減災教育>兵庫県立芦屋高校における阪神淡路大震災後の防災教育とインターネットによる発信
要旨
兵庫県立芦屋高等学校では、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震によって大きな被害を受けた。1996年より地学1Bの授業で震災を取り上げ、課題研究として震災復興の調査と地域の映像の記録などを毎年実施している。そして生徒の作品を1996年9月よりホームページ(http://www.sanynet.ne.jp/~ken-ashi/)で発信をしている。2000年2月現在、都合5個学年にわたって計280名の生徒の作品をホームページで発信している。
We suffered serious damage by the Great Hanshin Earthquake wchich occured on January 17, 1995 in Ashiya Upper Secondary School. Students have beenn studiing about the earthquake and the disaster since 1996 in the class of the Earth science. We opned the web site and shown the student's works .You can see 280 works on web seit in February, 2000. (http://www.sanynet.ne.jp/~ken-ashi/)
実践の成果と課題
1996年より4年間にわたって地学檻の授業で震災を取り上げた。1学期に地球の構造から地震・火山について学習し、夏季休業中に震災体験と地域復興などに関する課題研究に生徒は取り組む。2学期には課題研究を入力しサイトで発表する。冬期休業中には地域の映像記録を残す課題研究に取り込み、3学期にサイトで発表することを続けている。
1997年度末に地学選択生(78名)にアンケートを取ったところ、
◎地震の学習や震災に関するレポートを書いてよかった 80%
◎学習して震災を思い出し嫌だった 7%
◎その他 12%
という結果を得た。
震災に関する学習をして「関西に地震はない」というような迷信が再び流布しないように生徒は地震発生のメカニズムを知ることができた。また2030年ごろ発生すると予想されている南海トラフ地震にむけて、生徒が災害文化の伝承の中心となることを期待している。正しい防災行動は正しい知識から行われるものであり、そのためには自然現象のしくみを学習する機会が欠かせない。高等学校における地学教育の衰退が懸念されているが、生きる力を育み、地域の自然災害とそれに対する長期的な備えを考える際に地学はなくてはならない教科である。
インターネットを使った発信によって予想以上の大きな反響を得た。2000年2月現在、全国より200通を越える感想や激励の電子メールを受信している。感想を寄せたのは本校関係者だけでなく小学生から地震・防災の研究者まで多岐に渡っている。「高校生が震災を発信する」ことが学校という枠を越えた多くの分野から注目された証拠である。学校関係では小野市立小野中学校、滋賀県立東大津高校、調布市立第2小学校、東京都立向丘高校などで、ホームページを理科や防災の授業に使って生徒の感想を送っていただいた。特に電子メールを使って調布市立第2小学校の児童が震災について質問をし、本校生がそれに答えるという試みは好評であった。
震災の記録を残す試みは、理科の授業では、生徒は目的をよく理解してくれて震災体験や復興の過程を記録・発信することに前向きであった。しかし1997年度に第1、第2学年生徒全員に作文を課題としたが、授業での取り組みと比べ、このような課題を出さないでほしいという生徒の意見が強く、提出率は悪かった。震災後2年半が過ぎても生徒のこころの傷(PTSD)は想像以上に深いことがわかる。
今後の取り組み
1999年3月末に、情報処理教室にサーバーとクライアント(40台)及び専用線が導入された。ホームページ作成ソフトやスキャナ、デジタルカメラなども備えられている。
震災より5年をすぎた現在でも、生徒は当時のことを昨日のことのように鮮明に記憶している。これからも生徒の年齢に応じた震災の記録と復興の過程の発信を行っていきたい。