親じゃが子じゃが
プロデューサー 松木 鉦祐
(2002年4月6日読売新聞山形県版)

 県民芸術祭の表彰式が先月24日、県民会館でのトップコンサートの席上行われ、晴れの大賞には、「合唱団じゃがいも第28回定期演奏会」(団長森谷文一)が選ばれた。
 受賞理由は合唱演奏会の域を越え、合唱劇やオペレッタにも取り組み、高いレベルの演奏を行った。また、聴衆と『合唱音楽の楽しさ』を共有したいという団の基本姿勢を高く評価したというもの。私自身もこの受賞を我がことのように喜んだ。
 合唱団じゃがいもは県内の音楽界では非常にユニークな活動をしており、指揮者の鈴木義孝さんの音楽に対する思想も面白い。
 その一つに団の構成がある。大人の団員を親じゃがと呼び、その子供たちを集めて子じゃがと呼んで団のなかに親と子の合同合唱団を作っていることである。
 この効果が出ている。一般に合唱団が長続きすると、若者だった団員も何時かは中年になり仕事が忙しくなり退団してしまう。また、若いお母さんが子供を産むとやめてしまう。これをなんとか防ごうと考えだされたのが親じゃが子じゃがの合唱団である。
 今の子供たちは遊び場がない。そこで友達を求めて合唱団に遊びにくる。当然、年齢はばらついてくる。これがまた魅力らしい。せっせと練習にやって来る。ある程度、年長者になると親じゃがの組に入れ合唱団の若返りを図る。子供が一生懸命通ってくると親も付いてこざるをえない。そこで子供に付き合って親も頑張るといった図式が出来上がってくるらしい。このため合唱団のレパートリーは子供たちにも喜ばれる動きのあるものが多くなる。これが合唱劇やオペレッタにつながりユニークな合唱団の誕生となったわけである。
 ところが指揮者の鈴木義孝さんに思いがけない問題がぶちあたった。世界中を見渡しても大人と子供が一緒になって楽しく合唱できる曲がほとんど見当たらないのである。悩み抜いた鈴木さんは知り合いになった作曲家の林光さんに相談を持ちかけた。
 この話を聞いた林さんは、鈴木さんが思っている以上に興味を示し即座に作曲を承諾した。
 これが合唱劇である。その後、作曲家の萩京子さん、吉川和夫さん、演出家の加藤直さん、伊藤明子さん、山元清多さんと知り合い、舞台がふくらんでいった。
 とにかく合唱劇は面白い。ストーリーに沿って合唱ありソロありで合唱の魅力と同時にそのやり取りの面白さにも引きつけられる。この合唱団じゃがいもの合唱劇は全国的に評価され注目されてきている。山形発のこの試みが全国に広まるのも、もはや夢ではない。

 


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