『低圧モータ回路の保護協調』
低圧モータ回路の保護協調についてはあまり考えた事はなかった。過負荷は熱動継電器(THR・サーマルリレー)、短絡は過電流遮断器(配線用遮断器・MCCBまたはELCB)が受持つと相場が決まっているのでそんなもんやと言う考え方であった。高圧受変電設備の場合は配電用変電所のOCR、DGRとの協調を考え、かつ、低圧側のMCCBとの協調を考えて数十年前にはよく協調曲線を描いて確認したものであった。
たまたま今回、低圧モータ回路のこれを描いてみる機会があったので描いて見た。結論からいえば100%と言っていいほど完全に協調が取れない事が判った。どう言うこっちゃ?。電気設備の技術基準(電技)の解説には絵に描いたような下図の協調曲線が載っている(^・^)。

AとBの組合せであれば問題はないのだがほとんどの場合AとCの組合せ(各メーカーの資料、公共建築設備標準仕様書など)となるので、ある電流域では協調が取れないところがありその場合は電磁接触器(MC)の接点の溶着や熱動継電器の焼損となる。
下図は富士電機の資料である。これは電技の図にモータと電線の熱特性を加えたものである。配線用遮断器の他に限流ヒューズを使用した場合を載せている。

書きなぐりであるが2AのTHR−10AのMCCB組合わせと15AのTHR−30AのMCCBの組合わせの動作特性を描いたものである。見れば分る通り交点がないので協調が取れない領域が生じる。特性は最小と最大の動作範囲を持たせて作成。

規格を調べてみると次のようである。短絡保護装置(MCCB)によりMC+THRを完全に保護する場合、想定される短絡電流は回路条件によりさまざまな値を取り、これを完全に保護する事は現実性、経済性に欠けるため、一般的には短絡事故があった場合にはMC+THRの交換または補修を前提としているようである。
この為、IEC、JIS規格では上記を踏まえ、保護の度合いを「タイプ1」と「タイプ2」に分けている。
「タイプ1」:MCおよびTHRの損傷は認められる。点検時に部分的あるいは全体的な交換を必要とする。MCCBを使用した場合がこれに当り完璧な保護は出来ない。
「タイプ2」:接点の軽い溶着を除く、いかなる損傷も無い事。THRの特性も規格値を満足している事。そして、交換することなく引き続き使用が可能な事。限流ヒューズを使用した場合がこれに当り完璧な保護は出来るが短絡事故の場合はヒューズの交換が必要となる。
概略このような事であり、一般的にはタイプ1のみと言っても過言でない。タイプ2の場合でも限流ヒューズのほかに断路と言うことを考えればMCCBも直列に入れたほうがメンテナンスがしやすい。電気屋を長い事やっているが電磁開閉器(MC+THR)の過負荷はあっても短絡事故の頻度は極めて少ないので実用的にはタイプ1でもOKと言う事が言え協調が取れないのは当たり前と言うことになる。
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