このホームページに掲載した俳句(映像)の著作権はそれぞれの作者にあります。転載引用には十分注意下さい。


.   十 月 句 会  (互選)
           

4 石垣の多き島径秋日和             薄井 逸走
2 城壁の径は秋日の溜まりいる             
2 秋晴れて北方領土すぐそこに          
2 栃の実を踏みいて栃の実を拾ふ 
1 今の音確か木の実の落ちた音            
1 鮭の背の出ている浅瀬なを昇る  


3 木の実添へ湯治帰りの土産来し         坂井 翠波
2 切通し抜けて眺望秋日和                 
2 三更の木の実落つ音山の宿               
1 秋晴や餌乞ふ鯉の犇めきし                
1 秋晴れや夜雨激しき潦  
1 走り来し孫は木の実を握りしめ    
        

2 秋日和遺蹟は掘られ土臭う           三浦 秀水
2 山風に木の実降りつぐ堂庇                
1 団栗を掌にしっかりと昼寝の子              
1 釣れてすぐ河原料理の秋日和      
1 竜勢の秋天裁ち切る奥秩父    
1 秋興や道標朽ちて径迷え 


4 どんぐりの供へてありし辻地蔵         横手  時
3 水引草や朝のしじまに露やどし              
1 つまずきて目ざとき人や栗拾う              
1 釣船草閉ざせし荘に門扉なく              
1 稲荷社の旗揺れやまず木の実落つ            


3 紅芙蓉きのふの花をこぼしつつ         三浦 政子
2 透明な風に甘えて秋桜                  
1 秋晴れの陽おもてにしてかげり濃し            
1 秋晴れの障子にうつる鳥の影               


3 秋天の野に長々と牛の啼く           松原 利恵
1 背にねむる子の掌にぬくむ木の実かな           
1 遙かより白波炎ゆる芒原                 
1 天界とこの世をつなぐ秋日和               


2 なゝかまど熟れしバス停湖静          池田 京華
1 天高し大観覧車の人となる               
1 無患子(むくろじ)や胸像の虚子に逢ひし寺         
1 どんぐりも回るわが家の洗濯機         

  
3 木洩れ日をそこに集めて蔦紅葉         杉山佐都子
2 木道に垂れいて萩の盛りかな               
1 目で盗む女のおしゃれ秋晴れや            


2 柿熟れる里山起伏多かりし           中村 如水
1 木の実降る病院の庭急ぎ抜け              
1 秋の蝶追う子等の手に捕虫網              


2 稲刈られ夕日にさわるものもなし        花岡上尾亭
1 夜の雲月を見せつゝとびにけり             
1 犬抱いて乞食寝てをり秋半ば              

  
           席題=コスモス  (京華さん出題)   

4 かすかなる風もコスモス捉へゐし        坂井 翠波
1 アングルの定まりかねぬ秋桜          三浦 秀水
1 休耕田今はコスモス盛りなり          中村 如水
1 禅寺のコスモス風にうきしずみ         花岡上尾亭
1 伏して立ち立ちては吹かれ秋桜         薄井 逸走




    句  評  (みんなで先生)    

(原句)目で盗む女のおしゃれ秋晴れや       杉山佐都子
      秋晴れや女のおしゃれ目で盗む  (利恵・翠波・逸走)

(原句)秋日和遺蹟は掘られ土臭う         三浦 秀水
      秋日和掘られし遺蹟土臭う    (時)

(原句)秋興や道標朽ちて径迷え          三浦 秀水
      秋興や道標朽ちて径迷ふ     (時)

(原句)無惨なり車木の実を踏んで去る    
  ・・車が踏む、は? (京華)
       (五七五にしたはずですが、記載がありませんでした)

(原句)秋の蝶追う子等の手に捕虫網        中村 如水
      秋の蝶追う子等持たぬ捕虫網   
         捕虫網は夏の季語でした (逸走)

(原句)三更の木の実落つ音山の宿         坂井 翠波
      三更の山宿木の実落ちる音   (逸走)

(原句)柿熟れる里山起伏多かりし         中村 如水
      柿熟れる里は起伏の多かりし  (逸走)   

(原句)どんぐりの供へてありし辻地蔵       横手  時
      どんぐりを供へたかのよう辻地蔵
   作者の見た様子と異なると思いますが・・・(逸走)

(原句)心浮く旅の始り秋晴し           杉山佐都子
      秋晴や旅の始まり心浮く 

(原句)秋晴や奥山も入れ投網打つ         坂井 翠波
      「奥山も入れ」を何とかしたい

(原句)えごの木の子株もしきり実をこぼす     三浦 政子
      「子株」と言うと、切り株のような感じがする

(原句)団栗を拾って蹴って下校の子        松原 利恵
      「下校」である必要はない
      「拾って蹴って」を何とかしたい

(原句)鮭の背の出ている浅瀬なを昇る       薄井 逸走
   背を出して鮭なを上る浅瀬かな  (上尾亭)

  
     注目の一句

   木の実落つさり気なく振る白頭巾       松原 利恵
 



     再投句のすゝめ          上尾亭

 私は互選の方法として次の基準で行っています。
  一、完成された句であること
    (直せば採れる句は採らない)
 この基準で約30句程を予選します、次に残念ながら除外する句
  二、類想類句
  三、当季に入らない句
 今回私が問題にするのは(三)の当季に入らない句です、十月の例会でそれに該当する句は次の句でした。
    木道の角に落葉の吹き溜り
 投句者の事情によって作句する場所が違ったりすると季がずれること多々あります、しかし私の基準で名句を採らなかったことはとても残念でした。そこで提案ですが「落葉」の季の例会にこの句を作者は再投句して下さい。必ずやその時は私は互選に採きますことをお約束いたします。





     印象の句             杉山佐都子
 ご縁があり皆様とご一緒させていただく事が出来まして、すでに半年が過ぎました。
 俳句は初めてで何も判らずに飛び込んでしまいまして、句会前夜は「もしかして私は無理なことをしているのでは」と自問自答の毎回で、寝不足の朝を迎えております。
 せめて今年は一合目あたりをうろうろさせていたゞき、皆様についていきたいと努力致します。

    鮭の背の出ている浅瀬なを昇る  (逸走)

 昨年息子の居るアメリカへ行きました折りに、鮭の群が何百匹と浅瀬を背を出して沈みながら昇って来るところを目にし、驚嘆を感じたことを想い出しました。
大変印象的であの日の事がよみがえる一句でした。





     仕込み蔵音楽会          坂井翠波

       古酒酌むや酒蔵で聴くクラシック

 私の住んでいる岩槻市には、比較的銘醸で知られている鈴木酒造がある。ここでは、毎年酒造時期の前の今頃に音楽会が開催される。今年も今月二二日に行われたが、これで四回目であり、私は、毎年出席しているが、音楽を聴くこともあるが、楽しみのひとつは、大吟醸がふんだんに賞味できることである。なにしろ女性のほうが多いので、飲酒を好む人にとっては、たまらないことである。お陰で、今年も音楽会の後半は、音楽会よりも睡眠を楽しんでしまった。
 なお、本年の演奏者は、新星日本交響楽団首席チェロ奏者村井将さんとピアニスト小島さやかさんである。
 演奏曲目は、ピアソラのリベルタンゴその他比較的軽い音楽であった。




     けやき(欅)の語源         小山田柏泡


  芽吹き遅き欅を叩きいざ去らむ      有馬朗人

欅(けやき)は高さ三十メートル、径二メートルにも達する高木
である。けやけしは特にきわだっているの意で、転じて欅の名と
なった。けれど春になっても他の草木より芽吹くのが遅いから、
いらだってたたき、いざさらばと意を決したというのだ。これに  
は含意があって、東大総長を去るときの詠んだもの。後に文部大
臣を歴任するわけで、日本の科学技術の進歩に一抹の不安を感じ
ての作であろう。「天為」主宰。    (村上護)

 信濃毎日新聞では数年間、けさの一句と題し、句が掲載され、その句の背景や句評などがあり、朝の楽しみの一つでもあった。
ある日の句に「芽吹き遅き欅を叩きいざ去らむ」この句の解説のなかに欅の樹名が「けやけ・し」から転じたとあり、広辞苑、国語大辞典、古語辞典等を開いてみると、何れも、古語で、きわだっている、すぐれている、すばらしい、の意であるとあり、欅が他の草木に比しきわだった木であり、けやけしからけやきに転じたとゆう語源も納得できる。
けやき句会も埼玉県の県木とともに欅にあやかりたいものです。
いや、いつも出席すらしないで、何をと叱られてしまうが、何分ご容赦下さい。



     編集雑感              薄井逸走

 今月の例会は活気がありました。意見を交わすことが俳句の勉強だと感じました。
 次回も是非活発なご意見をお願いいたします。

 私は、作者の着眼点と表現手法で選をしています。ですので、着眼点が良い句、表現手法がユニークな句は、完成された句でなくても、おこがましくも私見を加えさせていただいて、選んでいます。

     目で盗む女のおしゃれ秋晴れや    (佐都子)

この句は何人かの方が下五と上五を入れ替えるよう指摘されていているように、このままでは俳句として完成していませんが、着眼点と表現手法は素晴らしいと思い、選びました。
 半田粒志先生の◎(二重丸特選)句も、添削された上での選が少なくなかったように思います。

     遙かより白波炎ゆる芒原

 「炎える」は、「もえる」とは読みません・・・・と、先月書いた記憶が・・・・自信喪失です。やはり、読むのでしょうか・・ね?

     木の実添へ湯治帰りの土産来し

 三点句ですが、なじめません。土産に木の実が添えられていた、という視点は素晴らしいのですが、「来し」で全てを失ってしまった感じです。
また、「湯治帰り」に意味がありませんので、この点もすっきりしません。

     天高し大観覧車の人となる    (京華)

 今月最高の句です。青空に回る大観覧車は高い天をなお高く見せます。そして作者は、その高い天を目指して大観覧車に乗ったというのです。





兼題を出題された上尾亭さんから、例句の提示と作者の紹介がありました。

    閑居増恋(かんきょしてまさるこい)

 秋ひとり琴柱はづれて寐ぬ夜かな        荷兮

    荷兮(かんけい)(一六四八年〜一七一六年)
     山本氏。名は周知。通称武右衛門、また太一。(琴柱・琴の糸を支える支柱)




    兼題に関して            薄井逸走

 七月から兼題が二つとなりましたが、これに関してささやかな意見があります。
 先月、兼題が駄目なら当季雑詠に力を入れましょう、という意味の意見がありました。しかし、私は、例会にはなるべく兼題句を出すようにしたいと考えます。(と言いつつ、私自身、今月は兼題句が少ないのですが)何故なら、
  当季雑詠でいいなら、兼題を出す意味がないこと
  出された兼題、すなわち、出された季語で俳句を作るとなれば、なじみのない季語であってもその季語の背景を調べることとなり、勉強になるということ
です。
 今回の「秋ひとり」は馴染みのない季語ですが、勉強のために、例句を手本に作句したいと思います。「初紅葉も難しいし、秋ひとりも難しいのでパス」というのは簡単ですが、それでは勉強になりませんから。
 そこで提案です。兼題の数を増やし(四つ程度)、必ず兼題句を投句する、としたらいかがでしょうか? 勉強になると思うのですが。
 


●高木晴子さん 十月二二日逝去 八五歳 高浜虚子の五女で生存していた最後の子●


(表紙)・朝顔が秋の季語であることを実感しています。七月頃から咲き続いているのですが、夏の時期は、屋上に上がる午前八時には全部しぼんでしまっていて、花を楽しむことができませんでした。 最近は夕方まで咲いています。まさに、秋の花です。  十月二十七日撮影




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このホームページに掲載した俳句(映像)の著作権はそれぞれの作者にあります。転載引用には十分注意下さい。


.   十 一 月 句 会  (互選)
                    
3 秋ひとり今日は息子の誕生日          杉山佐都子
2 湯煙のとぎれしところ初紅葉             
2 秋ひとり一合の酒もてあます          
1 ぽこぽことおどる湧水紅葉舞ふ 
1 初紅葉訪ねて杣の道狭く              
1 打たせ湯に打たれておりし秋ひとり


3 托鉢僧風に順い秋ひとり            三浦 秀水
2 襞をぬい木曽路は深し初紅葉               
1 蔓の這う城塞彩る初紅葉                
1 うっすらと稜線染めて初紅葉               
1 おでん鍋ふくれて箸の動きけり  
1 秋ひとり妻は早発ち置手紙      
       

2 古街道木曽の秋水手杓にて           三浦 政子
2 秋ひとり茶釜にたぎる湯音かな              
2 木曽谷の一輌電車初紅葉                 
1 編笠のうちなる僧や秋ひとり     
1 初紅葉木曽谷ふかき車窓にて  
1 散り急ぐ欅の枯色降りかかる 


6 初紅葉峡にせり出す一枝かな          横手  時
3 初紅葉木立の中の登り窯 
2 憤りまだある余力秋ひとり
1 十三夜言葉すくなく別れけり
1 秋ひとり猫をはべらせ酌みてをり


3 柿?いで蒼き空から切り離す          小山田柏泡
3 旅仕度解かず落葉の庭を掻く              
1 秋ひとり寝酒に馴染みのワンカップ           
1 ?田の葉先を染めて夕茜                


3 初もみじ峡に一朶を鏤めし           坂井 翠波
1 四阿にたばこ燻らす秋ひとり               
1 神の庭桜古木に初紅葉                  
1 初紅葉並木の奥に美術館                 


2 秋ひとり厨の窓に映る顔            薄井 逸走
2 秋ひとり自問自答の手酌酒                
2 秋ひとり荒れ野の花は寄り添へり        
1 風呂の湯の溜まるを待つ夜秋ひとり          
  

2 納屋くずる傍へに一本初紅葉          中村 如水
1 秋ひとり机に向かい苦吟する               
1 毬のごと刈られし満天星初紅葉            


2 秋ひとり日々通院の身をかこち         田中 久子
2 秋ひとり今日も変わらぬ日々であり           


1 秋ひとりねむ気うながす終ひ風呂        松原 利恵
1 湯けむりの上毛三山初紅葉               


4 初紅葉写して水の滑り行く           池田 京華


1 帚目にこぼれ美し真弓の実           花岡上尾亭




   席題=立冬     (政子さん出題)

5 地に還る色になずみて冬に入る         三浦 政子
2 立冬や保育園児の声澄みて           中村 如水
2 大農具泥を落として冬に入る          三浦 秀水
2 立冬の日差しに猫は背を伸ばす         薄井 逸走



    句  評  (みんなで先生)   

  おでん鍋ふくれて箸の動きけり         三浦 秀水
     「おでん種」ではいかがでしょうか(京華)

  初紅葉写して水の滑り行く           池田 京華
   実に美しく感じる句ですね(利恵)

  秋ひとり今日は息子の誕生日          杉山佐都子
     別居している息子の誕生日に妻が行って、ひとり淋しくしているのかなー

  秋ひとり今日も変わらぬ日々であり       田中 久子
     素直な句で好いと思います(如水)
     ひとり感がさりげない云い方で表現されている


  秋ひとり厨の窓に映る顔            薄井 逸走
     秋ひとり厨の窓に映す顔
     独りをより強調するため・・自ら映している(政子)

  立冬や保育園児の声澄みて           中村 如水    
    園児だけで解るのでは(政子) 

  初紅葉写して水の滑り行く           池田 京華
     「流れきらめきし」にしては(時)

  風呂の湯の溜まるを待つ夜秋ひとり       薄井 逸走
     私はいつもそうだと実感です(佐都子)

  初紅葉峡にせり出す一枝かな          横手  時
     初紅葉峡にせり出す一枝から (逸走)

  初もみじ峡に一朶を鏤めし           坂井 翠波
     「一朶」では鏤められませんので「伸びてをり」では(逸走)

  旅仕度解かず落葉の庭を掻く          小山田柏泡
     庭ですから「掻く」でなく「掃く」かと思います
     「庭」より「路地」の方が「旅支度解かず」に合うと思います(逸走)
  
  十三夜言葉すくなく別れけり          横手  時
     句会で「秋ひとりでも合うのでは」と申しましたが、十三夜の方が意が深いと思います。
     どんな別れをしたのでしょう。もう二度とは会わない別れなのでしょうか。
     「言葉すくなく」が効いています(逸走)



   注目の一句

  たそがれてさゆらぐ恋や秋ひとり        松原 利恵
   (作者の意図とは違いますが、さゆらぐ心、では・逸走)


   注目のもう一句

  秋ひとり夜を遊びし頃思ふ           花岡上尾亭

 兼題「秋ひとり」を出題された上尾亭さんが欠席され、皆残念がっていました。
 ここに、ひそかに、上尾亭さんの「秋ひとりを」紹介します。


  ひとこと             翠 波

  地に還る色になずみて冬に入る         三浦 政子

なずむは、なじむではないかと思う。
 ○なずむ→行きなやむ又は、はかばかしく進まないの意
 ○なじむ→馴染む、馴れて親しくなるに意
大変よい句であったので選句の中に入れたが、言葉に誤りのあったように思われる点が残念である。




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