尺八、フルートとの比較

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並べて比較

まず、並べて写真を撮ってみましたので、ご覧下さい。

フルート・尺八・篠笛・能管・ピッコロ 比較写真1

フルート・尺八・篠笛・能管・ピッコロ 比較写真2
(写真をクリックすると拡大します)

上の図で上から順にモダン・フルート尺八、篠笛(三本、六本、八本、十本調子)、能管ピッコロです。
音の高さは管全体の長さではなくて、歌口(吹き口)から管尻までの長さに関係していますので、歌口を基準にして並べてあります。
歌口から管尻までの長さはフルートと尺八が約60cm、ピッコロが約30cmで、篠笛はその中間ですね。音の高さもフルートと尺八はほぼ同じで、ピッコロはその1オクターブ上、篠笛はフルート・尺八とピッコロの中間になります。(能管は篠笛とピッコロの間くらいの音高ということになります)

管楽器の音の振動数は、管の太さなどの条件が同じならば、歌口から管尻までの長さに反比例します。
たとえばピッコロはフルート・尺八に比べて歌口〜管尻の長さが半分(0.5倍)なので、音の振動数は2倍(1÷0.5=2)になるわけです。
そして、音の振動数が2倍になると、音の高さは1オクターブ上がるのです。

ここで写っている尺八は入門用の木管ですが、一般的には竹管です。長さ太さは木管と同じですが、竹管尺八は微妙に曲がっていることが多く、個性的な外見をしています→写真

音域

それぞれの音域を図表にまとめてみました。
音の高さは違いますが、音域の広さはあまり差がありません。

篠笛・ピッコロ・尺八・フルート 音域比較図

上の図で音符の近くに「C4」「Bb7」などと書かれているのは、アメリカ式表記による実音です。コードネームではありません。「C・D・E・F・G・A・B」がフランス式表記の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」に対応し、数字が大きいほどオクターブが高いことを示します。「C4」がピアノ等の鍵盤楽器での「中央のド」に相当します。

篠笛・ピッコロの五線譜の上部に「8va」という記号が書かれているのは、「実際の音は五線譜にかかれた音より1オクターブ高い」という意味です。8va記号なしで実際の音を書くと上にはみ出してしまうので、このように記譜する慣例になっています。8va記号が省略されている場合もあります。

篠笛・尺八は、管の長さの異なるものがそれぞれ13種類以上あり、管が長いほど音の高さが低くなりますが、もっとも普及している長さのもので比較しています。フルートも管の長さが色々あるのですが、もっとも普及している「C管」を例に挙げました。

フルートの4オクターブ目(実音C#7〜F#7)の運指は、 Larry Krantzさんの ところにあります。ちなみに、そのページ下のリンクから行けるページも スゴイ情報がいっぱい載ってますよ。(ただし英語)

管の太さ・長さと音質の違い

長さの違う篠笛のところで述べたように、管が太く長いほど 音は低くなり、音色は柔らかく重厚になります(フルート、尺八)。逆に、管が細く短いほど、音は高く音色は鋭く軽くなります(ピッコロ、篠笛の九本調子以上)。

同じ旋律をそれぞれの楽器で演奏したものを聴き比べてみてください。(楽譜は「楽譜 Score」のページにあります)

downloadをクリックするとMP3で音楽が再生されます。
うまく聞けない方は、右クリックして「対象をファイルに保存」 してからお聞きください。

download フルートの演奏例 (MP3/394KB/25秒)

download 尺八(一尺八寸)の演奏例 (MP3/307KB/19秒)
注:私の専門外なので下手です。上手な方、どなたかwaveに録音して頂けませんか

download 篠笛(三本調子)の演奏例 (MP3/307KB/19秒)

download 篠笛(八本調子)の演奏例 (MP3/385KB/24秒)

download ピッコロの演奏例 (MP3/368KB/23秒)

download 篠笛(十本調子)の演奏例 (MP3/282KB/18秒)

トップページにも出ている「浜辺の歌」
フルートと篠笛の違いを聞き比べてみてください。

download 「浜辺の歌」:フルート
(MP3/1101KB/1分10秒)
download 「浜辺の歌」:篠笛八本調子
(MP3/959KB/1分1秒)

フルート、篠笛、それぞれに良さがあり
どちらが優れているというものではないのです。

まとめ

最後に、その他の特徴も含めてまとめました。
(私の偏見によるものですので、おかしいところがあればご教授願います)

【フルート】
柔らかく重厚な音色ですが、管が金属のものには金属的な響きを感じる人もいます(金属的な響きは長所でも短所でもあります)。
指で直接穴を押さえるのではなく、「ベーム式」と呼ばれる機構(キイ・システム)によって フタが押さえられる仕組みになっています。
この機構のお陰で半音が正確確実に出せ、半音を多用しても音質が変わらないのが長所です。
反面、指使いが複雑になり、音程が一定で杓子定規な演奏になりがちなのが短所です。
クラシック・ジャズ等、半音階や転調が多い音楽に向いています。
現代では非常に普及しているので、初級品なら2〜3万円で入手できます。中古市場も活発です。
管を3つに分解して収納することが出来るので、持ち運びは便利ですが、 機構が複雑なため練習前後の組み立て分解が面倒です。
金属部品がサビ、孔ふた裏側の柔らかい「タンポ」が消耗するなど手入れが難しく、 数年ごとに店に出して調整してもらう必要があります。このため維持費は高めです。
フルートは教室・先生・愛好者いずれも大変多く、仲間を見つけるのにも苦労しないでしょう。
【尺八】
太く重厚な音色です。
さらに縦に息を吹き込む歌口が独特で、唇と歌口の距離・角度の調整の幅が 横笛に比べて段違いに広く、ひとつの指使いのままで音程・音色をさまざまに変えることが出来ます。(ただし、初心者の場合は横笛よりも音を出すのが難しいです)
この音程・音色の幅の広さと、指孔を直接指で押さえるため指孔の半開も駆使して多彩な表現が行えることが長所です。
しかし、最も一般的な尺八は指孔が5個しか無いため、指孔の半開と唇の調整で半音を出す場面が非常に多く、演奏は難しくなります。半音の音程・音色・音量が不安定なので、半音階や転調が多い音楽は苦手です(指孔を増やして半音階を出しやすくした七孔〜十孔尺八というタイプもあります)。
尺八には音程・音色の調整以外にも独特の特殊奏法(わざと荒い音を出す「ムラ息」、舌を震わせてブザーのような音を出す「玉音」など)が色々あり、尺八の特色と特殊奏法を生かした独奏曲・重奏曲が「古典本曲」として多数伝わっています。
箏曲(琴)との合奏(三曲合奏)の機会が多く、明治・大正・昭和・そして現代に至るまで、新曲が続々と作られてきているので曲目・レパートリーも豊富です。
民謡にも尺八がよく用いられています。民謡尺八の場合は、唄の人の調子(声の高さ)に合わせて長短各種の尺八を使い分けるそうです。
入門用の木管尺八は2〜3万円くらいですが、本格的な竹管は真竹の根元の状態の良いものから1本ずつしか作れないため、5〜15万円程度が相場となっているようです。
管を真ん中で分割して折りたたむことができ、持ち運びは便利です。
竹が割れやすいので乾燥に気をつけなければいけませんが、手入れは内外を拭く程度で簡単です。
尺八の教室・先生・愛好者は日本各地で簡単に見つけられますが、流派が分かれています。都山流琴古流が二大流派で、楽譜も曲目も違うので注意が必要です。(どちらの流派でも、琴との合奏が盛んです。)
男性的な印象が強い楽器ではありますが、女性の割合も徐々に増えつつあります。
【篠笛】※唄用・七孔の場合
よく通る澄んだ音色です。
指孔を直接押さえるので指孔の半開が使え、歌口がフルートに比べて大きめなので、 音程と音色を調整できる幅もあります。(尺八に比べると変化の幅は狭いです)
指孔が7個なので、そのまま7音階+αが出せます。半音は指孔の半開と唇の調整が必要ですが、 尺八よりは簡単です。半音階や転調への対応は、尺八より楽でフルートよりは難しいといった 位置づけになります。音楽表現全体としても、尺八とフルートの中間に位置する楽器と考えてよさそうです。つまり、ある程度半音階に対応でき、尺八のような音程・音色変化も可能な楽器です。
篠笛は楽器全般の中でも安い部類に入ります。プラスチック製が2000円程度、竹管が1万円前後から 入手できます。最高級品でも5万円程度です。篠竹1本から篠笛が数管作れるからです。ありがたいですね。(しかし!安いからといって次々買い込むと意外に高くつきます。注意!σ(^_^;))
尺八やフルートより短くて軽いので、当然持ち運びも便利…と思いがちですが、折りたたむことが 出来ませんので、六本調子以下の長い篠笛はたいていカバンからはみ出します。
篠笛をたくさん持ち歩く人は長いカバンを工夫する必要があります。(秘訣参照)
伝統的に使われてきた音楽ジャンルは神楽・祭囃子、民謡、長唄系三味線音楽で、長唄系以外は 地域差が大きく、演奏法や笛の調律も一定せず多彩です。逆に言うと統一が取れていないので 相互の交流が困難とも言えます。
現代での継承においても地域差が大きく、一般の人にも教えるほど盛んな地域がある一方で、 後継者がいなくなったため絶えてしまう地域も多いと聞きます。
(盛んな地域が過疎地域に助言・援助する仕組みづくりが急務かもしれません)
長唄系三味線音楽における篠笛の位置づけは「お囃子」というゲスト的存在の一員であったため、 長唄の唄と三味線が庶民に普及しても「お囃子」はプロが受け持つ形が続き、「お囃子」部分の 一般への普及は進みませんでした。
従って、他の伝統音楽分野に比べると、長唄系(お囃子の笛方)の篠笛の教室・先生・愛好者は少なめです。
流派による違いは小さく、笛の持ち方・楽譜(縦書き・横書き)が違う程度です。
また、近年流行している和太鼓集団演奏で篠笛が用いられているので、和太鼓出身の篠笛の先生が 多くなってきています。和太鼓出身の先生は、五線譜を用いるなど洋楽寄りの教え方の人が多いようです。
【ピッコロ】
明るく軽快な音色です。
フルート同様の機構を持つため、半音階や転調に強いという長所、機械的でピコピコした演奏に なりがちな短所も共通しています。
クラシック(特にオーケストラ)と吹奏楽団で用いられますが、音域が高すぎることと 音色が軽いことから、それ以外のジャンルの曲目は少ないです。
(フルートの楽譜をほぼそのまま1オクターヴ上の音で吹くことはできますが、フルートの最低音C,C#は出せません)
フルート同様、普及機種は2万円程度ですが、フルートより普及率が低いので 見つけるのには苦労します。機構の手入れの手間と維持費がかかります。
分解して収納するので、大変コンパクトで持ち運びに便利です。 (ジャケットの内ポケットに入れて出勤したピッコロ奏者がいたとか…)
ピッコロの先生はフルートの先生が掛け持ちで行われたりもするようですが、 フルート全体から見るとやはり少ないので、探すのに苦労するかもしれません。

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