合唱劇 注文の多い料理店
2001年 合唱団じゃがいも第6回委嘱作品 作曲:萩 京子 原作:宮沢賢治
初演:2001.11.10山形テルサホール(第28回定期演奏会)

合唱劇 注文の多い料理店
(委嘱初演)
テキスト 宮澤 賢治
音 楽 萩 京子
指 揮 鈴木 義孝
演 出 山元 清多
照 明 安達 俊章
アコーディオン 佐藤 芳明
パーカッション 萩京子 郷津由紀子子
題材さがしのたびはまたまた賢治に行き着いた・・・。萩京子
合唱団じゃがいもから作曲者への注文事項は、それほど多いわけではない。「早く書き上げる」ことと、「おとなとこどもが一緒に参加できて楽しめる合唱劇」であることの二点だけ、と言ってもいいくらいだ。五月の連休のころに行われる合宿に作品ができあがっていることがどれほど望まれているか、充分にわかっているのだが、今回も二年越しで考えているにもかかわらず、題材が決められないまま、六月を迎えてしまった。
賢治作品を続けてやってきているので、まずどうしても、賢治でいくか、賢治以外でいくか、と考えてしまう。賢治でいくなら、少なくても前回の『どんぐりと山猫』よりおもしろくしなくてはいけないと思うと、なかなかやっかいである。
そこで、そろそろ賢治から離れても良いころだと思い、題材を賢治以外の作品に求め、さまよい続けた。しかしどうしても、これでいける!と思えるものに出会えなかった。おとなとこどもに同時に楽しませ、包み込む懐の深さ、歌われることばとしての重みと軽み、このバランスの良さは、今のところ賢治以外で見つけようとしても見つけられなかったのである。
六月下旬を迎えて、待ったなしのところまで来て、賢治にもどった。
賢治さん、浮気をしようとした私が悪うございました。
『注文の多い料理店』を持ち出したのは、もう奥の手という感じである。実は1985年に黒テントの『宮澤賢治第弐旅行記』のなかで、『注文−』を歌付きのお芝居にした。レストランの扉に書かれた文字や、ふたりの男の会話を唐突に歌うことによって、「オペラ」なるものを冷やかしてやろう、というような気分で作ったものである。(演出は加藤直さんだった。)残されている6枚の楽譜には、伴奏もなにもなく、へんてこなメロディーが24ピース。それらのメロディーを合唱劇のなかで再び目覚めさせてやることにした。
16年前に書いた自分の「音」を道しるべに作曲するという作業はとても楽しかった。書き上げてみると、勢いに乗った「音」たちが楽しそうに並んでいる。こんなに楽しく作曲ができたことはほんとうにめずらしい。楽しさついでに、本番で打楽器まで叩くことになった。
今回、オペラの台本作者として、演出家として、最高の信頼をよせている山元清多さんに演出をお引き受けいただくことができ、たいへんうれしい。また、佐藤芳明さんにアコーディオンの演奏をお引き受けいただけたことも幸運だった。ジャンルを越えて活躍する佐藤さんの演奏はとても柔軟、かつドラマチックで、歌を支え励ましてもくれる。
吉川和夫作曲の『虔十公園林』との2本立てという本日のプログラムは、賢治好きをうならせもするだろうし、賢治とはじめて出会う人も、賢治の幅の広さに驚嘆するだろう。私も稽古に立ち会っていて、ますます賢治に興味をもってしまうのだった。
自分でもあきれるほど。(第28回定期演奏会プログラムより)

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