ぜんまい
山菜関係の図鑑を見ると真っ先に載っているのが、このぜんまいか、わらびです。
それだけ山菜の代表するものといえますが、最近の店頭で見かけるものは、ほとんどが中国産だそうです。
商品とするまでに、大変な手数が掛かるだけに、採取する人も少なくて放置されているためか、近くの丘陵でもある程度まとまった量を得ることができます。
採取してきた後で、あく抜きする前に、綿毛を取り除いたりする処理に、摘み取る時の数倍ほどの時間を要するでしょうか。この作業を丁寧にしておかないと、後にそれ以上の手間が掛かることになります。
その後に、あく抜き、一晩放置して翌朝から乾燥。半ば乾燥したところで固い部分を取り除いたりしながら数回は手揉みが必要です。完全に干しあがるまでに、この時期の晴天下で丸1日ちょっと掛かります。
さらに、これを食するためには、半日ほど掛かって何回かお湯を替えながら戻し、やっと調理に掛かれるのですから大変です。わらびはあく抜きするだけでお終い。現在異常人気のたらの芽は前処理不要と、この手間の差が人気に結びついているようにも思えます。
採取時期は4月の下旬。わらびとほとんど同じ時期ですが、わらびより更に多湿な場所を好みます。
わらびは、摘み取ると次々と生えてきますが、ぜんまいは、一株ごと数本の葉が短い間隔を置いて出てきます。これらが伸びきってしまえば、この株のシーズンは終わりです。
ただ、株ごとに生え出す時期が微妙にづれているために、全体としてはシーズン中に何回かは採取する機会があります。
また、一つの株の中でも、胞子を持った胞子葉、一般的には男ゼンマイと呼ばれるものと、胞子を持たない栄養葉、一般に女ゼンマイと呼ばれて食用にするものが混在しています。
この男と女、展開する前の葉の形状が全く違い、男のほうは、丸々としていかにも硬そう。一方の女は巻いた葉がぺちゃんこの平たい形をしているので、簡単に区別できます。
また、同じ一つの株からは、まず始めに男の胞子葉が出てきます。これが伸びた後に、女ゼンマイが出てきますが、早い時期には女ゼンマイは全く出ていないために、この男ゼンマイだけが摘み取られた跡が見られます。
山村地域では、女だけを採取し、この男ゼンマイを採取しないのが仁義だそうです。資源の保護を大切に考えていたことが分かります。
男ゼンマイは硬くて美味くないとの説もありますが、真偽の程は疑問です。繁殖に関わる胞子葉を残すための方便かもしれません。
採取するときは、葉が開く前で、茎が太くて長さが30cm程度のものまで、それよりも伸びたものは、柔らかそうに見えても茎の根元は硬いので、結局無駄です。
ただ、何処までが柔らかくて食用にできるかは、摘み取る段階ではほとんど判別できません。
あとに、乾燥してゆく段階での皺の入り方で判別できます。横に皺が入るところは柔らかくて食べられますが、縦に皺が入るところは硬くて筋ばかりなで除去して行きます。
以前に、奥只見から会津に旅したときに、家の周囲にぜんまいを栽培したり、干したりしているのを見受けました。つぎつぎと伸びてくる葉の、最適な時期に採取するために、身近においてウォッチしているのでしょうか。商品価値の高いものを得ようと思えば、それなりの努力が必要と得心しました。
採って来たものは、前処理をしたものに灰をまぶし、上から熱湯を注いで、一晩放置してあく抜きをします。
これを洗って、天日で乾燥しますが、この日に晴れるか否かが、成否の分かれ目。従って晴天が期待できる前日に山へ出向くことが肝心です。運悪く天候がよくない場合には、流水に晒しておけば1日位は全く問題ありませんが、それ以上は確信が持てません。
以上、乾燥品に仕上げるまでが私の仕事。それ以降は当家のシェフの担当です。戻し方にもそれなりのKHがあるそうです。
(2005.04.24) 目次に戻る