3回搾乳をやろう!

3回搾乳による利害得失
利点
・新たな設備投資や増頭なしに、乳量を10〜20%増加することができる。
・一般的に乳房炎や体細胞数が減少する。
・頻回搾乳は牛本来の泌乳生理に合致する。
・特に初産牛で乳量の増加が期待できる。若い牛ほど、3回搾乳による乳量増加が大きい。
・牛に接する機会が多くなることによって、観察が行き届くようになる。

欠点
・COW TIME BADGET、飼料設計、飼槽管理、牛の快適性などに、よりレベルの高い管理が要求される。
(COW TIME BADGETとは、1日24時間を採食・休息・搾乳などの牛の行動に、何時間ずつ使わせるか計画的に配分すること。)
・労働力が不足しているのに無理をして3回搾乳をしようとすると、管理全般において仕事の質が低下する可能性がある。(疲れ、雰囲気の悪化、モチベーションの低下。)
・搾乳機械のメンテナンスがうまくできていないとき、乳房炎や体細胞数が増える可能性がある。
(例えば、パルセーターの大気圧取り入れがほこりで詰まっていたりすると、ライナーの閉じるのが遅れて乳頭のマッサージが少なくなるので、多回搾乳により乳頭孔が固くなったりするかもしれない。)また、過搾乳など搾乳手技が不適切なときも同じことが言える。

3回搾乳で乳量が増加する理由
 乳汁は乳腺細胞で連続して合成される。搾乳で乳房は一旦ほとんど空になるが、その後徐々に乳汁が貯まって、乳房内圧は次第に高まり数時間後に最大となる。すると乳の合成は停止し、場合によっては、一度合成された乳が再び血液の方に吸収される。搾乳回数を増やすと、乳房内圧の高まりを抑えることができるので、乳の合成が抑制されず、1日の合計乳量が増加する。
 また、搾乳刺激が多いと、乳を分泌するホルモン(プロラクチン、副腎皮質ホルモン、オキシトシン)の分泌が高まる。
 さらに、3回搾乳により、乳中に分泌される乳腺退行因子濃度が減少するため、乳腺の退行が抑制され、泌乳ピーク後の産乳量の減少が抑制される。この現象は、分娩後すぐに3回搾乳を開始し、100日以上継続することでより明確になる。泌乳ピーク後に3回搾乳を開始しても乳腺の退行を抑制できない。従って、3回搾乳による乳量増加が牛群として最大になるのは、3回搾乳を開始してから約1年後、全ての経産牛が新たな分娩をしてからということになる。

筆者の経験では、3回搾乳を開始した直後から10〜15%の乳量増加があります。搾乳頭数が100頭以上で、搾乳を任せられる雇用労働のある牧場は、ぜひ3回搾乳にトライしてみてください。