冬季Paralympic ノルディックスキー競技解説(概略)

 
冬季パラリンピックのノルディックスキーで行われる競技には、クロスカントリースキー競技とバイアスロン競技があります。

クロスカントリースキー競技

 クロスカントリースキーとは「雪原のマラソン」とも呼ばれ、専用のスキー板とストックを使って滑走し、タイムを競う。上り・下り・平地が、それぞれ約3分の1の割合になっているコースを走る。そのため、全身の持久力や筋力、スキー板の操作技能の高いレベルが要求される競技である。また、陸上のマラソンのように一斉に同時スタートではなく、時間差(通常30秒の間隔を開けた)スタートがおこなわれる。リレーなど種目によっては同時スタートの場合もあります。



種目と距離

 
パラリンピックのクロスカントリースキー競技には4種目があります。
  個人種目のショート、ミドル、ロングと呼んでいる短距離走、中距離走、長距離走の3種目(下記)と、団体種目のリレーが1種目である。

  また、男子女子に、それぞれ立位(立った姿勢)、座位(座った姿勢)の競技がある。

 

競技者クラス 短距離 中距離 長距離
男子 立位 5km 10km 20km
座位 5km 10km 15km
女子 立位 5km 10km 15km
座位 2.5km 5km 10km



クラシカル競技(CL)とフリー競技(FT)

 

 クロスカントリースキーには、クラシカル競技とフリー競技という2つの競技がある。◇ クラシカル競技とは、伝統的なクラシカル走法を用いておこない、スケーティング走法 をおこなうことはできない(走法違反となり失格)。

  フリー競技とは、クラシカル走法でも、スケーティング走法でも良く、自由に滑ることができる。



 

クラシカル走法とスケーティング走法

クラシカル走法

 スキーを平行に交互にキックして進むダイナゴル滑走や、2本のストックで押して進む 推進滑走などで、雪面にある2本のシュプール(レール)上を滑走する走法。

スケーティング走法

 スキー板を逆ハの字に開き、片方のスキーでサイドキックし、他方のスキー板を滑らせ るという(スケートのように板を斜めに滑らせる)動作繰り返しながら滑走する走法。

立位と座位


立位は、スタンディングともいい、立ってスキー板をつける体勢で競技を行う。
  座位は、「シットスキー」というスキーの上に座る部分がついているスキー用具を用い、 座った体勢で競技を行う。

 

障害クラスとメダルカテゴリ

 

ノルディック競技では3クラス制(メダルカテゴリ)を採用している。
  腕・脚・体幹など肢体に障害のある選手をLWクラスとし、さらに、その中で、立位を「スタンディング」クラス、座位を「シットスキー」クラスと分けている。

 視覚に障害のある選手はBクラス、「ブラインド」クラスとして統一されている。 つまり「シットスキー」「スタンディング」「ブラインド」の3クラスでメダルを競う。 表記上では、「SITSKI」「STANDING」「VISUARY IMPAIRED」とされる。



2005−2006シーズン %
2005-2006.pdf 

IPCクラスわけ基準
class.pdf



トリノでのクロスカントリースキーの個人競技種目

 上記の、距離、走法、男・女、立位・座位、メダルカテゴリを組み合わせて、大会毎の競技種目が決定する。冬季パラリンピックトリノ大会では、下記の競技種目が行われる。

競技者クラス 短距離Short 中距離Middle 長距離Long
男子 スタンディング (立位) 5kmフリー 10kmクラシカル 20kmクラシカル
ブラインド (立位) 5kmフリー 10kmクラシカル 20kmクラシカル
シットスキー (座位) 5km 10km 15km
女子 スタンディング (立位) 5kmフリー 10kmクラシカル 15kmクラシカル
ブラインド (立位) 5kmフリー 10kmクラシカル 15kmクラシカル
シットスキー (座位) 2.5km 5km 10km


                                           

  


リレー種目

 リレー種目は、いろいろな障害をもつ選手が一緒になって、それぞれの国ごとのチームをつくり、タイムを競う。男子・女子とも3人のメンバーを1チームにして行う。

 男子は障害の程度を平等にするために、3人の係数(パーセンテージ)を合計288%までとしている。女子は、障害の重いクラス(B1LW5/7、シットスキー)のメンバーを必ず1名入れることになっている。

 男子は1走目はシットスキー(3.5km)2走目はクラシカル(5.0km)3走目はフリー走法(5.0km)の、計13.5kmでタイムを競う。女子は、各2.5kmを走り、1走クラシカル、2走クラシカル、3走フリーで、計7.5kmでタイムを競う。

 リレーは一斉同時スタートとなるので勝敗はリアルタイムで、先にゴールしたものが勝ちとなる。

 

バイアスロン競技


クロスカントリースキーと射撃を組み合わせた競技で、スキーの速さと射撃の正確さを競い順位を決める。
トリノでは、ロング(長距離:12.5km)と、ショート(短距離:7.5km)の、2種目がおこなわれる。どちらの種目も、2.5kmコースを1周として行われ、1周走るごとに射場に入り、射撃をする。1回の射撃(シューティング)では、5発の弾を撃つ。

 具体的には、次のような組み合わせの流れになる。

@ロング12.5km(トリノで初めておこなわれる種目)

 2.5km→射撃5発→2.5km→射撃5発→2.5km→射撃5発→2.5km→射撃5発→2.5km

Aショート7.5km(今までおこなわれていた種目)

  2.5km→射撃5発→2.5km→射撃5発→2.5km

 順位はタイムで決める。

 2.5km周回を走ったタイム@に、射撃のミスをペナルティタイムAとして加算し、競技全体のタイム(タイム@+タイムA)を出し、合計タイムが速いものを上位とする。

 射撃のミスをペナルティとしてタイムへ影響させる方法は、ロングとショートでは違う方法となる。
 @ロング:射撃ミス1発を1分のペナルティタイムとする。つまり、4回の射撃で合計20発の弾を撃つので、全部ミスすれば20分のペナルティタイムが加算されることになる。つまり、走りの速さだけで勝つことは難しくなる。
Aショート:射撃ミス1発ごとに、決められたペナルティコースを走る。具体的には、射場の横に1周150mのループが設置されていて、そこをミスした数だけ周回する。つまり、1回の射撃で5発全部ミスした場合は、150m×5周 =750mを余分に走ることになり、その時間がペナルティタイムとなる。

射撃の方法

◇スタンディングとシットスキークラスの選手は、1.5cmの的を10m離れたところから伏 せ撃ちで狙う。エアガン(空気銃)を使い、実際に実弾が出る。以前は的の大きさは2.5cm だったが、レベルの高い競技にするために、1.5cmへと小さくされた経緯がある。

◇ブラインド(視覚障害)クラスの選手は、目で的を見て撃つことができないため、音の 違いを聞き分けて的を狙い撃つことになる。つまり目で照準を合わせるのではなく、耳 で照準を合わせる。そのために、電子音で標的の位置を知らせる音式スコープという装 置を用いる。この装置は、的に近づくと音が高音に変化し(周波数が上がり)、離れる と低くなるようになっていて、選手はヘッドフォンをつけて、その音を聞き分けて(周 波数が最も高いところに)狙いを定め、撃ちぬく。的は10m離れたところに置かれ、 大きさは3cm。ブラインドクラスで使用する銃は、長野のパラリンピックまではエアガ ン(空気銃)を使っていたが、ソルトレイクからビーム銃に変わり、トリノでもビーム銃 が使われる。