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薔  薇


.      5 月 句 会(2005)(特・○○)は特選 (選者が今月一番の句と選んだもの)
                   
3 磯遊び水平線の丸き中(特・利恵)       薄井 逸走
2 五月雨や外湯に続く石畳
2 五月雨や頬杖のまゝ眠り居し
2 五月雨や五百羅漢のそれぞれに
1 五月雨や雨を嫌わぬ国の人
1 大粒に降りはじめたり五月雨
1 流木に出口なかりし磯遊び(特・佐都子)
1 五月雨に打たれて増せる山の色
 
 
4 磯遊び離島通いの蒸気船            三浦 秀水
2 鳴き砂の白く眩しき磯遊び
1 まあいゝやパンツ濡らして磯遊び
1 入江まで蘇鉄の疎林磯遊び
1 五月雨や傘が遮る坂の塔
1 岩礁に海鼠(なまこ)揺らゆら磯遊び
1 五月雨や水まんまんと保津下り
 
 
3 池の鯉大きく跳ねて五月雨るる         小山田柏泡
3 路地石の苔五月雨に艶めきて(特・正彦)
2 磯遊び波が擽(くすぐ)る足の裏(特・政子)
1 五月雨の川に網打つ漁の人
1 五月雨て燻る部屋に籠りけり
1 解禁の川五月雨て燻りて
1 五月雨や今日も一日飽き足らず
 
 
5 童等の尻まで濡らし磯遊び           坂井 翠波
4 一湾の凪げる岩陰磯遊び
4 磯遊び機影音なく雲に消ゆ
2 さみだれや池畔の柳浸りをり(如水)
1 翠黛(すいたい)の峯をを見あげて磯遊び
1 岬宿妻の手を振る磯遊び
 
 
3 磯遊び父子の姿目に追ひつ           三浦 政子
2 兄妹背なの無心や磯あそび
2 山原(やんばる)の密林深しさみだるる
2 遠海の日没あかりさみだるる
1 戦争を知らぬ世代や磯遊び

 
2 磯遊びなじまぬボール蹴り飛ばす(特・柏泡)  松原 利恵
1 真青なる風あたらしく磯遊び(特・翠波)
1 五月雨やコツコツコツと内仕事(特・逸走)
1 五月雨や妻にさしかく蛇の目傘
1 五月雨や眼細める道祖神
1 五月雨や風にのり来る瀬音あり
 
 
4 さみだるる船唄こもる最上川          横手  季
3 五月雨や寺の大屋根鎖樋(特・京華)
3 磯遊び朝は地曳の網を引く
1 磯遊び昼餉に鳶の旋回す
1 屋形船ゆるゆる下る五月雨
 
 
3 五月雨るる墓前の線香くすぶりて        杉山佐都子
3 五月雨や休耕田の草の丈
2 五月雨やテント賑わう野菜市
1 磯遊び不思議の世界子等見つけ
1 磯遊び素直になりて波うける
 
 
3 靴下も脱ぎて帰るや磯遊び           池田 京華
1 磯遊びずしりと重き紙おむつ
1 ふたり旅五月雨煙る海野宿
1 五月雨や朽ちし墓石に杉落葉
1 さみだるゝ塩田平の木曽五木
 
 
5 病告げ医師無表情五月雨            稲葉 正彦
1 医師の目を逸らせし外は五月雨
1 我今日も生きる証か五月雨
 
 
1 夜半目覚め五月雨の音聴きおりぬ        中村 如水
1 五月雨サッカー場の芝濡らし
1 磯遊び陽ははや西にかたむきぬ(秀水)
 
 
 
 
 
 み ん な で 先 生
 
磯遊び父子の姿目に追ひつ             三浦 政子
  目で追ひつ、では如何かな(如水)
  目で追っているのはお母さんなのか(季)

童等の尻まで濡らし磯遊び             坂井 翠波
  私も尻まで濡らした事があります(如水)
  尻まで濡らす。で子供が面白く遊んでいるのが
   表現されている(季)
 
さみだれや池畔の柳浸りをり            坂井 翠波
  句の流れが非常によいと思いますね(如水)
  柳が池面をなでているのでしょうか(秀水)
 
靴下も脱ぎて帰るや磯遊び             池田 京華
  靴下は手に持ち帰る磯遊び くらいでは(政子)
 
磯遊び波が擽(くすぐ)る足の裏          小山田柏泡
  波がくすぐる心地良さ(政子)
  潮の引く様がよく解る(京華)
 
病告げ医師無表情五月雨              稲葉 正彦
  病告げて医師無表情 としたらもっと不安な気持ちがでるのではないでしょうか(政子)
  五月雨と医師の冷たさが噛み合ってる(秀水)
  事務的な医者と五月雨、患者の気持ちをもう少し分かって欲しいのだが・・(逸走)
 
まあいゝやパンツ濡らして磯遊び          三浦 秀水
  濡れてしまって開きなおってからの磯遊び、
  さぞかしと思う(政子)
 
磯遊び機影音なく雲に消ゆ             坂井 翠波
  空の果てまで見送ることの出来る会場での磯遊び(政子)
  海の青、空の青に飛機を見た美しさ(秀水)
 
磯遊び水平線の丸き中               薄井 逸走
  地球儀の丸さよく出て丸き中(利恵)
 
大粒に降りはじめたり五月雨            薄井 逸走
  大粒が気に入りました、五月雨にマッチしていますね(利恵)
 
五月雨やテント賑わう野菜市            杉山佐都子
  農業祭ですか、テントが賑わうとの事、
  温泉地ではないですね(利恵)
  この句に限らず、五月雨の中で遊んだ風景がありましたが、
  私はどうしても、五月雨には閉じこもった静かな感じが合うと思うのですが(逸走)
 
鳴き砂の白く眩しき磯遊び             三浦 秀水
  鳴き砂が新鮮な句になっている(季)
 
兄妹背なの無心や磯あそび             三浦 政子
  無心の背なや、で選びたいです(季)
  兄妹に限らず子等は砂遊びなどの無心である  そのへんをどうにか(柏泡)
 
五月雨や今日も一日飽き足らず           小山田柏泡
  働き者の作者なのでしょう 無聊の感がでています(季)

磯遊び不思議の世界子等見つけ           杉山佐都子
  子供達の新しい発見、不思議としたのがよいと思った(季)
 
真青なる風あたらしく磯遊び            松原 利恵
  真青なる風新しく磯遊び、の表言がよいと思う(翠波)
 
さみだるる船唄こもる最上川            横手  季
  芭蕉の最上川の句に船唄をもって着た面白さ(秀水)
  「五月雨」と「最上川」は芭蕉の特許・・・(?)(逸走)
 
磯遊び陽ははや西にかたむきぬ           中村 如水
 
  磯遊びに夢中となり時を忘れた楽しさ(秀水)
 
五月雨や五百羅漢のそれぞれに           薄井 逸走
  五月雨に更に五百羅漢の表情がより鮮やかとなる面白さ(秀水)
 
五月雨や寺の大屋根鎖樋              横手  季
  鎖樋に目を向けたところがよい(京華)
 
磯遊びなじまぬボール蹴り飛ばす          松原 利恵
  砂浜の風情、ボールはなじまない砂には(柏泡)
  磯遊びというのは波打ち際や岩場で遊ぶこととを差すのではないでしょうか(逸走)
 
五月雨や休耕田の草の丈              杉山佐都子
  荒れた休耕田・・・・・(柏泡)
 
池の鯉大きく跳ねて五月雨るる           小山田柏泡
  五月雨や大きく跳ねし池の鯉 では(逸走)
 
磯遊び離島通いの蒸気船              三浦 秀水
  この風景には、五月雨の方が合うのでは(逸走)
 
磯遊び昼餉に鳶の旋回す              横手  季
  昼餉である意味が分かりません(逸走)

五月雨やコツコツコツと内仕事           松原 利恵
  私は、五月雨やカッタンコトン町工場 という句を作りました
  梅雨に閉じこめられた作業では音が聞こてくるだけ(逸走)
 
戦争を知らぬ世代や磯遊び             三浦 政子
  戦争を知らぬ世代を持ってきた意味が分かりません
  磯遊びとマッチングするのでしょうか?(逸走)
 
 
翠黛(すいたい)=みどりに霞む山の景色。みどりの眉ずみ。



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銀杯草(芝桔梗)




.      6 月 句 会(2005)(特・○○)は特選 (選者が今月一番の句と選んだもの)

  
 
4 時の日や柱時計の螺子緩む           三浦 秀水
4 時の日や乗り継ぎ駅の大時計(特・如水)
3 時の日やからくり時計に固唾(かたず)のむ
2 青紫蘇や旬のお造り引立てる(特・翠波)
2 時の日や順番待ちのパビリオン
2 時の日や王朝滋賀の遺蹟径
1 朝の市越後訛りと紫蘇の束
 
 
3 ぽつぽつと自生の紫蘇はそのままに       三浦 政子
3 雑草とともに引かれて紫蘇香る(特・季・柏泡)
2 時の日の骨董めきし掛時計
2 時の日の白花土に還りゆく(特・逸走)
1 時の日や太古につづく雨の音
1 時の日や小冊子持って診療所
1 傘さして紫蘇二三枚取りに出る
 
 
3 紫蘇揉みて母の仕草をなつかしむ        杉山佐都子
3 時の日に植え換えられし花時計
2 靴音を聞きて刻むや青きしそ
2 ひとり居の一把青じそもて余す(特・正彦)
1 手作の紫蘇酒琥珀に艶の増し
1 紫蘇揉みて染み出る赤の恋初め
1 美しき料理器の紫蘇匂う
 
 
3 時の日のバス定刻に発車せり          中村 如水
2 時の日や平和見守る古時計
1 時の日や命をきざみ時刻む
1 約束に吾れ遅刻せり時の日に
1 時の日や駅舎の時計鳴り初む
1 時の日や思い出の品腕にあり
1 雑草にまじりし紫蘇の二三本
 
 
5 紫蘇もんで生命線の浮かび出る(特・京華)   松原 利恵
3 時の日やすべて無である般若経(特・秀水)
1 むっくりと青紫蘇生えて香りけり
1 よべの雨赤紫蘇命ふくらます
1 時の日のバーゲンセールかき廻す
1 白米に青紫蘇香る手べんとう


3 時の日や記念時計の遅れぐせ(特・政子)    横手  季
3 薬味にと紫蘇の一鉢ベランダに
2 時の日と決めて種蒔くもののあり
2 時の日や机上の空論果てしなく
1 時の日や父の意如何にわが名時
1 青紫蘇をきざむ香のたつ厨窓
 
 
3 荒れ畑と荒れ野の境紫蘇の花          薄井 逸走
2 広重が斜に描きし雨紫蘇畑(特・佐都子)
2 ひと処葉裏の返る紫蘇畑
2 板前の遅き昼餉や刻み紫蘇
1 紫蘇の葉を雨が洗いしまゝ刻む
1 読み慣れぬ国の名前や紫蘇ジュース
 
 
2 朝市に香る青紫蘇山積に            坂井 翠波
1 紫蘇の香を奪ひ川風過ぎ行きし
1 青紫蘇が刺身の粋(いき)を引き立てゝ
1 蒼天へ香り放ちぬ紫蘇刈られ
1 紫蘇漬けて手を染めてゐし母思ふ
1 時の日や日時計ゆるりと回りをり
 
 
3 気がつけば狭庭そちこちこぼれ紫蘇       池田 京華
2 赤紫蘇を揉みし擂鉢立つ香り
2 ガラス器の紫蘇の青さに鯛刺身(特・利恵)
1 時の日や占い館の古時計
 
 
2 しそだけを残し雑草抜き取りし         小山田柏泡
1 時の日や何時に変わらぬ目覚めかな
1 蕎麦だれのつまに紫蘇の香を刻む
1 時の日や戸閉で旅立つ置時計
 
 
 
  み  ん  な  で  先  生
 
美しき料理器の紫蘇匂う              杉山佐都子
  星野立子の句に「美しき緑走れり夏料理」があるが、やはり紫蘇の香も夏料理を引立てるように思ふ(翠波)
 
紫蘇もんで生命線の浮かび出る           松原 利恵
  紫蘇もんで生命線の筋ふかき としたい(政子)
 
時の日や王朝滋賀の遺蹟径             三浦 秀水
  時の日や滋賀の都の遺蹟径 では(政子)
 
紫蘇漬けて手を染めてゐし母思ふ          坂井 翠波
  紫蘇漬けに手を染めてゐし母のこと では(政子)
  紫蘇を漬けたのは作者なのか、母なのか、視点が分かりません。
  曖昧でいいのかもしれないが、不安定(逸走)
 
時の日や柱時計の螺子緩む             三浦 秀水
  時の日や柱時計の螺子を巻く としたい(政子)
  時の日や柱時計の緩む音   では(逸走)
 
時の日やすべて無である般若経           松原 利恵
  般若心経は、すべては無、という教えと聞いています。
  この句では、般若心経が無、であるかのように読めますので
  時の日やすべて無という般若経 では(逸走)
 
時の日に植え換えられし花時計           杉山佐都子
  時の日や植え換えられし花時計 では(逸走)
  時の日と限定しないで、時の日や、では(柏泡)
 
紫蘇の葉を雨が洗いしまゝ刻む           薄井 逸走
  雨洗う紫蘇の葉そのまゝ刻みけり では(柏泡)
 
気がつけば狭庭そちこちこぼれ紫蘇         池田 京華
  こぼれ紫蘇とは云うかな? ゴロはよいが 紫蘇芽吹く ぐらいはどうでせう(柏泡)
  気がつけば・・・・いつの間に、くらいでは(逸走)
 
時の日や思い出の品腕にあり            中村 如水
  思い出のある腕時計、思い出の品、時計と云わないところに意  味深いものを感じる(柏泡)
 
赤紫蘇を揉みし擂鉢立つ香り            池田 京華
  擂鉢立つ香り、が一寸気になる(柏泡)
  他の句でも言えることですが、赤紫蘇であること、青紫蘇であることの意味が
  感じられません。文字合わせに赤や青を使うと  逆効果になるように思います(逸走)
 
時の日の白花土に還りゆく             三浦 政子
  時の日と時計、紫蘇と刺身、を結びつけるのは当然すぎます。
  土に還る花、般若心経、机上の空論など、季語に直接関係のない言葉や情景と結びつけるのが
  この時代の俳句ではないでしょうか。この意味でもこの句は秀逸です(逸走)
 


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富良野の花畑


.      7 月 句 会(2005)(特・○○)は特選 (選者が今月一番の句と選んだもの)

6 朝顔市仕切る女の法被かな(特・政子)     横手  季
4 朝顔市抜けて入谷の路地静か
3 水撒いてほてりの匂ふ朝顔市
2 一鉢を大事に朝顔市の路地
1 葛餅や祖母の慈愛のほのぼのと
1 朝顔市団十郎の名に惹かれ
1 和菓子屋の小椅子にお茶と葛餅と
 
 
5 雑踏の朝顔市にある流れ(特・佐都子・柏泡)  薄井 逸走
5 江戸からの古き地名や朝顔市(特・利恵)
3 朝顔の市へ揃いの下駄下ろす(特・如水)
3 これよりは朝顔市と車止め
2 法被干す朝顔市の裏通り
1 雨上がる朝顔市に待ち合わす
 
 
4 朝顔市一葉ゆかりの寺めぐり          三浦 秀水
3 朝顔市境内せまき鬼子母神
2 朝顔市大輪しぼむ照り返し
1 おみやげの葛餅小さき包みかな
1 朝顔市いきな着流し江戸情緒
1 朝顔市行灯(あんどん)仕立ての鉢五段
 
 
5 葛餅の終りの一ト切れ蜜さらう(特・秀水)   小山田柏泡
3 朝顔市抱えし鉢の重さかな
2 ふんだんに黄粉まぶして葛の餅
2 葛餅の黄粉も蜜も我を通す
1 朝顔市あれこれ惑いその末に
 
 
3 葛餅や女はまろき言葉もつ(特・逸走)     三浦 政子
3 葛餅にとろり黒みつ上すべり(特・京華)
2 夫とゐて寧けし昼を葛の餅(特・正彦)
2 大輪の千切れ朝顔市の昼
1 哀歓は過ぎし日のこと葛の餅
 
 
3 朝顔市値札見較べ買わず去る          坂井 翠波
2 朝顔市残りし鉢のうらぶれし
1 くずもちや茶房の水車動かざり 
1 葛餅や紅唇動きやまざりし
1 葛餅や玻璃戸越しなる隣家の灯
 
 
6 朝顔の萎みて夜の市灯る(特・季)       杉山佐都子
6 半年を朝顔市で折り返し
4 鬼子母神詣で朝顔市に入る
3 門前の葛餅有りの老舗かな
 
 
2 赤子抱き朝顔市の若夫婦            池田 京華
1 地の野菜朝顔市に並びたり
1 下駄箱に市の朝顔紺と赤(特・翠波)
1 葛餅や大師の道は石畳
 
 
2 足早に曲がれば朝顔市の顔           松原 利恵
1 朝顔市覗く入谷の鬼子母神
1 葛餅や楊枝の青さ透きとほる
 
 
1 朝顔の鉢ぶらさげて市がへり          中村 如水
 
 
 
 
 
  み  ん  な  で  先  生
 
朝顔市団十郎の名に惹かれ             横手  季
  団十郎とは粋な名、どんな花かしら(政子)
 
朝顔市仕切る女の法被かな             横手  季
  意気の良い声が聞こえてきそう(政子)
 
朝顔市覗く入谷の鬼子母神             松原 利恵
  朝顔市覗き入谷の鬼子母神  では(政子)
 
葛餅や女はまろき言葉もつ             三浦 政子
  なめらかな葛餅 女性の言葉との組み合わせ佳い(利恵)
  葛餅に、蜜や黄粉は当たり前すぎませんか? 葛餅を食べると言葉が丸くなるのか、
  それとも、そう感じるのか、俳句としていい組み合わせと思います(逸走)
 
江戸からの古き地名や朝顔市            薄井 逸走
  入谷と云わず古き地名で解る(利恵)
 
大輪の千切れ朝顔市の昼              三浦 政子
  千切れては商品価値がなくなる。 萎みが自然です(秀水)
  「千切れ」でなく「乱れ」あるいは「崩れ」では(逸走)

朝顔市抱えし鉢の重さかな             小山田柏泡
  抱えるでなく、下げて帰ります。(下げし鉢)(秀水)
 
朝顔の鉢ぶらさげて市がへり            中村 如水
  朝顔市作句も選句もすべて想像の世界、心引けるが一見して察しのつく風情であろう(柏泡)
  「市帰り」にしましょう、
  「市が減り」と読んでしまいました(逸走)
 
葛餅や楊枝の青さ透きとほる            松原 利恵
  楊枝は竹楊枝の青さであろうか、竹楊枝を詩いこんでは(柏泡)
 
雑踏の朝顔市にある流れ              薄井 逸走
  多分雑踏の人波のなかにも、ある流れがある、市の情景(柏泡)
 
葛餅にとろり黒みつ上すべり            三浦 政子
  上すべり がいい(利恵)
 
葛餅の黄粉も蜜も我を通す             小山田柏泡
  葛餅のあり様を良く言い当てている(政子)
 
半年を朝顔市で折り返し              杉山佐都子
  一年を折り返すのでは、と思いましたが、「半年」の方が一年の半分が過ぎたという意味が強くなると思います(逸走)
 
 
●今月は六点句が三句ありました。
 六点句は珍しいと言っていいほど少ないですが、さらに、三句も出たのですから素晴らしいことと思います。
 作者と選者の目が一致したからでしょう。   そのような中で不人気だった句 
        嫁連れて妹が下げ来る葛の餅
を、敢えて取り上げさせて下さい。

 作者は「この通りなの」と仰いますが、五七五だけでは俳句にならないと思います。
兼題は葛餅ですから、葛餅を中心にしますと、葛餅と妹の関係がまったく読めませんし、嫁を出した意味もまったく読めません。
作者がいて読者がいてこその俳句と思います。読者に驚きと感動と同感を与えるのが俳句と思います。


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凌霄花(のうぜんかずら)    


.      8 月 句 会(2005)(特・○○)は特選 (選者が今月一番の句と選んだもの)

 
5 八月や斜視に見上げる陶狸           三浦 政子
5 草木の茂り陰りの秋海棠
4 威嚇して八月生きむ母子猫
3 八月や地震(ない)に鳴りたる古時計(特・季)
1 八月の熟れ実にさわぐ鳥の早や
1 秋海棠下ぶくれして孫(こ)の笑くぼ
1 八月や朴のまないたあがなへり
 
 
5 名水を汲む人の列秋海棠(特・秀水)      薄井 逸走
2 水濠の深さは見えず秋海棠
2 秋海棠農家の裏に高き土手
2 手押し井戸錆に軋むや秋海棠
2 山裾の用水くねり秋海棠
2 八月や母の苦手な車椅子
1 八月や灌漑水路一直線(特・佐都子)
 
 
6 八月や足裏白き飛び込台(特・如水)      杉山佐都子
5 八月や戦禍の子等の大きな目(特・政子)
4 八月の熱闘天まで甲子園
3 八月や慟哭(どうこく)の空真青なり(特・翠波)
2 八月や億光年まで原爆忌(特・信)
1 古寺巡拝庭の隅なる秋海棠
 
 
4 八月や乱舞の熱気サンバ行く          三浦 秀水
3 八月や地下壕痛まし我も老ゆ
2 八月は読経と香煙寺の町
2 八月や一間占拠の孫帰る
1 活花の秋海棠の折れており
1 長旅に疲れ狭庭の秋海棠
 
 
3 八月の山巓(さんてん)朝の雲を抜く    (特・利恵・正彦)   坂井 翠波
3 八月や新着図書の香りけり
2 奥宮の参道暗し秋海棠
2 八月や我が戦後史もはるかなる(特・柏泡)
1 八月の波止場に白き巨船着く
1 八月や水族館に人群るゝ
 

6 山門へ階をせばめて秋海棠(特・京華・逸走)  横手  季
3 小流れの水音(みおと)かそけき秋海棠
2 八月や買物帰りの赤い月
2 秋海棠木の間隠れに紅散らす
1 わが愁ひ知るや知らずや秋海棠
 
 
2 夜の川の暗きに散って秋海棠          小山田柏泡
2 節々を紅濃く染めて秋海棠
2 雨去って葉の艶々と秋海棠
1 漣(さざなみ)と語るか今朝の秋海棠
1 八月や静かな夜の恋しかり
 
 
2 八月や鴻毛(こうもう)の身も傘寿過ぐ     吉田  信
2 秋海棠ひっそり咲ける無人駅
1 八月やまばたき程の六十年
1 秋海棠凡々と咲きあるがまま
1 八月やもう逃げられぬ手術の日
 
 
2 八月や俄か本好き増える月           池田 京華
1 知床に思ひは深し葉月かな
1 秋海棠迎へる母の三年忌
 
 
1 八月や労をねぎらふ雨の音           松原 利恵
1 八月や流れる風に背を洗う
1 八月やさらりと乾く指の先
 
 
1 茶花とし秋海棠を愛しをり           中村 如水
1 秋海棠風来て広葉少しゆれ
 
 
 
 
 
  み  ん  な  で  先  生
 
 
 
八月や地震(ない)に鳴りたる古時計        三浦 政子
  大きな地震があったが、止まるは通常、鳴ったのは面白い(季)                       

威嚇して八月生きむ母子猫             三浦 政子
  猫にもそろそろ親離れの時期なのでしょう(季)
 
八月は読経と香煙寺の町              三浦 秀水
  「八月や」に切った方がよいと思う(季) 
 
八月や足裏白き飛び込台              杉山佐都子
  まさに句の通りですね(如水)
  日焼けの八月、特に足裏の白が目立ちます(利恵)
 
草木の茂り陰りの秋海棠              三浦 政子
  秋海棠の様子、根元から花の先まで見える句です(利恵)
 
八月や買物帰りの赤い月              横手  季
  買物帰りのゆったりとした歩みに見た赤い月、「赤い月」の小説を心しての作句と思う(政子)
  小説の「赤い月」であるなら「八月」は分かりますが、なぜ買物帰りなのでしょう(逸走)
 
八月や鴻毛の身も傘寿過ぐ             吉田  信
  鴻毛と自らへり下ったいわれ様にシャンとした生き様を感じる(政子)

八月や労をねぎらふ雨の音             松原 利恵
  雨は時には心安らぐもの、八月の雨はことさら(政子)
  八月の労は畑仕事でしょうか? ならば、雨の音でなく「雨となり」では(逸走)
 
八月や慟哭の空真青なり              杉山佐都子
  同じ思いを抱いて同感しました(政子)
  終戦の日の全国民の慟哭を想い出す、見事な句である(翠波)
 
茶花とし秋海棠を愛しをり             中村 如水
  淡々とやさしい花であり葉であり、私も同感(政子)
 
八月や戦禍の子等の大きな目            杉山佐都子
  イラクの戦禍にいたみ付けられた児童のことを思う(翠波)
  「大きな目」が色々な事を表しています(逸走)
 
八月や斜視に見上げる陶狸             三浦 政子
  もうひとつ意味のよく分からないところもあるが「陶狸」に引かれた(翠波)
 
八月や灌漑水路一直線               薄井 逸走
  八月の暑さの中、水路の一直線が強さと涼しさを感じさせる(佐都子)
  今月の自信作でした。新幹線の二階席や高速道路から、この景色をよく目にしますが、
  真夏の句になると思っていました。兼題「八月」に感謝(逸走)
 
赤い糸切って悲しき八月や             中村 如水
  八月や切れて悲しき赤い糸 では(信)
 
手押し井戸錆に軋むや秋海棠            薄井 逸走
  今はあまり見かけない「ガチャポンプ」であろう、秋海棠と水は縁が深い湿気を好む、句にも水辺の句が多い(柏泡)
 
活花の秋海棠の折れており             三浦 秀水
  活花の秋海棠や節に折れ  ぐらいではどうでせう(柏泡)
 
長旅に疲れ狭庭の秋海棠              三浦 秀水
  長旅の疲れを癒してくれる一時であろう(柏泡)
 
八月や我が戦後史もはるかなる           坂井 翠波
  終戦の日になると想い出す、その戦後も(六十年)はるかなる実感
  戦後生まれた若い人はどうなのだろう(柏泡)
 
水濠の深さは見えず秋海棠             薄井 逸走
  濠の深さか、多分水の深さであろう「水濠の深さに映えて」ではどうだろうか(柏泡)
 
小流れの水音かそけき秋海棠            横手  季
  水音と云わなくも小流れで水と判る、「小流れのかそけし音や」では、
  「かそけき」「幽し(かそけし)」どうでせう(柏泡)
 
八月や疎開児童は三年生              池田 京華
  人気のない句でした。八月になると疎開を思い出すのでしょう。
  句材はいいと思います。 八月や三年生で疎開する(逸走)
 
八月や雷雨がたたく上高地             三浦 政子
  人気のない句でした。八月と雷雨の季重ねがその理由のひとつ。
  もうひとつは、「上高地」を持ってきた意味が見えないこと。
  雷雨が変わった物を叩かないと「絵葉書」です(逸走)
 
坪庭に楚々と咲きたる秋海棠            中村 如水
  人気のない句でした。典型的な「絵日記」「絵葉書」だからでしょう。
  坪庭と楚々と秋海棠、平凡な組み合わせです。坪庭であること、秋海棠であることの意味が見えません。
  季語も情景も飛びます(逸走)
 
八月は淡き想いや妻と我              稲葉 正彦
  人気のない句でした。個人的すぎるので読み手に共感を与えることができなかったものと思います。
  八月の思い出は終戦というのは定番ですが、お二人の淡き想いをこの句から読み取ることはできません(逸走)
 



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ドングリ


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   9 月 吟 行 句 会(2005)(特・○○)は特選 (選者が今月一番の句と選んだもの)


5 草の名を知る術はなし秋暑し          薄井 逸走
4 腕白の届かぬところ秋の蝉(特・佐都子・信)
3 蜘蛛の糸見えず枯葉の吊られをり(特・翠波)
2 木道のつづく木下や水澄めり
2 木道の木下に秋の風通る
1 いま少し歩幅広げて秋の径
1 雑草に脚絆手甲秋暑し
1 音立てて池に入り来る秋の水
1 釣り人は男ばかりよ秋暑し
 
 
4 サルビアの花燃えており館静か(特・政子)   横手  季
4 曼珠沙華杉の木立の表示板
3 草虱つけし散歩の犬に会う
2 道しるべめく水引草叢れており
2 野草園秋の七草咲き乱れ
2 命惜し何をつぐるや蝉の声
1 「つりのえさ」旗微動だに秋暑し
1 「ハチに注意」山栗の毬落ちし径
1 水音をたどれば木道実紫(特・逸走)
 
 
3 木道に案内先立つ赤とんぼ           杉山佐都子
3 稲穂垂れ大地の平和今ここに
3 花薊一本のみに目立ちおり
2 夫の座は釣堀にあり不動の日
2 葛の花乱れ舞台の色模様
1 秋の蝉地球の臍へと透る声
1 木道の下にきのこの枯れるまま
1 木道を渡りて新涼背な抜ける
1 十本の水引の花綾の紐
 
 
5 空振りの太公望や秋暑し(特・利恵)      三浦 政子
5 走り根に足とられけり葛の花(特・季・柏泡)
4 鯉の口ぽっかり浮いて秋暑し
4 木道の歩き易さよあめんぼう(特・秀水)
2 赤々と樹下の水引のびきって
2 智光山緑陰たどりあてどなく
1 くもの巣にはばまれ迷う雑木林
1 つり花や背なに吹きくる風は秋  


5 踏み入りし森の深さや露の玉          坂井 翠波
3 秋天へ弾けんとして菖蒲の実
3 鮒釣の竿の一閃秋天へ(特・正彦)
2 秋草の茂るままなりほたる園
2 選挙日や残暑の町へ人屯(たむ)る
1 木道の落葉踏みつつ森辿る
1 木道に佇てば寄り来し秋の鯉
1 露草の花の開きて森深し
 
 
4 丘を覆う紅ほぐれゆく葛の花(特・京華)    三浦 秀水
4 小流れに蜻蛉は翅を光らせて
3 風誘う赤松林秋気澄む
3 釣堀や彩とりどりに大日傘
3 池の上蜻蛉ニアミス繰り返し
2 吟行や秋光陰のうつろへり
2 杉木立ほどよき陰の秋気かな
1 炎天下厩舎陰ひき牛二頭
 
 
 
 
 
  み  ん  な  で  先  生
 
木道の歩き易さよあめんぼう            三浦 政子
  あめんぼうのはねている水たまりのある道、心のやすらぎを感じた(利恵)
 
智光山緑陰たどりあてどなく            三浦 政子
  あてどなくたどる緑陰智光山  としたら(利恵)
 
草虱つけし散歩の犬に会う             横手  季
  見たとおりなのでしょうが、散歩の犬である必要はないと思いますし、「会う」という表見は説明がすぎると思います。
   したたかの草虱付け迷い犬  という感じでは?(逸走)
 
曼珠沙華杉の木立の表示板             横手  季
  曼珠沙華小さな森の案内板  では? (逸走)
 
花薊一本のみに目立ちおり             杉山佐都子
  群れることせず生きてきて花薊  では? (逸走)
 
杉木立ほどよき陰の秋気かな            三浦 秀水
     木陰に入ると急に涼風が出る感じをとらえている(季)
  「ほどよき陰」も選択肢のひとつかも(逸走)

智光山緑陰たどりあてどなく            三浦 政子
  智光山というマイナーな固有名詞は文字の無駄です。
  あてどなく、には暗いイメージがあるのですが、私だけかな?
  緑陰をだどりて抜けし小さき森  では? (逸走)
 
走り根に足とられけり葛の花            三浦 政子
  走り根の多い林の中にひそかに咲いていた葛の花(季)
 
池の上蜻蛉ニアミス繰り返し            三浦 秀水
  蜻蛉は前にしか飛べないと聞いていますが、ニアミスは面白い(季)
  ニアミスの表現が新鮮(政子)
 
蜘蛛の糸見えず枯葉の吊られをり          薄井 逸走
  「蜘蛛の糸見えず」が技巧的である。見事な句(翠波)
  繊細な感じです(佐都子)
 
踏み入りし森の深さや露の玉            坂井 翠波
  散策が昼頃で露の玉は大袈裟かな(秀水)
  「踏み入りし」と「森の深さ」が合っていないと思います(逸走)

釣堀や彩とりどりに大日傘             三浦 秀水
  この光景を詠みたいと思ったができなかった(翠波)
 
赤々と樹下の水引のびきって            三浦 政子
  水引の細長い感が良くでています(秀水)
 
木道の歩き易さよあめんぼう            三浦 政子
  木道は足にやさしい点を良く捉えています(秀水)
 
秋天へ弾けんとして菖蒲の実            坂井 翠波
  秋天へ作者の心も弾む心地よさ(政子)
 
木道の木下に秋の風通る              薄井 逸走
  歩きよい木道を更に木下はこと更に(政子)
 
雑草に脚絆手甲秋暑し               薄井 逸走
  雑草に、が不釣り合いというか、分かりづらい。  鎌を振る手甲脚絆秋暑し では(作者)
 
いま少し歩幅広げて秋の径             薄井 逸走
  いま少し、が分かりづらい。  今日からは歩幅広げて秋の径  かしら?  歩幅を広げて歩きましょう(作者)
 
音立てて池に入り来る秋の水            薄井 逸走
  秋の水より夏の水の方が音が立つでしょうし、音を立てるなら、春の水の方がいいように思いました(作者)

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