「音階」の基礎
音階について述べる際の基本事項をご説明致します。五線譜および洋楽(西洋音楽)
の音階(スケール)に詳しい方は、読み飛ばして下さってかまいません。
ピアノなど鍵盤楽器を思い浮かべてください。(下図)

このように白い鍵盤(白鍵)と黒い鍵盤(黒鍵)が並んでいます。黒鍵が2つ並んでいるすぐ左の白鍵が「ド」です。(黒鍵が3つ並んでいるすぐ左の白鍵は「ファ」です。黒鍵が2つか3つかで
区別できるようになっています。)
この「ド」から白鍵だけを左から右にひとつひとつ叩くと
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・(ド)」
という音階が奏でられます。おなじみの音階ですね。
最後の「ド」で元に戻りますので、
実質的な音の種類は「7音」です。これが「7音長音階」の一種で、
「ハ長調(C-major)」と呼ばれるものです。
(実際の鍵盤では、「ドレミファソラシドレミファソラシドレミ…」と、
左右に繰り返して広がっています。)

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・(ド)」の1周期を五線譜に記すと、下図のようになります。

鍵盤では右に行くほど高い音が出ます。五線譜では上のほうに音符が書かれているほど、
高い音を表しています(上図では「丸い玉」のひとつひとつが「音符」です)。
(ここでは、「音階」について説明するのに必要な知識だけを
ご説明致しますので、五線譜の読み方・書き方について詳しいことは、
洋楽器の教則本や音楽関連書籍を参考にしてください。。)
白鍵は全部使ったけれども、黒鍵はどんな意味があるんでしょう?
実は、鍵盤が白黒に色分けしてあったり、長短が付けてあるのは、
人間が弾きやすいように工夫してあるだけであって、「鍵盤楽器の中では白鍵と黒鍵は
区別されていない!」のです。鍵盤の奥のほうを見ると、幅は均等ですよね!?

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・(ド)」の「ド」から「(ド)」まで、白鍵と黒鍵を
区別せずに数えると「12鍵」横に動くことになります。そして「ド」から「(ド)」までの
「音の高さの差」を「1オクターブ(1オクターヴ)」と呼ぶのですが、その「1オクターブ」を
「12等分」したのが、「鍵盤ひとつ分横に動いたときの音の高さの差」です。
さて、改めて「ドレミ」を見てください。「ド」から「レ」に進むときは
「2鍵」右に動きますが、「ミ」から「ファ」に進むときは「1鍵」しか動きません。
「2鍵」右に動いた時の音の高さの差を「全音」、「1鍵」動いたときの音の高さの差を
「半音」と呼びます。「1全音」=「2半音」となります。(下図)

ここまでは鍵盤上で説明してきましたが、文中で説明しやすいように、文字と記号に置き換えていきましょう。
今の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・(ド)」それぞれの音(が示す鍵盤)の間隔を、
次のように書いてみます。
【ハ長調(ドレミ表記)】
ド
→全音→
レ
→全音→
ミ
→半音→
ファ
→全音→
ソ
→全音→
ラ
→全音→
シ
→半音→
(ド)
これを短縮して、
【ハ長調(ドレミ表記)】
ド
全
レ
全
ミ
半
ファ
全
ソ
全
ラ
全
シ
半
(ド)
かなりシンプルになりました。
クラシック音楽では、この音階の「主音」である
「ド」を「I」(ローマ数字の「1」)として、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・(ド)」の各音を
順番に「I・II・III・IV・V・VI・VII・(I)」と名付けます。

【7音長音階の一般表記】
I
全
II
全
III
半
IV
全
V
全
VI
全
VII
半
(I)
ポピュラー音楽でも、音階(スケール)の説明をするときは同様にローマ数字が使われます。
なぜローマ数字で書くかといいますと、音階の「主音」を変えたとき、すなわち「移調」した
ときにも、ローマ数字で表された「各音の役割・性質」は変わらないという法則を、
うまく説明できるからです。
いよいよ黒鍵も使う音階の説明に入りますので、その前に黒鍵のほうも
名前を確認しておきましょう。

黒鍵はそれぞれ2通りの名前を持っています。左の音に「#(シャープ)」をつけた名前と、
右の音に「♭(フラット)」をつけた名前です。「#」と「♭」は、どちらを使ったほうが
便利なのかを考慮して、使い分けられています。
鍵盤を少し横に広げてみます。ハ長調をもう一度取りますと

今度は「ファ」の音を主音「I」にして音階を取ってみます。

この調は「ヘ長調(F-major)」と呼ばれます。
「シ」だけ、「♭」(フラット)がついて黒鍵のほうにずれています。しかし、
全音・半音の並び方を調べると、先ほどの「ハ長調」の場合と
まったく同じであることが分かります。
白鍵・黒鍵の色と長さの違いに惑わされず、
鍵盤の奥のほうの等間隔部分をじっくり見てください。
(鍵盤楽器をお持ちの方は、実際に「ハ長調」と「ヘ長調」を弾いてみて、
響きを比べてみてください。基本の音の高さが違っても、全体としての印象は
どちらも明るい感じで似て聞こえます。)
【ヘ長調(ドレミ表記)】
ファ
全
ソ
全
ラ
半
シ♭
全
ド
全
レ
全
ミ
半
(ファ)
【7音長音階の一般表記】
I
全
II
全
III
半
IV
全
V
全
VI
全
VII
半
(I)
「ヘ長調」を五線譜に表したのが下図です。
1オクターブ上に書いた形になっていますが、ここでは
オクターブの上下は気にせず音階だけを説明しておりますので、問題ありません。

上の段では、「シ」の音符(白玉)に直接「♭」(フラット)がついていますが、
長い楽譜を書くときにいちいち「♭」をつけて回るのは面倒です。下の段のように
(ト音記号)のすぐ右で「シ」の音の高さの場所に「♭」を書いておけば、
その楽譜全体で「シ」には「♭」がついている状態が基本、という意味になります。
従って、この図の上の段と下の段は同じ音階を表しています。
このように、ト音記号のすぐ右に「♭」や「#」(シャープ)を書いておくことを「調号」と言い、
「なに調」であるかによって「♭」「#」の数が違います。
逆に、「♭」「#」の数を見れば、「なに調」なのか大体分かるようになっています。
例えば、「♭」が1個なら「ヘ長調」の可能性が高いと言えます。
(ここでは五線譜は参考程度と考えて、鍵盤に集中してください。)
次は「ソ」の音を主音「I」にしてみましょう。

これは「ト長調(G-major)」です。
「ファ」に「#」(シャープ)がついて黒鍵のほうにずれていますが、
やはり全音・半音の並び方は「ハ長調」「ヘ長調」の場合とまったく同じですね。
【ト長調(ドレミ表記)】
ソ
全
ラ
全
シ
半
ド
全
レ
全
ミ
全
ファ#
半
(ソ)
【7音長音階の一般表記】
I
全
II
全
III
半
IV
全
V
全
VI
全
VII
半
(I)
「ト長調」を五線譜に表したのが下図です。

「ヘ長調」の場合と同様、上の段と下の段は同じ音階を表しています。
「ト長調」の調号は「#」(シャープ)が1個、「ファ」についています。
では!思い切って、「ドレミ」を全部消しちゃいましょう!(笑)



いかがですか?鍵盤を動かさず、赤丸の部分だけをずらせばいいことが分かりますね!
実際、上の図は赤丸の部分をずらして作成してたりします(笑)

これで、(白鍵でも黒鍵でも)どの音を主音「I」にしても、「7音長音階」を取ることが
できるわけです。例えば、上の図では「シ♭」が主音になって黒鍵2個を使う長音階になっています。これは「変ロ長調(B♭-major)」です。
(鍵盤楽器をお持ちの方は、実際に弾いてみてください。黒鍵アレルギーが
消えると思います!)
こうやって、主音「I」をずらして音階をとることを、「移調」(いちょう)と呼びます。
「移調」を楽譜で行うと結構ヤヤこしくなるのですが、「鍵盤の奥の等間隔部分」に
「音階の基本形」を当てはめるだけなんです。これが、「鍵盤楽器の真の威力」なんですよ。
最後に、当サイトの他の資料・記事で用いております「CDEFGAB」音名表記について、ご説明しておきます。

上の図には、緑色でアルファベット記号が書かれていますね。先ほどから使ってきた
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・(ド)」は「フランス式」の音名で(イタリア式もほぼ同じ)、
アルファベットで「C・D・E・F・G・A・B・(C)」と書くのは「アメリカ式」です。
現在、ポピュラー音楽・コンピューター音楽では「アメリカ式」の音名が一般的ですので、
当サイトで「実音」(実際に鳴る音の高さ。「絶対音高」)を表記する際には
「アメリカ式」の音名に統一しております。
「ドレミなら分かるけれどもCDEはなじみがない」という方も多いとは思いますが、
他の記事では「CDE」表記で実音を示すことが多くなります。ご理解ください。
さらに申しますと、「ドレミ」のフランス式音名は「移動ド」と呼ばれる
使い方も盛んで、混乱を招きやすいのです!
「移動ド」とは、上述したローマ数字による音階の一般表記
「I・II・III・IV・V・VI・VII・(I)」の代わりに
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・(ド)」を用いることです。
「移動ド」は音階について理解しやすいのですが、「実音のドレミ」(=「固定ド」)と
間違えやすい欠点があります。
従って、実音はアメリカ式の「CDEFGAB」、
音階の一般表記はローマ数字「I・II・III・IV・V・VI・VII」を用いることにしました。
2005/09/20
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