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Q&A 1−8  安全管理

 ダイビングの安全管理について正しいもの、一つをえらんでください。

 

1.初級のCカードを持っている人に対してガイドダイバーは安全管理の責任を持つ必要はない。

2.バディシステムは、上手なダイバーと下手な初心者を組み合わせて、救助を確実なものにして実行する。

3.一人のインストラクターが引率できる初心者ダイバーの数は、6人までである。

4.潜降と浮上は、初心者ダイバーがもっとも不安定な状況である。必ずアンカーロープを伝わって潜降と浮上を行うようにする。

5.引率しているダイバーの一人が調子が悪くなった。グループから離れて直ちに基地に帰らせる。

 

解答

 

1.「初級のCカードを持っている人に対してガイドダイバーは安全管理の責任を持つ必要はない。」

 

 まちがい

 

 初級の講習は、必要にして最小限度の知識と実技を習得することになっています。自分の責任で、ダイビングを行うための必要にして最小限度です。

 日本人だけではなくて、国際的に建前と本音があるのが、この問題です。建前はCカードをすでに持っている人はすべて自己責任で、ガイドダイバーは何が起こっても依頼されたガイド責務以外には責任を持たないと言い張るでしょう。しかし,本音では、初級のCカードでは薄氷を踏むような状態です。外国のガイドダイバーは、Cカードを見せたら、何が起ころうとも、本人の責任だと思っているかもしれませんから、注意してください。特にヨーロッパ型のリゾートでは、そのような傾向が強いようです。

 ツアーで訪れる日本人を見ていると、どうもおかしいと外国でも気がつきはじめました。日本人ダイバーは、Cカードを持っていても、自分で自分の安全について責任を持つだけの技術が無く、考え方としてもガイドに全面的に依存しています。日本での一般的な考え方はこうです。「ガイド料、あるいは指導料としてお金を払っているのだから、全面的に安全管理をしてくれないと困る」 日本では、インストラクターあるいはガイドダイバーがそこにいて、指示をしていれば、指示に従うレクリェーションダイバーの事故について、指示をした側にあると考えます。このくいちがいがあるために、日本人がCカードを提示しても、ダイビング技術のチェックを受けさせられたり、あるいは器材のレンタルを断られて、講習クラスに編入させられたりすることがあります。

 はっきりさせておいた方が良いでしょう。日本では事実上、建前はどうであれ、お金を払って、ガイドダイバーにガイドや引率を依頼したら、依頼を受けたガイドダイバー、あるいはインストラクターは安全管理について責任を負わせられます。と決めても、どうも納得できないと言うインストラクターもガイドダイバーもいるはずです。

  とても微妙な問題ですが、インストラクターやガイドダイバーが安全管理の責任は持つ必要はないと言っても社会的に認められにくいのが現状です。

 

2. 「バディシステムは、上手なダイバーと下手な初心者を組み合わせて、救助を確実なものにして実行する。」

 

 まちがい

 

 もしもの時に初心者が上級者に救助してもらえるという安心感がもてるために、このような組み合わせが推奨されていました。しかし、上級者といっても全員がゴリラではありません。最近では非力な女性ダイバーで上手な人が増えてきましたし、男性でも高齢の上級者には、人を救助する体力はのぞめません。それに、もしも上級者に「もしも」が発生したら、初心者はパニック状態になり、ダブルの事故になりかねないおそれがあります。

 それではこの組み合わせのバディシステムは無力、無効果なのでしょうか。そんなことはありません。大体において、「もしも」は初心者が起こす可能性が高く、上級者の助けでことなきをえています。それは、上級者が落ち着いて、自分だけでは処理をしようとせず、他の助けを呼んで協力して処理をするからです。

初心者どうしのバディでは、もしも何かが起こったら救助しなければならないと心配のあまりパニックになってしまうこと、かえって負担になってしまうのではないでしょうか。ダイビングのバディシステムは、相手を救助する責任を負う、救助システムではないのです。何かがあったら他の助けを呼ぶための連絡網システムです。 

今の初心者のダイビングは、初心者どうしの二人が、バディだけで、沖に泳ぎ出て行くようなスタイルはとらないのが普通です。インストラクター、またはガイドダイバーなどスタッフに引率されて、何人かの初心者が編隊をつくって移動します。これをフォーメーションシステムと呼ぶこともあります。

 このフォーメーションを見ると、リーダーが先頭に立ち、引率されるメンバーがそれに続きます。そんなグループを見ていると、メンバーがしっかりとバディをつくっている人たちと、メンバーは雑然としていて、バディはつくっていないグループもあります。言うまでもなく、バディをしっかりと作っているフォーメーションが安全です。

バディシステムは、もしもの時に危急を知らせる通報連絡システムです。バディが見えなくなったら、また、もしも不自然な動きがあったならば、直ちに同行しているスタッフに知らせる。そしてグループ全体でこれに対処するのが、現在のスクーバダイビングの安全管理システムです。

 

 3.「一人のインストラクターが引率できる初心者ダイバーの数は、6人までである。 」

 

 正しい

 

 NSDAの基準でも、アメリカの基準でも、一人のインストラクターは最大限度6人まで引率できることになっています。

これは最大限度であり、これよりも多くしたら違反だという人数です。メンバーの全員が初心者中の初心者というような場合には、二人、もしくは四人までが実際の限度でしょう。6人でも、できれば一名のスタッフをアシスタントとに付けた方が安全です。一人のアシスタントを付けた場合は、最大10人まで引率可能だと、基準では定められています。

 実際のダイビングで、一人のインストラクターがバラバらの6人を見張りつづけることは不可能です。6人がしっかりとバディを組んでいて、何かがあったら、インストラクターに通報してくれる、そんな3組のバディを引率することは可能です。バディシステムが確実に実行されることが前提となって、6人までの引率が認められると考えてください。

 

 4.「潜降と浮上は、初心者ダイバーがもっとも不安定な状況である。必ずアンカーロープを伝わって潜降と浮上を行うようにする。 」

 

 まちがい

 

 潜降と浮上はダイバーにとって不安定な状況です。それは、航空機の離陸、着陸が不安定であることにたとえることができます。だから、潜降索に伝わって、潜降と浮上を行うように薦められています。潜水士の資格を規定している労働安全衛生法でも、潜水士は潜降索(潜水士のテキストでは、さがり綱と呼んでいます)を伝わって潜降と浮上を行うように定めています。

 しかし、アンカーロープと潜降索とは別のものです。レクリェーションダイビングでは、アンカーロープを潜降索として使うことが日常になっているダイビングサービスもあるために、この区別がなくなってしまっています。アンカーロープは、船を水面上で留めておくためのものです。風が吹いていても、波が強くなっても、船が動かないようにして置くためには、水深の3倍以上の長さが必要です。だから斜めに伸びています。本来潜降索とは、目的地点から垂直に立ちあがっているものでなければいけないのです。浮標と錘をつけた径が10mmほどのラインを潜降地点に入れるだけ、簡単ですから、アンカーがあっても、初心者の潜水では潜降索を省略してはいけないのです。沖合で、アンカーを入れられないような場所でも、潜降索は簡単に用意することができます。 潜降索は、後で述べる肺の気圧外傷の防止に大きな役割を果たします。

船を止めているアンカーは、風や波が強くなると、動いてしまう場合があります。また、何か緊急の事情で、船を動かさなければならない時には、アンカーを上げてしまいます。下にダイバー潜水している状態でアンカーを上げたために起こった事故もあります。

 ここで注意しておきますが、アンカーロープを潜降索の代用にすることはまちがいですが、緊急の場合には、アンカーロープを伝わって浮上した方が、索無しで自由に浮上するよりは安全度が高いと言えます。アンカーロープを潜降索の代わりにすることはまちがいですが、アンカーロープを伝わってはいけないという訳ではありません。

 

5.「引率しているダイバーの一人が調子が悪くなった。グループから離れて直ちに基地に帰らせる。 」

 

 まちがい

 

 一人だけ空気が無くなったら、一人で基地にもどらせる。一人が耳抜きができなかったので、そのまま岸に戻らせる。このパターンで幾度事故が起こったことでしょうか。おそらく、毎年1件はこの形の事故が起こっているはずです。

 初心者のグループでは、なにかがあったら全員が一緒に戻らなければいけないのです。 

 

 正しいのは3.です。