このホームページに掲載した俳句(映像)の著作権はそれぞれの作者にあります。転載引用には十分注意下さい。


.   三 月 句 会  (互選)
           

3 あたたかし土に空けいる種袋          坂井 翠波
2 あたたかしゆきずりに買ふ雑書籍           
2 ほの暗き春星掲げ森眠る            
1 あたたかや身重の娘誘ひて     
1 春星や城址の森の深き闇              
1 雲湧きて星座を組まず春の星  
1 あたたかや白衣の医師の目の澄みて


2 三日月に添うてうるみし春の星         横手  時
2 あたたかや猫を伴侶と野良仕事              
2 春の星盆地の野川光りおり               
2 子の夢は宇宙へ飛べり春の星               
1 押し花の葉書届きぬあたたかし  
1 あたたかや茶房に残る手押し井戸          
1 青春のプラネタリウム春の星

3 ボール蹴る声のむこうのあたたかさ       松原 利恵
2 山よりの日は金色にあたたかく    
2 光陰のかくもやわらか春の星       
1 雨後の庭はづむこま下駄あたたかく   
1 暖かや呼び鈴押すは背中の子
1 あたたかく迎えらるたる誕生日


3 暮るるよりはや春星のまたたきぬ        三浦 政子
2 春宵のこの刻が好き坂下る      
1 暖かや杖つきながら鑑真展     
1 暖かや行く気になってをりにけり   
1 眼鏡拭き日脚伸びしを実感す         
1 暖かや片手に上着持ちながら    


3 街の灯に空うっすらと星朧           田中 久子
2 街の灯にさだかに見えぬ春の星    
1 ベランダに花鉢出し置く暖かさ       
1 散策の歩みゆるめる暖かさ           
1 暖かや鼻唄まじりの風呂掃除      


2 春の星影ぼんやりと道路鏡           三浦 秀水
2 潮騒や蝦夷地を斜に春の星                
1 窯匠の作務衣短かな暖かさ           
1 暖かや小屋根で猫の欠伸かな     
1 暖かや蚕屋障子の開きおり          


3 星朧山の湖静まりて              小山田柏泡
2 暖かや木の間にひかる鳥の影   
1 さざ波に春の星座の崩れし湖 
1 星朧ローカル電の薄灯り  


1 歩道橋上がりてホット春の星          杉山佐都子
1 見舞う路地重き足どり春寒し             
1 見ぬ孫へ幸せ寄せて春の星               
1 かっけっこのくるりと廻り春一番           


4 暖かや路地駈け抜ける声のして         薄井 逸走
2 暖かや瞼の重くなって来し                
1 通勤の自転車軽し春の星                 


2 駅降りてすぐ連れだちぬ春の星         中村 如水
1 春の星鳩も塒にもどりけり                
1 あたたかや会釈かわせし田圃道             

  
  
   席題=ものの芽 (出題 翠波さん) 

3 名も知らぬ物の芽土手にはびこりし       中村 如水
3 ものの芽や天空の紺果てしなし         坂井 翠波
2 ものの芽の膨らむ日々や見沼畑         薄井 逸走
1 何の芽か名は知らねども苑の隅         田中 久子
1 つんつんとしてよそよそし菖蒲の芽       松原 利恵
1 囲い取れ一気に芽ぶく垣根ごし         杉山佐都子
1 鬼ごっこものの芽踏める芒原          三浦 秀水
1 ものの芽とすうつと行きたし天国へ       花岡上尾亭



    句  評  (みんなで先生) 

  
  歩道橋上がりてホット春の星          杉山佐都子
    「ホット」がいゝねえ。(上尾亭)

  山よりの日は金色にあたたかく         松原 利恵
    ぴったりだ「金色」とは良く言えましたね。(上尾亭)

  暖かや蚕屋障子の開きおり           三浦 秀水
    「蚕屋障子」とはあゝなつかしや(上尾亭)

  春の星影ぼんやりと道路鏡           三浦 秀水
    「ぼんやりと」がいゝねー(上尾亭)

  あたたかし土に空けいる種袋          坂井 翠波
    「土に空けいる」がぐっときます。(上尾亭)

  あたたかや会釈かわせし田圃道         中村 如水
    「田圃道」にふんいきが出ているねえ。(上尾亭)

  かっけっこのくるりと廻り春一番        杉山佐都子
    「くるりと廻り」が春一番と競走しているよ。(上尾亭)

  潮騒や蝦夷地を斜に春の星           三浦 秀水
    いゝねえ。大きく景色をどんと置いたねえ。(上尾亭)

  春の星鳩も塒にもどりけり           中村 如水
    「鳩も塒に」がいいねえ。(上尾亭)

  ものの芽や天空の紺果てしなし         坂井 翠波
    「果てしなし」に共鳴するねえ。(上尾亭)

  あたたかや猫を伴侶と野良仕事         横手  時
    ユーモアあって佳いと思いました(利恵)

  ものの芽とすうつと行きたし天国へ       花岡上尾亭
    すうつとが佳いのでいただきました(利恵)

  春星や城址の森の深き闇            坂井 翠波
    城址の森の暗さに高く輝く春星絵になっている風景(政子)

  ボール蹴る声のむこうのあたたかさ       松原 利恵
    声のむこうに広さが感じられのどかな様子(政子)

  見ぬ孫へ幸せ寄せて春の星           杉山佐都子
    見ぬ孫へ寄せる幸せ春の星(政子)    

  押し花の葉書届きぬあたたかし         横手  時
    暖かし押し花葉書の届きけり(秀水)

  暖かや小屋根で猫の欠伸かな          三浦 秀水
    暖かし小屋根で猫の欠伸かな    

  髪切りし娘の首細く春の暮れ
    暖かや髪切りし娘の首細く

  光陰のかくもやわらか春の星         松原 利恵
    光陰のやわらかなりし春の星(逸走)      

  ボール蹴る声のむこうのあたたかさ       松原 利恵
    「声のむこう」この表現が気に入りました(逸走)



 雛流し行事の俳句大会について   坂井翠波

 ご承知かと思いますが、私の住んでいる岩槻市は、雛の町として、知られていますが、市と人形組合が、共同主催で、毎年四月二九日雛流し行事が行われています。また、昨年からは、協賛行事として、俳句大会も開催されています。昨年は一一九人二二三句の応募がありました。季題は「雛流し」二句までで出句者の制限等はなく、当日会場の岩槻城址公園の投句箱へ投句することになっています。選句者は、当市に住んでいる小川原嘘帥先生(本年から県俳句連盟会長に就任する予定)です。そこで、提案ですが、もし、出句希望の方がありましたら、前日夕方までに、私あて電話等で連絡頂ければ、私が併せて投句します。また、当日雛流し行事を参観したい方には、私がご案内しても良いと思います。  なお、詳細は次回のけやき句会でお話しますが、本年は、春の吟行会もないようですので、代わりにいかがかと思って連絡しました。  なお、昨年の優秀賞は、次のような作品でした。

  【市長賞】
  流し雛菜の花一枝添えにけり     大宮市 三村富雄
  【議長賞】
  幼文字添へて少女の流し雛      宮町  高野慶子
  【教育長賞】
  手波して湖芯へ送る流し雛      大宮市 白石幸子
  【実行委員会会長賞】
  手を離れくるりと廻る流し雛     上里  富永和賀子
  【岩槻市俳句連盟会長賞】
  わが息を雛にかけてより流す     大宮市 高橋愛子
  【佳作】
  散る花をかんばせにして雛流す    桶川市 金田きみ子
  満面のえみがゆきかう流しびな    城南  芦沢信也
  願い事積んでゆらゆら流し雛     川口市 広瀬三知代
  木下闇奥は要の堀障子        川口市 伊藤久枝
  天空を仰ぐ眼差し流し雛       本丸  坂井翠波
  この子等にひろがる未来雛流す    浦和市 島田幾夫



   自句自解          花岡上尾亭

 三月二十日彼岸の日「さきたま古墳」へ吟行した時の不思議な体験からこの句は出来ました。林を過ぎて広場に出るその瞬間あたりの物音は消えこの世は消え荘厳な「ものの芽」の世界が現れました。ほのぼのとした清浄な世界です。ずうつとたたずみ「ものの芽」の世界に浸っている時「ものの芽」がたしかに私の耳にさゝやきました、「私達は天の国に行きます」あゝなんと言うこと。
 だから私の句は(ものの芽とすうつと行きたし天国へ)となったのです。句友に感謝します、ずうつとあたためていた句が例会の席で完成したのです。次の句はこの時の吟行で完成しました(絶世の光が踊る春の水)古墳をめぐる濠の水に不思議な情景を又見ました、絶世の美女ならぬ絶世の光に心を奪われました、恐らく私だけに見えた世界です。いつもいつも私は私にだけ見える世界を句作りの根本としていきます。南無阿弥陀仏 あゝ。



    編集雑感           薄 井 逸 走

  あたたかし土に空けいる種袋          坂井 翠波
選句の時目に止まった句ですが、「種袋を土に空ける」という表現になじめませんでした。
そんなことしない、と思ってしまうのです。「土に挿したる種袋」では?

  あたたかく迎えらるたる誕生日         松原 利恵
この場合の「あたたかく」は季語が求める「暖か」とは違うものと思いますが、どうなのでしょう?

  春宵のこの刻が好き坂下る           三浦 政子
なぜ坂を下るのでしょうか。坂を下っていると春宵の町が見えるのでしょうか。

  潮騒や蝦夷地を斜に春の星           三浦 秀水
読めば読むほど作者の位置が分からなくなります。海を見ていたのか、蝦夷地を見ていたのか、
春の星を見ていたのか、海に向いていたのか、海を背にしていたのか、様子が浮かびません。
  
  さざ波に春の星座の崩れし湖          小山田柏泡
さざ波が立ったら空の星は映らないのでは? 「湖(こ)」でポツンと終わるのがなじめません。
春の湖揺れゐて星座崩しをり、では。

  見舞う路地重き足どり春寒し          杉山佐都子
足どりが重いというのは、第三者的表現ではないでしょうか。路地である必要はないと思います。

  あたたかや会釈かわせし田圃道         中村 如水
そうなんでしょけど、田圃道では誰もが会釈を交わすと思いますので、普段は会釈の少ない場所がいいと思うのですが。歩道橋なんかいかがでしょう?

  約束の時間に早し暖かし            薄井 逸走
今回の自信作だったのですが、選をいただけませんでした。
寒い時に待たされるのは辛いですが、暖かければ待つのは苦になりません。
そんな意味で作りました。
「早し」「暖かし」と「し」が続いたのがいけないのでしょうか。

  流し雛菜の花一枝添えにけり       大宮市 三村富雄
お前は市長賞の句にまで文句を付けるのか、と言われるのを承知で・・・・ひどい季重ねです。
流し雛が主なのか菜の花が主なのか・・・そんな感じです。
また、菜の花を「一枝」というのが乱暴です。
そして、(岩槻市のホームページで見たのですが)流し雛は小さなものですから、 菜の花を一枝も乗せたら沈んでしまいます。選者は雛流しを見ていないのでしょうか?


埼玉俳壇 松本旭先生 選
  春を待つ子猫を膝に乗せながら         薄井 逸走



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このホームページに掲載した俳句(映像)の著作権はそれぞれの作者にあります。転載引用には十分注意下さい。


.   四 月 句 会  (互選)




4 葉桜や湯宿を結ぶ瀬音道            三浦 秀水
3 葉桜や驢馬街道に憩いおり
2 葉桜や一枝触れてる昆陽の碑
2 葉桜や万天の星見えかくれ
1 葉桜や校門にぎやかセーラ服
1 葉桜や風よき土手のハイキング


3 葉桜の根瘤に憩う杖と人            小山田柏泡
2 雀の子人との距離を覚えけり
1 昏れ初めて雀親子の声消えし
1 杉花粉マスクの人の眼のうるみ
1 参道に葉桜木漏れ日細くして
1 葉桜となりし花園静まれり


2 犬ふぐり群れゐて丈を伸ばすあり        薄井 逸走
2 飛びはねて跳びはねてをり雀の子
1 羽づくろふことを覚えし雀の子
1 葉桜や地鶏は己が穴うがつ
1 葉桜になって園児の声高し
1 葉桜や地鶏の卵産むがまゝ


5 枝揺れて宙にためらふ雀の子          坂井 翠波
2 呼ばれたるごとく下り来し雀の子
1 葉桜の雨は緑の雫して
1 風わたり葉桜そよぐ山の湖
1 静謐の葉桜の空果しなく


3 葉桜に癒されている露天風呂          杉山佐都子
2 葉桜に何かありそな物語
2 残りパン蒔いて子雀誘いけり
2 あぶなげに飛ぶ子雀や生きる空
1 入園児葉桜の庭手を引かれ


3 花は葉に瀞の水面の深みどり          松原 利恵
2 ためらはず犬小屋あさる雀の子
1 葉桜の続く堤防牛眠る
1 葉桜やさざ波匂ふ太陽の光り


1 花の寺遍路も鈴をかきたてて          三浦 政子
1 親雀空の餌皿をつつきをり
1 雀の子口にとり入る離乳食
1 五重塔ありしは昔花は葉に


3 庭先に飛べず震えし雀の子           中村 如水
2 葉桜や路面電車は窓あけて
1 城下町はや葉桜となってゐし


1 じりじりと星が桜に寄ってくる         花岡上尾亭
1 もう鳴くな鴉よ桜ねむい時



   席題=春雨 (出題 逸走)

 
5 春雨や傘をさす人ささぬ人           松原 利恵
1 予期なく春雨降りし駅おりる          中村 如水
1 春雨を肩で受け止め軒借りる          杉山佐都子
1 春雨に木下の道を選びけり           薄井 逸走



    句  評  (みんなで先生)   

葉桜に癒されている露天風呂            杉山佐都子
  気持ちはわかりますが、「癒されている」になにか良い文言はないでせうか(秀水)


犬ふぐり群れゐて丈を伸ばすあり          薄井 逸走
  犬ふぐり群れゐて丈を伸ばしけり(秀水)

じりじりと星が桜に寄ってくる           花岡上尾亭
  おもしろい句です夜空に夜桜が調和して良い(秀水)

春雨を肩で受け止め軒借りる            杉山佐都子
  春雨を肩で受け止め軒を借り(秀水)

昏れ初めて雀親子の声消えし            小山田柏泡
  「声絶えし」でもいいでしょうか?(利恵)

葉桜や万天の星見えかくれ             三浦 秀水
  かすかに風が吹いている様子が出ている句と見受けました(利恵)

残りパン蒔いて子雀誘いけり            杉山佐都子
  私も良くやることなので同感しました(利恵)

葉桜の根瘤に憩う杖と人              小山田柏泡
  「杖の人」はどうでしょうか(利恵)

あぶなげに飛ぶ子雀や生きる空           杉山佐都子
  生きる空に作者の思いやる心が感じられる(政子)

葉桜や校門にぎやかセーラ服            三浦 秀水
  いつか見た風景なつかしい(上尾亭)

親雀空の餌皿をつつきをり             三浦 政子
  子雀はどうしているんだろうか心配です(上尾亭)

あぶなげに飛ぶ子雀や生きる空           杉山佐都子
  子雀は空に生きるんだ、けなげだなあ(上尾亭)

飛びはねて跳びはねてをり雀の子          薄井 逸走
  躍動する子雀が目に浮かぶ(上尾亭)

庭先に飛べず震えし雀の子             中村 如水
  震えている子雀が目に浮かぶ(上尾亭)

雀の子口にとり入る離乳食             三浦 政子
  雀の子の離乳食はなんだろうか面白い(上尾亭)

残りパン蒔いて子雀誘いけり            杉山佐都子
  子雀を誘っている心優しい人(上尾亭)

葉桜や一枝触れてる昆陽の碑            三浦 秀水
  一枝触れて碑がうれしそう(上尾亭)

葉桜の根瘤に憩う杖と人              小山田柏泡
  憩う人と杖が目に浮かぶ(上尾亭)

予期(も)なく春雨降りし駅おりる        中村 如水
  春雨に駅でためらっている作者(上尾亭)

雀の子人との距離を覚えけり            小山田柏泡
  雀の子人との距離を知ってをり(逸走)  

五重塔ありしは昔花は葉に             三浦 政子
  五重塔ありし所の花は葉に(逸走) 

枝揺れて宙にためらふ雀の子            坂井 翠波
  枝揺れてためらってをり雀の子(逸走)

庭先に飛べず震えし雀の子             中村 如水
  庭先に飛べず震える雀の子(逸走)    

葉桜や湯宿を結ぶ瀬音道              三浦 秀水
  粒志先生との吟行を思い浮かべました(逸走)



   編集雑感           薄 井 逸 走


葉桜や驢馬街道に憩いおり             三浦 秀水

驢馬が憩う、としたので街道の名が驢馬街道なのか、との誤解を受けたものと思います。 「憩う」のは人だけなのかもしれません。

枝揺れて宙にためらふ雀の子            坂井 翠波
やはり「宙にためらふ」の宙が気になります。枝に止まろうとして宙でためらっていたのでしょうか。 枝に止まっていて、不安そうな顔をしていたものと思うのですが。

残りパン蒔いて子雀誘いけり            杉山佐都子
広辞苑を見ますと「蒔く」でいいようですが、種を蒔くように思えて仕方ありません。 「撒く」ではいかがでしょうか?



    埼玉俳壇 阿部完市先生 選

  約束の時間に早し暖かし            薄井 逸走

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