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ハナミズキ

.    4 月 句 会  (互選) (特・○○)は特選 (選者が今月一番の句と選んだもの)   


3 春愁や虚実を変える砂時計           薄井 逸走
3 陽炎にゆがみし針の花時計
3 日時計の刻確かなり春暑し(特・如水・佐都子)
2 若草の中に漕ぎ入る三輪車(特・利恵)
2 行く春や埃の中の砂時計
1 耳元でささやく黒いチューリップ
1 春大路曲がれば見える花時計


3 若草や土手に鼓動を聞く日和          小山田柏泡
2 若草の中に花もつ小草みし(特・上尾亭)
2 若芝に犬転がりて背をこする
1 田水引く堤に若草匂ひけり
1 春眠に覚めて時計の恨めしく
1 若草の香を踏みしめて畦の径
1 若草や野焼きの焦げのまだ臭ひ


1 山ひとつ越せば若草見ゆる里          杉山佐都子
1 白波のかえす音聞く春障子
1 淡墨の残花に雨のようしゃなく
1 暖流の音に目覚めし若草か
1 古民家の春炉を守る古時計(特・京華)
1 若草を喰む親子牛大まだら
1 春光や岬の日時計波を差し


5 花時計落花を乗せて動きけり          坂井 翠波
5 若草やサッカーボール雲へ蹴る
4 若草や児の背に跳ねるランドセル(特・政子)
3 時計見る春日遅々と美術館
2 永き日のにぶき刻打つ古時計
1 若草の終着駅や峽抜けて


3 春惜む動かぬ時計義父のもの          池田 京華
2 若草や犬の戯れ猫のじゃれ
2 春光や記念文字の置き時計(特・季)
1 四月尽からくり時計しばしとき
1 古時計睨んで作句竹の秋
1 若草やはたせぬ夢を子に託し


6 耕耘機鋤込まれたる春の草           三浦 政子
3 若草に片足ふまえ道ゆづる
3 若草や画帳に滲む雨滴かな(特・翠波)
1 日時計の遅れも苑のうららかな
1 北上の水滔々と春の草(特・秀水)


1 パンジィーの色とりどりに花時計        三浦 秀水
1 春眠し発条ゆるむ古時計
1 遊歩道敷石まわりの草若し
1 賢治館童話の蛙と時計台
1 築山の哀しき由来草若し


4 若草や廃材積みし隙間より           横手  季
3 旅立ちの目覚めし時計明け易し(特・柏泡)
3 若草を薙て田水の溢れけり
1 若草喰む人になつきし仔牛の瞳


2 囀りや苑にふくらむ花時計(特・逸走)     松原 利恵
2 一望の若草萌える村は過疎
1 山若葉腰痛何時か分かち合ひ
1 散策の脊なより浴びる若葉風


2 小でまりや留守を預かる古時計         花岡上尾亭
2 田楽や時計がうたう子守唄
1 スイトピー時計を呪い伸びにけり


3 若草やこんな所に船着き場           中村 如水
2 春愁や遠き思い出鳩時計



    み ん な で 先 生

北上の水滔々と春の草               三浦 政子
北上の流れは水量水の速さ、みちのくを代表する風景。無理して若草としないところが上手(秀水)

若草の中に漕ぎ入る三輪車             薄井 逸走
三輪車の主は子供と思います。若草の中に漕ぎ入るその勢力と、若草の青さに共感を持ちました(利恵)
三輪車と若草が非常に合っていると思う(佐都子)

日時計の刻確かなり春暑し             薄井 逸走
日時計の確かな描写で引かれました(佐都子)

若草やこんな所に船着き場             中村 如水
大川の中の船着き場、実際に見て実感(政子)

白波のかえす音聞く春障子             杉山佐都子
  春障子にきく波の音、何ともロマンチック(政子)

若草や児の背に跳ねるランドセル          坂井 翠波
若草の明るさ、活動的な学童の様子(政子)

耕耘機鋤込まれたる春の草             三浦 政子
  耕耘機鋤込んでいく春の草  では?(逸走)




      独 り 言       薄 井 逸 走

 今月の兼題のひとつは「時計」でした。
時計の他に、日時計、古時計、花時計、鳩時計、置き時計、砂時計、からくり時計、 と色々な時計が出てきましたが、私は句を作る時に、 春に合う時計は何だろう、と数日間思いを巡らしました。

 古時計やからくり時計は秋か冬に似合いそうですから、これらの時計はパスとしました。
日時計は夏に合いそうでしたから「春暑し」と夏に近い季語と結びつけ、砂時計は秋に合いそうでしたが、 「虚実を返す」を表に出せば「春愁」と結びつけられるのではないか・・・・などと考えたのでした。
 季節感のない語に季節を見いだし、そこに季語を付けるのが俳句の面白さではないかと考えます。

 この点  行く春や埃の中の砂時計  は、「行く春」でなく
「秋ひとり」の方が似合いそうです。  そして、三輪車が春に合うことが分かると、二匹目のドジョウを狙って、三輪車を再登場させたのでした。

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ジャガイモの花

.    5 月 句 会  (互選) (特・○○)は特選 (選者が今月一番の句と選んだもの)   

5 ためらはず一気に毛虫踏みつけり        横手  季
4 道よぎる全速力の大毛虫(特・柏泡)
2 堂縁を借りて毛虫に追はれけり(特・京華)
2 黄菖蒲の叢れて淋しきかげりかな
2 子雀の素早し毛虫くわへたる
2 ハイカーの黄色い悲鳴毛虫這ふ
1 雪吊りの解かれて早も松毛虫
1 毛虫這ふ賽銭箱に賽しけり


2 木に垂れし毛虫小鳥の啄みぬ          坂井 翠波
2 終ひ風呂疲れし菖蒲引き上げぬ
2 銀毛をそよがせ毛虫垣を這ふ
2 菖蒲湯や真っ赤な嬰を抱き上げし
2 菖蒲剪り身に芳香を纏ひけり
1 頭を上げて我を睨みし毛虫打つ
1 切り取りし菖蒲切っ先頬を刺す


5 花菖蒲水路の淀む一処             薄井 逸走
5 番傘のはじく雨音花菖蒲(特・秀水)
5 降り出せる雨の水輪や花菖蒲(特・如水・佐都子・政子)
2 畦道のぬかるむ日々や花菖蒲
2 菖蒲田に水濁すもの動きをり
1 花菖蒲川に濁りの増せる日々


4 花菖蒲人の流れを一列に            三浦 政子
3 花菖蒲そっ気なく見し男かな
2 吾が肩に充たぬ老師や花菖蒲(特・上尾亭・逸走)
2 逃げてゆく毛虫の太き毛並みかな
2 毛虫焼くこんな狭庭に生まれしや
1 めぐりきて菖蒲の池の終の花



3 櫓はゆるく水郷めぐりや花菖蒲         三浦 秀水
2 遣り水の浅き流れや花菖蒲(特・翠波)
2 終い風呂千切れ菖蒲の匂ひあり
1 親子風呂童にかえり菖蒲吹く(特・利恵)
1 水郷や客船呼んでる菖蒲売り


2 松毛虫焼くことだけに集中す          中村 如水
2 瀬戸内を出ずる一舟卯波立つ
1 何時のまに菖蒲消えたる狭庭かな
1 庭掃除這いいでたるは縞毛虫
1 播州野走るローカル麦熟るる


2 踏みつぶす毛虫の内臓気味悪し         池田 京華
1 花菖蒲襞の深さに風見ゆる
1 くたくたになりし菖蒲の終い風呂
1 木道のにつかわしきや菖蒲園
1 六段の調に薄茶菖蒲園


4 どのよな蝶に化けるやこの毛虫(特・季)    小山田柏泡
4 地に落ちし毛虫の逃げる早さかな
1 休耕田また増え菖蒲はびこりし
1 毛虫の子宙にぶらりと糸もなく


2 雨ごもり筆持ち描く菖蒲かな          杉山佐都子
2 一本の菖蒲差しあり田舎駅
1 初孫と菖蒲掴みて湯ではしゃぎ
1 老犬のひる寝の傍を這う毛虫


2 松毛虫犬は戸口であくびかな          花岡上尾亭
2 雨雲が真上にきたる菖蒲かな
1 雨のきて女走れる菖蒲かな


1 花菖蒲終のすみかと女は云う          松原 利恵
1 堀切に契り交せり花菖蒲



    み ん な で 先 生
どのよな蝶に化けるやこの毛虫           小山田柏泡
  毛虫にもいろいろあるので本当に羽化を見たいと思う(季)
  いずれは美しい蝶となることか実感(政子)
  その通りなのですが、「化ける」に疑問を感じます。狐が化けるような感じがするのは私だけでしょうか(逸走)

地に落ちし毛虫の逃げる早さかな          小山田柏泡
  実際に毛虫を見ている作者(季)
  素直な云い廻しが良いと思う(政子)

番傘のはじく雨音花菖蒲              薄井 逸走
  雨の菖蒲苑 番傘がよい(季)
  菖蒲は昔からの花で番傘が古風でおもしろい(秀水)

花菖蒲川に濁りの増せる日々            薄井 逸走
  水量の増せる菖蒲田の感じがでている(季)

雨雲が真上にきたる菖蒲かな            花岡上尾亭
  菖蒲は曇り空が一番良い(季)

櫓はゆるく水郷めぐりや花菖蒲           三浦 秀水
  櫓はゆるくがよい 女船頭がうかぶ(季)
  櫓はゆるく水郷めぐり花菖蒲  では(逸走)

切り取りし菖蒲切っ先頬を刺す           坂井 翠波
  菖蒲の葉のするどさ(季)

逃げてゆく毛虫の太き毛並みかな          三浦 政子
  大毛虫の逃げてゆく様がありありと見える(季)

踏みつぶす毛虫の内臓気味悪し           池田 京華
  踏みつぶす毛虫の内臓青黒し では。
  青黒く光ってますよね(利恵)
  俳句的な題材ではないと思うのですが(逸走)

松毛虫犬は戸口であくびかな            花岡上尾亭
  ユーモアがあって楽しい句と思いました(利恵)

親子風呂童にかえり菖蒲吹く            三浦 秀水
  露天風呂でも良いかと思いますが・・・あたりの景色と共にあの冴え切った美しい音の聞こえるような句。
  佳いですね。楽しい家族をみられる(利恵)
  親子風呂で親が童にかえるのだろうか、との疑問(逸走)

花菖蒲人の流れを一列に              三浦 政子
  団体の見物人の多さの経験あり(京華)
  菖蒲園人の流れの一列に では(逸走)

堂縁を借りて毛虫に追はれけり           横手  季
  せっかくいい休み場所を見つけたのに(京華)

降り出せる雨の水輪や花菖蒲            薄井 逸走
  水輪の波紋と雨と花菖蒲がとても美しく想像できました。季節に合っていると思います(佐都子)
  降り出しの雨の水輪とは何と素敵な情感 菖蒲とのとり合わせが良い(政子)

瀬戸内を出ずる一舟卯波立つ            中村 如水
  真砂女さんを思い浮かべます(秀水)

雨ごもり筆持ち描く菖蒲かな            杉山佐都子
  「筆持ち」は「描く」で表現済 庭の菖蒲とか・・・・(秀水)

休耕田また増え菖蒲はびこりし           小山田柏泡
  「また増え」と「はびこりし」情景を繰返しているように思う(秀水)

木に垂れし毛虫小鳥の啄みぬ            坂井 翠波
  垂れている毛虫を啄むのか、という疑問(逸走)

頭を上げて我を睨みし毛虫打つ           坂井 翠波
  「上げる」「睨む」「打つ」と動詞が連続して三つ。 短編映画のよう(逸走)

花菖蒲そっ気なく見し男かな            三浦 政子
  「花菖蒲」と「そっ気なく見し男」が合うのか、との疑問。
  季節は違いますが、月見草ではいかが? 蓮の花でもいいかも知れません(逸走)

何時のまに菖蒲消えたる狭庭かな          中村 如水
  菖蒲が盗まれたのか、花が終わったのか、なぜ「何時のま」なのか、私には分かりませんでした(逸走)

木道のにつかわしきや菖蒲園            池田 京華
  その通りなのですが、「につかわしい」と云わずに表現するのが俳句では?(逸走)




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ノウゼンカズラ

.    6 月 句 会  (互選) (特・○○)は特選 (選者が今月一番の句と選んだもの)   


4 尻に合う石にどっかり揚花火          三浦 秀水
2 重石の赤く染まりて梅漬かる(特・柏泡)
2 積石の道標さびし夏の山
2 父の日や呑み屋でぐちを亭主族
2 寄せる波小石磨かれ夏の海
1 屋根に敷く石は不揃い梅雨の空
1 父の日や肩をくぼませ父ごろ寝
1 桜桃忌賽の河原で石を積み


6 緑陰を行きて戻りて百度石(特・佐都子)    薄井 逸走
3 路地の灯を映すは梅雨の石畳
2 万緑の届かぬところ天守閣
2 二の丸に緑陰の風石畳
2 紫陽花や城下の路地の石畳
2 緑陰や古城へ続く石畳
1 地図になき確かな道やケルン積む


4 滴りのたゆまず石の凹みかな          横手  季
3 石仏の目鼻欠けたる苔の花
2 千年の石垣に触れ松の蕊
2 夏雲や佐原囃子のただよえり
1 萬緑や幣の真白く要石
1 へぼ胡瓜なれど初もぎ仏前に
1 膝ほどの去来の墓石柿の花


3 大滝の岩石穿ちとどろけり           坂井 翠波
3 海に向く漁夫の墓石灼けてをり(特・如水・政子)
2 釣人の磯石辿る梅雨の中
2 石切場汗の男の力瘤
1 滝垢離の老夫巨石に印結ぶ
1 梅雨深し銘石組める枯山水
1 父の日や孫を愛して夫老いし


4 築城の無言の石や夏木立            杉山佐都子
3 盤上の石の動きや夏座敷(特・翠波・京華)
3 石畳登る日傘の顔見えず
3 石垣にはみだす枇杷の小さき粒
2 石畳眼下に見ゆる鵜飼舟
1 金魚売りきらきら光る石畳


4 父の日や一鍬毎に石拾ふ            松原 利恵
4 父の日やくもり後晴鍬握る(特・秀水)
3 父の日や老眼鏡を注文す
1 父の日やあなたのおそば離れまじ(特・上尾亭)
1 父の日やほぐれほどれるわだかまり


3 父の顔知らず父の日迎へをり(特・利恵)    池田 京華
2 力石由来棒読み旅六月
1 名石に水打つ夕や老舗宿
1 早苗饗も死語となりしや漬物石


2 忘られているらし父の日の無言         三浦 政子
2 漬石に沈んで梅のよき予感
1 子の生活父の日の父ふと洩らし


2 石橋もほどよくしめり花菖蒲(特・季)     中村 如水
1 父の日や父の顔頭で絵描き
1 父の日はあれこれ思い出募りくる


1 糸とんぼ来て庭石のごつさかな(特・逸走)   花岡上尾亭
1 置石に夕日のかけら羽蟻とぶ
1 著莪の寺こんなところに座禅石




    み ん な で 先 生

尻に合う石にどっかり揚花火            三浦 秀水
  尻に合う石を捜すの大変ですね(京華)
  尻に合う石見つけたり揚花火 では(柏泡)

盤上の石の動きや夏座敷              杉山佐都子
  盤上がよい(京華)
  碁に熱中している対局者の顔の表情まで見えるようである(翠波)

石垣にはみだす枇杷の小さき粒           杉山佐都子
  石垣にはみだす枇杷の粒小さき では(京華)

路地の灯を映すは梅雨の石畳            薄井 逸走
  路地の灯を映すのは水たまり位がよいのでは、でも石畳に映る
  ほのかな灯りが良いのかな?(政子)

海に向く漁夫の墓石灼けてをり           坂井 翠波
  灼けている表現が漁夫にぴったり(政子)

置石に夕日のかけら羽蟻とぶ            花岡上尾亭
  はかない羽蟻の命、夕日のかけらがよい(政子)

石畳登る日傘の顔見えず              杉山佐都子
  美しい人と思いつつ顔の見えない残念さ、見えたら幻滅するかも(政子)
  傘の中は佳い人か? このような推定をするのも俳句のおもしろみと思う(翠波)
  石畳は平らなので、石段を登る・・・・では(利恵)

石仏の目鼻欠けたる苔の花             横手  季
  素朴で良い(秀水)

膝ほどの去来の墓石柿の花             横手  季
  落柿舎の雰囲気が良く出ている句(秀水)

父の日やくもり後晴鍬握る             松原 利恵
  晴耕雨読 男は常に働きどうしです。 人生観そのもの、たまには余裕が欲しい。

積石の道標さびし夏の山              三浦 秀水
  積石の道標灼ける(燃える)夏の山 では(柏泡)

父の顔知らず父の日迎へをり            池田 京華
  哀れな感じ同情より特選に選びました(利恵)





小山田柏泡さんから投句をいただきました。

  庭石の絨緞苔や梅雨に映え           小山田柏泡
  梅雨の庭蒼さ艶めく山波石
  石の下砂少しあり清水湧く
  石投げて遙か届かぬ夏の川
  歳老いて父の日遠くなりにけ
  贈られしネクタイ赤く父の日や
  躓きし石のかけらを虹に蹴る
  瓜の苗植えし根本の石拾




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