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.     七 月 句 会  (互選)
                    
3 古物屋のウインド飾る水中花          横手  時
2 あざやかな彩が淋しき水中花             
2 梅雨明けて園児の靴の乾し並ぶ         
2 旅三日留守に耐へゐし水中花    
2 水中花ぽんと沈む空しさよ      
2 梅雨明けの樹下に定まる犬の場所          
1 水中花少女は胸になに抱く    


3 凌霄の土塀を越えて露地に散る         小山田柏泡
3 水中花重なり合って色競う                
2 水中花そっと廻して眺めゐし 
1 空梅雨の明けて空しき今朝の風              
1 覗きみる子の眼輝き水中花 
1 梅雨明けて団地のベランダ華やげり


2 水中花コップに写る歪む顔           三浦 秀水
2 梅雨明けて浜茶屋組める槌の音         
1 散歩道覗く茶房の水中花  
1 梅雨上がりたらいに浮かぶ子の玩具
1 梅雨明けて繋留解かれし屋形船


4 梅雨明の葬送にへゆく橋長き          三浦 政子
3 梅雨明をもたらす西の夕光り     
2 梅雨明けの喪服に容赦なき日射し   
2 水中花少し斜めに咲きにけり   


3 水中に風あるらしく水中花           薄井 逸走
3 路地奥に届く日差しや梅雨の明け   
1 梅雨明けてキラリキラリの波頭     
1 犬小屋の向きを変へたり梅雨の明け  


3 水中花古き喫茶のカウンター          中村 如水
1 てかてかと旱道ゆく師の年忌               
1 泡つけてポトンと底に水中花           
1 なまけいて雑草繁茂梅雨明けぬ            
  

3 宿題に飽きて目をやる水中花          杉山佐都子
1 梅雨明し一斉に来る行事かな  
1 孫抱きて異国で聞きし梅雨の明け  
1 枕頭に咲くもさびしき水中花 


3 鍾乳洞友呼ぶ谺涼しかり            坂井 翠波
1 梅雨明けや廃船繋ぐ川渡し      
1 泡ひとつ浮かべ咲き初む水中花       
1 梅雨明けを兆す雷鳴雲の中           


2 水替えて光りあまねく水中花          松原 利恵
2 梅雨明けのカーテンはらむ裏長屋           
1 一片のの雲かげ抱く梅雨の明け             
1 今日ひとひ六十路つちかう水中花


1 曇り日のうつむく百合の淋しけれ        花岡上尾亭
1 日焼けしてけわしき山の道ぶしん            
1 軒下は涼し秀峰雲に入る                
1 夏霧の牧にありあり白馬かな   



     席題=七夕 (出題 翠波さん) 

2 七夕や丈余の竹をかつぎゆく          三浦 政子
2 星祭る六十路の絵筆たっぷりと         松原 利恵
2 触れてみる七夕飾りの肩車           薄井 逸走
1 学童等七夕竹を引きずりて           中村 如水
1 雑踏の駅の七夕なつかしみ           杉山佐都子
1 笹竹の黄ばむ早さよ星祭り           三浦 秀水
1 一夜経し七夕竹を海に捨つ           坂井 翠波
1 七夕の書きかけてある色紙かな         花岡上尾亭



    句  評  (みんなで先生)   

水中花そっと廻して眺めゐし            小山田柏泡
  じっくり見られて水中花もさぞかし満足(政子)

水中花ぽんと沈む空しさよ             横手  時
  空しい気持が伝はります(政子)

泡つけてポトンと底に水中花            中村 如水
  水中花ポトンと落ちて泡浮けり(政子)

水中花古き喫茶のカウンター            中村 如水
  水中花と古き茶房がなつかしい(時)
夏霧の牧にありあり白馬かな            花岡上尾亭
  「ありあり」の描写に一考と思いますが(時)

学童等七夕竹を引きずりて             中村 如水
  身に余る竹を持って行く子供達がうかびます(時)

覗きみる子の眼輝き水中花             小山田柏泡
  覗きみる子の眼輝く水中花  ではどうでしょうか?(利恵)
 
梅雨明し一斉に来る行事かな            杉山佐都子
  行事と云えば外仕事、内仕事(書類の整理とか) 梅雨明けと行事とのつり合いがとれている句と思って戴きました(利恵)
  梅雨明けて一斉に来る行事かな(逸走)
  
軒下は涼し秀峰雲に入る              花岡上尾亭
  ことばがきれい、感じのよい句である(翠波)

梅雨明の葬送にへゆく橋長き            三浦 政子
  葬列へ参加するときの気分の重さがよく表現されている(翠波)
橋長きが面白い(上尾亭)

梅雨明けて繋留解かれし屋形船           三浦 秀水
  活動を開始する前の屋形船、梅雨明けの明るい気分が表現されている(翠波)

触れてみる七夕飾りの肩車             薄井 逸走
  触れている七夕飾りの肩車(秀水)

枕頭に咲くもさびしき水中花            杉山佐都子
  衰えた病者が悲しい(上尾亭)

古物屋のウインド飾る水中花            横手  時
  水中花と古物屋の眼のつけどころがよろしい(上尾亭)

水中花そっと廻して眺めゐし            小山田柏泡
  好奇心が面白い(上尾亭)

水中花少し斜めに咲きにけり            三浦 政子
  細かい観察がいゝですね(上尾亭)

水中花古き喫茶のカウンター            中村 如水
  「古き喫茶のカウンター」が効いています(上尾亭)

水中花コップに写る歪む顔             三浦 秀水
  「歪む顔」と詠んだのに敬意(上尾亭)

水中に風あるらしく水中花             薄井 逸走
  「風あるらしく」がシャレています(上尾亭)

鍾乳洞友呼ぶ谺涼しかり              坂井 翠波
  鍾乳洞と谺 涼しがぴったりです(上尾亭)

星祭る六十路の絵筆たっぷりと           松原 利恵
  「星祭る六十路」に敬意(上尾亭)

梅雨明けて園児の靴の乾し並ぶ           横手  時
  梅雨明けて園児の靴を並べ乾す(逸走)
    



    流しひな俳句大会について    坂井翠波

 過日、お話ししました右記の大会については、市内外から七十人百十九句の応募があり、 次の作品が入選しました。(佳作は省略)
 
 【市長賞】
小さな手母と重ねて雛流す       柏崎    山崎安子
 【議長賞】
ひとときをてのひらに愛で雛流す    西町    田中花山
 【教育長賞】
流れゆく雛の蹴出しの赤まぶし     本町    福田窓月
 【実行委員会会長賞】
泣くことのできぬ雛を流しけり     さいたま市 堀越平資
 【岩槻市俳句連盟会長賞】
雨あとの草樹の匂ふ雛流し       さいたま市 高橋愛子



    季重なりについて       坂井翠波

 最近、「けやき」で季重なりについての議論が盛んである。大変結構なことであるが、 季重なりはどの程度までなら許されるものなのか考えてみた。参考になればと書いてみる。
 手許に、清水基吉の「俳句をはじめる人のために」と表題した図書がある。 このなかに「季重りを避ける」としその例として
      カンナ燃ゆビールを冷やし暑気払い
との俳句が例句として掲示されている。
この俳句などは例句のためのものであり、全くの初心者でなければこのような作句はしないと思う。
また、著者は季重なりの句でありながら名句として評価されている句として次のような句をあげている。
      年の夜やもの枯れやまぬ風の音    渡辺水巴
      案山子翁あち見こち見や芋嵐     阿波野青畝
      四月馬鹿朝から花火あがりけり    久保田万太郎
      牧水忌島のひとつは秋まつり     飯田竜太
つまり水巴の年の夜、青畝の案山子、万太郎の四月馬鹿、同じく竜太の牧水忌は主季語でそれ以外の、 枯れ、芋嵐、花火、秋祭り等はそれぞれの句の点景的役割として使われているものであり、 却って句の印象的効果を高めているとしており、 季重なりについては、読者の気になるような季重なりだけは、避けるべきであると結論づけている。
 また、俳句朝日八月号に斉藤夏風氏が二十句程出句しているが、この句を見ると、 季重なりと思われる句が随分散見される。
      武蔵野は雨のち霰のち落花
      雪形は種撒猿や竹の秋
      この朝の蟻は掃かずに夏落葉
 要は、作句の際、一番大切なことは、季語であることを知らないで使い、 それは季語だと指摘されて驚く(わたしも何回と泣く経験があるが) ようなことのないよう日頃季語の知識を豊富にしたいものである。
 そして、一句一季語が、原則と考えて、一句のなかにいくつもの季語を入れて、 却って複数の季語が句の魅力を相殺しあうことのないようにしたいと自戒しているが、 あまりにも、これに、固執して作句での手足を縛るようなことになるのも避けるべきであるとも思っている。




埼玉俳壇        阿部完市先生  選

      十薬を引けば裏庭皆匂ふ    薄井逸走

            (評)十薬をひく、庭全てが匂ふ。
               いかにも俳諧的把握の一句。美事。

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.     八 月 句 会  (互選)
                    
3 雨止みて澄みし夜空や秋に入る         坂井 翠波
2 立秋や夜雨のしぶく石畳
2 秋立つや首の据わらぬ嬰児(やや)笑ふ
2 秋立つや骸骨笑ふ科学館
1 秋暑し煩悩払ふ鐘を打つ
1 松籟や一禽舞ひて今朝の秋


4 路地抜ける風立秋のたしかなる         横手  時
3 骸骨のおどる納涼屋敷かな
1 颱風に一と日籠りて師の句集
2 新涼や座右の一つ姫鏡台
1 牡丹燈籠背後に骸骨伴なへり


4 秋立つや痩身の袖を通る風           三浦 秀水
2 放牧の角笛澄める今朝の秋
3 隧道の駅ひんやりと秋立ちぬ
2 骸骨に秘めしインカの美術展
1 老医師と標本骸骨窓は秋


2 朝刊のコトンと落ちて秋立てぬ         薄井 逸走
2 ドクロ旗立てて真夏の遊覧船
2 立秋の風は轍に沿って吹く
1 立秋の芝の深きに腰おろす
1 立秋の風は木下を抜け渡る
 

2 物云はぬ髑髏の眼窩(がんか)秋の風      三浦 政子
1 雨かとも秋立つ葉摺れ音にきく
1 ポンペイ展銭食む髑髏秋深し
1 青信号渡るもひとり野路の秋
1 開け放つ窓に気配うや夜の秋


3 日記帳余白のありて秋立ちぬ          杉山佐都子
3 骸骨の時折出番夏芝居
2 マネキンの粧い変り秋たちぬ
1 松林抜け出たところ秋立ちし


2 今朝の秋外気いっぱい深呼吸          中村 如水
1 秋立つや栃の葉そよぐ風の音
1 声からし応援する子の日焼顔


1 紺碧のいっそう深く今日の秋          松原 利恵
1 鈴虫の食べ残したるされこうべ
1 鉄塔の二つ並んで秋暑し


1 なめくじの這って光れる髑髏かな        花岡上尾亭
1 月いづこ髑髏しずみて海の底
1 骸骨に光り広げる蛍かな



       席題=花火 (出題 秀水さん) 

3 手花火の揺れやまぬまゝ落ちにけり       薄井 逸走
2 はじけ散る花火の端っこ見て終る        三浦 政子
2 星ひとつ残して散りぬ揚花火          杉山佐都子
1 ふるさとは小さき町よ遠花火          松原 利恵
1 手花火や屈む姉妹の髪光る           坂井 翠波



       句  評  (みんなで先生)   

立秋の港に船を向き変える             杉山佐都子
  立秋の港に船の向き変える(利恵)

日記帳余白のありて秋立ちぬ            杉山佐都子
  日記帳の余白に夏を惜しみつつ・・・・かな(政子)

牡丹燈籠背後に骸骨伴なへり            横手  時
  若い頃見た芝居の一場面を思い出しました(翠波)

手花火の揺れやまぬまゝ落ちにけり         薄井 逸走
  手花火の燃え落ちる様子を見事に表現している(翠波)

立秋の風は轍に沿って吹く             薄井 逸走
  轍に沿うに軽やかさを見る(上尾亭)

新涼や座右の一つ姫鏡台              横手  時
  新涼と姫鏡台上句下句が通い合います(上尾亭)

骸骨に秘めしインカの美術展            三浦 秀水
  インカの骸骨は良く知れる いゝです(上尾亭)

放牧の角笛澄める今朝の秋             三浦 秀水
  角笛澄めるがぴったりですね(上尾亭)

鈴虫の食べ残したるされこうべ           松原 利恵
  鈴虫と骸骨対応が面白い(上尾亭)

骸骨のおどる納涼屋敷かな             横手  時
  納涼屋敷の骸骨はつきものですよね(上尾亭)

今朝の秋外気いっぱい深呼吸            中村 如水
  外気いっぱい深呼吸いいですね(上尾亭)

骸骨の時折出番夏芝居               杉山佐都子
  夏芝居と骸骨よろしい(上尾亭)

青信号渡るもひとり野路の秋            三浦 政子
  野路の秋がきいています(上尾亭)

はじけ散る花火の端っこ見て終る          三浦 政子
  端っこ見て終るに関心(上尾亭)

立秋や夜雨のしぶく石畳              坂井 翠波
  立秋や夜の雨しぶく石畳(逸走)

秋立つや首の据わらぬ嬰児笑ふ           坂井 翠波
  秋立つや首の据わらぬ嬰児の笑み(逸走)

秋立つや痩身の袖を通る風             三浦 秀水
  痩身の袖通る風秋立ちぬ(逸走)


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.     九 月 句 会  (互選)


2 稲妻の音なく光る峯の上            坂井 翠波
2 稲光一瞬山湖現れし
2 稲妻の消えししじまや闇深し
2 たわわなる爆ぜし石榴や枝撓う
2 実の爆ぜし石榴累々木に縋る
1 秋の薔薇剪りて煌めく花鋏
1 しきりなる遠稲妻や雲の中


2 油絵の石榴光りてはじけそう          杉山佐都子
1 石榴買いナイルの川と旅をせり
1 初秋刀魚今年も焼いて一人なり
1 幼な児の手足動きし稲光り
1 絶世の美女にあやかり石榴噛む
1 虫の声と一つ風呂にて今日終り


2 彼岸花崩れて畦の色戻る            薄井 逸走
1 稲妻の雲の切れゐるところから
1 胎の子と共に寝返り打つ九月
1 実をこぼす石榴は高き枝にあり
1 したたかの汁をこぼして石榴割る
1 彼岸花群れゐて色を濃くしたり


2 裾を引く始皇帝陵石榴熟れ           三浦 政子
1 曼珠沙華過去なる人のこぞり立つ
1 稲妻の一閃見せる雲のさま
1 耳うとき犬が稲妻いち早く
1 ざくろ割れ実の燦々と日和かな


1 熟れるほど腹のなかみせ石榴垂れ        小山田柏泡
1 屋敷栗拾うことなく旅にたつ
1 しよつとして喉に落とせし石榴の実
1 はるかなる稲妻残し暮れにけり
1 腹のうちみせて石榴の熟れきって


4 稲光り武甲の峯のその先を           松原 利恵
1 遠山の闇かき分けて稲光り
1 ガラス器に実石榴遊ばす小さな手
1 ころろんと石榴ひとつぶ手に残る


2 天高し運も不運も今日は無く          花岡上尾亭
1 秋草や土に還るはいつならむ
1 堂閉まり秋の彼岸も過ぎにけり
1 秋蝉や男くよくよしてゐたり


1 一筋の稲妻吸はれし樹海かな          三浦 秀水
1 愛しき子石榴は裂けて鬼子母神
1 語り部の媼の白髪稲光り
1 稲妻や怯えし犬は小屋の奥


2 一湾を隠すほど濃き朝の霧           中村 如水
1 朝霧や波穏やかな国恋し


1 水引草金銀紅を髪の庭             横手  時
1 丹の鳥居数えつつ踏む落葉かな





   席題=影 (出題 上尾亭さん) 


4 箒目に松の影ある秋日和            花岡上尾亭
4 コスモスの揺れゐて影の定まらず        薄井 逸走
2 影を引く演歌流しや秋の月           三浦 秀水
1 両親の面影慕い墓洗う             中村 如水
1 ありぬべきビル影消えて秋の空         三浦 政子
1 彼岸花一本線の影を引き            杉山佐都子





    句  評  (みんなで先生)   


虫の声と一つ風呂にて今日終り           杉山佐都子
  虫の声に耳傾けながら、秋の夜の至福のとき(政子)
  虫の音と一つ風呂にて今日終り(逸走)

石榴買いナイルの川と旅をせり           杉山佐都子
  ナイルの川とともに旅をする、いかにもゆったりとした様子(政子)

初秋刀魚今年も焼いて一人なり           杉山佐都子
  今年もに力が入っていますが未だ一人なのですか?(政子)

腹のうちみせて石榴の熟れきって          小山田柏泡
  熟れ実の朱をのぞかせて絵のような(政子)

天高し運も不運も今日は無く            花岡上尾亭
  運も不運もなく平安な一日。何よりと思う(政子)

語り部の媼の白髪稲光り              三浦 秀水
  語り部の媼に会ってみたい(上尾亭)

絶世の美女にあやかり石榴噛む           杉山佐都子
  「絶世の美女にあやかり」が苦心の所でしょう(上尾亭)

胎の子と共に寝返り打つ九月            薄井 逸走
  「胎の子」の一つ生命に感動(上尾亭)

油絵の石榴光りてはじけそう            杉山佐都子
  「油絵」とは面白し(上尾亭)

幼な児の手足動きし稲光り             杉山佐都子
  「稲光り」に手足が動いた場面に感動(上尾亭)

しよつとして喉に落とせし石榴の実         小山田柏泡
  「しよつとして」の方言が効いています(上尾亭)

実の爆ぜし石榴累々木に縋る            坂井 翠波
  みにくくなった石榴が目に浮ぶ(上尾亭)

ころろんと石榴ひとつぶ手に残る          松原 利恵
  「ころろん」と言ふ擬音が面白い(上尾亭)

影を引く演歌流しや秋の月             三浦 秀水
  「演歌流しの影」とは映画のようです(上尾亭)

ありぬべきビル影消えて秋の空           三浦 政子
  ニューヨークの惨事を又思ひ出す(上尾亭)

稲妻の消えししじまや闇深し            坂井 翠波
  稲妻の消えししじまの深かりし 
    この場合の「しじま」と「闇」は同じように思えますので、重ねない方がいいように感じます(逸走)

秋蝉や男くよくよしてゐたり            花岡上尾亭
  秋蝉や女めそめそしてゐたり
  「男くよくよ」と「女めそめそ」について、何の意見もなく過ぎてしまいましたが、
  両者の違いに差を感じようとするのが俳句と思います(逸走)

稲妻の一閃見せる雲のさま             三浦 政子
  稲妻は「一閃」や「一瞬」に決まっていますので、何とかこれを省きたいです(逸走)

愛しき子石榴は裂けて鬼子母神           三浦 秀水
  石榴と鬼子母神を組み合わせたのはとてもいいと思いますが、「愛しき子」を何とかしたいです。





    編 集 雑 感        薄井逸走


稲妻の音なく光る峯の上              坂井 翠
  兼題の「稲妻」「稲光」について、講談社の日本大歳時記には
  「雷鳴はなくただ電光だけが走る現象があり、これは遠方に起こった雷である」
  とあります。夏の「雷」と同じように「稲妻」を扱った句があり、気になりました。

初秋刀魚今年も焼いて一人なり           杉山佐都子
  「も」が気になります。どうしても「も」を使うのなら、
    初秋刀魚焼いて今年も一人なり
  でしょうか? でもこれでは川柳ですね。

裾を引く始皇帝陵石榴熟れ             三浦 政子
  (他の作者で)ナイル川の句もありましたが、固有名詞に俳句的情景を持たせるのは難しいと思います。特に外国の場合には。

熟れるほど腹のなかみせ石榴垂れ          小山田柏泡
  実るほど頭を垂れる稲穂かな  を思わせますが、作者の意図はいかがなのでしょうか?

堂閉まり秋の彼岸も過ぎにけり           花岡上尾亭
  やはり「も」が気になります。 秋の彼岸の過ぎにけり ではいけないのでしょうか?

一湾を隠すほど濃き朝の霧             中村 如水
  「隠すほど濃き」と説明するのはいかがなのでしょうか。
  読み手に隠す程霧が濃いと想像させるのが俳句と思います。
    一湾を隠して霧の朝かな  では?

胎の子と共に寝返り打つ九月            薄井 逸走
  埼玉俳壇で松本旭先生の選をいただきました。
  調子に乗って    きのうまで胎にゐし児が胸に来て 手足見せれば母となりたり
  という短歌を作って、埼玉歌壇で川口美根子先生の選(添削)をいただきました。
  家人に言わせると「最近お腹が出てきたので、妊婦の様子が分かるのだろう」とのことです。
  ・・・・(当たっているかも)

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