合唱劇 どんぐりと山猫
1999年 合唱団じゃがいも第4回委嘱作品 作曲:萩 京子 原作:宮沢賢治
初演:1999.11.13山形市民会館大ホール(第26回定期演奏会)


合唱劇 どんぐりと山猫
(委嘱初演)
テキスト 宮澤 賢治
音 楽 萩 京子
指 揮 鈴木 義孝
演 出 加藤 直・伊藤 明子
照 明 安達 俊章
ピアノ 郷津由紀子
マリンバ 平下 和生
登場人物は、一郎、山猫、馬車別当、そしてどんぐりたち。一郎のところに「山ねこ拝」というはがきが来たのは、ある土曜日の夕方。うれしくて、うちじゅうとんだりはねたりする一郎。次の日、つまりある日曜日の夢のようなできごとが、「どんぐりと山猫」のものがたりです。作曲しながら、あらためて、なんとおもしろくて、へんてこりんで、美しいものがたりだろう、と思いました。ピアノとマリンバ(木琴)がものがたりを支えます。(萩京子)


金田一郎(伊藤由美) 山猫(多田敏之) 馬車別当(森谷文一)
山猫と書いたおかしな葉書が来たので、こどもが山の風の中へ出かけて行くはなし。
必ず比較をされなければならないいまの学童たちの内奥からの反響です。
(童話集「注文の多い料理店」初版本広告チラシより)


山猫裁判長の裁判は、どんぐりたちの「私が一番!」の言い争いで大混乱に

じゃがいもとどんぐり 萩 京子
’95年の「よだかの星」、’97年の「黄いろのトマト」にひき続き、じゃがいものみなさんと賢治の作品をつくることになった。今回はなんと2本立てである。オペラとして作曲された「猫の事務所」と、今日のコンサートのために書き下ろされた「どんぐりと山猫」。
「猫の事務所」の猫たちを演ずるじゃがいものメンバーのキャラクターの豊かさに、作曲者はおおいに楽しませてもらっている。彼らはもうオペラの楽しみの秘密の小箱に、片足をつっこんでしまったに違いない。
「どんぐりと山猫」は、合唱劇というスタイルを生かすことができた。三日やったらやめられない合唱劇なるものにこだわり、かつ、宮沢賢治にもこだわってきた、じゃがいもとどんぐりの出会い。どんぐりを乗せた馬車が走り出した時、私はなんだかうれしくなってしまった。

じゃがいもの出会い 伊藤 明子
「じゃがいもだって?」北海道生まれのジャガイモは目を丸くして驚いて、「へっ、じゃがいもは北海道が本場だい!」と思ったのでした。
そしてある日、北海道のジャガイモは山形のじゃがいもに会いに出かけました。
山形のじゃがいもは何気なく素朴な風をしていますけれども、近くに寄ってみますと、色の濃いもの、薄いもの、風変わりな渋みのあるもの(どんな味の芋だ?)、ダンスの得意なモダンなもの、最新鋭の兵器(例えば、折り畳み式携帯譜面台)を使いこなしている新じゃが、元気な(時折元気すぎる)子じゃが達がいたりと、あなどれないじゃがいもでした。
「くやしいけれど、なかなかどうして、たいしたじゃがいも達だ」などと生意気に、北海道ジャガイモは大変感服したのでした。
私は今回が、じゃがいもの皆さんとの初めての出会いです。
稽古を重ねながら、いも洗いを思い浮かべました。「芋を洗うような」というと、混雑していることを言いますが、ここで私が思い描いたのは勿論そのことではありません。大きな樽に水を一杯に張って、その中にどどっとじゃがいもを一杯に入れて、棒で無造作にかます(北海道ではかき回すことをかますと言う)と、じゃがいもは水の中で他のじゃがいもと触れ合いながら、時にあまり激しくぶつかって外に飛び出してしまうこともありますが、次第に土がとれて、きらきらした元気な表皮を現し、実にきれいになります。
そのような、素朴で優しく、のどかで且つとても有効な作業のことを思い描きました。
数々の作品を通して、いつも自然で健康的にぴかぴかしている合唱団じゃがいもは、これからもまだまだ色々な顔をみせてくれそうです。
今回も萩さんの楽しい曲が、じゃがいも達のたくさんの表情をひきだしてくれたのではないでしょうか。

→ テキスト・どんぐりと山猫