町、そして流域外の芝山町は、昭和61年(1986年)に『成田国際観光モデル地区』として指定されたが、このモデル地区指定は平成17年(2005年)に解消され、代わって現在、千葉県国際観光協議会(通称、テーマ地区)が新たに設立され、今後の新たな活動等について検討が重ねられているところである。 |
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表6 印旛沼および湖畔で催しされた諸行事と参加人数
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| 備考 |
①花火大会は平成16~18年度中断 ②※印は天候不順のため参加者が多数キャンセルあり |
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印旛沼は洪水(治水)対策をはじめ、上述した上水道、工業および農業等の利水に支障をきたすことがないように、万全の水管理が行われ、水位は灌漑期(5月~8月)にY.P.※22.50m、そして非灌漑期(9月~4月)にはY.P.2.30mと、印旛沼開発施設によって一定に維持されている。 この水位調節は、図6〔出典:千葉県企画課編集:「水のはなし・2008」、50頁〕に示すように、長門川の利根川合流地点に位置する印旛排水機場と印旛疎水路の中間あたり(新川と花見川の接点)に位置する大和田排水機場の2つの排水機場、そして長門川と北印旛沼の取り付け部に位置する酒直揚水機場の運転によって行われている。
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| 沼の水、要するに西印旛沼および北印旛沼の水は印旛捷水路をとおして、それぞれ北と西に向かい移動しているが、概して灌漑期には西印旛沼から北印旛沼、そして非灌漑期には、逆に北印旛沼から西印旛沼に移動する傾向がみられる。しかし、年間を通してみると、平水時は、沼の水位が利根川に比べ1~1.5m程度高いため、
西および北沼のいずれの水も自然流下で長門川を経て利根川に流れ出ている。しかし、利根川の水位が上流での降雨によって沼より高くなった場合には、印旛水門を閉め、利根川から沼への逆流を防いでいる。また利根川と沼がともに増水し、しかも利根川の水位が沼より高い場合には印旛排水機場(能力:92m³/秒)で沼の水を汲み上げて利根川に強制排水している。そして、さらに利根川と沼がともに水位が高まり、なお、かつ利根川の水位が沼より高まった場合には、印旛排水機場とともに、大和田排水機場(能力:120m³/秒)おいても沼の水を同時に汲み上げ、花見川に落とし東京湾に放流している。これに対して、沼の水位が、逆に渇水等で通常の維持管理水位を下回った場合(利水容量の低下)には、利根川の水を長門川にとおして酒直揚水機場(能力:20m³/秒)で汲み上げ、沼に注入している。 なお、表7は、印旛沼における用水補給のため利根川より酒直揚水機場を通じ汲み入れた水量と、洪水排水のため長門川より印旛排水機場を通じ利根川に排水および新川より大和田排水機場を通じ花見川に排水した水量をの経年変化を示してある。また、治水の安全度については、現実的には印旛沼の堤防が軟弱な地盤の上に築堤されているため、地盤沈下や押さえ盛土の消滅などで脆弱化が激しく、治水容量の不足と相まって、低下をきたしている。このため、県では、対症療法的に堤防の嵩上げ工事を行っているが、関係機関からは治水安全度を高めるための抜本的対策が強く望まれている。 |
表7 印旛沼における揚水機場での汲入水量と排水機場での洪水排水量
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| 【備考】 ①累年平均は昭和44年~平成19年の39年間の平均 | (単位:千m³) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||