畑ひろしサード・アルバム発売記念ライブ

  ○07年8月9日
  ○大阪市北区:ジャズ・オン・トップ
  ○パーソネル
   畑ひろし  g
   荒玉哲郎  b
   東敏之  ds





●関西では人気実力ともトップレベルにある畑ひろしのサード・アルバム「ブルース・ウォーク」が発売されるのを記念して、ジャズ・オン・トップでライブが行われた。メンバーはレコーディングとは違い、日本で畑とレギュラーのようにグループを組んでいる荒玉哲郎のベースと東敏之のドラムスがサイドを固めている。御馴染みメンバーなので、いつも道理の畑のステージかと思われたが、そこはやはりCD発売記念と名打つだけに、いつもとは一味違ったものになった。
  レパートリーはほとんどアルバムに含まれているもので、アルバムの演奏を継承している感じだが、アルバムよりも、また普段の畑のステージよりも内省的な演奏だった。またアルバムがサイドをニューヨークの一流メンバーが白熱のバトルを聴かせるという感じだったが、本ステージは気心の知れた仲間ゆえの緻密なコンビネーションを聴かせてくれた。
  <フーリーキャッツ>はアルバムよりも早いタンポで濃厚なブルース・フィーリングを聴かせ、<アラバマに星降りて>では逆にアルバムよりもスローなリズムで内省的なバラードを聴かせてくれた。<月に願いを>では3人の幻想的なインタープレイを聴かせてくれて、これらは、アルバムで聴けるスリル感もいいが、いつものメンバーだからこそ成し得たグループ・サウンドともいえ、発売記念ライブのならではの楽しみだ。
  また、<エースト・オブ・ザ・サン>では、畑お得意のフレーズの引用が聴かれ、ここでは、<ダイナ><マイ・フェバリット・シングス><小舟>など次々に引用、ギターとドラムスとの4バース・チェンジもあって、遊び心溢れる演奏だった。
  <ムード・インディゴ>は8分の6拍子のジャズ・ワルツにアレンジ、荒玉の抜群のソロも楽しめた。畑のオリジナル<プリンス&スプリング>では客席に降りてプレイ、お得意のスキャット・ボーカルとギターのアドリブ・ユニゾンで大いに盛り上がった。
  発売に先立って行われた地元関西だけで行われたライブだが、発売記念ライブ・ツアーで、全国でこの楽しいステージを堪能して欲しい気分にさせられた夜だった。

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東京を拠点に活躍するSUITE VOICE、2度目の来阪ステージを堪能!

○07年6月25日
○大阪市北区:ジャズ・オン・トップ
○パーソネル
SUITE VOICE(vo)
多田恵美子(p)
荒玉哲郎(b)
佐藤英宜(Ds)

●SUITE VOICEは東京で活躍する女性4人のコーラス・グループだ。これまでにアルバムは2枚リリースされていて、スイング・ジャーナル誌の人気投票でも上位にランクする人気グループだ。
  活動の拠点が東京だが、メンバーには関西出身者も含まれ、神戸、大阪はまんざら縁のない地域ではない。今回のジャズ・オン・トップでのステージは昨年CD発売記念ツアーで、大阪ブルーノートに出演以来1年ぶりの来阪ステージになる。
  さすがに実力派ぞろいなので、サイドを固める多田恵美子たちとは初の顔合わせにもかかわらず、気心の知れた仲間のようなこなれたアンサンブルを聴かせてくれた。ファースト・ステージは発売CDからの曲が中心で、<ラバーズ・カム・バック・トゥ>や<ユッド・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ><マイ・フェバリット・シングス>など御馴染みのナンバーが並び、リーダーBABIのリードの<ラバーズ・コンチェルト>ではMAYUの凝ったアレンジが光った。また、彼女たちが師と仰ぐマンハッタン・トランスファーの<フォー・ブラザーズ>では抜群のテクニックを披露してくれた。
  セカンド・ステージではグレン・ミラー楽団の<ムーンライト・セレナーデ>をアカペラからボッサのリズムに展開する粋なアレンジで聴かせたり、しっとりとしたバラードの<スマイル>やラテン調の<キャラバン>などバラエティーに富んだアレンジと構成で楽しく聴かせてくれた。いずれも素晴らしい歌唱ばかりだったが、圧巻は最後の<バードランド>、マンハッタン・トランスファーの名唱に迫る勢いのパワフルさで、ステージを締めくくった。

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ジャズだけに限らずラテンフレーバーの良佳も満喫できた白熱のライブ

○07年4月16日
○大阪市北区北新地:ミスター・ケリーズ
○パーソネル
  北浪良佳(vo)
  生田幸子(p)
  喜多健博(eb)
  クツノ・ユキヒデ(pere)

 パワフルな歌唱と澄んだ高音、広い音域、豊かな表現力で人気を博している北浪良佳がラテンコンボをバックにしてのステージは、ジャズグループをバックにした時とは一味違った魅力を聴かせる魅力的なステージだった。
  もともと良佳はクラシックの素地もあり、カンツォーネなども得意にしていたので、ラテンナンバーもまったく違和感を感じることはなかった。本来ラテンナンバーである<アマポーラ>は当然のこととして、スローバラードの<ミスティ>をラテン・リズムでアップテンポにアレンジしたり、<サマータイム>などラテン・フレーバー漂うナンバーで、彼女のパワフルな歌唱を満喫できるものだった。また<マイ・フーリッシュ・ハート>ではしっとりとしたジャジーなバラードを聴かてくれた。また大貫妙子の<色彩都市>をJポップをアレンジ、新たな魅力を生み出していた。なかでも絶品だったのはカッチーニの<アベマリア>で彼女のクラシックの素地や魅惑の美声を聴かせてくれた。

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トロンボーンとボーカルの絶妙なコンビネーション

○07年4月15日
○神戸市中央区:レストラン&ライブ・ソネ
○パーソネル
  K5tbジャズ・カンパニー:五島健史、河野広明、太田健介、木口良之(tb)大山玲子(p)森本良平(b)中島要(ds)大越理加(vo)

 自身のファースト・アルバム「モア・アイ・シー・ユー」で大越理加は5トロンボーンをゲストに迎え共演しているが、ソネでのステージではK5トロンボーン・ジャズ・カンパニーにゲスト出演すると言う形だ。
  K5tbはアロージャズ・オーケストラのトロンボーン・セクションのメンバーを中心に結成されたグループ。サウンド的にも、ビッグバンドのトランペットとサックスを抜いたビッグバンドサウンドといった風情がある。また、トロンボーンは肉声に最も近い楽器といわれ、ボーカルとの相性もいいのは、過去の名盤をみてみても明らかなこのので、大いに期待を抱かせるプログラムだった。
  事実、ステージはインストもボーカルものも素晴らしいものだった。K5tbの演奏はトロンボーン奏者の曲や有名なアレンジをうまく利用して、魅力的なものを演奏を聴かせてくれた。
  圧巻はTVや映画で御馴染みの<スパイ大作戦のテーマ>。ラロ・シフリンの作曲した5拍子の曲で、同じ5拍子の有名曲<テイク・ファイブ>を上手く引用して、見事な演奏だった。五島はポール・デスモンドの<テイク・ファイブ>での有名なアドリブソロを借用してソロを聴かせた。またベースが<テイク・ファイブ>のピアノのように、同じメロディ・パターンを繰り返し、クライマックスをドラムソロに持っていくところなどは、<テイク・ファイブ>の構成パターンそのものだ。<テイク・ファイブ>を知って聴くと面白さが倍増した演奏だった。
  また玄人好みの演奏だが、<オールド・デビル・ムーン>は「JJ・ダイヤル5>のJJ・ジョンソンのアドリブ・プレイをそのままトロンボーンのアレンジに転用、まるでチャーリー・パーカーのアドリブ・ソロをアレンジして聴かせたスーパーサックスのやり方と同じ手法だ。技巧派として鳴らしたJJ・ジョンソンだけに、難しいアドリブ・フレーズを再現する難しさはあっただろう。
  また大越理加のボーカルが加わったナンバーのなかでは、クリス・コナーの「ディス・イズ・クリス}の中からJJ・ジョンソンのアレンジをほぼそのまま流用した<フロム・ディス・モーメント・オン>は大越とクリスとの対決のような聴き方もできて興味をそそった。またレス・ブラウン楽団とドリス・デイでヒットした<センチメンタル・ジャニー>もサビのアレンジはトロンボーンの魅力を最大限引き出し、気だるいムードのソロや、フェイクを効かせた大越のボーカルと、ドリス・デイとはまったく違った魅力いっぱいの演奏だった。
  ほかにもボロディンの<ダッタン人の踊り>を引用した<パーディド>やハード・バビッシュな<キャラバン>、カウント・ベイシー風サウンドの<ジャイブ・アット・ファイブ>とバラエティにとんだプログラムで飽きることのないステージだった。

大越理加のホームページ

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パワフルでエキサイティングな昼ジャズ!


○07年4月11日
○大阪市北区:ジャズ・オン・トップACTⅢ
○パーソネル
椎名豊(p)
中島教秀(b)
リオネル・ボカラ(ds)
清水ひろみ(vo)


 椎名豊の久々の帰国ライブ、今回は欧州で椎名とよくステージを共にするリオネル・ボカラを伴ってのライブだ。
  前夜はジャズ・オン・トップの本店でライブがあったが、この日は夜ではなく昼間のライブ。ちょっと夜とは違った雰囲気で、昼間のライブに相応しいレパートリーやノリで大いに楽しめる内容だった。
  昼間のライブというのもなかなかオツなもので、グルービイであっても、どこか明るく、まさしく昼ジャズといった趣きがあって楽しいものだった。
  今回のライブで椎名の力強く、粒立ちのいいタッチとスインギーなグルーヴ感は聴きものだったのが、リオネル・ボカラとの絶妙なコンビネーションも聴き逃せない魅力的なものだった。椎名が気にいって、欧州では常にメンバーに加えているのも頷ける。
  ボカラの魅力を一口で言うならば、メロディアスなドラマーということだ。最小限の楽器で多彩な音色を聴かせ、最大限の効果を発揮するところだろう。シンバルをスティックで叩くのでも、叩く位置を微妙にかえて、強弱だけでなく、音色音階まで変化を生んでいる。
  椎名のオリジナル<グルーヴ・オブ・ア・サンセット>ではニューオリンズ風リズムで南部の黄昏時の気だるさが見事に表現した曲で、ここでボカラはブラシやスティックなどを巧みに使い分け様々な音色で見事な効果を生んでいた。また、清水ひろみのボーカルが加わっての<キャラバン>では三者の絶妙なコンビネーションがボーカルを支えていた。ミステリアスなムードの漂うミディアムスローのナンバーだったが、ここでボカラは倍リズムを刻み、得てしてリズムが走り勝ちになるところを、中島のベースがガッチリと抑えて、重量感のあるナンバーに仕上がっていた。
  またジャズ・スタンダードの<アイ・ミーン・ユー>では椎名の力強く切れと粒立ちのいいタッチでパワフルでバビッシュなソロを聞かせてくれた。
  昼間ということで、夜にまつわるような曲はさけて、やや明るい雰囲気の選曲ということもあって、深刻さよりもスインギーで軽いノの曲が多かったが、スイング・ジャズや中間派的にならず、モダン・ジャズのエッセンスが凝縮したステージだった。

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恒例のライト感覚のコンサート

○07年4月6日
○兵庫県西宮市 フレンテホール
○パーソネル
鍋島直昶(vib)宮本直介(b)井上弘道(ts)滝川雅弘(cl)畑ひろし(g)大塚善章(p)北村吉彦(ds)島谷理子(vo)宮野英子(vo)

今年で5回目を迎える「酒と桜の日々」コンサートは楽しい雰囲気の中、開催された。このコンサートは「西宮JAZZ3DAYS」の一環として開催されているので、コアなジャズファンというよりも、ポピュラー音楽ファンを対象にしているようなないようだった。
  この夜のプログラムは有名なスタンダード中心、スイング・ジャズから中間派と言われるスタイルで、リラックスした雰囲気で、大いに楽しめた。一歩間違えば、ムード・ミュージックになりかねないところを、さすがにベテランジャズメンが聴きやすきジャズを提供してくれた。
  大塚善章のピアノをフィーチャーした<世界は日の出を待っている>はスインギーで、適度に明るい<ムーン・グロウ>、ベニー・グッドマンのスモール・グループを彷彿させた、<ローズ・ルーム>や<メモリー・オブ・ユー>なども楽しく聴けた。
  コアなジャズファンには、いささか物足りなく感じるかもしれないが、社交ダンスでフォックスロットを踊ったりした年配層には懐かしく、軽音楽ファンにはジャズに親しみやすい、ジャズファンの裾野を広げるような入門者向けのコンサートだった。

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モダンスイングの醍醐味を満喫



★07年3月27日
★大阪市北区   ロイヤル・ホース
★パーソネル
岸ミツアキ(p)
荒玉哲郎(b)
田中ヒロシ(ds)





 普段は東京を拠点に活動をしている岸ミツアキの久々の関西ツアー、大阪ではいつも「ロイヤル・ホース」に出演していて、今回は荒玉哲郎、田中ヒロシのトリオでのステージだたった。
  岸はいつもながらの饒舌なトークを聞かせてくれるが、東京で見る岸よりも関西での岸のほうが俄然トークは面白い。今回は意外に真面目にジャズの歴史など語ったりしながら、お笑いの要素はやや控えめだった。とはいえ、プレイになるといつも通りのモダンスイングとかニュースイングと言われるスインギーなトリオ演奏を聴かせてくれた。
  スタンダード・ナンバー中心のレパートリーで、いずれも有名なナンバーばかりで、親しみやすい曲ばかりだ。あえて難しそうな曲を避けて、聴きなれた曲を中心にするところが岸のいいところで、ライブならではの一体感が生まれやすい。<まるで恋したように>ではノリのいいテンポでスインギーに楽しませてくれた。荒玉のメロディアスなソロもよかったし、田中のドラム・ソロも大いに楽しめた。
  またニューオリンズ・ジャズ・スタイルではよく演奏された<セントジェームズ病院>はミディアム・テンポでブルージーな雰囲気で素晴らしかった。凝っていたのは<ホワッツ・ニュー>でブロック・コードを用いてやや暗く重くメロディーを奏でたあとは、モンク風にストップリズムを用いたり、シングルトーンで軽快に奏でたりと変幻自在にアドリブを展開、<サテン・ドール>や<南京豆売り><飾りの付いた四輪馬車>などのフレーズを織り込んで、岸の独壇場だった。
  絶妙なトークとバラエティーに富んだプレイでまったく飽きることなく楽しめたステージだった。5月には高槻ジャズ・ストリートでバッキー・ピザレリを迎えてのステージがあるし、6月にも「ロイヤル・ホース」でのステージが予定されているので、それらのステージにも大いに期待したい。


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バラードを中心にしっとりとしたステージを展開!



★07年3月17日

★大阪市北区堂山町:
  ジャズ・オン・トップ梅田

★パーソネル
  清水ひろみ(vo)
  高橋玲奈(p)
  畑ひろし(g)

 西梅田に新しくオープンした「ジャズ・オン・トップ」の3号店は本店のようなライブハウスという体裁ではなく、昔ながらのジャズ喫茶という佇まいが嬉しい。普段はCDやアナログ・レコードを聴かせてくれるまさしくジャズ喫茶で、特定の日だけライブがあるのも、いかにもジャズ喫茶風だ。今のところ毎週土曜日の夜にライブが開かれているようで、17日にちょっと面白いプログラムがあったので覗いてきた。
  この夜は「ジャズ・オン・トップ」のママさん兼ハウス・シンガーの清水ひろみ、ピアノに只今売り出し中の美人ピアニスト高橋玲奈、関西一の名ギタリストの畑ひろしのユニットだ。この梅田店では清水ひろみのボーカルとピアノのデュオというのが多いが、この夜はギターが加わったトリオというのがちょっと珍しい。
  ステージはさすがにやり慣れたステージと仲間たち、という感じでリラックスした雰囲気がなかなかいい。演奏メンバー同士は当然としても客同士の繋がりはなくとも出演者と観客との繋がりが密な感じが伝わってくる。
  スローなバラード中心でしっとりとしたプレイはアルコールを傾けるにはいい雰囲気だ。ピアノとギターというバックもなかなかいい。ドラムレスというのはリズムの弱さが露顕してしまうことがままあるけれど、そんな弱点はまったく感じられず、ゆれ動くリズムにライブならではの楽しさが滲み出ていた。
  <イパネマの娘>でバースのない<イパネマ~>をサビの部分をバースのようにアレンジしてリフレインに繋ぐ、というアイデアはなかなかよかった。
  映画「キル・ビル」で最近改めて注目を集めている古いポップの<バン・バン>はギターとのデュオ、ディープな感情移入が感じられて素晴らかった。ジャズファンはアン・バートンの「バラード・アンド・バートン」の名唱を思い出すだろう。
  ギターとピアノのデュオの<キャラバン>やスインギーな<スイングしなけれりゃ意味ないね>も緊張感がいい雰囲気だった。<センチメンタル・ジャニー>でカントリー・ブルース風のフレーズを聴かせたギターソロが粋だった。また<サニー・サイド・オブ・ストリート>のギターとスキャット・ボーカルのひとり・アドリブ・ユニゾンは畑ひろしの面目躍如といったところだ。とにかく畑ひろしはいろいろな聴かせどころや見せ場を持っているので、観客を飽きさせることがないのが嬉しい。
  すべての演奏曲目に触れることはできないけれど、いずれもちょっとしたアイデアが盛り込まれた素敵なナンバーばかりだった。
  ライブの楽しさというのはコンサートと違って、観客との一体感で段々ノッてきたり白けたりするもので、よくも悪くもプレイの何%かは観客の聴きかたが影響する。さすがにこの日のステージは和気あいあい、気心のしれた仲間と心の通じ合ったようなステージだった。

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