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十 月 句 会 (互選) 5 畦草の細きに露の重さあり 薄井 逸走 4 露こぼし草は姿勢を直しけり 2 敷石の露被りをり路地の朝 2 露の草跨いで帰る夜の路地 1 それぞれの葉に露置きて路地の朝 1 満月のことさら大きく昇り出す 3 起重機の月を射てをり雲一朶 坂井 翠波 2 夕月やからくり人形時知らす 2 嬌声が園児を押して運動会 1 階に身の影折れて月光裡 1 白光の露をとどめし庭の木々る 1 暁や芋の広葉に露光る 2 秋耕の影伸びきって土乾く 横手 季 2 露けしや湯宿の廊の幾まがり 2 貧も富もあまねき十六夜拝みけり 2 十六夜の名残惜しげや路地の朝 1 初穫りのもろもろ供え雨月かな 1 赤トンボ翔べず露けき畑の杭 4 露けしやねぎ一本を抜きに出る 三浦 政子 2 真夜の月はり戸の端に移りをり 2 十三夜手酌の酒の酔ひごこち 1 月ゆれて何かいそうな水の面 1 秋晴るる手作り味噌と貰ひ味噌 4 観覧車月を追い越し登りゆく 杉山佐都子 4 一軒の湯宿みちびく月明り 2 露ふくみはみだす野菜猫車 3 民宿の土間に並びし露の下駄 三浦 秀水 2 露寒や手甲をはめし畑の人 2 朽ちし戸のきしむ音せり秋の月 1 すれ違ふゴンドラに露かぎりなし 松原 利恵 1 狭き庭万物みんな露しとど 中村 如水 席題=刈田 (出題 逸走) 3 刈田中残る一枚ひれ伏して 横手 季 3 一望の刈田は一枚づつの色 薄井 逸走 1 もろもろの青さのありて刈田晴れ 松原 利恵 句 評 (みんなで先生) 起重機の月を射てをり雲一朶 坂井 翠波 起重機の月を射てをり雲ひとつ(政子) 雲は余計ではないかと思う(秀水)(逸走) 嬌声が園児を押して運動会 坂井 翠波 声援が園児を押して運動会(政子) 露寒や手甲をはめし畑の人 三浦 秀水 露寒や手甲はめし畑の人(季) 秋耕の影伸びきって土乾く 横手 季 影伸びきってが良くいただきました(利恵) 十三夜手酌の酒の酔ひごこち 三浦 政子 「手酌の酒」と言わずとも、「手酌」でいいと思います。 なら、どうすればいいのかは分からないのですが(逸走) 夕月やからくり人形時知らす 坂井 翠波 「夕月」と「からくり人形」が合うのか、よく分かりませんが、 選びました。(逸走) 秋晴るる手作り味噌と貰ひ味噌 三浦 政子 秋晴れや手作り味噌と貰ひ味噌(逸走) 民宿の土間に並びし露の下駄 三浦 秀水 民宿の土間に戻りし露の下駄(逸走) 編 集 雑 感 薄井 逸走 鶴見句会の様式に従って「出句用紙」を出していただきましたが、 清記の句と漢字の使用やてにをはの違う句がありました。 ここでは、出句用紙通りに掲載しています。 投句が少なく、少し寂しい句会でした。 また、選が散らばらなかったためか、今回は掲載句が少ないです。 俳句の感想は句会の席上で発表するのが本来ですが、 こうして「けやき」を編集していますと、何回か掲載句を読み直すことになりますので、 新たな感想が生まれます。 民宿の土間に並びし露の下駄 三浦 秀水 民宿の土間に脱ぎおく露の下駄 ではいかがでしょうか? 夕月やからくり人形時知らす 坂井 翠波 句会の席で、「路地と露は合う」という意見がありました。その通りと思います。 季節に合った語、情景に合った語、これらを結びつけるのが俳句と思います。 この句の「夕月」が「寒月」や「雨月」「十三夜」「三日月」だったらどうなのだろうか、 どんな月が、どんな季節が、どんな時間が「からくり人形」と合うのだろうか、 そんなことを考えました。 露けしやねぎ一本を抜きに出る 三浦 政子 もしかして、「ねぎ」は季語ではないのだろうか、そう思いながらも、 「一本を抜きに出る」に惹かれて選びました。歳時記には冬の季語とありました。 |

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秩父三峯神社吟行 (互選) 4 ゆくほどに彩満ちてくる峰紅葉 三浦 政子 2 峰寺の雨のしとどに散紅葉 2 秋声や句碑の御名に親しめば 1 一山の墓みな向きて竹の春 1 仰ぎ見し白衣観音秋深し 4 蛇行する渓の深さや紅葉川 池田 京華 1 水澄みて己の老いも忘れけり 1 雨煙る紅葉明かりの神の森 1 墓参り墓石拭く掌に思慕の情 1 谷紅葉木下の闇を燈したり 3 子地蔵や時雨通らぬ木下径 薄井 逸走 2 湧き出ずる霧を眼下に坊泊まり 2 蔦紅葉上り切ったる先垂れて 1 大岩を包みてをりし蔦紅葉 1 境内は降るまゝ紅葉ちりしまゝ 2 国訛り年寄りばかりの秋遍路 三浦 秀水 1 雨に濡れさらに色濃き紅葉山 1 岩肌にふれて絡みし蔦紅葉 1 青筧流れを促す秋の水 1 団栗の転げ集まる地の窪み 2 山峡を抜けてしぐれの大社 坂井 翠波 1 秩父路や山岳巍巍と霧深む 1 山雨して紅葉散り敷く神の庭 1 秋深し縁の古寺の寂光土 1 秋の句座蓮の台の師も笑むや 1 師の墓前眼鏡くもらす初時雨 松原 利恵 1 奥宮のしじまなるかな夕時雨 1 秋深し師に深々と香を焚く 1 傘に落つ紅葉の形そのままに 1 幾曲りして三峯の蔦紅葉 2 濃淡の上下に伸びる蔦紅葉 杉山佐都子 1 山道を折れれば紅葉色増せり 1 電線のあるらし蔦の紅葉して 1 初時雨ようやく神の宿に着き 中村 如水 旗井荘吟行 (互選) 4 朝霧にかくれ裾野の一部落 三浦 政子 3 露けしや社殿に木靴揃えある 1 朝祷や紅葉かざして巫女の舞 1 絵の具には出せぬもみじの一葉掌に 1 陽を返しかへしつつ散る落葉かな 1 その中のほう葉落葉は大ぶりに 5 風神の意のまま落葉舞ひ上がる 坂井 翠波 4 散り敷きてまたひとひらの紅葉散る 2 朝寒や神事の太鼓腹を打つ 1 蔦紅葉はや移ろひの始まりし 1 手折り来し楓紅葉を手みやげに 3 行く秋や指でなぞりし墓碑の文字 三浦 秀水 2 訪なへば般若の里の落葉風 2 神の庭黄葉散り敷く広さかな 1 神南備や葉裏に入日彩極む 1 秋の峯茜に染まる一朶雲 3 山襞に昨日の霧を残し明け 薄井 逸走 1 奉納の舞は紅葉を捧げたり 1 信号を待てば寄り来る赤とんぼ 1 紅葉散る風の強さに従いて 1 秋の雨止む気配なく更けにけり 2 掌の冷えをなだめて拝す奥の宮 松原 利恵 2 手庇の先は三峯紅葉坂 2 半てんを着けて緊張ほぐれをり 1 おぼろげに窓より望む朝の月 3 秋果つる般若の園に師は眠る 池田 京華 1 くるくると舞ひし紅葉の落ちどころ 1 秋深し漆里の闇坊浮かぶ 1 紅葉谷幾重重なる神の杜 杉山佐都子 1 朝霧に山脈山頂泰然と 1 落葉掃く神官の足袋あざやかに 2 雨上がり落葉の嵩の高まりぬ 中村 如水 2 朝の月まだ中天に輝きて 編 集 雑 感 薄 井 逸 走 鶴見句会の皆さんとの合同吟行でした。 句会の席で、鶴見句会の皆さんは鶴見句会の皆さんの句を選ぶ傾向があり、 けやき句会の会員はけやき会員の句を選ぶ傾向があると感じました。 では実際にはどうなのだろうと、鶴見句会の秋山さんが作成された「成績表」で集計してみました。 一回目の句会で、けやきの会員がけやき会員の句を選んだ割合は四十五%、二回目は五十一%。 鶴見句会の皆さんがけやき会員の句を選んだ割合は、一回目が二十九%、二回目三十七%でした。 この数値は投句の内容(句の成績)を加味していない数字ですし、 分析する方向によって答が変わってくるとは思いますが、一つの参考になる数値と思います。 この「けやき」をワープロしていましても、 この句は「けやき調」だなーと感じる句がいくつかありました。 いつの間にかに「好まれる句」の作風が出来ていて、「好まれる句」を作り「好まれる句」 を選ぶようになったのかもしれません。 合同句会で多くの人の句を読み、 新聞や雑誌の俳句を丹念に読むことが俳句の視野と表現を広げる基本と感じました。 私自身、「埼玉俳壇」に投句しているのですが、 自分の句が新聞に掲載されるのを確認するだけで、 他の掲載句を読まないことが多々ありました。これではいけないのですね。 曲水秋季道場に参加して 坂 井 翠 波 千葉県鹿野山センターを主会場として行われた曲水秋季道場に参加した。 何しろ初めての参加であり期待と多少の不安もあったが、 結果的には楽しいひとときを過ごすことができたと思っている、 海ホタルから東京湾の眺望も見事であり、また、会場への途中に見学した例えば高橋采和句碑、 金鈴塚遺品保存館等々作句上も大変参考になる史跡であった。 鹿野山には、渡辺水巴先生の有名な句碑「かたまって薄き光りの菫かな」(すみれ句碑)がある。 大変大きな句碑であるが、水巴先生が揮毫されたと聞き見事な筆跡に驚いている。 また近くの神野寺は聖徳太子創建と伝えられる古刹であり俳人にとっては高浜虚子の俳句や墨跡を目にすることができる貴重な遺跡である。 その他印象に残ったのは九十九谷で幾重にも襞を折る山並みが夕日に映えて見事な景観であった。 句会の結果については、参加者七十五名の大勢のことであり思うような結果がえられる筈もないと思っていたが、 まずまずの結果に終わり、大変愉快に過ごすことができたので、今後もできるだけこのような催事には積極的に参加したいと考えている。 ( 「曲水」 主宰は、高浜虚子の高弟のひとりである渡辺水巴の 次女、渡辺恭子 曲水社発行) |

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十 二 月 句 会 (互選) 6 大根を干して三日といふ日和 薄井 逸走 2 雑炊の煮詰まり初めてきし話題 2 鳩を追ふよちよち歩き園小春 2 小春日や猫足上げて毛繕ひ 1 しなやかになりて大根干し終へる 1 小春日や孫の重さを両腕に 1 小春凪川原に動くもののなく 2 吹き晴れて干大根の漬けごろに 横手 季 1 姫皇子の生れ給ひり鶴舞ひり 1 散歩径無人売場に大根買う 1 独酌の後の雑炊臓にしむ 1 OB会久闊温し牡蠣雑炊 1 小春日や際限もなき畑仕事 3 雑炊の湯気で眼鏡をはずしけり 中村 如水 2 足とめて一枚脱げり小春道 2 古寺多き近江の旅は小春なか 1 里古りしどの家の軒も大根干す 1 方丈の大庇にも小春の日 1 山肌に付き合いほどの大根畑 杉山佐都子 1 山の宿あんかけ大根馳走なり 1 自転車の籠ゆさゆさと大根の葉 1 編み干しの大根すだれの一軒家 1 北の空始まる鶴の大舞台 3 誉められて又大根を抜くはめに 三浦 政子 2 漬大根かたかた石の不安定 1 飛行雲ゆっくりほぐる小六月 1 漬大根石傾きてをりにけり 2 梵鐘の余韻長びく小春の日 松原 利恵 2 煮大根術後の夫の膳にあり 1 ややゆらぐ心納まむ小春の日 1 小春日や開け放されし非常口 2 陽の香ある干大根を糠深く 小山田柏泡 2 用兵のごと大根の肩並べ 1 雑炊の色濃き緑の名を問うて 1 しなやかに干大根のしわ幾重 2 干上る大根すだれの間延して 三浦 秀水 1 大根引く畝に残りし穴っぽこ 1 法話聴く一瞬まどろむ小春かな 1 神饌の大根はみだすお三方 1 大根を刻み猫背の妻となる 花岡上尾亭 1 のどすぎて雑炊どこへはぐれたる 1 声ふかくしまひて鶴の胸うごく 1 鶴舞へる田の面に朝の光充つ 坂井 翠波 1 大根の積まれ輝く場末店 席 題=落 葉 (季さん出題) 2 枝先に一葉残して落葉風 三浦 秀水 2 試歩の子が落葉のかさを蹴散らして 三浦 政子 2 落葉踏む音のそれぞれ奥の院 横手 季 2 参道は落葉を寄せてあるばかり 薄井 逸走 1 落葉焚き煙の道を足早に 杉山佐都子 1 落葉ありみすぼらしいぞ己が影 花岡上尾亭 句 評 (みんなで先生) 漬大根かたかた石の不安定 三浦 政子 「石の不安定」心にひびきます(上尾亭) 大根引く畝に残りし穴っぽこ 三浦 秀水 「残りし穴っぽこ」に心が安らぎます(上尾亭) 山の宿あんかけ大根馳走なり 杉山佐都子 「馳走なり」が上手です(上尾亭) 大根を干して三日といふ日和 薄井 逸走 「三日といふ」に心ひかれました(上尾亭) 感激して選びました(佐都子) 試歩の子が落葉のかさを蹴散らして 三浦 政子 「蹴散らして」に元気になった子が目に浮かびます(上尾亭) 煮大根術後の夫の膳にあり 松原 利恵 「夫の膳」夫をきずかう気持が伝います(上尾亭) 鳩を追ふよちよち歩き園小春 薄井 逸走 「よちよち歩き」大事な孫がよく描けています(上尾亭) 神饌の大根はみだすお三方 三浦 秀水 「神饌の大根」が目に残りました(上尾亭) ややゆらぐ心納まむ小春の日 松原 利恵 命は大事「心納まむ」で安心しました(上尾亭) 北の空始まる鶴の大舞台 杉山佐都子 「鶴の大舞台」は心湧く湧くします(上尾亭) 大根を刻み猫背の妻となる 花岡上尾亭 秋田の田舎で良く見かけた情景で懐かしく思いました(佐都子) 梵鐘の余韻長びく小春の日 松原 利恵 先日秩父へ行き結願成就の際梵鐘を突きましたので、あの日を思い出しました(佐都子) 雑炊の煮詰まり初めてきし話題 薄井逸走 宴会の終わりの様子がよく判ります(佐都子) 山肌に付き合いほどの大根畑 杉山佐都子 山肌に十本ほどの大根畑(逸走) 干上る大根すだれの間延して 三浦 秀水 干上る大根すだれ間延して(逸走) 編 集 雑 感 薄井逸走 せせらぎの小径づたひに鶴一羽 句会で「せせらぎには春が似合うのでは・・・」と申し上げたのですが、どなたからも意見がありませんでした。残念です。 皆で意見を交わすのが句会と思います。特に、けやき句会は「みんなで先生」をしているのですから、遠慮のないご意見を頂きたいと思います。 「根岸の里の侘び住まい」がどのような季節に合うのか、春なのか、夏か、秋か、冬なのか・・・・ 俳句には季語以外の言葉や情景にも季節があると思います。 以前、「からくり人形」にはどんな月が合うのか、と書きましたが、私は「三日月」が合うと思います。 「からくり人形」に怪しさを感じますので、三日月なら更に怪しくなると思うからです。 皆さんはどの月が合うと思われますか? 意見を交わさない句会は、新聞や雑誌の投句と同じです。句会に足を運ぶのですから、 是非、意見を交換したいものです。 高木晴子先生が「晴居」に書いた文の一節に次ぎがあります。 『私はこんな句を好む。 一、季題を愛する様子、その心が解る。 一、季題のつぶやきを、その句から聞かれる。 そのような句には 一、色がある。 一、自然のそよぎがある。自然がゆれている、そのそよぎが耳にさゝやく。』 (晴居「雑詠選を終えて」から抜粋) |