この会は、畜産の現場における問題解決手法・コミュニケーション手法について研究し、実践し、普及することを目的としています。
直検を行い注射をして帰ってくるだけでは、酪農場の繁殖成績は良くなりません。農家さんに繁殖に目を向けてもらい、発情を見逃さず、積極的に人工授精をしてもらわなければなりません。乳房炎も抗生物質だけではダメで、過搾乳をしない搾乳手技や乳頭ディッピング、牛の寝床の敷料の品質管理などに気を配ってもらわなければ減りません。蹄病も蹄底を削りブロックを装着するだけでは問題の本質は解決せず、定期的に機能的削蹄を行い、床の衛生に気を配り、ベッドの快適性や暑熱対策、サシバエ対策、エサを切らさない飼槽の管理、搾乳時間の短縮など、牛の起立時間を減らす管理を行わなければ、なくなりません。
すなわち獣医の診療技術それ自体が酪農経営に及ぼす影響は限られていて、どうやって問題点をあぶり出し、解決方法を探り、持続する形で実行するのか?と言うことが、診療技術と同等かあるいはより重要なことだったのです。私たちは、牛の解剖や生理は大学で教わりましたが、どうすれば農家さんの思いや真の問題点を知ることができるか?どのようにお話しすれば自分自身や相手のやる気が出るか?などと言うことは習ってきませんでした。ただ、確かな獣医技術をお見せすることで信頼を得、あとは各人の人徳で農家さんたちと一緒にやってきたと言うのがこれまででした。ところが、ビジネスや海外援助、人間関係論の分野では、コーチングやファシリテーション、ワークショップやPLAといったコミュニケーション手法がすでに確立された形で存在するのを見つけました。そして、これらの技法を学び、農家支援のためにどのように取り入れていくかを検討しよう!と言う気運が高まり、2007年4月全国畜産支援研究会(愛称は農場どないすんねん研究会)(略称はNDK)が発足しました。現在会員は300名ほどで、帯広畜産大学の門平睦代准教授を会長に、全国の開業やNOSAI、公務員獣医師の他、削蹄師、授精師、普及員、組合職員、ヘルパー、乳業職員、研究者、教育関係者、学生などが参加しています。この会の活動に興味のある方は、ぜひ以下の報告をご一読下さい。
2008年 8月「 湘南の会 」報告書 「やる」か「やらない」か〜自分への挑戦 |