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四 月 句 会 (互選) 4 木の芽風昔のままの光堂 三浦 政子 3 逢う筈はなかりし人やおぼろ月 2 木の芽風今日通学の仲間入り 2 どこ継いだ杉菜のふしを風が触れ 1 朱の色を見せて芽吹ける枝の先 1 老犬の足おぼつかな木の芽吹き 4 朧夜や灯りひとつの無人駅 薄井 逸走 3 廃線の鉄路錆ゐて朧かな 3 一燈を灯す終着駅朧 1 終列車朧に消えてゆきにけり 1 春の海覗いてみたくなる埠頭 3 一湾を望む寺領や木の芽風 坂井 翠波 2 参道にぼんぼり浮きて夜のおぼろ 1 薔薇の芽や天空の紺果てしなし 1 菖蒲の芽ほぐれんとして光りけり 1 月おぼろぼんぼり揺るゝ池巡る 3 歩で測る分譲宅地杉菜生え 三浦 秀水 2 花おぼろ茅舎は山に溶けこみて 1 電車来て子等の手を振る杉菜土手 1 地鳴して間欠泉噴く街おぼろ 1 道草よ杉菜の土手にランドセル 2 片道は歩いてもどる杉菜土手 松原 利恵 2 一面に杉菜彩増す利根河原 1 門灯のいきづく光り月おぼろ 1 爪弾けば船頭小唄よ月おぼろ 1 つくばいのゆらゆら光る春の星 2 ランドセル色さまざまに杉菜土手 杉山佐都子 2 老いの顔並びて撮るや木の芽坂 2 寝足りたる旅の朝餉の木の芽和え 1 初孫の這い始めしや木の芽どき 2 杉菜畦踏みつつ登る大墳墓 中村 如水 1 四方山に囲まれ芽吹く合掌村 1 土手道に刈り捨てられし杉菜かな 1 木の芽晴作務僧あまた大寺院 2 杉菜生ふ賣地の立札墨うすれ 横手 季 2 明治座を出て大川端の朧かな 1 散歩がてら摘みきし土筆卵とぢ 1 天守跡石垣隙に杉菜かな 1 木の芽吹き我も何とかなるだろう 花岡上尾亭 席 題=風光る (翠波さん 出題) 4 自転車の並び行く土手風光る 薄井 逸走 3 街を練る吹奏楽団風光る 三浦 秀水 2 神苑を行く巫女のはかまや風光る 中村 如水 2 風光るツルゲーネフを読む少女 三浦 政子 1 風光り家鴨足あげ物思う 花岡上尾亭 句 評 (みんなで先生) 道草よ杉菜の土手にランドセル 三浦 秀水 目にうつるのどかな光景(政子) 寝足りたる旅の朝餉の木の芽和え 杉山佐都子 上五に作者の満足感がよく表現されている(政子) しあわせですねえ(如水) 旅の宿では夜更かしをして騒いだりしで、寝足りたことがありません。 寝足りる旅をしたいものです(逸走) 片道は歩いてもどる杉菜土手 松原 利恵 土手の上の小径の気持よさ(政子) 半分は歩いてもどる杉菜土手 「片道」が気になります(逸走) 老いの顔並びて撮るや木の芽坂 杉山佐都子 木の芽坂が良くきいている(政子) 「老いの顔」に「木の芽」の配合、明るい風景(上尾亭) 街を練る吹奏楽団風光る 三浦 秀水 楽の音が流れてゆくさわやかな光景(政子) 「吹奏楽団」と「風光る」配合の好(上尾亭) 「街を練る」に違和を感じます(逸走) 神苑を行く巫女のはかまや風光る 中村 如水 季語にぴったりの光景。(政子) 「神苑を巫女の袴着風光る」はどうでしょう(政子) 神苑の巫女の袴や風光る(翠波) 木の芽吹き我も何とかなるだろう 花岡上尾亭 私もなんとかなるだろう(利恵) 自転車の並び行く土手風光る 薄井 逸走 学生の姿が、声が,唄が聞こえるように春の感じが出ていて佳い句ですね(利恵) 花おぼろ茅舎は山に溶けこみて 三浦 秀水 なぜか下十二字が気に入りました(如水) 「山に溶けこむ茅舎」が上手(上尾亭) 廃線の鉄路錆ゐて朧かな 薄井 逸走 線路が錆びるのは淋しいですね(如水) 風光るツルゲーネフを読む少女 三浦 政子 ツルゲーネフの本は大好きでした(如水) 「読書の少女」と「風光る」が上手い取合(上尾亭) どこ継いだ杉菜のふしを風が触れ 三浦 政子 「どこ継いだ」に関心(上尾亭) 散歩がてら摘みきし土筆卵とぢ 横手 季 「卵とぢ」と上の十二音の配合の妙(上尾亭) 逢う筈はなかりし人やおぼろ月 三浦 政子 「再会」のうれしさがにじみ出た(上尾亭) 逢う筈はなかりし人よおぼろ月 こんな夜にもう一度会いたいという想い・・・・(逸走) つくばいのゆらゆら光る春の星 松原 利恵 「つくばい」と「春の星」の配合の妙 春の海覗いてみたくなる埠頭 薄井 逸走 「覗いてみたくなる」が上手(上尾亭) 一湾を望む寺領や木の芽風 坂井 翠波 典型的な二物配合(上尾亭) 門灯のいきづく光り月おぼろ 松原 利恵 門灯の瞬く路地や月朧(逸走) 初孫の這い始めしや木の芽どき 杉山佐都子 初孫の這いたる知らせ木の芽風(逸走) 名句を作る秘密 花岡上尾亭 俳句は五音(季題)と十二音とで成り立ってをり、作句方法としては先に十二音を作り後で五音(季題) を付ける、これが基本です。 ところで十二音をどの様に作るか、 これが名句になるか駄句になるかの分かれ道ですが、 左の方法で従順に作れば名句ができること請け合いです。 十二音によってある風景なり人事の場面を読者に なるべく具体的に浮かんでくるような作り方をする 具体例として句を示します。 名月や(男がつくる手打そば) 森澄雄 七夕や(風のしめりの菓子袋) 桂信子 春寒や(障子の外に藪がある) 細見綾子 たんぽぽや(日はいつまでも大空に) 中村汀女 五月雨や(蕗浸しある山の湖) 渡辺水巴 句友の皆さんこの方法で作りましょう。 ただし五音(季題)をどのように探して付けるかこれが問題ですがそれは又次の機会に。 雑 感 薄井逸走 俳句を作る手順について、上尾亭さんより解説をいただきました。 「確かに」と思う反面、同意できない点もあります。 第一点は、十二音を先に作るという点です。 今月の上尾亭さんの句に (朧夜に)密をたずさえ飛びさらん (杉菜長け)子象の鼻と握手かな がありましたが、十二音の意味が分かりません。 上尾亭さんにとって「風景なり人事の場面を読者になるべく具体的に浮かんでくるような作り方」 ではあっても、私には場面が浮かんできませんでした。 特に一句目はどんな意味かも分からず、場面が浮かぶどころではありませんでした。 これは、季語に関係なく十二音を先に作ってしまうからだと思います。 季語を意識せずに十二音で、自分自身や自分の世界の中の出来事を文字にしてしまうので、 読み手には理解できない句になったものと思います。 (春風や)根岸の里の侘び住まひ (夏雲や)根岸の里の侘び住まひ (秋風や)根岸の里の侘び住まひ (冬空や)根岸の里の侘び住まひ 「根岸の里の侘び住まひ」はどんな季語にも合う、と言われますが、私は秋が似合うと思います。 季節に関係のない十二音にも季節感は必要なのです。 季語は多くの人が季節を感じる言葉ですから、 初に十二音を作っておいたところに季語を付けるのは難しいと思います。 次いで、五音と理屈が通った十二音を作ってはいけない、という点ですが、五月六日の朝日俳壇、 稲畑汀子選の上位三句は、 鴨引きて小さき池を残したる 中森皎月 蛙の目水すれすれにありにけり 天野宏子 山藤の所在を明かしはじめたり 諸富芳子 であり、全てが五音と十二音が通じた句となっています。 私は、十七文字を大切に使って、十七文字全体で風景や人事を表現するのが有季俳句の基本と考えます。 「杉菜」と「子象の鼻と握手」を結びつけては季語が死んでしまいます。 |

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五 月 句 会 (互選) 4 如雨露からほとばしる水五月光 三浦 政子 3 菜園のみな勢い立つ五月かな 2 蕗丈けて広葉を張って狭庭かな 1 屋敷神重なり合って蕗広葉 1 女づれ五月の茶房ゆったりと 4 窓開けて目線のみどり入る五月 杉山佐都子 2 新しきスーツ五月の色に合い 2 畦道に細き野蕗の二三本 1 プランタン五月の種を好きに蒔き 1 蕗伸びて雑草傘の下となる 2 手をにぎり花嫁送る聖五月 松原 利恵 2 つくばいに五月の木々の揺れてをり 2 町抜けて五月の里の風に逢ふ 2 五月雨や街路樹ひときは濃くなりし 1 そよ風に愛を掬(むす)びし聖五月 2 やはらかな雨足ばかり蕗広葉 花岡上尾亭 1 山の雨蕗溺れんとしてゐたり 1 蕗の葉や雨の雫も夕明り 1 蕗採りや一つの雲に日のかげる 1 夜明けよりその前よりの蕗の雨 4 蕗の束浸す筧の溢れをり 横手 季 3 沢水を引きし札所や蕗浸す 1 湯治場の散歩蕗採る野草摘む 1 裏山は蕗青々と無人寺 3 まな板を風に晒して五月かな 薄井 逸走 1 草原を走りゆく風五月かな 1 竹垣に下駄の干しある五月かな 1 遮断機の下りるも愉し五月かな 2 踏み入りし谷あいの村蕗しげる 三浦 秀水 1 貰いたる蕗の煮付の美味なりし 1 流鏑馬の呼吸整え五月晴れ 1 おそ昼餉訃の告ありし五月尽 4 痩せ蕗も積まれ賑う朝の市 坂井 翠波 1 松籟や城址の森に五月来し 1 蕗の葉の広がる庭に猫かくる 中村 如水 1 大川の流れゆたかや五月なか 席 題=ナイター (翠波さん 出題) 3 ナイターの歓声響く路地帰る 薄井 逸走 2 ナイターの首位争いへ声嗄らす 坂井 翠波 1 ナイターに穏和の妻の豹変す 横手 季 1 ナイターの熱気失ひ大欠伸 松原 利恵 句 評 (みんなで先生) 痩せ蕗も積まれ賑う朝の市 坂井 翠波 温泉の朝市の様子と思はれたのでいただきましたが・・・・痩せ蕗がどうかと思ふ(利恵) 新潟市の古町の市場目にうかぶ(如水) 痩せ蕗も売られ賑う朝の市・・・では(逸走) 五月雨や街路樹ひときは濃くなりし 松原 利恵 雨のあとの街路樹の緑は美しいです(如水) まな板を風に晒して五月かな 薄井 逸走 私も昨日まな板を干しましたので実感(如水) 五月の陽光に何でも干したくなる(季) 「まな板を風に晒して」と五月の配合の意外性がいゝです(上尾亭) 窓開けて目線のみどり入る五月 杉山佐都子 季重ね様におもいますが頂きました(如水) 目線のみどりが新鮮(季) 菜園のみな勢い立つ五月かな 三浦 政子 五月の陽光に急に苗が伸びてくる。実感です(季) 山の雨蕗溺れんとしてゐたり 花岡上尾亭 雨の強さが感じられる(季) 新しきスーツ五月の色に合い 杉山佐都子 五月の色に合ふのは白、か薄みどり?(季) 更衣をうまくとらえています(秀水) 畦道に細き野蕗の二三本 杉山佐都子 野蕗がよろしい(季) おそ昼餉訃の告ありし五月尽 三浦 秀水 のんびりとした気分に突然の訃報、人生を感じる(季) 如雨露からほとばしる水五月光 三浦 政子 夏めく水の光り、よく季語をとらえている(秀水) 「ほとばしる」の写生が上手です(上尾亭) プランタン五月の種を好きに蒔き 杉山佐都子 「種を好きに」が新鮮です(上尾亭) 菜園のみな勢い立つ五月かな 三浦 政子 「みな勢い立つ」の写生が上手です(上尾亭) 蕗の束浸す筧の溢れをり 横手 季 「蕗の束浸す」が上手です(上尾亭) 女づれ五月の茶房ゆったりと 三浦 政子 「女づれ」が面白いです(上尾亭) ナイターの熱気失ひ大欠伸 松原 利恵 「大欠伸」の意外性に感心しました(上尾亭) 遮断機の下りるも愉し五月かな 薄井 逸走 「遮断機の下りるも愉し」は抜群の面白さです(上尾亭) 手をにぎり花嫁送る聖五月 松原 利恵 「てをにぎり」に感情が籠っていていゝですね(上尾亭) 竹垣に下駄の干しある五月かな 薄井 逸走 「下駄を干す」「五月」にあっと思ひました(上尾亭) 夜明けよりその前よりの蕗の雨 花岡上尾亭 夜明け前より眠れずにいる作者の様子がよくわかる(逸走) 「女づれ五月の茶房ゆったりと」について 花岡上尾亭 女づれ五月の茶房ゆったりと 三浦 政子 選句をした私として一寸変なことを書くようですが「ゆったりと」 はやっぱりどう考えても説明に過ぎないですね。 もう少し面白い句にならなかったのだろうかと思ひました。 やはり出句数が多すぎるので作る時間が足らないのですね。 私は今日たまたま「ああだかうだ」と言ふ文を見つけて、 茶房にてああだかうだと五月かな を思ひつきました、これだと「女づれ」が無くても女同志がおしゃべりしている情景の句だと思うのです。 いすれにしても「五月の茶房」は実に発想が面白いです、このような発想は政子さん独自のものでしょう、 もっともっと奇想天外の句を作ってください。 だれでも自分の基準があって変った句は作らないものですが、 くれぐれも常識に浸った句は作らないでください。非常識こそ真の俳句です。 よく見れば皆非常識で出来ています。 雑 感 薄井逸走 如雨露からほとばしる水五月光 三浦 政子 如雨露の水を「ほとばしる」と表現したところに違和を感じます。 「ほとばしる」は、人間が手を下さなくても水などが吹き出る様を表す言葉と思います。 自分が如雨露で水を撒いている場合はもちろんのこと、誰かが撒いているのを見た場合でも、 「ほとばしる」とは言わないと思います。 そして、如雨露と水の関係からすると、「ほとばしる」とか「吹き出る」とかの表現は無用と考えます。 「如雨露の水」でいいのではないでしょうか。 窓開けて目線のみどり入る五月 杉山佐都子 「目線」が乱暴です。目線はもともと、カメラマンがモデルに「こちらを向いて、 視線をカメラに向けてください」と要求する場合に「目線を下さい」 と言ったことから使われるようになった言葉です。 この句では作者自身が「目線」を見ていますが、 線を見ることができるのは相手や第三者だけです。 そして、目線の先はピンポイント(小さな一点)ですから、五月のみどりを表すには不適切です。 さらに、「目線のみどり」は「目線にみどり」ではないでしょうか。 目線を視野と解釈したとしても、「目線の」はおかしいです。 蕗の束浸す筧の溢れをり 横手 季 筧は木や竹で作った樋のこと。この句を読んで直ぐに思ったのは、 束ねた蕗を筧に浸すことがあるのだろうか、ということ。 そして、筧が溢れているので、蕗の束を筧に置いたようではあるが、 置いたとしても浸すことにはならないだろう、とも思いました。実際はどうだったのでしょうか? これら三句はいずれも四点句です。出席七名の内の四点ですので、かなりの人気度です。 当然ながら、作者はそれぞれ一人。 作者の勘違いや五七五の字数合わせの結果このような句ができることはあります。 私もよく間違いを犯します。ですので、作者を責めるつもりはありません。 完成された句ばかりを披露するのが句会ではありませんから。 ですが、選句をした四人(延べ十二人)は何も感じなかったのでしょうか。 少々残念です。句の情況が目に浮かんだので多少の違和は問題ない、と選をしたものと思いますが、 感じた点を指摘するのが句会だと思います。未完成の句を完成させるのが句会だと思います。 さて、ここまで書いてしまうと、例題の句を放置するわけにはいきませんね。 一句目 如雨露からほとばしる水五月光 「ほとばしる」を省いて「如雨露の水」にしましょう。 でも如雨露の水では六文字になりますので、如露の水に縮めます。 「如露の水」と「五月光」を使うことにして、 上五を如露の水とすると中七が説明調になりそうですので、上五を五月光にします。 五月光うんちゃらくんちゃら如露の水 というわけで、さてどうしましょう。 五月光高く大きく如露の水 ではいかがでしょう。 二句目 窓開けて目線のみどり入る五月 「目線」を「視野」に置き換えてみます。ここでは窓を開ける意味がありませんので、 開ける行為は省きます。あれっ・・みどりは夏の季語ですね・・・ そうすると緑を生かすか五月を生かすかが問題となりますが、 兼題が五月ですから五月にしましょう・・・・でも、 この句から緑を取ったら何もなくなってしまいます。 窓いっぱい視野いっぱいの木々五月 ちょっと苦しいかな。 三句目 蕗の束浸す筧の溢れをり 「蕗の束」と「筧」は使いましょう。そうすると 「浸す」も使わないといけなくなりますが、文字に余裕がなくなります。 蕗の束浸す筧の落ち水に では? |

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六 月 句 会 (互選) 3 締めなおす紐の長さや白い靴 小山田柏泡 3 夏の山まだまだ暮れず鳥の声 3 夏の山谿深くして橋かくる 2 検札の車掌の白靴艶々と 2 雨霽れて夏山幾重迫りきし 2 夏山の風冷えびえと丸太橋 1 看護婦の白靴白衣を凌ぎけり 5 夏山を蹶って羚羊岩に立つ 花岡上尾亭 3 夏山の端を踏まへて古城かな 3 夏の山ザイル男の匂いせり 2 夏山を思ふ存分描きけり 2 夏山の麓の水車よく回る 3 溶岩(らば)に咲く花みつけをり夏の山 三浦 政子 2 ゴンドラを降りれば溶岩や夏の山 2 岩塊の落ちてきそうな夏の山 1 夏山の視野にいくつの尾根と谷 1 夏山路五葉つつじの五葉かな 3 嵩の荷にかくれ強力夏の山 三浦 秀水 1 背を曲げて強力寡黙に夏の山 1 山野草受難碑に添え夏の山 1 夏の山襞の白銀馬模様 1 北壁の風はつめたき夏の山 1 窓よりの一幅の絵や夏白馬岳(はくば) 横手 季 1 夏山は楽し野草の花見つつ 1 夏登山約を果さぬまま逝きし 1 下駄箱の奥白靴眠りをり 1 サンダルを引きずる音の路地消ゆる 2 雨三日早苗の列の整いし 薄井 逸走 1 玉砂利の音柔らかし木下闇 1 耕耘機うなる音のみ夏の山 1 白靴の先に群れ来る池の鯉 5 主峰まだ陽の中にあり夏の山 坂井 翠波 3 タラップを下りる白靴陽を撥ねる 1 夏山や川を下れる屋形舟 4 足癖の悪き白靴並びあり 中村 如水 2 シャレ男白靴履きて出勤す 1 銀ブラや雨で白靴ぬらしをり 3 乳母車小さきサンダル揺れ動き 杉山佐都子 2 緞帳の降りて白靴中に消え 1 強がりて登る夏山古希近し 1 かけ声と共に近づく白い靴 松原 利恵 1 夏山や鍬並べある斜面畑(なぞえはた) 1 ひたすらに座る石仏夏の山 席 題=苔の花 (柏泡さん 出題) 6 苔の花水琴窟へ耳澄ます 薄井 逸走 3 年輪を重ね大樹に苔光る 杉山佐都子 3 湧き水のこぼれて光る苔の花 三浦 秀水 2 苔の花首欠地蔵並びをり 横手 季 2 堂裏は緑色なす苔の花 小山田柏泡 1 よりそえば石にほころぶ苔の花 松原 利恵 1 雨に濡れ風に淋しき苔の花 花岡上尾亭 句 評 (みんなで先生) 夏山や鍬並べある斜面畑 松原 利恵 秩父などの山畑がうかぶ(季) 夏の山襞の白銀馬模様 三浦 秀水 農家の種蒔きなどに山の模様を見ると聞く(季) 足癖の悪き白靴並びあり 中村 如水 ・白靴でなくとも・・・足癖の悪さにひかれた(季) ・その中に足癖付けし白い靴 ではどうかしら(政子) ・足癖の悪い女(あるいは男)という意味なのでしょうか。それとも靴の脱ぎ方が乱暴だというのでしょうか。どのような事か分かりません(逸走) 夏の山谿深くして橋かくる 小山田柏泡 ・先日塩原にて吊橋のかくれていたのを見た(季) ・夏の山は青々としているのが特徴 橋をかくすのは山の青さ故に。夏の山彩深くして橋かくるはどうでしょうか(利恵) 背を曲げて強力寡黙に夏の山 三浦 秀水 夏山でなければ見られぬ風景(季) 溶岩に咲く花みつけをり夏の山 三浦 政子 ・夏山でホッと一息花を見つけた喜び(季) ・溶岩に咲く高原植物を見つけることは大変で見つけた喜びを表している。溶岩に咲く花みつけたり夏の山 にしては(秀水) 銀ブラや雨で白靴ぬらしをり 中村 如水 白い靴なればこその気の使いよう銀ブラが良い(政子) 夏の山まだまだ暮れず鳥の声 小山田柏泡 夏山のすがすがしさが鳥の声に表現されている(政子) 夏山の端を踏まへて古城かな 花岡上尾亭 ・端を踏まへてがうまい表現、夏山からせり出している古城(政子) ・夏山の端がよい、一幅の絵を見るような感じ(翠波) ・夏山の端を踏まへてゐる古城 では(逸走) 看護婦の白靴白衣を凌ぎけり 小山田柏泡 看護婦の白衣をしのぐ白い靴 ではどうかしら(政子) 雨三日早苗の列の整いし 薄井 逸走 早苗の列が田水に美しい(政子) 主峰まだ陽の中にあり夏の山 坂井 翠波 ・夏山のみどりが美しい(政子) ・暮れ方峯夕焼けの風景が浮かぶ句(柏泡) シャレ男白靴履きて出勤す 中村 如水 白い靴ときくとダンディな男を想像する(政子) 夏山の麓の水車よく回る 花岡上尾亭 山の水を集めて回る水車(政子) 苔の花水琴窟へ耳澄ます 薄井 逸走 ・水琴窟の優雅な音が聞こえる様(政子) ・音と苔の花の調和がよい(柏泡) ・京都の東寺の水琴窟が思い浮かびます(秀水) 検札の車掌の白靴艶々と 小山田柏泡 新幹線の車掌達の足元です(如水) 夏山を蹶って羚羊岩に立つ 花岡上尾亭 ・かもしかの姿を見たことが有りますが句にはできないです私には(如水) ・故郷(八木鼻)で見た光景がなつかしい(秀水) ・辞書を引きましたら、「蹶」は「つまずく」という意味の字、羚羊は冬の季語でした(逸走) 下駄箱の奥白靴眠りをり 横手 季 可愛そうな白靴さん(如水) 年輪を重ね大樹に苔光る 杉山佐都子 ・年輪を重ねると大樹になる事は確かな事ですがとてもよく心引かれました(利恵) ・年輪を重ねがなんとかならないかと思うが調子はよい(柏泡) サンダルを引きずる音の路地消ゆる 横手 季 サンダルを引きずる音の路地に消ゆ では(柏泡) 玉砂利の音柔らかし木下闇 薄井 逸走 参道の砂利かな(柏泡) 乳母車小さきサンダル揺れ動き 杉山佐都子 ・幼児にはかせたサンダルを乳母車に、かけてる子は眠っているのかな(柏泡) ・乳母車小さきサンダル揺れ動く では(逸走) 嵩の荷にかくれ強力夏の山 三浦 秀水 荷の嵩にかくれ強力夏の山 では(柏泡) 夏の山ザイル男の匂いせり 花岡上尾亭 ・山男は風呂に入れなく汗の臭さが強烈である(秀水) ・夏の山とザイルは多少付き過ぎの感じがするが男の匂いで救われている(翠波) 夏山の風冷えびえと丸太橋 小山田柏泡 山の寒さを良くとらえています(秀水) ひたすらに座る石仏夏の山 松原 利恵 ひたすらに座して石仏夏の山 では(逸走) タラップを下りる白靴陽を撥ねる 坂井 翠波 タラップを下りる白靴立ち止まる では(逸走) 締めなおす紐の長さや白い靴 小山田柏泡 締めなおす紐の汚れや白い靴 では(逸走) 緞帳の降りて白靴中に消え 杉山佐都子 緞帳の降りて白靴消えにけり では(逸走) 如水さんと利恵さんへ 花岡上尾亭 銃口を向けらる座敷大西日 辛みそば喉につかえて走り梅雨 ふいに猫飛びだしてゆく朧月 庭先に飛べず震える雀の子 どきんとさせる句を作る人が如水さんです。「銃口をむけられる座敷」 は如水さんの衝撃的な体験が句となりました。こんなショックな句にお目にかかったことはありません。 「辛みそば喉につかえて」の句、飛躍があってフレッシュで意外性があっていゝ句だなー。 「ふいに猫飛び出してゆく」句と「飛べず震える雀の子」どちらも思わず凄いところを見たなー、 と唸りました。衝撃的な句こそ如水さんの真骨頂です、如水さん 「けやき句会」にショックをいつまでも与えつづけてください。 春の星鳩は塒にもどりけり しみじみいゝ句だなあーと思ひました。 おぼろ夜や暴走族の遠のけり ちゃん呼びの叔父百才や初電話 からっぽの厩に十薬干してあり 小春日や開け放されし非常口 利恵さんの句の佳さは材料の新鮮さにあります、そこが魅力です。 「おぼろ夜」と「暴走族」と言う新鮮な取合いがすばらしい。 なんでこんなにすらすらと句が出来るのでしょうか。 百才の叔父をなんのこだわりもなく「ちゃん呼び」していると句に詠んでしまう。 こんな句はいままで見たことがありません。 「からっぽの厩」「開け放されし非常口」は材料が新鮮なことこの上ありません。 特殊な体験からでなく眼を油断なく物に向けていなくては出来ないことです。 わたしなどはいつもいつも見逃している材料です。これからも大発見の句を作ってください。 手をにぎり花嫁送る聖五月 ほれぼれする句だなあー。 けやき投稿 杉山佐都子 久しぶりで全員の句会で嬉しく感じました。 季題 夏の山 白靴 サンダル 大変難しく感じました。 作れるようで、作れないもどかしさみたいなもので苦労いたしました。 夏の山は十二音を入れ替えると、秋、冬、春と共通するような感じで弱りましたが皆様は如何でしたでしょうか? まだまだ私の勉強不足ですので、、、 上尾亭さんの夏の山、五点三点二点句、大変結構でこんな感じでと参考にいたします。 席題 苔の花 逸走さんの句、読んでがーんと頭を叩かれた程爽やかさで感動しました。 雑 感 薄井 逸走 久しぶりに柏泡さんが出席され、にぎやかな句会となりました。 今回の兼題、白靴、夏の山、は私にとって難しい季語でした。 白靴は、白い靴に季節感を見つけられず、どんな場面の白靴がいいのか、分かりませんでした。 如水さんの白靴の句に「男」がありました。確かに、男の白靴には季節感があります。考えが及びませんでした。 エスカレーターの前に立つご婦人の白い靴を何とか句にしようとしたのですが、駄目でした。 翠波さんのタラップ、佐都子さんの緞帳(舞台)の白靴には驚きました。 特に、緞帳が降りてきて白い靴が最後に消えていくところをとらえたのは、動きがあり美事です。 夏の山は、どのような風景が夏の山に合うのか、考え、観察したのですが、 耕耘機の音だけが聞こえる場面しか浮かびませんでした。 しかも、その句さえも、秋の山でも春の山でも通用する句となってしまいました。 今回の席題の合計得点は十八点。一人あたり二句弱を選んでいます。 兼題句に良い句が少なかったからでしょうか? 皆さんも季語の扱いに苦しまれた結果なのでしょうか? さて、来月の兼題は鯖と草いきれです。 鯖は一年中食卓にありますから、どんな場面を持ってくるのがいいのか、難しそうです。 また、海や市場にいる鯖にはなかなかお目にかかれませんが、 ここに注目すると場面が限られてしまいそうです。 草いきれは、経験から情況は分かりますが、場面が限定されますので、 他の何と組み合わせたらいいのか、難しそうです。 |