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課題研究に必要なコンピュータのスキルは何か

数越達也 (兵庫県立須磨友が丘高等学校)
2004年兵庫県放送・視聴覚教育研究大会にて発表


1.はじめに
 兵庫県立須磨友が丘高等学校(単位制総合学科)では平成14年度入学生(旧課程)は1年次「産業社会と人間」、2年次「情報基礎」、3年次生徒の「課題研究」の授業において、基礎的なコンピュータの実習を行なっている。筆者は校内の担当として授業案を作成しまた授業を行なってきた。数越(2004)では主にプレゼンテーションの指導について述べた。(1)本提案では、視聴覚・放送教育の立場から課題研究を行なうために必要な情報教育について報告する。

2.総合学科の目標
 本校では総合学科の理念として「自己理解・他者理解」、「学問理解・職業理解」、「グループにおいて共同作業」の3つを掲げている。同時に「コンピュータと情報機器の活用能力の育成」を目標にあげている。「産業社会と人間」および「情報基礎」の授業では理念に沿って様々な活動が行われているが、本稿では「コンピュータと情報機器の活用能力の育成」の部分について述べる。
 3年次にて履修する「課題研究」の実施を念頭に置き、「産業社会と人間」では、日本語入力と文書の作成、インターネットを使った情報検索、プレゼンテーションスライドの制作と口頭発表を行などについて学習している。(2)
「情報基礎」では、1年次の授業をさらに進めて、Word、Excel、デジタルカメラの操作、個人情報の保護と著作権についてなどを学習した。これらの授業は「課題研究」のテーマ設定、オープンキャンパスの参加報告書の作成、マレーシア研究論文とプレゼンテーション作成などの授業を通じて、生徒がコンピュータのスキルを修得していくように設定をした。年間指導計画を表1に示す。

3.原則履修科目について
 「産業社会と人間」、「情報基礎」、「課題研究」は総合学科の原則履修科目でありそれぞれ2単位である。(平成14年度入学生の旧課程まで)1年次および2年次では、週1時間はクラス単独授業で情報教室を使用できるようにし、もう1時間は学年全体が同時に授業を行ない、講演会やクラスを横断したテーマ別の指導などを行えるように時間割を組んだ。また担任と副担任の2名でのチーム・ティーチングで授業を行なった。

4.授業内容
 「課題研究」においては各生徒がテーマを設定して1年間研究を行ない論文(作品)とプレゼンテーションにまとめる。その準備として、2年次前期にはコンピュータ実習と課題研究のテーマ設定のための情報収集などを行なった。後期には、オープンキャンパスの報告書の作成、研修旅行の事前学習としてのマレーシア研究と旅行の報告書作成などを行なった。
・Microsoft Wordを使った文書の作成
日本語入力のし方、ファイルの保存、名前の付け方などは1年次で学習した。2年次ではさらに、文書に画像を挿入する方法やMicrosoft Excelの図表を挿入する方法などを学習した。
 1年次で日本語入力はほとんどの生徒ができるようになった。これは小中学校での実習の時間を経験していることや、コンピュータが家庭に普及しているためであると思われる。
・Microsoft Excelをつかった表計算とグラフの作成
基本的な表計算の仕方やアンケート処理の方法、データをグラフ化する方法名などを学習した。Microsoft Excelを使用したことがある生徒は少なく、このような表計算ソフトを使用するとどんな利点があるかを重点的に学習した。
・画像処理
デジタルカメラを使って撮影した画像を画像処理ソフトVIXを使って、サイズを変更する、回転させる、色数を変える、画像の形式を変更するなどの操作方法を学習した。特にMicrosoft WordやMicrosoft PowerPointなどに画像を挿入する際にデータの容量が極端に大きくならないように画像を処理させることが重要である。
・著作権について
書籍やウェブサイトを引用資料とした際に、どのような著作権処理を行なえばよいのか、参考資料などをどのように明記すればよいのか学習した。
・プレゼンテーション
Microsoft PowerPointをつかって調査報告をどのようにプレゼンテーションにまとめるかを学習した。1年次よりプレゼンテーションを制作しているが、必用以上にスライドに文字を表示しない、アニメーションを多用しない、見やすい、理解しやすい配置や配色などに重点をおいて授業を行なった。
夏休みに参加したオープンキャンパスの報告、マレーシア研究の報告、研修旅行の報告などはクラス内で全員にプレゼンテーションをさせ、生徒が相互評価をして、見やすい・聞きやすいプレゼンテーションとはどのようなものかを学習した。

5.課題と反省
 2年次では「情報を収集する、情報を加工する、情報をまとめる」という3点を授業の目標として行なった。生徒はすぐにソフトウェアの使い方に習熟して、Wordによる文書やPowerPointによるプレゼンテーションなどを制作できるようになる。しかし、その内容となる情報の信頼性を判断することや、情報の引用についてはまだまだ学習するべき点は多い。
 情報の引用については、文書の中では引用箇所を読んでわかるようにすること、引用元を明記することを繰り返し指導したが、インターネットよりコピーしてきた文書を少し書き直してあたかも自分の文章のようにして報告書を制作する生徒が見受けられた。指導する教師が、文章や内容をよく点検し、不審な作品は引用元を確認するなどの措置が必要である。
 マレーシア研修旅行から帰国後の報告書の制作に際しては、教師や生徒が撮影した写真を共
有フォルダに置き、それ以外の写真は使わないように指導した。
 情報の信頼性については「産業社会と人間」の授業でディベートを行い、インターネットをつかって議論の根拠となる資料収集をさせた。その際にウェブサイトの信頼性を見る目がある程度養われたと思う。
 このような指導の結果、平成16年2月第2回総合学科発表会、平成16年11月課題研究報告会などにおいてプレゼンテーションがなされた。
 3年間を通して授業を担当して、情報教育においてもコンピュータを使うスキルよりコンテンツが重視される時代に入ったということを実感した。家庭でのコンピュータやインターネットの普及が80%を超える時代になり、コンピュータを使うということは特別な技能ではなくなった。「情報を収集する、情報を加工する」という技能は、学校で授業をする必要がなくなる日は近い。今後は「情報をまとめる」ことに授業の主眼がおかれ、我々教師にとってもそのような能力が必要とされるだろう。
生徒にとっては「課題研究」を各自が行うという目標に向かってスキルを習得することは理解しやすいことであり、教師にとっても授業を実施しやすかった。
ただこれらの内容を2単位で実施することは時間的にかなり窮屈であり、放課後に作業をさせる機会が多かった。平成16年度からは新課程になり2年次では「総合的な学習」を1単位で実施している。プレゼンテーションを相互評価させた場合には、その後指摘された箇所を修正する授業を行えばさらに理解が深まったであろうと思う。
 


(1)「総合学科におけるプレゼンテーション指導について」 数越達也 兵庫県高等学校教育研究会視聴覚部会会報(2004)
(2)平成14年度年間授業計画
http://www.hyogo-c.ed.jp/~tomogaokahs/sansha/sansha2002.html
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