鮫に浪曲を聞かせにご一緒していただいた国本武春師匠が最近新聞を賑わせています。
朝日新聞の「ひと」欄
「この人の舞台には声と言葉と音楽が織りなす豊かな世界にどっぷりひたる心地よさがある。三味線を自在に弾きこなして歌うのはロックにバラード、語り、せりふも交えた演目「ザ忠臣蔵」「巌流島歌絵巻」などは浪曲の伝統芸がしっかり生きている。笑いを誘いつつ観客も一緒にうならせる破天荒な演出。一層の進化を求め、12日、一年間の米国留学に旅立つ。]
私は浪曲フアンのつもりでいたのですが、武春師匠のことを知リませんでした。だから、一緒に旅に出て、浪曲を若い人たちが聞かないのを残念だ。新しい演出の新しい浪曲をやる人がでてこないと駄目だとか、他の音楽とのクロスオーバーが必要であるとか、師匠がすでにやっていることを生意気にもいいたいほうだい話しました。「うん、うん、そうですね、私もがんばっているのですが」と師匠は黙って受けてくれました。そして、帰ってから師匠のホームページを見て、びっくり、私が話したことそのものが出ていました。 鮫を撮影中、鮫に浪曲を聞かせている語りが、水中のスピーカーから聞こえてきます。おかしくて笑い転げてしまいました。鮫の反応は今一でしたが、日本語のわかるダイバーは踊りだします。「お里、鮫じゃ、鮫が来たのじゃ。」壷坂霊験記の一節をアレンジして即興で鮫に語りかけます。本当に大変な才能です。
1年後、必ずステージを見に行こうと心に誓っています。
トラック島で、なんとか水中に引き込もうとしたのですが、強硬に拒否されました。泳げないのかな?
鮫に浪曲を聞かせる。
サメを水中で見ると言うこと、究極のフィッシュウオッチングです。
もちろん撮影の対象としてもすばらしいものです。ネームバリューもありますし、そのフォルムも美しいものです。
人を襲う、というか食べるサメは、グレートホワイトシャーク(ホオジロザメ)、タイガーシャーク(いたちざめ)、ブルシャーク(オオメジロザメ)の三種といわれています。この三種を含めて、すべてのサメを見て、そして撮影したいと思っています。私の相棒の小久保博士(若い天文学者で、もうじき東大の助教授になります)はチョウチョウウオの全種類をみたいというターゲットをようやく達成しましたが、私はサメを全部見たいと思っています。
ブルシャークは、沖縄の「美しい海」水族館で繁殖までしていますし、数年前に宮古島で二人もこのサメに食い殺されたのですが、ブルシャークだけは、まだ水中で見ていません。
これらのことは、いずれまとめて本にしたいと思っているのですが、何時のことになるかわかりません。もしかしたら実現しないで終わってしまうかもしれません。今書いているおよそ500pの日本のスクーバダイビングのはじまりから今までのことを書こうとしている本が、まだ50pしか進んでいません。その後です。
とにかく、サメを追っています。太平洋最大のラグーンであるトラック環礁は、日本の誇った高速輸送船団の墓場として有名です。これも私の追っていたテーマで、トラック島のほとんどすべての沈船を潜り、撮影しています。ここにいるサメともお付き合いがあり、サメの立体映像をここで撮ったときにお世話になった、日本人のダイビングサービスの末永さんにシャークショーのやり方を教えたことがあります。
大きな水槽にドチザメを入れて、様々な音楽を聞かせる。だれがこんなことを考え付いたのか知りませんが、すごい考えです。水中マイクを入れて、オペラのアリアを聞かせてもサメは、反応しません。ところが演歌を聞かせると突然、もがくというか、踊りだすのです。このことは「所さんの目が点」という番組で放送されました。グレートホワイトシャークの番組をやろうと組んでいた(未だ実現しませんが)ディレクターの鵜飼さん(CRネクサス)が、これを自然の海でやらないかともちかけてきました。もちろんやりたい。演歌よりも浪曲だろう。紆余曲折があり、アンプとスピーカーの一体型を水中に持っていって聞かせれば多分踊るだろう。スピーカーを開発し持っているのは上谷成樹さんです。この人は、現在水中カラオケシステムの製作に凝っており、超サイエンティストの神奈川大学の関教授がこれにかかわっているというすごい話がありますが、これは置いておき、上谷さんからスピーカーを借り、浪曲師の国本武春師匠とともにトラック島に向かいます。
シャークショーは、この5年間休止していますので、サメが集まるかどうか心配です。しかし、末永は、現地サービスの常として、「大丈夫」と言い切ります。リンク:末永
波の無いはずのトラック環礁は、風が強く、波高く、国本師匠と日本テレビの小野寺アナウンサー(美人)は、頭から足の先まで、波をかぶり、瀕死の状態でシャークアイランドに到着しました。
なんとか器材をセットして、「旅行けばートラック島に潮の香りーー」師匠は船上でうなり、私はスピーカーを持ってサメを追い回します。集まったのは、主にカマストガリザメで、一般には、ツマジロなどといっしょにリーフシャークとしてくくられています。2mから3mはありますから結構な迫力です。
サメが浪曲に喜んで寄ってきてくれるということはありませんでした。
テレビです。なんとしてでもサメを踊らせなければ終わらないのです。
最後の手段として、スピーカーの周りに餌をまいてサメを集めることにしました。これにより、サメが餌に喜んでいるのか、浪曲に喜んでいるのかわからなくなりました。サメはスピーカーを持つ私の足元になんども体当たりをしてきましたので、映像的には迫力がありました。
もう一つの手段として、網を張り巡らせて、この中にサメをいれて浪曲を聞かせるという方法があります。しかし、これはとても危険です。網に囲まれたサメは狂乱状態になり何でも噛み付いて来ます。むかし、コーネルワイルドというハリウッドの活劇スターが監督した「シャーク」という映画がありました。そのオープニングシーンで、広い範囲を網で囲った中で、メジロザメの類に人がかみ殺されるシーンがありました。この種類はマンイーターではないサメなのです。これは本当にアシスタントが殺されたので、カメラマンは、これを撮りつづけ、囲っている網が写っているので、映画の中では使えないので、タイトルに使ったものでした。
サメが浪曲の周波数に感応することは、学術的にあり得るそうです。
